テイルズ オブ ジ アビス キャラクターエピソード バイブル
一迅社/実弥島 巧 ほか
原作ゲームから一年と七ヶ月経って発行された、キャラクターブックです。
対象になっているのは主人公パーティー六人とイオン、六神将、ヴァンの計十四人。
画面写真やフェイスチャット用イラストをふんだんに散りばめながら、ゲームストーリーを各キャラの視点でダイジェスト紹介。それにゲームの名場面を描いた書き下ろしの挿絵イラストを加え、更に、ゲームのメインシナリオライターさんによるショートショートストーリー(短編小説)が全十四キャラ分書き下ろされています。
しかしこの本、『値段が高価い』という印象がとにかく強いです。
180ページ弱のソフトカバー本で、全ページカラー。税込みで1,890円。同じ値段でやはり全ページカラーだったナムコやエンターブレインの攻略本が600ページ以上あったことを思うと、出版社の地力の差ということかもしれませんが、買い手としては不満を感じます。
いえ、この値段でページ数でも、内容がもう少し濃かったら文句は無かったのですが…。
ストーリー紹介部分は、正直、浅い。殆ど、ゲームを普通にプレイすれば分かる程度のことしか書いてありません。この表現が適当なのかは分かりませんが、ゲーム雑誌の付録記事のような感じです。キャラブックの基本コンテンツに過ぎないのでしょうが、読んで面白くないのも事実。
書き下ろしイラストは、同社発行のパロディアンソロジーの漫画家さんがたの手によるものなので、二次創作イラストのようでちょっと微妙です。皆さんお上手ですが、やっぱりそれぞれ原作とは違う絵柄ですし、普段のコミカルなパロディ漫画のイメージが浮かんでしまうので。
総じて、内容が薄い本と感じます。
こんな時期にこんな値段で出すのですから、相当なマニアを対象にした本だろうと思うのに、(新作の公式イラスト等の)コレクション要素も無く、スタッフインタビューすらなく、読んで特別に楽しいわけでもなく。
資料(解説)本にも、娯楽本にもなりきれていません。
とはいえ、目新しい情報が全く無いわけではありません。小説から掬い取れる情報が幾つかあります。マニアならそれを見るためだけにでも買う価値がある…のかもしれません。それにキャラクターブックはこんなものだと言えばこんなものだと言う気もしますし、この程度の味の薄さで当たり前なのかも。しかし、値段を思うと、どうにもモヤモヤしてしまいます。
同社発行の『藤島康介のキャラクター仕事』も内容が薄くて高価な本なのですが、あちらは一応画集なので、画集とは高価なものだと自分を納得させることが出来ていました。しかしキャラクターブックでこの値段は無いだろう、と。
イラストと小説はともかく、本の大半を占めているストーリー紹介。これはこれでいいんですけど、贅沢を言うなら、もう少し工夫して欲しかったです。遅れて発売された豪華本なんですから、もっとマニアックな内容を期待してたんですよね…。
それと、ダイジェストの内容がゲーム本編と違っている(ように思われる)部分が何箇所かありましたが、これはどーゆー意味なのだろうかと怪しみました。
…奥付を見る限り、バンナムの監修入ってるんですよね。
より深く原作を知るために1,890円も出して買ったのにますます混乱させられるとは。その辺もう少し厳密にやって欲しかったです1,890円も取ったんだから。←ネチネチしつこい
さて。以下は主に小説の内容について感想を書いていきます。ネタバレになりますので、読みたくない人は注意して下さい。
小説は、原作にあったワンシーンをノベライズしたもの。障気中和後、ファブレ邸のルークの部屋でのティアとのやり取りです。
なので、エピソードとして新しく見られるところは全くありません。
原作でも「ルークの日記」でこのシーンのルークの心情が解説されていたわけですが、この小説で更に深く語られています。シナリオライターさんはそんなにまでもこのシーンのルークの気持ちを説明したかったのか〜、と思いました。あえてここを選んだわけですし、何か思い入れがおありなのでしょうね。
死を覚悟して――本音を言えば覚悟など出来ていなかったが――中和作業にあたったルークは、幸運なことに作業後も生き残ることができた。本来なら、レムの塔で障気を中和したところで、ルークの短い一生は終わる筈だったのに。
ただ1つ不可解だったのは、意識を取り戻した直後、自分の両手が透けたように見えたことだ。ひたひたと何かが背後から迫ってくるような不安。その正体は後日受けた精密検査で発覚した。
ルークは死ぬ。そう遠くない未来に。
死は遅れてやってきたのだ。
(俺……消えるのか)
(中略)
(――いつ? いつ消えるんだ……)
自然と体が震える。その日は今日かもしれないし、明日かもしれない。ベッドで眠りについたまま、消えてしまうことだってあり得るのだ。
今になって思う。何故、超振動で障気を中和しろと言われたとき、逃げてしまわなかったのか、と。障気を中和するために生まれたなどと、どうして思えたのだろう。今のルークなら声を大にして言える。死にたくない。生きたい。生き続けたい、と。そんな当たり前の答えに、回り道をしてようやく気づいたときには、逃れられない死に飲み込まれていたなんて、情けなさ過ぎる。
ルークの心情。改めて聞かされると、納得したり哀しくなったり。うるる。
この後ティアが来て、原作通りの会話がなされるわけですが。
「……ばか……」
ティアがそう呟いた瞬間、ルークは何故か唐突に救われた気がした。
聞き慣れた言葉。何度も投げかけられた言葉。だがそこに込められた感情が、ルークには分かる。もう一人で抱え込まないでと、彼女は言っているのだ。多分――いや、間違いなく。
「……ホント。俺って……馬鹿だな……。ティア、心配かけてごめん」
「……わかったわルーク。でもお願い。もう私に隠し事はしないで」
ほら、とルークは思う。ティアはルークのところにやってくる死の「恐怖」を、一緒に背負うと言ってくれたのだ。だから多分、この先のそうは長くない時間、絶望という暗闇の中で、一人で膝を抱え込む必要はない。今隣にいるのは、死ではない。
ティア。大切な――仲間だ。
「うん……。わかった」
ホッとしました。
よかった。ルークは最後の一ヶ月ほどの間、不幸せじゃなかった。
原作だけの段階でもそう思って…というか、そう「信じて」いましたが、確実にそうだった、それが事実だと思えたので、なんだか自分が救われたような気分になりました。自分的には、コレが読めたので1,890円出して(まだ言う)この本を買ったことを後悔しないぜ!
