月に昇る〜人が自ら月に昇り、その姿が月に影として見えるという話

月に登ったシャマン  シベリア ヌガナサン族

 昔、一人のシャマンが女達の出産予定日を知るために月に登っていった。

 シャマンが月に着くと、月は慌てて母親のところに行った。母親は

「シャマンはここへ来てはいけないことになっている。来てしまったからには帰すわけには行かない。おまえの夫にしなさい」

と命じ、月はシャマンと結婚した。

 そんなわけで今でも月にはシャマンの貼り付いた姿が見える。月が見えないときは、月は母親のところへ行っているのだ。



参考文献
『シベリア民話への旅』 斎藤君子著 平凡社 1993.
『世界の太陽と月と星の民話』 日本民話の会/外国民話研究会編訳 三弥井書房 1997.

※女達は月の満ち欠けによって出産予定日を計算していた。

 ヌナガサン族は月を大地の母のお姉さんと呼び、この女性が生命の糸を握っていると考えた。母なる月から太くて丈夫な糸を投げてもらった人は長生きするが、短い糸を与えられた人は寿命も短い。ヌナガサンの女達は不幸な時ごとに月に祈る。難産のときにはトナカイを犠牲に捧げ、安産を祈願する。



月の中の乙女  南太平洋諸島

 ガディアとエギグの夫婦に三人娘があり、全員母親の名をとってエギグと言った。

 ある日、一番上の娘が初潮を迎える。娘は高い木に登って歌う。

 エギグ、エギグ、ホホホ!

 いいえ、私は体なんか悪くないよ!

 父さんのガディアの所へ行って

 飾りを貰わなくちゃ

 貝殻の首飾りや帯をさ、ホホホ!

 父親は娘を娘宿に行かせ、美味しい食事や立派な飾り物を与える。翌日二番目の娘も同じことになる。三日目、末の娘も歌うが、母親は「お前には父さんは何もやらないだろう、お前には私たちは我慢ならないのだから」といい、追い出してしまう。

 末娘が浜辺に行くと、芽吹いた椰子の実があったので地中に埋め、水をかけて言った。

「大きくなれ、椰子の木、大きくなれ! お日様の熱にも焼かれず、嵐にも倒されないで、大きくなれ、もっと大きくなれ!」

 木は見る見る成長して天まで届き、娘はそれをよじ登って天に達した。そこには煮物小屋があり、盲目の老婆エニバララが椰子油からシロップをこしらえていた。エギグは喉が渇いていたので、そこにあった三十個の椰子の実から中身の酒を飲み、殻だけ戻した。老婆は最後の一個の時ついに気付き、召使にでも何でもなると哀願するエギグの腕を掴んで、死ななければならないぞ、と脅した。エギグは代わりに目を治してやると言い、「プー、プー! エニバララの目よ、プー、プー!」と吹いて彼女の目から蟻や蠅などあらゆる虫を飛び出させ、治した。

 老婆は喜んだが、彼女の三人の息子達は人食いだったので、エギグを大きな貝殻の下に隠した。まず長兄で太陽のエクアンが帰り、そこらをかぎ回って「臭いぞ、誰かここに来たんだろう」と言うが、老婆は何も言わず目を閉じていたので、そのまま出ていった。次に雷のテバウが帰って「人間の匂いがする」と言うが、老婆は同じようにあしらう。末息子の、月のマラメンは「誰かここに来ましたね」と言い、老婆は目を開けて自分の目を見せ、訳を話す。マラメンは喜んで、エギグを妻にした。

 それで今でも月の中には娘の姿が見える。



参考文献
『世界むかし話集〈上、下〉』 山室静編著 社会思想社 1977.

