トゥルーデおばさん

『グリム童話集』に収められた「トゥルーデおばさん」はかなり短い話で、唐突に始まったかと思うと、いきなりクライマックスになり、ストンと切られたように終わってしまう。しかも無残なバッドエンドである。あらゆる点で説明不足なのだが、それ故に神秘感があり、印象深く思われるようだ。

トゥルーデおばさん  ドイツ 『グリム童話』(KHM43)

 昔、わがままで詮索好きの娘がいた。両親が何を言っても聞き入れることはなかった。どうしてこれで良い結末が迎えられるだろうか?

 ある日、娘は両親に言った。

「私、トゥルーデおばさんの話を聞いたの。ちょっと行ってみるつもり。みんなが言うには、すごく変わってるんですって。家の中にはそれは珍しいものがあるってことだわ。だから行ってみたくてたまらないのよ」

 両親は厳しく止めた。

「トゥルーデおばさんは邪悪な女だ。神をも信じぬ奴なのだよ。そんなところに行くなら、もうお前はうちの子じゃない」

 だが娘は決して聞き入れずに、がむしゃらに飛び出して行った。

 彼女がやって来ると、トゥルーデおばさんは尋ねた。

「お前、どうしてそんなに青い顔をしているんだい?」
「ああ」と娘は答え、ガタガタと震えた。「私、自分が見たものが怖くてたまらないの」

「何を見たんだい」

「ここの梯子のところで、真っ黒い人を見たのよ」
「そりゃあ、ただの炭焼き男だよ」

「それから、真緑の人を見たわ」
「そりゃあ、ただの狩人だよ」

「それからね、血みたいに赤い目の男を見たのよ」
「そりゃあ、ただの肉屋だよ」

「ああ、トゥルーデおばさん。とっても怖いの。窓から見たらおばさんはいなくて、頭が燃える火のような鬼がいたわ!」

「おや、そうかい」とおばさんは言った。
「それならお前は、正しく着飾った魔女を見たのだね。私はお前がここに来るのをずっと前から待っていた。お前が入用なのさ。お前、光っておくれでないかえ」

 こう言ったかと思うと、トゥルーデおばさんは娘を一本の薪に変えて火の中に投げ込んだ。それがごおっと赤く燃え上がると、火の側に腰を下ろして体を温めながら言った。

「どうだい、恐ろしく明るいじゃないか」


参考文献
Frau Trude」/『maerchenlexikon.de』(Web)
『完訳 グリム童話集』 金田鬼一訳 岩波文庫 1979.

 トゥルーデおばさんは《魔女 Hexe》らしいが、窓から透かし見ると燃えるような頭の《鬼 Teufel》がいたと言う。《Teufel》とはデビル、悪魔/魔王/悪人のことだ。一体彼女は何者か。そして彼女の家の階段のところにいたという黒い人、緑の人、赤い人とは何を意味しているのか。

 この話だけ読むと、確かに意味不明である。しかし類話を並べると、もう少し見えてくるものがある。

うるわしのワシリーサ  ロシア(AФ104)

 昔、ある国に商人がいました。結婚して十二年目に奥さんが亡くなり、《うるわしのワシリーサ》という一人娘が残されました。この時、ワシリーサはまだ八歳でした。

 死ぬ前に母親はワシリーサを枕元に呼ぶと、布団の下から人形を取り出してこう言いました。

「ワシリーサ、お母さんの最後の言葉をよく覚えておおき。お母さんはもう死にますが、お前を祝福して、ほら、この人形をあげます。いつも肌身離さず持っていて、誰にも見せないようにするんですよ。
 何か困ったことが起きたら、お人形にご馳走して相談なさい。お人形はお腹がいっぱいになると、きっとあなたを助ける方法を見つけてくれるでしょう」

 言い終えて娘にキスをすると、母親は息を引き取りました。

 商人はたいそう嘆きましたが、やがて新しい奥さんを迎えることを考えるようになりました。彼は立派な人物でしたので後妻のきては沢山ありましたが、中でも一人の未亡人が気に入りました。彼女にはワシリーサと同じ年頃の娘が二人おり、良い母親になってくれるだろうと思ったのです。ところが案に相違して、彼女は良い継母にはなりませんでした。村一番の器量よしのワシリーサを妬んで、仕事という仕事を押し付け、二人の娘たちと共にワシリーサを苛めるようになったのです。

 ところが、毎日黙って働き続けているはずのワシリーサは日ごとにふっくらして美しくなり、王侯貴族のように何もしないでふんぞり返っている継母と娘たちは、歪んだ心そのままに筋張って醜くなっていきました。

 その秘密は、ワシリーサの母親が遺した人形でした。ワシリーサは自分は食べないでも食事の美味しいところを残しておいて、皆が寝静まった頃、寝起きしている物置部屋で人形にそれを食べさせるのです。そして語りかけました。