それはともかく。「ティア。大切な――仲間だ。」って。地の文の中でくらい「大切な女性だ」くらい言っとけよ〜。ヘタレだなぁルーク(笑)。だがそれがルークらしい。
◆チェックポイント
自分の両手が透けたように見えた
*…ゲーム画面を見ての判断では、消えかかっているのは左手だけかと思っていました。両手が消えてたのか…。
◆ストーリー紹介部分で気になったトコロ
安心しきっていたルークを待っていたのは、追っ手の襲撃だった。素早く武器を構え、交戦状態に入る仲間たち。自分も戦わなければ……! そう思ったとき、1人の敵兵が彼に迫る。殺される――しかしその刃は、間に割って入ったティアを斬り裂いた。
*大意では間違ってないんですが、実際のゲームとは違う状況になっている。
親善大使を任命されたルークは、イオンを連れてアクゼリュスへ向かうことに。しかし、隙を突かれて六神将にイオンを連れ去られてしまう。
*嘘書くなよ。
その他。
ルークのパートの挿絵は森田夏菜さんが担当しておられるのですが、実はこの方の絵が一番違和感がありました。一迅社アンソロでは看板作家さんで、『アビス』アンソロの表紙は現時点では全てこの方が描いておられる。だからこそ、本の最初になるルークの挿絵がこの方の担当になったんでしょうけど。
どうしてこんなに違和感を感じるのか自分でもよく説明できませんが。単に本を開くと最初に目にしてしまうからかも。商業公式本の挿絵というより、いかにも二次創作的に感じるというのか。絵の力が強過ぎるのかな?
小説は、またまた本編のエピソード(サブイベント『ティアのペンダント2』)をノベライズしただけのもの。ただし、ティアがルークをどう思っているかが細かく掘り下げられていました。あーこんなこと思ってたんかーと興味深く。
ルークは変わった――ティアは改めて思う。
出会った頃の彼は、わがままで傲慢で世間知らずで、知らないことを恥ずかしいとも思わない『子供』だった。
ある意味、今も『子供』には違いない。レプリカであるルークは、まだ生まれてから七年程度しかたっていないのだから。
それでもやはり変わったと思う。自分の一挙手一投足に周囲がどんな反応をするのか、聞こえは悪いが、ある意味相手の顔色を見るようになった。それが相手の気持ちを察するところにまで変化すれば、ルークはもっと変わるのだろう。だが、それを今の彼に求めるのは酷というものだ。相手の気持ちを察することなど、そう簡単にはできない。ティア自身それができなくて、相手を傷つけてしまうことが多い。
ティアは自分が不器用な人間だと自覚していた。それは彼女自身が、ユリアシティという閉鎖された空間で育ったせいかもしれないし、乏しい人間関係の中で育ったせいかもしれない。努力も、今思えば足りなかったのだろう。だからルークを見ていると、自然と自分の姿に重なってしまう。初めてユリアシティを出たときの、世間と自分のずれや、兄を憎むあまり周囲と発生した摩擦、どうしたらいいのか解らず、もがいて苦しんで、ティアなりに道を切り開いてここまで来た。それはルークのこれまでの旅とよく似ている。
いや、自分より遥かにルークの方が苦しい道のりであっただろうし、ルークの方がより大きく強く成長しようとしているように感じられた。
感嘆、尊敬、それからわずかな嫉妬心と、それを補って余りある、正体の分からない感情。
今のルークを見ていると、ティアは心が苦しくて仕方がなかった。
あまりにも色々な感情が渦を巻くから。
(中略)
悲しいとか、苦しいとか、まるで今の状況とは釣り合わない感情。
息苦しくて、何故か緊張したように両手が汗ばんでいる。
(病気かしら……)
そんな筈はない。これはルークを見ていると起きる現象なのだから。
(お母さん……。これ、なんなのかな……)
ティアはペンダントを通じて、生まれて初めて感じる不思議な胸の痛みを母に問いかけた。
――人はそれを、恋と呼ぶ。
くぅううう! 少女漫画! ドッキドキ初恋☆ 甘酸っぱい青春の一ペェージィ〜〜! (恥ずかしくてもんどりうつ私)
しかしこんなにもトキめいておきながら、二回目タタル渓谷では「(ルークと恋愛関係にあるなんて)有り得ないから」と極寒の冷たさでルークに言い捨てていたのか…。アレは結局照れていたってことなの? 難しいお嬢さんです。
ま、まあそれはともかく。
ティアが(対人スキルが未熟だという点で)ルークと自分が似ていると考えているのには、地味に驚きました。実際、原作を見ていると「重なるなぁ」と感じるのですが、製作側が(無意識にではなく)明確に意図してそう描いていたとは思っていなかったので。
ティアは(ちょっぴり嫉妬してしまうほどに)ルークの変化を感嘆し、尊敬までしてたんですね。なんか嬉しかったです。それと、心の中で死んだお母さんに問いかけるのが、幼い感じで可愛い。本編のティアって、硬すぎるというか偉そうで完璧マシンぽい人に見えることが多いんですが、内心が分かってより親しみを感じました。
◆チェックポイント
…ティアにとって、ルークが正真正銘、初恋の人だったんだ…。
◆ストーリー紹介部分で気になったトコロ
特になーし。強いて言うなら、ティアの紹介に二箇所ほど「セブンスフォニマー」であることが書かれてますが、何故かどっちも「第七音素譜術士」と漢字が当てられてます。(念のため。正解は「第七音譜術士」)
キャツベルトでルークの記憶喪失の詳細を聞いて後悔し、態度を改めたティアの画面写真に付けられていたコメントが面白かったです。
「ティアはルークに対する態度を少しだけ(あからさまに)改めるのだった。」
どっちだよ!(笑)
タタル渓谷に二回目に行った時、ティアがルークにイキナリ冷たい態度を取るのが意味不明だ、何か解説してあるのだろうか…と期待してたんですが、特に解説はありませんでした。それはともかく、メインの解説文には「(ルーク)のことを心配し、想っているから――」と情感たっぷりに書いてあるのに、その真下のタタル渓谷の画面写真に付けられたコメントには「ルークとの仲を指摘されると、真っ向否定」。
ティアさん…(苦笑)。難しいお嬢さんです。
小説は、ブウサギ探しのイベントをモチーフにしてジェイドとピオニー、ディストの関わりを語ったもので、新しいエピソードと言えます。物語としては断片的ですが、作者の「語ろうとする意志」が強く出ていて、面白かったです。やっぱりシナリオライターさんは雪国組に思い入れがあるんだなぁ…。(本編で用意していた雪国組のイベントを、ジェイドに話が偏るという理由でかなりカットしたらしいので、その反動が今吹き出ているよーな印象を受けます。)
サフィールというのは、かつての自分と同じ目的でネビリムをこの世によみがえらせようとしている、愚かな幼なじみの名前だ。彼がネビリムにこだわる理由がジェイドのためであることは、残念ながら痛いほどよく分かっている。ピオニーにしろサフィールにしろ、何故かジェイドのためにいらぬ骨を折るのだ。幸か不幸か、ジェイドは幼なじみに恵まれてしまった――祟られてしまったともいう――らしい。
(本当に、馴れ合いは大嫌いなんですがねぇ……)
だがそれを許してしまっているのも自分だ。人間とはつくづく不条理な生き物である。
ジェイドはモテモテ。(身も蓋もない感想)
そっか…。ドラマCDでジェイドに殺されるシーンのディストが「私はあなたのために」とか言い出してちょっとうすら寒く感じてたのですが、ディストの名の由来のエピソードも併せて、きっとゲームのシナリオライターさんの提出した本設定だったんでしょうね。
雪国組は「仲がいいね」とほのぼのすればいいのか、「なんだこの気味の悪い関係は」と戦慄すればいいのか分からないです。冗談でも嫌味でもなく、とても本気で。
歳をとっても幼なじみとの友情が続いてたっていいんですよ。いいけど、なんか。なんか変なんですよね。端的に言えば、四十近いのに三人揃って結婚してないところとか。(ピオニーには好きな女性がいるけど、彼女も幼なじみで、別れてから十年前後経つらしいのに執着し続けて別の恋人も作っていないとか。)
三人揃って(ここ重要)、世界が子供時代から広がっていない、いつまでも足踏みして凍り付いているように感じられるのです。
#厳密に言うと、ジェイドとディストの関係はとうに破綻していますし、そもそもジェイドがネビリムの死をキッカケに「変わった」ことが、彼らの子供時代を終了させているのですが。それでもディストは「楽しい子供時代」への回帰を望んでいるし、ピオニーも公私の区別を付けずに「幼なじみのジェイド」を手元に置きたがる。ジェイド自身、それらを煩わしく思いながらも受け入れてどっぷり浸かってしまっている。全員、過去の関係に囚われている。
