注意!

 

DRAMA CD VOL.1 TALES OF THE ABYSS

脚本:金月龍之介/音楽:関美奈子/演出:鳥島和也/スペシャルサンクス:実弥島巧/フロンティアワークス

『アビス』ドラマCD第一巻の感想です。


…脚本はやっぱり金月さんですね。テイルズシリーズの商業二次シナリオを一手に引き受けているベテランさん。

私もオタクですので、今まで何本かドラマCDだのドラマカセットだのを買ったことはあるんですが、「すすす…すんばらしぃい!!」と思ったことって、あまりありません。
なので、正直全く期待はしていませんでした。原作のストーリーを全四巻で追うということでしたし。

既に商業ノベライズが二本もあるのに、また同じ話をなぞった別バージョンか…。聞いても、あそこが原作と違うここの解釈に引っかかると、そんなどうでもいいことばかり気になって素直に楽しめないに違いない。(←オタクにありがちな症状です。)しかも、お試しで買うには小説より遥かに高価い! と。

しかし、ホドの崩落から物語が始まる、というのをWEB上のレビューで読んで、ゲームで語られてなかったエピソードが少しでも出るんなら知りたいなぁーと思いました。
きっとガッカリすることになるんだ…でも一巻くらい買ってみてもいいよね、と思いつつ購入、聞いてみたのですが…。

おお!?
これ、面白いよ!?

物語の大枠だけが原作と同じで、中に詰まっている実際のエピソードはほぼ完全にオリジナルで(部分的に原作と同じ台詞があるくらい)、ですから原作との差異が気になることが全くありませんでした。ここまで破壊と再構成をやられると、かえってスガスガしい。(雰囲気は原作から かけ離れてませんし。)

そして思いました。
このドラマの主人公は勿論ルークなんですが、サブ主人公って、ガイ?

いやだって。ホド崩落時の幼少ガイラルディアから物語が始まって、序盤の時点でガイが復讐者のガイラルディアだということがリスナーには明かされちゃってるんです。
(ついでに言うと、ヴァン師匠せんせいがガイの仲間で、何か企んでルークに接していることも、最初から全く隠されていない。なのでヴァンに突っかかるティアは完璧「正義の人」に見えます。何も知らないルークの道化振りが浮き立ち、リスナーの同情を強く誘う…。)

ともあれ、これなら続巻も買っても楽しめそうだ、と思いました。

とゆーか。
ガイルクコンビ好きの方は すっげー楽しめると思います(笑)。
私はニヤニヤ笑いっぱなしでした。
ガイ兄さんがぐるぐるしてて薄暗くてかと思えば爽やかでお間抜けで、「華麗に参上」って言う場面が二回もあるし、なんか愉快でたまらんかったです。

ガイ師匠せんせい、師匠。……お世話係の俺としちゃ、妬かなきゃいけないところかねぇ……」←とかいうことを、ヴァンと嬉々として稽古するルークを眺めながら呟いてたら、ティアに…。アホぅ。

とか

ナタリア「あなたが付いていながら……。情けないことですわね、ガイ」
ガイ「弁解の言葉もありません」
ナタリア「あなたはルークの世話係であると同時に、友であり、保護者でもあるはず。どう責任を……と、言いたいところですが、その様子を見たら叱責も出来ませんわね。――大丈夫? あなたひどい顔をしていますわよ」
ガイ「……」

とか。くそぅ。腐女子リスナーゴコロをくすぐるつもりだな!?
まんまと乗せられてニヤッとしちゃいましたよ。
この後のナタリアとのやり取りも可愛くて面白かったです。原作を見た時に想像していた通り、ナタリアがガイにくっついてルーク探索に行くつもりでいて、でもガイに置いて行かれた…と語られてて。逃げるガイにつかつか歩み寄って脅すナタリアが素敵でした(笑)。


あと、強い女戦士ティアが好きな人は萌え燃え出来るでしょう。
ラルゴと死闘を繰り広げたり。ドカーン! バシィッ! 激しい効果音の合間に技の名前を叫び、ハードな悲鳴あげまくり。なんか違う話みたいです。最初からラルゴと顔見知り。
原作以上の譜力を持ってて、譜歌でタルタロス艦内のほぼ全ての人間と魔物を一度に眠らせちゃうし。ジェイドも言う。

「ユリアの譜歌……。第七音譜術士セブンスフォニマーになら誰にでも詠える歌と言う訳ではない。そこには、更なる特別な素養が求められる。
 ――ティア・グランツ。第七音譜術士であり、ユリアの譜歌の歌い手であり、神託の盾オラクル騎士団、モース大詠師の部下であり、そして かの名高きヴァン・グランツ謡将の妹でもある。……随分と複雑なカードが回ってきたものですねぇ」

原作以上に重要人物的扱いですね。
そもそも、不意打ちながら、冒頭でいきなりガイを倒してくれますんで「エェェ!?」と思いました。

ガイファンとしてはショック。ガイ兄さんティアより弱いのか!?
しかし後にルークを庇ったティアに大怪我をさせたシンクに立ち向かって、(ルークを護るために)戦ったときは余裕過ぎる戦いぶりで大変カッコよかった。マジにサブ主人公はガイでは? と思える感じでした。(カースロットでうっかり穢されてましたけど。うかつだね!)

シンク「死ねよ」
ガイ「待ちな! ――ガイ様華麗に参上」
ルーク「ガイ!」
ガイ「おい、そこの仮面被ったの。来な! 俺が相手だ。大切な坊ちゃんを殺されちゃ困るんでね」
シンク「大切……? ふっ、ふふ。――何も知らないくせに!」
#攻防。「なんの!」「おっと!」とガイがシンクの攻撃を避ける。
シンク「ボクの攻撃を避けるとは……。貴様、何者だ!」
ガイ「ただのお世話係だよ」
シンク「くそっ。双撞掌底破!」
ガイ「弧月閃!」
シンク「うぁっ!」
ガイ「真空破斬!」
シンク「ぐぁっ! ……うぅ。くそ!」
ガイ「続けるかい?」
シンク「――食らえ!」
ガイ「おっと! ――チッ。掠っちまったか」
シンク「ハハ。穢れたな」
ガイ「よせよせ。負け惜しみは見苦しいぜ」←気付いてません。アホぅ。
シンク「また会おう」

巻末の初回特典ボーナストラックに、ルーク役とティア役の声優さんの対談が入ってるんですけど、そこでお二方共に「ゲームの収録の時は先の展開が分からなかったので感情をどこまで出していいかセーブすればいいのか判断しづらかった。でも今回のドラマ収録では、最後まで物語が分かっているのでやり易い」と語っておられまして。
ティア役の声優さんが仰るには、ゲームの時は序盤の段階からついついルークに対する声が優しくなってしまっていたが、今回はどのあたりの展開までは厳しくルークに対応すべきか分かっているから楽、と。
実際、このドラマ第一巻のティアは、原作ゲームよりずっとハードな女戦士の印象です。声が実に厳しい。ルークに対しても一線引くどころか堅固な壁を挟んで相対してる感じ。

