注意!

 

ピオニー

アスキー・メディアワークス/『VIVA★TALES OF MAGAZINE』2012年11月号/実弥島巧

 アスキー・メディアワークス発行のテイルズ オブ シリーズ専門誌『VIVA★TALES OF MAGAZINE』2012年11月号に掲載の、原作世界観の短編小説です。

 この号には「テイルズ オブ Over 30」なる、テイルズ オブ シリーズの30代以上男性キャラを特集した記事があり、その一端として掲載されたものでした。なんと、原作ゲームメインシナリオライター直々の書き下ろという豪華っぷリです。

 

 ちなみに私、この号を立ち読みした時は存在に全く気付かず、一、二週間ほど経ってシナリオライターさんのツイッターで掲載を知りました。ええ? そんなの載ってたかなぁ。と首をひねりつつ、もう一度本屋に行ったのですが、田舎なもので入荷数が少なく、既に雑誌が店頭から消えており、入手にちょっと苦労するはめに。

 そうして入手してなお、どこに載っているのか判らない。小説や漫画が載っている辺りにはないし、この号じゃなかったのか? と困惑しつつ、多分、シナリオライターさんの連載コラム辺りにヒントがあるだろうと踏んだものの、そのコラムを探すのにも少し苦労したりして(苦笑)。

 後でよくよく見れば、表紙や目次の「オッサン特集」のところに「ゲーム本編シナリオライターによるマリク、ピオニーの短編小説も掲載!」などとちゃんと書いてあったのですね。注意力が散漫過ぎです。小説は、他の小説や漫画と同じあたりのページに載っているはずという思い込みで目が滑っていた模様。シナリオライターさんがツイッターで言及してくれなければ、今も気づいていなかったことでしょう。(^ ^;)

 

 それにしても、どうしてピオニーなのでしょうか。オッサンキャラ限定とはいえ、パーティメンバーでもなければライバルキャラでもありません。答えはシナリオライター連載コラム『実弥島巧のモフモフ大行進』に書かれていました。

 ある日、ビバ☆マガ編集部から電話がかかってまいりました。
「実弥島さん、暇ですよね。テイルズのおじさん特集をするのでミニストーリーを書き下ろして下さい」
 え、うん。いや、確かに私はいつでも暇ですけどね……。ところで『おじさん』というと二十八+四〇〇〇歳の人とか、陰険ロン毛眼鏡とか、肉球ダンディとかですか?
「ピオニーで」
 え? ピオっさん!? あの人パーティーキャラでも敵キャラでもないですけど。
「いいんですよ。皇帝なんですから」
 あ、ああ、そうですね。あの人皇帝でしたね。うっかり忘れてました。
 ――と言う訳で、今回ピオニーのミニストーリーを書かせていただきました。

 答えは「皇帝だから」でした!

 や。真面目な話、人気が高いからってことのようです。当たり前ですね(笑)。「オッサン特集」ページに人気投票結果もありましたが、五位に入っていました。他は全員がパーティキャラの中、脇キャラなのにです。スゲー。

 人気トップのレイヴンと二位のジェイドには既に主役の外伝小説や漫画が沢山あります。よって、三位のマリクと五位のピオニーにお鉢が回ったのかなと感じました。四位のローエンが省かれたのは……流石に、孫がいるような歳の老人キャラでは若年読者にアピールし辛いと判断されたから? 或いは、彼主役の外伝が別枠で準備中なのかもしれませんね。

 

 では、小説の内容をば。

 午後二時、待ちかねていた時間が訪れた。ノックされた扉を自ら開いて両腕を広げ、ピオニーは愛しい我が子たちを迎え入れる。

「おーう、おうおうおう。元気だったか? 寂しくなかったか? お父さんは元気でちゅよー」

 五匹のブウサギを抱きかかえて執務室の床に転がり、次々と口づけを落とす皇帝を前に、侍従長や秘書官たちは渋い顔だ。今は十五分しかない私の唯一の休息時間だ、と《皇帝らしく》彼らを追い出して、ピオニーはプウサギのネフリーを膝に乗せて腹を撫で、他のプウサギたちを周囲に侍らせながら、飄々とした口調で語りかけ始めた。