彼らがずっとケテルブルクに住んでいたなら、所属社会が子供時代から連続しているだけなので、逆にそんなに変じゃないのですが、そこから出ているのにピオニーはジェイドを実際の役職を飛び越えてまで重用して事実上の側近として扱い、ディストはジェイドに付きまとい、ジェイドはそれらを「幼い頃の関係を引きずっているような馴れ合い」「感傷」だと自覚して疎ましく思いながらも受け入れていて。全員が子供時代以上の新しい人間関係を作っていないし、作ろうとしていないように見える。感覚的なものなんですが、三人揃って大人になりたがっていない、と感じるのです。それぞれに社会的立場や能力は高いとされていたり他キャラを導く大人キャラとしての役割を与えられていたり、色々言い繕われているんですが、深層の部分でそうだと。
何と言っていいのか分かりませんが、少しモゾモゾして落ち着かないです。でも、単純に「いつも仲良くて愉快で楽しそうでいいね♥ 子供の頃からの関係がずっと続くなんて、素敵な友情だな」と感じる時もあります。
原作ゲームだけの時はここまで思わなかったのですが、原作後に雪国組の設定や外伝が沢山出て、それらを一つ一つ味わううちにそんな風に感じるようになりました。
この人たちなんか変。
いやでも、それがこの人たちなんだ、と思うしかないんですよね。この関係が一生涯続くのでしょう。
#そして、『魔法陣グルグル』(衛藤ヒロユキ/エニックス)での、六十年も無敗でパーティーを組み続けているカッコイイ勇者老人たちを評した、ニケ少年の台詞が脳内に浮かぶ私なのであった。
#「ひとくせもふたくせもある男たちが なんだかんだ言いつつも長い年月いっしょにいるんだ」「ホモにきまっているだろう」
◆チェックポイント
ゲルダ・ネビリムは、ジェイドに初めて自分以外にも優れた才能の持ち主がいることを教えてくれた人物であった。幼いジェイドにとって、自分と同等以上に会話が出来る大人は彼女だけであったし、第七音素という自分には使うことのできない力を持っていたことにも、一目置かざるを得なかった。ただ、それらの感情がいわゆる憧憬以上のものであったことを、当時のジェイドは受け入れられなかったが。
*…それは、ジェイドがネビリムに「尊敬」の念を抱いていたことを受け入れられなかったってこと? それとも、ジェイドはネビリムに「恋」してたってことなんでしょうか。間を取って「敬愛していた」でいいのかな。
人は過去の記憶にこだわるものだ。
それが楽しい記憶でも不快な記憶でも。
過去を失っていても、失う過去すら持っていなくても。
記憶など、本来曖昧な記号に過ぎないのだが、人は記憶に幻想を抱き、そのものを生きた証とする。
*兄や教官との楽しい記憶。故郷を滅ぼされた不快な記憶。居場所を奪われ過去を失った。過去がなくて不安だった。…アッシュの中に遺されたルークの記憶は、彼の生きた証となり得るのでしょうか。と改めて考えさせられました。
「……あとはサフィール、だっけ?」
ルークがおぼつかなさそうにこちらを見た。
自分の考えを変えさせる一端となった、赤い髪のレプリカ。
壊れた世界を復活させるためジェイドが使った、邪な技術”フォミクリー”の犠牲者。
彼との出会いはジェイドを変えた。
間違いなく。
確実に。
*そんなしつこく強調せんでも(苦笑)。
それを知ったからあの愚帝ピオニーも、6匹目の新入りブウサギに『ルーク』という名前をつけたのだろう。ピオニーはブウサギで作った懐かしい世界に、いつもジェイドと深く関わりを持った人物の名前を追加していく。
*ええええっ!? ということは、フリングス将軍もジェイドと深く関わりを持った人物だったんですか!? マクガヴァン前元帥やゼーゼマン参謀総長以上に!? い、いったいどんな…。(ホモ妄想とかはナシで、真面目な話、どんな関わりがあったのか気になります。だって本編じゃ全然そういう風に見えなかったし…)
◆ストーリー紹介部分で気になったトコロ
他のキャラの分に比べて、噛み砕いて書かれています。ただ、解釈がやや主観的かなぁと感じました。善意解釈がちょっとだけ強いかなーと。この記事を書いたライターさんは、ジェイドがお好きなのかな?
フォミクリー発案者としての責務を果たすためヴァンとの戦いに臨んだジェイドは、彼を討ち果たすと、再会を約してルークと別れる。別れ際、ジェイドは何かを思いルークに握手を求めるが、その真意は誰にも分からなかった。
*……(^▽^;)。またこういう書き方しちゃって。ぼかして煽るのではなく解説してくれるのを、読者としては期待してたんですけどね。
小説は、三年ほど前のアニスが士官学校に入るキッカケについて語ったもの。完全初出の情報になります。借金取りたちに対して全く怖じないアニスの強さ、両親を庇いつつ振り回されている様子が面白かったです。アニスと言えば猫かぶりですが、この頃はまだそれがありません。
「ア、アニス! 怪我はないかい?」
ほったて小屋の前で腰を抜かしていた父オリバーが、あわてて駆け寄ってきた。どう見ても自分の方が傷だらけで、娘の心配をするどころではないと思うのだが、オリバーはどんなときでも、自分以外の人間を心配するようにできているらしい。気がつくと、いつもアニスの方が、危なっかしい父親の世話を焼く係になってしまっていた。
(中略)
アニスが家の中を覗き込むと、やはりぼろぼろの姿になった母のパメラが、これまたやはりオリバー同様、自分のことは棚に上げて、アニスの身を案じる声を上げる。どうやらあの借金取りたちは、パメラにまで手を挙げていったらしい。
「……くっそ、あいつら! 月夜ばかりと思うなよ」
「まあまあアニスちゃん。そんな言葉どこで覚えてきたの?」
パメラが悲しそうに眉尻を下げる。アニスは母のこの表情に弱いのだ。
「ど、どこでもいいじゃん。それより2人とも、お医者さんに診てもらった方がいいよ」
アニスが慌てて話題をすり替えると、今度はオリバーが困ったように眉尻を下げた。
「それは無理だよ、アニス。家にはお医者様にお支払いするお金がないんだ」
「それなら大丈夫だよ! 今日の日当もらってきたから」
アニスはいそいそと隠していた革袋を差し出した。アニスは苦しい家計を少しでも助けるために、近所の酒場で皿洗いを手伝っている。ついでに節約料理のレシピも教えてもらえるから、ありがたい仕事なのだった。
しかしオリバーは、いっそう困った顔で革袋を押し戻してきた。
「駄目だよ、アニス。それはアニスが一生懸命働いてもらったお金じゃないか」
「そうよ。アニスちゃんが自分のために使いなさい。ママたちがそれを使う訳にはいかないわ」
パメラまでそう言って、真剣なまなざしをこちらに向けてくる。
ああ、これだ。
このせいでアニスはどうしても両親を憎みきれないのだ。
どれだけ見ず知らずの人たちに施そうとも、どれだけの人たちに騙されようとも、この人のいい夫婦は、アニスのためのお金にはけして手を出さない。どれだけ飢える日々が続いても、アニスだけにはそんな思いをさせないようにしてくれる。けして成功しているとは言い難いことも多々あるけれど、無償の愛を感じるからこそ、アニスは両親を見捨てることができないのだ。
原作ゲームをプレイした時にアニスの両親に対して抱いていた印象のままだったので、安心しました。(ドラマCD版では、『馬鹿親』としての要素の方が強く描かれているように感じましたので。)
自分たちはお腹をすかせてもアニスには何とか食べさせようとするし、多分着るものも、自分たちはぼろを着ていてもアニスには(上等のものとはいかなくても)ちゃんと着せていたんでしょう。尤もそこで詐欺にあって、粗悪品を掴まされたりお金を騙し取られたりもしていたような気がします。
そんな両親に半分呆れ怒り、けれど助けたくて、幼いながら皿洗いのアルバイトをしていたアニス。でも、彼らは娘の稼いだお金を受け取らない。だからきっとアニスは、稼いだお金で幾許かの食材を買って、美味しく栄養のある節約料理を作って両親に食べさせていたんじゃないかなぁと思いました。だってそうしないとこの人たち、(アニスにはイモの本体を食べさせながら、自分たちは)毎日イモのしっぽくらいしか食べない気がするし。ほっといたら倒れちゃうよ!
