醜男のジャン  フランス

 昔、三人の娘を持つ男やもめがいた。誰彼かまわずに金を借りていたので負債はどんどん膨らみ、にっちもさっちもいかなくなって、ついには悪魔から借金をした。金が返せなければ地獄に連れ去られるという条件で。

 期日は迫るが金を返せるあてはない。しかし地獄へは行きたくない。男は主任司祭に懺悔し、一部始終を話した。司祭は男に言った。

「悪魔が提供した金は悪魔に返さねばならん。さもなければ悪魔はあなたを連れて行くだろう。あなたに金を貸してくれそうな者をわしは知っている。醜男のジャンだ。わしからの紹介だと言って会いに行くといい」

 男が醜男のジャンの家へ足を運ぶと、ジャンは三千フランを貸すことを承知したので、男はそのお金で悪魔への支払いを済ませることが出来た。

 そのうち、醜男のジャンが男の家にやって来た。そうして、いずれ劣らず可愛くて礼儀正しい三人娘を見て、誰か一人と結婚したくなった。彼は長いこと結婚したがっていたが、一目見ただけで嫌悪をもよおすほど醜かったので、財産家でありながら独身だったのだ。ジャンは男に向かって言った。

「私が貸した三千フランを返してもらわなければならない。それが嫌なら、お前の娘の一人を私に嫁がせるのだ」

 男は醜男のジャンの申し出を娘たちに伝え、もし誰も嫁いでくれなかったら、私は悪魔に身売りしなければならなくなると言った。だが娘たちは腹を立てて、三人揃ってこう言った。

「お望みなら、悪魔に身売りするがいいわ。私たちは、あんなに醜い夫を持つなんてまっぴらよ」

 そうは言ったが、借金がある以上、仕方がない。とうとう長女のユーラリが醜男のジャンと結婚すると言った。

 長女は結婚した。夫は妻を自分の屋敷に連れて行ったが、その屋敷たるやたいそう立派なもので、長女は何一つ不自由することがなかった。

 婚礼が済んで一週間経って、長女が庭を散歩していると、友達だった娘の一人が道を通りがかり、足を止めて言った。

「まあ、あなたなのね、ユーラリさん。ぞっとするほどに醜い醜男のジャンなんかと、どうして結婚できたの?」

「私、これっぽっちも愛してなんかいないわ。あの男ときたら、本当に醜いのですもの。私があの男と結婚したのは、悪魔に身を売るようなことを父にさせないためだったの」

 すぐ近くに身を潜めて妻の話を聞いていた夫は、夜中に妻を殺した。

 翌日、ジャンは舅の家へ行き、妻が死んだことを告げた。

「なんだと! 私の娘が死んだのか」

「そうだ。妻が少しも私を愛していなかったので、私が殺した。だから、お前の娘をもう一人、私に嫁がせなければならない。それが嫌なら、貸した金を返してくれ」

 男が娘たちに向かって、醜男のジャンと結婚してくれるように言うと、娘たちは激しく反対し、姉と同じような目に遭うくらいなら父親が悪魔に身売りするのを見るほうがまだマシだと言った。

 そこで男が悪魔を呼ぶと、悪魔はすぐにやって来た。娘たちは悪魔の姿を見てひどく怯え、恐ろしさに耐え切れず、とうとう二番目の娘のアメリが醜男のジャンを夫にしたいと叫びだした。

 婚礼が済むと、アメリは夫の屋敷へ行って暮らした。

 ある日のこと、アメリもまた庭を散歩していると、友達だった娘が通りがかるのが目についた。その友達はアメリに向かって言った。

「まあ。実の姉を殺したうえにあんなにも醜い醜男のジャンと結婚したのですって!」

「ああ! いかにも私はあの男と結婚したわ。だって父が借金を抱えているのですもの。でも、私はあの男など少しも愛していない」

 醜男のジャンはまたしてもこの話を聞き、夜中に妻を殺した。

 この新たな殺害のあと、ジャンは舅の家へ行く気になれず、二度目の妻の死を報せに行く元気もないままに三日間を過ごした。ついに決心して出かけると、自分が用立てた三千フランの返済か三番目の娘との結婚かのどちらかを承知してくれと、男に向かって言った。

