魔導物語Ⅰ3つの魔導球

製作/コンパイル 発売/セガ・エンタープライゼス(93/12/03)
GG/i-mode/Yahoo!ケータイ/EZweb

魔導物語1〜3つの魔導球 【ゲームギア】

 オリジナル魔導シナリオ1の移植版。

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◆ストーリー

 今日は魔導幼稚園の卒園試験の日です。でも、ヘンなニワトリみたいな魔物に石にされてしまう夢を見て、ちょっと気分はダウン。

 試験に挑んだ塔の中で、突然同い年くらいの男の子がアルルの前に立ち塞がりました。
「俺はカミュ。まあ、お前とはライバルってコトだな」
 あれぇ……試験を受けるのはボクだけじゃなかったのかな。
 カミュは言うだけ言うとどこかに行ってしまいます。よーし、ライバルになんて負けないぞ! 俄然やる気の出てくるアルルなのでした。

 さて、三つの魔導球を手に入れて、そろそろ塔の出口に着こうかというころ。アルルの目の前に「小鳥の部屋」と書かれたドアが現れます。どこかで見たような気がするけれど……?

 

 マップが追加され、それに合わせて初期魔導とはアイテムの在り処が変わっていたりする。その辺を引っ掛けてる場所が多かった。カミュじゃないけど「だまされたぜ」ってカンジ。

 サタン様……あんたは幼稚園児にすらコナかけるのか。何考えてあんなプレートを……??? あなたというヒトが……ちょっと分からなくなりました…(^_^;)  

 カミュの行動はアルルの行動に左右されるらしい。カミュの置手紙というやつ、最初にプレイした当時、かなり探したけど全然なかった。実はプレイ時間に関連するようだ。また、カミュに親切にしないと、カミュもアルルに親切にしてくれないようである。

 ちなみに、ラストの対腐導師戦、カミュが助けに来てくれるのよねー♪ とか思ってたら全然来ないまま終わってしまいやんの。おい待て、まさかカミュはピグラとおそろい(^_^;)だったのかっ。慌ててやり直してわざとばたんきゅ〜させたら、来たよ来てくれましたよ。ああ良かった。  

 絵がしょぼい。小さい画面だからしょうがないんだろうけどね……終わり方も好きじゃない。うーむ。

 

08/08/01よりDoCoMo携帯用アプリ版が配信。魔物図鑑等の機能が追加された。

魔導物語A・R・S

製作・発売/コンパイル(93/12/10)
PC-98

魔導物語A・R・S
(1993/12/10)

PC-9801

 やっと登場の、リメイクでも移植でもない『魔導』の新作。ただし物語的には続編ではなく、過去を描いた番外編になっている。この点を見ると、『魔導』とは本来「1-2-3」で完結していたんだなぁ、と思える。……完結してたら私は出会ってないんだけどね。

 ちなみに、タイトルは製作者的には「まどうものがたり あーす」と読むのが正しいそうだ。けれど、晩期のコンパイルのプロモーションやサポート窓口では「まどうものがたり えー・あーる・えす」と呼ばれていたのも確かである。A・R・SをARSにしてラテン語読みすると、「まどうものがたり あるす」。

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●シナリオA

 アルルは四歳。今日は初めてのおつかい。森の向こうのおばあちゃんの家まで、お薬を届けに行きます。
 森の道を歩いていると……あれあれ? 茂みの中から黄色くてちっちゃい、不思議な生き物が顔を出しました。額には赤い宝石が光っています。わぁー、可愛いなぁ。でも、生き物はあっという間に茂みの中に隠れてしまいました。夢中で後を追っかけたけれど、見失ってしまいます。
 ………いけない、ボク、お使いの途中なんだった。でも……。
 ザワザワと木の葉が音を立てました。
 そう、アルルは迷子になってしまったのです。

 森の中で、アルルはかごの中に閉じ込められた妖精を見つけました。妖精の要請を聞いて助けてあげると(スミマセン……^^;)、怒り狂ったすごく大きな魔物が現れました。

「くぉぉぉらッ!! オレ様のペットに なにしやがるぅぅぅ!」

 アルルは、なんとかこの魔物、アウルベアをばたんきゅ〜させましたが、何ということでしょう。おばあちゃんに届けるお薬のビンが割れてしまったのです。
 親切な木のおじいさんが新しく薬を作ってくれることになりました。でも、薬の材料はアルルが集めなければなりません。それは「銀のりんご」「燃えるバラ」「冷たいサボテン」の三つ。妖精さん達の助けを借りてアルルはそれらを探します。果たして、アルルは無事におつかいを済ませることが出来るのでしょうか?

