稲種を盗んだ神


 昔々、東方スグル嶽の芭蕉群れシナグの滝に、石の王イシヌオー土の君ハニヌキミが生まれました。二人は結ばれ、子を成しましたが、その子に聖名も付けないうちに石と土に戻ってしまいました。子は聖名を欲しがって、自ら天の庭ティンヌミヤに昇って行って、照り輝く太陽ティダを拝んでこう言いました。

「私は、東方嶽の芭蕉群れの滝に生まれた石の王と土の君の間に生まれました。けれど、父母は私に聖名を付ける前に石と土に戻ってしまいました。どうか、私に聖名を付けてください」

「よし、ではお前に島建国建シマクブダ・クミクブダという名を与えよう」

「では、私に島を与えてください」

「ここにはない。ニルヤ島・ハナヤ島(ニライカナイ……竜宮のこと)に下って、大王を拝んで頼むがいい」

 そこで、島建国建は空と海の落ち合うところ、世界の果てのニルヤ島・ハナヤ島に下っていって、海の大王を拝んで言いました。

「私は、東方嶽の芭蕉群れの滝に生まれた石の王と土の君の間に生まれました。けれど、父母は私に聖名を付ける前に石と土に戻ってしまいました。どうか、私に聖名を付けてください」

「よし、ではお前に島建国建シマクブダ・クミクブダという名を与えよう」

「では、私に島を与えてください」

「よかろう。大潮フーシュ八潮ヤハシュに頼んでやろう」

 大潮と八潮は渦を巻き、海底の土を巻き上げて、赤土を下に黒土を上にした島を作ってくれました。

 ところが、この島は浮き島で、島の北の端を踏むと南の端が、南の端を踏むと北の端が持ち上がり、少しも定まっていません。島建国建は太陽に伺いを立てました。

「天の神よ、漂う島を、どうしたら定めることが出来るでしょうか、揺れ動くものを、どうしたら踏み固めることが出来るでしょうか」

「東の岸には黒石を置き、西の岸には白石を置け。さすれば、島は定まるであろう」

 島建国建はその通りにして、この島釘によって島はようやく定まりました。また、島には遮るものが何もないので、東の波が西まで西の波が東まで打ち越えます。そこで石を積み木を植えて波を防ぎました。

 島建国建は谷を作り川を作り、集落シマを作り御嶽を作りました。しかし、そこに住む者がいません。そこで再び天に昇って太陽に請いました。

「私は集落を作りました。でも、そこに住む者がいません。どうか、人間を下さい」

「では、一組の兄妹を与えよう。よいか、地上にどんどん人種を増やすのだ」

(別の説では、天の神に教えられて土をこねて神の姿をかたどった泥人形を作り、それに息を吹き込めて人間を作りました。)

 けれども、三年経っても人は全然増えませんでした。兄妹の間に子供が出来なかったのです。どうしたらいいのか分からなくて、島建国建はまた天に昇って太陽に尋ねました。

「私は人を授かりました。けれども、少しも増えません」

「兄を風上に、妹を風下に立たせて、追い風で交わらせるのだ」

(別の説では、男を風上の家に女を風下の家に住まわせると、男の息が風下の女にかかって妊娠した、となっています。)

 その通りにすると、兄妹の間に子供が出来て、人間が増えていきました。

 さて、人間が増えたので、食べ物が必要になります。この頃人間の食べ物はまだ定まっておらず、男も女も、せっかく生まれた子供も、みんな飢え死にしそうになっていました。島建国建は天に昇り、太陽に稲種を乞いました。

「ここにはない。ニルヤ島・ハナヤ島に下って、大王を拝んで頼むがいい」

 そこで、島建国建はニルヤ島・ハナヤ島に下って、大王を拝んで乞いました。大王は言いました。

「よかろう。ただし、初穂祭りの期間が済んでからだ。祭りがきちんと済んだなら、稲種を渡そうではないか」

「お言葉ですが、人間は今にも餓死しそうになっています。これほどの旅をして私がここに来たのですから、すぐに稲種をください」

「それはならぬ。まず、祭りをせよ」

 待ちきれなかった島建国建は、ニルヤ島・ハナヤ島の黄金の田んぼに行くと、ふさふさと実る穂を摘んで袂に隠し、すぐに逃げ出しました。クシントーバル・アミントーバルまで逃げましたけれども、大王の怒りに触れたのでしょう(別の説では、大王の追っ手に打たれて)、そこで気を失って倒れて、そのまま目を覚ましませんでした。