※太陽や月、雷や風は人食いであるというモチーフがはっきり現れている。


参考--> 「雨期の起こり」「日食の伝説」「ルマカカとココ椰子」「ジャックと豆の木」「豆の大木



月の中の木犀の木  中国 ペー族

 昔、山奥に母親と娘二人が住んでいた。母親は家で豚の世話をして、姉妹二人は山の蕎麦畑で雀の番をした。蕎麦畑の向かいの竹林には人食いの化け物が住んでいて、姉妹が「オーオーシッ、オーオーシッ」と鳥追いの声をかけていると、老婆の姿に化けて姉妹の叫び声を真似た。姉妹は怖くなって家に駆け戻った。

 翌日、母親が鳥追いに出かけると、化け物はまた老婆に化けて鳥追い声を真似た。母親が怒ると、化け物は泣いて言った。

「頭のシラミが痒くてたまらないけど、自分じゃどうにも出来ないんだよ。私が雀を追うから、シラミの取りっこをしないかね」

 化け物は母親のシラミを二匹捕まえただけで、母親の頭を割って脳味噌を吸い、正体を現して大きな口で食べてしまった。それから再び老婆の姿になると、母親を迎えに来た姉妹に言った。

「母さんは山の向こうの粉ひき場にトウモロコシを挽きに行って帰れないから、今晩は私のところに泊まれと言っていたよ」

 二人を引っ張って洞窟の家に連れて行くと、姉娘に火を起こすように言いつけて、妹には飴をやると言って寝に行かせた。しばらくすると奥からガリガリ、まるで野犬が死んだ豚を食べているみたいな音がするので、姉娘は言った。

「何を食べてるの。私にもちょっと分けて」

「妹はもう寝たよ。私はトウモロコシの粒を食べているんだ」と、化け物が答えた。

 姉娘が戸の隙間から覗くと、ざんばら髪の化け物が妹の足をかじっている。姉娘は縫い針を戸に一本、壁に一本刺すと、

縫い針、縫い針、代わりに返事をしておくれ

と唱えて、すぐに家に向かって逃げ出した。

 化け物は今度は姉娘を食おうと「どこにいるんだい」と呼ぶと、戸が「ここよ」と答えた。化け物が戸の所に行くと誰もいない。もう一度呼ぶと、壁が「ここよ」と返事をする。戸と壁を行ったり来たり、化け物は苛ついて、声のする方をバン、と叩いた。すると手に針が刺さって、ようやく騙されたことに気がついた。

 化け物は追いかけた。姉娘はたちまち追いつかれそうになって、木犀の木に登って隠れた。この時、月が出て辺りを煌々と照らした。姉娘は顔を上げると訴えた。

「月のお婆さん、月のお婆さん。化け物に食べられてしまう、助けてください」

 月は銀の鎖を垂らし、鎖を木犀の木に結ばせると、ゆっくりと、木もろとも姉娘を月宮に引き上げた。その影が地上に映ったので、化け物は大声で尋ねた。

「おおい、どこに行くんだ」

「月のお婆さんの所に遊びに行くの。後であなたも迎えに行くわ」

 姉娘と月のお婆さんは、化け物のところに藁縄を下ろした。化け物が縄を伝って半分ほど登ってきたとき、姉娘は鎌で縄を切ったので、化け物はたちまち落ちて死んだ。馬牙マヤ石は化け物の骨の破片だそうだ。

 姉娘と一緒に木犀の木が月宮に昇ったので、今でも、十五夜の夜に月を見ると、木犀の木の影が見える。



参考文献
『世界の太陽と月と星の民話』 日本民話の会、外国民話研究会編訳 三弥井書房 1997.

※「天道さん金の鎖」の類話。月の影の由来を語っている。

 日本の沖永良部島に伝わる話では、人食いに追われて月に昇った姉妹のうち一人の影が月の中に見えると語られている。人食いに片足を食いちぎられたため、片足で立っているのだそうだ。

 カナダのブラックフット族も、月の中には前夫に追われて片足を切り落とされた女の影が見えると伝承している。ブルガリアの民話「月になった金の娘」では、継母に唆された父に追われた娘が昇天して月に抱かれる。ブータンの伝承では、魔女のような継母に追われた女の子が逃げながら森を出し川を出して呪的逃走し、最後にポーダワ(月のお爺さん)に救いを求める。すると鉄の梯子を降ろしてくれたが、継母には綱を降ろしたので、途中で綱が切れて継母は墜死したという。それで今、月にはポーダワと女の子の影が見えるそうだ。(『世界の太陽と月と星の民話』 日本民話の会/外国民話研究会編訳 三弥井書房 1997.)

