# 6 砂漠の雨脚本:根元歳三/コンテ:まついひとゆき/演出:鳥羽 聡/作画監督:しんごーやすし、杉本幸子 今回も面白かったです。 なんだか今回のストーリー部分は凄く丁寧というか、ちゃんと頭から終わりまで原作を知っていて、周辺資料にもきっちり目を通した人が、内容を噛み砕いてから作っている、という感じがしました。さもなければ、アニメ用に作られた資料を読み込んで作った、かな。
以下は重箱の隅ツッコミです。読みたい方だけどうぞ。 今回の作画は、今まで放映された中で最もキャラの黒目が大きい感じでした。ナタリアが、そして幼少ルークが可愛過ぎるうっ。ティアも、お化けに怯えるシーンは特に目が大きく、非常に愛らしく描かれていました、が。世間的には大好評であることを承知しつつ、私は、このティアはちょっと嫌でした…。理由は後述。 にしても、漆黒の翼の衣装の背中のマークまでしっかり残してあって、ホントにデザインは手を抜かず、力入れてくれてますね。ありがたいことです。
前回に引き続き、アバンタイトルが本編のはみ出しです。これで定着かな。 アバンは、イオンが漆黒の翼に誘拐されるエピソード。折角だから朝の街が見てみたいと、アニスがまだ寝ている早朝、キムラスカ兵二人を護衛にして城外に出たイオン。ところが護衛二人は後ろから不意を突かれ、小さな呻き声をあげただけで呆気なく気絶。彼らの命を盾にして、漆黒の翼の首領・ノワールが、「大人しく付いてきてもらいましょうか。さもないと」とイオンを脅す。 ここでヨークが腰のサーベルを、ウルシーが杖に仕込んだ刃物を抜いて、気絶した兵士に付きつけたのが印象的でした。原作には彼らが戦うシーンがないし、《漆黒の鍵》イベントでは街のチンピラ相手に手も足も出ていなかったから、ちょっと意外に思えたのです。この人たち戦えたんだ…なんて。でも考えてみれば、ゲーム版のインタビュー記事で、元々は漆黒の翼も戦闘をする予定で、それが可能であるようにポリゴンキャラを作っていたと語られていたんでした。 甲冑を着た兵士二人を、刃物を抜く前…徒手で一撃で倒してしまったんですから、相当な武術の達人です。スタンガンみたいなのを持っていたんじゃない限り。能ある鷹は爪を隠すというけれど、この二人、実はむちゃくちゃ強いんじゃないですか。ひゃー。 気絶させられたキムラスカ兵二人は、後のジェイドの台詞を参照するに、イオンと共に行方不明になったことになっています。けれど、漆黒の翼の自動車に乗せられ連れて行かれるイオンの周囲に彼らの姿はありません。 …………彼らはどうなったんだろう…(ゴクリ)。 いや漆黒の翼は一応義賊ですから、無益な殺生はしない、と思うんですけど。でも彼らの雇い主であるアッシュ、更に上位のヴァンが、どんな指示を下してたかは分からないしなー…。
イオンがバチカル城から誘拐されるエピソードは、原作では具体的には語られていません。一体どうやって城内からイオンを連れ出したのか、イオンはどうして誘拐されちゃったのか疑問だったので、それを見ることができて興味深かったです。 イオンが早朝の散歩にアニスを同行させなかったのは、やっぱ、彼女を気遣ったからなんですよね。裏目に出ましたが。(アニスがいたら漆黒の翼に絶対負けなかったかなんて、分かりませんけど。やっぱり不意を突かれて倒されていたのかもしれない。…そうなっていたら、アニスが行方不明になってたんだろうか。怖ぇー) ノワールの声優さんが原作から変更されてました。新しい声優さんの声質が特徴ある感じだったので、原作でもノワールは然程出てこないというのに、結構な違和感を覚えました。あと二、三回聞いたら慣れるでしょうけど。
Aパート。 城の前に集合し、いよいよ出発となった親善大使御一行。原作ゲームでは任命されるとその日のうちに出発してて、誰に見送られることもないし母親に挨拶をするイベントすら用意されていない。ちょっと慌ただし過ぎるんですが、アニメ版ではその辺を何気にフォロー。出発は任命の翌日以降らしく感じられ、ルークに「出発の挨拶も済んだし」と言わせていて、更にジェイドとガイが、イオン・アニス・ナタリアが顔を見せなかったことを少し不審がる会話を交わしている。つまり、直前までそれなりの《見送り行事》が行われていたらしきことが窺えます。うんうん。 中央大海が 原作では、ティアはカイツールの宿泊施設まではヴァンに対して露骨に敵意と疑念を向けていたんですけど、ケセドニアで船から降りた時は、「ティアも、ルークを頼んだぞ」と言われて「あ……はい! 兄さん……」と素直に返しています。どうも、カイツール軍港襲撃とコーラル城へのイオン呼び出しが、六神将によってヴァンの意思とは無関係に行われたことで、兄への疑いが薄らいだらしいことが窺えます。もしかしたら連絡船内で何か話し合ったのかもしれない。で、今回分エピソードでも、原作ではヴァンが「では私は港へ行く。ティア、ルークを頼むぞ」と言う。 けれどもアニメ版はそこをスッキリと単純化させていて、兄妹は敵対したまま。ヴァンは妹には何も言わずに立ち去り、ティアは相変わらず兄を疑わしげに見つめて見送っていました。シンプルで分かり易いですね。