 可愛くない方のジェイド、即ち陰険眼鏡が親書を携えてキムラスカへ向かってかなり経ったが、未だに連絡がないこと。周囲はみな、彼は死んだと言っていること。

「殺したって死なないような奴が死ぬ訳無いじゃないか。お前もそう思うよな、ジェイド」
「ぶひー」

 可愛い方のジェイドに相槌を打ってもらいながら、彼は勝手な事を言い続ける。

 親友の陰険眼鏡が中々帰ってこないから俺の仕事が増える、軍にも目配りせねばならないわ、議会から突き上げを食らうわ、心配で仕事が手につかない……という言い訳で仕事をしたくないから片付かないわ。空が青いのもお腹がすくのも仕事が減らないのも全部奴の責任だ、などなど。

 しかしそんなたわ言をほざきながら、彼の目はネフリーの高級な首輪に埋め込まれた十五カラットはあるトパーズに汚れがあるかどうかを確めていた。あるのを見てとると、「ネフリーは本当に可愛いなぁ」と言いつつ、トパーズを押し込んで捻る。カチッと開いた首輪の一部に隠されていた紙片を、口笛を吹きながらつまみ出した。

 ――侍従の中に謀反人有。内偵中にてお気をつけ召されるよう。

 走り書きは、腹心の一人であるアスラン・フリングス少将の筆跡だ。「ホント……皇帝ってつらいよなぁ……」と呟いて、ピオニーは紙片を丸めるとサフィールに放った。寝そべっていたブウサギは、器用に受け取ると紙片を美味しそうに呑み込んでしまった。次にピオニーは、部屋の片隅にいたブウサギのアスランに近づき、他愛無いことを話しかけながら首輪のターコイズを180度回しておく。

 そこで、再び執務室の扉がノックされた。そろそろ休憩時間が終わります、国防委員会へ向かいませんとと告げる声を聞いて、ピオニーはプウサギたちを一匹ずつ抱きしめ、口づけしてから扉を開けた。

 澄まし顔の侍従長や秘書官たちを見ながら、どうせ俺のくだらない独り言を聞いていただろうに、よく平然としていられるものだ、自分達の戴く皇帝の資質に疑問を抱かないんだろうかと皮肉に思い、

「……いや、もたれてるから大変なんだな」

と独りごちた。

 即位以来、友好的政策へと転換を図り、キムラスカと和平を結ぼうとするピオニーには敵が多い。プウサギの首輪を使った通信は、彼が心から信じる僅かな部下達との連絡手段だった。

 不思議そうにする侍従長の顔を見ながら、ピオニーは考える。見たところ、この人の良さそうな老人が謀反を企む侍従とは思えない。しかし万が一ということもある。彼でなかったとしても、部下から謀反人が出れば、それなりの罰を受けることになるだろう。

――お前も何かと大変だな」と言葉を落として、「でも、一番大変なのはやっぱり俺だ」と、皇帝はにやりと笑った。

「よって明日からのプウサギ休憩を二十分に延長することを要求する」

(あらすじ終わり)

 たくましい人ですよね、ピオニー。周囲は敵だらけ。自分の目から見て人が良さそうに見える人物も疑わねばならない。しかも組織を維持するには、直接的な裏切り者でなくとも罰さねばならない血なまぐさい(?)状況。人がいなくなるのが先か、自分が殺されるのが先か? ルークだったら凹むかストレスで生え際が危険になると思うのですが、彼は平然と笑い、《皇帝らしく、傲慢に》ささやかなワガママさえ言ってのけるのです。

マルクト帝国騒動記』やアニメDVD特典ドラマCDの時も思いましたが、預言スコアで選ばれた皇帝とは言っても安泰ではないんですね。……まあ、シュタインメッツ伯爵のように短剣で突き刺すとか謁見の間で人間爆弾を製造なんてのは極端にしても、ピオニーを幽閉して形だけの皇帝にするとかすれば、「皇帝はピオニー」という預言に反さずに失脚させる方法はある訳ですし……。抜け道はいくらでもあるってことか。怖い怖い。

 

 以下は、細かい感想です。

 

◆物語の時期は?