 月の中に木犀の木が生えている、というのは中国の伝承ではお馴染みのものである。



参考--> 「月の中の怪物」「太陽と月になった兄妹」[狼ばあさん]「呉剛と木犀の木



シン・シン・ラモと月  ブータン

 昔、ロ・モン国(ブータンの古名)に貧しい百姓夫婦とその一人娘のシン・シン・ラモが住んでいた。ラモは働き手になり得る男の子ではなく、器量もお世辞にも良いとは言えない。貧困にあえぐ母親は娘が成長するにつれて疎ましくなり、いつも「この子が男の子だったらねえ。父親と一緒に一家を支え、そのうち金持ちの娘と結婚してくれただろうに」などと愚痴を言っていたものだが、ある日とうとう、夫に向かってこう詰め寄った。

「こんなに貧しくては、もう暮らしていくことはできませんよ。お前さんは気付いてないんですか? ラモは私たち二人分以上の飯を食うんですよ」

「まあ、そう言うな。ラモもいずれ嫁いでこの家を出て行くんだ。もしかしたら金持ちの男と結婚できるかもしれないし……」

「誰があんな不細工な娘と結婚したがるもんですか!」

「でもラモは体が丈夫だし、働き者だよ」

 父親はこう言っていたものだが、妻は数日後にまた蒸し返した。

「ねえ、こんなに貧乏でこれからどうするんです。いっそのことこの家はラモに任せて、私たちはトンサ県の兄さんの所へ行きましょうよ。きっと私たちを助けてくれますよ」

 父親もとうとうトンサ県へ行くことを決意し、二人は密かに家を出る準備を始めた。

 一方、何も知らないラモは豚に餌を与え羊を牧草地へ連れて行くいつもの日課を続けていた。そんなある日、家に帰ったラモは母親に稲をついばむ鳥を追い払うように命じられた。ラモはすぐに出かけたが、稲田には鳥一羽見当たらない。そのとき不意に、上から呼びかけてくる小さな声が聞こえた。見上げれば、土手の上にある橘の木の枝に赤毛の猿が座っているのだった。

『すぐに家にお戻り、シン・シン・ラモ。
 お前の両親は荷物をまとめて出ていこうとしているのだから』

「嘘だわ、そんなこと。あなたは私がここから居なくなったらお米を食べようと思っているんでしょう」

 そう言いながらも不安になったシン・シン・ラモはすぐに家に取って返した。すると猿の言うとおり、母親は荷物をまとめている。

「母さん、どこへ行くの?」

「何処へも行きゃしないよ。ほら、田んぼに行って猿が米を食べないように見張っているんだよ」

 ラモが稲田へ戻ると猿は先程と同じ橘の木の枝に座っていて、前よりも強い口調で言った。

『おお、ラモ! 私の言ったことを信じていないのか?
 すぐに家に戻るんだ。お前の両親は旅に出るために弁当を作っているだろうから』

「またそんなこと言って。あなたは私を追い払って、田んぼのお米を全部食べてしまうつもりなんでしょう?」

 ラモはそう言ったが、やはり不安になって家に戻った。すると猿の言ったとおり、母親は今まで見たことのないほど大量にご飯とおかずを作っている。

「母さん、どうしてそんなに沢山のご飯を作っているの?」

「うん? ……お前に食べさせてやろうと思ってね。さあ、田んぼに行って稲を刈るんだよ」

 また稲田へ戻った途端、例の猿の叫び声が聞こえてきた。

『シン・シン・ラモ!
 ほら、お前の両親は家から出ていこうとしているよ!』

 その声に家の方を振り返ると、両親は既に家からかなり離れた場所を急ぎ歩いている。ラモは泣きながらその後を追いかけた。

「父さ〜ん、母さ〜ん、待って。私を置いていかないで〜〜!」

 しかし悲しいかな、必死な叫びも両親の足を止めることはなく、やがて二人は見えなくなってしまった。ラモは道端にへたり込んだ。両親は自分のことをちっとも愛していなかったんだと思うと、なんともやりきれない気分だった。