ところで、行路相談のシーンでオールドラントの地図が表示されてましたが、《南ルグニカ平野》と表記すべきところが《南ルグニカ大陸》になってました。この画像の原型と思われる『マ王』漫画版の方の地図ではちゃんと《平野》になってるんですけど。いつの間にか設定変更したのか、ただの間違いなのか。
ヴァンが立ち去り、ジェイドが手続きのために一時離れた後の、原作のギスギス(?)会話はカット。 ルーク「で、残ったのが冷血女と女嫌いか……」 考えてみればアニメ版では、ガイが女性恐怖症だということは描かれているものの、ガイ自身の「女性は大好きだ」という弁明は、まだ一度も語られてませんよね(笑)。アニメ版しか見てない人は、ガイが心底女性が嫌いなんだと思ってたりするのかも。(ガイ様薄幸伝説の新たな萌芽がここに…)
下の広場(それでもかなりの高台)に移動したところでアニスが登場。ルークに突進するアニスにぶつかられそうになったガイが慌てて飛び退くのは原作と同じですが、アニメ版では非常に大人しい動きと表情になってたので、ギャグになってませんでした。これは演出の問題か。残念。アニスがティアを押しのけてからルークの前に立ってもじもじしする、という動作は消滅。代わりにまっすぐルークに抱きついていました。 ここのギスギス会話はやっぱり削除されています。 アニス「逢いたかったですぅ♥ ……でもルーク様はいつもティアと一緒なんですね。……ずるいなぁ」 アニメ版のアニスはティアを牽制することはなく、ストレートにイオンが誘拐されたとルークに相談。次いで現れたジェイドが、「護衛の兵も二名、いなくなっているそうです。騒ぎを大きくしないよう、モースが口止めしているようですが」と情報の補完を行っていました。
画面切り替わり、郊外で馬車から漆黒の翼の自動車に乗り換えさせられているイオンの姿。自動車の中からアッシュが悠々と降りてくるんですが、自動車のドアが自動で開き、内蔵のステップまであったせいもあり、いかにも金持ちが高級車から降りてきたみたいに見えて、ちょっと面白かった。アッシュの顔を見たイオンがハッとしますが、視聴者に向けてはまだ隠されています。(OPでは初回から見せてますけど。)
場面はバチカルに戻る。イオンの誘拐を知ったルークは、即座に「追いかけようぜ!」と叫ぶ。この台詞、原作だとガイのでした。けれどジェイドが「無理です」と止め、「ご覧なさい」と目で示す。高台の広場から見下ろすと、街の出口の橋の向こうに ここ、街の出口の橋がすんごく短いのに驚きました。…いや、あれは出口なのかなぁ?? バチカルは昔に譜石が落ちて出来た深いクレーターの底から、天に向かって高く層状に作られている街で、周囲の空間がぽっかり空いていて、長い橋で外界の大地と繋いである。今回のアバンでイオンが朝の街を見下ろすシーンでは、街の周囲に開いた空隙と、そこに架けられた長い橋がちゃんと見えてます。……んじゃこのシーンでルークが見ている、《街を囲む壁とその外側を流れる川とそれを渡った向こうに見える絶壁》は何なんだろ? アレはクレーターの底、貧民街の景色なんでしょうか。貧民街は日が当たらず工場の煙に覆われている、というようなイメージがあったんですが、自然たっぷりで明るくて、悪い環境じゃなさそうです。 それはともかく。このシーン、原作だとアニスが台詞で、街の出口はシンクが封鎖していると説明するだけです。けれども、アニメでは上から街の出口を見下ろしました。この辺はやはりゲームとアニメの差と言うか。アニメの方が流石の映像演出力の高さですよね。
神託の盾騎士団が現代地球のそれとほぼ変わらない外見の軍用装甲車を使っています。 ……軍用装甲馬車じゃいけなかったのかなぁ。 漆黒の翼の自動車を見た時は、ナム孤島独自のオーバーテクノロジーかな、ディストの椅子やロボットみたいなもので、特異なものがちょっとあってもいいかと、まだ納得できていたんですが。正規軍に普通に配備されてるとは。…結局、アニメ版のオールドラントでは自動車が当たり前ってことなんですね。ルグニカ平野の戦争の時には戦車なんかも出てきそう。カイザーディストみたいなロボット兵器がうじゃうじゃ戦ってたりとか。ガンダムがいたりとか。 軍用装甲車を出すなら出すで、陸艦みたいにファンタジーぽいデザインにしてくれたらよかったのに。あまりに現実的過ぎる。非実用的であろうと黄金装飾で飾られてるとか、車輪じゃなくてホバーで走るとか。 なんかそのうち、無線はおろか携帯電話やテレビ放送、果てはインターネットまで普通に出てきそうな気がしてきました。まあ原作の時点で相当いい加減ではあるんですけど。文化技術水準の設定は。
