テイルズ オブ ジ アビス 追憶のジェイド角川書店/『月刊Asuka』/漫画:狩野アユミ、シナリオ:宮弥島 巧
TVアニメ版の放送終了から一ヶ月。少女漫画誌『月刊Asuka』2009年6月号(4/24発売)から翌年2月号まで、一回の休載('09年10月号)を挟んで全八回連載された漫画です。 単行本は上下二巻。下巻には書き下ろしのエピローグ漫画16Pと、『テイルズ オブ マガジン』Vol.14掲載の掌編外伝小説も収録されています。 サブタイトル通り、中心にいるのはジェイド。原作の《ネビリム》イベントを膨らませた、ジェイドが過去のトラウマを乗り越える話です。ただ、主人公がジェイドだと言い切ることはできません。彼の過去が全て明かされるまでの主視点がルークにあるからです。(以降はジェイドに移動します。) 『アビス』の外伝としては、現時点で最も贅沢かと。さして長くないサブイベントを、単行本二巻分にまで膨らませたのですから。
注意すべき点が幾つか。 一つ。この漫画は「TVアニメ版の」公式コミカライズである。事実、原作とは異なる導入で、アニメ11話の独自エピソードを踏まえた場面もあります。 二つ。ところが、この漫画のシナリオは原作メインシナリオライターさんによるもので、原作で没になったサブイベントシナリオからエピソードをサルベージ・再構成しているとのこと。 三つ。連載開始とほぼ同時に、やはり《ネビリム》イベントを原作とするTVアニメ版ドラマCD『罪に降る雪』が発売。監修を原作メインシナリオライターさんが担当していますが、漫画とは内容が異なります。 つまり、「ネビリム編・アニメ版公式ストーリー」が二種類存在している。しかも世に出たのがほぼ同時なうえ、両方に原作メインシナリオライターが関わっていて、それぞれ原作とも内容が異なっている。 「原作者による、アニメ版をも取り込んだ 閑話。アニメ版で使われた「生体レプリカ」ではなく、原作での用語「生物レプリカ」に統一されていました。この辺が、アニメコミカライズでありながら原作者作品たる所以とか(笑)。…いや別の作家さん方のアニメコミカライズ『鮮血のアッシュ』も原作用語の方を使っていましたが。
少女漫画誌掲載ですから、絵柄や演出は少女漫画系統です。ジェイドを筆頭にした男性キャラの髪の毛はサラサラ、瞳キラッ。(幼少ディストに至っては、元のキャラデザインとは異なる瞳のぱっちりした美少年になっています。)また、少女漫画の特長である繊細な情感盛り上げ演出の効果で、ジェイドの悲劇性が強調され、「傷ついた麗人」としての顔が目立っていました。 そんな彼を、複数のイケメン男性(新規登場キャラ含む)が一心に案じ、救ってやらねばと心砕くのです。反面、ティアやナタリア、アニスなどのメイン女性キャラたちは、ジェイドの心の傷の深いところには全く関わってきません。男性キャラばかりが、献身的とさえ感じられる様子でジェイドを案じる状況になっており、ジェイドの容姿が 以上のことから、男性には読みづらい漫画ではないかと感じました。少女漫画ですから当たり前とも言えますが、原作は全性別向けでしたから、門が狭くなったようで勿体ない気もします。 尤も、アクションシーンはよく描かれていますし、切なげなメインエピソードの合間には、原作そのままのコミカルなやり取りも見られます。(ファンダム2・ジェイド編のノリが一番近いでしょうか。)ですから、ちょっと女々しいかも、なんか
大変な力作であることは間違いありません。原作を練り直した盛り沢山のシナリオに、力が(時にはちょっぴり入り過ぎなほどに)入った作画。今までの『アビス』外伝の中ではトップクラスだと思います。これだけの外伝発表の機会を与えられた『アビス』は幸運な作品です。面白かった部分・萌えた部分は沢山あり、実に楽しませていただきました。 なのにどうしてでしょうか。連載中ずっと、「気持ち悪い」と「面白い」という感想の狭間を揺れ続けていたのです。 何故そう感じたのか、何が気持ち悪いのか。自分の気持ちを探って明瞭な言葉にするのが難しく、この感想を書くのにはかなり手こずってしまいました。 掲載誌を購入していたんですが、そんなこんなで感想を書けずにいるうち単行本に。雑誌を買ったことを無駄にするのも悔しいので、連載時の扉絵と最終ページに付けられていた煽り文(担当編集記者さん作?)を引用併記させていただきます。緑の枠線で囲ってるやつがそうです。
では、一話ごとのあらすじ紹介と軽い感想に行きます。その後に全体感想をネチネチ(汗)と。 今回、試みとしてネチグチ部分とあらすじ紹介部分を隠せるようにしてみました。肯定的感想だけを比較的軽く読みたい方は下の「批判的な感想・あらすじを消す」をクリックしてください。(JavaScriptとスタイルシートをONにしていないと動作しません。) お心とお時間に余裕のある方は、「全て読む」でお進みください。(クッキーに設定が保存されるので、次からは前回選択した状態になります。) >>批判的な感想・あらすじを消す
第1話
障気中和直後、ルークたちはケテルブルクの知事・ネフリーを訪ね、レムの塔で縮爆死したディストの遺品を届けた。中にあった書類袋の「絶対見るな」という表書きに誘われ袋を開けたルークは、ネビリムのレプリカ情報を見つけて衝撃を受ける。 その夜、ホテルから出て行くジェイドに気付いたルークは後を追い、街の片隅で小さな墓碑の前に佇む彼を見つける。それはネビリムの墓碑で、そこは彼女の私塾の跡地だと教えられた。ジェイドは再びルークに語る。幼い自分が傲慢から譜術暴走を起こし、ネビリムを事故死させたうえレプリカ製作にも失敗したことを。するとルークは微笑んで言った。 「けど」「ジェイドがフォミクリ―を開発してくれたから」「「俺」は生まれたんだ」 「レプリカでも?」と窺ったジェイドに、ルークは笑って返した。 「レプリカだから――そう思えるようになったのかもしれないぜ」 その時、大きな物音と悲鳴が。覆面をした二人の賊が知事邸に押し入り、ネフリーに怪我を負わせディストの遺品を奪ったのだ。駆けつけたルークとジェイドは各々一人の賊を倒すが、スノーモービルに乗った三人目の賊が現れ、遺品を持ち去った。 ※盗まれた遺品を追い ルークたちは動き出す!! 連載第一回。漫画の前にアニメのストーリー・キャラ・用語の解説と商品紹介が2P付いていました。見開き扉含む最初の3Pがカラー。扉絵のルークは、2010年2月号付録のトランプに流用。ダイヤの2。お金持ちだから? ちなみにジェイドはクラブのJでした。ジェイドだけに。 漫画家さんのブログに、この第一回はアシスタントを使わず自分だけで作業したと書いてあった気がするんですが、もうブログが閉じられているので確認できません。記憶が正しいなら、40P以上あって作画密度も濃いのに凄いです。 地名に原作ゲームと同じ飾り罫を付けていたり、戦闘や背景を見るにつけても、深く原作やアニメの資料に当たってくださっていることが判ります。それは担当編集さんも同じ。煽り文の中に惑星譜術(またはプリズムソード)の譜「断罪の剣」が引用されていたり、アニメドラマCDネビリム編のタイトル「罪に降る雪」を何気に混ぜていたり。芸が細かいですよね。