 

 可愛い話。……と、侮っていると痛い目に……。

 これ、結構難しい。『A・R・S』の中では一番捻ってるんじゃなかろうか。二日くらい詰まってしまった。攻略法が分かったときにゃー……あっチクショー何だこのヤロ、のほほんとした顔しやがって! とそのキャラを恨んでしまった。詰まった二回が二回とも、そいつのせい(というか、そこに行かなければならない)だったとは……ぎィー!

 ラスボスは「倒し方知ってるもんねー♪」とタカをくくってたらまたも危ない目に……。そいつが現れたとき即座に「相手はすごく弱そうだ!」と表示されるくらいレベルは上がっていたのに、なんかもーダメじゃん。ばたんきゅ〜か? と覚悟するような状況まで追いこまれていた。まさか、ここでも「二回以上」が必要とはねぇ……。

 

●シナリオR

 ある朝目覚めると、ルルーは見知らぬ部屋にいた。十六歳のオトナのたしなみとして、寝る前にワインは飲んだけど……記憶がなくなるほどじゃないし。まさか、夢遊病? ………いいえ、違うわ。これは、そう、誘拐よ! そうでなければなんでこの私が、こんな悪趣味な部屋で寝てたっていうのっ!?
 その時ドアが開いて、背の低い、不気味な男が入ってきた。

「申し遅れました、わたくし この城の執事で……」
「きゃーッ! ヤダァ! ちかよんないでぇーッ!!」

 気がつくと、男はルルーの足元でばたんきゅ〜していた。
 ……はっ。私ったら、また身体が勝手に! ……まぁ、いいか。こんなところからはさっさと帰ろうっと。

 部屋を抜け出たルルーだが、出口にはがっちりと鍵がかかっていて、鍵を探さないことには出られそうにない。
 風の精霊達が噂している。伯爵様ったら、また女の子をさらってきたらしいよ……。どうやらここの主は伯爵というらしい。更に、伯爵は「ぐーぐー鳴く」宝石を手に入れたというのだが……鳴く宝石なんてあるのかな?
 部屋には時々不思議なベッドがあって、それで寝ると体が縮んで子供になってしまい、もう一度寝ると大人に戻るのだった。こうしてルルーは体の大きさを変えながら、屋敷中を探索する。この屋敷、豪華な造りの割にあちこちの壁にやたらと穴が開いてるのだ(^_^;)。

「ぐー」
 やがてルルーは、黄色くて小さくて「ぐーぐー」鳴く不思議な生き物と遭遇する。どうやらこれも伯爵にさらわれてきたようだ。これを仲間に加えてルルーは進む。ルルーは魔導師ではない。だから、転送の魔法陣が消えかかっていても、書きなおすことが出来ない。一体どうすればいいんだろう? また、モグラのおじいさんにもらった雲樹の種を成長させる方法とは……?

 こうしてたどり着いた最後の部屋には、屋敷の主である伯爵が待っていた。彼はルルーの血を吸おうとしている。だが……立ち向かったものの、彼の金縛りの技の前に、ルルーは一撃を与えることもなく倒されてしまった! このまま、ルルーは伯爵の餌食になってしまうのだろうか……?

 

 ルルーらしく、あっけらかんとした明るさがある話。

 中盤、とにかくしょっちゅうルルーが殺されて困った。後、ルルーの技がいまいちよく分からなくて戸惑った(今のと違って説明出ないから)。どんぱうんぱの使い道だとか、汚い皿だとか、結構頭を捻ったものだった。雲樹のせいで図書室の壁が崩れているのに気付くまでに相当かかって、いらん苦労した……。

 ご存知のようにルルーとサタンの馴れ初めを描いている。このゲームは物語そのものより、その過程を楽しむものだと思う。みんな、ルルーとサタンの事は知っているわけだから。

 

 冒頭の、思わず執事を倒しちゃって「ま また身体が勝手に!」って台詞。色々深読み出来るよなぁ。

 

