はてなどう > 魔導データ館 > 魔導キャラファイル > 最初期魔導のトリビア > 真・魔導物語設定について > 『アル冒』『ぽけぷよよん』における真魔導系裏設定


最初期魔導のトリビア

 一番最初の『魔導物語』から二十年目の2009年、その制作者である米光一成(猫庭王米光)氏が、自ブログで『魔導物語』に関する覚書を公開しておられたので、資料として要約を記録する。(既に当サイト内に記載していた情報もあるが、情報の入手しやすさを優先して重複記録する。)

 ファジーパラメーターシステムの件は、『コンプリート・コンパイル』(エクシード・プレス)にて当のプログラマーのたつき・けい氏も言及していた。氏によれば、このシステムを推したのは体力や魔力を数値表示させるのが面倒くさかったからとのこと。結局は、金額を数値表示させなければならなかったので手間は同じだったそうだが。また、アップルのゲームにダメージを全て言葉で表示するものがあり、そういうものがやりたかったからだとも言う。ちなみに『魔導』のファジー・パラメーターは、言葉だけではなくキャラの表情や流れる音楽でも状態を表現している。(シリーズが進むと、キャラの背景でも表現していた。)

 魔導師が喉を締め付けると言う設定は驚きである。吃音は魔法に適するのか? シェゾ・ウィグィィという名前は首を絞めると発音できるよと言うパロディネタがあるが、まさかマジだったとは。(^^;)

 なんとなく、回る扇風機に向かって「あー」とか声を出したら魔法が使える気がしてきた。


2011年追記
この件に関して、米光氏がツイッターでファンの質問に答えていた。
正直、意味が今一つ理解できなかったので、ここはそのまま引用させていただく。

「魔導師が「よーー」と発声すると勝手に「よよよ」になってしまう」のなら、ルルーはルルルのほうが良いのでは、という質問に対し

表記名と発音名があるのだ。で魔導師や、魔導師がらみの商人とかは、縁起をかつぐというか、慣習として、よよよとか、ルルーとか、ウィグィィとか、って表記名をつけるのだ。
でも、発音のときは「よよよ」だろうが「よよー」だろうが魔導師は「よーー」で、まあ伸ばし具合がちょっと違うだけ。ルルーは、ルルルでもルルーでもあんまり変わらない。
でも、魔導の位があがると、ルルーをルルルとかルルゥルとかに改名したりするんだけど、ルルーはやってない。シェゾはすごいぜってことで、ウィグィィ(ウィィィなんだけど、途中、喉がグッってなってウィグィィ)なのだった。

あ、ばよひひひーってのも同じ原理かも。っていうかそうすると、ばよえ〜ん って、ほんとうは、ばよえええん、なんだよね。

容量節約とかはまったく無関係です。ふつーに「よよよー」って音声とってるからなー。

ではシェゾは本名ではない可能性もあるのかという呟きに対し

するどい。魔導師は、本名じゃないよね、きっと。

 …魔導師は、周りの人が聞くと正確に「るるー」「るるる」と発音しているが、本人としては「るーー」「るーーー」と発音しているだけなので、文字での表記が「ルルー」でも「ルルル」でも大差ないと言う事? でもそれだと、魔導の位が上がると より音の連続した名前に改名するという設定に繋がらないよーな…。大差ないなら改名する必要ないんじゃん?

 ともあれ、最初期魔導界の魔導師が奇怪きっかいな連中だというのはじわじわ染みてきた気がする。この世界の最高位の魔導賢者は「レレレのレー」とか「ポポポポーン」とか、きっとそういう名前だ。アルルは大魔導師になったらアルルルルゥとかになるのだ。

「ルルー」と発音したい時は「るーー」と発音してるなら、「ルーー」と発音したい時はどうしているんだろう。そう発音することはできないのだろうか。
もしそうなら、「スプーン」は「すぷぷん」、「カレーライス」は「かれれらいす」と、周囲には聞こえるということに。「ファイヤー」も本当は「ふぁいやあああ」。

 そうなるように喉を絞めるというのはどこか纏足的イメージを感じるけれど、改名の設定を見るに、音がだぶればだぶるほどカッコイイというのが魔導師的センス? 纏足で足の小さい女性が美しいとされたように。