実を言うと、連載は立ち読みで済ませ単行本だけ買おうと計画してました。けれど第一回目に「?」と思わされた部分があり、結局、買ってしまいました。単行本になった時修正されるか気になったから。……されてませんでした。(^ ^;) それは冒頭の、会話で本編設定・ストーリーを説明している部分。 #世界は預言から離れた、しかしまだ平和とは言えない、という仲間たちの会話に続けて 「あれ?」と思いませんでしたか? 預言離れを阻んだのはモースです。なのに「阻む者」としてヴァンが描かれ、モースの姿は一切描かれていない。 第1話の時点では、この外伝が「障気中和」から「エルドラント突入」までのどの時期にあてはまるのか、明らかにされてはいませんでした。もしプラネットストーム停止前の「モース存命・ヴァン未復活」の時期なら、ティアやネフリーの台詞は何もおかしくない。ただ、語るティアの背後に描かれたイメージイラストが不適切だった(ヴァンではなくモースの絵であるべきだった)ということになるでしょう。 ところが少しページが進むと、今度はナレーションとイメージによる大がかりな本編設定・ストーリー説明が始まって、そちらにはこう描いてあるのです。 #ナレーション。オールドラントは預言遵守の世界だったが、従い続けるままでは世界が消滅すると判明して撤廃が決まった、という解説に続けて これ自体は原作ストーリーの解説として全く間違っていません。しかしこの「敵の理屈」は、ヴァンのものなんですよね。モースではなく。 ではこの外伝は、「モース死亡・ヴァン復活」時期のもので、冒頭のティアの台詞もイラスト通り、モースではなくヴァンのことを指していたのでしょうか? つまり、ヴァンは「世界の変化を阻む者」? ……とても大雑把に考えれば、世界を変えるために活動しているルークたちの敵は全て「変化を阻む者」と言えるのかもしれません、が……。どうも納得できません。だって会話の流れは「預言撤廃こそ望ましい世界の変化→それを阻む者がいる」でした。ところがヴァンはルークたち以上の、超過激な「預言撤廃派」でしたよね。預言に頼らない新しい世界を作るために、手段を選ばず暗躍していた、はず。 ヴァンとモースがごっちゃになっていると思いました。会話部分では「中ボス・モース」の話をしていて(しかしイラストはヴァンなので紛らわしい)、ナレーション部分では「ラスボス・ヴァン」の話をしている、よーな? これが普通の商業二次なら「あ、ちょっと勘違いしてる」で済ますところなんですが、設定を世界で一番知っている原作メインシナリオライターさんの手によるものなんで、結構ドキッとしました。私はヴァン(ラスボス)の目的を把握できていなかったのか? 感想・考察サイトなんてやってて、実は基本部分でとんでもない勘違いをしていて、それを恥ずかしげもなく晒していたんだろうか、と。ちょっとゲシュタルト崩壊気味に(苦笑)。
ところで私、「新生ローレライ教団」はあくまでモース率いる離反軍の名称だと思っていました。原作ゲームでは、モースの死後はヴァン側もルーク側も誰も、エルドラント勢力をその名で呼んだことが無かったからです。 ですからこの外伝で、モース抜きのヴァン一派も「新生ローレライ教団」と呼ぶものだと知って驚きました。原作完結から四年も経って初めて知った事実です。そうだったんか……。 誰よりも世界の変革を望み、預言を憎み、最終的にローレライを消すつもりだったヴァンが、「預言絶対遵守を唱えた新生ローレライ教団の一員」として歴史書に名を残したとは。なんか皮肉。
ディストの遺品中の書類袋に「極秘 重要資料 絶対見るな 見た奴は華麗に殺します」と過剰に書いてあり、ルークは逆に開けてしまう。 原作ゲームで、ディストの手紙に「あれ(飛行譜石)はダアトにはないのだ。絶対ダアトにはないから早く来い!」と過剰に書いてあったり、マ王外伝漫画4でディストの部屋の扉に「ただいま華麗に研究中 邪魔する者は華麗に殺します」と掲げてあるエピソードの踏襲になるのでしょうか。ずっと見てきたファンなら一段深くニヤリとできる仕様ですね。 ちなみに他の遺品は、写真立て(?)、教団の制服、復讐日記、タルロウX(?)の設計図、トクナガの設計図。 ネフリーが手に持ってる写真立てらしきもの、写真は見えませんが、きっとネビリムや幼なじみ達と共に撮った子供時代のものなんでしょうね。教団の制服は詰め襟で、ディストがそれ着てる姿を想像したら笑えました。黒い本は表書きの文字が印刷の潰れで殆ど読めないんですけど、多分フォニック文字で「Revenge diary」と書いてあるので復讐日記かと。想像以上に立派な装丁で、重そうで角で人が殴れそうで、禍々しい黒でビビり。読んでみたいけど怖いです。そしてトクナガの設計図。内部に歯車が描かれてあって衝撃を受けました。トクナガって中に歯車入ってたのかー! 分解したい! と、一瞬、脳内でガイが叫びました。
それはそうと。こういう根本部分への疑問は言っても意味がないとは分かっているんですが。 どうしてルークたちがディストの遺品を届けているのでしょうね。そんな立場でもないのに。 って、メタ的に見れば《原作とは違う形でネフリーとネビリム関連の会話する状況を作るための方便》に過ぎないのだろうと思います。或いは、原作ゲームの没イベントの中に「ディストの遺品を届ける」なんてものが存在していて、そのサルベージなのかもしれませんが……。 ある程度の縁がある以上、敵対者であっても殺し合いの果てに心に傷を受けて当然とも言えます。けれど原作ゲームでは、アクゼリュス被害者の遺族に遭った時も、シェリダンの惨劇の時も、フリングス将軍が死んだ時も、「悲しみにとらわれるより今すべきことを優先しよう」と尻を叩く論調だったんですよ。味方側の大切な人が亡くなった時さえ、悼む余裕なく駆け抜けてきたんです。ちゃんと悼めたのは最も近しい仲間だったイオンくらいでしょうか。なのに敵で真正の犯罪者たるディストのために、他にすべきことを後回しにしてまで遺品届けを買って出るのかと。ディストは「ジェイドの友達」だから? もう一つ。どうしてローレライ教団は遺品をルークたちに託したのでしょうか? ディストは世界に宣戦布告中の危険組織の一員です。しかも、遺品の中に「ネビリムのレプリカ情報」が入っていました。これは(トクナガの設計図もですけど)軍事機密に属するものではないでしょうか。特に、今はレプリカが世界を脅かしている時です。しかし何の検閲もされた様子なく、「遺族に渡すものとして」教団の外に持ち出されている。ディストやジェイドにしか解らない暗号で書かれていたとか一見判らないように封印されていたならともかく、ルークにすら読める形なのに。仕事しろよ ライトファンタジーですし、エピソードを紙数内に解り易く詰めることが最優先だったんでしょうから、固いこと言っても仕方ないですけど。(^ ^;)
ディストの遺品がネフリーに渡される意味について、最初、ちょっと考え込まされました。まずは知事のネフリーに渡して、彼女からディストの家族または親族に渡されるのでしょうか? でもその辺は何も語られません。 雪国組は、ジェイド&ネフリーもディストも、親について全く口にすることがないので不思議な感じです。てっきり早くに亡くなっているのかと思ってたら、外伝にはチラッと出てくるんですよね。普通に健在らしい。つまり、完全に没交渉なだけってことでしょうか。