●シナリオS

 二日完徹で騒いだので、流石に眠い。早く宿に戻らないかな…。
 十四歳のシェゾ・ウィグィィが廃都ラーナの遺跡を訪れたのには、取り立てて深い意味があったわけではない。単に学校の修学旅行のためだ。
 成績優秀で将来を嘱望されながら、どこかで疑問を感じている、どこにでもいる少年……。

「みなさーん ここが勇者様と悪の魔導師の決戦場で有名なダンジョンの入り口でェす!
 魔導師を倒された勇者様の手により封印されて200年 この入り口は閉ざされたままになって…」

 ガイドの説明を聞き流していたシェゾは、唐突に、誰かに呼ばれたような感覚を覚えた。そっと列を離れて進むと、その声は遺跡の片隅にある鏡の中から聞こえるようだった。

 ンな、まさかね。

 だが鏡に触れたとたん、真っ黒い鏡面はシェゾを飲み込んでしまった!

 

 謎の迷宮に迷い込んだシェゾ。出口を探す彼に、ネズミの占いオババは告げた。

「おまえさんは面白い相をしてるね。大物にはなれるよ。……どっちに傾くか 分からんけどね」

 進むうち、この迷宮はまさに鏡の迷宮だとシェゾは悟る。各フロアが線対称に、あるいは上下のフロアで対称になっている。更に、シェゾ自身が鏡を見たようなドッペルゲンガーが多数出現するのだった。

 

「ハッハッハッ 気に入った! いまから きさまが わが主人だ
 こきつかってくれ!」

 壁の奥に隠されていた謎の魔剣は、シェゾが触れるなりテレパシーを送ってきた。シェゾには己の主たる資格があるというのだ。「試験」とばかりに戦わされ、倒すと剣は満足げにそう告げた。
 魔剣――闇の剣と、不思議な巻物に記されていた古代魔導の呪文、アレイアードと。シェゾがこれらを手に入れたとき、ようやく、迷宮の最後のフロアへの入り口が開いた。――誘うように。

「んふふふふ……。待っていたよ、シェゾ・ウィグィィ。若き魔導師よ」
 そこには亡霊がいた。彼はルーン・ロード。勇者に肉体を滅ぼされながらも、精神はいまだこの世にこうして呪縛されている。

「わたしの力をうけつぎ 闇の魔導師として生きていくのですよ きみは!」

 亡霊はシェゾにそう告げたが……。

 

 シェゾがなぜ闇の魔導師になったか、という話。と同時にシェゾというキャラクターを決定的に転化させるきっかけとなったエピソードでもある。この物語で描かれているシェゾは全く普通の少年だ。また、運命や周囲の思惑に流されている哀れな人間でもある。このシェゾ像がこれ以降の「シェゾ」に大きく影響を及ぼしたのは間違いないだろう。

 

 ところでこの話では、最初シェゾは学校の制服を着ているのに、迷宮に入るなり黒い魔導スーツ姿になってしまう。そして最後に迷宮から脱出すると、やはり学校の制服に戻るのだ。

 これはどういうことなのだろう?

 個人的な考えでは、恐らく、鏡の迷宮の中での出来事は現実のものではなかったのだと思う。……いや、夢だというわけではない。確かにシェゾは遺跡の地下をさまよったのだろう。ルーン・ロードは精神体だけになって地下に縛られていた。つまり、それに呼ばれたシェゾもまた、精神だけの状態になっていたのだろうと思えるのだ。地下をさまよっていた間、実際のシェゾの肉体は鏡の前で昏倒していたものと思われる。

 

 ルーン・ロードはシェゾを後継者にするため呼んだという。だが……闇の魔導師といったものに「後継」なるものは果たして必要だろうか。心に悪を持つ者は自然発生的に生まれるものだ。ここから考えられることは二つで、即ちルーン・ロードの言う「闇の魔導師」は単なる「悪の魔導師」ではなく、何か別の側面を持つものだ……ということ。もう一つは、後継者云々と言うのは詭弁、つまりルーン・ロードは自分が復活するためにシェゾを利用しようとしたのではないかということ。

 後継者になれ、と言われて反発したシェゾはルーン・ロードと戦って倒すが、もしも戦わず、受け入れていたらどうなったのか……。恐らく、昏倒したシェゾの肉体を得て起き上がるのは、シェゾ自身ではなくルーン・ロードだったのではないか。もしもシェゾが戦いに負けても、同じことだっただろう。シェゾは勝った。だが……。