「さあお人形さん、食べてちょうだい。そして私の悩みを聞いて。私はお父さんの所にいるのに何の楽しみもないの。意地悪な継母さんは私をこの世から追い払おうとしているの。ねえ、教えて。どうすれば生きていられるの。私は何をしたらいいのかしら」

 人形はお腹がいっぱいになるとワシリーサに知恵を与えたり慰めたりしました。そして翌朝には、ワシリーサに代わって、畑の草取りも、キャベツの水やりも、水汲みも、ペチカの焚きつけも、どんな仕事でも片付けてくれるのです。だからワシリーサは、涼しい木陰で休んで花でも摘んでいればよかったのでした。おまけに人形は日焼け止めの薬草まで教えてくれました。人形との日々はワシリーサにとって幸せでした。

 

 こうして何年か経ちました。ワシリーサは嫁入りする年頃になり、町の若者たちはこぞって結婚を申し込みましたが、継母の娘たちには目もくれません。おかげで、継母は今までよりもきつくワシリーサに当たるようになりました。「上の娘たちより先に下の娘を嫁にやるわけにはいきませんよ」と若者たちを追い返し、ワシリーサをっては腹いせをするのです。

 そんなある日、商人は仕事で長い間留守をしなければならなくなりました。そこでその間、継母は娘たちを連れて別の家に仮住まいすることにしましたが、この家の側には深い森があり、森の中の草地には小屋があって、小屋にはババ・ヤガーが住んでいました。この妖婆は誰も自分の小屋には寄せ付けず、迷い込んだ者があれば雛鳥のように食べてしまうというのでした。

 新しい家に落ち着くと、継母は何かと用事を作ってワシリーサを森へやりました。ババ・ヤガーに食べられてしまえばいいと思っていたのですが、彼女はいつも無事に帰ってきました。というのも、人形が正しい道を教え、ババ・ヤガーの小屋へ近づくことがないようにしていたからです。

 

 秋になったある夜、継母は自分の娘の一人にはレース編みを、もう一人には靴下編みを、そしてワシリーサには糸紡ぎをさせて、寝るまでに仕上げておくように言いつけました。そして娘たちが働く部屋の一本だけを残して家中の蝋燭を消し、そのまま寝てしまいました。そのうち蝋燭が燻り出したので、継母の娘の一人が蝋燭の芯を切ろうとしましたが、その時に間違って火を消してしまいました。……実はこれは継母の言いつけだったのです。

「あら、どうしよう」と姉たちは言いました。「家中探しても火種はないわ、まだ仕事が済んでいないのに。こうなったらババ・ヤガーのところに火を貰いに行くしかないわね」

 そしてレース編みをしていた方が言いました。
「私はピンが光ってくれるからいいわ」

 靴下編みをしていた方も言いました。
「私もいいわ。編み針のおかげで明るいんだもの」

「「ワシリーサ、あんたが火を貰いに行くのよ。ババ・ヤガーのところへ行きなさい」」
 二人は声を合わせて、ワシリーサを部屋から押し出しました。

 ワシリーサは自分の物置部屋に戻ると、人形の前に食べ物を並べて言いました。

「さあ、食べてちょうだいお人形さん。そして私の悩みを聞いて。継姉さんたちが火種を取りにババ・ヤガーのところへ行けって言うの。ババ・ヤガーはきっと私を食べてしまうわ」

 ご馳走を食べた人形の目は、二本の蝋燭の灯のように輝き始めました。

「怖がらないでいいのよ、ワシリーサ! 行けと言われたところにお行きなさい。ただ、私を肌身離さず連れて行くんですよ。私がいればババ・ヤガーも手出しはできないんですから」

 ワシリーサは支度をすると、人形をポケットに入れ、十字を切って、奥深い森へ入って行きました。ぶるぶる震えながら歩いて行くと、突然、ワシリーサの側を騎士が駆け抜けました。白い顔に白い装備、白い馬で馬具まで真っ白でした。すると夜が白々と明け始めました。もうしばらく行くと、今度は赤い顔に赤い装備、赤い馬に乗った騎士が駆け抜けました。すると日が昇ったのが分かりました。

 ワシリーサは一晩と一日歩き続け、あくる日の夕方に、やっとババ・ヤガーの小屋の建つ狭い草地に辿り着きました。小屋の周囲には人間の骨で出来た柵が巡らされ、その一本一本の杭の先には両目をつけたされこうべが突き刺さっていました。門柱は人間の足、(かんぬき)は人間の手、錠前は鋭い歯が生えたままの人間の顎でした。

 ワシリーサが恐ろしさで気を失いそうになった時、不意に、黒い顔に黒い装備の騎士が、黒い馬にまたがって駆け抜けていきました。彼がババ・ヤガーの小屋の門の近くで地に呑まれるように消えうせると同時に、辺りは闇に包まれました。夜になったのです。