夜更け、街に出て行くジェイドをホテルの部屋の窓から見下ろして気付くルーク。これはアニメ11話の、「夜更けに知事邸に出かけるルークを、ホテルの窓からジェイドが見ている」シーンの反転踏襲ですよね。アニメを観ていたファンは、これまたニヤリと出来る仕様。まんまと私もニヤリ。
ジェイドを追うと、ネビリムの墓碑の前に立つ彼を見つけ、そこが私塾跡だったと教えられます。その際、「ケテルブルクの街なか(ホテルの近く?)」→「木々に囲まれたケテルブルク広場」の順で背景コマが表示され、「木々と柵の前、街灯に照らされたネビリムの墓碑」が描かれる。
原作ゲームでは、幼いジェイドとディストがケテルブルク広場でネビリム復活を誓い合ったらしき示唆がされています。それを踏まえてアニメ11話の感想に、ケテルブルク広場はネビリムの私塾の跡地なのかもしれない、という想像を書いたことがありました。そんなわけでこの場面を見た時、想像が当たった! と大興奮したんですけども。 冷静に考えてみたら、ケテルブルク広場の背景コマの次に描かれたからって、墓碑のある場所がそうだと言い切れるわけではなかった……。ケテルブルクの景色ってどこも似たような感じですし。 逆に言うと違うと言い切ることもできませんから、私は勝手にケテルブルク広場だと思っておきますが!(ヤレヤレな奴で済みません。)
もし墓碑の場所がケテルブルク広場ならば、知事邸が襲われた騒音と悲鳴が聞こえたのは凄いなあと思います。かなり離れているので。夜中で、雪が降り積もってるから無駄な音が吸収されてたのかな。いやいや。ジェイドは数キロ離れていても妹の悲鳴を聴き分けられるデビルイヤーの持ち主なのだ、とか。なにしろジェイドですから(笑)。
夜中にジェイドを追ったルーク。こんな時間まで起きていたのは障気中和の後遺症で眠れなかったからだろうと見抜かれます。たまに体の さて。前述したようにこの漫画、第1話の時点では障気中和後のどの時期なのか判然としていませんでした。ですからどうということもない場面だったのですが、最終回でアニメ22話と23話の間(プラネットストーム停止前)の話だと判明して、それから読み返すと「あれ?」と思わされました。 アニメ版だと、第22話のラストにルークが音素乖離を起こしていると判明。秘密を知られたのはジェイドにだけ……とルークは思っていましたが、実は物陰でティアとミュウが立ち聞きしていて、第24話でそれを知る、という展開になっています。 つまりこの時点では、《ミュウがルークの音素乖離を知っている》ことを、ルークもジェイドも知らないはずなんです。なのに二人とも平気でミュウの前でその話題を口にし合っています。おかしいですよね。(^_^;) ミュウは所詮どーぶつですから、秘密にする価値がない、眼中外ってことなのかしら。 なんつって。連載開始時には物語の厳密な時期を決めていなかったってことかもですね。最終回で時期を明確化したために生じた小さな齟齬、って奴でしょうか。
「傷ついた麗人」の印象が強い本作ジェイドですが、殆どの回にちゃんと、飄然とおちゃらけるジェイドのシーンが設けられています。それをチェックするコーナー(笑)。
賊に襲われたネフリーが、頭から流血するほどの大怪我を! 抱きかかえて安否を問うたルークに向かい、サフィールの遺品が盗まれたと彼女は告げる。驚くルークの傍らでジェイドは飄然と……。 ジェイド「ふむ」「悪趣味な強盗ですね」「あんな物が欲しいとは」 これってただおちゃらけたのではなく、ジェイドも賊の目的はネビリムのレプリカ情報ではと気付いたけど、直視したくなかったからモニャモニャ埒の明かない態度とって逃避した、という意味の場面なんでしょうか? 長髪時代は役に立たないお子ちゃまだったルークが、ここでは率先して賊と戦い、ネフリーを抱き起こして声をかけ、グズグズ屁理屈こねて役に立たない大人に見切りをつけて助けを呼びに走っています。偉いぞルーク! そして今回は駄目な大人だなあジェイドさん。 ルークに「ネフリーさんを頼むぞ」と指示されて「言われなくても」云々と返しちゃう辺り、子供じみた反骨心発揮しちゃってしょうもない。(^_^;) 親しみは持てますけど♥
第2話共に過ごした時間の分だけ 流血するほどの怪我を頭に負ったネフリー。ルークが呼んだナタリアが治癒術を用い、綺麗に傷を治す。 倒した賊の身元は特定できず、逃亡した賊は捕まらなかった。彼らの目的は判らない。だが、遺品中で利用価値のありそうなものはネビリムのレプリカ情報くらいだ。なのに何も言わないジェイドに業を煮やし、ルークは自ら仲間たちにそれを話すと、なおもこの問題から逃げようとするジェイドに強く迫った。 「ジェイド!」「俺は 誰かがネビリムさんのレプリカを作ろうとしてる気がする」 ようやくジェイドも重い腰を上げた。 ピオニーは快諾したが、引き換えと称して自分のペットのブウサギの散歩を命じた。暴走したブウサギに仲間から引き離されたルークは、庭園の奥でピオニーに出会う。 「――そうだな」「だからルーク」 ルークが快諾すると、小さな子供にするように頭を撫でて覗き込み、微笑んでこう続けた。 「おまえはレプリカかもしれんが「偽者」じゃない」 感激するルーク。そんな二人の会話を、秘かに立ち聞きしているジェイドなのだった。 ブウサギの散歩も終わり、やっとマルクト軍本部の情報部へ。現れたのはジェイドの士官学校時代の同期であり旧友、ジャスパー・カドガンだった。彼は、ルークたちと軽口をたたき合うジェイドを見て「変わった」と驚き、士官学校時代はまるで「手負いの獣」のようだった、と語リ始める。 ※幼き日のジェイド…彼の胸中にはどんな思いが―――? 連載第二回です。漫画の後に特設コーナー1P。ジャスパーの設定画とアニメDVDの紹介でした。 設定画は単行本上巻にも、数を増やして収録されています。ジャスパーがジェイドと同い年で、出会った当時14歳だったこと、髪は黒で瞳は緑という色設定が解説。単行本の方には漫画家さんのコメントが付け加えられて、ジャスパーのデザインに「くたびれたブラッド・ピット」という指定があったことが明かされています。
今回のワタクシ的見どころは、仲間キャラを含めたコミカルシーンが多いところ。『アビス』 ファンなら誰もが楽しめる回かと。
延々とおちゃらけ会話を続けて話を脱線させるピオニーとジェイド。真面目なガイが諌めますが、からかいの鉾先を向けられた上にますます脱線。ガイはとうとうキレてしまうのでした。 という愉快なエピソード。同系統のものが『ファンダム2・ジェイド編』にありましたよね。この人たち相変わらずだ♥ と楽しく読めました。贅沢を言えばアニスにも絡んでほしかったですけど、そうなると収拾がつかなくなってたか。(^ ^;) ガイ「陛下…ジェイドも」「じゃれるのはそのくらいにして そろそろ本題に…」 ルークが遠慮も委縮もなくピオニーに食ってかかってて、何度もポンポン言い返してるのは少し珍しい。ここはジェイド&ピオニー組(韜晦)とルーク&ガイ組(正統)に分かれて対抗してる感じ。 こうして二組の親友コンビを見ていますと、それぞれのカラーがあって面白いです。 普段は嫌味(?)を言い合い不毛な会話を繰り広げるくせに、いざとなると結託してくるタチの悪い(笑)ジェイド&ピオニー組。対してルーク&ガイの感性はまっとうなんですが、よく陰で二人頭を突き合わせては、何か(大抵はジェイド)への突っ込みをヒソヒソ言い合っている(笑)。 原作ゲームの《ディストの連絡船襲撃》で、しょーもない会話を延々続けるジェイド&ディストを見て、ルークとガイがしゃがんで頭突き合わせて、ル「あ、あほらし……」ガ「こういうのを、おいてけぼりって言うんだな……」と言い合ったり、トクナガの製作者がディストだと明かされるフェイスチャットで、ディストがいかにジェイドに固執していたか変人かをアニスが語ると、ル「この街の天才ってのはどっちもあれだよな」ガ「まあ、な」とヒソヒソ言い合ってたりしましたけど、本作にも類似ノリのエピソードがありました。 #士官学校時代のジェイドは今とは全く違う雰囲気だった、と語るジャスパーに対して 原作の前述エピソードが好きだったので、ニヤニヤできました。可愛いなぁ♥♥ そして原作から並べてみると、ジェイドに対してどんどん遠慮がなくなってきているガイであった(笑々)。 ルークとガイはお屋敷時代も、例えばラムダスあたりのことをヒソヒソ批評してたんでしょーか(笑)。庭の隅っことかに二人でしゃがんで。