ティア「兄さん……。――!」
ルーク「こんなところにいやがったのか。おい、ティア。話がある」
ティア「兄のことなら、あなたに話す事は何もないわ」
ルーク「なにぃ?」
ティア「私と兄の問題よ。あなたには関係ない」
ルーク「あるさ」
ティア「っ!」
ルーク「俺はヴァン師匠の一番弟子だ。師匠が命を狙われてるってのに、関係ねぇってそんなのあるか! 事と次第によっちゃ、師匠の妹だから、女だからって容赦しねぇぞ」
ティア「容赦しない……」
ルーク「そうだ。容赦しね……ぇ!?」
ティア「フンっ!!」
ルーク「うわぁあああ!? ――あったたたたた」
ティア「……安全な部屋の中で大切に大切に育てられたお坊っちゃん。剣術ごっこをかじっただけのあなたに、誰かを傷つけるということの意味なんて分かるはずがない。容赦なんて言葉を軽々しく使わないで」
ルーク「……っ」
ティア「こんなことになったのも私の責任だわ。申し訳ないと思ってる。だから命に代えてもあなたを必ず家に送り届けます。でも馴れ合うつもりはないわ。立ち入らないで!」

以上の台詞を、すっごいキツい、押し殺した声で喋るのですよ。こえぇえええ。


対してルークは、最初からどこかに寂しさがある感じ。
なんとなくですが、ずーっと、寂寥感漂うと言うか、孤独な感じがします。おバカなんだけど。(原作で強調されていた、無気力な部分は特に語られていない感じでした。「俺には関係ない」と物事から逃げようとする狡さと小心さは強くありましたが。)
軟禁されているルークに鳥かごの中の鳥を暗示して、ルークが飛び去る鳥(空)を眺める姿を描いて、彼の寂しさと苦しみを感じさせる…という、二次創作小説でもよく見かける手法が使われていて、これまたニヤッとしました。
しかも、その手法が冒頭と結末の二回出てくる。冒頭は現在のルーク。結末に出てくるのは子供の頃のルーク。子供ルークの側にはガイが付いてる。サンドイッチ式に同じシチュエーションを見せることでルークの孤独をリスナーに強調してます。

『七年間、俺はずっとあの屋敷の中で暮らしてきた。人形みたいに護られて、何もすることがなくて。空を飛ぶ鳥を見て、いつも思ってた。俺もいつかは広い世界に――塀の向こうに飛び立つんだって。俺の人生はこの鳥かごの中にはない。本当の人生は、外の世界に出た瞬間から始まるんだって。……なのに』

で。
ルークがどうしてあんなにヴァンに傾倒したのか、って理由。
原作ゲームではサラッと流されちゃってて、ざっとプレイしただけだと良く分からない感じなんですよね。(演出に問題があると思います)
私見なのですが、ルークがヴァンに「私にはお前が必要なんだ」と言われるシーンを強調して、「必要、価値」というキーワードを軸にすべきなのかなぁと。ファミ通版小説でも(一巻目では)そうしてましたよね。スーパーダッシュ版小説はスルーしてましたけど。
そんで、このドラマCDは…。
おお! 強調してるなぁ。

ルーク「師匠……。俺、どうすればいいんだ。俺……外に出ればなんかいいことあるって。でも……外の世界は、殺し合いの世界で、どこにも……俺の居場所なんかなかった。俺は……足手まといの邪魔者で、誰からも必要とされなくて! しかも、おかしな声まで聞こえてきて! 俺! もう俺っ……うぅ……」
ヴァン「ルーク。それでもお前には、私がいる。……だろう?」
ルーク師匠せんせい……! 師匠ぇええー!!」

うはぁああ。濃い。濃いなぁあ! 抱きついてるしよぅ!

ガイ「おいルーク、どうした?」←ものすごい暢気な声
アニス「美味しいシーフードのランチ、ご一緒しませんかぁ♥」
ヴァン「今の話は誰にも言ってはならんぞ。ジェイドはマルクトの軍人、ガイはファブレ公爵の使用人。ローレライ教団が乱れている以上、ティアもアニスもイオン様も、完全には信用できん」
ルーク「……信じられるのは師匠だけ……」
ヴァン「そうだ」
ルーク「俺と師匠だけの秘密ってことだよな」
ヴァン「ああ、ルーク。信じろ。私だけは、お前の味方だ」
ルーク「はい、師匠」
ガイ「ルーク!」←やっぱり暢気な声
ルーク「分かった分かった。今行く!」
#駆け去るルーク
ヴァン「……フフフフ。容易いものだ。愚かなレプリカルーク」

…リスナー全員が「あぁあああ! ルーク騙されてる、騙されてるよ!」と叫ぶだろう展開ですね。
この先もルークにどっぷり感情移入して聴けそうです。なんか続きが楽しみになってきましたよ!



その他、気になったシーン。

マリィ「いいですね。お前はガルディオス家の跡継ぎとして生き残らねばなりません」
ガイ「姉上!」
マリィ「黙ってお聞きなさい。このタンスの中に隠れていれば大丈夫」
ガイ「いやです、私も戦います!」
マリィ「あなたは人を殺せるような男ではありません」
ガイ「そんな……!」
マリィ「でもね、私はそれを誇りに思うわ。ガイラルディア」
ガイ「姉上……」

冒頭のホド滅亡のシーンです。
マリィ姉さんが「あなたは人を殺せるような男ではありません」と言うのに、なんかハッとさせられました。
原作では、マリィはガイが弱虫なのを常に叱咤していたと語られてるんですが、ここではガイの方が戦おうとして、マリィがそれを止める。ガイの優しい心根を認めているんだなー。やっぱり、ガイが復讐に囚われるなんて、望んでなかったんだろうな、と。

兵士「音機関、全て異常なし」
兵士「進路に障害物、敵影の反応無し」
兵士「タルタロス、C6地点を通過しました。国境には翌朝に到着の予定」
兵士「師団長、お言葉を」
ジェイド「ごきげんです♥」
兵士「このまま前進します」←全く動じていない
ジェイド「ああそうだ。お茶を用意しておくように」
兵士「お、お茶でありますか?」←動揺してる

ジェイドの初登場シーン。
個人的に、ジェイドは真面目にすべき時は真面目にする印象だったので、「ごきげんです」にはウグッ、と思いました。そんだけ。

ジェイド「さて、吉と出るか凶と出るか。――いや。凶でも吉にしますがね」

ティアというカードが手元に転がり込んで、さてどうなるか、と呟くジェイド。
…大佐って、「凶でも吉にする」とか思う人だったのね。(なんか微妙に意外)

アッシュ『屑。お前の力を教えてやる。お前がどんなに危険な存在なのか……』
ルーク「何を言ってやがる。うぁっ……。体が……、体が勝手に動く!」
アッシュ『分からせてやる。お前が存在してはいけない人間だって事を』
ルーク「お前が、俺を操ってるのか? お前、何なんだ! 幻聴じゃないのか! ――なんだよこれ……」
アッシュ『これがお前の力……。屑! お前はこの力で、世界に災いを招くんだよ!』

アッシュがルークに初めて語りかけてくるシーン。
「存在してはいけない人間」「お前はこの力で、世界に災いを招く」、か…。
原作とは設定が変わってるっぽいですね。
そもそも、ルークが元々ローレライに語りかけられてて頭痛を起こしてたという設定が消えてるようですし。


それから、多分ゲーム内で出てなかった情報。
・ピオニー九世の父親はカール五世
・ホドの崩落をきっかけにホド戦争開戦
*ゲームや攻略本に出ていた情報では、国境の小競り合いから戦争が始まったとされていたので、私は今まで、国境紛争→その争いの中でホド崩落→戦争激化、拡大。後にこの戦い全体をホド戦争と呼んだ、ということかと理解しちゃってましたが。違った? それともドラマオリジナル設定?