アニスが料理上手だという設定は、単に「玉の輿を狙う女は料理上手を武器にするもの」という考えからだったそうですが、こうして物語が積み重ねられていくと、色々深く、キャラの生い立ちや性格面からの理由も妄想できるようになっていくものですね。
ゲーム本編でアニスはお金に執着してるんですが、実際に(正規の給与以外の)お金をもうけている場面はないですよね。(石碑巡りのガイドのバイトをしていたくらいか。)口で言うだけでさほどガメツイことは実行してませんし。
ドラマCD版では、両親が考えなしにどんどん借金を増やしてアニスが現実にそれを埋めているかのような描き方をされていましたが、今回の小説を読む限り、それはなさそうだと思いました。
タトリン夫妻は自分たちの借金は自分たちで負っていて、余裕があっても教団に寄付してしまう、だからいつも貧しい。アニスは導師守護役として自分の生活費は稼いでいて、収支は両親とは分離しているけれど、人が好く生きる力の弱い両親が心配で歯がゆくて、玉の輿に乗ってお金持ちになって助けてやろうと考えている…とか。(けれどこの分だと、アニスが玉の輿に乗っても両親はニコニコ笑って祝福するだけで、経済的援助は断りそうですね。)
本編をプレイした時から、アニスの両親の純粋さにはちょっと感銘を受けていました。
私は彼らのように他人のために心を砕いて身を尽くして、裏切られても騙されても恨まず嘆かずに生きることは出来ないので。この人たちは馬鹿なんですが、偽善者じゃないんですよ。真性の『善良な人』です。世が世なら聖者として崇められてもいいくらい。こんなに並外れて清らかなのに社会的には弱者で、生活者としては愚かに過ぎないというところが、人間社会の皮肉というかシビアさというか。で、アニスは両親を反面教師にして生活力ある人間に育っている…のですが。でも根本で両親の清らかさ・価値観を愛しているように感じます。両親の愚かさを理解し、少し憎みながらも、その人間性に癒され、様々なものを与えられているというのか。
人間が社会で生きるってことは醜いことなんですが、清らかに純粋なままで生きることが出来たら、というのは、人にとって夢でもあるんじゃないか。
この一家を見ていると色々考えさせられるのです。
◆チェックポイント
以前借金取りを譜術で攻撃をしてやったのだが、それ以来、彼らはアニスに怯えて、こちらの姿を見ると逃げ出すようになってしまったのだ。近所の譜術道場をこっそり覗いて覚えただけの技ではあったが、アニスとは相性がよかったらしい。
*皿洗いをして働いていましたし、どうもアニスは学校には通えていなかったらしいっぽい。貧乏でそんな余裕がなかったでしょうし、多分、オールドラントには義務教育制もないんでしょうしね。(殆どみんな十代前半から働いていますし。)
*それはそうと、この当時のタトリン家はダアトの町外れの貧民街に住んでいたそうですが、『近所』に酒場も譜術道場もあったことになっています。貧民街にそれらがある可能性は低そうなので、子供の足でも歩いていける程度に近くの、貧民街に隣接した区域にそれらはあったんじゃないかなと想像します。
おかしな話である。敬虔で貧乏な信者が、この世にどれぐらいいると思っているのだろう。その全てを救っていたら、さしものローレライ教団でも破産してしまうに違いない。
(中略)
大詠師といえば、教団で二番目に偉い人物だ。そんな人間が、どうして末端信者のオリバーたちを気にかけるというのだろう。ますます怪しい展開だ。
「しかもね。ローレライ教団の施設に住む場所を用意して下さるし、アニスは学校にも通わせてくれるそうだよ」
(中略)
聞けば聞くほどうさんくさい話だ。モースにとって何か利点がなければ、こんな話が出てくる訳がない。一瞬自分が目的かとも思ったが、まだ10歳そこそこの小娘が必要だとは考えにくいから、きっと何か違う目的があるのだろう。
*…なんだか、自主ツッコミの嵐ぽく見えるなー…。(^_^;) モースが性的な目的でアニスを狙ったわけではないと、二次創作にありがちな邪推をきっちり否定していますね。
*確かに、本編の段階で、どうしてモースはわざわざタトリン家の借金を肩代わりしてやったのかと不思議に思っていました。だって何の得にもなりませんもん。
*本編ではアニスが「……パパたち、人がいいでしょ? 私がうんと小さい頃、騙されて、ものすごい借金作っちゃったんだ。それをモースが肩代わりしたの。だからパパたちは教会でただ働き同然で暮らしてたし、私も……モースの命令に逆らえなかった……」と言ってます。なので私は、タトリン家の生活が立ち行かなくなってモースに救われたのはアニスが幼児だった頃以前で、つまりモースは元々アニスを目的にはしておらず、たまたまタトリン家を救って、後に成長したアニスが思いがけず使えるコマになったので利用したのかと思っていました。でも実際には、タトリン家が救われたのはたった三年前で、恐らく、モースはアニスの譜術の才能に目をつけ、手駒として使うために両親ごと引き取ったんだったんですね。
#ファミ通外伝小説には、タトリン家の借金をモースが肩代わりしたのは、アニスが導師守護役になった時点の「十年以上も前」だと書いてありますね。…十年以上前にモースに救われて一家で教会に住み込みになって、三年前にモースの指示でアニスが強引に士官学校に入らされたのなら、一番辻褄が合いそうなのになぁ。
*しかし、モースがわざわざ借金の肩代わりまでして「アニスを」手に入れようとしたとなると、アニスに余程の価値があることになってしまいます。(モースは大詠師で、ティアのように彼を心から尊敬する教団員もいたのだから、わざわざお金を払って脅迫してまで手駒を作る必要なんて、普通はない。何か普通でない事情があったと考えざるを得ません。)可能性を考えるならば、「本編では全然そういう扱いではないが、実はアニスは不世出の譜術の天才」か、「アニスを引き取って導師守護役にすることは預言に詠まれていた」ってあたりでしょうか?
