背中に黒い斑点のある、赤い体の人間大の魚。ただし、ムキムキの人間の手足が生えている。”魚”と呼ばれることを極端に嫌う。さかななのに。力はかなりあるらしく、人間を背中に乗せて川を渡って行くことも出来る。ちなみに乗り心地は「ぬるぬる」しているそうだ。(うひぃいい)
スケトウダラといえば本来「たらこ」がとれる実在の魚だが、このことと彼が見事なたらこくちびるをしていることとはあまり関係はないだろう。(……あるの?)
性格はかなり自分勝手で自意識過剰、ケンカっ早い。反面、自分が負けた・認めた相手には、自らを「アッシ」と呼んで付き従うような面もあり、要するに任侠めいたヤツなのだ。
初登場はMSX-2版『魔導1』。この時点では、取説のキャラクター紹介欄にも載せてもらえない程度の扱いでしかなかった。当時は今ほど赤くはなく、背びれは三裂しており、体は横に寝ていて、もう少しリアルな魚っぽい体型をしていた。現在のような、真っ赤で丸くて体がほぼ直立して背びれが一つながりのデザインになったのは、『ぷよ通』からである。
●踊るさかな
すけとうだらといえば「踊り」。誰もがそう思うことだろう。
彼の踊りをメジャーにしたのは『ぷよ1』だ。ここでの彼は一心不乱に踊り続けていて、話しかけたアルルに「だーーーっっっ! だれだっ 踊りのじゃまをする奴はっっ!」と怒鳴りつけてくる。その後のシリーズでの彼の行動基本パターンが、この時点で既に確立している。
本来の彼の踊りは、MSX-2版『魔導1』での回復技だった。「フィッシュ!」と叫んで おかしなダンスを踊ると、自分の体力が少し回復する。たったこれだけの攻撃パターンから、あの漫才デモを考え出した『ぷよ1』製作スタッフのセンスは秀逸と言えよう。
シリーズが進むと、彼の踊りへの情熱は増していった。たとえば『アルルの冒険』では、アルルに新作の踊りを見せたがり、感想を募っている。『魔導四五六』や『ぽけぷよよん』では、プロデビュー(?)を目指そうとしていた。自分一人だけで踊るのに飽き足らなくなったようである。
そんな彼の踊りは、周囲にはすこぶる評判がよくない。アルルにもルルーにもシェゾにも「おかしい」「気持ち悪い」「邪魔だ」としか評価されていない。けれども、彼はその踊りで周囲を眠らせたり、魅了したり、仲間のスピードをアップしたり出来、それをルルーに伝授もしている。踊りだけで自他にそれだけの変化をもたらすのだから、実は、並みならぬ優秀なダンサーなのかもしれない?
ちなみに、踊りのジャンルはなんでもござれだ。『ぷよ通』ではブレイクダンスやムーンウォークを披露していたし、『ぷよDA!』ではバレエ用のチュチュを着ていた。そのうえ、『魔導師の塔』ではシンクロナイズドスイミング大会の優勝トロフィーを持っていた。
なんと、大会で優勝するだけのセンスと技術が、彼にはちゃんと備わっていたのである。
もっとも、シンクロは通常複数人のチームで行うものなので、彼一人だけの手柄とは言えないであろうが。
一体、彼と共にシンクロを踊ったのは、どんな仲間たちだったのだろう。すけとうだら一族か。それとも、『ぷよSUN』のTVCFで彼と踊っていた水着のおねーさんたちなのであろうか。
●肉体派?
SS版『ぷよ通』では、「美しくない」と言われて「自慢の脚線美にケチをつける」なとキレていた。
彼には、自分の肉体を誇示して自慢するような面があるらしい。
そういえば、PC-98版『魔導1』では「ふぃっしゅ」の掛け声と共にポーズをとり、手足の筋肉をムキムキに盛り上がらせて、あたかもボディビルダーの演技のようにしていたし……。
ちなみに、このようにポーズをとると、アルルの魔法攻撃を跳ね返してしまうのである。MSX-2版『魔導』では「ばよひひひー」の呪文を唱えて跳ね返していたというのに、いつのまにやら筋肉で跳ね返す技を身につけたらしい。すけとうだらは鋼の筋肉の持ち主だったのだ。彼には「荒々しい海の男」という形容が付けられることが多いのだが、面目躍如といったところだろうか。
SS版『魔導』では更に荒々しい「漢」になり、リズミカルに敵を拳で殴ったり、ステップを踏みながらの肉体攻撃を行っていた。
●年齢?