 この話、原作本編で言うとどの辺りなのでしょうか。

「あの陰険眼鏡、まだ何も連絡してこないんだ。信書(原文ママ)をもってキムラスカに向かってからどれぐらい経ったと思う?」

 陰険眼鏡ことジェイドが親書を持ってキムラスカへ向かっていた時期。ならば外殻大地編ということになります。で、そんなジェイドが「まだ何も連絡してこない」そうで。

 外伝漫画シナリオブック小説を参照するに、グランコクマを発ったジェイドは、まずはダアトに向かい導師イオンを確保。この時点ではマルクトと連絡を取り合っていたはずです。なにせ、この後マルクト領に帰還してタルタロスに乗り換え、エンゲーブで親書を受け取っているわけですから。

 連絡が取れなくなったのは、タルタロスを六神将に拿捕されてから? いえいえ。その後セントビナー駐屯軍基地ペースに入りましたから、ここでも連絡はとれているはず。また、カイツールの検問所を通った時点でも、マルクト側は所在を把握していますよね。

 時間を飛ばして、その後、キムラスカに到着した時点ではどうでしょうか。やはりマルクトと連絡が通じていなければおかしいです。でなければアクゼリュス側がキムラスカの使節団を受け入れることができませんから。

 であれば、カイツール透過〜バチカル到着の期間と言うことになるでしょうか。

 しかし、ならばせいぜい一、二週間程度のことです。しかも途中でケセドニアに寄っていますから、やろうと思えばマルクト側と連絡が取れたはず。なにせ、この時彼らが乗ったキムラスカの連絡船は、特別な航路(マルクト側の領海)を通ってマルクト領事館側の港に着いていました。キムラスカとマルクトが話を付けていたということです。即ち、ここでもジェイドの所在をマルクトは把握していたと見るよりない……のですが……。

 ゲーム内の日付で確認するに、長髪ルークの屋敷への帰還の旅は二ヶ月ちょっと。どう長く見積もっても、ジェイドが連絡不能になったと考えることが可能なのは一ヶ月にも満たない。キムラスカ領に入れば連絡不能になると最初から見こされていたならば、この程度の消息不明で死んだとまで噂するとは、マルクトの廷臣たちはちょっと気が短いかもしれませんね。

 ……これは私の勝手な推測なのですが。

 ゲーム本編の崩落編で、ルーク達が初めてネフリーと会った時、彼女はジェイドにこう言います。

「お兄さん! どうなっているの!? アクゼリュスで亡くなったって……」
「……なんだか途方もない話だけれど、無事で何よりだわ。念のためタルタロスを点検させるから、補給が済み次第、ピオニー様にお会いしてね。とても心配しておられたわ」
「お兄さんが生きていると信じていたのは、ピオニー様だけよ」

 シナリオライターさんはこの辺の記憶が頭にあって、今回こういう小説を書いたんじゃないかと思うのです。

 でもこれ、《親書を持ってキムラスカに向かった》時期の話ではなく、その任務を終えて《マルクト帝国領に帰還したがアクゼリュスが崩落、ジェイドは魔界クリフォトに落ちた》時期の話なんですよね。

 大きく考えれば、キムラスカに向けて出発して以降、ジェイドと会っていなかったのですから、皇帝にとってはどっちでも同じなんだってコトなのかなと思いますが。ちょっと「あれ?」と混乱させられたりしました。

 どーでもいいことにばっか突っ込んですみません……。(-_-;)

 ……まあ、推測の通りならば、これは実際には、アクゼリュス崩落からルーク達がグランコクマにやってくるまでの間、即ち、《崩落編序盤》時期の話ってことになるのかな?


◆ブウサギの大きさ

 指摘している人が結構いる気がするんですが、この小説のブウサギの大きさ、原作とは違いますよね。

 原作のブウサギは、見た感じ、大型犬くらい(即ち、普通の豚くらいに)大きかったです。むしろ子牛くらい大きいようにさえ思えました。

 ところがこの小説のブウサギは、椅子に座ったピオニーが膝の上に乗せて腹を撫でることができるくらいの大きさ。挿絵では小型犬か大きな猫程度に描かれています。あれぇええ?