 けれども、夜の闇は長くは続きませんでした。杭に突き刺さったされこうべの目が輝き始め、草地は真昼のように明るくなったからです。恐ろしさからワシリーサが立ちすくんでいると、森の中からバリバリと不気味な音が聞こえてきました。臼に乗って杵で漕ぎ、枯れ葉を踏みしだいて、その跡を箒で掃き消しながら、ババ・ヤガーが現れました。老婆は門の所まで来ると動きを止め、辺りを嗅ぎまわってがなり立てました。

「くん、くん。ロシア人の臭いがするよ。誰だい、そこにいるのは」

 ワシリーサはこわごわ近づくと、丁寧に頭を下げて言いました。

「お婆さん、私です。継姉さんたちが、お婆さんの所へ火を貰いに行くようにって私をよこしたんです」
「そうかい。あの子らのことは私も知っているよ。それなら、まずは私のところで働くんだね。そうしたらお前に火をやろうじゃないか。いやなら食べてしまうよ」

 言い終わると、ババ・ヤガーは門に向かって言いました。

「私の頑丈な閂よ、とっとと外れよ。私の広き門よ、とっとと開け」

 門が開き、ババ・ヤガーが口笛を吹き鳴らしながら中に入ると、ワシリーサもそれに続き、再び門は閉じられました。

 部屋に入るとババ・ヤガーは長くなって寝そべり、ワシリーサに言いました。

「ペチカに入っているものを、みんなここへ出しておくれ。腹がぺこぺこだ。それと、穴倉から飲み物も取ってきておくれ」

 ワシリーサはペチカの中の夕食を並べました。ご馳走は十人分はあり、穴倉からはクワス(ライ麦から作った清涼飲料水)、蜜、ビール、ワインを持ってきました。ババ・ヤガーはそれをみんな平らげ、ワシリーサに残してくれたのは、ほんの少しのスープとパンひとかけ、それに仔豚の肉一切れきりでした。食べ終わるとベッドに入り、ババ・ヤガーは言いつけました。

「明日、私が出掛けたら庭を掃いて小屋の中を片付け、夕食を作って、洗濯をするんだよ。それから穀物置き場へ行って小麦五俵を出して、雑草の種を選り分けておいておくれ。これが全部できなければお前を食べてしまうからね」

 言い終わるとババ・ヤガーは大いびきをかいて眠り始めました。ワシリーサはババ・ヤガーの食べ残しを人形の前に置いて、泣きながら言いました。

「お人形さん、食べてちょうだい。そして私の悩みを聞いて。ババ・ヤガーが大変な仕事を言いつけて、もし全部できなかったら食べてしまうって脅かすのよ。助けて」

 すると人形はこう言うのです。

「うるわしのワシリーサ、心配しなくていいのよ。ご飯をおあがりなさい。そしてお祈りをしてお休みなさい。一晩眠ればいい知恵が浮かぶでしょうから」

 

 あくる朝、ワシリーサは朝早く目を覚ましましたが、ババ・ヤガーはもう起きていて、されこうべの火が消えようとしているのが窓から見えました。その時白い騎士が駆け抜けていき、すっかり夜が明けました。

 ババ・ヤガーが外に出てピューと口笛を吹くと、臼と杵と箒が現れました。その時、赤い騎士が駆け抜けていくのがチラリと見えました。日が射し始め、ババ・ヤガーは臼に乗ると杵で漕ぎ、その跡を箒で消しながら庭から出て行きました。

 一人残ったワシリーサは、小屋の中を見回して、あらゆるものが沢山あることに驚きました。さて、何から手をつけようかと迷いましたが、見ると仕事はもうみんな出来ています。人形は、小麦の中から最後の混ざりものを選り分けているところでした。

「ああ、あなたが私を助けてくれたのね。あなたのおかげで私は救われたわ」
「あとは食事を作るだけですよ、ワシリーサ。さあ、上手にお作りなさい。それから、ゆっくりお休みなさい」

 そう言って、人形はワシリーサのポケットに入りました。

 

 日が暮れかけたころ、門の外を黒い騎士が駆け抜けていきました。とっぷりと暮れて、闇にされこうべの目だけが光る中、木をバリバリと爆ぜさせ、枯れ葉をカサカサ踏みしだいて、ババ・ヤガーが帰ってきました。出迎えたワシリーサに、老婆は言いました。