 男は流石に怒った。そんな話を承知するわけにはいかない、自分に残されたただ一人の子供を失うくらいなら、悪魔に身を売るほうがまだマシだと。

 しかし末娘のルイーズは心根が優しく善良であったので、私は醜男のジャンと結婚しますと父親に言った。婚礼が行われ、花嫁は夫と共に住むこととなった。

 ルイーズはよく庭を散歩した。ある日のこと、彼女が庭にいると、友達だった娘がまた通りがかって言った。

「見るからにぞっとするばかりか、あなたの実の姉を二人までも殺した醜男のジャンとの結婚を承知したなんて、そんなことが有り得るものかしら!?」

「ああ! 私があの人を夫に選んだのは、あの人を愛していたからなの」とルイーズは答えた。

 ルイーズがこう言うと、その時もやはり聞き耳を立てていた醜男のジャンが妻の前に姿を現した。ジャンはまるで別人のように姿が変わり、それまで醜かったのと同じくらいに魅力的になっていた。というのも、ジャンは妖精に呪いをかけられており、醜さに怖気ずに一心に愛してくれる女性を見い出すまで、見るもおぞましい醜男にされていたからである。

 ルイーズは夫の呪いが解かれたことをとても喜んだ。彼女は父親を呼び寄せ、みんなで幸せに暮らして、死んだ二人の娘のことなどもう考えなかった。



参考文献
『フランス妖精民話集』 植田祐次訳編 教養文庫 1981.

※この話を読んで思ったこと。「ああ、ツンデレな娘は生き残れないなァ…」。

 たった一週間で審判を下すのは早すぎだと思うんですジャンさん。しかも借金のかたに無理やり結婚させといて、一週間で愛が芽生えると思うほうがどうかしている。

 そして父親が駄目すぎるのは勿論として、毎度通りがかって話しかけてくる「友達だった娘」、この人が最大のガンだと思うのだがどうか。いくら本当のことでも、結婚したばかりの友達の夫を平気で「醜い」と言うなんて失礼すぎるだろう。

 

 この例話は【蛇婿】や【鬼婿】系統のオーソドックスな婿入り異類婚姻譚と、「怪物王子」系のやや異色な婿入り異類婚姻譚が混じり合っており、まだうまく混ざり合っていないように思える。【蛇婿】などでは魔物が契約を楯に親を脅して三人姉妹に求婚して、姉たちは口汚く断り、親思いの末娘だけは結婚を承知する。「怪物王子」だと、姉たちはそれぞれ財産に目がくらんで進んで魔物と結婚するが、嫌悪をあらわにしたため魔物に殺され、最後に結婚した末娘だけが恐れずに夫と相対して愛を結ぶ。

 これらが混じって調整されていないため、この例話では三人娘は「全員」口汚く結婚を拒んでいて、それでも父を想って率先して結婚に応じた長女は殺されてしまい、最後まで結婚を承知しなかった末娘が突然「善良で心優しい」ということになって、これまた突然「夫を愛している」と言い出すことになっており、大変不条理である。夫が美しく変身した後は「死んだ二人の娘のことなどもう考えなかった。」と言い切られているのもひどい話だ。まあ、なんにしても末娘が幸せになれたのは、姉たちの失敗があってこそなのは間違いがないだろうが…。(怪物夫自身が「妻を殺したのは私を愛さなかったからだ」と言っているのだから、「愛していない」と言うと身が危険であるということは、普通の頭を持っていれば判断できるだろうから。)



馬男  フランス

 昔、ロンギヴィ=プルグラ郷のケイエスの古い城に富と力を誇る領主が住んでいた。跡継ぎは息子が一人だったが、この息子は馬の頭を持って生まれてきており、それが一家の嘆きの種だった。

