注意!

 

# 16 地核突入作戦

脚本:加藤陽一/コンテ:戸部敦夫/演出:綿田慎也/作画監督:戸部敦夫

 今回は普通でした。

 シェリダンの惨劇の大幅な簡素化は残念でしたが、後は満足でした。特に、地核突入シーンの映像が素晴らしかった!

 キャラ絵の方はちょっと微妙だったかも……。時々キャラクターが変な顔してました。あと、ガイの髪が例によって昔のヒーローのようにやたらとなびいてた(苦笑)。

 

 難しい設定が色々と説明された回でしたが、微妙に「あれ?」と思ったり。あと、再構成による矛盾、強引な展開がちょこちょこ。

 

 今回からOPとEDの一部カットが差し替えられました。

 OPの方は、《海上に伸びたセフィロトツリーと、傍を航行するタルタロス》が《青空の下のユリアシティと、海を蹴立てて舞い上がるアルビオール》に、《アクゼリュス崩落》が《アッシュの亡骸を抱いて地核に降りるルークと、ローレライの出現》に、《パッセージリング》が《障気中和の輝きを放つレムの塔》に、《飛ぶアルビオール》が《満月の前に浮かぶエルドラント》に。

 EDの方は、パーティメンバー+アッシュが原作ゲームの称号服を着た新規イラストに差し替え。ミュウは前期のままでした。そしてイオンが消滅。

 アニスは《リトルデビっ子》で最もカット数が多く、唯一、中割り抜きのパラパラ漫画風に動きます。前期EDではセットだったジェイドとガイは単独カット化。ジェイドは《悪の譜術使い?》、ガイは《ブレードテイマー》。代わって前期は単独カットだったティアとナタリアがセットになって、それぞれ《クールレディ》と《漫遊冒険娘》。シメのルークとアッシュは前期EDと同じく二人セットで、ルークは《ベルセルク》、アッシュはルークの称号服を借りて《ファブレ子爵》を着ていました。流石に《アビスシルバー》を着せるわけにはいかないですよね。覆面ヒーローなんで誰なんだか分からなくなるし(苦笑)。

 余談ながら。折角のガイのイラストに思いっきりテロップがかかって、殆どちゃんと見えなくなってます。相変わらず薄幸の星の下にいます、ガイ兄さん。次回分からは修正されて、テロップがかからなくなっているようですが。

 それと、途中で出るフォニック文字の文章も前期とは変わっています。

I BELIVE THAT WE CAN CHOOSE OUR FUTURES.

 綴りが間違っているので、正しくは

I BELIEVE THAT WE CAN CHOOSE OUR FUTURES.

ですね。19話(レプリカ編)から正しく修正されているようです。

 これはエルドラント最終決戦時にルークがヴァンに向かって言った台詞、「俺たちは未来が選べると信じている」の英訳なんだろうなぁ。

 

 以下は重箱の隅ツッコミです。読みたい方だけどうぞ。





 アバンは、久々に本編のはみ出し。

 海側から映したシェリダンの遠景からスタート。初めて《職人の町シェリダン》の字幕が出ました。

 ところで、原作のシェリダンのあるラーデシア大陸は礫漠化してる感じで、草木は殆どなく、赤茶けた岩ばかりです。この乾燥した環境の中、近くのメジオラ高原(大峡谷)で産出される石が譜業兵器の開発には欠かせないという設定が、原作にはあります。

 しかしアニメのシェリダンは、周囲を深く豊かな森林に覆われていました。……別にどーでもいいレベルのことではあるけど、何か意味ある変更なのかなぁ?

 

 アルビオールは、シェリダンの集会所の裏手にある、街の広場に停められていました。多分、あの円い着陸場ごと地下に降りて、船渠ドックに入れたりするんですよね。アルビオールがあそこからせり上がって垂直発進するとこが見たかったかも。

 

 シェリダンの集会所では、相変わらずイエモンとヘンケンが喧嘩しています。原作の彼らの喧嘩シーンは振動周波数測定に行く前の一度しかないのですが、前回はその前半部分、今回は後半部分を使って、喧嘩シーンを増やしています。

 このシーン、ジト目でうんざりしてるルークと、お揃いの表情で隣に浮いてるミュウが実に可愛かった♥ 何気にティアとナタリアも可愛い。そしてガイは口が曲がってる(笑)。

 タマラは少しも喧嘩に参加しないのに、相変わらずキャシーはヒステリックに喚いています。はぁ〜…。

 それと、語尾に「〜ぞい」と付けるのは基本的にイエモンの口癖だと思ってたんで(イエモンの死後は、アストンもたまに使いますが)、ヘンケンも使ってて違和感ありました。ヘンケンはもっと、こう……、頭固い喋り方のイメージがあります。《い組》はやや厳格、《め組》はチャキチャキしてる印象。って、私が勝手に思ってるだけですけど。

 

 続けて、原作フェイスチャット『『め組』と『い組』』のアレンジエピソード挿入。ティアの態度に、例によってヒロイン補正がかけられています。

(原作・フェイスチャット『『め組』と『い組』』)
(前略)
ティア「でも、イエモンさん達、本当に仲悪そうね……」
イオン「仲が良いから争ってしまうのではないでしょうか?」
#ティア、納得いかない様子
ティア「そうなのかしら……」
#ガイ、笑って
ガイ「ティアとルークの関係と同じだな」
ティア「……」
#ギロリと睨むティア。
#ガイ、苦笑いして引きつり

ガイ「わ、悪かったって!」

(アニメ版)
#老人たちの喧嘩にうんざりして
アニス「仲悪〜い」
イオン「仲がいいから争ってしまうのではないでしょうか?」
#アニス、パッと明るい顔になってイオンを見て
アニス「ああ、なるほど」
#ガイ、笑って顎に手を当て、したり顔で
ガイ「ティアとルークの関係と一緒だな」
ルーク/ティア「?」
アニス/ミュウ♥」
#それぞれに振り向いてガイを見る、ルーク、ティア、アニス、ミュウ
ミュウ「同じですの♥」
ティア「……っ」
#ティア赤面し、少しむくれたようにルークから目をそらして、ついには ぷいっと身体ごと背ける。
#キョトンと彼女を見るルーク