 一方、太陽は孔雀と鶴を放って、帰ってこない島建国建を探していました。すると、クシントーバル・アミントーバルで、目や鼻が欠けた哀れな姿で倒れている島建国建が見つかりました。倒れている島建国建の体に生き水を注ぎ、生き鞭で打つと、息を吹き返して起き上がりました。太陽は言いました。

「お前はよく仕事をしたが、盗みは許されぬ。もう一度ニラヤ島・ハナヤ島に行って、正しい手続きで稲種をもらってきなさい」

 島建国建はニラヤ島・ハナヤ島に戻り、大王から正式に稲種をもらって、無事に帰ってきました。

 島建国建は田んぼを作り、そこに稲種を蒔きました。十一月に植えて、二、三月に青々と茂り、七月の盆には黄金色の波のように実りました。それを見て太陽は言いました。

「初穂は神々に供え、家の祖先神、かまどの火の神にあげ、残りは食べるように人間たちに教えなさい」

 島建国建がそのように教えたので、以降、人間たちはそのようにするようになりました。

 これが、沖永良部島の始まりです。




花を盗んだ神


 昔々、大昔のことです。まだこの世に何もなかった頃、天の神様が沢山の神様たちを従えて降りてきました。神様たちは分担して、草や木を作ったり、魚や貝を作ったり、虫や動物を作ったりして、最後に、神の姿に似せた"人間"を作ろうということになりました。神様たちはワイワイガヤガヤ、みんなで泥をこねて沢山の人形を作り、日に干しておきました。ところが雨が降ってきたので大慌て。急いで取り込んだので、幾つかの人形の手足などが欠けてしまいました。(ですから、人間の中に体の不自由な人が産まれるようになったのです。)この泥人形に海の神が息を吹き込めると、人形は生命を持って人間になりました。

 人間作りが終わると、神様たちは「誰が人間を治めるか」でケンカを始めました。

「土で人間を作ることを思いついたのは、私、天の神だ!」

「何を言う、その人間に息を吹き込んだのはこの私、海の神ではないか!」

 二人は互いに譲らず、とうとう、天の神が二本の枯れ木を取って、

「それでは、この枯れ木に花を咲かせた者が人間を治めることにしよう。寝るとき、それぞれの枕元に枯れ木を置いて、翌朝に咲いていた方が勝ちだ」

と言って、海の神に枯れ木の一本を渡しました。

 天の神と海の神は、枯れ木を枕元に置いて寝ました。

 天の神は夜中にふと目を覚ましました。見ると、海の神の枯れ木に花が咲いているではありませんか。――自分の枯れ木にはまるで咲いていないのに。天の神は、こっそりと、自分の枯れ木と海の神の枯れ木を取り替えてしまいました。

 夜が明けると、天の神は「それ見ろ、私の枯れ木に花が咲いたぞ。人間を治めるのは天の神だ」と勝ち誇りました。海の神は言いました。

「花は私の枕元にこそ咲くべきだったが……。私はこのまま大人しく海に帰るが、今後、世界が続く限り、盗人の種は尽きないであろう」

 こうして天の神が人間を治めることになりましたが、海の神の言ったとおりに この世は盗人の天下となり、盗んだ者が金持ちになり、金持ちが互いに戦を起こし、殺人と奪い合いが果てしなく続きました。天の神はほとほとイヤになり、天に帰ってしまいました。

 その頃までは、作物は根元から穂先までびっしり実がついていたのですが、帰るときに天の神が茎をぐいっとしごいたので、穂先にちょっぴり実るだけになってしまいました。ただ、大豆だけはさやの先が尖っていて痛かったので、天の神もしごききることが出来ませんでした。それで大豆は、今でも根元から先までびっしり実がつくのです。