*ちなみに三年前と言うと、まだオリジナルイオンは存命中。レプリカイオンたちは製造されるかされないかの頃ですね。こんな時期に、モースがもう「導師を見張るための手駒」をお金を支払って外部から買い入れてまで用意しようとしていたのかと思うと、不思議な気がします。モースには教団内に信頼できる部下がいなかったのでしょうか? けれど、そうまでして警戒していた割に、六神将やヴァンが自分の忠実な部下であることに最後まで全く疑いを抱いていませんでしたよね。そもそも、モースは何を警戒して、生まれたばかりの操り人形に過ぎないイオンを見張っていたのか? 謎なおっさんだ。
もしも本当に導師守護役になれるなら、うまく行けば導師イオンの目にとまって、玉の輿を狙えるかもしれない。それが駄目でも、経歴を生かしてどこかの貴族と結婚することもできるだろう。
*本編では、アニスはイオンに対して玉の輿狙いのモーションをかけているように見えないので、もしかすると導師って結婚できないとか名誉職でビンボーだとかなのかなぁと疑ってたんですが。なんだちゃんと結婚できるし、導師の妻の座も最初は狙ってたんだ…。そしてまた、「導師守護役」の経歴が女の子が結婚する際には相当有利なものであることが分かりました。普通なら貧民街出身の女の子が貴族と結婚なんて認められないですよね。でも導師守護役経験者なら問題なく可能なんだ…。タトリン夫妻が「アニスは譜術の才能があるから士官学校に入れば導師守護役にもなれる」とモースに言われて舞い上がって早速入学手続きを結んじゃっただけのことはある、権威あり華々しい役職なんですね。…華々しくはあるけど結局軍人で、人殺しの職業なんだってことを、夫妻は失念していたんだろうなぁ。
*とはいえ。『ファンダム2』で、カンタビレが士官候補生時代のティアに散々「軍人という職業を選んだ覚悟が足りない」と説くんですが、私はそれ、大きなお世話だと感じたんですよね。この世界、生活苦から軍隊に入る人間も少なくないと思うので。軍人というのは結局職業で、生きるための手段の一つであり、誰もが崇高な思想を持って、最初から凄く重い覚悟を決めて選ぶ訳ではないと思うし、覚悟を強制するものでもないと思うので。だからタトリン夫妻が娘が士官学校に入れるのを喜んだのも、そんなに変なことでもないんだろーなぁ、と。(導師守護役は普通は戦場に出ないでしょうし、時期交代制なので、何年か務めた後、良縁に恵まれて結婚退職…というのが予想のコースだったのかも。結婚しないで軍に残るとしても、食いはぐれることは まず無いと思われますし。)
◆ストーリー紹介部分で気になったトコロ
ありません。
小説はホド崩落の日、避難船の上で目を覚ました五歳のガイの物語。十四本の中で唯一の一人称小説で、五歳ガイの主観で語られています。目を覚ました時には既に姉たちに庇われた場面の記憶は抜け落ちており、ペールに色々説明されるのですが拒絶と混乱しか出来ない。悲しい話です。
ペールギュントが膝をついて頭を下げる。そんなこと今まで父上にしか、してみせたことがなかったのに。
「な……何言ってるの? それって、どういうこと? 父上も母上も姉上も、みんなまだホド島にいるの?」
ペールギュントは答えない。
嘘でしょう。
だって、島が壊れたなら、そこにいる人たちが無事な訳ない。
「父上も母上も姉上も、ヴァンデスデルカもメイドたちも、兵士さんたちも、みんなみんな……死んじゃったの?」
ペールギュントは、ものすごく小さな声で「はい」と言った。
ああ……そうか。
もう、父上は、いないんだ。
僕がガルディオス家を継いだから、ペールギュントは僕に父上にしたのと同じようにする……。
「――嘘だ。父上が死ぬ訳ない!」
僕がそう言うと、ペールは無言で体を震わせた。
嫌だ。
僕は信じない。
信じたくない。
(中略)
全部、嘘だ。
(中略)
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだうそ……だ!
ガイはホド島を遠く離れてから、初めて意識を取り戻したんだったのか…。
家族や使用人たちがどうなったのか、全く分からなかった・知らなかったとは。
つまり、ガルディオス領主館の血まみれの様子は(姉たちに庇われた場面以外は)、ガイは一切見てないんですね。ありゃりゃ。
つまり、ファブレ邸で復讐心を胸に雌伏していた頃、(姉やメイドたちの死の記憶は消えていたので、)彼は具体的な惨劇の情景を脳裏に浮かべることはできなかったということになります。(ペールの話などから勝手に想像しそうではありますが。)印象ちょっと変わった。
…これは、ガイは結構長いこと、家族の死を納得できなくて苦しんだんじゃないかなーと思えました。「目が覚めたら突然みんないなくなってました」状態なので。
ファブレ邸へ行きたがったのは、父の首をファブレ公爵が持ち帰ったと知ったからなのかもなぁ。(母の遺体も、キムラスカのセシル家にに持ち帰られたりしてそう。遺体じゃなくても遺髪とか。)
◆チェックポイント
どうしてキムラスカ軍がホドに来るの?
ヴァンデスデルカは? ペールギュントは? あの2人が僕を守ってくれるんでしょう?