 ティアがルークとの仲をからかわれて剣呑な様子で睨んだり怒ったりするエピソードは、原作には三つくらい存在しています。

 たとえば、まだルークが長髪だった頃、カイツールでヴァンと再会した後のフェイスチャット『痴話喧嘩?』。ヴァンは敵か味方かでルークとティアが激しく言い争い、ミュウはおろおろと仲裁する。するとガイが「ミュウ、やめとけ。痴話喧嘩は犬も喰わないって言うぜ」と笑うのですが、途端に、(こんな時だけバッチリ息の合っている)ルークとティアの二人からギッと睨まれて、ひきつった笑みを浮かべる羽目になるのでした。

 このエピソードの時点では、まだ本当にティアはルークと仲が良くはなかったんですが、相当仲良くなってからタタル渓谷でアニスやナタリアにからかわれた時、「(ルークと恋愛関係にあるなんて)ありえないから」と、ルークの眼前で取りつく島もないくらい冷たく言い放たれたのはキツかった…。

 原作ティアは潔癖と言うか融通がきかないと言うか古風な学級委員長的と言うか、恋をからかわれると本気で怒って睨んできます。怖いです。でもアニメのティアは、なんとも可愛らしくなっちゃったものですね。原作のティアも好きですが、これは可愛いアレンジだなぁと思いました♥

 

 原作では老人たちの喧嘩を止めたのはナタリアの一喝、イオンの取り成し、アニスの笑顔でしたが、アニメでは孫娘のノエルに花を持たせていました。彼女のキャラを立てて、惨劇後の涙の印象を強めるためかな。

 ノエルのとりなしで、イエモンとヘンケンが互いの実力を認めていることを思わず口に出し、赤面して「フン」と顔を背け合う。ツンデレじーさんズ。

 原作によれば、イエモンは若い頃、アッシュに似た性格だったそうですけど。本当は寂しいのに意地を張るんだそうです。アッシュが年取ったらこんな感じの性格のお爺さんになるのかなぁ。

 

《い組》とアストンは振動静止装置の最後の仕上げをすることになり、港に。アルビオールをタルタロスに搭載せねばならないのでノエルも一緒に行くことになります。ここでギンジ情報も語られる。

ノエル(キョロキョロして)そういえば、お兄さんは?」
イエモン「3号機の試験飛行に行っておる」
ノエル(笑って)そう。じゃあ、行ってきます!」

 これが祖父との最後の会話になったんだなぁ……。

 そして、ギンジがシェリダンの惨劇に巻き込まれずに済む説明と、レプリカ編から3号機でアッシュの足として活躍するフラグ立てが成されました。

 ちなみに原作では、アルビオール3号機はシェリダンの惨劇後、生き残ったアストンが悲しみを紛らわせるべく作り上げたもの。試験飛行はアストン自身が行っていました。

 アバンはこれで終了。

 

 Aパート。ノエルはアルビオールを発進させ、《い組》やアストンと共に港へ向かう。垂直に離陸し、空中で姿勢を整えてから水平に発進する様子が丁寧に描かれていて、とてもカッコ良かったです。

 残ったルークたちは、イエモンから振動静止作戦の注意を受ける。ジェイドだけが図面の広げられたテーブルに行って説明を聞き、ルークたちは入口側に立ったまま、たむろしてそれを見ている形でした。

 

 この辺、原作には、少し奇妙な状況の《縛り》が用意されています。

  • 地核は高圧なので、タルタロスを高出力の譜術障壁で守らなければ人間はぺしゃんこになる。障壁発動には補助機関が必要で、130時間しか保たない。
  • ルークたちが街を出る準備ができたら、シェリダン側から狼煙のろしを上げる。港のアストンがそれを見たら、向こうからも狼煙を上げて、補助機関で障壁を発動させる。つまり、ルークたちが街を出る瞬間から、130時間が消費され始める。
  • アクゼリュス崩落跡から地核に入る。シェリダンからそこまで五日かかるので、地核にタルタロスを打ち込んで脱出するまでを10時間ほどでこなさねばならない。
  • 脱出にはアルビオールを使う。アルビオールに取り付けられた圧力中和装置は3時間しか保たない。また、アルビオール単体では脱出のための浮力が足りないので、タルタロスの甲板に浮力を生み出す譜陣を描いている。それを使って脱出すること。

《街を出る瞬間から》タイムリミットが迫り始めるという設定は、いかにもゲーム的で物語としては不自然だったので、それを削除したのは良かったです。

 

 原作では、シェリダン港から狼煙が上がったという報せを受けてルークたちが集会所を出ると、リグレット率いる神託の盾オラクル騎士団に包囲されていた、という展開です。けれどアニメ版では、入口から最も離れた位置にいたジェイドが外の気配にハッと気付き、その様子を見たルークが駆け出すと、リグレットたちが待ち構えている、という展開でした。

 ……その割に、リグレットを見たルークは原作ママに「そこをどけ!」と怒鳴ります。出発しようと思って外に出たわけではないので、ちょっと変な台詞回しかも。

 

 アニメ版では簡素化されましたが、原作のシェリダンの惨劇は、街の住民の多くが老若男女の区別なく殺害されるという大事件でした。以下のように展開します。(赤字で付記したのがアニメ版の展開。)