「みんな出来てるだろうね」
「どうぞ見てください、お婆さん」

 ババ・ヤガーは全てを見て回り、何一つ文句のつけようがないので、忌々しそうに「まあ、よかろう」言いました。そして大きな声で続けました。

「私の忠実なしもべどもよ、我が友たちよ、小麦を粉に挽いておくれ」

 すると三組の手が現れ、小麦を抱えて消えました。

 ババ・ヤガーはたらふく食べて横になると、またワシリーサに仕事を言いつけました。

「明日も今日と同じようにおし。それから、穀物置き場からケシの実を持って来て、一粒ずつ奇麗に土を落とすんだよ。誰かが悪戯で土を混ぜたらしいんでね」

 言い終わると、ババ・ヤガーは壁の方に寝返りをうっていびきをかき始めました。ワシリーサは人形にご馳走をし、それを食べると、人形は昨日と同じように言いました。

「お祈りをして、それからぐっすりお休みなさい。一晩眠ればいい知恵が浮かびます。仕事はきっと、みんな出来ますよ、ワシリーサ」

 

 あくる朝、ババ・ヤガーはまた臼に乗って庭から出かけ、ワシリーサは人形と一緒に、たちまち家事を済ませてしまいました。

 日が暮れて帰って来たババ・ヤガーは、家の中をじろじろと検分してから怒鳴りました。

「私の忠実なしもべどもよ、我が友たちよ、ケシの油をしぼっておくれ」

 すると三組の手が現れ、ケシの実を抱えて消えました。ババ・ヤガーは食事をし、ワシリーサは黙って立っていました。

「どうして黙っているんだい。まるで口がきけないみたいだね」
「今まで遠慮していたんです。でも、もしお喋りをしてもよいのなら、二つ三つお訊ねしたいことがあります」
「訊きたければ訊くがいい。だけど、何を訊いてもいい返事が返るとは限らないよ。知り過ぎれば早く年をとると言うだろう」

「私が訊きたいのは、この目で見たもののことだけです。
 ここへ来る時、白い馬に乗って白い顔をした、白い装備の騎士が私を追い越して行きました。あれは誰なんですか」
「あれは、私の明るい昼さ」

「それから別の騎士が私を追い抜きました。赤い馬に乗って赤い顔をして、赤い装備でした。あれは誰なんですか」
「あれは、私の赤い太陽だよ」

「それじゃあ、この門のところで私を追い越して行った、黒い装備の騎士は?」
「あれは、私の暗い夜だよ。みんな私の忠実なしもべなのさ」

 ワシリーサは三組の手のことを思い出しましたが、黙っていました。

「何故、もっと訊かないのかね」
「これで充分です。お婆さんが今仰ったでしょう、知り過ぎると早く年をとるって」
「お前が家の中のことを訊かず、外で見たことしか訊ねないのは感心だよ。私は、内輪の秘密を洩らされるのが嫌いでね。詮索好きは食べてしまうことにしているのさ。
 今度はお前に訊くが、どうして私が言いつけた仕事を、みんなちゃんとこなせたのかい」
「母さんの祝福が私を護ってくれているからです」
「そういうわけだったのかい! じゃ、さっさと出て行っておくれ、祝福された娘さんよ。祝福された人間に用はないからね」

 こう言うとババ・ヤガーはワシリーサを部屋から引きずり出し、門の外に押し出してしまいました。そして一本の杭から、目が赤々と燃えているされこうべを一つ取り、棒の先に刺してワシリーサにくれました。

「さあ、この火を継母の娘たちに持ってお行き。火種を貰うために、お前はここに寄越されたんだろう」

 ワシリーサは、されこうべの灯りを頼りに、家に向かって駆け出しました。その火は昼の間は消えていました。あくる日の夕方、ワシリーサはやっと家に辿り着きました。

 門の所まで来ると、ワシリーサは「きっともう、家では火種はいらないわね」と思って、されこうべを捨てようとしました。ところがされこうべの目が輝いて、中からうつろな声が聞こえました。

私を捨てないで、継母の所へ持っていきなさい

 見れば家は真っ暗で、どの窓にも火は灯っていません。されこうべの灯を持って家に向かうと、継母と娘たちは手の平を返したようにワシリーサを優しく出迎えてくれました。というのも、ワシリーサが出て行ってからというもの、火打ち石では何故か火がつかず、隣近所から貰ってくれば部屋に入った途端消えてしまい、ずっと火がなかったと言うのです。

「ひょっとしたら、お前の灯なら消えないかもしれない」と、継母は言いました。

 ところが、されこうべを持って部屋に入ると、その目がギロリと継母と娘たちを射すくめ、じりじりと焼きつけ始めました。隠れようと何処へ逃げてもどこまでも視線は追っていき、朝までには三人はすっかり炭になっていました。けれども、ワシリーサだけは火傷一つ負いませんでした。

 

 あくる朝、ワシリーサはされこうべを土に埋め、家に鍵をかけると、町へ出て行きました。そして身寄りのない老婆の家に住まわせてもらい、父親の帰りを待つことにしました。

 ある日、ワシリーサは老婆に言いました。

「お婆さん、何もしないでいるのは退屈なんです。いちばんいい麻を買ってきてくださいな。私、それを紡ぎます」

 老婆が一番上等な麻を買って来ると、ワシリーサは仕事を始めました。仕事ははかどり、髪の毛のように細く滑らかな糸が出来ました。糸が沢山たまったので布を織ろうと思いましたが、ワシリーサの糸に合うおさがなく、作ってくれる職人もいません。ワシリーサが人形に相談すると、人形は言いました。