「すでに あなたの魂には闇の種がうえられ 芽が顔を出しました… わたしには わかりますよ… いずれ咲く 花の色が 美しい闇の黒であるというのが…!」

 滅び去る間際、ルーン・ロードはそう言い残す。これは呪いである。そして、少年だったシェゾはその呪いに囚われた。命がけで拒んだはずの闇への道を、彼は自ら選択してしまったのであるから。

 でも、ねずみの占いオババは言った。「どっちに傾くか分からない」と。あの時点で、シェゾが外に出るにはルーン・ロードに会うしかなく、闇の道に進むことは決められていたことであったろうに。

 

 シェゾの今の目的、最強の魔導師になるというものも、実はルーン・ロードから与えられたものである。歴史に名を残す悪の大魔導師ルーン・ロードの後継足るためには、自らもそれを超える大魔導師にならなければならない。

 だが……それは彼自身の目的ではない。

 

 ところで、修学旅行の様子見ている限りで思うこと。制服の感じからして、結構お坊ちゃん学校のようだ。ついでに、男子校だね、間違いなく。彼の女扱いの下手さはこの辺からきてるんだなぁ。

※男子校だと判断したのは、修学旅行の場面に男子生徒しかいなかったから。共学なら、男子と女子が完全に分かれて見学するのは不自然だと思ったからである。
 しかしシナリオ担当のうゑみぞ氏が後にツイッターで呟いたところによれば、そんな設定はないとのこと。

 

 ルーン・ロードよりぞう大魔王とかラルバの方が強かった気が……。

 とにかく攻撃が当たりにくかった。でも、そうするとてのりぞうが敵を攻撃! 自分だけで敵を撃破! 受けたダメージは闇の剣が回復だ。なんかすげー王様気分を味わったのは私だけ(^.^)?

 

 プレイ中のメッセージで「……あれ?」と思ったもの。

 ゲイと戦ったとき。

「ゲイが 抱きついてきた! あまり痛くない。おう ばっちりイイ感じだぞ!」

 闇の剣に勝ったとき。

「闇の剣は闇の剣を持っていた! 闇の剣を手に入れた」

 

『A・R・S』とは勿論、アルル、ルルー、シェゾの頭文字を並べたものだが、「Ars アルス」にはラテン語で「技、才能、芸術、知識、原理法則」といった意味があるそうだ。なお、「(魔導師の)技術」という意味で捉えれば「魔法」、「(格闘家の)技術」という意味で捉えれば「格闘技」という意味にもなる。

魔導物語Ⅱアルル16歳

製作/コンパイル 発売/セガ・エンタープライゼス(94/05/20)
GG/i-mode/Yahoo!ケータイ/EZweb

魔導物語2〜アルル16歳〜 【ゲームギア】

 オリジナル魔導シナリオ2の移植……とリメイクの中間みたいな感じだろうか。

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◆ストーリー

 古代魔導スクールへの旅を続ける十六歳のアルル。ところが、突然リュンクス(山猫型の魔物)に財布を取られてしまう。追いかけるうち、アルルの前に転移の魔法で一人の魔導師が現れた。銀髪、碧眼のかっこいいお兄さん……警戒しつつも見とれるアルルだが、彼はおもむろにこう言った。

「お前の全てが欲しいだけだ」

 かくして、ヘンタイお兄さんにスリープの魔法で捕えられたアルル。しかも、目覚めると魔導力の大半を吸い取られて、基本魔法程度しか使えなくなっていた。とにかく、脱出しなくては……。このままじゃ、ここで見つけたこのミイラみたいに、カラカラにされちゃうかも。