ガイの提案で、廃工場を通り抜けて街の外に出ることに決定。 原作では、ルークが「ガイ、何でそんなに詳しいんだ?」と訊いて、ガイが誤魔化すように苦笑しながら、子供のころから行ったことのないところに行ってみたくなる性分なんだと言う描写があり、彼が以前から《いざという時にバチカルを脱出するためのルートを模索していた》らしいと感じられる……復讐者である伏線かと思われるんですが、それはカット。 この廃工場が元は兵器工場だったことは、原作ではずっと後、レプリカ編になってから起こせる《惑星譜術》イベントでガイの口から語られるのですが、アニメ版ではこの時点でしっかり説明。親切。
ナタリア登場。ここでかかってる音楽、前回ナタリアと再会した場面のものと同じですよね。ナタリアのテーマ曲なんでしょうか。可愛くて好き。 考えてみれば、ナタリアの先読みっぷりは凄いですね。ルークたちが普通の方法で街から出ないことまで知ってた訳ですから。原作では(ルークたちより先に来てたんではあるけど)「見つけましたわ」と言って現れるのが、アニメ版では「お待ちしておりましたわ」と言って出てくる。原作のナタリアは偶然ルークたちと遭遇出来たっぽくも思えるのですが(ナタリアはナタリアで、人目につかずに街の外に出てからルークたちを探して合流しようなんて考えてたのかも)、アニメ版のナタリアは彼らの会話を街で盗み聞きして先回りしたのかな。 ここでナタリアと交わす会話はやっぱり短縮・修正され、カット部分には相変わらず、ギスギスしたところやシビアなところが選ばれています。なのでナタリア、ティアの言動はマイルドになっていますが、アニスだけは修正された台詞もギスギスしています。原作のもっと先(ケセドニアでルークがアッシュに操られて倒れた時)の会話の前倒しっぽい。ということは、アニメ版にはそのエピソードがないんでしょうね。 (アニメ版) (原作)
ティアの冷たさは、原作ではかなり長いことかけて語られますし、その冷たさにも理由があり、彼女の内面に気付くことがルークの変化にも関わってくる。けれどもナタリアの高慢さは廃工場を出るまでに ほぼ消滅してしまう消化不良的な要素で、後に続く意味がない。ですから最初から省略してスッキリさせているのはいいなと思いました。アニメ版では第1話で既にナタリアを登場させていて、パターン的な高慢女ではない姿を見せちゃってますしね。でもその分、アニスがちょっと割を食っちゃったよーな。汚れ役を一身に引き受けることになっちゃったというか。
この後ナタリアが、城でのルークとヴァンの密談を聞いてしまったと語り、話を秘密にすることと引き換えに、ルークはやむなくナタリアの同行を許します。 密談について話そうとしたナタリアを、ルークが慌てて引っ張って仲間たちから遠ざける……のですが。原作では、それなりに離れた場所にまでパタパタパタ…と走って引っ張って行ったのに、アニメ版ではろくに離れませんでした。と言うか《ルークがナタリアを遠くへ引っ張っていく》カットが変じゃありません? 最初見たとき、「えええ、これ、会話の内容仲間たちに丸聞こえでしょ!?」とぎょっとしたのです。三歩くらいしか離れてないように見えたので。でも画面が切り替わると五メーターくらいは離れてました。うおっ瞬間移動。どっちにしても近いですが。 個人的に、 #ナタリア、少し寂しそうに の会話がカットされてなかったのは嬉しかったです。(ナタリアの台詞は原作から微妙に修正されてます。)また、この辺のナタリアの顔が、すんごく可愛いんだ♥ このシーン、原作未見の方の感想ブログに「師匠に言われたからじゃなくて、《自分》で決めろよ!」的なことが書かれてあったのが印象的でした。 にしても、アニメ版だとこの会話に繋げてルークが「……連れて行ったら黙ってるか?」と言うので、《ガイに黙っていてくれるか》という意味っぽく感じられちゃいますね。第1話でキムラスカ幼なじみ組の仲の良さが描かれていたので、色々響いてくるものがあります。「ガイにも話さないおつもりですの?」という言葉は、ナタリア自身の「わたくしに何も言わないで行くつもりでしたの?」という心の声も含んでいるでしょうから。
原作の時点から思ってましたが、《ルーク》を愛するナタリアが彼の亡命を容認するというのは少し意外な感じではありますよね。ナタリア自身、軟禁されて腐っていくルークの状態に思うところがあり、逃げ出したくなっても無理はない、自由にしてやりたいと思ってたのかな。また、幼い日に交わした《約束》を思い出してくれるならという条件を付けていますので、ナタリアとしては、それを思い出したらきっと自分の意思でキムラスカに帰ってきてくれる、と確信していたのでしょうか。 それと、ナタリアはルークを誘拐したのがヴァンだという衝撃の事実について、どう思っていたんでしょう? 怒りと恨みを感じないはずはないと思います。…もしかしたらヴァンはどこか怪しいと思って、でも今のルークの様子だと説得は難しいと思い、ヴァンと合流したらさり気に牽制しようと思ってたのかな。いやいや。ヴァンが言ったとおり誘拐前のルーク自身が望んでヴァンに付いて行ったなら、止めることは出来ない、王や公爵に伝えて妨害したら以前と同じようにルークが記憶喪失になるかもと恐れたのかな。 面に出ている部分ではケロッとしてるみたいに見えますけど、彼女なりに相当に悩んで結論出したんでしょうね。
