注意:ただの言葉遊びであり、原作を読み解く手がかりにはなりません。(^_^;) ご了承ください。
ルーク/ティア/ジェイド/アニス/ガイ/ナタリア/ミュウ/イオン/アッシュ/ヴァン/ラルゴ/リグレット/ディスト/アリエッタ/シンク/ユリア/ アルバート/シグムント/ダアト/ピオニー/フローリアン/モース/ファブレ公爵/シュザンヌ/インゴベルト/テオドーロ/ペール/スピノザ/アストン/フリングス/セシル/ネフリー/ノエル/ギンジ/ジグムント・バザン/ユージェニー・セシル/マリィベル・ラダン/シルヴィア/オリバー/パメラ/漆黒の翼/アスター/パイロープ/アルマンダイン/ゴールドバーグ/グレン・マクガヴァン/ネビリム/ 地名について/おまけ/

ルーク・フォン・ファブレ Luke fone Fabre

ルーク

語源(あくまで一説)
Luke 人名。ギリシア語で「ルカニアから来た者」に由来。『新約聖書』に登場する聖ルカを指す。
ルカニア Lucania は地名で、今のイタリア南部バジリカータ州のこと。
「ルカニアから来た者」を語源とするギリシア語人名 Loukas のラテン語形 Lucas が、中世英語で Luke に変化したという。

聖ルカは『ルカによる福音書』『使徒行伝』の著者とされる。
パウロの伝道の旅のパーティーメンバー。医師で絵が得意。後方支援タイプか。しかも日記 旅行記も書いちゃうよ。
画家と薬剤師の守護聖人とみなされる。シンボルは牛。

Luke 人名。ラテン語の「光」に由来。
ラテン語で光や明るさを意味する言葉はルックス lux だが、これは印欧祖語まで語源を遡れる。それに関わる名だという説。
そもそも「ルカニア」の語源が「光」だとする説もあり、それを採用すれば「ルーク」は光の地から来る者、すなわち「光をもたらす者」の意味だと考えることも出来るだろうか。

余談だが、ケルトの光明神ルー Lugh (ルフ、ルーグ)を「ルーク」と日本語表記する方もいるようだ。この神名の語源も lux に繋がるのだろうと思われる。

ゲーム中、ルークの名は架空の言語 古代イスパニア語で「聖なる焔の光」を意味する設定だが、これらの説と関わるのかもしれない。

Rook チェスの駒の一種のこと。大駒。語源はヒンドゥー語 rukh やペルシア語 rokh で、「戦車」の意。
塔か城のような形をしているが、「戦車」を表している。将棋の「飛車」に相当。
一手でキングとの位置を入れ替えるキャスリング(入城)という特殊な動きが出来る。

余談だが、ルークは英語の「新人 rookie」の語源。ルークの動きはチェスの駒の中でもっとも遅いため、他の駒にとって後から出てくる「新参者」になるため。
野球の隠語ではルーキーを「ルーク」と呼ぶとのこと。

rook 英語で(カードゲーム等の賭博の)ペテン師。
語源がよく分からない。

なお、英語の rook には「ミヤマガラス」の意味もあるが、こちらは語源が上記のものたちとは異なるらしい。

ルーク Luke は英米で使われる名だが、古い形のルーカス Lucas も使われている。ドイツではルーカス Lukas 、フランスではリュック Luc 、イタリアではルーカ Luka 、ロシアではルカー Luka。

現代、アメリカでは Luke の愛称として Lucky を使うことがあるそうだ。ルークの愛称が「幸運」…「ラッキー」呼び…。
「ラッキー、調子に乗らないで!」
…『アビス』では痛すぎて使えなさそう。

余談。英語の lukewarm は「ぬるい、無関心な」という意味。


2011年にメインシナリオライター女史がツイッターで明かしたが、ルークの名は聖人ルカから採っているそう。英語読みなのは語感からだとか。

フォン

語源(あくまで一説)
von ドイツやオーストリアの人名で貴族の姓の前に付けられるもの。「〜の、〜から」の意。
ドイツ式に「ルーク・フォン・ファブレ」の意味を汲めば、「ファブレ家のルーク」となる。

なお、同じ意味で音楽用語でもある。

phone 英語で「音」。または「電話」。
近年、某企業が「電話」の意味で fone のつづりを使っている。
ちなみに「フォニック phonic」は「音の」という意味。

phon 英語で音の単位のこと。

fond フランス語で「奥底」。

ルークの姓のファブレ Fabre は、フランス風に読むと「ファーブル」になる。
ファブレ家を「ファーブル家」と読むと、自然がいっぱいで昆虫が沢山いそうな気がしてくる。この場合ルークの名前はフランス式に「リュック・ド・ファーブル」などになるのだろーか。
ゲーム中、ルークはコレクター関連に興味はなかったがコレクターブックを完成させたら感激したと語っていたが、ぜひモンスター図鑑も作って欲しかった。ファーブルモンスター記。

余談。イタリア語の replica(レプリカ)は音楽用語で「繰り返し」の意味。

ティア・グランツ Tear Grants

ティア

語源(あくまで一説)
Tia 名。英語の「ティア」で終わる人名の短縮形。また、スペイン/ポルトガル語で「おば」を意味する。
叔母と伯母の区別はされない。

tear 英語で「涙、悲嘆、(仲を)引き裂く、(時が)たちまち過ぎ去る」。
俗語で「真珠」の意味もある。真珠の涙、ということだろうか。

真珠の宝石言葉は「無垢、健康、長寿、富」。

2011年にメインシナリオライター女史がツイッターで明かしたが、ティアの名は(ホドの人間の本名は長いという設定に合わせ)短縮形の名から選んだものだそう。また、ティアドロップ型のペンダントもイメージしたという。

グランツ

語源(あくまで一説)
Glanz ドイツ語で「栄光、輝き、光沢、華麗」。
閲覧者様から頂いた情報。深く感謝。
栄光の大地ホド出身のグランツ兄妹の姓として、華麗の名を持つガイラルディア・ガランの縁者として、色々な点でピッタリ!

Grant 姓/人名。語源は諸説ある。
ラテン語 grandis 「重要な」、あるいは古フランス語「偉大な」、古サクソン語で「砂利の多い」など。定説はないようだ。

grant 英語で「許す、認める」。または「(願いに)応じる、(金品を)授ける」。この語源はラテン語 credentare で「信用」。
CがGに変化している。クレジットカードは「信用販売カード」の意味。
相手を信用することが認め助けることになる、ということか。

ティアの本名はメシュティアリカ・アウラ・フェンデ Mystearica Aura Fende 。

「メシュティアリカ」の語源は不明。おそらく「ティア」の音を含ませた造名かと思うが……。
原作設定上、この名にも古代イスパニア語の意味があると想像できるが、明かされていない。

「アウラ」はオーラのことで、人間の発する特別な気、香気のこと。また、ギリシア神話に登場する妖精の名でもある。一般に「そよ風の女神」とされる。ディオニュソス神が彼女に恋したが、風のように足が速く捕まえられない。愛の女神アフロディテがアウラを狂わせ、ディオニュソス神は想いを遂げて彼女に双生児を産ませたが、狂女は子供を殺して河に身投げして死んだ。

「フェンデ」はラテン語の「守護」を語源とすると思われる。

なお、ティアの母の名はファルミリアリカ・サティス・フェンデで、愛称はミリアとのこと。

ジェイド・カーティス Jade Curtis

ジェイド

語源(あくまで一説)
jade 宝石の名。英語で「硬玉、翡翠」のこと。または翡翠の色を指して「緑色」。人名にも使われる。
語源はラテン語「腎臓(脇腹) ilia の石」を語源とするスペイン語の「ijade の石」。フランスで変化して「l'ejade の石」となり、さらにスペルミスから「jade(ジャド)の石」になって、これが英語に取り入れられた。
古く、メソアメリカでは翡翠は腹痛の治療の際に温石懐炉のように使用されていたらしい。(護符として腰にぶら下げていたとの説もある。)アステカ王国を滅ぼしたスペイン人が腹部内臓の治療に効く石として持ち帰ったことから、この呼び名が広まったとのこと。スペイン人はこの石を砕いて薬として服用していたというが…。