 

 また、こんな話もあります。

 花咲かせ勝負に敗れた海の神は、人間・獣・虫などあらゆる生き物の目を閉じさせて、産まれたばかりの「火の種子」を その間に地上のどこかに隠し、竜宮に去っていきました。

 火が無くなったので、天の神も人間たちもみんな困りました。天の神は地上の生き物を残らず集め、「海の神が火の種子をどこに隠したか、見た者はおらぬか」と尋ねましたが、みんな「目を閉じていたので分かりません」と言います。

 その時、一匹のバッタが進み出て言いました。

「私が知っています。私は羽根で目を覆っていましたが、ご覧の通り、私の目は脇についております。この目で盗み見をしていたところ、海の神が石と木の下に火の種子を隠すのが見えました」

 喜んだ天の神がすぐに石を取り、木を取って、石と石を打ち合わせると火花が散り、木と木を揉み合わせると煙が立って、火が燃え上がりました。

 こうして火の種子は取り戻され、人々は石や木で火を起こすようになったのです。

 

 『琉球神道記』によると、かつて世界に火はなかったと言います。竜宮ニライカナイから火を求め、これにより国が成りました。人間が作り出され、キンマモンという守護神が現われました。この神は海底の宮に住んでいます。




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 「稲種を盗んだ神」は、鹿児島県沖永良部島の知名町に伝わる「シマダテシンゴ」を基にしたものです。話の中に、日本にはいないはずの孔雀が出てきていたり、ちょっと面白いですね。孔雀のいる、中国南部や東南アジアに原型のある話なんでしょうか。
 ホントだ、稲種を盗んでる。
 気絶……ってなってるけど、目や鼻が欠けてたし太陽が息を吹き返させたんだから、死んでいたってコトだよね。ギリシア神話のプロメテウスも、太陽から火を盗んだせいで、ハゲワシに永遠に肝臓をついばまれる罰を受けていたけれど……。
 プロメテウスのように、人々に火や穀物――文化的な食生活を与える神話的存在を、文化英雄神といいます。何故”英雄”なのかといえば、火や穀物は殆どの場合、英雄の決死の行動によって「奪ってくる」か、「盗んでくる」ものだからです。
 え! ………じゃあ、ドロボー……。
 世界中の穀物由来神話を見ていくと、大まかに四つの系統に分けられます。一つは、今言った「異界(天の国か竜宮)から盗んでくる」。もう一つは「豊穣の女神が惨殺され、その死骸から生える」。もう一つは、「鳥がくわえてきて落とす」。最後に、「穀霊神(青年)が豊穣の女神(青年の母親的存在)から授かって、天下に広める」です。
 日本本土の神話のは、最後のやつだよね。天照からもらった稲種を邇邇芸が撒いたんだもん。
 あ、でも、月夜見ツクヨミ保食神ウケモチのカミを殺して、その死骸に色んな作物が出来たっていう話もあったっけ……。
 蒔く話より、殺す話のほうが有名でしょうね。
 ふぅん。
 とどのつまり、稲の由来は沖縄では「盗んだ」説で、本土では「殺した」説なんだね。……どっちも物騒な感じだけど……。あぅう。
 でも、実は日本本土でも、民話レベルでは「盗んだ」説の話が伝わっているんですよ。こんな話です。
 、日本にまだ麦が伝わっていなかった頃。中国に留学した弘法大師は、麦畑を見て、この種を日本に持ち帰ろうと考えた。そこで自分の足に傷を付けてその中に麦種を隠したが、麦畑の主人の犬が盗みに気づいて吠え立てた。けれども、犬の主人が「お坊様に吠えるとは失礼な犬め」と、その犬を殴り殺してしまったので、弘法大師は盗みに成功した。こうして、日本に麦を広めたが、殴り殺された哀れな犬を想って、麦種は必ずいぬの日に蒔くことに定めたという。