ナタリアを仲間にすると、原作ではティアがルークを睨んで「……ルーク。見損なったわ」と言うのですが、呆れたように目を伏せての「あなたって人は」に変更されてました。そう言われたルークの台詞「親善大使は俺だ! 俺の言うことは絶対だ! いいな!」が「親善大使は、責任者は俺なんだ! 俺の言うことは絶対だ! 分かったな!」に微修正。ここで「責任者」という言葉を追加しているのは、アッシュと遭遇した後、ジェイドに行路の決定を求められ「なんで俺が、そんなこと決めなきゃなんねーんだよ」と反発すると「責任者は、あなたなのでしょう?」と皮肉に返されるシーンに結び付けているのだと思われます。流石、綺麗にまとめてあるなぁ。
この会話の直後から繋げて二頭の魔物との戦闘。なんと、ナタリアがあっという間に単独で倒してしまい、強さを見せつけます。爽快ですね。仲間たちはげんなり顔ながらナタリアの同行を容認。 ここの魔物はアニメオリジナルデザイン。後で出てくる蜘蛛型の中ボス魔物・アヴァドンのイメージを模したのか、六脚の大蜘蛛っぽい奴でした。姿や生態の感じが場にそぐっててよかった。
画面切り替わり、漆黒の翼の自動車でどこかへ連れられて行くイオンの姿。隣の席に座るアッシュの顔をそっと窺うと、アッシュは「お前にとっちゃ珍しい顔でもないだろう」と皮肉に笑う。それを聞いて(ルーク。やはり、あなたも……)と、苦しそうに心の中で呟くイオンなのでした。 イオンがルークがレプリカだと確信したのはバチカルから誘拐されてアッシュの顔を見た時……というのは、かつてゲーム発売後にシナリオライターインタビューで明かされたことのある情報。ここもしっかり補完されました。
場面は再び廃工場へ。ナタリアを連れていくことに困惑気味のガイと、「お守り役は大変でしょうねぇ。同情します」と笑うジェイド。二人が会話しているとナタリアが「何をこそこそ話していらっしゃるの?」と睨む。原作のフェイスチャットネタを拾っています。これまでの回がずっと、いかにも尺が足りませんとばかりにギチギチに詰め込められ切り捨てられていましたので、今回は凄くゆったりと廃工場のエピソードが描かれていて驚きました。 「おや。怒られてしまいましたねぇ」とジェイドに他人事のように笑われたガイが、眉を下げて彼を見たのが、なんか可愛かった♥♥
ルーク「うっせぇーなー。ペチャクチャ喋ってねぇで、さっさと行くぞ!」 偶然なだけかもしれませんが、何気に「俺に付いて来い」と、戦闘《一気にいくぞ》作戦時のルークのボイスネタが織り込まれております(笑)。
原作でのこの辺りのルークの心情には、大きな柱が二つあると思っています。一つは《ヴァン師匠を助けるため、キムラスカの飼い殺しから逃れるため、アクゼリュスで英雄にならなくちゃならない》という、暗い強迫観念のようなもの。もう一つは《俺は選ばれた英雄なんだ。みんなから認められて歴史に名を残す運命なんだ》という明るい思い上がり。二つの両極端な動機がミックスしていて、この時期のルークはかなり不安定です。 で。アニメ版ではヴァンがルーク誘拐犯として逮捕されるエピソードを廃し、《英雄にならなくちゃいけない》という強迫観念を減らしてあります。現時点のアニメ版のルークは、《俺は選ばれた英雄なんだ》という傲慢で明るい気持ちの方が前面に出ています。 これスッキリしてていいなぁと思いました。うん。ルークに甘いファンゴコロとしては、暗い動機にも少し触れてくれたらいいなぁとも思いますけど。でもテーマを明確化するには、ルークが傲慢から崩落を引き起こした、とスッパリ語ってしまう方がいいですよね。すごく綺麗に、分かり易くなってる。 ここでAパート終了です。
Bパートは、相変わらず廃工場を行く親善大使御一行の姿から。 またまたフェイスチャットネタを拾い、メインシナリオのエピソードと混ぜて再構成して語っています。前述したように、これまでの回に比べて格段の余裕で物語が進行していて、嬉しい反面、え、いいの? 尺は大丈夫なの? と心配になってみたり(苦笑)。 アニス「ああん、ルーク様ぁ怖ぁ〜い。ナタリアが苛めるよぅ」 このエピソードの元ネタの一つ、フェイスチャット『みんな仲良くしてよ……』は、果てなく続く道に疲れたルークとナタリアが口論を始め、そこにアニスが入り込んでルークの後ろに隠れ、三人でギャアギャア喧嘩していると、本気でキレたティアが「……あなたたち少しうるさいわ。黙りなさい」「だ・ま・り・な・さ・い」と凄んで全員を黙らせてしまうエピソードです。ティアにも露骨にイライラした顔を見せる未熟な面があり、かつ、ルークを巡る《女の戦い》に微妙に参加していることを示しています。 ところが。アニメ版のティアは全然そんな顔を見せません。ルークたち三人が言い争っている背景で、困ったように目を伏せて立っているくらい。 もう一つの元ネタ、廃工場脱出直前のメインシナリオでは、アニスがルークに抱きついて若さをアピールし、ナタリアが嫉妬して怒る。この騒ぎを少し離れた場所から見ながら、ティアは冷たく「……ルーク。あなたって最低だわ」と言います。女三人がルークを中心にして火花をビシビシ散らせているのです。…が。このティアの姿もアニメ版では消滅し、代わりに《怪談系が苦手》という性格が語られていたのでした。