「古くなったおさと、馬のたてがみを持って来てください。そうしたら、私が作ってあげましょう」

 ワシリーサはそれらを集めてベッドに入りましたが、人形は一晩で、見事な機織り機を作ってくれました。

 冬が終わるころに布は織り上がりました。その薄いことと言ったら、丸めれば糸の代わりに針の穴に通せるほどでした。春にはそれを真っ白に晒して、ワシリーサは老婆に言いました。

「お婆さん、この布を売ってください。お金はお婆さんが取ってくださいね」
「まあ! こんなものは皇帝陛下しかお召しにならないよ。陛下のところに持っていきましょう」

 老婆は宮殿へ行くと、その沢山の窓の前をうろうろしました。皇帝が窓からそれを見つけて「何用かね」と声を掛けました。

「陛下、珍しいものをお持ちいたしました。あなた様のほかには、誰にもお見せしたくありません」

 皇帝は老婆を中へ通すように命じ、布を見て驚きました。

「いかほどかな」
「陛下、これに値段はございません。あなた様への贈り物として、差し上げたいのでございます」

 皇帝は老婆に礼を言い、沢山の土産を持たせて帰しました。

 皇帝はこの布でシャツを縫おうと思いました。ところが、それを縫える縫い子がいないのです。どんなに探しても見つからないので、とうとう皇帝は老婆を召し出して言いました。

「こんな布を紡いで織ることのできるお前なら、シャツを縫うことも出来るはずだ」
「いいえ、陛下。これを紡いで織ったのは私ではございません。私の養女むすめなのでございます」
「では、その娘に縫わせよ」

 家に帰った老婆に一部始終を聞くと、ワシリーサは「最初から、こうなるだろうと分かっていました」と言いました。

 ワシリーサは部屋に閉じこもると仕事にかかりました。片時も手を休めず、やがて十二枚のシャツを縫いあげました。

 老婆がそれを皇帝の所へ持っていくと、ワシリーサは顔を洗い、髪を整え、服を着替えて窓辺に座り、起きることを待っていました。見ると、皇帝の家来がこちらへ向かってきます。そして家に入ると言いました。

「皇帝陛下は、シャツを縫った腕利きの縫い子に、直接お会いになりたいと仰っておられる。ご褒美を手ずからお渡しになりたいと言うのだ」

 ワシリーサは宮殿へ向かいました。皇帝は、うるわしのワシリーサを一目見るなり、我を忘れるほど恋してしまいました。

「なんと美しい娘よ。もう離れられない。私の妃になっておくれ」

 皇帝はワシリーサの白い手を取って自分の隣に座らせ、すぐに婚礼が挙げられました。間もなくワシリーサの父親が旅から帰って来て、娘の幸せを聞いて喜び、一緒に暮らすことになりました。ワシリーサは老婆も引き取りました。そしてあの人形は、生涯ポケットに入れて離すことがありませんでした。



参考文献
『ロシア民話集』 アファナーシエフ著 中村喜和編訳 岩波文庫 1987.
『ロシアのむかし話・2』 金光せつ編訳 偕成社文庫 1991.

※後半、ワシリーサが大変計略的である。この猛禽ぶりは見習わなければならないかもしれない。

参考 --> 「ババ・ヤガー」「ホレおばさん」「奴隷娘

トゥルーデおばさん」に足りなかったものが色々と見えてきたのではないだろうか。

トゥルーデおばさん」はグリム兄弟が聞き取った話ではなく、マイヤー・テディが1823年に出版した詩『小さないとことトゥルーデおばさん、うばのおとぎ話 Klein Baschen und Frau Trude,Ammenmarchen』から採ったもので、第三版以降に加えられた。

 なんでも、トゥルーデおばさんは人間の頭蓋骨の垣根で囲った家に住み、廊下には血がなみなみと入った樽が幾つも置いてあり、かまどの鍋には子供が煮えていて、子供たちツルハシで打ち殺すと言い伝えられているらしい。「うるわしのワシリーサ」のババ・ヤガーとほぼ同じである。子供を籠に放り込んで山奥に連れて行って食べてしまう日本の山姥ともさして変わりなく感じられる。インドネシアの「バヴァン・プティとバヴァン・メラー」では、川下の果てに住む妖婆ニニ・ブト・イジョの家の調理器具も薪も人間の手や頭蓋骨で、食卓の下には骨が散らばっており、飲み物は血であった。しかし余計なことを言わず正しく働くと、彼女は宝の詰まったかぼちゃを授けてくれる。