  1. 作戦開始したルークたちが港へ行くべく集会所を出ると、リグレット率いる神託の盾オラクル騎士団が待ち受けている。ルークは怒って「そこをどけ」と低く言い、リグレットは「無駄な抵抗はやめて武器を捨てろ!」と返す。
    ※前述したように、アニメ版では作戦会議中に気配に気づいてルークたちが外に飛び出ると、リグレットたちがいます。会話は原作ママ。
  2. 集会所の裏口から外に出たタマラが、イエモンの指示で神託の盾に火炎放射。ルークたちに、時間がない、早く港へ行けと指示。
    ルークたちは港へ行こうとするが、神託の盾に妨害されてやむなく武器を取り、戦い始める。一般人も巻き込まれているのでジェイドは譜術が使えない。
    ※アニメ版では、ルークたちは一切戦わずに逃げ始めます。また、《い組》以外の街の人々は一人も登場しません。つまりジェイドは全体攻撃系の譜術が使えたはずなんですが、何故か使いませんでした。
  3. リグレットはナタリアの弓を撃って攻撃を中断させる。続けて(ナタリアを?)撃とうとしたところにイエモンが体当たりして妨害。リグレットは老人を集会所の鉄の扉に叩きつけ、恐らく内臓に致命傷を負わせる。
    ※アニメ版では、リグレットはタマラの火炎放射器を撃って攻撃を中断させます。そして逃げるルークを撃とうとするとイエモンが掴みかかる。
    リグレットに鉄扉に叩きつけられたイエモンは、すぐに立ち上がって再びリグレットに向かう。そこでリグレットに銃で撃ち抜かれて倒れます。
    原作では、リグレットに直接老人を射殺させることを避けていたんだと思うんですが、なんと、マイルド路線だったアニメ版が、ここにきて原作より過激な描写を行いました。
  4. イエモンが叩きつけられた瞬間を見て、ルークは立ち止まる。瀕死のイエモンと、神託の盾兵の足止めを続けるタマラはルークを叱りつけ、構わずに港へ行けと指示。
    ジェイドが「……行きましょう。早く!」と促し、他の仲間たちは神託の盾と戦いながら血路を開いて進み始めるが、ルークは棒立ちになったまま進めない。ティアが「ルークッ!」と駆け戻ってルークの手を引き、その後ろからガイが走って、やっと集会所前を離れる。
    ※アニメ版のルークはイエモンが撃たれた瞬間を見ていません。しかし射撃音を聞いて一人で駆け戻ります。
    タマラとイエモンに叱責されても進めないでいたルークに、ジェイドが「
    ルーク! 行きましょう。早く!」と声をかけ、「くそっ!」と叫ぶと老人たちを置いて走り出す。
    原作と違い、ティアがルークの手を引きません。ガイに至っては、ルークが動くのを確認すらしないで、さっさと先へ走って行ってしまいました。
  5. 街を出るまでの間、若い技師たち、街の女性たちなどが「タルタロスには俺の手も入ってるんだ! 邪魔させるか!」「ルーク様! ナタリア殿下! 北の出口が手薄です! 急いで……」などと呼びかけながら神託の盾兵の前に立ちふさがり、ルークたちの楯となって次々に殺されていく。
    ※アニメ版にはこれらの描写が一切なく、街の人たちはただの一人も現れません。
  6. 人々に謝りながら、悲しみをこらえて必死で街を駆けるルークたち。
    ※簡略化されていましたが、これはアニメ版にも残されてました。
  7. 街の出口で、騒ぎに気づいて駆け付けたキムラスカ国軍と遭遇。ルークとナタリアが街の人々を救うよう指示してから港へ向かう。
    ※アニメにはこの描写は全くありませんでした。
    偽姫事件の際には敵だったキムラスカ軍が、ここでは本当に救いの手となって現れ、すごく頼もしく見えるんですけどね。
  8. 一方、タマラはルークたちを追う神託の盾兵の一団に追いすがって後ろから火炎放射をしようとしていたが、別の神託の盾兵に背後から斬られて倒れ、「……坊やたち、しっかりね」と呟きながら息絶える。同じ頃、鉄扉に叩きつけられたままぐったりしていたイエモンも「『め組』と『い組』の……最初で最後の共同作品じゃ……。頼むぞ……ルーク……」と呟いて静かに死亡。
    タマラの亡骸を見下ろしたリグレットは、「……民間人がしゃしゃり出てくるからだ」と、どこか苦しげに呟く。
    ※アニメ版では、駆け去るルークたちを「それでいいのよ」と微笑んで見送っていたタマラ(立ち止まっており、戦っていなかった)を、リグレットが無造作に射殺して「民間人がしゃしゃり出てくるからだ」と憎々しげに吐き捨てていました。
    ……なんか、リグレットの性格が違う感じ。彼女は確かにヴァンの理想に従ってオリジナル世界を消そうとしてるんですが、苦しみを感じない訳じゃないんだと思うけど。本質は、不器用に振る舞ってしまう潔癖な人だと思いますし。

 すぐにシェリダン港へ。ヘンケンたちが譜業で催眠ガスを散布していて、ジェイドが譜術で吹き飛ばすという、原作ママの展開です。

 譜術を使うジェイドの演出が丁寧で、カッコよかったです。

 催眠ガスは幼いほど効きが早い、という要素はカット。また、現れたヘンケンたちがガスマスクを着けているという演出の強化がありました。そりゃそうだよね(笑)。いくら幼い方が効きが早いとはいえ、年寄りには効かないってことはないだろうし。

 

 唐突に現れたヴァンの台詞「呑気に立ち話をしていていいのか?」が「お前たちもここで終わりだ」に修正。

 ヴァンが剣から衝撃波を放って、ルークたちを老人たちごと吹き転がすのですが、構図と演出が独特な感じでした。原作ではルークたちの後ろに視点があって、衝撃波で老人たちごと一気に画面上端(海際)まで飛ばされます。スピード感抜群です。対してアニメ版は視点が老人たちの後ろにあり、衝撃波でルークたちがふわっと浮きあがって飛ばされてきて、次いで手前にいた老人たちも吹き飛ばされる感じでした。凝ってるんですけど、浮かぶルークたちの様子がちょっとギャグっぽくも感じられたり。(^_^;)

 