あと、注意すべき点。
・イオン/シンクの声優さんが違う。
・ミュウが登場していない。

 



 

DRAMA CD VOL.2 TALES OF THE ABYSS

脚本:金月龍之介/音楽:関美奈子/演出:鳥島和也/スペシャルサンクス:実弥島巧/フロンティアワークス

『アビス』ドラマCD第二巻です。

前巻を買った地元の店に何故か入荷しなかったので、入手するのに数日かかってしまいました。(都会までえっちらおっちら買いに行った)
その上で、数日聴かずに放置していたり。何故かと言うと、他サイトさんの熱烈大絶賛なレビューを読んだら、聴くのが楽しみになると同時に、怖くなったからです。……いや聴いたら私 悶死するんじゃないかしらんとか。あるいは、こんだけ期待して、万が一期待外れだったらガッカリ過ぎるとか(苦笑)。
しかし、いくら食べるのが勿体無いくらい美味しそうなおやつとはいえ、いつまでも取っておいても腐るだけだなーと思い直しまして、ついに聴きました。

うん、面白かったです。
しかし、内容の感想に行く前に、ちょっと枝葉な雑感をば。

まずは、ジャケットやライナーノーツのイラストを見て思ったこと。
ジェイドはアニスと。ガイはナタリアと。必ずこのペアで描かれなければならないという決まりか何かあるのでしょうか?
スーパーダッシュ文庫版小説のカバーイラストと大差なくて詰まんないです…。
どーせなら、アニスはイオン様とペアがいいよぅ。そんで、その背後でジェイドが見守ってくれてればいーじゃん。ガイはティアとペアとか、あるいは短髪ルークも入れてトリオなんかでいーな。
変に組み合わせのパターンを固定しなくてもいいのに、と思いました。

次に、音楽のこと。
ドラマCDもしくはラジオドラマ等の音楽って、パッとしないという印象でした。
スタッフの方は一生懸命作っておられるのでしょうから、こんなことを言うのは無情かもしれませんが、今まで色々と聞いてきて、「ドラマの内容にピッタリだ」とか「この音楽がドラマを盛り上げた」だとか思えた……そのシーンを思い返す時に音楽まで一緒に頭の中に再生されてくることって、殆どなくて。効果音も、いい加減だなぁと思うことが多かったのです。
しかし、この『アビス』ドラマCDの音楽って結構いいなぁと、一巻の時から思っていました。(恐らく使用料の問題で)ゲームのBGMが使われないのは残念なのですが、このドラマオリジナルの音楽も素敵だし、使い方も上手いなぁと。
ただ、譜歌はどうするのかなぁと、ちょっと気になっていたり。一巻では譜歌を歌うシーンでも言葉で「譜歌を歌った」と説明するだけで、二巻では譜歌を歌うシーンそのものがありませんでしたが。原作ではヴァンとの最終決戦と、エピローグの『ルーク』の帰還シーンに譜歌は欠かせません。最終四巻だけ使用料を払って譜歌を使うのか。それとも、譜歌がローレライに対して重要な意味を持つという設定そのものが削られて、それらのエピソードに譜歌は使われないのか。(そーいや、原作では今巻収録分の辺りで大譜歌とローレライの関係が説明されるのに、なかったですしね。)

ローレライがルークに語りかけてくる設定がなくなっていることも含め、どうも、このドラマCDでは「ローレライとユリアの譜歌」は話の根幹から外されてるっぽい。……つまり、ヴァンがローレライを取り込んで復活するエピソードや、ローレライが閉じ込められたために障気が再発生するエピソード自体が成り立ちませんので、展開に相当な改変がかかるものと予想しますが、どうでしょうか。


さて、中身の感想です。
原作ゲームより明るい印象を受けました。
中途の部分は痛い……というか、「うぉおっ、やめてくれぇ、ズキズキするっ!」という感じでしたし、実は聴いてて何度も泣けちゃったほどなんですが。話の締め方が「俺は変わる。見守ってくれる仲間もいる。よーし、頑張るぞっ!(SE: 仲間たちと主人公の明るい笑い)」ってニュアンスで、やけに明るく希望に満ちていまして。痛みの中から這い上がる感だった原作とはかなり味わいが違っており、なんだ、フツーに少年成長物語として書いていくんだな、と。全体に、残酷表現が原作より少ないですし、よりマイルド風味で、無難に少年少女向け…なのかな?


では、細かい内容について、重箱の隅を突付く感想いきます。相変わらず…と言うか、今回は特にネタバレ過ぎになっちゃったので、申し訳ありませんが、以下は嫌な人は見ないようにお願いしますね。




ルークが親善大使を引き受けたことを聞いて駆けつけ、大喜びするナタリアとガイ。

ガイ/ナタリア「ルーク!」
#一緒にルークの部屋に乱入してきたガイとナタリア、二人で同時に、嬉しそうに興奮して まくし立てる
ガイ「聞いたぞ。どうちしまったんだルーク。いきなり救援部隊に参加するなんてお前らしくないじゃないか。あんなに早く」
ナタリア「聞きましたわよ、ルーク。流石です。流石はキムラスカ・ランバルディア王国の王位継承権を持つ者ですわ」
ルーク「だーっ! もう、同時に喋るな!」
ガイ/ナタリア「……」
ルーク「一人ずつ!」
ガイ「……ど、どうぞ」
ナタリア「コホン。……聞きましたわよ。親善大使の任を拝命したそうですね」
ルーク「まーな」
ナタリア「立派な仕事です。見直しましたわ」
ルーク「見直すって、今まではどーだったんだ」
ナタリア「だって七年前。あの誘拐事件以来、あなたはすっかり変わってしまったではありませんか。国を背負う者としての意識を失い、毎日をただ適当に過ごし、昼間からゴロゴロと寝てばかり。剣の稽古も遊びの延長。図鑑や物語ばかり読んで、政治書や哲学書には手もつけない。食べ物の好き嫌いは激しく、気に入らないことがあると部屋にこもり、食事のマナーを守らず、朝起きても顔を洗わず髪も整えず」
ルーク「あーあ。なんだか自分が本当のロクデナシに思えてきた」
ガイ「あれ、そうじゃなかったのか?」
ルーク「お前なぁ」
ガイ「ははは。それにしたって、どうしてこんな任務を受けた。おかしい。絶対におかしい。何か訳があるんだろ。何を隠してる」←笑いながら
ルーク「うっ……。なんも隠してねぇ」
ガイ「隠してる」←おかしそうに
ルーク「隠してない」
ガイ「いーや。隠してる」←やっぱりおかしそう
ルーク「隠してねぇって!」
#ルーク、ハァ、と息をつく
ルーク「戦争が起こったら大変だろ。あー。これでも一応いずれは国王になる人間だからな。少しは国とか民のことも考えてみたって訳よ。戦になったら人が死ぬ。えーと……ほら。外の世界を旅して、色々と分かったことも多くてさぁ。殺し合いの虚しさを知ったというか、平和の大切さを知ったというか。あーまあ、そんな感じで……」
#ナタリア、感極まったようにルークに抱きつく
ルーク「……えーと……。おい、ナタリア。……ナタリア〜?」
#動揺し、困り果てた様子のルーク
ナタリア「よかった……。あなたが……あなたが戻ってきてくれた……」
ルーク「っ……。戻るも何も、俺はずっと……俺のままだって」
ナタリア「ご、ごめんなさい。取り乱して恥ずかしいところを」
#ナタリア、ルークから離れる
ナタリア「あの約束を思い出して下さる日も、きっと近いのでしょうね」
ルーク「約束?」
ナタリア「わたくしに言って下さった、あの言葉」
ルーク「ああ……またそれか。ガキの頃のプロポーズの言葉なんて覚えてねぇっつーの」
ナタリア「ふふ。思い出しますわ。きっと、すぐに。――それでは、救援部隊に加えて下さるよう、お父様にお願いしてきますわね」
#機嫌よく立ち去るナタリア
ルーク「あぁ……。なんだありゃ」
ガイ「んー……」
ルーク「女って分かんねぇよな」
ガイ「まあ、そのくらいすごい仕事をお前は受けたってことだよ。よし! 今回は俺も一緒に行くからな。お世話係として、きちんとメンバーに指名しておいてくれよ。じゃあな」
#ガイも立ち去り、扉が閉まる
ルーク「…………。――あー、あっぶねあぶねー! バレるところだったぜ」
#ルーク、ベッドに転がる
ルーク「へへ。師匠せんせいと俺だけの、秘密だもんな」