ちなみにジャスパーの言う《ジェイドを貴公子と呼んでいた奴》と言うのは、ディスト(サフィール)のことですよね、本作では明言されなかったですけども。正確には「金の貴公子」と呼んでたんですっけ。自分が「銀の貴公子」で。いわゆる《中二病》って奴ですかねぇ。(ジャスパーの語る過去当時まさに14歳、日本の学校制度なら中学二年でしたな)
ピオニーに命じられ、パーティーメンバー全員で、グランコクマ庭園でブウサギの散歩。 ブウサギのサイズ、中型犬くらいでした。大型犬くらいありそうな原作ブウサギと、太ったウサギか小型犬くらいのアニメ版ブウサギの中を取った感じ。 ブウサギの生態が色々判明。見かけは殆ど豚なのに、食性はウサギ寄りなんですね。生えてる草をモヒモヒと食べ、好物はエンゲーブ産ニンジン。遥か遠くのニンジンの匂いで駆けつけるほど鼻がいい、らしい。(これはブウサギルークだけの特性?) ブウサギルークの赤毛は頭のてっぺん。ちょっと逆立ってて可愛いです。
それはそうと、ブウサギネタなのに(本来のブウサギ散歩係の)ガイが特に絡まなかったのは少々残念でした。ガイがブウサギの散歩に手慣れてるとか、ブウサギたちがガイに懐いてるとか、そういうのが見たかったなあ。ただ、以下のような会話はありました。 アニス「このブウサギたちピオニー陛下のペットでしょー?」「陛下が面倒みればいいのに」 確かに。ガイはマルクト臣下ではあるけど、国政にも参加してる歴とした貴族で、皇帝の雑用をこなす使用人じゃないですもんね。 『ファンダム2・ジェイド編』では、皇帝どころかジェイドにすら(軍人でもないのに)顎で使われていて。そのトホホぶりが彼の持ち味なのかなあと微笑ましく、ちょっぴりほろ苦く思ってたんですが、やっぱガイ自身も、皇帝の使用人扱いされるのは不本意だったのか―…(笑)。
余談ながら。一人が一匹を担当して散歩紐を持っていて、 メンバーそれぞれ、うんざりしてたり戸惑ってたり怒ってたりしてる中、ティアだけは可愛いブウサギたちに囲まれてにこにこ。散歩後には、アニスは「あ゛〜〜 つっかれた〜」とぐったりして(ブウサギ、凄く暴れるそうです)、ナタリアも「ええ… ブウサギの散歩というのは重労働なのですわね」と言ってたものですけど、ティアはやっぱりうっとり思い出を反芻して幸せそうでした♥ ユリアシティに住んでた頃も、ペット飼いたかったんでしょうね。でもあそこは生活環境が厳しかっただろうから無理だったんだろうな。
突如暴走したブウサギルークが、ルークを引っ張って庭園の奥に消える。実はピオニーがニンジンで呼び寄せていて、ジェイドを気にかけてやってくれとルークに頼む。その会話を隠れて立ち聞きしているジェイド……。 後でアニスが怒ってましたが、ジェイド、自分が担当してたブウサギの散歩紐をベンチにくくりつけて姿を消しちゃってたんだそうです。つまり、他のメンバーに内緒でルークの後を尾けたって事ですね。 このシチュエーション、アニメ14話を思い出しました。仲間たちの中から抜け出してヴァンと密会してたガイを、何故かジェイド一人が追っかけて物陰から盗み聞きしているとゆー。 アレは(どうして当事者たるルークではなくジェイドなのか、という意味で)違和感(と、悔しさ・苦笑)があったんですけど、今回のはまさにジェイドが当事者なので、そういうのはなかったです。(例えば、立ち聞きしてるのがガイだったら物凄く変だと思ったでしょうが。) なお、《ピオニーがブウサギを口実に仲間たちからルークを引き離し、ジェイドへの心配を吐露。ジェイドはその会話を盗み聞いている》という骨子部分は、『シナリオブック』にも収録されている、原作没イベントを元にしているっぽいですね。
(かなり漫画チックな策略で)ルークと二人きりで話す場を設けたピオニー。ジェイドが再び 「だからルーク」「ジェイドを見ていてやってくれ」 「はい!」と、強い瞳で応諾するルークなのでした。
原作屈指の名シーンと言えば、光射すセレニアの庭で、髪を切ったルークに「これからの俺を見ていてくれ」と訴えられたティアが「見ているわ、あなたのこと」と返す、あのシーンかと思います。「見ていてくれ」という言葉は二人の重要なキーワードとなり、「約束したわ。あなたを見ているって」だとか「ずっと見ててくれたから……」などと、物語中で何度も繰り返されました。 で。本作のこのシーンはやっぱ、それの変形踏襲……なんだろーなー…。 ここは、かつては「見ていてくれ」と頼む立場だったルークが、人から「見ていてやってくれ」と頼まれる立場になった、その成長を喜ぶべきシーンなのかもしれません。 しかし、しかしなんだか、……うーん。複雑でした……。 原作本編でも、ティアの他にガイに対して、ルークが「見ててほしい」と言うエピソードがあるんですが、地味にサラッと描かれています。ところが本作本場面は、《セレニアの庭のルークとティア》に準じるくらい美しく、情感強めに演出されていて。光射す庭園! 吹き出しに特殊トーンで強調される台詞! その後は、ピオニーが美しく微笑む大アップに沢山の葉っぱが風に舞い散ってたりしますし。 少女漫画ですから繊細な手法を使うのも、盛り上げるべき場面をそう演出するのも、当たり前のことです。なんだけど……。 うーん。ヒロインとの名シーンを、そればりの演出でおっさんと再現………、か……。(;一_一) 実はこの辺りのシーンが、本作に対して「なんか ……いやいや。 最終回見るにシナリオ的には《ルークはジェイドの子供》という位置づけらしいから、これは《お父さんが変なことしないか見ていてねとお母さん(お祖母ちゃん?)が子供に頼む場面》なのかしら。ピオニー陛下ってジェイドの友達と言うよりはカーチャンみたいじゃないですか? この辺りに関しては、別角度からも思うところがあったので、全体感想の方でも触れたいと思います。
マルクト軍本部情報部の待合室(?)での会話が印象的でした。 #ティア、落ち着かなげな様子 原作はゲームシナリオでしたからシステムが優先で、辻褄の細かいところはあまり描写されない仕様だったんですが、表現媒体が移行すると、こういう風にちょっとした設定フォローが入るようになるんだなあと。 とは言え、原作では情報部へ直接行くことはなく、ジェイドの執務室に資料が届けられる展開でしたから、こんなフォローは必要なかったってだけかも。