ティアのこの性格は、原作だとシュレーの丘一回目のフェイスチャット、ロニール雪山一回目のメインシナリオ、《鎮魂の音盤》のサブイベント辺りで語られていたかと思いますが。そのうちのロニール雪山のエピソードを前倒しして下敷きにした感じでした。なんでここに? と思ってしまうのですが、逆に言うと、ここで語ってるということは、ロニール雪山の時には遊びネタは入れる余裕がないってことかな? 一人でビクビクオドオドし、不審に思ったジェイドに普通に名を呼ばれただけで悲鳴を上げ、アニスがお化けが出そうだとルークに甘えていると「出ないわよっ!」「で、出ないんだから。そんなもの、出ないんだから!」と可愛く怒鳴り、一人でスタスタ先へ行こうとして垂れ下がったコードに触れて再び悲鳴を上げる。 このシーンのティアの絵は非常に愛らしく描かれていて、コミカルかつ目が大きいです。確かに可愛い。とってもキュートだし、《お化け嫌い》は紛れもなく、原作の時点から存在するティアの性質です。ですが私は、釈然としないモヤモヤ感を味わってしまいました。 というのも、前述したように原作の廃工場エピソードではティアはクールな顔を崩さず終始ツンツン苛々していたのに、それを《無かったことにしたうえで》、原作をやや誇張した、愛らしいティアの姿を挿入していたからです。 そこまでしてティアを《優良ヒロイン》にしたいんだ。 と思ってしまったのでした。アニスやナタリアが身勝手なことを言ったり嫉妬したりする醜い面は残してあるのに、ティア一人だけ、飛び抜けて綺麗で罪のないヒロインとして描写してる。ちょっとズルいよなぁ、なんて。
私が、アニメ版でティアの冷たい言動の大半がカットされ、単純に《優しく可愛い女の子》の面ばかり強調されることに苛立ちを覚えてしまうのは、原作ゲームを最初にクリアしたばかりの頃、彼女の冷たさが好きではなかったからです。なんて偉そうなんだと思っていましたし、もっと分かり易くルークに優しいヒロインだったらこんなに苛々しなかったのにとも思っていました。 アニメ版にはその頃の私の理想を叶えたティアが登場しています。なのにまた苛々している。 何故って、その後原作を何周もクリアしたり周辺展開物に触れたりした結果、ティアがどうしてツンツンしていたのか、どんな内面を持っていたのかについて、自分なりに答えを見つけ、そこに愛着を感じるようになっていたからでした。欠点があるからこそ愛しい。好きだ。今更、ベタに優しくて可愛いだけの萌えっ娘ティアちゃんなんて出されても釈然としねー! ティアは顔は綺麗だし胸はメロンだけど頭固くて口うるさくて、可愛くヌェー女だからいいんだよ。それでたまに、なんか可愛いよなって思える瞬間があるから、こう、グッと来るっていうか。ティアも色んなことで苦しかったんだなって分かった時、すごく近く感じられるようになったっつーか…。 …ごめんなさい。猛烈にワガママです。
さて。廃工場でお化けを怖がるティアにモヤモヤした理由は、もう一つあります。 原作のティアが《お化け嫌い》の性格を披露する時って、ジェイドやナタリアが怪談話を始めた時なんですよね。ただ暗い所や不気味な所を歩くだけでは、ティアはビクビクしないです。 今回のこのアレンジエピソードに違和感を感じたのは、アニスが「お化けが出そう」と言い出す前から、ティアが暗い廃工場に怯えていたからです。ここを怖がるほど臆病なら、どうして夜のタタル渓谷を通り抜けた時や不気味なコーラル城に入った時は全く平気だったんですか。 ティアはあくまで《怪談》が苦手なのであって、ダンジョンも暗いというだけでは怖がらないと思うのですよ。地底の アニスが「お化けが出そう」と言ってから急にビクビクしだして、「お化けなんて馬鹿馬鹿しい。先へ進みましょう」なんて冷徹を装って言って、でもぼろを出して悲鳴をあげたりして、もしかして怖いのと指摘されて、そこでやっと「そ、そんなことないわ! 怖くなんてないんだから!」なんて度を超えて喚いちゃってますますぼろを出してしまう…なんてのがティアの行動パターンで可愛さじゃないかなぁ、なんて。…他の人には「何が違うの?」と思われそうですね。(^_^;)