宝石言葉は「健康、長寿、幸運、利益」。中国ではこれを身に着けると五徳が備わるとされた。

jade 英語で「駄馬、癖の悪い馬、じゃじゃ馬、あばずれ女、浮気女」。
語源が上記の jade とは異なる。古ノルド語 jalda より「成長した雌ラバ」の意で、転じて「あばずれ」「疲れている」となったらしい。

jadedで「疲れ果てた、うんざりした」、「道楽にふける」。

どうでもいいが、「ジェイド」は本来は女性用の名前である。


2011年にメインシナリオライター女史がツイッターで明かしたが、ジェイドの名は初期に付けていた仮名が残ったもので、色名(宝石名)にちなむ。
アビスキャラ達の名は人名事典を開きながら会議で決めたそうで、それまでは色名(色名ともなる宝石や花の名)にちなんだ仮名を付けていたそう。
それがそのまま残ったキャラ達もいると言う。

カーティス

語源(あくまで一説)
Curtis 姓/人名。ラテン語で「宮廷、城」に由来。
古フランス語 courtois 「礼儀正しい、育ちがいい」に由来、あるいは英語の courteous 「礼儀正しい、思いやり深い、親切」に由来するとの説もある。いずれにせよ、根幹の意味はラテン語「宮廷」であるようだ。
仇名から姓名として使われ始め、現代はファーストネームにも使用される。カーチス。

なお、CURTISSは飛行機の名前。

ジェイドの本来の名はジェイド・バルフォア。
バルフォア Balfour はゲール語で「村の牧草」に由来する。
汎神論を唱えたオランダの哲学者、スピノザ・デー・バルフともかけているのかもしれない。

アニス・タトリン Anise Tatlin

アニス

語源(あくまで一説)
anise セリ科のハーブのこと。
地中海東部原産。一年草で高さ60センチほどに育ち、いかにもセリ科らしい黄味がかった白い集合体の花をつける。

花言葉は「力、活力、人をだます力」。

甘い香りで、葉と茎をサラダやお茶に使う他、種子のような実(アニシード)からはアニス油が取れて香料となり、スパイスとしても使われる。消化不良や風邪に効くとか。また、ある種の女性ホルモンに近い物質を含み、産後の回復や生理痛に効くとも。
似た香りのするスターアニス(八角)とは別の植物。
アニシードから作ったリキュールは西欧ではメジャー。歯磨き粉のように鮮烈な香りと甘みがある。

漢字で書くと「遏泥子」。


やはりハーブとして知られる茴香ういきょう即ちフェンリルもセリ科で、アニスを大型化した感じである。なお、『新約聖書』で語られているアニスは現在知られているそれではなく、やはりセリ科の香草・ディルを指すとの説がある。

Annis 人名。ギリシア語 Hagne 「処女の、純粋な、貞節な、神聖な」に由来する。
アグネス Agnes の中世地方英語での変形。 Annys とも書く。
Agnes のフランス読みは「アニェース」。大佐のアニスの呼び方は「アニース♥」。

ローマカトリックの聖アグネスは純潔と少女の守護聖人。
ラテン語で「子羊」を意味する「アグヌス agnus」に発音が似ているためしばしば羊と共に描かれるが語源的には無関係。

アグネスはローマの上流階級に生まれたが、キリスト教徒だった。十三歳のとき、ローマ長官の息子に強引に望まれた結婚を拒み通したことから長官に憎まれ、様々な辱めや暴行を仕掛けられたが、その度に奇跡が起こって命と慎みと純潔は守られた。304年1月21日、最後に送られた処刑場でも奇跡を起こしたものの、指揮していた士官に剣で首を落とされて殺されたという。

「タトリン」の語源は不明。

色名のアニス anise は黄色とクリーム色の中間のような感じ。 アニスの花の色からきているのだろう。


2011年にメインシナリオライター女史がツイッターで明かしたが、アニスの名は初期に付けていた仮名が残ったもので、色名(花の名前)にちなんでいるという。

ガイ・セシル Guy Cecil

ガイ

語源(あくまで一説)
Guy 人名。古ドイツ語で「森林」もしくは「広い」に由来。
英語読みでは「ガイ」だが、フランス語読みだと「ギィ」となる。
原作には、ガイにシグムント流の奥義を教えてくれるホド奥義会の人々が登場するが、その中で唯一名乗っていた老人の名がギィだった。

guy 英語で「男、奴」。俗語で「変な服装の人、変な人形、物笑いの種」「(物真似して)嘲る」「(人形にして)さらし者にする」。または「逃亡」。ガイ・フォークスに由来する。
ガイ・フォークス Guy Fawkes は1605年にイギリスで起こった火薬陰謀事件の首謀者の一人。カトリック教徒たちがイギリス上下両院議員を火薬で殺そうとし、最後には残虐に処刑された。
ガイ・フォークスが逮捕された11月5日はガイ・フォークス・ナイトと呼ばれる祭になり、彼を模した人形を作って、子供たちがそれを引き回しながらハロウィンのように物をねだり、最後は人形を火に投げ込んで焼き捨てた。現代では花火大会などに変わっているようだ。
ともあれ、この事件のせいで Guy という名は二百年ほど不人気になった。
なお、ガイ・フォークスは立派なひげをたくわえた赤毛の偉丈夫だったとのこと。

Guy 人名。古フランス語で「案内人」「導く綱」。指導者を意味する。
英語の guy には「張り綱、支え綱」の意味もあるが、恐らくこれが語源なのだろう。

gay 英語で「幸せな、陽気な、快活な、派手な」。転じて「放蕩、放埓」。更に転じてアメリカ俗語で「同性愛者」。
語源は古フランス語 gai 。意訳すれば「生き生きして愛嬌がある、魅力的」というニュアンスかと思う。

本来は人名としても使われていた。
Gay は男性にも女性にも使われる名だったが、近年「同性愛者」という意味が広まったため、あまり使用されなくなった。

日本の創作物語の世界では「ガイ」という名はヒーロー的なカッコイイ名前として人気があり、よく使われているが、英米では上記の理由で(Gay のつづりでは)人気が高くはない。

余談だが、ガイ・セシルは何故か右前になった女物の(オールドラントの服飾のルールが地球と同じならば、だが)シャツを着ている。だから「変な服装の人」なんだろうか。


2011年にメインシナリオライター女史がツイッターで明かしたが、ガイの名はホドの人名は長いという設定に合わせてナムコのスタッフが考えてくれた名だとのこと。
推測だが、元は「ガイラルディア」という花にちなむ仮名を付けていて、そこから発展していったんではないだろうか。


セシル

語源(あくまで一説)
Cecil 姓/人名。ラテン語の「盲目の、幻惑された、陰気な、見極めがたい」に由来。
ローマのある氏族に「盲目の caecus」にちなんだ Caecilius(カエキリウス)という呼び名がつけられた。これが変形し、Cecil という英語姓になったようだ。女性名としても使われる。
英語圏では男性名としても使用されるが、こちらはウェールズ起源のセシル家という大貴族があり、それにちなんで普及したとの説もある。

なお、ローマ姓 Sextus の古代ウェールズ語形に由来するとの説もある。 Sextus は英語で言うシックス、ラテン語で「六番目」という意味で、六番目に産まれた男児につけられる伝統的な名だった。日本で言えば「六郎」か。これがラテン語名 Sextilius となり、ウェールズで Seissylt になって Cecil になったと言う。

余談になるが、Cecil の女性形 Cecilia(セシリア/カエキリア/チェチーリア)はキリスト教の聖女の名でもある。彼女はローマ貴族に生まれたがキリスト教徒であり、純潔の誓いを立てていた。親に同じローマ貴族のヴァレリアヌスと強引に結婚させられたが、純潔の誓いを盾に性的交渉を拒んだ。夫はキリスト教を弾圧する立場にある軍人だったが、天使が舞い降りた奇跡を見て、彼女の望むまま、自分の兄弟たちと共にキリスト教に改宗した。しかし、そのために夫婦は230年頃に処刑された。セシリアはまだ十代だったらしい。
彼女は神と交感するとき楽器を奏でたとされ、音楽と盲人の守護聖人とされる。(厳密には「セシリアは演奏を聴きながら心の中で神を賛美していた」という文章を「演奏しながら神を賛美していた」と解釈した誤読らしいが。)

セシリアの没年ははっきりしておらず、176〜180年頃にシチリア島で非業の死を遂げたともされる。殉教する際に神を賛美する歌を歌ったとも言い、どこか『アビス』のユリア・ジュエの設定を想起させられる。