ジャスパー登場。物語の核心に近いところに関わるオリジナルキャラクターです。ジェイド&サフィールに対し《準ピオニー》的キャラ位置にいるんですが、決して出しゃばらず、常にピオニーより下にいて、彼の立ち位置を食うことはありませんでした。裏を返せば、ピオニーが出てくると完全に無力な傍観者になり下がってしまいます。 ちなみにジェイド&ピオニーに対しては《ガイもどき》の位置にいて、ガイはちょっと立場を食われてたかもしれません(苦笑)。
性格のねじ曲がったところは相変わらずだな、と遠慮なく軽口を叩く彼に対し、ピオニーやディストへのように減らず口を返すでなく、柔らかな微笑みを見せるジェイド。その表情一つで、ああ信頼してるんだなー、気の置けない友人なんだなあと伝わってくる感じでした。癒し担当? ちょっと別格っぽい。 でもジェイドとジャスパーって、フォミクリ―研究封印後は殆ど顔を合わせてなかった感じですよね。ジャスパーってばやたらと「ジェイドが変わった」と繰り返しますし。ジェイドが(表面的に)今の性格に変わってからもう十三年は過ぎているはずなのに、彼の中では時が止まっているんだなあと思いました。
ちなみに、ジャスパーとは碧玉のこと。ジェイドや彼の幼なじみ達の名前は寒色系の宝石に因むもので統一されていますが、彼もジェイド絡みの人間ってことでの命名なんでしょうね。
今回はジェイドが飄々とする場面が多かったです(笑)。ピオニーと絡んだからでしょうか。そして同レベルでルークにも絡むのであった。 #グランコクマ宮殿の謁見室を訪ねたルークたちに、玉座から開口一番 #マルクト軍本部の廊下を歩きながら わはははは(^▽^)。何気にエピソードで韻が踏まれてる点がレベル高いですね。
第3話少年が見つめるものは 士官学校時代、班長を務めていた14歳のジャスパーにとって、ジェイドはいささか近付き難い人間だった。 そんなある日、研究院からの帰りが遅れたジェイドとサフィールは門限に遅れてしまう。 ルークたちはジャスパーに案内され、ネビリムの資料を出してあると言う一室に入る。ところがそこにはピオニー皇帝が。抜け道を通って先回りしたのだと言う。 ※「あの事件」とは、いったい…? 連載第三回。漫画の後に特設コーナー1P付き。14歳ジェイドの設定画でした。これも単行本上巻に再録されていますが、そちらには載らなかった設定解説が一つ。士官学校制服の襟の白ラインは「学年が上がると増える仕組み」なのだそうです。実際、ジェイドや彼の同期たちの白ラインは一本ですが、今回登場した上級生(らしき人物)たちは二本になっています。 なお、特設ページは今回までで、以降は全く付くことはありませんでした。
ジェイドとジャスパーは同い年。ジャスパーが14歳の時ジェイドと出会い、それはND1996のことだった。……と、本作では語られています。一年生だと明言されたりはしていませんが、ジェイド士官学校入学はND1996、ということのようです。 原作ゲーム発売後間もなく出版されたファミ通版の攻略本には、ジェイドがネビリムを事故死させたのは12歳の時で、その年にカーティス家の養子になり、翌年に王立譜術・譜業研究院に編入、サフィールと共にフォミクリー研究を行ったと書かれてあります。士官学校のシの字もありません。 一方、その一年ほど後に出版された『エピソードバイブル』収録の小説には、ジェイドがマルクトの士官学校に入学したと聞いてサフィールも追っかけ入学、卒業後にはジェイドと共にフォミクリ―研究を行うよう命じられた、とあります。こちらには研究院のケの字もありません。 一体どうなっているのか? と思っていましたが、本作では《昼は士官学校、夜は帝国譜術・譜業研究院に通っていた》という、ウルトラC的な解決がなされていました。
さて。ファミ通攻略本によればジェイドはND1982末の生まれ。ならばネビリムを死なせた12歳当時はND1994。これは本作にも明記されてあります。その年にカーティス家の養子になり、翌年ND1995に研究院に編入。……そして士官学校入学がND1996ならば、研究院で一年間フォミクリ―研究を行った後で士官学校に入学、しかし研究院も辞めずに二重生活を始めたことになります。何故でしょう? 一般的に、士官学校は普通の中学や寄宿学校よりも過密日課です。(夜間まで教程がある。)国家機密扱いのフォミクリー研究もまた、片手間に出来ることではないでしょう。それに、どんなにしっかりしているとは言え子供。一般生徒の間に放てば機密を洩らしかねません。案の定、ジャスパーに洩らしていました。カーティス家(マルクト軍)は何を考えてこんな特異なことをさせたのでしょうか。
カーティス家はジェイドの才能を買って養子にしたと、ファミ通攻略本にあります。《何の才能を》買ったかが知りたいなあ、と思いました。それによって違う妄想が出来るから(笑)。 妄想A ネビリム事件をきっかけに、軍部はジェイドのフォミクリ―研究に目を付けたんだよ系 妄想B 軍はフォミクリ―なんてどうでもよかったんだよ系 とりあえず、私の貧しい脳に浮かんだ妄想はこれくらいです。実際はどういうことだったんだろう?
容姿も地位も友人も全て一流のジェイド。才能も例にもれません。世界的に畏怖される優駿な軍人で、かつ、世界的に畏敬される天才科学者でもある。ただ、双方のキャリアを同時に積ませているが故に、多少の不自然感が出ているようにも思いました。 例えばファミ通攻略本には、ND2002のローテルロー橋の戦いがジェイドの初陣で、譜術一発で戦局をひっくり返す、非常に華々しい活躍をしたと書かれてあります。ところが本作も参照するにジェイドがフォミクリー封印したのはND2003末。つまり、研究半ばで研究者の立場を持ったまま前線に出て戦ったことになる。 それほど戦局が厳しく兵士が不足したということかもしれませんが、ジェイドは(戦局を好転させる可能性のある)国家機密研究の中心人物で、替えの効かない天才、なのでは……? 尤も私は物知らずですから、そういうことは現実でも当たり前なのかもしれないです。
ジェイドは本編登場時35歳。士官学校卒業後に研究院に入って本格的な研究を始めたとか、研究封印後に陸軍大学に入ったとか、或いは単純に士官学校内の工兵科に所属していたなんて経歴にしても辻褄は狂わなかったはずですが、そこをあえて、幼い頃から軍も研究も別途かつ平行にキャリアを積んでいたと語る。どちらも高い名声を伴う成果で。 まさに本作中で語られていた通り、「カーティスは「特別」だからな」ということでしょうか。
ジェイドもディストも12歳当時は裸眼で、14歳では揃って眼鏡をかけていました。 原作本編によればジェイドの眼鏡は伊達。両眼に施した譜眼が では、ディストの眼鏡は何なのでしょう? ジェイドを追いかけるためガリ勉して目を悪くしたのかなと思いきや、視力が悪いと軍人になれないと原作で語られていました。老兵の老眼ならともかく、士官学校入りたての少年兵の視力が低いのは流石にマズい。では、こちらも伊達眼鏡? ……もしかして、ジェイドとお揃いのファッションにしたくて伊達眼鏡をかけたのかなあ。フレームデザインが違うのは、そこまで揃えるのをジェイドが許さないからで(笑)。 そこまで考えて思いました。もしかしてジェイドの眼鏡を製作したのって、ディスト? 譜眼を制御する譜業技術ってかなり特殊です。ディストは譜業の天才という設定ですし。で。妄想ですけど、ネビリム先生を音素暴走で事故死させた後に制御眼鏡をかけるようになってる点から、音素暴走がジェイドにとってトラウマになってたんじゃないかと思うのですね。それでディストが作ってやって、ジェイドも比較的素直にそれを受け取ったのかなあ、なーんて。 眼鏡はジェイドとディストの絆の証だったのでした……、なんてことだったら濃過ぎですか。(^_^;) こんな風に考えていくと、ディストの眼鏡も何気に譜業仕掛けで特殊機能がありそうですよね。電脳眼鏡とか。