私、原作のバチカル城初回のメイド服イベント《着てみたいな》も苦手なんです。まだ皆とさほど打ち解けてなかった頃のティアが急に「ち、違うわ! ただ可愛い制服だなって……。べ、別に着てみたい訳じゃないの! に、似合わないし、私っ!」「違うわ! 違うの! だって似合わないもの! だから違うの」と一人で延々と騒ぎだす奴。世間の殆どの人は「ティア可愛い〜」とモエモエするんだと思うんですが、なにこれティアが壊れた、としか思えんかった…。 『マ王』漫画版に、コーラル城に誘拐されたルークを探しに行ったとき、ガイがフォミクリー機器を発見してはしゃいで駆け寄るというアレンジ描写がありました。ガイが音機関オタクだという設定を踏まえれば理に適っている…と言えるんですが、彼はルークが誘拐されて安否が分からないって時に自分の趣味に大はしゃぎするような性格なのかなぁと疑問を感じたことがありまして、それと近い感じ。 ティアは確かに《お化け嫌い》なんですが、それを語るタイミングも描写もちょっとズレてるんじゃないか。そして、ヒロイン補正が強烈過ぎてあざといなぁと思ったのでした。
ティアがお化けに怯えるエピソードの次に、ナタリアの内面に話が飛びます。 周囲のあれやこれやに興味津々でしつこく質問してくるミュウに苛立ったルークは、ミュウを掴んでぶんぶん振り回す。ゲームでもお馴染みの動作が出ました(笑)。ティアに咎められても悪びれず「ふんっ、こいつウゼェんだよ。チョコマカと!」なんて言っている、あまりにも幼稚なルークの姿を見て、ナタリアは眉を曇らせ、過去の《ルーク》に思いを馳せる。 ここで、記憶喪失前の《ルーク》が《指切り》が嫌いだったということを具体的な回想イメージで説明していたのが分かり易くて良かったです。バチカルの郊外で夕陽を見ながら二人の将来を《約束》した時にナタリアが指切りしようとしたら拒否された、という形で語られてました。原作だと幼少期にファブレ公爵にくっついてベルケンドに視察に行った時、大人になったらまた一緒に来ましょうとナタリアが約束しようとしたら、父上は約束を守ったことがない約束なんて意味がないと言って拒んだ、という形で語られていましたが。 過去の回想は、誘拐から帰って来たルークに、周囲の反対を押し切ってナタリアが会いに行った場面に飛ぶ。ナタリアの衣装はエプロンドレス風のオリジナルデザインです。(原作EDで幼少ナタリアが着ていた、カボチャパンツの可愛いドレスも、そのうちアニメで見たいなぁ。)ところがルークはナタリアに怯えてベッドの上で震えているばかりで、名前を呼ぶことさえしてくれませんでした。…ナタリアを見知らぬ他人としてしか認識できなかったのです。それにショックを受けて部屋で泣き明かしたこともあったけれど、ナタリアは諦めずに立ち上がり、婚約の解消もせず、ルークのリハビリに献身します。けれどもいささか性急で強引なやり方に苛立ったルークは「……うぜぇ、ナタリア」「ナタリア、うぜぇ! うぜぇ、ナタリア!」と言葉足らずに言って突き飛ばす。突き飛ばしてからハッとして後悔した様子が見えたのが愛しかった。けれどもナタリアはむしろ感動して涙を流したのでした。記憶喪失以来、初めてルークが名前を呼んでくれたから…。 「名前を。わたくしの名前を呼んでくれた……。大丈夫。大丈夫です。あなたはわたくしが、絶対に立ち直らせてみせます。わたくしの、この愛にかけて!」 ナタリアと《ルーク》の過去。誰も悪くないのに傷つけ合ってしまった、哀しい問題だったんだなぁと改めて思いました。ナタリアはレプリカルークを誘拐前のルークと同一人物だと思っているから、記憶を取り戻させることが最善と考えてリハビリに献身した。レプリカルーク自身、自分を記憶喪失のルークだと思っていたから、記憶を取り戻したいと思っていたでしょう。コーラル城に行った時も「何か思い出すかもしれない」と言ってましたし。でも実は別人なので思い出せないし、期待されているようにも出来ない。だからナタリアの愛は彼にとって重荷になってしまい、「ウゼェ」と拒絶したけれど、一方で罪悪感も感じている。「名前を呼んでくれた」と涙するナタリアを呆然と見つめていました。ナタリアが《昔の自分》を本当に好きなんだということを強く感じていただろうと思います。 ナタリアにこんなにも愛されているのに、その愛が自分をすり抜けているように感じる空虚感。きっと、母親やガイや屋敷の人たちにも、程度の大小はあれど、似たような感覚を抱いていたんじゃないのかな。愛情は確かにあったのに。 第1話で、いつか約束を思い出して欲しいと言った時のナタリアが、原作や今回の過去回想に比べて押しが弱くマイルドな感じでしたので、七年間をレプリカルークと過ごすうち、ナタリア自身、少し過去へのこだわりも薄れつつあったのかもしれませんけど。でもやっぱり、ナタリアは《約束をくれたルーク》を忘れる事が出来ないんですね。 んで、レプリカルークがまだ片言喋りの頃から「うぜぇ」と言ってたのが笑えた(笑)。やっぱこれ、ガイのせいですよね。言葉が分かんないと思ってルークの世話しながらウゼーウゼーと本音を言ってたんでしょう。 ナタリアの気持ちを敏感過ぎるほど敏感に察して、ジェイドが「幼なじみで婚約者のあなたから見ても、彼の記憶障害はひどいものですか?」と尋ねてきます。笑みを作って「心配はしておりません。必ず元のルークに戻してみせます」と答えるナタリア。「あの約束も、必ず……」と。ジェイドはそんな彼女をじっと見つめる。