ガイの本名は「ガイラルディア・ガラン・ガルディオス Gaillardia Garan Galdios」。

「ガイラルディア」は美しい花を咲かせるキク科テンニンギク属の草花を示す学名で、フランスの植物学者ガイヤール Gaillard の名にちなむ。ゲーラルディア。Gaillard の意味はそのままフランス語で「元気溌剌とした、快男児」か。和名は天人菊。北アフリカ原産の一年草または多年草。花期は5〜10月。沢山の品種があり色や形は様々。赤、オレンジ、黄色の花が多い。
花言葉は「協力、団結」。

余談だがフランス語の gai(ゲ) や gaillard(ガイヤール) gaillarde(ガイアルド) には音楽用語で「陽気に」という意味もある。要は、「ガイラルディア」は語源的には「ガイ gay」と繋がっている。

「ガラン」はフランス語 galant で「勇ましい(男)、華麗な」の他「(女性に)親切、伊達男、男友達と連れ立って遊びまわるナンパ男 (女性に対して使う時は「男好き」)」という意味がある。(三菱の車名から「ギャラン」という表記の方がポピュラーか。)音楽用語では「優美な、華麗な」。古フランス語では「楽しむ」の意だった。

「ガルディオス」の由来は不明だが、ファミコン時代の某RPGに壊神ガルディオスなるラスボスキャラが存在していたようである。

原作を参照する限り、名は「ガイラルディア・ガラン」と繋げて呼ぶのが正式らしい。その略称が「ガイラルディア」、愛称が「ガイ」になるようだ。
原作設定上、この名にも古代イスパニア語の意味があると想像できるが、明かされていない。

ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア Natalia Luzu Kimuelasca-lanvaldear

ナタリア

語源(あくまで一説)
Natalia 人名。後期ラテン語で「クリスマス」または「クリスマスに生まれた子」に由来する。
ラテン語 natalis は「誕生」を意味する。ナタリアの名は、特に「神の誕生日 natale domini」、すなわち「クリスマス」にちなんでいるとされる。

名の由来としてはノエルとお揃いだ。(ノエルは古フランス語「神の誕生日」に由来する名)

2011年にメインシナリオライター女史がツイッターで明かしたが、ナタリアの名はラテン語で「出生」の意味があることから選んだそう。


ルツ

語源(あくまで一説)
Ruth 人名。ヘブライ語で「友人、友愛」の意。『旧約聖書』の『ルツ記』に登場する女主人公のこと。ルース。
ヘブライ語 rut(ルート)に由来。

ルツはダビデ王の祖先である。
彼女はモアブ人だったがイスラエル人と結婚した。夫は夭折したが姑のナオミから離れずに姑の故郷のベツヘレムに移り住み、一日中落穂拾いをして姑に食べさせた。イスラエルの慣習では貧しい人間の権利としてそれが許されていたからである。
そんな彼女を畑の持ち主であるボアズが見初め、援助する。彼はルツの亡き夫の親族である。それを知った姑はルツを彼のベッドへ行かせた。姑の意向に従って忍んできたルツの心を受け入れながら、ボアズはその晩は彼女に触れず、ただ姑への土産を持たせて帰してやった。イスラエルの律法では嫁には夫の血を残す義務があり、男子を残さぬまま夫が死ねば夫の親族と婚姻する制度がある。ボアズとルツにもその制度を適用出来たが、他の親族にもっと親等が近い男がいたため、律法に正しく従ってその了承を得ることを優先したのだ。
ボアズは親族と交渉して権利を譲り受け、ルツと正式に結婚した。生まれた子供を、ナオミは実の孫のように可愛がった。

異民族ながらイスラエル人として生きることを選び、姑に本当の娘のように尽くして、その慣習や律法に従って子孫繁栄をなしたという点で、ルツは聖女・貞女とみなされる。

たまたま古英語 ruth(ルース) が「同情、思いやり」という意味だったため、この名は清教徒に好まれた。なお、 ruth には「悲痛、後悔」の意味もある。

ナタリアの姓「キムラスカ・ランバルディア」は作中に登場する国の名だが、「キムラスカ」はクリフォトのクリファの一つ「ChIMRNVTh(キムラヌート)」のもじりと思われる。意味は「物質主義」。ヘブライ語。

「ランバルディア」はイタリア北部の州「ロンバルディア Lombardia」のもじりか? ロンバルディアの名はランゴバルド族がうち建てたランゴバルド Longobardo 王国を基とする。
なんとなく音が似ているが、ナタリアの父、インゴベルト六世の名はこれにかけてあったりもするのだろうか。ちなみにランゴバルドの語源は「長い髭 longa barba」だとの説がある。
なお、ランゴバルド王国最初の王の名はアルボイン Alboino 。キムラスカの内務大臣アルバインの名はここから取られているかもしれない。

ナタリアの本名は「メリル・オークランド Merrill Ackland」。
「メリル Merrill,Meryl」はゲール語で「明るい海」を意味する。
「オークランド Ackland,Auckland」は古英語で「樫の森」。

ミュウ Mieu

ミュウ

語源(あくまで一説)
mieux フランス語の音楽用語で「より良く、より以上に」。
mieux は英語の best に相当する言葉。二つ重ねてミュウミュウにすると「負けず劣らず」という意味になる。ルークとミュウの頑張りはミュウミュウです。

mew 英語で、猫やカモメの鳴き声を指す擬声語。または「カモメ」そのもの。
ミウとかミャーとか。miaow

mew 古英語で、鹿の角や鷹の羽根が抜け落ち、生え変わること。
転じて、「換羽期の鷹を入れておく鳥かご」、「隠れ家、馬小屋、路地」のことも指し、「(鷹を)かごに閉じ込める」というニュアンスから「息の詰まる場所に閉じ込める」という言い回しで使われる。

ミュウの種族名は「チーグル Cheagle」。
「チーグル」はロシア語で「虎」のこと。ティーグル、ティーグァー

原作中、チーグル族の天敵として登場したライガ族が虎をモチーフにした魔物だったことを考えると面白い。ライガ用の名前候補の没になったものを流用したのではないだろうか。

イオン Ion

イオン

語源(あくまで一説)
ion ギリシア語で「すみれ」の意。
白すみれの花言葉を「無垢」とすることがある。イオンの死後に登場するレプリカが「フローリアン」という「花」を思わせる音の名を付けられ、その意味が「無垢な者」とされたことを連想させられて面白い。

Ion 人名。ヘブライ語で「神(ヤハウェ)は恵み深い」に由来。
ヘブライ語名「ヨーハーナーン Johanan」の英語形「ジョン Jhon」のルーマニア語形。ジョンの名はキリスト教圏で絶大な人気があり、バリエーションが非常に多い。
『アビス』本編中、崩壊アクゼリュスで魔界クリフォトの泥に沈んでいった少年の名がジョンだった。

ヨーハーナーンのラテン語形は「ヨハネス Johannes」。日本では慣習的にヨハネと呼ぶ。
ヨハネの名を持つキリスト教の聖人は二十人ほどもいるが、人気が高いのは『新約聖書』に登場する洗礼者ヨハネと使徒ヨハネ。

洗礼者ヨハネは預言者であり、キリスト以前のユダヤの宗教家だった。彼の誕生は天使によって予言された。粗衣を着て伝道の旅を続け、入信させた人々にヨルダン川で洗礼を授けて人気を集めた。キリストも彼から洗礼を受けたという。よってヨハネはキリストの先駆者と呼ばれる。彼は当時の倫理に反していたヘロデ王の結婚を非難して投獄され、王の義理の娘サロメの望みで斬首されて、首は盆に載せられてサロメに与えられた。

使徒ヨハネはキリストが最も愛した弟子とされる。本名はアンデレで、兄は聖ペテロ。元は漁師で、兄と共にキリストの最初の弟子になった。彼が十字架にかけられた時は弟子としてただ一人その下におり、処刑後にキリストが復活した際も弟子の中で最も早く墓に辿り着いた。キリストの死後、その母のマリアの世話もしていたようだ。シンボルは鷲。

aeon ラテン語で「永遠、永劫」の意。
古ギリシア語 aion(アイオン)を語源とする。

ion 科学用語。電子の授受により荷電した原子または分子のこと。
日本には「マイナスイオン」という流行語があり、健康によいものだとされているが、定義が曖昧で何の科学的根拠もない。

