『アビス』の世界、惑星オールドラントにはセフィロトと呼ばれる星のパワースポットが十箇所あります。そこからセフィロトツリーと呼ばれるエネルギーの柱が伸び、それによって星の外殻が支えられていた、という設定です。
この「セフィロト」が、ユダヤ教の
ただし、私はカバラのセフィロトに関して全く無知なので、詳しく説明したくとも出来ないのが実情です。以降に記すのは、ごく浅い説明と個人的なイメージの話ですので、その点は予めご了承下さい。
そもそもカバラとは、口から口へと伝えられてきた、神や精神世界の神秘に関する知識のことです。その伝承によれば、世界が創造された時、まずは
上のクリフォト図は、画像資料が見つからなかったので私が勝手に作った、想像図です。 セフィロトを上下逆にしたもの、ということでしたが、クリファの番号をどの順番で割り振ればいいのか分かりませんでした。 とりあえず、「あの世のものはこの世のものとは全てが逆」という世界普遍の信仰にのっとって、セフィロトが上から右・左と番号を振っているのに対し、下から左・右に振りました。 「あの世のものはこの世のものとは全てが逆」という信仰は、例えば日本で死者の経かたびらの合わせを逆にするとか、韓国の妖怪のトケビの踵が逆についているとか、そういう形で現われている奴です。 |
神はあまりに高次の存在で、創造物に直接には干渉できません。そのため、神性を表すこの
さて、神がいれば悪魔の存在が生み出されるように、やがてセフィロトの逆異相も考えられるようになりました。それが
なお、十のセフィラに対応する十のクリファは、
クリフォトは、後には冥界、魔界、魔物や霊的存在そのものを表す言葉としても使われるようになっていきました。
ここからは私個人の雑感になりますが、以上について考えた時、私の脳裏に真っ先に浮かんだのはルークのことでした。個人的に、ずっとルークに抱いていた印象が「泥または汚い皮膜の奥に真っ白い素地がチラチラと見えている」というものだったので。クリフォトを見ますと、そこに象徴されている心は、「愚鈍」「拒絶」「残酷」「無感動」「不安定」で、まさに長髪時代のルークだと感じました。そんな悪い殻に覆われた彼の中にも、真っ白に輝く神性は確かにあって、外殻が破壊されて崩落した時、それらがセフィロトで表される「知恵」「理解」「慈悲」「勝利」「基盤(安定)」に変わっていった。『アビス』はそういう話なのかな、と。
そんな妄想はさておき、セフィラとクリファに象徴される言葉をざっと見ただけで、『アビス』でおなじみの名詞を沢山見出すことが出来ますよね。
セフィロトの
クリフォトの
……こうして見ると、キムラスカは悪の帝国という感じで、キムラスカ好きとしてはちょっと複雑です(苦笑)。まあ実際、ゲーム開始時点ではキムラスカは未来の物質的繁栄の為に戦争を起こそうとしていて、マルクトは和平を結ぼうとしてましたしね。
また、ゲーム中ではマルクト帝国領のアクゼリュスがクリフォト(キムラスカ)側にあるのも面白いです。ゲーム中でも、アクゼリュスはキムラスカとマルクトが奪い合っていて、以前はキムラスカの領土だったと語られていましたっけ。
さて、上図は『アビス』のセフィロト図です。ゲーム画面を参考に半ば推測で作ってみましたが、番号の振り方など反転していたり、間違っているかもしれません。参考程度に見て下さい。こうして見てみると、カバラのセフィロトとクリフォトから、ホドとアクゼリュスだけは番号もそのままで使用されていることが分かります。
余談。
第五セフィロトのゲブラーを「神の力」としましたが、資料によっては「峻厳」と説明されています。神の力は山のように厳しく険しいのでしょう。また、時に第五セフィロトは「
第七セフィロトのネツァフは、「勝利」ではなく「永遠」と説明されることもあります。第六セフィロトのティフェレトは「
アクゼリュスはゲーム中では鉱山都市ですが、カバラのクリフォトでは、アクゼリュスを司る悪魔がアスモデウスなので、そこからの連想なのかもしれません。アスモデウスは工芸技術を司ります。
06/09/30