 馬の頭の息子が十八歳になった日のことだ。ある日、彼は母親に、結婚をしたいと言い出した。ちょうど三人の娘を持った農夫がいるから、その一人をもらってきてほしいと言うのだ。

 母親は困惑しながらも農夫のもとへ出かけて行った。しばらく家畜や子供のことなど、あれこれ話し込んでから、いよいよ訪問の目的を打ち明けた。

「まあ、なんてことを、奥さま! まっとうな娘を動物人間にくれてやるんですか?」と、農夫の女房は金切り声をあげた。

「そんなに騒がないでちょうだい。神さまに授かった子なんだし、あの子はあの子で可哀想なのよ! それに気立ては本当によくて、娘さんだってきっと満足するわよ」

「それじゃひとつ娘たちに聞いてみましょうか。本人たちがいいと言うなら文句はありませんものね」

 女房は娘たちに城の奥方の用件を告げに行った。

「よくもまあ、そんなことが言えたものだわ」と、上の二人が言った。「馬の頭を持った人と結婚しろだなんて! よっぽど男に飢えているんだったら別だけど、おかげさまで、私たちはそれほどじゃないわ」

「でもまあ考えてごらん。向こうはお金持ちで、一人息子だし、いずれお城も何もかも自分のものになるんだよ」

「あら、言われてみればそうね。城の奥方ってわけ。……いいじゃなーい! 結婚しますって言って」

 母親は上の娘の返事を奥方に伝えた。奥方はほっとして、いい報せを告げようといそいそと城へ帰った。

 ただちに婚礼の支度が整えられた。

 それから数日後、許婚は森の洗濯場で、城の女中たちが洗濯をしているところに行き会った。女中たちは賑やかにお喋りしていたが、その中の一人が許婚に尋ねた。

「あんた、またどうしてあんな馬頭と結婚する気になったのさ。あんたのようなべっぴんが!」

「あら、あの人お金持ちだし。それにどうってことないわ、ずっと一緒にいるわけじゃないもの。婚礼の晩に首を切ってやるわ」

 そのとき立派な貴人が通りかかって、その話を小耳に挟んで言った。

「これはまた異なことを仰いますな」

「この洗濯女たちが私のことを馬鹿にするんですわ。私が馬の頭の若さまとの結婚に応じたからって。でも、あんなけだものといつまでも一緒にはいませんわ。初夜に首を切ってやるつもりですの」

「そりゃ結構ですな」と見知らぬ男は答えて道を続けて、やがて見えなくなった。

 とうとう婚礼の日がやって来た。城では盛大な祭りと宴が催された。夜になると、お付きの娘たちが花嫁を初夜の寝室に案内し、着物を脱がせて寝台に寝かせて引き下がった。そこへ光り輝くような新郎が入ってきた。というのは他でもない。日が沈むと、彼は馬の頭ではなくなって、他の男たちと変わりなくなるのだった。彼は寝台に駆け寄ると、花嫁に接吻するかのように見せかけて、彼女の首を斬ってしまった!

 翌朝、母親はその光景を見て頭がくらくらした。

「まああなたは、一体なんということをしたの?」

「この女がしようとしていたことをしたのさ」

 三ヶ月経つと、馬頭の若さまはまた結婚したくなって、母親に、農夫の二人目の娘をもらってきて欲しいと言い出した。娘は、どのようにして姉が死んだものか恐らく知らされていなかったと見えて、申し出にいそいそと応じた。やっぱり若さまの財産に目がくらんでのことだ。