 きっとこの世界には「魔導師訛り」という概念が存在する。「あいつ魔導師だぜ。すっげぇなまってたからな!」的な。

 ともあれ、はっきりしたことが他に二つ。

 つくづく、後の「パラレルな複数の魔導」とは、また別の世界なのだなぁと思う。



※ツイッターでの米光・うゑみぞ両氏の魔導関連の発言をまとめている管理人氏から要請があったので、以下にリンクする。
※以降はそちらでどうぞ。

猫庭王米光さんとうゑみぞさんの語る魔導物語あれやこれや(togetter)


 字面だけで意味の分かる漢字名は、アイテムに限らず、PC-98版の魔物名にも適用されていたなあ、と納得。鱗魚人とか幽鬼人とか飛腐魚とか。ところで鱗魚人は当初から「うろこさかなびと」と読んでいたのか、それとも一部のファンが主張するように、元は「りんぎょじん」だったのだろうか。

 魔物を伝承の設定ごと取り入れた、という話に納得&感心。例えばトリオ・ザ・バンシーが白いシーツのような服をまとっているのも伝承通り。

 サタンやシェゾは耽美な海外幻想小説をイメージしたキャラだったのか……。サタンのモデルは闇の公子アズュラーン?

 そうか、だからMSX-2『1-2-3』のサタンの解説には「黒い大鷲になり世界を飛翔し、闇に 呪いの言葉を発する者を見つけ、その運命を弄ぶのが趣味」なんて書いてあり、作中でよよよが「サタン様を愛した者は決して幸せになれないんだよ」なんて言うのか。(アズュラーンは地底にある妖魔の国の公子で、強大な力を持つ絢爛たる美形男性。人間を身も心も弄び、気まぐれで邪悪で冷酷無比だが、それすらも美しく感じる、というキャラクター。黒鷲となって世界を巡り、弄ぶ人間を求める。彼が気にとめた人間は殆どの場合破滅する。)

『闇の公子』は『千夜一夜物語』をイメージして書かれた小説だと言われているそうで、その小説が『魔導物語』に影響を与えていると知って、納得できる部分があった。『魔導2』でサタンが眠っていたダンジョンは「ライラの遺跡」だけれども、これは『千夜一夜物語アルフ・ライラ・ワ・ライラ』から取っているのではと思っていたからだ。「ライラ」とはアラビア語で「夜」の意味。サタンのモデルと思しき闇の公子アズュラーンは「夜の君」とも呼ばれる。夜の君たるサタンが眠る場所はライラ族が築いた華やかな文明の残骸、ライラの遺跡だったということか。なるほど。

 タイトルの「1-2-3」自体も表計算ソフト名のパロディだと言うし、『魔導物語』は思っていたよりもずっとパロディ色の強い作品だと判って、少々イメージが変わった。

 そういえば、アルル・ナジャの「ナジャ」はアンドレ・ブルトンの自伝小説『ナジャ』から取っているのかな、と推測しているが、この小説も書店の「幻想小説」の棚に置かれていることがあるのだった。パノッティやリュンクス、サムライモールなどのモンスターの出典は恐らく澁澤龍彦の『幻想博物誌』だし、当時、幻想系の本がお好きだったのかな、と感じた。

 それにしても、『魔導』が実は九部作構想で、最後は時間が世代回帰する(?)円環的結末になる予定だったとは。「4-5-6」でもっと沢山のキャラが新規登場する予定だったのかもしれないが、「1-2-3」までに登場したキャラの間にも親子や同一人物といった関係があったのだろうか。まさか、アルルとアルルの祖母が同一人物とか……。ルルーが大魔女でサタンの娘とか……。それとも、ミノタウロスの正体が魔法で姿を変えられ記憶を失った誰かだとか……。妄想は尽きない。

 なんとなく、シェゾはタニス・リーの小説に出てくるような「不死の魔導師」系の役回りで、「2」で死んだかに見せて「4-5-6」以降に再登場する予定だったのかな、などと思った。けど、やっぱりただの序盤の死に役だったのかも。(;一_一)

 

 

 以下は『ぷよぷよ』に関する覚書。

 パソコンがクラッシュしたせいでメールが残っていなくてうろ覚えだが、確か「オワニモ」は米光氏がコンパイルを退社した後、訪ねて設定を考えてもらったものだとMATS氏が仰っていたように思う。


参考資料:こどものもうそうBlog』(Web)、『コンプリート・コンパイル』(エクシード・プレス)


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