このシーン、可愛くて、でも切なくて好きです。
音楽も楽しく、興奮した様子で語り合う三人の姿はいかにも仲のよい幼なじみという感じで。
ガイとナタリアがルーク大好きで、心から彼の決意(成長)を喜んでることが声の調子から伝わってくるのですが、裏に隠されている真実と今後の展開を思うと…。
『ルーク』もナタリアも、みんな可哀相。ガイは暢気でうかつで親バカで、だから哀しい。

そしてナタリアの語る、今までのルークの日々。ルークってばホントに だめっこだったんですね(苦笑)。
んで。やっぱ読書は好きなんですね。物語や図鑑ばかり読んでる、かぁ。
遠い世界のお話。さまざまな物事の図像。それらを見ながら、外の世界のことに色々と思いを馳せていたんだろーなぁ…。そういや、ドラマCD一巻には、庭に舞い込んできたキジバトを見て「本物を見たのは初めてだ」とはしゃぐ子供時代のルークの姿がありましたっけ。鳥の名前も姿も、図鑑を見て覚えてたんですね。

この後、バチカル港から親善使節団の乗った船が出港。ナタリアが密航していましたが、実はそれは囮で、ルークたちは陸路を行ったと聞いて愕然とするのでした。
原作ではイオンが六神将に誘拐され、ルークたちは寄り道してイオン救出に向かいますが、ドラマCDではイオンは正式に親善使節団に入っており、しかしルークたちと共に徒歩でアクゼリュスへ向かっています。とはいえ、ルークも言ってましたが、徒歩の旅の正式な道連れとしては体の弱いイオンは不適当で、なんか変。馬車で行けばいいのに。

また、ティアがバチカル出発以前の時点で既にモースを疑っており、「戦争を起こすためにイオン様を誘拐したのでは」と直接疑問をぶつけていて、これもなんか変です。だって、これではドラマCDのティアはヴァンのこともモースのことも疑っていて、しかし彼らの指示に唯々諾々と従ってアクゼリュスへ向かったことになってしまう。

原作では、ティアは最初は兄を疑っていたけれど、バチカル到着前に疑う気持ちが軟化しています。そしてアクゼリュスへ出発する時点ではモースの事は全く疑っていません。だからこそ、モースに指示されるまま親善使節団に加わり、ヴァンに提案されたまま海路と陸路に分かれて出発したわけです。
この辺の心理の流れを はしょって変更してるので、原作以上にティアに感情移入しにくいなぁ…。

ルークの旅。
アニスが玉の輿狙いでルークに近付くエピソードが希薄になっていますし、ルークがイオンを気遣う、イオンがルークを優しいと言うエピソードもありませんから、この二人とルークの関係がよそよそしいです。特に、イオンとのあのキラキラしく可愛い関係がなくなっちゃったのは哀しい。ジェイドはもはや論外な感じで、原作のように嫌味を言ってくることすらなく、よってルークとはまるで絡まない、そもそも関わりもしない遠い人、という感じ。みんな当たり障りなく、でもビミョーにお荷物扱いしていて、なんか その空気がかえってリアルで痛いよぅ……。
ただ、ガイとの関係は原作以上に濃密になっている感じがします。ガイがカースロットの影響でルークを突き飛ばすエピソードがなくなり、ひたすらルークを気遣って世話している。「親友」らしいエピソードは皆無で、完全にルークの保護者。

アクゼリュスへ向かう旅の途中、雷雨になって、一行はコーラル城で雨宿りして一泊します。(地理的にありえないのですが。ドラマCD世界の地理は原作ゲームとは違うっぽいです。)
城の中で火を焚いて(暖炉?)それを囲む仲間たち。そこで、皆に大事にされてるイオンに対するひがみからか拗ねて、ガイの優しい言葉を蹴って一人で別室にこもってフテ寝するルーク。(ナタリアが「気に入らないことがあると部屋にこもる」と言ってた通りです。言うこともムチャクチャ甘ったれで幼稚。)アニスは軽蔑の言葉を吐きますが、ガイが取り成します。

アニス「あーあ。いっくら家柄が良くてお金持ちでも、あれじゃあ……。ナタリア王女が気の毒ぅ」
ガイ「そう言うな。あれでも随分成長したんだぜ」
アニス「えぇー!?」
ガイ「ちょっと前まで、赤ん坊みたいなものだったんだ」
アニス「ほえ?」
ガイ「ルークは七年前、誘拐されたんだ」
ティア「誘拐?」
ジェイド「穏やかではありませんねぇ。誰の仕業ですか?」←非常ににこやかに
ガイ「あんたなら、知ってるんじゃないのか?」←ジロリ、と睨む感じ
ジェイド「おっと。マルクト帝国の謀略だと?」
ガイ「キムラスカの中じゃ、そういうことになってる」
ジェイド「初耳ですね。もっとも、七年前といえばピオニー陛下が即位なさる前。帝国で何が行われていたのか、全ては分かりかねますが」
ガイ「まあいい。誰が何のために誘拐したのかは、今でも分かっていない。とにかく、誘拐されたルークは、そのショックで一切の記憶を失っちまった。自分の名前はおろか、言葉も、歩き方も、何もかも忘れて転がっていた。……この城にな」
ティア「この城……」
ガイ「真っ暗な城の中、一人で、生まれたばっかりの鳥みたいにブルブル震えていた。自分を自分で抱きしめるようにして、泣きながら。――くそっ。
図体はでかくても、あいつは七歳の子供と同じだ。まずいことを言うかもしれないが、大目に見てやってくれ。頼む。この通りだ」
#ガイ、皆に向かって頭を下げる

原作ゲーム設定では、誘拐されたルークをコーラル城で発見したのはヴァンなのですが、ドラマCDではガイに変更されてるみたいです。
更に、ガイはジェイドを、かつてルークが発見された奇妙な音機関のある部屋へ連れて行きます。その音機関が何なのか、国中の学者がよってたかって調べたけれど分からなかったし、ファブレ家もそれ以上気にかけなかったと言うのです。
…しかし、フォミクリー研究は(ファブレ家の援助で)キムラスカでも行われていたはずなのですから、分からないはずはないです。ということは、ベルケンドにレプリカ研究所があるという原作設定が、ドラマCDには存在しないということでしょうか。(いやしかし、次巻ではベルケンドの第一音機関研究所に行くみたいですね)
ちなみに原作では、その音機関(フォミクリー装置)のある場所は隠し扉の奥に隠されていて、だからキムラスカ(ファブレ家)側は、その装置がコーラル城に存在することすら知らなかったわけなんですけどね。

