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テイルズ オブ ジ アビス −鮮血のアッシュ−

角川書店/『テイルズ オブ マガジン』/漫画:斎藤ハナ、シナリオ:二条凛

 2008年の8月に、ゲーム「テイルズ オブ」シリーズの専門誌、『テイルズ オブ マガジン』が創刊されました。そこで連載中の『テイルズ オブ ジ アビス』の外伝漫画です。副題通りアッシュが主人公で、本編ストーリーをアッシュ視点で追うというもの。

 

予告編

 創刊号(Vol.1)に掲載された8Pの予告編。アッシュ視点で、主だったキャラクターをダイジェスト的に紹介している感じ。ナタリアがすんごく可愛い…!!

 予告編はナタリアをバチカルから逃がすべくモースに逆らったところで終わっていて、偶然ながら『電撃マ王』の漫画版の連載がちょうどその辺りまで運んでいるところだったので、妙なシンクロニシティを感じました。

 

第1話

 創刊から一ヶ月空け、『テイルズ オブ マガジン』は10月発売のVol.2から月刊化。この漫画も本編が連載開始。

「テイルズ オブ」シリーズ専門誌で連載ということで、この漫画で描かれる内容は不動の公式という扱いになるんだろうかとドキドキしてたんですが、第一話から内容が『エピソードバイブル』のアッシュ小説と矛盾してた。あらら。

 うーん。これは結局、商業小説版なんかと同じ位置づけってことでいいのかな。公式エピソードを交えつつも、全体としては作家さんの個人解釈によるパラレルストーリー、という。

 ストーリー的には、アッシュが六神将の一人として導師イオン奪還作戦に参加、拿捕したタルタロスで自分のレプリカを目撃したところまで。

 新規エピソードとして目ぼしいところは、

  • タルタロスを襲撃する前、六神将全員でマルクト軍 東ルグニカ平野駐屯地を襲い、兵士たちを皆殺ししていた。
  • タルタロスには一人一人、飛行魔物の背に乗って突入。

 本編で語られていた方の事態の推移は省略化してあるので、ちょっとダイジェストっぽいですね。

 飛行魔物の背の上に直立して乗っていた辺り、アニメ版を意識してるっぽい。考えてみたらタイトルロゴもアニメ版のものなので、アニメ版のコミカライズという位置づけなのかなぁ?

 

第2話

 読んで最初に思ったこと。…前回よりページ数多い? 数えてみたら8P増えてました。すごい。ずっとこのページ数なのかな。

 リグレット教官が美しかったです。特に1ページ目。

 

 前回を読んで『エピソードバイブル』のアッシュ小説と内容が矛盾してると思ってたらば、今回になって、それを踏まえたと思しき描写が挿入されてました。あれ(苦笑)。

 この漫画、やっぱりアニメ版を参考にして作画している部分が大きい気がします。で、アニメ版は『マ王』漫画版を参考にしてる部分が大きいので、結果的に『マ王』漫画版の姉妹編と言うか、番外編みたいになってるよーな。そして今回は『エピソードバイブル』ネタも盛り込まれました。アニメ版を中心に、先行関連作品のいいところを素材として選って、独自にアッシュストーリーを編んでいくってことなのかな。

 

 予告編を見た時から思ってたことではあるんですが、この漫画は一体何を目指してどこへ行くつもりなんだろうかと、改めて思いました。

 本編沿いアッシュ視点の先行作品にはファミ通文庫小説版『緋色あかの旋律』があります。あちらは、紙数の問題が大きかったのでしょうが、途中から《本編ルークの行動をアッシュがいちいち覗き見して、辛口コメントを付ける》という状態になってしまっていました。現時点では、この漫画版もその轍を踏んでいるように思います。

 

 閑話休題。私の地元の書店では、この雑誌のVol.1と2は、次の号が出るまで数冊、棚に並んだままでした。ところが今号は、発売から数日で店頭から消えてた! す、すげー!

 これはTVアニメ効果…? いや表紙効果か。いやいや、付録効果かな。雑誌の内容は立ち読みで済ませることも可能ですけど、付録は買わないと入手できませんもんね。

 付録のチカラって侮れないんだな〜と、実感させられたでありマスよ。

 

第3話

 今回ではっきり分かりました。この漫画、《アニメ版の》アッシュサイドコミカライズなんですね。アニメオリジナルエピソードに沿って描かれていました。

 ダイジェストぽさが無くなりましたし、面白かったです。

 アニメのアッシュは、コーラル城作戦をディストとアリエッタに依頼した時、シンクに見張られてたことに気づいてなかった感じでしたが、漫画のアッシュはしっかり気付いていて、有能ぶりをアピールしてます。

 藪を突っ切っていそいそと報告に来るディストが可愛かった。ヴァンはどこから見ても悪人でした。いいように利用されていることを自覚しつつ逆らいきれない可哀想なアッシュ。口説き文句を言われた瞬間の表情が印象的。バチカルは故郷なのにフードを被って顔を隠さねばなりません。そのうえ、実家のある上層に一歩向かおうとした途端、悪魔が来りて笛を吹……じゃなくて、ヴァンが出てきて釘を刺す。怖ぇーよ。

 にしても、漆黒の翼の台詞からすると、アッシュは以前から何度も彼らを雇って仕事をさせていたんですね。

 

 ところで、ちょっと気になったこと。ファミ通小説版でもそういう風に描かれていましたが、アッシュってバチカルに住んでいた幼少時代に辛い超振動実験を受けさせられていたのかなぁ? ヴァンがルークに亡命を勧める時に「超振動の研究で酷い実験を受けたおまえは、この国から逃げたがっていたのだ」と言うけど、これは嘘じゃないかと思ってました。公爵子息にそんなに辛い実験を受けさせるとは思えないし、レプリカルークは全然受けてませんでしたし。辛い実験を受けて逃げ出したかったのは、もしかしたら幼い頃のヴァン自身の体験じゃないかなぁとか。

 唯一の公式外伝ですと漫画家さんが喧伝しておられる『マ王』漫画版外伝では、バチカルにいた頃は実験は受けておらず、ヴァンにさらわれてからダアトで辛い実験が続いたと描かれていますね。

 

 過去は捨てたんだと意地を張りながら、レプリカと共にいるナタリアやガイを辛そうに見つめるアッシュ。かくのごとく、今月も可哀想なアッシュの姿が目白押しでした。

 

 閑話休題。この雑誌の裏表紙が今のところ全号、全く同じ広告。裏返して置いてたら見分けがつかヌェー。

 



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