テイルズ オブ ジ アビス1メディアワークス/DENGEKI COMICS/玲衣 メディアワークスの雑誌『電撃マ王』連載のコミカライズ第一巻。 |
テイルズ オブ ジ アビス外伝 還るべき場所メディアワークス/『電撃マ王』'06年7月号付録/漫画:玲衣、オリジナルストーリー:実弥島 巧 単行本第一巻発売に合わせた付録で、アッシュの幼少時代を描いた外伝です。誘拐前のアッシュがどんな子供だったか、誘拐後にどんな風にヴァンにマインドコントロールされていったかは、既にゲーム雑誌のインタビューでメインシナリオライターさんが明かしていたわけですが、そのエピソードを漫画化したものです。 アッシュは、キムラスカを治めるつもりでいましたから、誘拐されたときはもちろん怒りましたし、抜け出そうとしました。しかしヴァンは、彼をずっと一室に監禁して判断能力を奪い、時折ファブレ家の様子を伝える新聞などを差し入れて、レプリカが自分の場所を奪っていく事実を見せました。そして時期を見て、バチカルの屋敷でレプリカルークが家族と仲良くしている情景を見せつけました。
という文章を読んだ時から疑問に思っていたのですが。 ※単行本収録時に修正されました。 追記。 '08年にTVアニメ版が放映開始し、この外伝の内容もアニメ版に取り入れられました。外伝集が発売されたり雑誌で漫画家さんの特集が組まれたり、漫画家さん自身がブログで様々なことを熱く語るなどしたので、そこで追加された情報を記録しておきます。
ネームを切りながらアッシュに感情移入して泣いたという話には、「あぁ、やっぱりか」という感想を抱きました。 ナタリアが被せる王冠に様々な象徴的意味を持たせているという話には、なるほどなぁと感心し、同時に、この漫画は多くが何かを象徴した心象イメージで描かれていたんだなぁと、今更ながらに納得しました。 ナタリアが花冠を被せるシーン、初出時にはレプリカルークの半ズボンが長ズボンになっていて、私はそれを作画ミスだとしか思いませんでした。後にサイトの閲覧者さんから、「アッシュ自身の姿を投影したイメージ的表現ではないか」というようなご指摘をいただいたんですが、その時はピンとこなかったのです。 でも、花冠に込めた象徴の話を知って、本当にそういうつもりだったのかもしれないな、と思いました。私のような無粋な読者が「作画ミスだ」なんて的外れに騒ぐから、漫画家さんは「チッ」と舌打ちしながら、単行本収録時に修正したのかも(苦笑)。
この漫画は、断片的なシーンを繋いで構成されています。特に前半部は、何年もの間の出来事を一度に見せつつ、主人公の心情を筋を通して見せていて、本当に素晴らしいと思います。 幼いアッシュが単身ダアトを脱出して、無理解な大人たちや魔物と戦いながら故郷を目指す、恐らく漫画家さんが独自に挿入した展開は、《漫画として》最高に素晴らしい脚色だとも思います。 ですが、このアレンジのおかげで、理屈・設定的には大きな不備が出てしまったと思うのです。ヴァンがアッシュの逃亡を知りながら黙って自由にさせている、と言う。 アッシュがバチカルの奥に入ると、突然広い草原が広がっていて、両親とナタリアとレプリカルークが楽しげに団欒している。アッシュが絶望すると、突然背後に暗い森が現れてヴァンが出現する。 これもまた《象徴》であり、《心象風景》なのでしょう。森はアッシュの絶望を象徴している。だから理屈などなく現れる。 でも私は、どうしても納得できません。モヤモヤしてしまいます。 アッシュは両親の前に名乗り出ませんでしたが、それは結果論であって、顔を出したままあんなに近くに行けたなら、一声あげればすぐに決着がついたはず。レプリカは普通の人間と音素構成が異なるので、精密検査をすればどちらが本物か簡単に証明できてしまいます。 こんな危険な状況を作ることを、ヴァンがどうして、あえて許すのか。 更に、警備の厳しいファブレ邸に、どうやって《誰にも気づかれずに》アッシュが入れるのか。入ろうとするのか。加えて、体の弱い母はともかく、息子に冷たい父が、どうして揃って草原(庭)で息子と共にいるのか。 私はどうしても理屈が気になりますし、その辺りをすっ飛ばしてしまった漫画版には不満を感じてしまいます。
アニメ版にこのエピソードが取り入れられた時は、白光騎士団が何故かアッシュの顔の見分けがつかずに追い返し、十歳のアッシュが白昼堂々 塀を乗り越えて家の中に入ったのに、誰にも見咎められなかったことになっていました。白光騎士団を超無能にすることで、どうにか理屈をつけていたわけです。でもやっぱりおかしい感じ。
スケジュールが厳しかったということですから仕方ないのですが、結末部分をもっと練り込んでほしかったです。 …なんてことを今更書いているのは、この漫画がどうやら《絶対の公式設定》らしいからです。ただの外伝漫画なら気にしませんが、監修を受けただけの他の商業二次とは決定的に違う、直接ゲームに繋がる公式外伝だと、漫画家さんが熱く語っておられたので。そこまで言うなら、もっと公式に相応しい形に理屈の部分も練ってほしかったですよ…と、思ってしまった次第でした。 外伝5は、文句なしに素晴らしい《公式外伝》だったと思っていますが。
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『電撃マ王』2006年連載分アスキー・メディアワークス/『電撃マ王』/玲衣 『電撃マ王』連載の『アビス』本編コミカライズ。連載は'05年末、原作ゲーム発売より早く開始されました。 ここに載せたものより以前の回の感想は、ザッとですが単行本第1巻の項に書いています。
8月号コーラル城でしたが、オリジナル展開ですっごく面白かったです!
9月号面白かったです! またもオリジナル展開でしたが、既にルークが精神的に追い詰められています。
10月号今月分では、クライマックス(謁見室に踏み込むところ)から始まり、その他のエピソードにつながっていくという手法。おかげで引き込まれて読めました。
11月号今月はルークが(色んな意味で)「親善大使」になる決意をする話…なので地味といえば地味でした。
12月号ルークが親善大使化し始める話(苦笑)。あと、アッシュと邂逅。
1月号 1月号ですが、発売は11月末なのでここに記述です。 「俺のおかげで逃げられたんだろ!? 感謝くらいしろよ!!」
たちまち、仲間たち全員から白い目で見られるルークでした。思い上がるな、恥ずかしくないのかと。イオンのカリスマ性はやっぱり絶対。……そんな重要人物が誘拐されたんなら、別任務を持つ親善大使一行が救助に向かうんじゃなく、キムラスカ軍でも借りればいいのに。 |