余談ですが、ここでフォミクリー装置を見てジェイドが沈黙し、ガイに問い質されて「随分階段をのぼったので、思わず魂が抜けてしまいました。封印術を掛けられて弱体化していますからね」などと誤魔化す。するとガイが、悪いこと言ったなとマジに謝る。けれどジェイドが「それに、実は生まれつき体が弱くて」などとワザとらしく咳き込んでみせたのでガイが憮然とするというシーンがあって、そんな二人のやり取りが可愛かったです。
*ちょっと気になったこと。この装置のある場所に来るために長い階段を上り、戻るために下りなければならないそうで。原作ではフォミクリー装置は城の地下に隠されていたんですが、ドラマCDではかなりの上階(塔の上?)にあるみたいです。

そして、ティアの行動が短絡でした。
ガイにルークの境遇の話を聞いたティアはショックを受けたらしく、その足で、ルークが一人でフテ寝していた部屋に行っちゃうんですよね。夜中なのに。気配に目を覚ましたルークに、今までごめんなさいと謝る。……いやそれはいいんですが、夜中に人が寝てる所に行くなよ。朝まで待てばいーのに。

原作では、これに相当するシーンはバチカル帰還前の連絡船にあります。ルーク自身の口から彼の境遇について聞いたティアは自分の態度を懺悔し、それまで「こんなことも知らないの?」と呆れていた態度を改めて、色んなことを親身に説明してくれるようになります。ルークを「バカじゃないの?」と冷たい目で見ていたのが、「仕方ないわ。これから知っていけばいいのよ」という、母親のような、暖かい目に変わるのですよね。
しかしドラマCDには、そうしたティアの変化を表す具体的なエピソード(そして原作で、嫌われまくっていたルークをそれでも立てようとしていた気遣い)が語られなかったので、ちょっと残念でした。
…いや、これがユリアシティでティアがやけに優しいあたりに繋がってるのかな? 原作だとアクゼリュス崩落後のユリアシティでのティアはピリピリしていて、ルークが甘えよう縋ろうとする度にピシャッと(必要以上と思えるほどに)跳ね除けてくるんですが、ドラマCDのティアはずっと柔らかい感じなのです。一巻目の、原作以上の厳しさが嘘みたい。

ルークの旅は続き、アクゼリュス間近になります。(峠という描写はなし)
リグレットが現われてティアの足を止めようとする。戦闘になりますが、このドラマのルークは未だ実戦をこなしたことがないらしく、仲間たちからも完全に足手まとい扱い。つーか邪魔。(仕方ないんですが)

ガイ「散れ!」
#リグレットの放つ弾幕の中を駆ける仲間たち
ガイ「動き続けろ。狙いを絞らせるな!」
ティア「連続射撃の終わり際に、一瞬の隙が出来るわ。そこを狙って!」
アニス「双旋牙!」
リグレット「遅い!」
アニス「きゃああ!」
ジェイド「タイミングを合わせて!」
アニス「ルーク様、邪魔!」
ルーク「……っ」
ティア「下がっていて!」
ルーク「チクショー!」
ジェイド「譜術の効果範囲外に移動しなさい。遅い!」
ルーク「チクショー!」
ガイ「ルーク!」
ルーク「俺に命令するんじゃ、ねぇーーっ!!」
#ルークの脳裏に共鳴音が聞こえてくる
アッシュ『屑が!』
ルーク「っ……! またこの声……頭が……割れそうだ」
アッシュ『戦うことが怖いなら、剣なんか棄てちまいな! この出来損ないが!』
ルーク「出来損ないなんかじゃねぇ……。俺はっ……英雄なんだ……!」
アッシュ『フン! 何の役にも立たない屑が。居場所一つ作れない屑が! 英雄だと!?』
ルーク「黙れっ……黙れぇーーー!!」

そのうえ、今までルーク的に足手まとい扱いして侮っていたイオンが、ダアト式譜術を用いて、仲間たち全員でも太刀打ちできなかったリグレットを一発で退けてしまう。
誰よりも役立たずだったのは自分だと、決定的に思い知らされてしまうルーク。(ちょっと泣けました)

アニス「イオン様ぁ!」
イオン「……大丈夫です」
アニス「大丈夫な筈ないですよぅ。ダアト式譜術はお身体に障るんですから」
#うずくまったまま、激しく咳き込み始めるイオン
ジェイド「休憩を取った方がよさそうですね」
ルーク「……いや。先を急ぐぞ」←感情の抜け落ちた、小さな声で
ジェイド「この場合……」
ルーク「親善大使は俺だ。俺が行くって言ったら行くんだ」
ジェイド「やれやれ。何を苛立っているのです。急ぐにしても」
ルーク「俺に指図すんな!」
#突然の激昂にぽかんとする仲間たち
ルーク「ふざけんな! どいつもこいつも、俺を馬鹿にして! ないがしろにして! 俺は親善大使なんだぞ!」
ガイ「ルーク。みんな分かってくれてるさ」←イキナリの癇癪に困ってる
ルーク「分かってねぇだろが! 俺だけ置いてけぼりにしやがって。教官とか、フォミクリーとか、出来損ないとか屑とか! ……もう何がなんだか分っかんねぇよ!」←いっぱいいっぱいで泣きそう
ガイ「落ち着け! 屑なんて誰も言ってない!」
ルーク「ヘッ! お前までこいつらの味方すんのかよ。あーそうかよガイ。お前だけは俺のこと分かってくれてるって思ってたけどな! 見損なったぜ!」
#ティアがルークの頬を叩く
ルーク「!」
ティア「いい加減にしなさい。ガイがどれだけあなたを理解して、気遣っているのか知りもしないで。……殴りたいのなら殴りなさい。反撃しない相手を殴るくらいが、あなたの出来ることの限界だわ。さあ! おやりなさい!」
ルーク「………くっそぉ!」
#ルーク、駆けていく
ガイ「待て、ルーク!」
ルーク(今に見てろ。俺は英雄になるんだ。師匠せんせいだけだ。俺のこと分かってくれるのは……師匠だけだ!)

原作では、デオ峠でどうしてガイがルークを庇わなかったのかとか、どうしてルークがヴァンだけを信用して、育て親のガイをいわば心理的に捨てていたのか、理由が曖昧で説明されていなかったのですが、ドラマCDでは独自の筋付けがなされています。
しかし、原作ではルークが追い詰められていく心理も共感できる感じでしたが(マジに、不安なことばかりで同行者に嫌われてて、親善大使としてないがしろにされてた)、ドラマCDだと、ルークの勝手な思い込み、独り善がりという感がかなり強いですね。おかげで、痛いイタイ痛い…(泣)。超自己中で馬鹿な取り乱し方をして女の子に殴られて諌められて。悪態ついて逃げ出す。最低過ぎだルーク…。

さて、一方のナタリアの旅。
ナタリアに出身はどこかと尋ねられて、あっさりホドだと答えるヴァン。このドラマCDでは、ヴァンは自分の出身を隠していなかったらしく、イオンも彼がホド出身だと知っていました。…むー。
で、ディスト襲来。ヴァンはナタリアを含む船の乗組員たちを見捨てて、ディストと共に去ります。

ヴァン「ディストよ。私を回収しろ」
ディスト「はいはい、ヴァン総長。――おっと。私のカイザーディストは土禁。土足厳禁。総長と言えども、靴はきちーんと脱いでいただきますよ」

……靴脱いだんですね、ヴァン師匠せんせい

ヴァンに当て身を食らわせられて倒れ、「約束」を果たせなかったことを詫びながら、薄れる意識の中、死を覚悟するナタリア。そんな彼女の前に現われる、一人の男。

ナタリア「ルーク……ごめんなさい。あなたとの約束、果たせそうにありませんわ。どうかあなた一人で……世界を変えて下さい。あの約束……思い出して……」
「しっかりしろ!」
ナタリア(誰……?)
「お前はここで死んでいい人間じゃない」
ナタリア(あなたは、誰……?)
「戦争を終わらせて、民が苦しまない世界を作る。そうだろう?」
ナタリア「……!」
アッシュ「――ナタリア!」
ナタリア「ルーク……!」