 家の中に珍しいものを沢山持っているというトゥルーデおばさんは、キリスト教的な魔女というよりは、土着信仰の山姥…死と恵みを与える太母神を矮小化して表現したものであろう。信仰が薄れた結果、彼女は子供を脅す役にしか立たなくなってしまった。しかし本来、彼女の子宮は冥界のかまどである。子供も大人も平等に打ち殺され、産み直されて子供になる。詮索好きな娘は薪に変えられて燃やされた。獄炎に焼かれて、しかしそのまま《炭になって》黄泉帰れなかったのだ。

 

 やはり『グリム童話』の「ホレおばさん」もまた、継娘が継母によって妖婆の住む異界へ追いやられる物語である。井戸の底から繋がる世界に住み、鈴なりのリンゴの木やパンのぎっしり詰まった燃え盛るかまどを持つ、あらゆるものを豊かに抱えた《ホレおばさん Frau Holle》が、ドイツの民間信仰に伝わる女神であることは、比較的知られている。

 キリスト教社会では、十一月十一日は聖マルティンの日とされる。宗教改革を行ったマルティン・ルターが洗礼を受けた日だと説明され、各地で祭りが行われるものだが、ドイツの中部フランケン地方では、この祭りの主役は男性であるはずの聖マルティンではない。人々は白い衣服をまとった醜い老婆、《マルチンスベルタ Martinsberta》一行に扮して家々を巡るのだ。ヴェルツブルクの近郊では白いマントをまとい奇妙な冠帽をかぶった《フーラおばさん Hurlafrau》である。彼女たちと同様に、毛皮をかぶり仮面をつけ腰のカウベルを鳴らして家々の子供を訪ねる《ペルツメルテル》(毛むくじゃらのマルティンの意)が現れる地域もある。

 マルチンスベルタはゲルマンの民間信仰に言う女神ペルヒタであり、フーラおばさんは女神ホレ…ホレおばさんであると言う。十一月十一日は元々、冬の入りの節句であった。この季節と季節の《境》である日に、死霊や自然霊…祖霊神たちは冥界から立ち現れてくる。ペルヒタやホレはその擬人化であり、死者であるゆえに、そして冬であるゆえに白い衣服を着ている。西欧社会がキリスト教化された時、それでも古い祭りを捨てず、装いをキリスト教風に変えて継続させてきたものらしい。祖霊神たちは日本秋田県の祖霊神ナマハゲなどがそうするのと同じように、家々を巡り、良い子にはリンゴや砂糖菓子などの豊かな幸を与える反面、悪い子は鞭で叩くぞと脅すのだ。

 『ペンタメローネ』の「三つのシトロン」に、この世ならぬ花嫁を求める王子が海の果ての不思議な島の最奥に辿り着くと、毛むくじゃらの醜い老婆が車輪の上に座っており、川岸で白鳥を蹴るロバたちに籠から甘い菓子を与えているのに出会う、というエピソードがある。これが冥界の情景を暗示しているのは明らかだ。車輪は世界、菓子は死霊を慰める供物、白鳥は死者の霊魂、ロバは獄卒(地獄の番人)、川は三途の川である。祖霊〜冥界神は人に生命(幸)を与える反面、死(鞭)をももたらすものである。

 言い伝えによれば、冬のペルヒタは大きな鷲鼻、赤くただれた目、耳まで裂けた口という、いかにも魔女然とした風貌であるという。(春のペルヒタは、花で飾られた美しい乙女である。しかしやはり異形の者たちを従える。)ベルタ、ペルヒトルゴーバ、ペルヒト・ラバーバなど、様々な異名がある。ヤーコプ・グリムは著書『ドイツ神話』においてベルヒタと呼び、《光り輝く者ヘーレ》が語源、そしてホレは《優しき者 hold》が語源であると唱えた。しかし現代の言語学者シュメラーは、ペルヒタは《埋めるベグラーベン begraben》が語源で、ホレは《覆う hullen》に由来し、地下世界、即ち《冥界ヘル Hel》にも繋がるとしている。これは北欧神話の冥界の女王神の名でもある。つまりどちらの女神も、死んで土で覆われ埋められている死者たちの霊……祖霊神たちにちなんだ名であると言う。

 言い伝えによれば、ホレはベッドに眠っていて、身震いするたびに雪を降らせる。なお、グリムの「ホレおばさん」が採取されたドイツのヘッセン地方では、雪が降ると「ホレおばさんがベッドを直している」と言ったそうで、実際、物語の中ではホレおばさんが娘にこう言って仕事を与えている。