すけとうだらの年齢は不詳だが、『はなまる』に登場していたすけとうだらJr.を幼少時の彼とすると、アルルとほぼ同年代(10代半ばから後半)ということになる。
ただし、それ以外のシリーズではアルルの幼少時に大人の魔物として登場している。ましてや、一般には すけとうだらJr.は彼の子供だと考えられているのである。だとすればアルルの両親年代、最低でも三十代ということになろうか。
もっとも、彼は魔物なので、人間の年齢がそのまま当てはまるとは思えない。
また、「すけとうだら」は種族名なので、シリーズに登場するすけとうだらたちが全て同一人物……もとい同一魚物だとも限らないのが実際のところである。
●水との関係
すけとうだらは海の男だと言われるが、ゲーム中で実際に海に現れたのは『ぷよSUN』くらいで、あとは陸上(建物の中)か湖川などの淡水に現れている。
陸上を平気でうろつきまわっているからには、肺呼吸をしているのだろうか。商業二次作品の『とっても!
ぷよぷよ』では湖底のセリリの家に遊びに行って溺れてすらいたが、ゲーム本編では川や地底湖を泳ぎまわっているので、水中でも呼吸できるのは確かなようである。
実を言うと、彼の陸上での行動には制限があるらしい。
SS版『魔導』によれば、あまり長時間陸上にいて体が乾いてしまうと、力が抜けてしまうのだという。
このゲームでは 彼は装備品として体にオイルを塗る。これは筋肉の美しさを際立たせるため……ではなく、体を乾かせないために塗るものなのではなかろうか。
現実の魚の中にも、ハゼの仲間など水陸双方で呼吸の出来るものがいるのだが、彼らはぬるぬるしている。そして、陸上では そのぬるぬるした肌で皮膚呼吸しているのだった。
そういえば、『ぷよSUN』の彼は干上がりかけた水場に非常に執着していて、通りがかっただけのアルルを攻撃してきていた。普段陸上で踊っている姿ばかり目にしているので気付きにくいが、やはり彼は魚。水なしでは生きていけないのであろう。
●すけとうだらの恋
すけとうだらは、セリリに恋している。
このエピソードは、コンパイルシリーズ後期から晩期にかけて非常に濃く、繰り返して描かれた。
『鉄拳春休み』では、彼はセリリと友達になりたがっていて、ルルーを仲立ちに「なかよしカード」を手に入れる。
『セリリのはっぴーばーすでぃ』では、セリリと友達になりたいのになかなか話しかけられない。友達になれてからも、惚れられ薬に手を出そうとしたり迷走するが、たらEDでは海で仲良く遊ぶ仲に落ち着く。
『わくぷよ』ではセリリと同じ職場に勤めていて、何かと彼女のことを気にかけている。……しかし、彼女には名前もマトモに覚えてもらえていなかったし、全く信用されてもいなかった。美味しい所はアルルやルルー、何よりシェゾに奪われてしまい、ついにはシェゾにライバル宣言をする。
『魔導RUN』では、竜の球を使ってセリリとお近づきになろうと目論む。
『ぷよよん』では元々セリリと仲がよいのだが、すけとうだらの方はデートする仲だと思っているのに、セリリの方は「ただのお友達」なうえに約束もすっかり忘れていて、互いの認識に致命的段違いがある。
『アルルの冒険』ではセリリと友達になりたがっていて、見事に友達になる。
『ぷよクエ』では顔見知りに過ぎず、セリリに恋するあまり、彼女に襲い掛かって大事にしていたメダルを奪い取る、という暴挙を行った。
このように、各作品で恋愛事情は大きく異なる。基本的に「報われない片思いのすけとうだら」と「天然で鈍くて残酷なセリリ」という組み合わせで描かれることが多いのだが、『はっぴーばーすでぃ』のように互いの思いが通じてハッピーエンドになっているものもあるし、『ぷよクエ』のように修復不可能なほど掛け違っているものもある。
ゲーム本編で初めてすけとうだらとセリリの組み合わせを描いたのは、『魔導四五六』だ。
ここでは、ダンス大会優勝を目指す すけとうだらと、その話に感動して協力しているうろこさかなびと(セリリ)の姿を見ることができる。ここでの二人は、夢に賭ける夫とそれを支える妻、という雰囲気で、かなりいい感じであった。
なのに、コンパイルでの最後の魔導・ぷよ系作品たる『ぷよクエ』であんなことになってしまい、その後のセガの『みんぷよ』では、もうこの二人の組み合わせエピソードは語られなかったので、なんとなく後味の悪さを感じてしまう。
なお、商業二次作品の『とっても! ぷよぷよ』では、逆にセリリの方がすけとうだらに恋していて、彼と一緒に踊るために「脚が生える」という危険なウィッチの薬さえ口にしていた。すけとうだらは彼女のそんな行動に心打たれ、ハッピーエンドを迎えている。
●魚の世界
すけとうだら(すけそうだら)は漢字では介党鱈と書く。「すけ」は大きなサケやマスのことらしい。
タラ科の海魚で、全長約70cm。体はタラより細長い。口は大きく、下あごが上あごより長く、口ひげはきわめて短い。背は褐色で腹は白く、体側に二本の暗色の縦筋がある。背びれは三基、しりびれは二基。日本海側では本州以北、太平洋側では東北以北の深海に分布する。
普通に食べる他、カマボコやさつまあげの材料として利用される。卵を塩漬けにしたものは「たらこ」と呼ばれる。