…それはいいのですが、そこは海の上です。アッシュ、どっから現われたのか。そしてどーやってナタリアを救い出したのか。その辺が全然語られないので気になるヨー。(そして、背後でディストにどんどん殺されていくキムラスカ兵たちのことは完全無視なキムラスカ王族のお二人です。悲鳴と騒音がずーっと聞こえているので気になるヨー)

ルーク一行はアクゼリュスに到着します。
原作とはかなり状況が違うようで、既にマルクト軍が住民の避難活動の大半を済ませちゃってます。しかし、頑固に避難を拒んで街に居残っている住民がいるとか。

ジェイド「キムラスカが難民の受け入れを申し出ていると伝えなさい。住居と当座の生活は保障すると」
マルクト兵「本当でありますか!」←すげー嬉しそう
ジェイド「嘘だが。何か問題でも?」
マルクト兵「……いえ」

…なんなんだろー。
障気は吸い続けると遠からず命を落とす猛毒です。なのに当座の生活の不安で避難を拒む住民の心理はちょっと謎。この描き方だと、アクゼリュスの住民が相当貧しいということになりますが。(稀少鉱石を産する鉱山街なので羽振りは良さそうなのになぁ)
そして、キムラスカは(表面のものであったとしても)マルクトの親書の内容を受け入れて救助のための親善使節団を派遣しているのですから、マルクト側からの難民を受け入れる準備があるってのが「嘘」ってのも。なんじゃこの状況??(冒頭、インゴベルト王が難民受け入れを議会で話し合うとか言ってたのにね。)
それと、障気蝕害インテルナルオーガンに付いて全く説明していないのが気になりました。ティアが障気に侵されるエピソードは取り扱わないってことなのかな?

ヴァンはルークとイオンだけをこっそり坑道に連れ出し、ルークを言いくるめて超振動を使わせる。アッシュが通信してきて頭痛に苦しみますが、それを跳ね除けて超振動発動!
この辺のシーンで、ルークが「俺は、自分の居場所を……自分で作ってみせる!」「俺は……屑なんかじゃない!」と叫んでいたのが、痛くて気の毒で仕方がなかったです。
…屑呼ばわりされることは、やはり心を抉られることなんですよ。

ルーク「やったの……か?」
ヴァン「ああ。お前はやり遂げた」←声の調子がガラリと冷たくなる
ルーク「へ? 師匠」
ヴァン「ようやく役に立ってくれたな。レプリカ」
ルーク「え?」
イオン「ヴァン。何故ルークにこのような恐ろしい真似をさせたのですか。セフィロトツリーは世界を支える柱。それを破壊させるなんて」
ルーク「!? どういう意味だ。――師匠、説明してくれよ!」
ヴァン「フフ……」
ルーク「師匠!」
ヴァン「気安く話しかけるな! 出来損ないの屑が」
ルーク「――ひっ!?」

唯一自分を理解してくれる、必要だと言って力を認めてくれる。そう思っていたヴァンから、アッシュやリグレットがそう言っていたのと同じように、侮蔑を込めて「出来損ないの屑」と言われて息を呑み、青ざめるルーク。無惨。無惨すぎる。
ついでに、これまで六神将やヴァンの間でレプリカルークの話題が出る時は、「出来損ないの屑」呼ばわりするのがデフォルトだったんだろーなーというのが垣間見えて、辛い。ずーっと、知らないところで蔑まれ、馬鹿にされてたんだねぇ。

ヴァンはイオンだけを連れ去り、「お前にはもう用がない。さらばだ。愚かなレプリカルーク」とルークを捨てていく。崩壊していく場所に取り残され、「待ってくれよ師匠! これ、どういうことなんだ。俺、言われた通りにやったよな。間違ってないよな。全部師匠の言う通りに……師匠! 師匠ぇ〜!!」と叫ぶルーク。あぁあああ……(涙)。
一方、崩落して行くアクゼリュスの街で、アニスとガイはイオンとルークがいないと焦り、ジェイドは「ホドです。ホドと同じ現象が起こっている」と言う。
…原作では、ジェイドは崩落当日にはホドにはいなかったようなニュアンスなんですが(子供時代のヴァンのことを伝聞として語ってましたし)、ドラマCDでは崩落当日にホドにいた感じですね。
そして、ティアがアクゼリュスにいることを知ってるくせに、完全放置でアクゼリュスを落とすヴァン。ドラマCDのヴァンは既に妹を捨てている模様。

さて。
次のチャプターでは、崩落したアクゼリュス――魔界クリフォトに舞台が移りますが。

ルーク「う……ここは……」
ティア「奈落の底。魔界クリフォトと呼ばれる地下の世界よ」
ルーク「くりふぉと……? ――!」
#ルーク、跳ね起きる
ルーク「アクゼリュスはどうなっちまったんだ!」
#ガイに迫る
ルーク「ガイ!」
ガイ「……」
ルーク「ジェイド!」
ジェイド「……」
ルーク「アニス!」
アニス「……」
ルーク「もう、なんか言えよ!」
ティア「アクゼリュスは魔界に落ちた」
ルーク「……どういう意味だよ」
ティア「あなたたちの住む場所は、この魔界から伸びるセフィロトツリーという柱に支えられている空中大地なの。二千年前、世界を原因不明の障気が包み、大地の汚染が始まった。この時、譜術士ユリアが七つの預言スコアを詠んで……滅亡から逃れ、再び繁栄を手に入れるための道筋を発見したの。ユリアは預言を元に、セフィロトという力を使って地殻を浮上させる計画を発案した。それがあなたたちが暮らす世界――外殻大地の始まり。そして、ここは放棄されたかつての世界。障気に侵された世界。奈落の底――魔界クリフォト
ルーク「どうしてお前がそんなこと……。――いや! そんなことはどうだっていい。アクゼリュスは……違う、師匠、師匠は! 師匠はどこにいるんだ。俺、あの場所で超振動を起こせば、障気が消えるって言われたんだ。師匠が言ったんだ。俺は言われた通りに……」
アニス「馬鹿ぁ!」
#口ごもるルーク
アニス「見なさいよ……。その目を開いて、周りを見なさいよ!」
#周囲を見て息を飲むルーク。死体だらけ
アニス「そこに転がっている子供は、さっきまで生きてた。お父さんの名前を呼びながら、息絶えていった。……あの障気の奥に、目を凝らしなさいよ。何百人も、障気に沈んでる。あの人たちは……大切な人の名前を呼ぶことさえ出来なかった!」

…あのー。どーやってみんな崩落から助かったんですか? どうして崩れるセフィロトの中にいたルークが無事で、街にいたみんなと一緒なんですか?? いつ発見されたの? それに、ルークはいつ気を失ったんだ。
原作では、セフィロトに仲間たちがルークを追ってきて、ティアが譜歌を歌って崩落から仲間たちを守るんですけど。ドラマCDでは全く謎です。カッ飛ばしてある。
更に謎なのは、この後、ナタリアとアッシュが並んでルークの前に出てくること。
…あんたらどこからどーやって湧いてきたのよ。そもそもアクゼリュスにいなかったはずだろ。(アッシュがナタリアを助けに行ったため、アクゼリュス崩落に間に合わなかったということらしい。)

