混沌の神が支配している世界。

 光は闇の恐怖を確認するためにあり、希望は絶望の下に存在した。

 長い年月を生きている者ほど、その事をよく知っていた。

 

 そして、その事実を知った者は、その瞬間より自分の特殊な能力を失い、旅することを止め、自分の死の順番を待つために生きるようになる。  

   

 

 ぼくは、魔導師の卵。

 古代魔導スクール入学のために旅をする16歳の女の子。試験は申請室まで、自分の魔導を使って行くこと。もちろん乗り物なんか使っちゃいけない。

 だけど、旅を始めて3日目に、ちょっとしたトラブルに巻き込まれてきんをなくしてしまった。どうにかしないと飢え死にしてしまうよ。そう思っていると目の前の空間が奇妙によじれて、かっこいいお兄さんが出現した。かっこいいけど、どこかおかしい。変態の目だ。

「な、なんか、よう?」

「御前の力が欲しいだけだ!」

 ああああ、やっぱり、変態お兄さんだ! と思ったとたんに、スリープの呪文の声と、体を突き抜ける閃光。お兄さんの顔が目の前まで近付いてきて、意識が遠のいていく。体中の毛穴が広がり、体毛が抜けていくような薄ら寒い感じが全身を駆け巡る。お兄さんの両腕が絡みついてくる。大地が流れて砂となり、体が闇の方向に裏返っていく。

 気づいた所は地下牢の中。牢の前には、怪物が2匹。ニヤニヤ笑いながら話している。

 脱出しなくちゃ、こんな所でぐずぐずしてられないんだ。

 ぼくは色仕掛けで怪物をだまして、牢から抜け出した。

 こんな地下迷宮からは、さっさと脱出してやる!

 地上を目指して ぼくは動き始めた。

 

 

MSX-2 DiscStation「魔導物語 EPISODE Ⅱ CARBUNCLE」(89/11)取説 OPENING STORYより

(C)COMPILE 1989

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