 ヴァンとの再会。アニメルークにとってはアクゼリュスに置き去られて以来、初の邂逅なのですが、それを配慮した描写は特にありませんでした。アニメルークはヴァンに大して執着してない感じ。

 原作では、この時点ではまだルークたちの推測でしたが、アニメではヴァン自ら「お前たちに地核の振動を止められては、困るのだ」と説明してくれます。そして怒涛の解説演説が始まるのでした。原作の《ベルケンド・音機関研究所》《ワイヨン鏡窟・フォミクリー施設》での二つのエピソードで少しずつ行われた説明をミックスし、一気に語る。AパートとBパートをまたいでいました。

 ちょっと気になったのですが、原作シーンいずれにも、《ヴァンがアッシュとルークを比較して、ルークの存在価値を否定する》という描写がありまして、レプリカ編前半でルークが自己価値を見失ってしまう布石となっているのですが、完全にカットされていました。例によってギスギスだから削ったのかもしれないですが、アクゼリュスと同じで、それでも入れなければならない描写だったんじゃないか、と思いました。

 一応、次回でヴァンと遭遇するシーンに入れてはありましたが、扱いがかなり小さくて目立たなかったですし。

 

 レプリカと第七音素セブンスフォニムに関する設定。

 違っているとも言い切れないのですが、原作と異なる表現をされているので、別のニュアンスに感じられます。

(アニメ版)
ティア「兄さん! 何を考えてるの!」
ヴァン「お前たちに地核の振動を止められては、困るのだ」
ルーク「なんでこんなことを!」
ヴァン預言スコアに狂わされたこの世界を、生まれ変わらせるためだ」
ルーク「でも、外殻大地が崩落したら、世界はぐちゃぐちゃになって、みんな死んじまうだろ!」
ヴァン「それでいい」
一同「!?」
ヴァン「意味がないのだ。(伏せていた目を静かに上げて)新たな世界に、今の人類が生きていては」
#Aパート終了。Bパート開始
ルーク師匠せんせい! 何言ってんだよ!」
ヴァン「預言通りにしか生きられぬ人類などただの人形。全てを無に帰し、新しい世界を創るべきなのだ。レプリカでな」
ティア「なんですって!?」
ガイ「まさか、大地や人類のレプリカを、丸ごと全部作るって言うのか!?」
ヴァン「それでこそ、世界はユリアの預言スコアから解放され、新たな道を歩み始めるのだ」
イオン「なんて恐ろしいことを……」
ガイ「正気かよ」
ジェイド「現実に出来るはずはない。第七音素セブンスフォニムは世界中を循環している。それを集めてレプリカの大地を作ったとしても、第七音素はやがてレプリカから乖離し、循環の環に戻っていく。レプリカを長く維持することは出来ない」
ティア「それに、レプリカは大量の第七音素を消費する。世界中から集めたって、足りるはずがないわ!」
ヴァン「ローレライを消滅させれば問題はない」
#アニス、怪訝な顔で
アニス「ローレライって……第七音素セブンスフォニムの意識集合体?」
ミュウ「みゅう?」
#ガイ、ジェイドに向かって
ガイ「でも、その存在はまだ確認されていないんだろ?」
ジェイド「ええ。(目線をガイからヴァンに戻し)何故ローレライの存在を、そこまで確信できるのです」
ヴァン「フ……。お前たちが知る必要はない」
ジェイド「――そうか。ローレライの存在を前提に考えれば、あなたの行動にも納得がいきます。
 ローレライは地核の中心で、第七音素の循環のかなめとなっていると言われています。地核を振動させれば、ローレライから大量の第七音素が放出される。それを全てレプリカの製造にあてて世界を創る。そのうえで、ローレライを消滅させれば、循環が止まり、レプリカを長く維持できるようになる。世界を飛び交う第七音素はなくなり、預言も詠めなくなる」
#ガイ、ヴァンに向かって怒りをむき出しにして
ガイ「だから地核の振動を止めようとしている俺たちを妨害するのか!」

 …な、長っ…(笑)。ジェイドが一人で殆ど全部、推測で説明しちゃってる。原作だとヴァンとの掛け合いなのに。あと、何故かティアが、レプリカを作るには大量の第七音素が必要だと、フォミクリー研究者みたいなことを言ってます。原作ではジェイドの台詞でした。

 次に原作の該当シーンを書きますんで、根性のある方は比較してみてください。

(原作・ベルケンドの第一音機関研究所)
ティア「兄さん! 何を考えてるの! セフィロトツリーを消して外殻を崩落させて!」
ルーク「そうだよ、師匠! ユリアの預言スコアにもこんなことは詠まれてない……」
ヴァン「ユリアの預言か……。ばかばかしいな。あのようなふざけたものに頼っていては人類は死滅するだろう」
ナタリア「あなただって外殻大地を崩落させて、この世界の滅亡を早めているではありませんか!」
ヴァン「それがユリアの預言から解放される唯一の方法だからだ」
ジェイド「死んでしまえば預言も関係ないですからねぇ」
ヴァン「違うな。死ぬのはユリアの亡霊のような預言とそれを支えるローレライだけだ」
アニス「ローレライって……第七音素セブンスフォニムの意識集合体? まだ未確認なんじゃ……」
ヴァン「いや、存在する。あれが預言を詠む力の源となり、この星を狂わせているのだ。ローレライを消滅させねば、この星は預言に縛られ続けるだろう」
ルーク「外殻が崩落して消滅したら、大勢の人が死ぬ。そしたら預言どころの話じゃなくなっちまうよ」
ヴァン「レプリカがある。預言通りにしか生きられぬ人類などただの人形。レプリカで代用すればいい」
ガイ「フォミクリーで大地や人類の模造品を作るのか? 馬鹿馬鹿しい!」

(原作・ワイヨン鏡窟のフォミクリー施設)
#地核からの帰還後、障気蝕害インテルナルオーガンが明らかになったティアが出奔。
#ルークたちは追ってワイヨン鏡窟へ向かい、ヴァンと対峙するティアと、ヴァンに斬られたアッシュを発見する