 夕暮れが迫り、ラモは仕方なく家に帰ろうと思った。ところが闇雲に両親を追いかけたものだから帰り道が分からなくなっていた。注意深く辺りを見回したところ、驚いたことに、道端にところどころ、盛ったご飯が置いてあるではないか。どうも家まで続いているらしく、これはきっと両親が自分のために置いて行ってくれたに違いないと思って、それに沿って歩きはじめた。

 やがて夜になった。道が見えなくなったので、ラモは近くの橘の木に登り、疲れからすぐに眠りこんだ。

「お前は、うちの橘の木の上で何をしているんだ!」

 突然、轟くような声で怒鳴りつけられてラモは目を覚ました。それは女の巨人で、見たこともないような醜く恐ろしい顔をしていた。女巨人はラモに名乗らせ、木から下ろしてじっと見つめた。

「お前は今夜のご飯に食べるには痩せすぎてるね。そうだ、しばらく家で肥らせてから食べてやろう」

 女巨人は毛むくじゃらの手でラモを掴みあげると、背負っていた竹籠ツェホウに放り込んだ。そして地響きを立てて歩いていき、やがて洞穴の前に着くと竹籠を下ろした。夜は既に明け、辺りには日差しが眩く射している。

「娘よ、来てごらん」

 女巨人が呼ぶと、子供の巨人が出てきてラモを見下ろした。

「へえ〜、なんておかしな生き物なの。醜いし、ガリガリに痩せてるわ」

「ああ。でも今に肥らせるんだよ。そうだ、こいつを地下の穴蔵に入れておこう。あそこなら逃げられないからね」

 女巨人はラモを深い深い穴の底に入れた。とても逃げ出せそうにない。ラモは遥か上に見える入口を見上げて絶望のため息をついた。

 その夜、帰って来た夫に、女巨人はラモを捕まえたことを報せた。

「なるほど、あの地下の穴に入れておけば逃げられんだろう。でも魔法のお椀ポップにだけは触らせるんじゃないぞ。あれがなくなったら我らの力もなくなってしまうのだからな」

 ラモは穴の底でこの会話を聞いていた。彼女はここから抜け出すには頭を使わなければならないのだと悟っており、チャンスがあるとしたら巨人夫妻が留守にした時だと思っていた。そこで翌朝、巨人夫婦が出かけると、わざと穴の底で物音一つ立てずに死んだようにしていた。巨人の子供が心配して穴の蓋を開け、呼びかけた。

「おーい、生きてる? あんたに何かあったら母さんに叱られるのよ」

「生きてるわよ。ねえ、教えて。魔法のお椀ポップって何なの?」

「え、父さんの持ってるお椀ポップのこと? それは三つあって、一つ目のお椀にはお米が入っていて、投げると山に変えられるの。二つ目には麦が入っていて、それは森に変えることができる。そして三つ目には水しか入っていないんだけど、それは湖か海に変えられるのよ」

 ラモはしばらく考えを巡らせると、再び巨人の子供に呼びかけた。

「おーい、巨人の娘さーん。あなたのお父さんは魔法のお椀ポップとかいうのを持っているかもしれないけれど、私はもっとすごいものを持ってるのよ」

「えっ、なーに、それは」

「私は魔法の宝石ノルブを持っているのよ。これを覗いたら、世界のあちこちで今、何が起こっているかが簡単に見えちゃうんだから。ほら、こうやって宝石を両手でこするだけよ。あっ、今、私の父さんと母さんは東への山越えをしているわ」