 間もなく婚礼の支度が始まった。娘は姉のときと同じように、ある日の洗い場で、洗濯女たちの一人にこう問われた。

「どうして馬男なんかと結婚するの、あんたみたいなべっぴんが。それに気をつけた方がいいわよ。あんたの姉さんがどうなったのか、詳しいことは誰も知らないんだから」

「ご心配には及ばないわ。あのけだものをどうすればいいかは私が知ってるわ。初夜のときに豚みたいに首を切ってやるのよ。その後、財産はみんな私のものだわ」

 そのとき、前と同じ見知らぬ貴人が通りかかって、そこで足を止めて言った。

「異なことを仰る、娘さんよ!」

「城の若さまと結婚するのをよせってこの人たちが言うんですもの。相手が馬の頭だからって。でも、初夜に豚みたいに首を切って、財産をみんなもらうつもりなんですの」

「そりゃ結構ですな」と男は言って、去って行った。

 婚礼は厳かに執り行われた。先と同じく、盛大な宴会と音楽と踊りと、ありとあらゆる楽しみが続いた。しかし翌朝、花嫁はまたしても首を斬られて寝床の中に転がっていたのである。

 それから三ヶ月すると、馬頭の若者は、またしても三人目の娘をもらってきてくれと言い出した。今度ばかりは相手の両親がなかなか承知しなかった。上の二人の娘に起こったことが恐ろしかった。しかし、小作地の権利をすっかり譲ると言うと話は決まった。それに娘の方でも承知してこう言った。

「喜んでお嫁に行くわ。姉さんたちが死んだのは姉さんたちがいけなかったんだわ。口が災いの元なのよ」

 城では三度目の婚礼の支度が進んだ。上の二人の姉と同じく、末娘も池へ洗濯女たちとお喋りに行った。

「あんたのようなべっぴんがどうして馬男なんかと一緒になるの。それも姉さんたちのことがあった後で」

「でもいいんです。姉たちに起こったことについては心配していませんから。あの人たちが不幸な目に遭ったのは、口の災いなんですもの」

 そのとき、前と同じ貴人が通りかかってその話を聞いていたが、今度は何も言わずに通り過ぎて行った。

 婚礼は厳かに、かつ盛大に行われた。豪華な宴と歌と踊りとありとあらゆる催しが、前と同じに続いた。ただ一つ違っていたのは、翌日、花嫁がまだ生きていたことだった。

 九ヶ月の間、彼女は夫と幸せに暮らした。夫は昼の間こそ馬の頭をつけていても、夜になると翌朝まで美青年になるのだった。

 九ヵ月後に若妻は五体満足の立派な男の子を産んだ。馬の頭はついていなかった。子供の洗礼に出かける前に馬男は妻に言った。

「子供が生まれるまで馬の頭をつけている定めだった。ようやく呪いが解けることになった。洗礼が終わったら他の人と同じになるんだ。ただ、洗礼の鐘が鳴り終わるまでそのことを誰にも言っちゃいけない。お母さんに対してでも。ほんのちょっとでもそのことを言えば、僕はたちどころに姿を消して、もう決して会えなくなる」

 それだけ言うと、彼は名親と一緒に子供の洗礼に出かけて行った。

 間もなく若妻は、寝台の中で鐘が鳴るのを聞いた。そしてすっかり嬉しくなって、一刻も早く母親にそのことが言いたくて、鐘が鳴り終わるのを待っていられなかった。すると、馬の頭のままの夫が埃まみれになって、怒りで真っ赤になって飛び込んできた。

「なんてことをしてくれたんだ! もう行かなくちゃならない。二度と会えないんだ!」

 彼は接吻もせずに出て行った。妻は起き上がって引きとめようとした。それが駄目だったので、後を追いかけた。

「付いて来るな!」と、夫が叫んだ。しかし彼女は構わずに追い続けた。

「付いて来るなと言ってる!」

 もう少しで追いつきそうになったとき、夫が振り返って彼女の顔を叩いた。鼻血が彼のシャツに飛び散って三つの染みを作った。

「私が洗いに行くまで、その染みが絶対に取れませんように!」と、女は叫んだ。夫は叫び返した。

「お前は、鉄の靴を三足履きつぶすまでは僕に会えないんだ!」

 鼻血が止まらずに女が怯んだ隙に、男は走り続けて、間もなく姿が見えなくなった。

 女は三足の鉄の靴を作らせ、夫を探しに出かけた。しかしどこへ行ったらいいか分からないので、いつまでもさまよい続けた。

 歩き続けて十年が過ぎた。三足目の靴も殆ど擦り切れてきた。そんなある日、とある城が目に入った。そこの女中たちが池で洗い物をしていた。女が立ち止まってそれを見ていると、洗濯女の一人がこう言うのが聞こえた。