決意を新たにすることで急激にアクゼリュスへ向かう意欲を増し、一人、足を速めだすナタリア。そこに大蜘蛛型魔物・アヴァドン出現。原作では廃油の粘膜に覆われて出現し、戦ううちにそれが流れ落ちて蜘蛛の姿を現しますが、アニメ版では最初から蜘蛛姿。で、原作とはカラーリングが異なっていました。原作では譜術を使ったり脚で殴ったりしてくるんですが、アニメでは口からなんか吐いてた。 アヴァドンを男性陣が一斉攻撃して倒す。ジェイドとガイはそれぞれ左右に避けて、廃工場の狭さを利用して跳んでから攻撃してましたが、ルークは真正面からまっすぐ駆けて行って攻撃。この先、ルークの戦闘スタイルが変わっていくのか、このまま斬り込み隊長役を貫くのか、すんごく楽しみ! そして、戦闘終了後に《コンタミネーション1》のサブイベントから、コンタミネーションの説明に関する部分のみ採った会話がなされました。よしっ。これを説明したってことは、
アヴァドンに襲われたナタリアをティアが突き飛ばして救い、戦闘終了後にナタリアがティアにお礼を言って少し仲良くなる…という流れは原作まま。せっかくいい雰囲気になったのをルークが暴言吐いてぶち壊し、ティアがキッと睨むのも。 しかしアニメ版では、初対面時にルークとティアの仲を疑ったナタリアが嫉妬を剥き出しにしたり「無愛想な と言うか、原作とはニュアンスが変わってて、ナタリアを傷つける言葉ばかり吐くルークに、ナタリアは消沈し、ティアは義憤に駆られる、って感じになってました。ここで「ルークって酷い奴だな」と思った人、結構いそうです。
ようやく廃工場からの出口発見。原作ではガイが見つけましたがアニメ版では好奇心旺盛なミュウのお手柄でした。 外は雨で、漆黒の翼の自動車から降りたイオンが、神託の盾の黒い陸艦に移乗させられているところ。 にしても、漆黒の翼の自動車は、相当に遠回りしたってことなんですかね。遅れて徒歩で出発したルークたちに追いつかれるとは。原作ではイオンがどのようにしてあの場に連れて行かれたのか語られていないので逆に不思議に見えないのですが、アニメ版ではしっかり語られていたので、ちょっと不思議に思えました。 廃工場の非常口の梯子を真っ先に降りて辺りを見回したルークは、走り去る漆黒の翼の自動車と、黒い陸艦の その瞬間、何とも言えない《嫌な不安感》を感じる。特殊な心象画面で表現されてました。で、それから剣を抜いて「イオンを、返せ〜!」と叫んで駆け出す。 うーん。このアレンジ、テンポを悪くしちゃってると思うんですけど。《嫌な不安感》を感じる心理場面は、ここに入れない方が良かったと思いました。その直後にイオンのために剣を抜いて駆け出すのが、イマイチ繋がってないと言うかぶつ切りに感じられると言うか。
この辺は原作でもアニメムービーですが、結構違う感じに仕上がっていました。 原作ではアッシュもイオンもまだ地上にいて、そこにルークが剣を抜いて駆け込んで何度かアッシュと斬り結んでから、剣を噛み合わせて膠着状態になった時に初めて自分と同じ顔だと気付く。ルーク自身は勿論、ナタリア、ティア、アニスはそれぞれに驚いて呆然とし、ガイはルークの名を呼んで駆け寄って行く。アッシュの傍にいたシンクが「アッシュ! 今はイオンが優先だ!」と釘を刺し、アッシュはルークを睨んで「いいご身分だな! ちゃらちゃら女を引き連れやがって」と言い捨てると、イオンを陸艦に乗せて悠々と立ち去る。その後でジェイドがぽつりと「ところで……イオン様が連れて行かれましたが」と突っ込み、アニスがようやく我に返って「……あああ!! しまったーっ!」と叫ぶという流れです。 対してアニメ版では、アッシュとイオンは既に陸艦の中に入りかけていて、ルークは つまりアニメ版では、「どうしてアニスはイオンの方へ向かわなかったか」「どうして駆け寄ったはずのガイが離れた位置で立ち止まっていたのか」という点をフォローして、かつ、ナタリアとアッシュの関係を、かなりはっきりと示唆しています。二人が見つめ合うシーンを挿入しているのもそうですが、「ちゃらちゃら女を引き連れやがって」を「ちゃらちゃら女を連れやがって」に変えて、アッシュがナタリアを連れたルークに嫉妬したことを明確化してますし。 原作のナタリアは、この時点では特に何かに気づいた様子は見せません。これは、ここでナタリアをクローズアップしてしまうと、アッシュの正体がかなり簡単にプレイヤーに分かってしまうから、わざと誤魔化してあるんだと思うんですが。アニメ版では逆に強調したというわけです。実際、原作未見の方々の感想ブログを見て回ると、大半の方がここでアッシュの正体に気付いておられました。