*ペールはガルディオス家の左の盾。ヴァンデスデルカは右の剣の息子。立場が違うのですが(ペールは厳密にはガイの父の騎士のはずで、ヴァンはまだ正式な騎士ではなかったろうと思われる)、この二人がガイを守る、と明言していたわけか…。いろいろなドラマが想像できます。
*ガイがペールの前で家族や使用人たちの名を挙げる時、「ヴァンデスデルカ」「兵士さんたち」はあるのに、右の騎士のはずのヴァンの父の名は挙げない。(無論、単に現時点で名前の設定をしていないからだけのことなんでしょうが、うがった見方をすれば、)もしかしてヴァンの父は亡くなっていたのか? ヴァンの母がティアを身ごもっていたのだから、ほんの少し前に。フェンデ家の当主たるヴァンの父は、子供たちの年齢から推測するに主君であるガイの父と同じ年代か少し若いくらいかなと思えますが、どんな人でどんな主従関係だったのか気になります。
「ガイラルディア様! お目覚めですか!」
ペールギュントが涙目で僕を見つめて、ぎゅっと抱きしめてくる。いつも厳しいペールギュントなのに、今日はどうしたんだろう。僕の誕生日だからかな。
*本編(ルーク視点)で見ているとペールって好好爺なんですが、本来は五歳のガイ相手ですら「いつも厳しい」人だったんですね。甘いものは普段あまり食べさせてもらえなかったことも併せて考えるに、どうもガルディオス家はしつけがかなりしっかりした、わりと厳格な家だったっぽい。
そうだよ。今日は僕の誕生日なんだ。父上も母上も姉上もメイドたちも、みんな僕のためにお祝いの準備をしてくれたんだ。僕の大好きな甘いケーキもたくさん用意してくれた。いつもは姉上が「甘いものばかり食べると虫歯になりますよ」って食べさせてくれないから、すごく嬉しかったんだ。お魚もいっぱい! テーブルに載りきらないほど、料理が並んでたよ。
*美味しそう。ガイはこの頃から魚介料理が好物だったんですね。
*それはそうと、ガイがたった五歳なのに「みんな僕のためにお祝いの準備をしてくれたんだ。」と、周囲の好意や骨折りをちゃんと理解して汲み取っているのは結構すごいのかも。三つ子の魂百までとは言いますが、幼児の頃から周囲をよく見ている人だったんですね。
預言士が僕の生誕預言を詠んでる途中で、兵士さんがやってきたんだ。それで父上に何かを言ったと思ったら、僕はお部屋に戻るように言われて。仕方なくお部屋で待ってたら、姉上がやってきて、今度はキムラスカ軍が来たから隠れていなさいって言われた。それで僕は暖炉の中の煙突によじ登ったんだ。
*あの部屋はガイの私室だったのか。それはそうと、煙突をよじ登ったって…!
*ゲーム画面で見ると、ガイが隠れた暖炉って外から丸見えで、中に入っても全然隠れたことになってないんですよね。(なので自作のノベライズでは勝手に暖炉に鎧戸を付けたりしましたが。)正解は「煙突の内部に隠れていた」でしたか…。
煙突内部にはメンテナンス用の足がかりがあるはずなので、登るのは可能なはずですが、五歳の子供にはやや広いと思うので、両手足を突っ張るかしがみつくかしなければいけなかったでしょうから、かなりきつかったんじゃないかなーと思いました。(何故か「忍者」が脳裏に浮かんだ。)それと、煤だらけになってたろーなぁと。
僕がベッドの横にあった円い窓を覗き込むと、遠くの水平線に、大きな黒い柱みたいなものが突き出ていた。なんだかゆらゆら揺れているみたい。
「あれ、何?」
「……ホド島で……ございます」
ペールギュントが涙をこらえるように言った。
嘘。何を言っているの? ホドはあんな形をしてないのに。
「キムラスカの奴らめ、ホド島を攻撃して、崩壊させてしまったのです」
*黒い柱の正体に関しては、ヴァンの小説で説明されていますので、そちらで触れます。
*ところで、本編の段階で一つ疑問に思っていたことがありまして。ホドは崩落し、その消滅の津波に巻き込まれてフェレス島は壊滅。ヴァンは母を守って魔界に落ちた。…これらの情報を見ると、ホドはアクゼリュスのようにすぐに砕けて崩落したように思えます。ところが本編中でティアが言うのですよね。
「兄の話では、ホドの崩落にはかなりの日数がかかったそうです。魔界と外殻大地の間にはディバイディングラインという力場があって、そこを越えた直後、急速に落下速度が上がるとか……」と。
しかし島の消滅までかなりの日数がかかったなら、その間に避難できそうなものです。特にフェレス島の住民は。
この辺、どーなってるんでしょうね。実際、ペールがホドが「崩落」したのではなく「崩壊」したと言ってるので、この時点ではまだ島が消えたわけではないのでしょうが。…ヴァンが取り込んだローレライの件のように、「一部だけ」すぐに崩落し、残った部分はかなりの日数の後に落ちて完全消滅した、とか説明されるのかな〜例によって。
◆ストーリー紹介部分で気になったトコロ
タルタロス脱出の際、どうしてガイはタルタロスのマストの辺りから降ってきたのか。その辺の謎が解説されるのだろーかと期待していたのですが、ありませんでした…。ガッカリ。あれって、ホントに謎ですよね。どうして通常は侵入できない(しかも襲撃者に占拠されてた)軍艦の、おまけに高すぎるマストの上から。
…ん? もしかしてガイの衣装のイメージが海賊映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』だということから引いて、海賊だから船のマストの上から颯爽と出現…というだけのシチュエーションパロディだったのか? と、今トートツに思いつきました。(ニブい)
あと、言い回しがちょっと面白かったです。
「ナタリアと対面。(中略)ガイはいろいろな意味で震え上がる。」とか、
「なぜかナタリアも一行に加わることが決定。また彼の肩の荷は増えるのだった。」とか
「ナタリアを綺麗というティアに、さりげなく華麗なセリフを炸裂させる。」とか。あれ。ナタリアに関わる文章ばっかり(笑)。
そういえば、イニスタ湿原でナタリアに凄く気を配る辺りには全く触れられてなかったですね。上記の言い回しで解説読みたかったです。ページ不足なのでしょうが残念。
小説は、戦争イベント後のケセドニアでモースに偽王女であることを暴露されてしまう辺りのノベライズを中心にして、ナタリアの辛い過去や揺らぐ心情を語るものです。
せめて母と同じ黒髪で生まれてくれれば、ナタリアも悩むことはなかったのだ。過去王族に赤い髪と緑の瞳を持たない者はいた。彼らは赤い髪と緑の瞳を持つ王族と婚姻して王位継承権を保つか、あるいは王位継承権を失い、貴族として暮らしていたという。ナタリアもそうすればいいだけのことだ。――こんな髪と目でなければ。
実はナタリアが生まれたときから、宮廷には1つの噂があった。
ナタリアが不義の子ではないか、というものだ。
確かにナタリアの容姿は両親のどちらにも似ていない。
インゴベルトは自らの母親が金の髪であったことを持ち出し、ナタリアは祖母に似たのだろうと言っていたし、表面上は貴族たちもそれに追従していたが、果たしてどれぐらいの人間がそれを本気で信じていただろう。
(中略)
そんな噂が立つのはこの容姿と、それから自らの王族としての品位の低さだ、とナタリアは考えたのだ。だからこそ、ナタリアは努力を怠ることはしなかった。尊敬し、心を寄せていた婚約者のルークも、そうすることで噂は一掃できると励ましてくれた。容姿が王族として至らぬなら、それ以外の全てを、キムラスカ・ランバルディアを治める一族としてふさわしくあるように務めればいい。自分には王家の青き血が流れているのだから。
そして、事実ここ数年、ナタリアが不義の子だなどという者はなりを潜めていた。ナタリアは努力によって、下らぬ噂をうち消したのだ。
それが、覆される――。
(中略)
王女であると信じ、努力してきた自分の18年間はなんだったのか。
その姿を優しく見守ってくれた父インゴベルトとの思い出は、なんだったのか。
(お父様……! 本当なのですか? 私はお父様の娘として、王女として恥ずかしくない存在になろうと思って……。でも……私が本当に王女ではなかったのだとしたら、私は無駄な努力をして、民を謀ってしまったことになるのですか?)