 うーん。思い返せばアニメ版で、何故かピオニーのペットのブウサギだけ、そのくらいの大きさに描かれてたんでしたっけ。エンゲーブで飼われてたブウサギは原作通りの大型サイズだったというのに謎の現象でしたが。どうも、そのアニメ設定を踏襲してるっぽい。

 ……いえ。文章の方はまだ、大きなブウサギを無理して膝に乗せてたと考えられなくもないのですけど。挿絵は完璧にアニメ設定サイズになってしまっていますね。

 原作設定の公式小説なのに、アニメ設定に食われてしまったんでしょうか。

 些細なことですし、小さい方がペットとしては描きやすいのでしょう。アニメ以前の商業二次アンソロジーで描かれるブウサギだって、小型犬とまではいきませんが中型犬くらいの大きさに描かれがちでした。

 でもこんなに縮んでしまうと、デフォルメを通り越してしまう。原作設定が忘れられていく・消えていくって感じがして、ちょっと寂しいですね。


◆ピオニーは、ペットに「お父さんでちゅよー」とか話しかけちゃうタイプの人だった

 そ、そうだったんだ……。(^ ^;)


◆ピオニーは激務?

 この小説で、ピオニーの勤務時間について恐るべき事実が語られていました。

 なんと、彼の一日の休憩時間は、ブウサギと戯れるたったの十五分しかないというのです。

 えええええっ。

 昼食の時間さえも、誰それとの会食なんかで仕事になってるってことですかね。始業と終業の時間は判りませんが、毎日これでは過労死しちゃいそうです。

 しかし、とても不思議な感じがしました。

 だって、今までの原作ゲームや外伝漫画等のピオニーって、仕事をしていない状態の姿がかなり多かったんですもの。一人でふらっと現れたりとか。あまつさえ、抜け道を通ってジェイドの執務室に遊びに行ったり、お忍びで街に出たりさえしてましたよ。一日十五分しか休憩のない人間のできることなのかなぁ。

 うーん。表向きはそうだけれども、実際は、必要に応じて抜け出しているってことなんですかね。


◆ブウサギ通信

 ブウサギの首輪を使っての腹心たちとの通信。この小説で初めて明かされた(追加された)設定です。

 こんな、ある意味バカげた通信を行わざるを得ないだなんて、思っていたよりもピオニーの勢力は宮廷内で弱いんだなと読み取れて、かなり意外でした。原作本編や以前の外伝では、ワンマンぶりを発揮しつつのびのびしているように見えたので。

 

 つーか。ピオニーの国内での立場って、よく判らないですよねぇ。キムラスカとの和平を推し進めているために議会から憎まれているというけれど、国民には殆ど神様みたいに信奉されてたじゃないですか。

 レプリカ編冒頭、他国の人々がみんな預言撤廃におびえ戸惑っている中、マルクトの平民や貴族たちは「ピオニーが決めたんなら大丈夫」とケロッとしてました。彼は即位してまだ二、三年かそこらでしたよね。たったそれだけの期間でこんだけ国民に慕われるって、一体どんなすごいことをしたのかと思いますが、特に語られていなかった気がします。年金問題でも一気に解決したのだろーか。更には景気をどどんと回復!

 クーデターまで起こして彼を殺そうとする一部貴族たちと、彼を神のごとく絶対視する国民たちと。両極端過ぎる。ありがちなことかもしれませんが、彼がもたらそうとしている変化が急激すぎるんでしょうね。(であれば、国民の中にもピオニーを憎んだり批判したりする層がいておかしくないと思うんですが……。)

 

 それにしても、フリングス少将が内偵を担当していて、ブウサギの首輪で連絡しているというのもとても意外でした。だって、ブウサギの首輪にメモを入れるってことは、普段から、誰もいないときに自由にブウサギに近づけるって事ですよね。で、ブウサギ達はいつも皇帝の私室にいますね。

 でも、フリングス少将は軍人でしょう。まさか彼がブウサギの世話係なんてしていたらおかしすぎますし、日常的に宮殿の方をウロウロしてるだけでもちょっと目立つと思うんですが、そのうえ、皇帝の私室に出入り? ブウサギの首輪を使ってるって細部はともかく、なんか連絡取り合ってるんだなと周囲にバレバレだわい! (『追憶のジェイド』見るにブウサギは結構暴れるそうなんで、よほど懐いてないとこっそり素早く首輪をいじるのも難しそう……。)つーか、彼は隊を率いてる将軍でしょう。いつ軍務をやってるんだ。(^_^;) 