アッシュが立ち去った後、ルークは精神的動揺からその場にうずくまって吐いてしまう。原作ではここ、ぼかしてあって、プレイ画面だけだと吐いたのか何なのか分かりませんが、あらすじモードの《ルークの日記》を読むと吐いたと明記してあります。で。アニメ版では口を押さえて「ゲェッ」と苦しげにえずく様子は描かれましたが、やっぱり吐瀉はありませんでした。ここがどうなるか注目してた分ちょっと残念ですが仕方ないかな。流血表現以上に忌避されますよね。吐瀉や排泄は。
さて。原作だと、ルークが吐いている間、みんな彼の背後に立っているだけで、アッシュの正体、イオンの捜索、今後の予定の方に関心を奪われています。ところが! アニメ版だと、ジェイド除く全員が急いでルークに駆け寄って、ガイとミュウは心配そうに覗き込んでいました。おおおっ! これは素直に嬉しかったです。ありがとうみんな。ルークを心配してくれてありがとうっ。 しかしジェイドは構わずに、責任者たるルークに今後の行動の決断を迫る。実際、早く先へ進まなければならないのですし、ついさっきまで「親善大使は、責任者は俺なんだ! 俺の言うことは絶対だ!」「俺は親善大使なんだ。お前ら、黙って俺に付いて来い!」なんてルーク自身が散々偉そうに言ってたんですから、こう言われちゃっても仕方がない。原作では他の仲間たちも口々にルークに決断を迫ってきます。でもアニメではジェイド以外は誰も過酷な態度は取りませんでした。ティアとガイに至っては「大佐!」「なにもこんな時に!」と怒るまでしてくれて。甘いけど、でも本当に嬉しかった。二人ともありがとぉー!! 仕事の責任というものを初めて実感させられつつ、ルークは陸路でイオンを追うことを決断。
場面はザオ砂漠に飛びます。サイトに頂いたコメントで指摘している方がおられましたが、ホント、折角アニメなんですから、砂漠を越える時にはフードくらい被っても良かったかもですね。ロニール雪山の時は幾らなんでも防寒着を着せるだろうと思いたい。 砂漠を行く途中で唐突にルークに頭痛が起こり、アッシュの声が聞こえてくる。《便利連絡網》は、対峙するアッシュとルークという心象イメージで表現されるみたいです。原作ではルークの目にはアッシュの姿なんて見えませんが、アニメ版だとアッシュが目の前に立ってるように見えるらしい。頭痛そうにしながらアッシュに向かって話しかけ手を差し伸ばしたので、傍から見るとかなりアブナイ人に見えました。(^_^;) ところで、このシーンでも頭痛でうずくまったルークの周囲に、仲間たちが慌てて駆け寄って心配そうに様子を窺ってくれます。立ち位置は廃工場出口の時とほぼ同じで、ルークのすぐ傍にガイは片膝をつきミュウは浮かんで覗き込み、ティアとナタリアは後ろに立って心配そうにして、アニスはやや前側に回って不安そうに様子を窺い、ジェイドは少し離れてルークの斜め後ろにいます。駆け寄る順番も、ガイが一番早く動き、ミュウ、ティア、ナタリアがほぼ同時、一拍遅れてアニスとジェイドという辺りが、現時点でのルークと各仲間の関係性を感じさせて芸が細かい。体調を崩した際に周囲の人に心配されるなんて当たり前の情景のはずなんですが、原作はこの辺の演出がちょっと弱くて気になってたんで、いやに嬉しかったのでした。(原作でのこの場面に相当するオアシスの村では、ティアがルークの傍に座って優しく声をかけるものの、その他のメンバーはやや遠巻きに取り囲んで棒のように突っ立っています。) 凄く細かいことですが、ここでアッシュが言う台詞。原作だと「応えろ! グズ!」「おまえには来られないだろうな グズのおぼっちゃん」なんですが、アニメ版だと「応えろ! 屑!」「分かったらさっさと来るんだな。屑のおぼっちゃん」になってました。原作のここ、アッシュが「グズ」と言うのが珍しくて逆に印象深かったんですが、アニメ版では「屑」に直しちゃいましたね(笑)。やっぱアッシュであるからには「屑」と言わせるべきなのかな。それと「どこをほっつき歩いてんだ、アホが」なんかのギスギス台詞もカットされてます。アッシュもマイルド補正。それでも他人を屑呼ばわりのキツさですが。
イオンはザオ遺跡にいる。アッシュからの言葉を仲間たちに伝えるルーク。一方、イオンを乗せた神託の盾の陸艦はザオ遺跡に滑り込んでいく。そこには、グリフィンを使って先着していたラルゴが待ち受けている。第3話でジェイドに刺し殺されたかに思えていたラルゴは、実は生きていたのだった…と、視聴者に知らしめたところで次回へ続く、でした。 アッシュが、何故か走っている陸艦の舳先の、すげー高い所に一人で立ってたんですが、なんだあれ(笑)。落ちますよ。アッシュは高いところが好き、という私の中の認識が、またも更新されました。
今回の総論。
ではまた次回。 |