アッシュ Asch

アッシュ

asch ヘブライ語で「火」を意味する。
ただし、読みは「アシュ」。 ash(エシュ)も同じ意味。

ash 英語で「灰」、「灰色」。
ashes で「(顔色が)青白い」、「遺灰、遺跡、残骸」、また「(改心、後悔、悲嘆を表す言葉やしぐさ)」の意味になる。
語源は古英語 asce で「灰」。

ash 英語で「セイヨウトネリコ(木、木材)」のこと。
語源はノルウェー語 askr,askur(アスク / アスクル) で「人間」の意。世界の始まりにトネリコの流木の中から最初の人間の男が現れる北欧の神話に由来すると思われる。アスクはまた、その男の名前でもある。

セイヨウトネリコはモクセイ科モクセイ属の落葉高木。
北欧では火、雷、雲と関連付けられ、神木とされる。高木に落雷することを「神が寄る」と感じることからだろう。強い魔力を持ち災いを避けるとされる。家の周囲にこの木を植えたり、槍の柄にしたり。バイキングの船もこの木材で作られた。トネリコは海を操る能力を有し、海難を避ける護符になるとされる。イギリスでは順応性、謙遜、高貴性のシンボル。

トネリコの花言葉は「私といれば安心」。または「偉大、服従、高潔、思慮分別」。

Ash 姓/人名。英語「トネリコの木の開拓地」を由来とする。
Ashley(アシュレイ/アシュリー) の短縮形。元はイギリス姓だったが名前に使われるようになった。1960年代までしばしばアメリカの男性につけられていたが、近年は女性につけられることが多いという。

「アッシュ」はヘブライ語では「火」だが英語では「灰」になる。この面白さから選ばれた名であるように思える。

小ネタ。フランスでは「H」はアッシュと読む。略語に使うと楽しいかもしれない。アッシュはえっちだー! ←なんか違う

ヴァン・グランツ Van Grants

ヴァン

語源(あくまで一説)
van 英語で「(社会運動・文化の)先駆者、先導者、指導者」、「(軍隊の)前衛、先陣」。
vanguard(バンガード)の短縮形。語源は中期フランス語の avant garde で、「前を警護する者」の意味。

現代フランス語では avant garde(アバンギャルド)は「先端的な芸術、前衛的」という意味に変化している。

Van 種族名。北欧に伝わる神の一族のこと。ヴァン神族。
北欧に伝わる神々のうちゲルマン系の有力な神々をアース(アゥス)神族と呼ぶが、彼らより下位とされるのがスカンジナビアのヴァン神族。しかしその信仰は古い。気象や自然を象徴する強力な豊穣神たちである。
ニョルズル、フレイル、フレイヤ、インゴ等の神がこれに属する。

vent フランス語で「風」。

Van 姓/人名。Vance の短縮形。
Vance(ヴァンス)は古英語の「沼地に住む者」に由来する。元は姓だったが、名にも使われるようになった。

余談だが、キャバレーでは給料の前借りの意味で「バンス」と言うそうだ。アドバンス advance の略とのこと。

Van 人名。Ivan の短縮形。
Ivan(イワン)は John(ジョン)のロシア語形のバリエーションで、ヘブライ語「神(ヤハウェ)は恵み深い」に由来。ヨハネス。

Van 人名。ベトナム語で「曇」。
男性にも女性にも使われる名だとのこと。

ベトナム語で「ヴァン」と発音できる言葉は沢山あるようだが、その中には「ワルツ」「物悲しい歌調、 終わりに近づく」といった意味のものもある。

van オランダの人名で姓の前に付けられるもの。「〜の、〜から」の意。
ドイツの von(フォン)に似ているが、こちらは主に出身地を示すもので、貴族の家系を表すわけではない。

van 英語で「幌付き大馬車、屋根付きトラック、屋根付き貨車」。
caravan(キャラバン)の短縮形を語源とする。caravan は「隊商、幌付き大馬車」の意味。語源はペルシア語。

ヴァンの本名は「ヴァンデスデルカ・ムスト・フェンデ Vandesdelca Musto Fende」。

「ヴァンデスデルカ」の語源は不明。メシュティアリカと同じく造名ではないかと推測する。
この名は原作中、架空の言語 古代イスパニア語で「栄光をつかむ者」の意味だという設定。

「ムスト」の語源は不明。
余談だがラテン語で葡萄ジュースをムスト must という。アルコールなしワイン。現代も人気の飲み物。

ラルゴ Largo

ラルゴ

語源(あくまで一説)
largo イタリア語の音楽用語。「ゆったりと、堂々として」
語源はラテン語 largus で「大きい」という意味。

ラルゴの本名は「バダック・オークランド Boduch Ackland」。

「バダック」の語源は不明だが、イランで国境を行き来する運び屋のことを baduk と呼ぶそうだ。『バダック 砂漠の少年』という1992年の映画があるので、ここから採ったのかもしれない。
(設定上、ラルゴは元々砂漠を行き来するキャラバンの護衛を生業としていた。英語の van にはキャラバンを語源とする意味もあるが、キャラバンの護衛だった男が後にヴァンの部下…護衛になっているわけで、面白い。)

余談だがインドネシア語ではバダックは「犀」という意味。また、韓国語で BADUK は碁のこと。

リグレット Regret

リグレット

語源(あくまで一説)
regret 英語で「後悔する、惜しむ、懐かしく思う、(人の死を)悼む」また「悲嘆、失望、哀悼の心」。
失敗や過失に対する悔悟の念を示す言葉。語源は古フランス語 regreter で、「再び re」+「泣く greter」の意。

音楽用語としてはフランス語 regret(ルグレ)で「悲嘆、哀悼」。

リグレットの本名は「ジゼル・オスロー Giselle Oslo」。

「ジゼル」はゲルマン語 gisel 「誓約」または「(誓いを叶えるための)担保、しち」に由来する。ドイツ名 Gisela(ギーゼラ)のイギリス変形。

また、この名はフランスのアドルフ・アダン作のクラシックバレエ曲として知られている。
村娘ジゼルはアルブレヒトという謎の男と恋に落ちるが、彼は身分を隠した貴族であり、公爵令嬢と婚約していた。横恋慕していた村の若者ヒラリオンによって事実を知ったジゼルは錯乱した後、アルブレヒトの剣で自殺する。(脚色によっては心痛のあまりのショック死)
結婚できずに死んだ娘の霊はウィリーという美しい妖精(亡霊)になって、踊りによって男を殺すという。夜、ジゼルの墓に出向いたアルブレヒトはジゼルの亡霊と出会う。そして女王に率いられたウィリーたちが出現する。ヒラリオンはウィリーたちに殺され、アルブレヒトも危険になった時、夜が明けてウィリーたちは姿を消す。ジゼルの亡霊も、アルブレヒトを赦し、別れを告げると朝の光の中に消えていった。
リグレット(ジゼル・オスロー)もまた、ヴァンという不実な男に尽くして死んでいく女性であることを思うと感じるものがある。

「オスロー」は古ノルウェー語で「As(神)」+「lo(森)」に由来すると思われる。神の牧場。

リグレットの名は、北米版では「Legretta」の模様。

ディスト Dist

ディスト

語源(あくまで一説)
dist 英語等で頭に「dist」と付く単語の省略形。
distance か district の略として使われることが多いようだ。
district は「地区」の意味。
distance は「距離、隔たり」「道のり」。また「(人間関係が)遠い、よそよそしい」「進歩の跡」。あるいは「(競技で)追い抜く」。音楽用語としては「(異なる二音間の)音程」の意となる。語源はラテン語 distantia で「離れて立つ」。

その他、dist と略せる音楽用語としては distinto ディスティント(イタリア語で「明確な」)、distortion ディストーション(英語で「歪み」)が挙げられる。

ディストの本名は「サフィール・ワイヨン・ネイス Saphir Wyon Neis」。

「サフィール」は宝石のサファイア sapphire を指すフランス語。鋼玉石の中で青いものを指す。語源はギリシア語 sappheiros(サファイロス)で「青」。
宝石言葉は「誠実、賢明、慈愛、貞操」。

「ワイヨン」の語源は不明。
作中では「ワイヨン鏡窟」の由来となっている。

「ネイス」の語源は不明。
Nace の綴りならぱ、ローマ起源とされる名 Ignatius(イグナティウス)から派生したスロベニア名 Ignac(イグナック)の愛称。
Ignatius は古代ローマの氏族 Egnatius に由来するとされていたが、近年は「火」を意味するラテン語 ignis に由来との説が有力視されている。
聖イグナティウスと呼ばれる聖人は複数いる模様。