もし本当にそうだとしたら、なんと罪深く、愚かなことか。
それを思った瞬間、ナタリアは自分の王族たらんとする努力が、所詮は王族であるという根拠のない自信の上に成り立っていたと気づいてしまった。
不義の子であると疑われていた瞬間も、ナタリアは揺るぎのない『王女である』という自信を持っていたのだ。だから努力することができた。父も無償の愛でナタリアを支えてくれた。
王女である事実を失ってしまえば、ナタリアには何も残らない。全てを奪われるのだ。
父親の愛情も、愛しい人も、自分自身の誇りも。
崩落編の序盤頃まで、ナタリアは王家王家しつこくてちょっと鬱陶しいのですが、その理由を説明しています。ナタリアも周囲に中傷される辛い子供時代を送っていて、でも拗ねずに正攻法で立ち向かって、見事突破していた努力の人だったんですね。
不義の子だ、本当はインゴベルトの子じゃないんだろうと中傷されていたからこそ、『インゴベルトの子』に相応しい『正しい王族』であることが彼女の存在意義となっていたわけか。
けれど自分が偽王女かもしれないと知った時、今まで努力してこれたのは『インゴベルトの子』だという大前提に基づいていたからだったとナタリアは気付きます。インゴベルトの子ではないのなら、自分は父に愛される資格もないし、そもそも今まで努力してきたことですら、周囲を騙しただけの悪行為になってしまう。
で。ここでかつてアッシュが贈ってくれた「死ぬまで一緒にいてこの国を変えよう」というプロポーズの言葉を思い出し、(彼との婚約は親が決めたものだけど、それとは別にプロポーズしてくれた。だから)彼は自分が王女だからではなく、ナタリアだから愛してくれたのかもしれない、と思う。そうだったらいい。そうであってほしい。何故なら自分もまた、彼とずっと一緒にいたいのだから。…そんな風に、改めて彼への気持ちを強く自覚するのでした、と。
最終的に、ナタリアは国民にも父にも王女として認められますが。それは『王家の血』とは関係なく、彼女のそれまでの『生き方』が評価されたからでした。懸命に、顔を上げて生きる彼女がどんなに魅力的だったかは、子供時代のアッシュが、(形式上、既に婚約していたのだから必要ないのに、改めて)真剣な言葉でプロポーズしたことからも計り知れようと言うものです。アッシュ的に、言わずにおれなかったのでしょうな(笑)。
なので、ナタリアの努力は無意味ではなかったわけですよね。
人付き合いの不器用さという点でルークはティアと似ていると、ティアの小説で語られていましたが。生まれつき与えられた揺ぎ無いもの(血筋など)ではなく、その生き方・作った絆によって周囲を認めさせ、居場所を作り上げていったという点で、ナタリアともルークは似ていると思います。
最終決戦になってもナタリアは王族としての責任と誇りを持ち続け、ヴァンに向かって「私が座る椅子は民の犠牲の上に作られています。だからこそ、私は彼らを守らなければならない!」と豪語していましたが。それは『そうでなければ認めてもらえないから』ではなく『自分がそうしたいから』に変わっていたのだろーなぁと思いました。ルークと同じように。ナタリアは、旅の終わりには自分の生きる道をキッチリ掴んだのだと思います。
◆チェックポイント
「でたらめではない。ではあの者の髪と目の色を何とする。いにしえより、ランバルディア王家に連なるものは赤い髪と緑の瞳であった。しかしあの者は金の髪に蒼の瞳。亡き王妃様は夜のような黒髪でございましたな」
*ナタリアの瞳は緑色です。
*ゲームの方では「ランバルディア王家に連なるものは赤い髪と緑の瞳であった。しかしあの者の髪は金色。」と言ってるのに。小説ではこの後の地の文でも「金の髪に蒼の瞳」「何故自分は赤い髪と緑の瞳で生まれなかったのだろう。」と繰り返してるし…。元のゲームシナリオでそう書いちゃってて、でもゲームにする時に「ナタリアの目の色って緑じゃん」と気付いて修正されてたのが、今回ノベライズする時に忘れて、また「金の髪に蒼の瞳」と書いちゃってる感じがします。シナリオライターさんのイメージでは、ナタリアの目の色は絶対的に蒼なんでしょうか。
実際宮廷では密かに不義の噂がくすぶり続けたし、王妃はその噂のために長い間苦しめられていた。早くに亡くなってしまったのも、その噂が原因ではないかとすら言われている。
*王女すり替えが行われたのは、跡継ぎを産まなければというプレッシャーに負けて王妃が情緒不安になっており、乳母(ナタリアの実の祖母)が心配したから…というのが理由の一つだったそうですが。すり替えたところで、結局王妃は苦しむことになったんですね。可哀想。心労が原因で早死にしたかもなんて、王妃は繊細な人だったっぽい。ナタリアが尊敬しているので、素敵な人だったんでしょうが。
◆ストーリー紹介部分で気になったトコロ
ありません。
ナタリアのコーナーは、個人的に挿絵(せんかわ真己さん)がよかったです。
小説は、アニスとの出会いと、そのアニスに導かれて死に臨んだ際のイオンの心境を語ったものです。
イオンが何を思って死んでいったのかは、本編では謎でした。全く抵抗せずにモースに付いて行って、死ぬことが分かっているのに惑星預言を詠み、死ぬ際にはティアの体内の障気を持って行く。(しかも、その方法でティアを救えることを、モースに付いて行く直前に言おうとしていた。)まるで、ティアを救うために自ら死を選んだかのようにさえ思える。
イオンの心情はこれ以前では唯一、ファミ通文庫版外伝小説が言及していて、それによれば「ルークへの恩返しとしてティアを救い、自分の意思でそれを選択したことを誇りに思って、それこそが自分の生まれた意味だったとさえ思い、幸せを感じながら死んでいった」ということになっています。さて、シナリオライターさんの小説では…?