 アイヌの神話の方で紹介しますが、大変よく似た話がアイヌの間にも伝わっています。
 足に傷を付けてその中に隠す、って……。プロメテウスが、中が空洞になってる茎の中に火を隠して盗んだのと似ているね。プロメテウスは自分の体の中に隠したんじゃないけど。
 中国の少数民族のハニ族の伝承には、英雄・アチャが太陽神を表す金鶏毛の巨人と戦って、火を奪って自分のお腹の中に隠して持ち帰る話がありますよ。火を取り出すために、最後は自らお腹を割いて死んでしまうんですけどね。
 うわー……。
 けど、弘法大師は、どうして盗みの罰を受けなかったのかな? プロメテウスも島建国建も、みんな命に関わる罰を受けているのに。
 犬が彼の身代わりに殺されているのです。
 実は、穀物盗みの神話には犬が関わってくることがとても多いのです。プイ族やミャオ族、漢族など中国の各民族には、犬が尾に稲種を付けて水を渡ってきたとか、天に稲種を盗みに行った英雄を同行した犬が助けたとか、その折半で、穀物を盗んだ英雄が罰を受けて犬に変えられた、などという話が伝わっています。そのため、収穫を祝う日には、まず犬にご飯を与えるという風習があるのだそうですよ。
 なお、日本にも狐が稲種を一本の竹の棒の中に隠し、中国から盗んできたとする伝承がありますし、南アメリカには、天に昇ってご馳走を食べた狐が墜落死して、そのお腹から撒き散らされた種によって穀物が地上に広まった、とする神話があります。
 どういう理由なのか、犬(狐)と「穀物の請来しょうらい」には、深い結びつきがあるようですね。
 なんで犬なんだろー……。犬のしっぽが穀物の穂に似ているからかな?
 どうでしょうね。「花咲爺」など、犬の死骸から植物が生えて富をもたらす伝承も数多いですし。
 ところで、稲の由来と関わる動物は犬ばかりでもありません。倒れた島建国建を探すために、太陽は鶴と孔雀を派遣していますけれど、沖縄の「遺老説伝」という本には、稲穂をくわえた鶴が台風に遭って玉城村百名に落ちて死に、その穂から芽吹いた稲をあまみきよが水田に植えて稲作が始まった、と稲作の由来が書かれているそうです。 ちなみに、日本本土にも「田んぼの神様は”稲鶴姫”の婿」という伝承があるのですよね。
 あれ? ”あまみきよ”って、沖縄を作った女神様のアマミコのこと?
 そうです。
 ……ところで、稲鶴姫の父親の名は”あまのしゃく宗右衛門”というのだそうですけど。壱岐に伝わる伝承では、”アマンシャグメ”が穀物の収穫量を減らしたり雑草を生やしたりした、とあります。
 あまのしゃくとかアマンシャグメって、天邪鬼アマノジャクのこと? 昔話の「瓜子姫」にも出てくるよね。穀物を広げた英雄たちとは正反対のことをしてるけど、田んぼの神様のお義父さんなの……?
 熊本には、アマンシャグマという巨人が棒で天を押し上げて天地を開闢した、という伝承があります。巨人が天を押し上げたという伝説は世界中にありますが、沖縄のこの系統の神話では、天を押し上げた巨人の名を”アマンチュウ”としています。
 ええ? ……アマンチュウって、アマミコのことだったよね。じゃあ、天邪鬼は女? あれ? でも、稲鶴姫のお父さんだし。いや、名前と行動が似てるけど、アマンシャグマとアマンチュウは全然無関係なのかな。
 天邪鬼のルーツは、一般に「古事記」や「日本書紀」に登場する、天探女アマのサグメという女神だとされています。この女神は国を作る使命を帯びて天から降りてきたのですが、天に反抗したのです。
 え、えええ? ……うう、何の話をしてたんだか分かんなくなっちゃったよ〜〜!
 「花を盗んだ神」では、天の神が天に戻るときに稲などの茎をしごいて実りを少なくしたことになっていますが、壱岐に伝わる話では、アマンシャグメがこれをやったことになっています。人間の暮らしが不便になるように色々画策したので、最後は神に罰されて虫に変えられたのだそうですよ。