「えー、見せて見せて」

「そうねぇ、あなたがここまで降りてくるなら見せてあげてもいいわ」

「分かった。今、梯子を持って来るから待ってて」

 ラモはわざと穴の底の端っこから呼んだ。巨人の娘が手探りで向かってくる脇をスルリとすり抜けて、一気に梯子を駆け登ると、梯子を引き上げて穴の蓋を閉めた。勿論、騙されたことに気付いた巨人の娘が穴の底から怒りの唸りを上げたが、そんなことはお構いなしに、洞穴の壁のくぼみに置かれてあった魔法のお椀ポップを三つとも手に入れた。

 ラモは三つのお椀を重ねて両手で抱えると、洞穴から矢のように駆けだした。それほど行かないうちに、ズーン、ズーンと巨人が追いかけてくる足音が聞こえてきた。すぐに一つ目のお椀から米を後ろに撒くと、轟音と共に巨大な山が現れた。

 しかし巨人は怯まず、ほんの数歩でその山を踏み越えて、再びラモの背後に追いすがってきた。そこで今度は二つ目のお椀の小麦を撒くと、一陣の猛風が吹き抜けた後に深い森が現れた。

 しかし巨人はこれも数歩で通り抜けた。今度こそ捕まえようとラモに腕を伸ばしてくる。ラモは三つ目のお椀から水を撒いた。たちまち大海がラモと巨人の間を隔てた。

 ラモは岩の上に立ち、天を仰いで両腕を差し上げた。

「お月さま、お月さま、どうか鉄の綱を下ろしておくれ。間違っても毛糸の綱は下ろさないでおくれ」

 すると月から鉄の綱が下りてきた。ラモがそれに両手でしっかり掴まると、そのまま月に引き上げられていく。

 一方、やっと大海を泳ぎ渡った巨人は、ラモが月に昇っていくのを見つけて、同じように岩の上に立って月に怒鳴った。

「おい、毛糸の綱を下ろしてくれ!」

 巨人はラモの言葉の一部しか聞き取れていなかったのだ。毛糸の綱に飛びついた巨人も月に引き上げられ始めた。ラモはそれに気付くと、すぐさま懐から短刀を取り出して、自分の綱を揺すりながら巨人の綱に近づき、容赦なく断ち切った。巨人は落下して、大地に激突して死んだ。

 

 さて、それでラモと三つの魔法のお椀ポップはどうなっただろうか。

 ロ・モン国の人々の間には、晴れた晩にはお月さまの表面にラモの笑い顔が見えるという言い伝えがある。ということは、ラモはきっと、三つの魔法のお椀と共にお月さまのところにいるのだろう。



参考文献
『ブータンの民話』 クムス・クマリ・カプール編著 林祥子訳 恒文社 1997.

※しっかりし過ぎだよシン・シン・ラモ!

 主人公たる子供が親に捨てられて人食い鬼の家に行き、食べられそうになって命からがら逃走する…という全体的な形は「賢いモリー」や「鬼と三人の子供」などと同じで、人食い鬼の背負う容器に放り込まれて鬼屋に運ばれるモチーフは「食わず女房」などと同じ。呪物を投げて山や森や海を出しながら逃げるくだりは「三枚のお札」などの呪的逃走譚と同じだ。そして追い詰められたところで天に願って丈夫な綱を下ろしてもらい、鬼は脆い綱で追おうとして墜死する結末は「天道さん金の鎖」や「パタパタちゃん、カタカタちゃん、ゴシゴシちゃん」「太陽と月になった兄妹」などと共通している。

 それにしても、子供を捨てる方法として、親の方が家を出ていくというのは珍しい。なお、家族が主人公によってよくないことを目論んでおり、それを害獣たちが教えてくれるが主人公がなかなか信じないというモチーフは「白檀の木」にも見える。

 この話では人食い鬼に追われるが、類話によっては継母に追われるという。そう思えば「月になった金の娘」にも近い。ブータンの伝承では月はお爺さんで、月に昇った娘はその側で暮らしているということらしい。




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