「私のベッドは特にきちんとしておくように気をつけるんだよ。一生懸命、羽が舞い飛ぶくらい羽布団を振るうようにね。そうしたら、世の中に雪が降るのさ」

 死者であるゆえに彼女は横たわり眠っている。そして厳寒という自然の相を表す老女神であるゆえに、雪を降らせるのだろう。



 さて、「トゥルーデおばさん」で最も謎めいているのは、娘が家の階段で見た、黒い人、緑の人、赤い人の正体であろう。「うるわしのワシリーサ」では、この謎にあっさりと回答が与えられている。即ち、白い騎士は夜明け(昼)、赤い人は太陽、黒い人は日暮れ(夜)であり、全てババ・ヤガーの忠実なしもべであると。こうした自然現象を従えているのだから、ババ・ヤガーは世界そのもの、偉大なる太母神であるということが分かる。この伝でいけば、トゥルーデおばさんの家の前にいた黒い人は夜、赤い人は太陽となる。では緑の人は何か。緑は大地を覆う植物萌ゆる色、つまり豊饒の大地そのものと解釈できる。

 ただ、もう少し異なる視点からの解釈もできるかもしれない。

 現代では廃れているが、かつてドイツの各地に「ペルヒタ走り」または「ペルヒタ行進」と呼ばれる習俗があったという。まずは悪霊を追い払う意図で枯れ草や薪を燻す。その一方で村の若者たちが角や牙をつけた仮面や毛皮をまとって…まさにナマハゲのようだが…唸り声をあげながら走り回る。また、仮面をつけ箒を持って、魔女ペルヒタや妖婆ホレに仮装して暴れ回る。村人たちはこのペルヒタたちを御馳走やワインでもてなす。祖霊に饗応して慰撫し、幸を授かるためだ。悪いペルヒタは追い払い、そうでないペルヒタには御馳走して味方にし、加護を願う。ペルヒタたちは畑で駆けたり踊ったりするが、そうすると翌春には一層の豊穣がもたらされると考えられた。日本では正月に獅子舞の獅子に噛まれると縁起がいいとされるが、同じような感覚だろう。

 こうした傍若無人なペルヒタではなく、もう少し善いペルヒタが演じられることもある。若者たちは白布で顔を隠したり、白馬に乗った騎士の姿をして家々を巡り、踊って魔を追い祓い、幸を授ける。

 このペルヒタの一形態…白馬の騎士を始めとする白基調の扮装と、「うるわしのワシリーサ」やその類話群に登場する一色で象徴される謎の男たちを関連付けることはできないだろうか。つまり彼らは女神が従えた霊の眷属であり、祭りの日には百鬼夜行となって現れるモノなのだと。



 ところで、[善い娘と悪い娘]話群には、継娘が山姥の家に行かされる話が沢山ある。死に追いやられた継娘…善い娘は山姥に気に入られて美しさや装身具をもらい、光り輝いて帰るが、羨んで真似をした悪い娘は憎まれて醜くされタールまみれにされて、真っ黒になって帰る。悪い場合には殺される。「トゥルーデおばさん」はその簡略版で、悪い娘のバッドエンドだけが独立して戒め話になっているようにも思える。

 最後にトゥルーデおばさんが言う「お前、光っておくれでないかえ」という言葉は、これ以前に訪ねた《善い娘》の方は幸をもらって《光って》帰還したことの暗示ではないのか。このワガママ娘は成功した《善い娘》の話を聞いて羨んで出かけた《悪い娘》なのではないか。自分も《光る》ことを期待して出かけて行って、しかし光るには光ったが燃やされた(最終的に真っ黒になる)という、洒落が込められた結末なのではないだろうか。

 山姥が娘の何を試し、どんな所を気に入るかは語り手の価値観が反映されるところで、話によって千差万別である。ただ、「トゥルーデおばさん」と「うるわしのワシリーサ」のみを見た場合は、自制して余計な詮索をしなかったことが勝敗の鍵になったように読める。

 ところが、イギリス〜フランス〜ドイツに伝わるパルチヴァールの聖杯探索伝説では、逆に、余計な詮索をしなかったために失敗することになっている。彼は聖杯城(冥界)で奇妙な物事の数々を見るが、「余計な詮索はしないのが立派な騎士である」という教育を受けていたため、自制して尋ねなかった。ところが、彼が質問をすることで聖杯王は救われることになっており、詮索しなかった彼は周囲に恨まれることになる。

 個人的には、「余計な詮索をしない」ことを是とするモチーフの方が先にあって、「詮索をしなかったので失敗した」聖杯伝説はそれを捻ったものではないかと思える。日常的な「詮索好きは嫌われる」という道徳話と言うよりは、「神の世界のことを必要以上に知ろうとしてはならない」というシャーマニズム的な戒めであるように思えるからだ。とはいえ、実際にどうなのかはわからないのだけれど。






 おまけ

 人が信仰を失った時、神はただの魔物となり、(英雄どころか、その辺の一般人、果ては子供に)退治されて顧みられない妖怪になり果てる。

 トゥルーデおばさんやババ・ヤガーは、魔女扱いされてはいるものの、未だなんとか、人に幸を与え生命を左右する女神としての権威を保っている。しかし伝承の中には、既にただの哀れな妖怪になり果てているものもある。