ちなみに、原作ゲームでは陸艦タルタロスがすぐ近くに落下していて、それに乗り込んでユリアシティまで移動するのですが、ドラマCDではそもそもタルタロスはアクゼリュスに来てませんから(神託の盾に拿捕されてない)、落ちてきてません。
…しかし、次のチャプターではいきなりユリアシティに移動してます。そして、どうやって移動したのかカケラすらも語られません。
なんだなんだ。なんか急にシナリオが雑になったよーな…。原作改変の結果つじつまが合わなくなって、細かい齟齬を無視した感じがします。むぅ。

まあ、それはともかく。
問題の、アクゼリュスを崩落させたルークが仲間たちに責められるシーンですね。

ルーク「っ……! 俺は知らないぞ! 俺はただ、障気を中和しようとしただけだ!」
ティア「あなたは兄に騙されたのよ。そして、アクゼリュスを支える柱を消してしまった」
ルーク「そんな……! そんな筈は……」
ジェイド「せめて事前に相談して欲しかったですね。今となっては、言っても仕方のないことかもしれませんが」
ガイ「アクゼリュスは消滅した。何千と言う人間が、一瞬で……命を落とした」
ルーク「……俺が悪いってのか。俺は……俺は悪くねぇぞ。だって師匠が言ったんだ。そうだよ。師匠がやれって。こんなことになるなんて知らなかった! 誰も教えてくれなかったんだ! 俺は悪くねぇ。俺は悪くねぇ!」←半泣き
#立ち去るジェイド
ティア「……大佐?」
ジェイド「ここにいると、馬鹿な発言に苛々させられる」
ルーク「なんだよ! 俺はアクゼリュスを助けようとしたんだぞ!」
#無言でジェイドの後に続くティア、アニス
ルーク「待てよティア! アニス! お前らだってなんも出来なかったじゃねぇか! 俺ばっか責めるな! 悪いのは師匠だ! 俺は悪くないぞ。……なぁ、ガイ。そうだろ?」
ガイ「ルーク……。あんまり、幻滅させないでくれ」
#立ち去っていくガイ。「え……」と、呆然と見送るルーク
ルーク「どうしてだよ。どうしてみんな俺を責めるんだ!」

このドラマCDでは、ルークが実質七歳児だと全員が既に知っているのですが、原作殆どそのままに見捨ててくれます。…ううむ。原作だと唯一ルークに同情して共感してくれるミュウが、このドラマにはいないため、救われません。また、ここでかかるBGMがルークの「可哀相さ」を盛り上げてくれますので、泣けます。
ただ、原作であったイオンの反論とアニスの捨て台詞、ティアの「少しはいいところもあるって思ってたのに……私が馬鹿だった」がないので、仲間たちは殆ど黙ってるだけで、ルークが一人で騒いで「俺ばっか責めるな」と言ってる状況になってしまっていて、冷静に見るとちょっと間抜けです。

俺は悪くない、師匠が悪いんだ、としか言えないルーク。馬鹿なルーク。
そこにナタリアが来る。ルークは何故ナタリアがここにいるのか疑問に思う余裕すらなく、「あぁ……」と安堵の息を吐き、「いい所に来てくれた。なぁ、みんなに言ってくれよ。お前なら分かってくれんだろ。俺はただ、英雄になりたかっただけなのに」と縋る。「ルーク……」と眉根を寄せて何度も呼びかけてくるナタリアの様子を無視して、「お前は、俺のこと分かってくれるよな?」と。今までは確かに自分に好意を寄せてくれていた、近しい存在だった女の子に。――でも。

ナタリア「ルーク!」
ルーク「へ?」
アッシュ「とことん屑だな。出来損ない」
#ナタリアの後ろからアッシュが歩み出てくる。息を呑むルーク
ルーク「お前は……!」
アッシュ「顔を合わせるのは初めてだな。屑!」
ルーク「俺と同じ顔?」
ナタリア「落ち着いて聞いて下さい、ルーク。彼はアッシュ。あなたのオリジナル」
ルーク「オリジナル?」
アッシュ「フン! 物分かりの悪い奴だ。レプリカってのは脳みそまで劣化してるのか?」
ルーク「レプリカ……? そういえば師匠もレプリカって……」
アッシュ「ハァ……。教えてやるよ、ルーク。俺はバチカル生まれの貴族なんだ。七年前に、ヴァンて悪党に誘拐されたんだよ。ヴァンは、フォミクリーという技術を使って俺のレプリカを作った」
ルーク「…………まさか」
アッシュ「そうだよ! お前は俺の劣化複製人間だ。ただのレプリカなんだよっ!」
ルーク「……うそだ。嘘だ嘘だ嘘だぁ!」
#ルーク、剣を抜く
アッシュ「やるのか? レプリカ」
ナタリア「二人とも、いけません!」

うーむ。原作ではティアがいた位置にナタリア。
原作よりもナタリアのヒロイン度が強いですねぇ。

自分がレプリカだと知らされ、パニックを起こしてアッシュに斬りかかるルークでしたが、師匠に教えてもらった唯一の奥義、自慢の技だった双牙斬すら軽くあしらわれ、超振動(絞牙鳴衝斬)であっという間に気絶させられてしまう。
弱いルーク。役立たずで劣化品のレプリカ。みんなに見捨てられた、出来損ないの屑。アッシュやヴァンに言われた通りだった。居場所なんて作れなかった。最初から、なかった。
それを徹底的に思い知らされて、惨めで哀しくて、すごく泣けました。

ところで気になったんですが。
ここでアッシュが、原作沿いの台詞で「こんな屑に! 家族も。居場所も。全部奪われたなんて。――情けなくて反吐が出る!」と叫ぶんですが。
このドラマCDでは、少し前にアッシュがルークに通信で「居場所一つ作れない屑」と言ってたので、なんか微妙に混乱します。アッシュ的に、ルークの居場所はあるのかないのかどっちなんだよ。
(つか、「居場所一つ作れない」という言い分だと、このドラマCDのアッシュは、ルークが今までどんな行動をとっていて、現時点で仲間たちの中でどんな立場にあったか、知っていたことになっちゃう感じなんですが。意識させないままルークの目で全てをアッシュが見ていたという、ファミ通文庫小説版設定か?)

さて。ユリアシティでは、ティアがテオドーロと秘預言クローズドスコアについて言い争います。預言に詠まれたとおり歴史は動かさなければならないと言うテオドーロに、ティアは言います。

テオドーロ「お前も分かっていよう。この魔界で育った魔界の住人ならば」
ティア「私は……魔界の住人ではありません。ホドの人間です」
テオドーロ「ティア……」
ティア「ホドも……私と兄さんの生まれ故郷も そうやって見捨てられた。ホドの崩落は、秘預言に詠まれた運命だった。だから誰も手を差し伸べなかった。預言は守られた。何千人もの人間が死んでいった」
テオドーロ「全ては、いつか訪れる繁栄のため」
ティア「魔界に落ちた私と兄さんを、お祖父様は養って下さいました。感謝しています。でも、私たちはやはり魔界の住人ではなく、ホドの人間なのです。同胞の……父の、母の命が失われたことを、いつか訪れる繁栄のためと片付ける事は出来ないのです!」
テオドーロ「ヴァンは違う。監視者として立派に働いてくれている。お前から見れば裏切り者と映るかもしれんが、あやつは世界が預言の通り在るために正しく動いているのだ」

