ワールド・エンド*γ


「ユリアよ……。今、あなたの願いを叶えよう!」

 そう宣して、ヴァンは両手で音叉型の剣を掲げた。

「そんなことは、させないですのーー!!」

「ぐぼぉっ!!」

 次の瞬間、腹部に凄まじい衝撃を受けてヴァンは吹っ飛んだ。口から逆流しかけたローレライを押し戻しながら、目の前に現れた者を見る。

「チーグルだと……?」

「ミュウですの!」

 金の環を腰に穿いて、長い耳をピンと立てた小さな生き物が、木の実のように丸い目でヴァンを睨んでいる。

「フ。ユリアのソーサラーリングか。残念だったな。お前の主人は敗れた。この世界はユリアが真に望んだとお……」

「ミュウアターーーック!!」

「ごばぁっ!」

 喋りかけたところに回転体当たりされて、ヴァンはまた腹からローレライを逆流させそうになる。

「な、貴様、なにを」

「ミュウだってみなさんの仲間ですの! みなさんの遺志はボクが引き継ぎますの!」

 キリッとした表情で宣言すると、ミュウは再び回転体当たりを始めた。

アターック! アターック!! みゅっ! みゅみゅみゅっ!! 最後にっ、渾身のミュウファイヤーですのーーー!!!

「ぐぁっ、ぐはっ、ちょ、待てっ、……ぐぁあああああ!!!

 炎に包まれて、最後にヴァンはドサリと倒れた。

「馬鹿な……っ」

 動かなくなったヴァンの口から光るゲロ……もとい、ローレライが現れて、ひょろひょろと夕空に立ち昇っていく。

『私の見た未来が覆され、こんなエンディングになろうとは……。驚嘆に、値する』

 その言葉を残し、ローレライは彼方の音譜帯へと飛び去った。

 

 今、オールドラントは一匹のチーグルによって救われた。彼と、たおれたその仲間たちの名は、伝説として末永く世界に語り継がれていくことになるのである。

 ありがとうミュウ! とその仲間たち

 すごいぞミュウ! とその仲間たち

 永遠なれ、聖獣ミュウ。とその仲間たち



〜『テイルズ オブ ジ アビス』 完〜

 

 …とかいう結末にゲームがなってたらコントローラー投げたかと思います。






終わり

09/10/27 すわさき


*08/02/17のレス板から移動。「もしも最終決戦で勝利したのがヴァンだったら」パターン3。

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