アリエッタ Arietta

アリエッタ

語源(あくまで一説)
arietta イタリア語の音楽用語で「小さなアリア」。
「そよ風」の意味もある。

風、空気を意味する air(エアー)には「旋律、(ソプラノの)歌」の意味があり、aria(アリア)という言葉はそれに関連する。「歌、旋律、詠唱」という意味のこの言葉は音楽用語としては「独唱曲」となる。
アリエッタはアリアのような第二楽章を持たない短い独唱歌。
アリエッタより更に短い独唱歌は Ariettina(アリエッティナ)。

六神将の名はいわばコードネームであり、ラルゴ、ディスト、リグレット、アッシュにはそれぞれ本名がある。しかしアリエッタとシンクには本名がなく、コードネームが本名にもなっている。

シンク Synch

シンク

語源(あくまで一説)
sync 英語の synchronization(シンクロナイゼーション)の省略形。音楽用語でもあり、意味は「同期」。シンクロ。
ファミ通小説版外伝では、誕生したばかりのシンクへ向けてヴァンが言った「同位数値シンクロレベルが問題だったな」という台詞が命名のきっかけになっている。

sink 英語で「次第に下がる、(太陽や月が)没する、(泥や雪、川や海に)沈み込む、(疲労で)くずおれる」、「ハマる、耽る、陥る」、「落ちぶれる、衰弱する」、「悪化させる、破滅させる」、「隠して言わない」。
しかし「(水が染み込むように)理解される」という意味もある。

think 英語で「思う、考える」。


その他のキャラクター

peony 花の名。英語で「牡丹」もしくは「芍薬」のこと。
中国原産で牡丹は落葉小低木、芍薬は多年草。根の皮は漢方薬として扱われ、消炎、鎮痛、止血等に効いて内臓の痛みをとるとされる。

牡丹の花言葉は「王者の風格、富貴」。
芍薬の花言葉は「はじらい」。

upala 宝石名。サンスクリット語で「宝石、貴い石」のこと。オパール。
宝石のオパールの語源とされる。

宝石言葉は「希望、幸福」。

Malkuth ヘブライ語で「王国」の意。
作中でピオニーが治めている国の名。
ユダヤのカバラにおけるセフィロト(生命の木)の、十番目のセフィラに当たる。

『VIVA★TALES OF MAGAZINE』2012年11月号のメインシナリオライター女史のコラムによれば、『アビス』のキャラは主に色事典から仮名を付けており、「敵国の皇帝」の仮名として付けたものが「ピオニー」だったとのこと。
ところがそのまま収録台本を作る時期になってしまい、三十代後半のおじさんに花の名前はまずいのではと訴えたものの、「いいんじゃない」と言われてそのままになってしまったとか。
しかしジェイドの幼なじみには宝石の名を付けるというこだわりがあったため、ミドルネーム「ウパラ」を追加したのだという。


Florian 人名。ラテン語「花」に由来。
ドイツ系の名。

原作中ではフローリアンは架空の言語 古代イスパニア語で「無垢な者」の意味だという設定。

オーストリアには聖フローリアン教会がある。
Florianus はローマ帝国の行政官だったがキリスト教徒であり、304年5月4日、ローマ皇帝のキリスト教弾圧によってエンス川に橋から投げ込まれて殺された。亡骸は妻が引き揚げて埋葬したが、その墓に巡礼者が訪れるようになり、やがて教会になったという。
聖フローリアンは火災、消防の守護聖人とされる。

Moss 人名。古エジプト語「息子」に由来? 諸説ある。
Moses(モーセ/モーゼ/モーゼズ) の中世英語での変形。ヘブライ語では Mosheh(モーシェ)。
名の由来は諸説あってはっきりしない。ギリシア語で「(水から)引き揚げる」、ヘブライ語で「救う」など。

モーセは『旧約聖書』の『出エジプト記』の主人公。
その頃、イスラエル人はエジプトで奴隷にされていた。エジプト王がイスラエル人が増えすぎることを懸念して男児が生まれたら殺すよう命じたので、赤ん坊のモーセは葦舟に乗せられてナイル川に流された。それをエジプトの王女が見つけ、水から引き上げてモーセと名づけた。王女は彼を宮中で育てたが、実はモーセの乳母に雇われたのは彼の実の母であった。
何不自由なく成長したモーセはイスラエル人差別に怒ってエジプト人を殺してしまい、エジプトから逃げてアラビア半島に住んだ。そこで結婚して平穏に暮らしていたが、ある日、燃える柴の中から神が呼びかけ、彼に「イスラエル人を約束の地へ導く」という使命を与えた。この時から彼は預言者となった。
彼はエジプトに戻って王と交渉し、神の祟りとしてエジプト人たちに災いを与えることでイスラエル人解放の約束を取り付けたが、心変わりした王が軍勢を差し向けてきた。その時モーセが杖で紅海を打つと水が割れたので、イスラエル人たちは海を渡って逃げることが出来た。しかし追おうとしたエジプト軍は戻った水に呑まれた。
モーセはシナイ山で神から十戒を授かり、その律法で民を治めたが、最終的に彼自身も神の怒りを買って約束の地へ達することなく死んだ。

Moss を「モス」と読むと Maurice(モーリス)の中世英語変形 Morris(モリス)の縮約形だが、このつづりには英語で「沼地、苔」の意味があるのであまり好まれない。

Morse 姓/人名。ラテン語「黒い肌」に由来する。
Maurice(モーリス)の中世英語変形 Morris(モリス)の縮約形。イギリスやフランスで使われる。
語源はムーア人のことを指していたらしい。ラテン語名 Maurus が Mauricius に変化し、Maurice となった。

聖モーリスは三世紀末ごろ、ローマ帝国の一連隊を率い、スイス近辺に駐留する軍人だった。アフリカから徴兵された彼の隊6600人はキリスト教徒であり、それを知った皇帝は改宗しなければ全員殺すと脅した。彼らは信仰を捨てるくらいならばと自ら剣を捨て首を差し出し、全員が虐殺された。
聖モーリスは歩兵の守護聖人とされる。

morse 英語で「大外衣の留め金」。
教会用語。

morse 英語で「セイウチ」または「トド」の別名。
morssとも書く。語源は「セイウチ」を意味するフィンランド語 mursu やラップ語 morsa に繋がるらしい。

なお、Morse は「モールス」とも読む。アメリカの電気技師 Samuel Finley Breese Morse はモールス信号の発明者。

また、ドイツの鉱物学者モース Mohs にちなんで、鉱物の硬度を測定する十段階の尺度を「モースの硬度計 Mohs' scale」と呼ぶ。


crimson 英語で「深紅の、血なまぐさい、(怒りで)紅潮した」。
アラビア語の「昆虫キルミツ qirmiz」に由来。元々カイガラ虫(ラテン語で「kermes」)を乾燥して採る染料の色だったため。これが古スペイン語で「ケルメスから」を意味する cremesin(クレメシン)となり、crimson となった。

やはり赤色を表す「カーマイン」と語源は同じである。

Herzog 姓。ドイツ語「導く herziehen」に由来。また、ドイツ語で「公爵」のこと。
一般人の姓としても使われるもののようだ。ヘルツォーク、ヘルツォーグ、ハルツォク。
ヘアツォークという表記にしているのは、「深紅」を意味するクリムゾンと並べて「クリムゾン・ヘア」、即ち「赤髪」にかけているのだろうか。

とはいえ、ここでは普通に「公爵」の意味で使われていて、つまり「クリムゾン・ヘアツォーク・フォン・ファブレ」=「クリムゾン・フォン・ファブレ公爵」の意味だと私は思っていたのだが、ファミ通文庫版小説外伝では「クリムゾン・ヘアツォーク・フォン・ファブレ公爵」と書かれていた。

Suzanne 人名。ヘブライ語「百合」に由来する。
ヘブライ語名 Shushannah または Shoshana のフランス語変形。

この名が表すのは「百合」とされるが、一説には「薔薇」とされる。薔薇と考えた場合、「赤紫色、淡紅色」の意味を付加することが出来る。

Ingobert 人名。ゲルマンの神「イングワズ Ingwaz」に由来。
ドイツ系の名。
イングワズは北海沿岸にいたゲルマン族の一派インガエウォネース Ingaevones 族の伝説的な祖先の名。北欧の神ユングウィ(イング、インゴ)と同一であると考えられ、恐らくは北欧の太陽神フレイルの古い姿とされる。ヴァン神族。

余談。イングランドの地名は、インガエウォネース族の子孫が多く住み着いたことから。

Teodoro 人名。ギリシア語「神 theos」+「与えられたもの doron」に由来。
イタリア、スペイン、ポルトガルの名。イギリスではセオドール(セオドア) Theodore 。ギリシアではテオドシウス Theodosius 。