ジェイドと親しくなったことで、学生時代はサフィールに数々の低レベルの嫌がらせをされた、と苦笑いするジャスパー。するとジェイドが満面の笑みを浮かべつつ言い捨てます。 「虫唾が走りますね!」 同じ台詞が原作ゲームにあります。フェイスチャットで、いかにディストがジェイドに固執していたかとアニスが語ると、ジェイドは朗らかに「……虫唾が走りますね」。声優さんの演技が独特で、台詞の前に「んふっ♥」と、変な吐息が入ってましたっけ(笑)。 ところが、それを聞いたジャスパーが指摘します。「そう言うけど あの当時はなんだかんだ言いつつ 結構サフィールを助けてやったじゃないか」と。 彼が言っているのは、門限破りして上級生に絡まれた時、サフィールが殴られた途端に豹変、上級生たちを叩きのめした件のようです。けれど漫画を見る限り、サフィールが殴られたことよりも、彼の持っていた小型のフォミクリー試作機が壊れたことに激怒したように見える……よなあ? と思ってました。 でも回が進んで第7話になると、レプリカネビリムにディストが倒された途端、やはり豹変するんですよね。非常にきつい啖呵をきりさえする。 ……あれ? もしかしてジェイドって、マジで、ディストが特別に大切? 王様と下僕のように命令して荷物を持たせて、普段は邪険にしてるけど、彼が傷つけられると激怒せずにいられない、と。 ゆ、歪んだ……、ゲフン。いえ。そうだったんですか。 んじゃ、ディストが主張する通り、ジェイドとディストは《親友》でいいじゃん。 ……いや。原作フェイスチャットで、自分はディストの「飼い主」だと言ってましたっけ。友情よりももっとネバっこくて濃い〜のか。 ルークとガイが「こういうのを、おいてけぼりって言うんだな……」と呆れてましたが、まさに犬も食わないナントヤラだったんですね。今更ですが、特殊な関係だよなあ……。 『マ王』外伝2で、オリジナルイオンがアリエッタを「ペット」呼ばわりして、僕のペットを殴っていいのは僕だけだと、彼女を傷つけた賊を一撃殺してましたけど、そういう関係性がシナリオライターさんの萌えの一つみたいですね。
士官学校時代、上級生に殴られて腫れたサフィールの頬を、ジャスパーが治癒術で癒す。それを見たジェイドは驚いた様子で目を見開き、「 ここ、普遍的な《単体で笑っているネビリム》のイメージイラストが添えられますけど、シナリオ的にはアニメ11話の、《転んだサフィールの怪我を治癒術で癒すネビリム》のイメージを重ねてたりしたのかも? と妄想しました。
ジャスパーの案内で情報部の一室に入ったら、ピオニー陛下が先回りしていました。彼曰く、抜け道を通ってきたとか。 ここで言う抜け道とは、外から窓に立てかけた梯子。原作だとジェイドの執務室に突如出現するだけですけど、実は抜け穴が掘ってあるんだとスタッフインタビューで語られてましたっけ。流石に情報部の一室にまではトンネルは掘ってないか。 ピオニーが先回りした時間差は僅かなものだと思うのですが、もう机の上に揃えてあった書類が読み散らされてぐしゃぐしゃ、何故か椅子まで一つひっくり返っていたり。そしてピオニー自身は机に座っているとゆー。(ルークたちが入ってきたら椅子に座りなおしていました。)この人の散らかし癖は決してブウサギのせいなんかじゃねぇ。天賦の才能だぜっ。
ジャスパーを「グッドJC」、ジェイドを「イビルJC」と呼ぶピオニー。ジェイド曰く、どちらもイニシャルが「JC」だったことから士官学校時代に付けられたあだ名だそうな。ジェイドにこういう系のあだ名をつける人(同期生?)がいたとは、ちょっと驚きです。実は普通に学校に溶け込んでいたのだろうか。 このあだ名、かなり浸透していたようで、次回分見るに現役時代のマクガヴァン元帥すら使っていました。 グッドは「善良な」、イビルは「邪悪な」という意味。対照のあだ名を付けられるってことは、よっぽど一緒に行動してて、かつ、対等だったんですね。やはり常に一緒のサフィールは「金魚のフン」呼ばわりだったのですから。
イニシャルとしてアルファベット文字が連呼されるので、少し違和感がありました。『アビス』世界の文字はフォニック文字なのに……。 なーんて、固いこと言うなよ読者のために地球の言葉に置き換えて表現してるだけじゃないか、と怒られちゃいますね。ただ、作中の墓碑や書類等、画像中の文字は全てフォニック文字にしてある凝りようだったのに、ここだけ画像でもアルファベットで名前の綴りが書かれていたもので、少し気になってしまったのでありました。
今回は特にありませんでした。強いて言えば、前述の「虫唾が走りますね!(暗黒微笑)」のシーンくらいでしょうか?
第4話清浄の そういう話は私がいない方がしやすいでしょうからとうそぶき、ジェイドはその場から逃げるように立ち去った。黙って後を追い、部屋を出るピオニー。 何体ものレプリカが作られたが ピオニー「おまえは何回ネビリム先生を殺せば気が済むんだ?」 ジェイドは研究をやめず、一年前にホド島を消失させた疑似超振動の記録を元に、自分自身の記憶からネビリムのレプリカを作る方法を思いつく。ジャスパーの反対とサフィールの躊躇を押し切って実験は強行された。 病室にやってきたピオニーは、ジェイドの顔を容赦なく殴って怒鳴りつけた。 「いい加減にしろ!! 死んだ者はどうやったって生き返りはしないんだ!!」 ジェイドはゆっくりと答えた。それまで幼馴染みに向けていたものとは異なる口調で。 「……そうですね」「本当に」「もう」「終わりにしなければいけないんでしょうね…」 彼は悟ったのだ。己が《永遠》を求めていたことを。けれど生前のネビリムが教えてくれた通り、変わらないものなどない。人は必ず死ぬ。そして時はうつろっていく。どうあがこうとも、それを変えることはできないのである。 それからほどなく、ピオニーに殴られた痕も消えぬジェイドがサフィールに研究の中止を告げている場面にジャスパーは出くわす。納得せず、先生が死んでからジェイドは心を閉ざした、先生が生き返ったら元に戻ると訴えるサフィールに、ジェイドは淡々と語った。人は変わる、私は元には戻らないと。「さようならサフィール」と告げられショックを受けて彼は駆け去るが、ジェイドはあえて追わない。放っておけずにジャスパーが追った。 ジャスパー「…なあサフィール」「どうして過去ばかり見るんだ」「 頑なに過去を求め、《永遠》を諦めきれないサフィールは、この国を出て一人でも研究を続けると決断するのだった。 ※訣別の時…!! 連載第四回。物語前半のクライマックスで、ここまでが単行本上巻に収録されました。 ジェイドがフォミクリー封印した経緯という、恐らくジェイドファンが最も知りたがっていた垂涎のエピソードです。 けどそれ以上に、一部ファンには若きジェイドの手術着姿やコード付き首輪、返り血浴びや流血が話題騒然となった回、なのかも……?