「またこの不思議なシャツだわ! 蒸気にかけても、石鹸でこすっても、どうしてもこの血の染みが取れないのよ。ところが若さまが、あした教会にこれを着てゆくって仰るんだから。なにしろこれが一番いいシャツなんですって!!」

 女は洗濯女の方へ行って頼んだ。

「ちょっとそのシャツを貸してみてくださらない。私なら染みを落とせるかもしれないわ」

 シャツを渡してもらうと、女は染みの上に唾をつけ、水に浸してこすった。染みは消え去っていた。

「まあ、ありがとう」と洗濯女が言った。「お城へ行って泊めてもらうといいわ。後で私から台所番に言っておくから」

 女は城へ行き、台所で使用人たちと一緒に食事をし、若さまの部屋の近くの小部屋に寝かされた。他は全部ふさがっていたのだ。夜中に、若さまが隣の部屋に入ってきた。女の胸は高鳴り、気が遠くなりそうだった。夫のすぐ側にいるのだ。二人を隔てているのは仕切りの壁一枚だ。彼女は仕切りを指で叩いてみた。男が向こうで返事をした。

 女が名乗ると、男は飛んで来た。こんなに長い間離れ離れになって、こんなに苦しんだあとで、二人の再会の喜びがどんなだったかは想像に余りある。

 時は迫っていた。翌日は男と城の主の娘とが婚礼の式を挙げる段取りになっていたからだ。彼は何がしかの理由で式を延期してもらった。しかし料理の支度はもう出来ていたし、招待客も続々と到着していたので、宴会だけは催された。一同の前に、質素な身なりだが王女のように美しい異国の女が、男の従姉妹として紹介された。

 宴会は賑やかに進行した。その終わりごろ、男が城の主に尋ねた。

「一つご意見をお聞かせください。私は大切なものをしまっておく綺麗な小箱を持っておりますが、その鍵がなくなりました。そこで新しい鍵を作らせたのですが、そのときになって古い鍵が見つかったのです。いったいどちらを選んだらよろしいものでしょう?」

「古いものを常に大切にしなさい」と、老いた城主が言った。「最初の鍵を使われるがいい」

「ありがとうございます。ところで、実は一度結婚したのですが、そのときの妻がまた見つかったのです。これがそれです。今でも愛していますから、あなたの仰られたように、古い方を大切にしたいと思います」

 みんながあっけにとられて、しーんと静まり返っている間に、彼は初めの妻の手を取って、宴会の場から出て行った。

 二人は元の国へ帰り、死ぬまで幸せに暮らした。



参考文献
フランス民話より ふしぎな愛の物語』 篠田知和基編訳 ちくま文庫 1992.

※[蛇婿〜偽の花嫁型]や[美女と野獣]系統の異類婚姻譚で、後半が「失われた夫を探す旅」になっている。西欧の民話としてはオーソドックスなものだが、前半、二人の姉が夫に殺されている点が特異で、【青髭】に通じるものがある。

 

 豊かさと恐ろしさの両面を併せ持つ神と結婚した娘が、課せられていた禁忌を犯したことで幸せな夫婦生活を崩壊させてしまう。「青髭」では夫が妻を「死の世界(扉の向こう)」に投げ出そうとするが、この話では夫が自ら「死の世界」に去ってしまう。別れの際に付いた血の染みは、「青髭」では妻の手ではどうしても落とせないものであるのに対して、こちらでは妻の手でしか落とせない。「青髭」ではそれは夫婦の絆を裂く証拠となるが、こちらでは裂かれた夫婦の絆を再び結びつけるものとなっている。



参考 --> 「怪物王子」「蛇息子・結婚型




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