テオドシウスはローマ帝国皇帝の名として知られる。

Pele 英語で「(色が)薄い、ほの暗い、(顔色が)青白い、弱々しい」。
ラテン語「青白い pallidus」が語源。

Pele 英語で「(高い柵を作るための、細長くて)尖った杭、囲い地」。また、杭の形から「(紋章の)縦帯」
語源はラテン語「棒 pālus」。
紋章は多くの場合、盾の形をしている。その図形の内部に縦に走る帯状の模様のことを言う。
ゲーム中、ペールはかつて「ガルディオス家の盾、左の騎士」と呼ばれていたとされている。

Peer 人名。アラム語「岩石 cephas/keipha(ケファ)」に由来。
『新約聖書』に登場するキリストの弟子ペトロのこと。
ペトロの本名はシモンといったが、キリストが彼に「私はこの岩の上に私の教会を建てる」と言ったことにちなんで「岩石」とあだ名されるようになった。これがギリシア語「petros(ペトロス)」に翻訳され、西欧各国のバリエーションで男性名として使われるようになった。
イギリスではピーター Peter 、フランスではピエール Pierre 、イタリアではピエトロ Pietro 、スペインではペドロ Pedro 、ドイツではペーター Peter 、ロシアではピョートル Pyotr など。
Peer はそのバリエーションの一つで、ノルウェーやスウェーデンで使われる。

聖ペトロは使徒ヨハネの兄。兄弟揃って洗礼者ヨハネの弟子であり、二人で漁師をしていた。だが、ある日やってきたキリストに弟が心酔したのを見て、自身も従った。(この時、彼は既に若くはなく、妻も子もいた。)
キリストの十二使徒の中で常に先頭に挙げられ、リーダーとみなされる。
キリストの死後、教団をキリストの兄弟のヤコブが取り仕切るようになると、エルサレムを離れて妻と共に伝道の旅を始めた。ローマでネロ帝の迫害に遭い、ローマから逃れようとしていた時、街道で死んだはずのキリストと行き会った。驚いて「主よ、どこへ行かれるのですか」と尋ねると「もう一度十字架にかけられるためにローマヘ」と答えた。それを聞いたペトロは悟り、死を覚悟してローマに戻った。そして十字架に逆さはりつけにされて殉教したという。
死に向き合いながら成すべき事を果たした信念の人である。

この時ペトロがキリストに向けた「どこへ行かれるのですかクオ・ヴァディス quo vadis」の問いかけはポーランドの作家ヘンリック・シェンキエヴィチの小説のタイトルにもなり、同名タイトルでハリウッド映画化もされた。

peer 英語で「同輩、仲間」。また「貴族、上院議員、高貴な人」。
語源はラテン語「平等の par」。貴族が互いに同等であることから。

Pere フランス語で「父」。

peer 英語で「(少しの間、視線を遮る物を通して)じっと見る」、詩の用法で「(太陽や草花が)微かに姿を見せる、(物が)見えてくる」 。

pear 英語で「洋ナシ(の実、または木)」。
洋ナシの花言葉は「和やかな愛情、安心、博愛」。

ペールの本名は「ペールギュント・サダン・ナイマッハ Peergynt Sadan Naimahha」。

「ペールギュント」は、恐らく、エドヴァルド・グリーグが後に曲を付けたノルウェーの戯曲『ペール・ギュント Peer Gynt』から採っていると思われる。作者はヘンリック・イプセンで、ノルウェーの民話を原作とする。

ペール・ギュントは怠け者で夢想家で大ほら吹きの若者で周囲から嫌われている。彼の父は元は裕福な農夫だったが、飲んだくれの一文無しになって失踪し、息子を溺愛する母親と二人で取り残されていた。

ペール・ギュントにはイングリッドという幼なじみの恋人がいた。だが、村に住むソルヴェイグという美少女に彼は心奪われる。捨てられたイングリッドは別の男と結婚することになるが、その結婚式の日、ソルヴェイグにキツく跳ね除けられたペール・ギュントはイングリッドを無理やりさらうと山に逃げ込んだのだった。

ペール・ギュントはすぐにイングリッドに飽きて、彼女を山中で捨てた。よって彼は故郷から追放処分になった。魔物トロルの王の娘と知り合って結婚しようとしたが、そのためには魔物にならねばならぬと言われて逃げ出す。森の奥に小屋を建てて隠れ住んだ。

そこにソルヴェイグが「謝りたいの」と訪ねて来る。彼女と暮らし始めたが、魔物の王の娘があなたの子よと言って魔物の赤ん坊を連れて来たので、慌てて実家に逃げ隠れた。すると母が病気で死に掛かっているではないか。母のために取りとめもないほら話を語ると、母は家財道具もない寂しい部屋で、幸せそうに微笑みながら死んでいった…。

ペール・ギュントはそのまま旅に出た。様々な国を巡って胡散臭い商売を遍歴し、女を誘惑し誘惑され、何度かは成功を収めたがその度に財産を失い、彼は年老いる。結局人生の勝ち組にはなれず、といって悪人にもなりきれず。失意に落ちて森の小屋に戻った彼が見出したのは、かつて捨てたソルヴェイグだった。盲目になりながらも、彼女はずっと彼の帰りを信じて待ち続けていたのだ。
「冬も春も、そして次の夏も過ぎて、一年がまた流れ去る。でも私には分かっているわ、あなたはいつか戻るって。だから私は待ってる。あなたと、約束したから…」
彼女は妻であり、母のような人だった。彼女の膝枕で子守唄を聴きながら、ペール・ギュントは安らかな気持ちで永遠の眠りについた。

「サダン」の語源は不明。強いて言うなら Saddam(サダム)の別形で、アラビア語で「対峙する」か?

「ナイマッハ」の語源は不明。


Spinoza 人名。語源不明。
汎神論を唱えたオランダの哲学者、スピノザ・デー・バルフから採られたものか?

Aston 姓/人名。古英語「東町」に由来。

Aslan 人名。トルコ語「勇猛なるライオン」に由来。

athran ヘブライ語で「暁」とのこと。

「フリングス」の語源は不明。


Josette 人名。ヘブライ語「ヤハウェは(人の子を)増やす」に由来。
ヘブライ語名ヨセフ Yosef の女性形ジョゼフィーヌの愛称。フランスまたはイギリスで使われる。

ジョゼフィーヌはナポレオン1世の妃の名として知られる。ナポレオン1世の家系はロンバルディア州の地主につながる。

ヨセフは『新約聖書』に登場する、キリストの父。苦労してキリストを育てたのに「キリストの真の父は神である」ということにされてしまった可哀想な人。

nephrite 鉱石名。軟玉。ネフライト。
ネフリーの名は「ネフライト」をもじった造名と思われる。

実際には別種だが、ネフライトは長く翡翠ジェイドの一種とみなされてきた。
ネフライトの語源はジェイド jade と同じく「腎臓」で、あちらがラテン語を語源としていたのに対しギリシア語の「nephros」。どうして腎臓の石なのかの詳細はジェイドの項参照。

宝石言葉は「まなざしの魅力、成熟の魅力」。

Osbone 姓/人名。古英語で「神 OS」+「熊 beom」に由来。
古く、熊は強い祖霊神として人気があった。
ノルマン人のイギリス征服後、滅多に使われなくなった。

Noelle 人名。ラテン語「(主の)誕生日」、すなわち「クリスマス」に由来する。
ラテン語 natalis dies Domini が古フランス語で noel となり、男性名 Noel として使われるようになった。その女性形。フランスやイギリスで使われる。
ナタリアと名の語源が同じ。
転じて、「クリスマスの聖歌」の意味も持つ。

女性名としても Noel のつづりを使うこともあるが少数派。中世までは男女の別なくクリスマス時期に生まれた子供には Noel のつづりの名が付けられていたが、十七世紀頃からこのつづりは男性形とみなされるようになったらしい。

Noel フランス語で「クリスマス」のこと。
ラテン語「誕生 natalis」に由来。

「ニークス」という姓は2011年の3DS版攻略本で初めて明かされた。
意味は不明。
強いて音楽と結びつけるなら、ショパンの伝記を書いたことで有名なフレデリック・ニークスか。
ノエルやギンジは、やや外側から冒険を見ていた者として、ルークの生涯を語り継ぐ一人になるのかもしれない。

余談だが、Neek(ニーク)はアメリカ俗語で「オタク」の意味。


銀司 人名。日本の男性名。
強いて意味を取るなら「銀の統治者」。

銀次や銀二だと次男に付ける名になってしまうので、漢字を当てるなら銀司か銀治が適当だろう。
妹のノエルが金髪の少女なので、兄は銀髪の若者でギンジなのか?