ルーク師匠せんせい! どうしてレプリカ世界にこだわるんだ」
ジェイド「フォミクリーは大量の第七音素セブンスフォニムを消費する。この星全体をレプリカ化するには、世界中の第七音素をかき集めても足りませんよ」
#傷ついたアッシュ、ナタリアに介抱されながら
アッシュ「こいつは地核の莫大な第七音素セブンスフォニムを、ローレライを利用するつもりなんだ」
ヴァン「地核の震動が激しくなれば、プラネットストームが強まり第七音素セブンスフォニムの供給量も増す。おまえたちはそれを止めてしまったがな」
#ガイ、愕然として
ガイ「だから地核の静止を嫌がったのか……」
ジェイド「フォミクリーは不完全です。しくじれば、すぐに消滅するようなレプリカが誕生する」
ヴァン「それは第七音素がレプリカから乖離かいりするために起きる現象だ。乖離を止めればレプリカは消えぬ」
ジェイド「無理です。そもそも音素フォニムは同じ属性同士で引き合う。第七音素も同じだ。物質から乖離してプラネットストームへ戻っていく」
#兄から聞かされたらしい話を説明するティア
ティア第七音素セブンスフォニムの集合体であるローレライを消滅させるのよ。すると余剰第七音素が消える」
ルーク「引き合う第七音素セブンスフォニムがないから乖離しない……ってことか」
ヴァン預言スコア第七音素セブンスフォニムがなければ詠めない。世界から預言は消え、レプリカも消滅しなくなる。一石二鳥だ」

 違って感じられるのは、以下の部分ですね。

  • 原作では、《しくじれば》すぐに消滅するようなレプリカが誕生すると言っているが、アニメ版では全てのレプリカは例外なく乖離消滅するかのように説明されている。
    確かに原作の文章からそう捉えることも可能だが、あくまで《下手な作り方をしたレプリカは乖離しやすい、今の技術では下手な作りのレプリカが出来やすい》ということで、下手な出来ではないレプリカなら簡単に乖離しないのではないのだろうか?
    (それにしてもアニメジェイドさん、レプリカのルークの前で断言しちゃって。デリカシーないなぁ。)
  • 同じ属性の音素同士は引き合うという設定を語らない。
  • 《プラネットストーム》=《ローレライによる第七音素の循環》と受け取れる感じに説明している。
    音素の循環(プラネットストーム)自体は、ローレライとは無関係に人工の装置で行われているはず。ローレライはプラネットストーム稼働によって誕生した新たな精霊だから。もしローレライが消えても、プラネットストームが稼働する限り循環自体は止まらないのでは。
    …と思ってしまうのだが、多分ここは、原作から意図的に微変更・補強している部分じゃないかと思った。この辺、原作の設定が相当に不明瞭で、ヴァンの計画もしっかりしていない(ように思われる)から。
  • 原作には、ローレライが地核で第七音素の循環の要となっているという説、その説が研究者たちに知られているという状況は存在しない。ジェイド以下、ヴァン(ユリアの子孫)以外の誰もローレライがどこにいるのか知らなかった。

 

 つくづく、ローレライ関係の設定って考えれば考えるほど分からないです。

 ローレライはどうして地核が振動すると活性化するんだろう。振動=歌=エネルギーなんだろうけど……うーん。ローレライさんに電動マッサージ器具と高性能アンプ付き音楽再生機をプレゼントしたくなってきた。ビリビリしながら活性化しそう。

 アニメ版は設定を噛み砕いて分かり易い言葉で語り直してあるんだと思うんですが、第10話で《停戦を求める導師詔勅を出しにダアトへ戻る》を《戦争を起こすモースを止めるためダアトへ向かう》に直したように、じっくり考えれば概ね同じ意味だとわかるけれど、パッと聞いたとき、あれ? と惑わされる感じ。

 ともあれ、ローレライが地核で第七音素を循環させているという部分は、原作を発展させたアニメオリジナル設定と言っていいんじゃないかなと思いました。

 

 街からリグレットが追い付いて来ます。原作では(キムラスカ国軍の活躍のおかげか)一人ですが、アニメでは数人の兵を伴っていました。ヴァンに失策を詫び、「すぐに奴らを始末します」と言う。

 原作では、リグレットがまだヴァンと話している隙に、ジェイドが素早く譜術を放って彼女を吹き飛ばします。それを機にルークがヴァンに立ち向かおうとしますが、ジェイドが「ルーク! いけません」「今、優先するのは地核を静止することです。タルタロスへ行きますよ」と片手で制して止める。悔しがりながらも背を向けたルークにヴァンが無言で譜術を放ち、アストンが飛び出して己の身体でそれを受け、倒れる。

 対してアニメ版では、ジェイドは譜術を放ちませんでした。リグレットが譜銃を構えたのを見てルークが剣を抜く。その後ろをジェイド一人だけ、たったかたーと猛ダッシュで逃走。かなり遠くで立ち止まって「ルーク! いけません。逃げるんです!」「奴らに、タルタロスを奪われるわけにはいきません」と言う。悔しがりながらルークや仲間たちもジェイドの後を追って走り出し、ヴァンが「私がやろう」とリグレットを制して譜術を放つ。ルーク個人ではなく《ルーク一行》を狙った感じで、結果的に、何故か一人だけ極端に遅れて走っていたガイが標的になっていました。でも照準が甘くてなかなか当たりません。ヴァン師匠はシューティングゲームは苦手だと思います。『テイルズ オブ スナイパー』では誤ってミュウを撃ちそうです。いたいですのー。アストンは身体で庇うのではなく、ヴァンの腕にしがみついて止めようとし、地面に叩きつけられていました。原作は《アストンも死んだ!?》と思わせられる演出でしたが、アニメ版はどう見ても死んでません。

 ヘンケンとキャシーが両腕を広げてヴァンの前に立ち塞がり、ルークたちの盾となる。ヘンケンの一人称は《俺》なんですが、あえて《わし》に修正してありました。彼らの死に様は原作ママ。