 となると、ブウサギの世話をする人間か、ブウサギに懐かれているメイドにフリングスの部下がいて、メモを渡して首輪に入れておいてもらうってことになるかと思いますが、連絡にそうも何手順もかけるのはどうなんだろう。

 なんかもー、いっそ『追憶のジェイド』オリキャラのジャスパーが担当してたらスッキリする気がしましたが(情報部の責任者ですから、内偵の元締めやるのにぴったりです。表向き失脚してるし動きやすいかも)、彼はあくまでアニメ設定外伝漫画のキャラなのでした……。めんどくさい。

 

 思えばアニメDVD特典ドラマCDで、ガイがそんなことをやらされていましたよね。首輪にメモなんて入れずに口頭での報告でしたが。多分、そのドラマから想を得て今回のこの設定を作ったのかなと思いました。(それとも逆に、原作シナリオライターさんが元々この構想を持っていて、特典ドラマに反映されたのかな?)

 でも、ブウサギを隠れ蓑にしつつ内偵を行うなんて、実際はガイくらい特殊な立場の人にしか出来そうにない気がしますよ。大貴族(皇帝の近くにいてもおかしくない)で、でも年若い新参者(軽んじられておかしくない)で、だからブウサギの世話係なんてのを任されてて皇帝の私室に出入り自由で、軍人じゃない(軍務や軍規に縛られずに動ける)けど軍とも繋がりがあって(ジェイドの友人なので接触してておかしくない)。

 

 ともあれ、今回のこの小説で、ブウサギ探偵ガイ様の前任者(?)はフリングス将軍だったと明かされたのでした。

 そうすると……。

 ガイも数年で次代のブウサギ探偵くんと交代して普通の役職持てるんだよね安心したとか。次に皇帝が飼うかもしれないブウサギの名前はガイラルディアで決定だろうとか(笑)。そんなことが頭に浮かんでは消えました。

 ブウサギのアスラン(フリングス)は、フリングス将軍と目の色が似てる。ブウサギのルークは、(アニメ特典ドラマCDによれば)ルークみたいな赤毛がある。ブウサギのガイラルディアは、どこかガイに似てるんでしょうか?

「こいつはガイラルディアだ。見てみろ、可愛い方のルークの世話ばかり焼いてるだろ」

とかいう理由だったら笑えます(笑)。せめてブウサギのルーク達は仲良く幸せに寿命を全うしてほしいです。


◆ブウサギの名前

 ピオニーが侍従長にこう言う場面がありました。

「ん、いやな。今度新しいブウサギをもらうことになっているんだ。まだ名前を決めていないのだが、せっかくだから侍従長からもらうというのも……」

 レプリカ編から登場する六匹目のブウサギ、ルーク。そうか。こんな頃からもう、皇帝に貰われてくる話は出来上がっていたんですね。

 

 それにしても。話を適当に流すための誤魔化しでもありますが、侍従長の名をブウサギに付けようかなんて言っています。『エピソードバイブル』のジェイド小説に、ピオニーはいつもブウサギに「ジェイドと深く関わりを持った人物の名前を追加していく。」という一文がありまして。個人的に、(暴言失礼)ちょっと気持ち悪いなと思って印象深かったので、今回、あれっと思いました。ピオニーのブウサギの名前はみんなジェイド絡みだっていう設定、やめたんでしょうか。

 個人的にはホッとしました。

 あはは。思えばジェイド小説はジェイドの独白形式でしたから、彼自身はそう思っていたけれど、ピオニーは別にそこまで思ってなかったって考えることもできるのかな。

 その方がいいです。ペットに自分にとって大切な人の名前を付けるのは普通でも、《友達にとって》大切な人の名前ばかり付けていくっていうのは、やっぱなんかおかしいと思うのです。例え友達でなくて恋人でも。それに、その理屈だとフリングス将軍の名も付けられてるのがそぐわない感じになりますし。(フリングスとジェイドの間には、人生を変えるほどの因縁を感じない。)


 以上で終わりです。

 意外に公式外伝小説が続きますね。『ツインブレイブ』限定版小説から一年も経っていませんよ。なんかすごい。また次の感想を書ける日も、遠からず来るのかもしれません。

 



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