王位を得ようとする若者は神の娘を娶る。しかし彼女は異形であった。異形の妻は一心に夫を援助し、最後に美しい姿に変身する。

シンデレラ】にも近しい話だが、あちらでは変身する姫は人間だったのに対し、こちらでは異類だ。また、主人公も娘ではなく若者の方である。

異類婚姻譚の一種で、【たにし息子/蛙の王子】の女性版とも言える。しかし物語が複雑化して「嫁比べ」「失われた妻を探す旅」[ラプンツェル]のモチーフが混入するなど、味わいはかなり異なったものになっている。

冥界下りの要素が強いが、冥界への旅はかなり簡略化されている。冥界が必ずしも美しい世界ではないこと、冥界の姫もまた、醜くおぞましい相を持っていることが忌憚なく語られている。

蛙の王女>>物語を読む

  1. <選婚>三人兄弟が神意に従って嫁取りをする。兄二人は普通の妻を得たのに、末の弟が得たのは異形の妻(蛙/亀/蛇/白猫/ネズミ)である
    • 嫁取りの方法は「探索の旅に出た」と簡略化して語られる場合と、「放った矢が突き立った場所にいる娘を選ぶ」「飛ばした羽根が舞い落ちた場所にいる娘を選ぶ」など、神意による婚姻であることを明確に語っている場合とがある。
      かわいい子牛」等に見られる、姫が金の鞠を投げて婿選びするものと同根のモチーフと思われる。
  2. <嫁比べ>息子たちの嫁を王がテストする。  >>「隠元豆の娘」「太陽の娘」「鉢かづき姫
    • パンを焼くこと、機織りまたは刺繍の腕前、世界で一番小さい犬を連れてくること、など。
      多くの場合三度繰り返され、三度目は花嫁自身を連れてきて美しさを競わせることになる。
  3. <転生/変身>冥界を潜り抜けた異形の妻は美しい娘に転生し、王に認められる ※基本的には、ここで物語が幸福に終了する。
  4. <妻を探す旅>夫が(妻の脱ぎ捨てた獣の皮を焼くなど)禁忌を犯したため、妻は冥界へ去る。
    夫は妻を捜して冥界へ旅立ち、援助者の助力を得て妻を取り戻し、現界へ帰還する

親指姫>>物語を読む

主人公が妻にするのは蛙や鼠ではなく、小さな人形のような小人である。

ここに分類した話には、大雑把に二つの種類がある。

  1. 蛙の王女]とほぼ同じで、花嫁を探す王子が塚の地下に住む異形の花嫁を見つけ、父王の課すテストに彼女の援助で合格。最後に花嫁は美しい人間の娘に生まれ変わる。
    主人公は王子。
  2. 親指小僧]や[一寸法師]のように、子のない夫婦が神に祈り、指の小さな娘を授かる。親に疎まれて捨てられた彼女を王子が拾って妻にするが、この異形の妻を愛しきれずに半ば疎んじている。最後に花嫁は美しい人間の娘に生まれ変わり、王子の愛を獲得する。やや[火焚き娘]の要素もある。
    主人公は親指姫。

蛙娘>>物語を読む

蛙の王女]にも[親指姫]にも似ているが、[たにし息子/蛙息子][親指小僧]の女性版にも思える。

子のない夫婦が神に祈って授かった娘は、蛙だった。しかしこの娘は不思議な力で両親を助けて働き、素晴らしい歌声を披露する。その声に惚れ込んだ王子は、彼女をぜひ嫁にしたいと申し込むが、父王の課す花嫁テストが待っていた。

物語前半の視点は蛙姫寄りになっているが、後半になると王子寄りになる。

蛙の娘と結婚する話いろいろ>>物語を読む

この話型には属さないが、蛙の娘と結婚した男の話を、参考として紹介。

蛙の王女のあれこれ>>文章を読む

蛙の王女に関する雑学あるいは考察?



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