 ヘンタイお兄さんを撃破して、ウラノスの杖を手に入れるべく、ライラの遺跡に潜ったアルル。でも……この遺跡、なんだか変だよ。壁には親切だか自意識過剰だかの妙なガイドがあるし、床にはがびょうや地雷や、「サタン様は私のものよ、あきらめてお帰りなさい! ルルーより」と書いた意味不明の手紙なんかが落ちているのだった。
 更に、地下牢でばたんきゅ〜させたヘンタイお兄さんが、しつこく追ってきた! 何度もアルルに挑んでは倒されて、しまいにお兄さんはボロボロ。現れたかと思ったらそのまま倒れちゃったりして。しかもそれを指摘すると「あ、あれは分身の魔法だ! お前を油断させるためにな」などとよく分からん誤魔化し方をするのだった。……うーん……このヒトって、実は結構抜けてて楽しい人なのかなぁ……。
 また、手紙の主である「ルルー」も、顔を合わせることはないものの、アルルの行く先々に現れては(かなりシャレにならない)邪魔をするのだった。

 さて、幾多の試練を越え、ついに地下100階にたどり着いたアルル。でも、ここにいる魔物はみんな女の子。その上アルルに妙な敵対心を抱いているようだ。「サタン様のハーレムを乱すやつは許さないわ!」って……どーいうコトなんだろう。
 そしてフロアの最深部の部屋には、凛々しい顔立ちの男の人が一人、優雅にお茶を飲んでいた。部屋の扉に「男は立ち入り禁止」って書いてあるのに……あ、この人が書いたのか。多分、彼が「サタン様」なのだろう。立ち上がるとサタンは言った。

「ほぅ。私の仕掛けた罠を抜けて、ここまで来れるとはな。妃となるにふさわしい」
「な!?」
「恥ずかしがることはない。そのうち私の魅力に気がついて、離れられないようになる」
「よ、よるなぁーーーーーーっ!!」
「さあ、熱きくちづけを交わそうではないか」

 突然だが、危うしアルル!

「ちょっと待ったあああああああ!!! そいつから離れろ!」

 その時、扉を開けて部屋に飛び込んできた者がいた。ヘンタイお兄さん……もとい、シェゾだ。助けに来てくれたんだ!?

「その娘は俺が先に見つけたのだ。貴様の好きにはさせん!」  

 あくまで一方的な発言に、一瞬期待したアルルはトホホ……。

「何をたわけたことを言っている。この娘は自らの意志で私に会いに来たのだ。お主の出る幕ではない」
「そこまで言うのなら、本人に決めてもらおうではないか!」
「フム、よかろう。娘よ、どちらにするか決めるがよい」

 二人は、何故か自信満々にアルルを見据えた。

 うぇぇ、どっちもイヤだぁ!!

 でもシェゾは「遅い! 早く決めねば半分ずつに切り裂くぞ」なんて魔剣をかざして言ってるし……。

 というわけで、あなたはどちらを選びますか?

 

 良くも悪くも『ぷよぷよ』の影響の濃い内容。特にルルーの扱い方は、プレイヤーがルルーというキャラクターをよく知っていることが前提になっている。シェゾの扱いは大変化。かつての神秘感はなくなって、ただの意地悪 かつ アタマ悪そーなお兄さんになってしまったが、その分親しみやすくなって、プレイヤーとしても「あまり悪いやつじゃないのかも……」という気分になってしまう。だからこそアルルも、一瞬とはいえ「助けに来てくれた」と思ったんだろうし、最後の究極の選択も効くのだろう。

 ところで、ゲーム中ではシェゾはただの一度も名乗っていないのだ。これはオリジナル魔導でも同じなんだけど……(取扱説明書でのみ、名前や名前の意味が紹介されている)。ところがゲーム中でいつの間にやらアルルはシェゾの名前を呼んでいるし、しまいには思いっきり「シェゾ!? 助けに来てくれたんだ!」と叫んでるのだった。超能力者か?(゚△゚

 

 シェゾが「ヘンタイ」という説が一般に流布してしまったため、冒頭のシェゾの台詞がより誤解を受けそうなものに変更されている……。

 絵がしょぼい……アルルはまだしも、シェゾが単なるつり目の男だ。声 野太いし。

魔導物語道草異聞

製作/コンパイル 発売/英知出版(94/08/15 DS3)
PC-98

Disc Station Vol.3
(1994)

PC-9801

『Disc Station』に掲載された、『魔導』の完全新作。PC-98版『ぷよぷよ』等の取説に書かれていた設定を再現した、『ぷよぷよ』と『魔導』をつなぐための物語。絵は、現在のシリーズの感じからすると大人っぽいが、98版『1-2-3』と比べるとアニメチックな感じ。