 彼らが盾になって先へ行けと言ってくれたとき、原作のルークは言葉もなくその場から動けないのですが、アニメルークは「そんな」と声に出して戸惑います。彼を叱咤してティアとジェイドが呼び、ルークは謝りながら走りだす。

 ちなみに、原作のジェイドは最後までその場に残ってヴァンを牽制していた感じで、ルークが走ったのを見届けてから自分も走りだしていましたが、アニメジェイドさんは前述したように先にいて、ルークと同時に全力ダッシュでした。

 

 海を行くタルタロスの甲板で、悲しみに暮れるルークたち。

 ノエルがその中にいて「おじいちゃん……」と泣いている姿、ルークの「……ごめん、ノエル」という台詞、それを受けてのノエルの台詞「おじいちゃんのためにも、作戦を成功させないと」が追加されていました。うんうん。こういうフォローを夢見てたので嬉しかったです。けれども、ナタリアの「わたくしは……自分の国民も守ることができなかった……」という台詞はカット。

 ……もしかしてアニメ版では、シェリダンがキムラスカの都市だということをぼかそうとしてるんでしょうか? 公式サイトや雑誌等の番組外の資料ではキムラスカ領だと明記されちゃってるんで無意味なんだけど…。

 続くティアがルークを諌めるシーンは、原作では、ティア自身のキツい態度と《この中で一番泣きたい気持ちなのはティア。なのに彼女は耐えて泣かなかった。それを察するべき》という、泣き悲しんだこと自体を劣った行為だと言われたかのような結論があいまって、ティアに感情移入していない場合は理不尽さを感じ易い、原作ファンの間ではなかなかに物議を醸すものだったと思いますが、それが上手にマイルド修正されていました。とても良かったです。ホッとしました。

(アニメ版)
#泣いて憤っているルーク。その背後から気遣わしげに見つめているガイ
ルーク「……ごめん、ノエル。俺が非力だったからだ。(手すりに拳を打ちつけて)くそぉっ!!」
#ノエル、泣きながら
ノエル「おじいちゃんのためにも、作戦を成功させないと」
#ルークから離れた位置に立っているティア、動揺を抑えて冷徹を装った声で
ティア「その通りよルーク。落ち込んでいる暇はないわ」
#激昂し、ティアの前まで走ると食ってかかるルーク
ルーク「お前っ! そんな言い方しなくてもっ!」
#ティア、目を伏せて、感情を抑えつけようとしている声で
ティア「悲しんでいても。何も始まらないのよ」
#ティア、立ち去る。その背をルークは怒りを隠さずに睨んでいたが、ガイが言う
ガイ「……ティアだって、本当は泣きたいはずだよ」
ルーク「……え?」
ガイ「爺さんたちを殺したのはティアの兄貴だ」
#ハッとするルーク。
#歩き去るティアのアップ。しかし顔に影が落ちていて表情は隠されている

(原作)
#泣いて憤っているルーク
ルーク「……俺が非力だったからだ。くそぉっ!!」
#ルークの傍のティア、冷たい声で
ティア「落ち込んでいる暇はないわ。私たちには地核を静止させるという仕事が残っているのよ」
ルーク「おまえっ! そんな言い方しなくてもっ!」
#ルーク、ティアの襟首を容赦なく両手で掴み上げる。
#しかしティア、睨む目を逸らさずに、毅然とした態度で

ティア「ここで泣いて悲しんでいても何も始まらないのよ。大佐は一人で作戦準備をしているわ。それを忘れないで」
#ティア、両手で力を込めて、自分の首を絞めあげるルークの手を外すと、強いて堂々と艦橋ブリッジへ歩き去る。
#ティアが去ってからガイがぽつりと言う

ガイ「……彼女、瞳が潤んでたな」
ルーク「……え?」
ガイ「爺さんたちを殺したのはティアの兄貴だ。この中で一番泣きたい気持ちなのは誰なんだろうな」
#沈黙の後、声の調子を落ち着かせるルーク
ルーク「……地核への降下場所はアクゼリュスだったな。俺……艦橋ブリッジへ行ってジェイドを手伝ってくる」
#ルークも艦橋へ去る

 このシーン、原作では激昂したルークがティアの襟首を両手で掴み、締め上げたような状況になります。男の子が女の子に暴力をふるった。それも、二人は憎からぬ関係なのに。非常にショッキングで、それ故に印象的でしたが、流石にアニメ版には採られませんでしたね。(^_^;)

 襟首を掴まれたティアが、普通の女の子なら怯えるでしょうに、ルークを睨んで絶対に自分の意見を曲げないところが、カッコいいのか意固地なのか、人によって感じるところは違いそうです。

 ともあれ、原作のこのシーンのティアは無駄に言うことがキツかったと思っていたので、台詞の余計な部分を全部削って、遺族のノエルの姿を出して、《一番》泣きたいのはティアだとは言わせなかったのは、本当に安堵しました。そう。ティアだって泣きたい。みんなだって泣きたい。誰が一番優れた態度で、誰の態度が劣ってたってことじゃなくて、ただ全員が悲しくて悔しくてやりきれなかったんだよ。

 

 アクゼリュス崩落跡に到着。

 原作には、突入直前に警報が鳴り響き、艦内に侵入者がいると判明、けれど時間がないのでやむなくそのまま作戦開始、というエピソードがありますが、カットされていました。妥当だと思います。

 地核突入の映像は原作のムービーに忠実で、しかし原作よりも多くカット割りされて、下からタルタロスを映したり、むっちゃカッコよかったです! 特に、砲台から撃ち放った音機関から展開された四つの小譜陣が立体的だったのには感銘を受けました。

 

 地核到着。

 アニメ版の地核は、原作みたいに七色グラデーションで輝いていません。ちょっと残念。

 ガイが、地核(地核とマントルの境目?)で第七譜石を目撃する伏線はカット。

 