また、「吟じ」とすれば「詩歌や俳句を声に出して詠う」という意味にもなる。

祖父のイエモンは「伊右衛門」か「伊衛門」か。
衛門は衛門府のことで、平安時代頃に街の門の警備を管轄していた役所。当時の警察である検非違使も兼ねるのが基本だった。

「ニークス」に関してはノエルの項と同様。


Zygmunt 人名。古ノルド語「勝利 Sig」+「防御、保護者 mund」に由来。
ドイツ語名シグムンド Sigmund のポーランド語形。

北欧神話の英雄の名。シグルズ、ジークフリートのこと。
シグルズは物語によって少しずつ違う人生を歩んでいる。
要はヘラクレスや桃太郎と同系統の英雄で、「赤ん坊の時に捨てられて川を流れてくるなど、特殊な生まれ」「若い頃は恐れを知らぬ乱暴者で周囲に疎まれている」「姫を救うもしくは宝を得るために冥界へ旅して魔物(竜)退治」「女神(妻)に守護されているが、最後は彼女に殺される(神となって女神の夫になる)」。

「バザン」の語源は不明。


Eugenie 人名。ギリシア語「良い生まれ、高貴、家柄の良い」に由来。
ギリシア名 Eugenios より。男性形はユージーン。

Mariebell 人名。「マリィ」+「ベル」。ベルは後期ラテン語「美しい」に由来。
「マリィ」は『旧約聖書』に登場するモーセの姉ミリアム Miriam,Miryam,Myriam,Mirjam の名を元にするが、意味ははっきりしない。ヘブライ語で「苦しみ、嘆きの海」あるいはカルデアの言葉で「海の女王」だとの説もあるが、もっと古い時代の別の言語に由来するとの説もある。「マリア」のバリエーションの一つ。聖母マリアに繋がるので非常に好んで使われる。

「ベル」は Bella(ベラ)の変形で、後期ラテン語 bellus に由来するイタリア語 bella から出来たイギリス名。Belle

『旧約聖書』によれば、弟モーセが紅海を割って民を導き、追って来たエジプト軍が海に呑まれた時、ミリアムは小太鼓を叩いて神を賛美する歌を歌ったという。しかし後にモーセの妻が異民族であることを非難した。神は雲の柱の姿で現れて怒り、彼女は病になって醜くなった。モーセと和解することで神に許され、回復したという。

『アビス』原作中、アクゼリュス崩落で死んだジョン少年の母でありパイロープの妻である女性の名がミリアムだった。


1992〜93年にTV東京系列で『花の魔法使いマリーベル』というアニメが放送されていた。主人公のマリーベルは花魔法界からやってきた幼女姿の花魔法使い。
アビスキャラは花にちなんだ名が多いので、意外と関連しているのかもしれない。
なお、花の魔法使いマリーベルはフランスの女優マリー・ベル(1900〜85)にちなんだ名。

「ラダン」の語源は不明。


Silvia 人名。ラテン語「森」「森に住む人」に由来する。
ローマ神話によれば、ローマ建国の祖ロムルスの母がレア・シルヴィアである。イタリア半島のアルバ・ロンガの王は弟のアムリウスに王位を簒奪され長男を殺害される。王女シルヴィアは処女神ウェスタの巫女にされて生涯独身を強要された。しかし軍神マルスが彼女と交わり、双子の男児ロムルスとレムスを産む。アムリウス王は赤ん坊を川に流して捨てる。狼が赤ん坊を拾って乳を与えた。やがて羊飼いが彼らを発見して育て、成長した双子は祖父と協力してアムリウス王を倒し、王位を奪い返した。

また、『シルヴィア Sylvia』はレオ・ドリーブ作曲のフランスのバレエ曲でもある。
月の女神ディアナは沢山の妖精ニンフたちを従える森の女王でもある。羊飼いの若者アミンタは妖精シルヴィアに片思いして追い回していた。同じように狩人オリオンも彼女をストーキングしていた。

恋の神エロスは妖精たちのからかいの対象だった。彼をからかいに出かけたシルヴィアは、そこにアミンタが匿われていることに気づき、怒ってエロスに矢を射掛けた。しかしそれはエロスを庇ったアミンタの胸を貫く。その情景を目の当たりにしたシルヴィアを、エロスの矢が射た。
恋の神の矢には特別な力がある。アミンタへの懺悔と同情で胸がいっぱいになったシルヴィアを、オリオンが強引に連れ去って言い寄った。しかし彼女はなびかず、エロスに救いを求める。エロスは彼女を救い出し、アミンタを甦らせたことを告げる。

エロスの導きによって、バッカスの祭りの行われているディアナ神殿で再会した二人。しかしそこにオリオンが現れる。アミンタとオリオンは戦い、オリオンはシルヴィアを追い回す。この様子に気づいた女神ディアナは怒り、オリオンを叩きのめすとシルヴィアとアミンタの交際を禁じた。ディアナは処女神だからである。しかしエロスは、ディアナがかつて羊飼いのエンデュミオンと恋に落ちたことを思い出させ、考えを変えたディアナは二人を祝福して結ばせた。

Oliver 人名。語源は諸説あって不明。

Pamela 人名。語源は諸説ある。
ギリシア語で「お世辞の、(声が)美しい、蜜の入った」に由来。十六世紀のイギリスの詩人シドニーの造名であるとの説もある。

Pamyla,Pamella

Urcy ウルシー。「しつ」 の訓読み。

Noir ノワール。「こく」のフランス語。

York ヨーク。「つばさ」の音読み。
また、ヨークはイギリスの姓/人名でもある。「イチイ(木、木材) yew」を語源とする北イングランドの都市ヨークから。北イングランドの王家の姓でもある。

イチイの花言葉は「高尚、悲哀、残念、慰め」。

aster 花の名。ギリシア語で「星」を意味する。
キク科。中国原産の一年草のアスター(蝦夷菊)と、それとは別種の北アメリカ原産の多年草のアスター(孔雀草)がある。孔雀草は紫苑の仲間で、日本原産の都忘れに近い。属として正統のアスターは紫苑の仲間の方だが、一般にアスターと呼ばれるのは蝦夷菊の方である。

蝦夷菊の花言葉は「(赤)変化を好む」「(青)あなたを信じているが心配」「(紫)私の愛はあなたの愛より深い」。
孔雀草の花言葉は「飾り気のない人」。
単にアスターとしては「同感、結果論、多様性、思い出、信じる恋、私を信じてください」。

pyrope 宝石名。苦礬くばん柘榴石のこと。ギリシア語「炎 pyr」に由来。
パイロープガーネット。血のように赤い。

宝石言葉は「業火、燃える愛」。

almandine 宝石名。鉄礬てつばん柘榴石のこと。トルコの地名「アラバンダ alabanda」に由来。
アルマンディンガーネット。ワインのような赤味。

宝石言葉は「実行力の勝利」。

Goldberg 姓。古英語で「金髪の人」の意。

Glen 姓/人名。ゲール語で「谷」に由来する。

McGovern 姓。ケルトの言葉で「夏の息子」の意。
「Mc」は息子を表す。

彼が可愛がっているブウサギ「アウグスト August」の名は、ラテン語 augustus で「偉大な、壮麗な、尊敬に値する」に由来。ドイツ語形。かつてはローマ皇帝の尊称だった。


Gerda 人名。語源は諸説ある。
古ノルド語「垣、囲い地 garr」に由来。
または古代高地ドイツ語「槍 ger」と「若枝、鞭 gardia」を混ぜたもの。
ヒルデガルド Hildegard やガートルード Gertrude の短縮形との説もある。

ヒルデガルドの語源は諸説あり、古ドイツ語で「戦い」+「知る」もしくは「戦い」+「垣、囲い地」など。神話上では戦女神ワルキューレの名であり、彼女はジグルズの冥界の妻だった。
ガートルードは古ドイツ語で「槍」+「強い」の意。