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◆ストーリー

「いやー 今日はいい天気だねぇ」
「ぐー」
「ホント 気分も晴れ晴れ こーゆー日はさあ やっぱり…」
「ぐ?」
「ダンジョンにもぐるしか!」
「ぐー!」

 カーくんと旅を始めたばかりのころ。あんまり天気が良かったので、アルルはダンジョンを探索することにした。(アルルもたいがい変な趣味持ってるよな…。)
 そのダンジョンは小さいが、結構造りが複雑。降りたり上がったり、時計盤を模してぐるぐる回ったり……。どうやら、「時」をテーマにした構造らしい。また、置いてある書籍等からして、このダンジョンにはかつて魔導の研究家が住んでいたようだ。

 最深部の部屋を守っていた つぎはぎの守護者を倒し、アルルが最後に手に入れたのは、一冊の封印された魔導書だった。

「ずいぶん古い魔導書だな… あっ 見て見て!」
「ぐ?」
「ぼくの知らない呪文だよ! えーと 『オワニモ』の呪文か…」

 色同じく 四つの魔物あらわるとき

 魔力を解放せよ

 されば 時の女神が『門』を開き

 魔物を異界へと誘わん

「ぐー?」
「つまり 同じ色したモンスターが四匹そろったら 消しちゃう 呪文なんだって」

 とはいえ、この時点ではアルルはそんな魔物など見たことがなく、呪文は役に立たないと思われたのだが……。

 

 キキーモラ初登場。あんた……こんな遺跡で何してんの? 人のいるところを掃除しなさいよ、家霊なら(^_^;)。

魔導物語Ⅲ究極女王様

製作/コンパイル 発売/セガ・エンタープライゼス(94/12/30)
GG/i-mode/Yahoo!ケータイ/EZweb

魔導物語3〜究極女王様〜 【ゲームギア】

 オリジナル魔導シナリオ3のリメイク作。既に「移植作」ではなくなっているのに注意。…だってこれ、全然違うゲームだよ。話も、キャラも。

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◆ストーリー

 ボクは『アルル』。魔導師の卵。古代魔導スクールを目指して旅をしてるんだ。
 お供の『カーくん』と、旅を続けて3にち目。
『おなかすいたねぇ、カーくん』『ぐ、ぐぅ』
『ほーーーーほほほほほほほっ
 そのカーバンクルを 素直に渡せば ここは 見逃してあげても・・』
『そろそろ お弁当食べようか?』『ぐっ、ぐーぅ!』
『ちょぉっと、お待ちっ!』
『えっ? ボク!?』
『他に 誰がいるってのよ!』
『で、あなたは 誰ですか?』
『あたしは ルルー! サタンさまとはあたしが 結婚するのよー!!』
『はいー?』
『まぁぁ、しらばっくれて!! そこにいる カーバンクルこそ サタンさまと 婚約した証拠!!』
『そのサタンだったら 今頃 ライラの迷宮でバタンキュー状態なんですけどー』
『なんですってー! 許せないわー! いでよ! ミノタウロス!!』
『ウモォォォォォォォォ!!!!』

 ルルーが叫ぶと、下から、ぬっと牛の頭の大男が現れた!

『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
『おーほほほほほほほほ!!!!』
『ぐっ、ぐぐぐーーーー!!!!』
『あんなの かなわないよ! カーくん 逃げよう!!』
『待てぃ! 逃がさんもぉぉぉ!』
『じょーだんじゃないよぉ』

 ミノタウロスは、どんどんボクを追ってくる。

『待て、待て、待てぃ!!!』
 ! !!!!!

 走って逃げるうち、突然、ボクの体が地面の下に沈み込んだ。

『お、落としあなぁ?』
 ボクは ルルーの罠に まんまとはまって しまっていた。

 

 この迷宮にはカエルの王様がいて、アルルにスーパーな魔導スーツ(某美少女戦士風)を授けると、「まさしく究極女王様だケロ」と騒ぐのであった。
 更に古代魔導の宝物庫(何故かミノタウロスの迷宮からつながっている)でわんだふりゃ魔導砲を手に入れたアルルは、ついにミノタウロスを撃破、迷宮を脱出すると……何故かそこはルルーの屋敷の前だった。

「こうなったら あのタカビーに いっぱつ くらわして やらないと きが すまないよ。」

 こうしてルルーの屋敷に乗り込んだアルル。果たしてルルーに一発食らわせることが出来るのか!?