体のない頭の話  ロシア シベリア ケト族

 昔、夫婦がいた。夫は狩りに出かける時に妻に言った。

「糸を紡いでおいてくれ。網を編むからな」

 妻はせっせと糸を紡いだが、ひと巻きしか出来なかった。夫が帰って来て「紡げたか」と言うので、背中に隠したひと巻きを右から左からチラチラと見せて沢山あるように見せかけた。ところがいざ夫が網を編み始めるとすぐに糸はなくなった。妻が実はひと巻きしか出来なかったと打ち明けると、夫は怒って妻をひどく殴り、そのまま家から放り出した。

 妻は泣きながら家の裏の道を歩いて行った。やがて一本道に出た。人の骨と犬の骨しかない、淋しい道だった。その果てに大きな家が一軒あった。妻が入ってみると誰もいない。外に出て耳を澄ますとガヤガヤと騒がしい声がした。まるで大勢の人間がやってくるように思えたが、来たのは一人。声があまりに大きいので大勢の話し声に聞こえたのだろうか。

 何頭もの馬が荷ぞりに干し草を積んでやって来た。その先頭にいるたった一人は、なんと、頭だった。頭だけがコロコロと転がってくるのだ。その頭が馬に声をかけると、馬は独りでに付いてくるのだ。馬小屋に着くと頭は叫んだ。

「門よ、開け。馬小屋の門よ、開け!」

 すると馬小屋の門が開いて馬たちが中に入った。

「フォークよ、干し草をおろせ!」

 干し草用のフォークが独りでに下ろす。それを確認して最後に頭は言った。

「縄よ、独りで解けよ!」

 こうして荷ぞり一台分の干し草が片付いてしまった。このようにして頭は全ての荷ぞりの干し草を片付け、馬をそれぞれの場所に入れ、干し草を与え、最後に馬小屋の門を閉じた。それから母屋に行き、テーブルの上に乗って「御馳走よ、テーブルの上に並べ!」と唱えた。存分に飲み食いすると、頭はこう呟いた。

「さてと、どこに寝ようか。ベッドに寝るか。いやいや、落ちて怪我をする。ペチカの上がいいか。いやいや、コロリと落っこちる。――臼よ、木臼よ、家の中に来い!

 木臼がやってくると、頭はそれによじ登り、コロンと中に入って、グーグーいびきをかき始めた。

 どうしてやろうか、と妻は思った。それで杵を取って来て、眠っている頭に振り下ろした。何度も、何度も。頭は悲鳴を上げたが、構わずに臼の中で搗き砕いたのだ。

 そうしてから、妻はこの家で一人で暮らすことにした。ところが、頭がそうしていたように「馬小屋の門よ、開け!」と唱えても門は独りでには開かない。仕方なく手で開けて中に入り、「フォークよ、馬に干し草をたっぷりやっておくれ!」と唱えても、フォークはぴくりとも動かなかった。

 何もかも一人でやらなくてはならなくなって、女は困り果てた。今はまだ干し草があるから何とかなるが、この先どうすればいいのだろう。

 そこへ、狩りの途中の夫がたまたまこの家に立ち寄った。入ってみると妻が住んでいる。馬も何頭もいるすごい家だ。夫は一緒に暮らさせてくれ、また二人で暮らそうともちかけた。

「私をさんざん殴っておいて、今度は私のところに押しかけて住まわせてくれって言うの? また私を殴るつもりなの?」
「とんでもない、もう殴るもんか」
「いいわ。殴らないって言うのなら一緒に暮らしましょう」
「頼むから、腹を立てないでくれ」

 それで夫婦はまた一緒になり、豊かに暮らしたという。



参考文献
『シベリア民話集』 斎藤君子編訳 岩波文庫 1988.

 日本の妖怪ろくろ首の原型、抜け首が幽体離脱した人間の怪異譚であるように、伝承に登場する頭だけの存在は、通常、霊魂を表している。つまり、この頭がペルヒタのような霊物であることが示されている。

 ババ・ヤガーと同じく、命令するだけであらゆる仕事をこなさせる頭は、作中で性別は述べられていないが女であるに違いない。寝る時に「どこに寝よう」と迷った挙句、器状うつぼの中に宿り、隠れていた主人公に殺されてしまうモチーフは、日本の「牛方山姥」でもお馴染みだ。

 なお、老婆の頭を臼の中で杵を使って搗き殺してしまうモチーフは、「貧しいみなし子の娘と盗賊」や「カチカチ山」にも見られる。臼もかまどと同じく子宮のイメージを重ねられる生活道具である。これは「ヘンゼルとグレーテル」等で魔女をかまどに突き入れて焼き殺すモチーフの、別のバリエーションと言えるのだろう。

参考文献
『ヨーロッパの祭と伝承』 植田重雄 講談社学術文庫 1999.



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