 装置を設定して地核から脱出しようとすると、シンクが妨害に現れます。

 原作では、アルビオールだけでは脱出の浮力が足りないとて、タルタロスの甲板に浮力を生み出す譜陣を描いていたのに、それをシンクが消してしまっていたというエピソードがあります。シンクを倒してから譜陣を描き直すミニゲームが起こる訳です。しかしアニメ版では、シンクがただルークたちを攻撃してきただけでした。

 面白かったのが、原作で戦闘中に音声のみで聴ける(戦闘参加キャラの台詞が選択される)ルークたちの会話が、沢山取り込まれていたこと。

(原作)
シンク「このタルタロスをお前達の墓にしてやるよ!」
ルーク「させるかよっ!」
アニス「あんたこそ引っ込んでれば!」
ナタリア「わたくしたちは生きて地上に帰りますわ!」
シンク「無駄なあがきだね……。ボクはお前達には負けない!」
ティア「あなただってここで死ぬかもしれないのよ? 退きなさい!」
ジェイド「しつこいですねぇ……。まさか私達と心中しようとでも?」
シンク「心中? 上等だね。一緒に死んでやるから、さっさとくたばりな!」
ルーク「冗談じゃないぞ! 俺達は死なない!」
ガイ「心中なんてお断りだ。寂しくても一人で逝くんだな!」
シンク「いいや……お前達はここで死ぬのさ!」

(アニメ版)
#武器を抜いて向かってきたルークたちに譜術を放つシンク。ルークたちは避けて散開する
シンク「このタルタロスをお前達の墓にしてやるよ!」
#ナタリアが放った矢を、シンクは首を動かす僅かな動きで笑って避け、再び譜術を放つ。
#ガイが撃たれそうになるが、ティアが譜術障壁を張る

ガイ「サンキュー、ティア!」←原作『アビス』シナリオは、設定用語以外の部分は可能な限り外来語を避ける…避けようとした、というこだわりがあったそうで。実際、誰もサンキューと言ったことはなかったですよね。ありがとうとか悪いとか済まないとかを使う。でもアニメ版だとサンキューを使っちゃうんだなぁと、妙に感心したり。そして、このどーでもいい部分に「あれ?」と反応した自分のバカぶりに苦笑したり。
#ガイ跳躍し、雄叫びと共にシンクに斬りかかるが避けられる。斬りと払いを連続して行ってました。カッコい〜!
#続けて譜術を放つジェイド。ガイの攻撃を跳躍して避けたシンクは、空中にいたため回避できない。譜術障壁を張ったものの、ぼたっという感じで着地

ジェイド(険しく)私達と心中しようとでも言うのですか?」
#ルークがジェイドの前に回り込み、剣をかざしてシンクに向かっていく
ルーク「このっ!」
シンク「心中? 上等だね。死ね!」
#立って譜術を放ち続けるシンク。攻撃をかいくぐって、止まることなくシンクへ走るルーク
ルーク「冗談じゃない。俺達は死なない。死ねないんだぁー! うぉおおおおー!」
#シンクは盾のような小さな譜術障壁を張ってルークの剣を受け止める。
#剣の勢いを逸らして受け流したシンク、間髪入れずにルークに飛びかかり、格闘術で攻撃開始

ティア「ルーク!」
ルーク「大丈夫だ。こいつになんか!」
#蹴られた口元を拭い、再び雄叫んで斬りかかるルーク。
#シンクは再び盾のような譜術障壁を張る

シンク「その剣は通じないのが分からないのか!」
ルーク「言ったろ。負けるわけにはいかないんだぁーっ!」
#ルークの渾身の剣がシンクの構える障壁に叩きこまれ、電光が発する
シンク「うわぁあああーっ!」
#仮面が真っ二つになって落ち、シンクはがくりと膝をつく

 スピード感があって、すっごくカッコいい戦闘でした。ただ、もう《原作っぽい動きや効果の戦闘》の演出は放棄してますね(^ ^;)。勿論、下手に譜を唱えたり技のエフェクトを出したりしたら、こんなに流れるような戦闘にはならなかったでしょうが。

 

 戦闘の中で、ルークが「俺達は死なない。死ねないんだぁー!」と叫びます。原作では「俺達は死なない!」としか言ってなかったのに、「死ねないんだぁー!」と付け加えている。

 イエモンさんたちが命を賭して先へ行かせてくれたからこそ、ここで死ぬわけにはいかない。全くその通りで問題ないんですが、それ、ここでこんなに強調して言っちゃっていいのかなぁとちょっと心配になったりもしました。犠牲にした人々への罪悪感に呑まれるのではなく、多くの血と屍を踏み越えたからこそ戦い生きる。未来を創る。これはルークがレムの塔後に実感する気持ちで、物語の結論の一つじゃないんでしょうか。ここで言わせるのはまだ早いんじゃ…。

 とか思ったんですが、構成、もしくは解釈が違うってだけですね。

 自分的には、タルタロス・シンク戦はルークの精神的成長を示すより、シンクが「ゴミなんだよ……代用品にすらならないレプリカなんて……」と言って自殺したのを見て、レプリカは代用品じゃない限り(誰かに必要とされない限り)生きる価値がないのかとショックを受ける、レプリカ編冒頭のルークの存在意義喪失の布石の一つという意味付けになってた方が、しっくりしたかもです。

 

 ちなみに、アニメ版ではシンクの台詞は修正され、「ゴミなんだよ……レプリカなんて」となっていました。シンクの、七番目のレプリカイオンやレプリカルークら、曲がりなりにも代用品として必要とされていたレプリカたちへのコンプレックスは、アニメ版では希薄になってる感じ。「必要とされてるレプリカの御託は、聞きたくないね!」は残ってるんで、消えた訳じゃないんですが。また、劣化していたので生きながらザレッホ火山の火口に捨てられた、という語りもカット。単に「棄てられた」としか言いませんでした。

 