 

 ゲームギアシリーズの前作とはキャラクターデザインが一新。システムにも様々な新要素が入り、ついでにアルル自身の性格も大幅に変わっている。声優も変更しているし。マップが凝っているのは確かだし、この独特のノリが好きでたまらないという人も少なくないようだが、私はちょっと……。なんつーか、話がむちゃくちゃだよー。

 

 オリジナル魔導と違ってラスボスがミノタウロスではなくルルーなのだが……どうやらまだ格闘女王という設定は固まっていなかったようで、格闘技は”背負い投げ”だけ。あとはムチを使ったり謎の怪光線を発したりして戦うのだった。ひぃ。

 魔導砲すら跳ね返すというルルーは、果たして”人間”なのか?

 あの手この手でアルルを試すサタン、という、今後のシリーズの背景として定着してしまったパターンがここで確立している。

 ところで、注目すべきはルルーが決してないがしろにされておらず、サタンの妃候補の筆頭の一人として扱われている点かも。「アルルくんとルルーくん どちらを わがきさきとしても ふまんはない」と言ってるし。そうか、だからこそサタン様は魔力のないルルーを魔導学校に入れたんだね。二人の有力候補を自分の手元にがっちり抱き込んで育ててるわけだ。

 

 個人的な見所はやっぱり覗きカエル



 '09年に携帯電話アプリに移植されたが、魔物とのエンカウントシステムが変更され、魔物探知アイテム《ひかるつくし》が消滅した。このアプリ、初期配信時点では壁に関するバグが多いとのこと。

魔導物語Aドキドキばけ〜しょん

製作・発売/コンパイル(95/11/24)
GG

魔導物語A〜ドキドキバケーション〜【ゲームギア】

『A・R・S』のシナリオAのリメイク。はっきり言って全然違う話である。同タイトルで出す意味があったのか? 絵や声はゲームギア『魔導III』と同じ。即ちアルルの性格や表情もそれまでのシリーズとは一線を画している。

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◆ストーリー

 今日から魔導幼稚園の夏休みです。アルルは、もう四歳になったのだから、とお母さんにお願いして、夏休みをおばあちゃんの家で過ごさせてもらうことにしました。おばあちゃんの方がお母さんより優しいですからね……楽しい夏休みを送れるというものです(?)。

 おばあちゃんの家に行くには妖精の森を抜けなければなりません。でも大丈夫。森にいる沢山の妖精さんと、アルルは仲良し。彼女達に案内してもらえば、道に迷うことなんてありません。
 と。あれれれ、どうしたの。妖精さん達が逃げ惑っています。森に大きなゴーレムが入って、木を倒しています。どうしてこんなことをするの?
 工事をしている魔物のおじさん達の中で、一番えらい「親方」は、緑の長い髪で、角と翼を生やしています。親方は言いました。こんな森は潰して、遊園地を建てるんだ。君だって遊園地は好きだろう? そりゃ、好きだけど……お友達を苦しめるなんてとんでもない。アルルは工事を止めさせようとしましたが、逆に追い払われてしまいました。

 森に逃げ込んだアルルは、妖精さん達の助けを得ながら、親方の屋敷を目指します。
 途中で、アルルはボロボロの鉄のゴーレムに出会いました。古代の魔導師が作ったこのゴーレム、ソクラテスの新しい主になって、アルルはついに親方の屋敷へ。でも……アルルを先に進ませるため、ソクラテスは……。
 悲しみを乗り越え、アルルは親方を倒して森を守りきることが出来るのでしょうか。

 

 テーマが自然保護な辺りが時代を感じる。

 アルルが既に妖精と仲良しなわけで、もしかするとPC-98版『A』の続編なのかも、なんて考えることも出来る。

 

 マップが広くて、結構やり応えあった。わりとしょーもないところで数日詰まったとかいう話はちょっとアレだが。指の形に並んだ部屋で、失敗すると吹き出るガス……すごく苦しめられたッス。ちくしょー。ピッグペッカーには内臓吐かされたし。

 親方、メチャクチャ弱いよ。カレーライスいっぱい持って気合入れて行ったら、あっという間にばたんきゅ〜。カレーが無駄に……。かつてのつよぉいアナタはいずこへ?

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