今回ジャスパーが語る過去はND2003末。前年に崩落したホドについて、彼とマクガヴァン元帥(当時)が会話するシーンがあります。 老マクガヴァン「ホドは酷いことになってしまったな」 原作ゲームの時点では、ホド島で行われていたのはフォミクリ―研究だと語られていました。当時11歳だったヴァンを被験者にして実験を行っていたと。ピ「ホドではフォミクリーの研究が行われていた。そうだな、ジェイド」ジ「戦争が始まるということで、ホドで行われていた譜術実験は全て引き上げました。しかしフォミクリ―に関しては、時間がなかった」という念押し会話さえあったものです。また、ホド島と住民のフォミクリー情報を採取させたのは自分だと、ジェイド自らが語ってもいました。 ところが、一年半後に出版された『バイブル』小説では、ホドで行われていたのは超振動実験だったと語られたのです。一応、実験の指示を出していたのはジェイドだったとか、マルクト軍は《超振動とフォミクリー》の情報を隠蔽するため人為的に疑似超振動を起こしたとも語っているのですが、フォミクリ―は二義的なもので、メインで行われていたのは超振動実験だという語り口です。ヴァンも、《フォミクリ―被験者》ではなく《超振動の実験体》だったとされました。 そして本作。ホド崩落について、ジェイドもその補佐官のジャスパーも他人事の顔をしています。ホドでフォミクリ―実験が行われたなんてことは全く語られません。辛うじて、ホド島のフォミクリー情報の存在だけは消されていませんけども。 なんだか、設定をずらして変えようとしているように思います。ホドでフォミクリ―実験が行われていたことを、無かったことにしようとしているような。 無論、作品をどう変えていくかは作者の裁量であり自由です。けれど読者としては、前提的な設定を変えて行かれると困るなあ、というのが本音です。ただでさえ
皇太子時代のピオニー登場。彼の衣装はアニメ11話のデザインですが、コートの中の服を新しく設定しています。単行本収録設定画に添えられた漫画家コメントによると「なんだかギャル男っぽいですね;」とのこと。 アニメ11話の若きピオニーのデザインって、『マ王』外伝3のそれが元になってると思うんですけど、次々デザインし直されていく結果になったんだなあ。
『マ王』外伝3では、ピオニーが父帝に呼び戻されグランコクマに戻る時、迎えに来た兵団の中にジェイドの姿があります。一方、本作のジェイドはピオニーが研究院を訪ねてくるまで帰還を知らなかったことになっていました。 他にも先行作との細かな差異を挙げるなら、本作のジェイドは完全にピオニーに背いて手紙も封を切らず燃やしていましたが、『バイブル』小説やファミ通文庫外伝小説では、最初の頃こそピオニーの手紙を無視していたものの、ホド崩落後辺りから手紙のやり取りをし、抜け穴を通って軟禁されているピオニーに会いに行っていたと語られていました。 この違いは、漫画用にまとめ直した結果なのでしょうか。
ピオニーに、「ジェイドの友達なら俺の友達だ! ピオニーって呼んでくれよな!」とバンバン肩を叩かれて、カチカチの汗ダラダラになって(ムリです)と内心で返事してるジャスパーが、普通のヒトって感じで微笑ましかったです。この頃のジャスパーってちょうど今のガイと同じ歳なんですけど、比べてみると、ガイは皇帝に対してよく言えば物怖じしない、悪く言えば少し態度デカイですね(笑)。常識にとらわれないルークと共に、面従腹背で育った故なのか。
今回の話を読んで、実はジェイドと対の存在、最も近い存在だったのはジャスパーでもピオニーでもなく、サフィールだったのだなあと思いました。 若い頃のジェイドは人形のようにクールで寡黙で、自分の思いを語ることはなく、それ故に酷く傷つくこともありません。そんな彼が内心に秘めた驕りや陶酔や自己欺瞞…《みっともなさ》を代弁し、代わりに周囲から呆れられ傷つくのがサフィールの役回り。 死んだ人間は生き返らない、おまえは失敗したんだと告げるピオニーに向かい、サフィールは叫ぶ。ジェイドなら絶対に取り戻せる、ジェイドは絶対に絶対に失敗なんてしないんだと。ジャスパーに憐憫の目で見られてしまう彼の一方で、ジェイドはピオニーに何も言い返さず表情も動かさない。美しいまま傷つかない。だってサフィールが代弁してくれているからです。 結局、ジェイドはサフィールを切り捨てて自分を変えるわけですが……。彼がまるで別人のような、飄々と道化じみた振る舞いをするようになったのは、代弁者にして道化幇間のサフィールがいなくなったからなのかも? なんてのは、勝手な妄想ですけども。
ジャスパーの持ってきたホド島のフォミクリーデータを見て、ジェイドは「これだ…!! この方法なら…」と叫びます。力を求め過ぎると滅ぶと言うなら滅べばいい、なんて独りごちて暗黒微笑でジャスパーを ホド島は譜術の素養を持った11歳の子供を音機関と連結して 疑似超振動を発生させることで消滅した ……漫画にこういう突っ込みをするのは無粋ですけども、なぜそうなるのか皆目解らぬ……。 うーん。疑似超振動発生装置ってのは、例えば連結した人間から部分的なレプリカ情報を取って仮想的な完全同位体レプリカを装置の中に作成し、同一の振動を発して疑似超振動を起こすもの……と仮定するとして。同じ装置にジェイドを繋ぐと、なんで完全なネビリムのレプリカが作れるんでしょう? それは普通にレプリカ情報を採取してレプリカを作る方法と、何が違うのか? さっぱり納得できないのに話が進むので、いささか強引に感じました。
そもそも、この辺は原作時点で設定が不明瞭でしたよね。 幼いジェイドはネビリムを譜術で複製した。つまり機械にレプリカ情報を記録したりはしていない。なのにその後音機関で完全なネビリムレプリカを作ろうとしていたと語られ、ディストはヴァンに取り上げられた《ネビリムのレプリカ情報》を取り戻すためモースに協力していました。この《ネビリムのレプリカ情報》とはどこから出てきたものなのか。 漠然と、ジェイドは《天才》だから、自分の頭脳に記憶していたデータを紙なりディスクなりに書き出したんだろうくらいに思ってたんですけども。 本作を読んで思いました。もしかして、およそ十年後のこの時まで、音機関でレプリカネビリムを作る(ジェイドの中の《ネビリムのレプリカ情報》を取り出す)方法が無かったのか? と。 この時作った、すぐに崩壊したレプリカネビリムが、二体目にして最後のレプリカネビリムだったのでしょうか。 ……ああ、いや。ピオニーが「おまえは何回ネビリム先生を殺せば気が済むんだ?」と言ってるんだった。これだと、既に何回か作って失敗していると考えるのが普通ですよね。
研究の中止を告げたジェイドにサフィールが食ってかかるくだりは、『バイブル』小説の焼き直しになっています。漫画用に再構成されているのであれこれ差異はありますが。 原作のディストは、世界の中心がジェイドであるように、私には見えていました。要は、ネビリム復活は《ジェイドのため》なのであり、それを叶えることで《ジェイドに愛される》と思っているのだと。『バイブル』小説にも以下のような一文があったものです。 引用:『キャラクターエピソードバイブル』「Short Story of Dist」(実弥島巧/一迅社/2007年7月24日発売) 引用:『キャラクターエピソードバイブル』「Short Story of Jade」(実弥島巧/一迅社/2007年7月24日発売) けれど本作のサフィールは、少し方向がずれたように思いました。ジャスパーが、どうして過去ばかり見るんだ、今ここにはお前の好きなジェイドもいるんだぜと語りかけると、彼は跳ねのけるように叫ぶのです。「でもネビリム先生がいない!!」と。 『バイブル』小説で語られた心理状態のサフィールなら、「でも今のジェイドは本当のジェイドじゃない!」とでも言いそうな感じがします。あくまでジェイドのためと信じ、ジェイドに愛されるために動いていたのですから。 けれど本作では、ジェイドがいてもネビリムがいなければ不足だと叫びました。ネビリムをジェイドより上位に置いたのです。(無論、ネビリムがいればジェイドはいなくていいという訳ではないでしょうが、今までは何をおいてもまずジェイド、という語り口だったのに。)キャラクターが根底から揺れ動いたように感じましたが、これはどういう意図なのか。 ディストが子供の頃からネフリーに恋していたという新要素も投入していますし、ジェイドに執着し過ぎる(言い方は悪いですが)異常性を薄め、方向転換しようとしているのかなと勘ぐってしまいました。 しかし、ジェイドの顔色一つでネビリム復活をあっさり捨てた本作最終回を見るに、作者さん方はそんなことは考えていないのかもしれません。ただサフィールがジェイドと訣別する展開へ持っていくための、言葉のあや程度のことなのかもですね。