 シンクが「そしてボクの役目は、これで終わった」とオリジナル台詞を言ってから身を投げましたが、エピソードが短縮されていたため、ルークたちの足止めすら出来ないうちに簡単に自殺したようにも見えました。タルタロスを包む譜術障壁がバチバチ言い出したのを見届けてから身を投げるとか、そういう演出が一個あったらよかったなぁ。で、イオンが自分の気持ちを語った後で障壁が本格的にバチバチ言い始めて、ルークたちは慌ててアルビオールへ走る、みたいな。

 辞世の台詞を言い終わった後、シンクがふっと悲しげな苦しげな表情になって、《間》を置いてから身を投げたのは、情感があって印象的でした。

 

 自分がレプリカであることを告白したイオンと、驚くアニスの会話は殆ど原作ママ。ただ、イオンの「そうか……そうだったのか……。僕は、大変な思い違いを……」という台詞はカットされていました。思わせぶりな割に意味が分かりにくいからかな?

 

 障壁が消えそうになり、急いでアルビオールへ。

 ところが、そこで急にルークに例の頭痛が起こり、立てなくなってしまう。ティアが治癒術を試すとルークの頭痛は消えますが、代わりに、ティアが全身を輝かせてローレライの言葉を喋り出す。

 ルーク、ティア、ローレライの言葉は、ところどころ省略されていたり順番が入れ替えられたりしているものの、大体原作のままです。

 ところで、アニメ版では未だにティアがユリアの子孫であることが語られてないんですが、ここでローレライがしっかり『ユリアの血縁か……! 力を借りる!』と言っちゃってました。ルークはスルーしてましたけど。

 

 ローレライとの同調は途中で切れ、気を失って倒れたティアをルークが抱きとめる。少しのけぞった感じで色っぽかったです。ちなみに原作だと抱きとめることはできず、床に倒れたのを慌てて膝に抱え起こしていました。

 それはともかくこのシーン、驚いてるガイ、イオン、アニスが変な顔です。

 

 原作のティアは、ルークに抱え起こされた直後に気を取り戻し、苦しそうに「……大丈夫。ただ、めまいが……。私どうしちゃったの……?」と言います。脱出後のアルビオールの中では体調も落ち着き、仲間たちと会話もする。しかし仲間たちが口々に医者に診てもらうべきだと勧めたので、ベルケンドの第一音機関研究所の医務室へ行くことになります。

 対してアニメのティアは、地核から脱出してもなお、ずっと気絶したままでした。ナタリアが治癒術を使いましたが目を覚まさないので、音機関研究所の医療施設で精密検査をすることに。

 

 原作では看護士すらいない小さな医務室で、なのに最先端の医療機関という扱いで不思議でしたが、流石にアニメ版では大きな病院にアレンジされていました。

 アクゼリュスの代理責任者パイロープと同じく、医師の名前、シュウはアニメ版では消滅している模様。EDクレジットに《医師》としてしか載ってません。

 血中音素フォニムの設定を語らず、単純に、汚染された第七音素セブンスフォニムを取り込んでいる、と説明していました。分かり易い、かな?

 

ジェイド「推測するに、彼女は大陸降下作戦の際、パッセージリングから第七音素セブンスフォニムを吸収したのでしょう。創世暦の音機関は、汚染された第七音素を含んでいる筈です」
ガイ「つまり、今後も降下作業を行うと、ティアに障気が流れ込むのか」
ジェイド「でしょうね」

 まーたジェイドが《推測》で喋ってる。アニメジェイドはホントに推測で喋るのが好きだなぁ。

 

 んん? と思ったこと。

  1. アニメ版では、タタル渓谷のリングがティアに反応して起動したと、仲間たちが認識している描写がなかった。なのに当たり前のように、それ前提で話している。
  2. アニメ版では未だタタル渓谷のパッセージリングしか起動させておらず、その時点では外殻を降下させる計画は発案されていなかった。なのにジェイドは「大陸降下作戦の際」と言っている。
  3. アニメ版では、イエモンとジェイドが全外殻降下を提案してはいるが、世界各地のパッセージリングを操作する、という具体的な方法は提示されていない。(セフィロトをコントロールする、と言っただけ。)しかしガイは「今後も降下作業を行うと」と、ティアを連れてリングを起動させて回るのが決定事項であるかのように語っている。
  4. アニメジェイドが「創世暦の音機関は、汚染された第七音素を含んでいる筈」と言っているが、原作では医師が「創世暦の音機関なら、大量の第七音素セブンスフォニムを含んでいる筈」と言っただけである。
    創世暦の音機関に含まれる第七音素が汚染されていたのは、想定外の事態だったのではないのだろうか? もしジェイドが最初から汚染を確信していたなら、今に至るまでティアの健康を全く気に掛けなかったのは、かなり非人道である。

 原作未見の方の多くが、「どうしてティアを連れてパッセージリングを起動しなきゃいけないの? 危険なら連れて行かなければいいのに」と疑問に思ったみたいです。

 原作では、最初に《ティアにしか起動できない》《外殻降下しないと全世界が確実に滅ぶ》という状況が提示されていて、何故か次第にティアが体調を崩していく様子を描写。随分経ってから《リングの起動を続ければティアが死ぬかもしれない》となります。なので、続けるしかない、でも苦しい、という登場人物たちの気持ちに共感できる。

 けれどアニメ版では、そもそも《ティアしか起動できない》という前提が明確化されていません。ジェイドが全てを《推測》で語り、曖昧なまま押し通してしまいます。

 

医師「その作業を続けるなら、命の保障はしかねます」
ルーク「そんな……!」

 ルークが愕然と言い、心配げに意識のないティアの顔を見やったところで、今回は終了でした。

 

今回の総論。

  • 多くが推測で強引に進む。原作も設定がもやもやしてるけど、アニメ版でもやっぱりもやもや〜。
  • と私は思っちゃいましたが、今回はイオンの告白と涙に驚き・感動した人が世間一般的だったみたいです。

 

 ではまた次回。

 



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