アンデルセン童話『雪の女王』のヒロインの名として有名になり、英語圏でも広まったらしい。

Gerd 神名。ゲルダ。「野原、原野」に由来。
北欧神話に登場する女神(女巨人)ゲルズのドイツ語読み。
ゲルダはあらゆる女の中でも最高と言われるほど美しい。高座から彼女を見つけた神フレイルは一目惚れしたが、彼女は燃える結界の中にいる。使用人で幼なじみのスキールニル(輝く者)に剣と神馬を授け、仲介を頼んだ。ゲルダに様々な贈り物をしたが心動かさないので、ついにフレイルに逢わないと呪うと脅した。ゲルダは九夜後にバッリの森に来て下さいと約束し、フレイルと結婚したと言う。一説には彼女とフレイルの間に生まれた子がスウェーデン王家の祖となった。

Nephilim 種族名。『旧約聖書』に登場する巨人。ヘブライ語で「降りた者たち」の意。ネフィリム。
ネピリムは『旧約聖書』に登場する巨人たち。人間を見守る役を負っていた天使たちが禁を犯して地上に降り、人間の娘たちとの間にもうけた子供たちだとされる。身長が一キロメートル以上あり、大食らいで野蛮だったので、神は洪水で人類を滅ぼすとき、彼らも共に滅ぼした。


ユリア・ジュエ Julia Jue

ユリア

語源(あくまで一説)
Julia 人名。古代ローマの名門貴族ユリウス Julius 氏族の女性の名。
クレオパトラとの恋が有名な古代ローマの政治家、ガイウス・ユリウス・カエサル(英語読みはジュリアス・シーザー)もユリウス氏族。

Julius の語源は不明。一説によればラテン語で「柔らかい髭を持った」らしいが。june と結びつけて「若い」としている説もあるようだ。

ジュエ

語源(あくまで一説)
jouer フランス語で「演奏する」。
フランス語の音楽用語で enjoue(アンジュエ)は「華やかな、楽しげな」。 corde a jouer(コルド・ア・ジュエ)は「指で弦を押さえる」。

joue フランス語で「喜び」。
英語の「joy」に相当する。語源はラテン語「喜び gaudium」。「頬」という意味もある。

jouet だと「おもちゃ」。jouerで「遊ぶ」。
明朗、さえずりといったニュアンスもあるようだ。

フレイル・アルバート Freyr Albert

フレイル

語源(あくまで一説)
Freyr 神名。古ノルド語で「主人」の意。フレイル、フレイ。
北欧神話のヴァン神族の一柱で、日光・雨などの自然の恵みを司る豊穣神。
強く美しく人気の高い神。双子の妹フレイヤがいる。

アルバート

語源(あくまで一説)
Albert 人名。古ドイツ名 Adalbrecht より「高貴な adal」+「輝く beraht」。
アルバートはイギリス読み。

ヴァルター・シグムント Walter Sigmund

ヴァルター

語源(あくまで一説)
Walter 人名。古ドイツ語名 Waldhar に由来。「支配 wald」+「heri 軍隊」または「支配 wald」+「harja 民」。
イギリス読みだとウォルター。

シグムント

語源(あくまで一説)
Sigmund 人名。古ノルド語「勝利 Sig」+「防御、保護者 mund」に由来。
北欧の英雄の名。シグルズ、ジークフリート。

フランシス・ダアト Francis Daht

フランシス

語源(あくまで一説)
Francis 人名。後期ラテン語で「フランク族」に由来。
フランク frank は「投槍」の意味。これから出たラテン語名 Franciscus のイギリス/フランス形。
女性名として使う場合は Frances のつづり。

フランシス系の名を持つ聖人は三十人ほどもいるらしい。最も有名なのはアッシジの聖フランシス。

アッシジの裕福な織物商人の家に生まれたフランシスは何不自由なく、奔放で無責任な日々を送っていた。しかし二十歳のとき、戦争に行って投獄されたことで彼は一変した。
信仰に生きる覚悟をした彼を父は勘当する。粗衣を着て托鉢しながら平和を説く彼の周囲には次第に崇拝者が集まっていった。
彼は謙虚であり続け、生涯 司祭の位を受けなかった。
彼は動物や自然保護の守護聖人とされる。

ダアト

語源(あくまで一説)
Daath ヘブライ語で「知識」。セフィロトの隠されたセフィラ。
深淵の上に浮かんでいるとされる。

dirt 英語で「土、汚物、下劣、無価値なもの、卑しい人、悪口」。
スカンジナビア語に由来。古アイスランド語「鳥の糞 dirt」から。

dart 英語で「突進」または「投げ矢」。



地名について

『アビス』の国名や都市名はカバラのセフィロトとクリフォトから採られている。 → 参考
しかしそれ以外にも現実の事物から採られていると思しきものが散見できるので、気付けたものを記述しておく。

設定上、オールドラントにはかつて「イスパニア国」と「フランク国」があり、イスパニアを倒して建国したのが属国であった「キムラスカ・ランパルディア王国」、更にその属国から独立した「マルクト帝国」の前身はフランク国だったことになっている。
イスパニアはスペインのスペイン語名イスパーニャ Espana の日本での古い発音。キムラスカ・ランバルディアはイタリア半島にあったランゴバルド王国――現代のロンバルディア Lombardia 州をもじったのではないかと推測する。そしてフランク Frank 王国はフランスの前身である。
漠然とだが、『アビス』のイスパニア国はローマ帝国のイメージで語られている感じがする。

キムラスカの首都があるのはアベリア大陸だが、スペインのあるイベリア半島をもじっているのかもしれない。
シェリダンやメジオラ高原があるラーデシア大陸はユーラシア大陸だろうか。

また、ローテルロー橋はベルギー中部の小都市ワーテルロー Waterloo をもじったものと推測する。ナポレオン1世率いるフランス帝国軍がイギリス・オランダ・ブロイセンの同盟軍に大敗した時、イギリス軍の司令部がこの都市にあった。よってイギリス軍の司令官がこの戦いを「ワーテルローの戦い」と呼んだ。(イギリス式の読み方ではウォータールー。)
『アビス』では、ホド戦争中の局地戦として「ローテルロー(橋)の戦い」があったことになっており、これがジェイドの初陣である。

常冬の都市ケテルブルクはセフィロトの「ケテル」に由来するが、あるいはロシアの都市サンクトペテルブルクの名もかけてあるのかもしれない。「聖ペトロの街」の意で、かつてはロシア帝国の首都だった。

おまけ

カルマ

カルマはサンスクリット語で「業、因果応報、運命」、漢訳仏典で羯磨かつまとして有名だが、実は音楽用語にも同音語がある。
イタリア語の calma は「静けさ」という意味。

アカシック

シンク(や、イオン)は「アカシック・トーメント Akashic Torment」という技を使う。
この「アカシック」はどうやら「アカシックレコード Akashic Records」に由来するらしく、実際、その概念を元に『アビス』の物語を作ったと、インタビューでメインシナリオライター女史が発言していた。

ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーは、宇宙や人類の過去から未来までの全ての歴史が宇宙空間に記録されており、だから霊能力者(巫女、シャーマン、預言者等)はそこから過去や未来を読み取ることが出来るのだという説を唱えた。
その宇宙の記録を、「宇宙、空間」を意味するサンスクリット語から名づけたのが「アーカーシャ Akasha 年代記」…英訳で「アカシックレコード」である。

アーカーシャは日本の漢訳仏典では「虚空蔵」とされている。広大な宇宙〜人の精神世界は無量の知恵と福徳を備えているという意味だ。この虚空蔵を司るのが虚空蔵菩薩 Akasagarbha 。

アカシックレコードを擬人化したものが虚空蔵菩薩だという考え方があるが、『アビス』的に考えてみると、
「アカシックレコード∽星の記憶」→(擬人化)→「虚空蔵菩薩∽ローレライ」
となるだろうか。

『アビス』のローレライは虚空蔵菩薩?

タルタロス

『アビス』では陸上装甲艦の名前として使われている。

「アビス」は英語で「深淵、地獄、奈落」を意味するが、タルタロスも古ギリシア語で似た意味で、かつ「深淵の神」の名である。大地の底の冥界の更に奥らしい。タルタルソースではない。

タルタロスの「タル」には印欧祖語で「曲がる」という意味があり、亀 turtle にも使われている。すなわち「曲がった、醜い生き物。異形」ということで、インドに大地を亀が支えるという伝承があることから、タルタロスの語源を亀とみなす説がある。

余談の余談だが、 Abyss も語源はギリシア語である。「無い a」+「海の底 byss」で「底知れないほど深い」の意。これがラテン語に入り、英語になったとのこと。



参考サイト
Behind the Name
さらに怪しい人名辞典


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