 天から降りてきて、稲の神様で、でも天に反抗して、稲の実りを少なくして、虫になって……。天邪鬼ってなんなんだろう?
 豊かな実りを与える反面、意のままにはならずに恐ろしいしっぺ返しをする、"自然"そのものという感じもしますね。
 よく分からないと言えば……。天の神って太陽の神様なんだよね。それなのに火の種子が無くなったって言って困ってるのって、変なの。どうして海の神が火の種子を隠していくんだろう?
 理由はよく分かりませんが……海の中や海辺から火がもたらされた、という神話は、東南アジアから台湾、オセアニア、ハワイに分布しています。日本本土の神話でも、鵜に変身した神が海の底に潜って、海草で火きり臼と火きり杵を作って火を起こす話があるんですよ。火が水より生まれる……というより、海の彼方の異界(竜宮…冥界…富の根源の国)に、火を含めた貴重な宝物がある、という考え方なんでしょうね。
 海の神の方が天の神より「いい神様」なのかなぁ? 火や稲種を持っているし、花も咲かせたし。人間の守護神のキンマモンという神様も海の神なんだよね?
 天の神は色々助けてはくれるけど、ズルをしたし、そのせいで人間が悪くなったのに見捨てて帰っちゃうし、しかも作物の実りを減らしちゃうし……。
 どうでしょう……。話を語った人の好みや信仰でそんな役を当てはめられただけ、という気もしますね。「二人または三人の神(悪魔)が何かの支配権をめぐって寝ている間に花を咲かせる(植物を生えさせる)賭けをするが、負けた神がこっそり花を入れ替え、ズルをする」という話は、やっぱり他の国や地域にありますから。その場合、必ずしも「太陽」と「海」といった対立にはなっていませんものね。
 朝鮮半島(韓半島)の神話では、この賭けをするのは大星王と小星王という兄弟神か、釈迦と弥勒になっています。釈迦と弥勒が争うパターンは、シベリアのブリヤート族や沖縄の宮古島にもあります。面白いので、簡単に説明してみましょうか。
 朝鮮半島(韓半島)の神話
 天地誕生のとき弥勒が出現し、地上の様々なものを作り上げた。人間が生まれた後、釈迦が出現してこの世の支配権を奪おうとした。弥勒と釈迦は三つの勝負をし、最後に眠っている間に花を咲かせる賭けをしたが、釈迦がこっそり花を入れ替え、この世の支配権を獲得した。弥勒は「この世は混乱するだろう」と予言して去った。
 ブリヤート族に伝わる話。
 シベゲニ・ボルハン(釈迦)とマダリ・ボルハン(弥勒)とエセゲ・ボルハンの三神が一対の人間を作った。三神はたいまつと水鉢を前に置き、その傍らに横たわって眠り、夜のうちにたいまつに火を灯し水鉢に植物を生やすことの出来る者が、人間に魂を入れその守護霊になることを決めた。けれども、シゲベニ・ボルハンは眠らずにいて、マダリ・ボルハンのたいまつに火がつき水鉢に植物が生えているのを見て、それを自分の方に移し変えた。
 こうして人間の魂を作り守護霊となるのはシベゲニ・ボルハンに決まったが、マダリ・ボルハンは誤魔化しに気が付いて「お前は私の火と植物を盗んだな。だから、お前が魂を入れた人間どもも、互いに盗み合い、争い合うようになるだろう」と言った。
 沖縄県宮古島に伝わる話。
 弥勒仏ミルクポトケ釈迦仏サクポトケが花を咲かせる賭けをして、どちらが宮古島を守るかを決めた。弥勒仏が居眠りをしたすきに釈迦仏は花を取り替えてしまい、負けた弥勒仏は仕方なく唐に行くことになったという。
 ホントに同じ話だぁ……。
 次は、人間の祖となった兄妹についてお話してみましょうか。


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