21歳・研究院勤務のジェイドは、他の同僚たちとは異なる軍服を着ています。単行本巻末の漫画家さんコメントによると「ジェイドはこの時点からもう改造制服を着てるとのことで、ジェイドだけみんなと変えています。」だそうです。 ……改造制服!? 確かに原作ジェイドの軍服は、他に登場するどのマルクト軍人とも違っていましたけど……あれって個人的に改造してたんだ!!?? へ、へえー……。色気づいた中高生ならともかく、いいトシしたおっさんが……しかも職場の制服を……。「他の人たちと同じ服なんて着ていられるわけないじゃないですか」って? とゆーか軍隊でそれは許されるのか。そこまで特別扱いなんですか。《 なんて(笑)。無論、最初に《ジェイドのキャラクターデザイン》があって、色んな理由から脇キャラのマルクト軍人は微妙に異なる軍服にデザインされた、それだけのことなんだろうと思います。《改造制服》というのは、ごく軽いノリの補完設定か、単に便宜上の表現なんでしょう。 しかしそういうメタ的な視点をあえて取っ払って考えてみます! 遊びです、ご了承ください。 21歳ジェイドの改造制服って、35歳時のものとはちょっと違っています。実は士官学校の制服に、より似ているんですよね。 学校を卒業し、就職してなお、職場の制服を学生時代のものそっくりに自ら改造しちゃうとは。ノスタルジーでサウダーデ。どんだけ過去が好きな男なんだ、ジェイド。
全くありませんでした。
第5話汝、弱き者よ 話を聞き終わった時、扉をノックしてジェイドが入ってきた。咄嗟にネビリムの資料を隠したルークだが、彼には気付かれたようだ。しかしそれについては何も言わず、ジェイドはジャスパーに感謝を述べた。自分がフォミクリ―問題から目を背けていた間、周囲に睨まれながらも資料を管理してくれていたことをピオニーに聞かされたと。 そんなジェイドの様子を、扉の外から他の仲間たちが窺っていた。ジェイドが戻るなり凄い形相でジャスパーを探しに行ったので、気になって様子を見に来たのだと言う。 軍本部の門まで見送りに出てきたジャスパーは、ルークを呼びとめてこう言った。 「先程言いそびれてしまいましたが」「私はレプリカがあなたでよかったと思ってるんです」 「自分に何ができるのかわからないけど…」と言いながらも強く応諾したルークに微笑み、感謝の言葉を返すジャスパー。 ユリアシティで、一行は ネビリムの言葉は、ジェイドにとって聞き覚えのあるものだった。自らの才に驕っていた幼少時代、彼女にそう諫言されたことがあったのだ。あれは、彼女が自分自身へ向けた言葉でもあったのか……。そしてルークも思っていた。ネビリムとジェイドは似ていると。 それにしても、辛い思い出があるはずのロニール雪山が見えるケテルブルクに私塾を開いたのは何故だったのだろう。噛みしめるようにルークは言った。 「贖罪の気持ち…だったのかな」「自分のしたことを」「いつも忘れないように」 ネビリムの話を終えるとテオドーロは語った。今また、惑星譜術を復活させようという動きがあって頭を悩ませていると。世界を脅かしている新生ローレライ教団に対し、武力制圧を唱える その時、市民が急を報せに駆け込んできた。六神将のディストが街を襲っていると言うのである。 ※ディストの思惑は…!? 一ヶ月の休載を挟んでの、連載後半第一回です。 冒頭3Pがカラー。魔将ネビリムのカラーが見られるのはここ(と、『Asuka』公式サイト)だけ。貫頭外套は紺で模様と縁が薄い紺、タイツも紺、ワンピースや手袋・ブーツは白で、ボタンは紺、縁と紐通し(?)が金でした。
ゲルダ・ネビリムはかつて ティア「ネビリムさんは元々 ローレライ教団の テオドーロ「そして 惑星譜術の最終実験は」「ロニール雪山で行われることになった」 ネビリムの過去の罪って、同じ人がシナリオを書いた『テイルズ オブ シンフォニア』の藤林しいなのそれにそっくりですね。 この辺りを読んでいて、原作初回ロニール雪山でのイオンの話を思い出しました。 「以前六神将がここに来たときは、魔物だけでなく、雪崩で大勢の ネビリムが六神将だったなら、この話は惑星譜術実験事故を指していたと考えることもできるのでしょうか。もしもそうなら、対外的どころかダアト内でも隠蔽され、大量の死者は雪崩によるものとて処理されていたことになります。
ネビリムの過去エピソードの中に、彼女の部下らしい少年教団員が出てきます。彼女の冷徹さに恐れや嫌悪を抱く者が多い中、他心なく尊敬してくれている感じの。(信頼していたらしく、ネビリムは彼にポロリと弱音を漏らす。)本編に、六神将ディストの付き人・唱師ライナーなる人物が出てきますけど、同じような立場の人じゃないかと。 その後、譜術実験失敗後の場面で、呆然と座り込むネビリムの目前で血まみれで死んでるのが、多分その付き人の少年だと思います。服装や髪形からして。 戦場では譜術で大勢の人間を殺して血にまみれても冷然としていたネビリムが、この失敗で研究を封印・退役までしたのは、殺した相手が大切な同朋だったからなんでしょうね。
今更思ったのですが、どうして惑星譜術実験はロニール雪山で行われたんでしょう。大変な機密事項なのに、わざわざ外国で。ローレライ教団の自治区内ではいけなかったのでしょうか。 原作では、惑星譜術の行使には六種の触媒武器と、それをセットする譜陣が必要でした。もしかすると場所そのものも特定されていたんでしょうか。即ち、原作のロニール雪山奥地に描かれてあった譜陣はネビリム達が描いたものではなく、二千年前の遺跡だった、とか。
原作では、惑星譜術は「セフィロトを利用して星の力を解放する」「惑星オールドラントの質量を敵に重ねてぶつける」術だと説明されていました。質量兵器の一種かと思わされますが、隕石(?)を降らせる譜術・メテオスォームとは異なるそうで。要は、疑似的に惑星と同じだけの質量を目標にのみぶつける、という術なんでしょうか? ともあれ、質量をぶつけるならば、対象は砕けるか圧し潰れるかするものだと思われます。けれど本作で語られた惑星譜術は、どうも異なるようでした。ガラスケースの中の実験用チーグルがぐしゃぐしゃになったのを見たネビリムが、こう言うからです。 「失敗だわ」「文献によれば 惑星譜術によって物質は分解され」「跡形もなく消え失せるはずよ」 ……物質が分解……? 跡形もなく消える? まるで超振動みたいですね。
二ヶ月も儚げな憂い顔ばかりしていた反動か、今回は沢山おちゃらけていました。 #ジェイドとジャスパーの会話の立ち聞きを見咎められた仲間たち。ガイ、気まずそうに そんなに顔の話がしたかったのか、ジェイド……。じゃなくて。この期に及んでネビリムの話題から逃げようとしています。(^_^;) でも第3話(ピオニーからジャスパーの献身について聞く)までは、自分が嫌な辺りに過去話が及ぶと、暗黒微笑で威圧して話を止めさせてたんですから(どのくらい威圧的だったかと言うと、ルークなんか、もっとジェイドさんのお話聞きたいですのと無邪気に言ったミュウを必死に止めて「馬鹿!! 死にたいのか!」とまで言ったくらい)、それに比べるとちょっとは柔らかくなった……のでしょうか? ところで、原作では(敵陣侵入時以外は)立ち聞きはマナーが悪いと断固反対だったナタリアやティアまでもが、とうとう仲間に入ってしまいました(笑)。頬染めて気まずそうにしてましたけど。 と言っても、部屋の扉は思いっきり開いていましたし、盗み聞きって言うより、入るに入れなかった……って感じだったんでしょうか。
続いて、ピオニーとのじゃれあい。 #軍本部の玄関に見送りに現れたピオニー、ふざけた態度から一転、真剣な顔で ジェイドがピオニーに対して「親友? 誰が?」と鼻で笑ったのは、ちょっと驚きでした。ディストへの言動と殆ど同じじゃん……! ピオニーは対等かつ頼れる親友、ディストは(ウザいが捨てきれない)手下系の友人だと認識していたんですが、実はジェイドにとってピオニーもディストも同レベルだったの、か……!? それとも対等の親友と思っているからこそ、彼に一方的に説教され・釘刺されてるみたいな状況が嫌だったんだろーか。一種の腹いせ?(笑) んで、ジェイドの左指パッチンで一斉に出てくるマルクト兵の皆さん(笑)。物陰からイイフォームで走り出てくる人、塀を乗り越えてくる人は当たり前。ロープで柱から下りてくる人や床下の扉を開けて出てくる人はまだいいとして、一人、水路の中から飛び出て来てるんですけど。(^ ^;) 皇帝を仕事に連れ戻すために、日夜励んでいるのだなあ。ご苦労様です。(マルクト軍は、この経験を生かして隠密部隊を作るべきだと思う。) ピオニーの脱走癖って、ケテルブルク時代に軟禁から抜け出しては遊んでた(咎められることがなかった)幼少体験が染み付いちゃってるからなんでしょうか。 個人的に、『ファンダム2・ジェイド編』みたいに、ガイにも少し混ざってほしかったので(遊び回る皇帝に焦ったり小言を言ったりとか)、全然なかったのはちょっと寂しかったです。(^へ^)
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