……ええ!?
なんか、違和感を感じてしまいました。
原作では、ティアはホドが崩落した時にはまだ母親のお腹の中にいて、だからユリアシティで生まれて育ちました。そのためにホドの民としての意識はヴァンやガイに比べて希薄で、ホドを攻め滅ぼしたファブレ公爵やその息子のルークに復讐心を抱くまでの事はなかったのだろうと、私は思ってたんですが。
でもドラマCDのティアの精神性は違うみたいです。あくまでホドの人間なんだって。テオドーロとも よそよそしい感じだし…。むー…。


ここから後のエピソードは、原作と比べて猛烈な勢いで省略されています。
アッシュは眠るルークに語りかけて、自分の見ている景色(仲間たちとの相談風景)をルークに見せます。ちなみに、何故アッシュがそんなことをしたかという理由は「見せてやるよ。お前の居場所は、もうどこにもないってことをな!」だそうな。そこまで追い討ちかけんでもいいのに…。

タルタロスがないので、仲間たちはユリアロードで外殻へ戻ることになります。が、ガイはユリアシティを出る前に「ルークが心配なんだ」と一緒に行くことを拒みます。
この辺、原作と同じ台詞でも声優さんの演技がそれぞれ全く違うものになっていて面白かったです。

ナタリア「これ以上険悪になるような会話はやめましょう。それより、アッシュと一緒にユリアロードを通って外殻大地に戻るという方向で異議はありませんね?」
ジェイド「勿論です」
アニス「まあ、ルークよりはマシかもしれないね」
アッシュ「フン」
ガイ「……っ」
ナタリア「ガイ」
ガイ「俺は、降りる」←暗くて小さい声
ナタリア「ガイ?」
ガイ「俺は降ります」←この停留所でバスを降ります
ナタリア「ガイ!」
アッシュ「どうしてだ、ガイ」←落ち着いて静かに
ガイ「ルークが心配なんだ。あいつに付いていてやらないと」
アニス「あっきれた! あんな馬鹿、ほっとけばいいのに」
ガイ「馬鹿だから俺がいないと心配なんだよ。それに、あいつなら……立ち直れると、俺は信じる」
アッシュ「屑は屑だ。期待するな。裏切られるぞ」
ガイ「……何年か前、もう本人も覚えちゃいないだろうが、あいつに『記憶を失っちまって辛いだろうな』って訊いたことがある。その時、あいつはこう答えた。『昔のことばっか見てても、前に進めない』」
アニス「うは。起きちゃったことは都合よく忘れる。そゆこと?」
ガイ「過去に縛られて、前に進めない奴だっている。俺は、そう思う。あいつは――ルークは前に進める奴なんだ。だから俺はあいつが立ち直れるって信じる」
ナタリア「あなたはルークの従者で親友ではありませんか。本物のルークはここにいますのよ」
ガイ「本物のルークはこいつだろうさ。だけど、俺の親友はあの馬鹿の方なんだよ」
#背を向けてゆっくり立ち去るガイ
ナタリア「待ちなさい、ガイ! ルーク、止めないのですか?」
アッシュ「その名前で呼ぶな。それはもう、俺の名前じゃねぇんだ」

うーむ。台詞はほぼ同じなのに、原作と結構違う。
ガイがアッシュに敵愾心を燃やしているという描写が今のところ完全にないですし。アッシュもガイへの執着を持ってない感じ。そして、ナタリアがアッシュに「お前もあのレプリカの方に行きたいなら行っていい」と言われて咄嗟に返答できない、という例のやり取りがカットされてるため、ナタリアが完全にルークを見限ったアッシュ派になっちゃってて、個人的に哀しい…。
そして、ドラマCDオリジナルのアニスの揶揄「起きちゃったことは都合よく忘れる。そゆこと?」は意味不明。この話の流れでなんでそういう解釈が出てくるんだ?? ルークに過去の記憶がないって知ってるくせに。
無意味にアニスの株を下げる台詞なんて追加しなければいいのに。

原作と違い、ルークが寝かせられていたのはティアの家の一階(そこがティアの部屋だそーな)で、その後二階に上がります。セレニアの花の事は、やはり一切語られません。
ティアは預言を否定し、自分自身これからどう生きるか迷っている。でもルークにすごく親切です。原作と全然違うのでビックリ。ルークは二階に上がってティアと話し始めるなり、いきなり「変わりたい」と言い出し、これまたすぐに、一気にブチッと髪を切ります。髪を切った直後にガイが来ます。ドラマCDのガイ兄さんは、断髪直後のおかっぱルークを鑑賞できたようです。よかったね!(何がだ)
(しかしここでのルークとガイの会話。原作で、ガイが最初に「ルーク」と名を呼び、後で「今更名前なんて何でもいいだろ」と言う台詞をカットしているので、話が微妙に噛み合ってないという、妙な状態になってます。)

ルーク「ガイ……!」
ガイ「ん?」
ルーク「ありがとう」
ガイ「……ルークが、ありがとうだって……? ――こいつはビックリだ。ありがとう……ありがとう! 長年付き合ってきて、ルークのありがとうなんて初めて聞いたぜ!」←なんかすげー嬉しそうです

そしてルーク、ティア、ガイの三人で声を上げて笑って、明るい希望の感じられる中、次巻へ続く。

なんかなぁ。
今巻で唯一、はっきり不満と言えるのは、この辺りの流れです。
収録時間の問題で仕方ないのでしょうが、はしょり過ぎ。

原作では、この辺、結構長く使って、ワガママルークが自分を見つめ直していく課程が語られているじゃないですか。アッシュの中で仲間たちからの自分への評価を聞いて。初めて客観的に自分を見る。孤独を噛み締める。更に、自分では正義の行動をしようとしたつもりで、実は人の言うことに流されてるだけだということをティアに指摘されて。それがホントにグッサーと心に刺さって。それで、初めて「変わりたい」と思ったわけなのですよ。
その辺が省略されてて、突然「変わりたい」と言い出すので、なんだこいつ、と思っちゃいました。
いやまあでも、これはガイに「信じる」と言われたことを受けて、その期待に沿うために変わりたいと思った、ってことになるのかな。…ドラマCDはティアよりもガイの方が、ルークの変化に占める重要度が高そうですね。

また、原作ではルークが追い詰められるだけ追い詰められていて、それが痛々しいんですが、その分、江戸時代の白装束のような一種の哀しい美しさがある。しかしドラマCDにはそれがあまりない感じかな。でも、健康的な印象ではありますけど。(この分だと、もしやハッピーエンドになるのだろーか。)

ルーク「これからの俺を見ていてくれ、ティア。それで、判断してほしい。すぐには上手くいかねぇかもしれない。間違えるかもしれない。でも俺……変わるから!」
ティア「……そうね。見ているわ、あなたのこと」
ルーク「頼む……」


ちなみに、ゲームではキャラクターグラフィックそのものが変わっちゃうせいで、ルークは髪を切るなり人格まで別人になったかのような錯覚を覚えちゃいますが、シナリオを見てるとそうでもないですよね。髪を切って、ルークは努力して少しずつ変わっていってる。(最初の頃は決意のあまりにハイテンションになってます)
声だけで語るドラマCDは、その辺じっくりやってくれるでしょうか。


二巻まで進んで、設定やシチュエーションが原作からかなり離れ始めたので、これからどうなるのか楽しみでもあり不安でもあります。
ナタリアは、このままアッシュ派として描かれて、ルークとの関係のフォローはないままになっちゃうのかなー…。それは少し寂しいです。

そして。
二巻になってもミュウが出なかったのは かなりのショックでした。
…え。もしかしてマジに、完全出番なし……!?

 



inserted by FC2 system