ここでイオンが惑星預言を拒否すれば、アニスの両親は殺されてしまう。モースはそれを厭わない。
ならば――。
イオンは目を閉じる。
もうすぐここへやってくるであろうルークたちの為にも、ここで惑星預言を詠み、自ら第七音素に還ろう。そうすれば、障気を含んだ第七音素に苦しめられているティアも救ってあげられる。
たった数年と人は言うかもしれない。
未練がないといえば嘘になる。
せっかく自分は被験者イオンの代用品でありたくはないと気づいたのだから。
でも自分が――レプリカのイオンが存在したという証は、自分を知ってくれた人たちの胸に残るはずだ。ルークや、ティアや、本当のイオンを知るその他の人々や――アニスにも。
本来ならレプリカであるイオンのことなど、誰も気づかぬままだったかもしれない。それに比べれば、ずっとずっと幸せなことだ。
短い人生ではあったが、イオンは懸命に生きた。その道のりに悔いはない。
それはいくつかの間違いはあったけれど。
この先に続いていた筈の道のりにも、確かに未練があるけれど。
それでもこの世界に生まれたことを、イオンは感謝していた。
世界に――そして自分だけの『導師守護役』に感謝しながら、イオンは世界の未来を語り出した。
大筋ではファミ通小説版と同じ…かな? ただ、こちらでは「こう行動するのが自分の生まれた意味」とまでは思ってない感じかも。微妙ですけど。
けれども、イオンが「代用品ではありたくない」という思いをぶれずに抱き続け、「レプリカのイオンが存在したという証は、自分を知ってくれた人たちの胸に残るはずだ」と思い、命を捨ててまで他人を救う選択をしたことを自分の意思として誇り、むしろ喜びを感じていたとなると、死の間際にルークに「僕の代わりは沢山います」と言ったのが意味不明というか、ルークが本当に自分を唯一の存在と思ってくれているか試したかのような、ちょっと意地が悪い感じになっちゃう気がするんですけど。
レプリカであるルークに「死んでも代わりは沢山いる」と言うなんて、かなりの皮肉じゃないですか。下手をすればルークにも傷を遺します。なのにそう言った。だからてっきり、この場面のイオン自身が深く傷ついていたためにそんな自虐的なことを言っちゃって、でもルークが「俺にとってのイオンはお前だけだ」と言ってくれたから救われ、微笑んで死んでいけたのかなと、本編だけを見てた頃は思ってたのですが。そうじゃなかったのか…。
…とかグチグチ言ってると、「イオンは懸命に生きた。」「それはいくつかの間違いはあったけれど。」と、また言われそうな気がしますが。(^_^;)
はい。イオンも人間なので完璧に最良の行動できた訳じゃないし、感情が一貫してるんでもないですよね。おかしいと思っちゃうのはナンセンスで、イオンに対して酷くて無責任なコトですね。(でもここで思考停止すると考察遊びはできないのであった…。)
◆チェックポイント
「はわわっ! そんな丁寧なご挨拶、申し訳ないです。私たち導師守護役は、イオン様のしもべですから、もう手足同然にこき使って下さい」
*何故かやけに気に入ってしまった台詞回し。
アニスが自分を監視していることを、イオンは薄々勘づいていた。確信ではない。アニスをずっと見つめていたから、アニスの微妙な変化を感じていたに過ぎない。恐らくアニスは自分の情報をモースに知らせていたのだろう。そうでなければ納得のいかないことは多々あった。
しかしアニスと一緒にいながら、イオンはそのことをアニスに問いかける勇気を持っていなかった。問いかければ、今の心地よい関係は破綻すると思っていたから。
アニスがイオンに優しくしてくれるのは、何者か――恐らくモースだったのだろうが――の命令だからに過ぎなくて、もしもイオンがそれを尋ねかけたが最後、アニスは自分の側から離れていってしまうのではないかと。
アニスなら離れていかない。アニスなら自分の側にいてくれる。そう信じる一方で、時折みせるアニスの影が気になっていた。
*本編ゲームの三ヵ月後に発行されたファミ通攻略本に、イオンはアニスがスパイだと知っていたが優しさから黙っていたと書いてあって驚き、納得できませんでした。私の目で見る限りゲーム中にそれと知れる描写は皆無でしたし、むしろイオンが「知らない」ことを窺わせる描写の方があったからです。けれど、ファミ通攻略本後に出た外伝小説もドラマCDも、「イオンは知っていた」設定で描かれている。
*個人的にはそれが嫌でした。アニスがスパイだと「知って」放置していたとなれば、イオンがアニスのスパイ行為の片棒を担いでいたも同然です。タルタロスの乗組員たちは残らず殺され、ルークたちも何度も危機に陥った。なのに、親しい人を庇いたいという個人感情だけで、自分が殺されるまで――アニスの罪が極まるまで放置したのかと。こんなイオンは嫌だから認めたくないなァーと駄々をこねたりしてました。
*『バイブル』の発売を知った時、あ、「イオンは知っていた」設定の駄目押しが来るなと予感しましたが、ホントにそうだった…。逃れようがなく確定か…。しかしこういう設定だったのなら、どうして本編中でそれと分かるように描いてくれなかったのでしょうか。(外殻降下前ごろから、「ジェイドが怪しんでいた」ことはちゃんと描写してあるのに。せめてレプリカ編に入ってからイオンがアニスの様子を不審に思う描写が入れられていれば…。最悪、ティアが倒れてアニスが消えた時に「もしや…」とイオンが呟く程度でもいーのに。)本編では全く描写されておらず、当然生かされていませんので、後付け設定のように見えてしまいます。
*でも、「薄々勘づいていた。確信ではない。」ということで、ギリギリ本編とも辻褄は合わされている感じですね。ファミ通攻略本に書かれているように「知っていたのに優しさから黙っていた」のならイオンは心底の大馬鹿者だと思いますが、「疑っていたけれど怖くて確かめられなかった」なら、人間らしくてアリなのかなぁと。今回の小説は、本編と攻略本の間を取ってるよーな気もします。
アニスは両親のために、自分を監視する役目を負ったのだろう。しかも彼女は自分をここに連れてくるのに、本当につらそうな顔をしていた。それは命令だから自分に仕えていた訳ではないという証に違いない。
そのことが――単純に嬉しい。
*ポジティブシンキングだなイオン様。
*イオンは本当に、アニスが好きだったようです。初めて会った時、他の導師守護役たちに比べるとアニスはまるで緊張していないように思えた。なのに握手をすると手が冷たい。極度に緊張しているのだと気付き、イオンは内心の動揺を隠して明るく振舞ってみせるアニスという少女に興味を抱いたそうです。それからずっと見つめ続けていたとか。(アリエッタを殺した後も、アニスは仲間たちに辛い思いをさせまいと頑張って明るく振舞ってましたが、二年前からもう、そうだったんですね。苦労して育ったからなのだろーか。)
*ルークの髪がまだ長くて、アニスが彼を結婚相手として狙っていた頃、カイツールで「アニス、ちょっと怖かった……。……てへへ」とルークに媚をまいていると「そうですよね。『ヤローてめーぶっ殺す!』って、悲鳴あげてましたものね」とイオンが後ろから混ぜ返してましたが、あれはやはり、無意識の嫉妬が言わせた言葉だったんだなぁ。
*イオンとアニスの間にあった感情は恋愛になる一歩手前の、原始的で純粋な親愛だった気がしました。
イオンはアニスの震える姿を見、牢の中で傷だらけになっているアニスの両親を振り返り、それから室内に設置されている巨大な譜石を見上げ、そこに写る自分の姿を見つめた。
モースが欲しいのは、惑星預言の中でも、ユリアが隠した第七譜石に記された部分だろう。当然第七譜石はこの場にない。ユリアが初めて惑星預言を詠んだのと同じように、イオンも自分1人の力で預言を紡がねばならない。恐らく自分の体力では、途中で力つきてしまうだろう。
*やっぱりゲーム画面が間違っていたんですね。火山に置いてあった巨大譜石は第七譜石ではなく、イオンは自分の力で新しく惑星預言を詠んで(新しく譜石を作って)いたのか。この考察だけは以前にしてたのが当たりました。0点じゃなくて安堵。
◆ストーリー紹介部分で気になったトコロ
ルークへ預言を残し、ティアを救う……そんな思惑もあり、イオンはモースに従って惑星預言を詠み上げた。消えることに未練はない、ルークなら、きっと世界を変えられる――。
*一ページ前の小説では「この先に続いていた筈の道のりにも、確かに未練があるけれど」と言ってんぞ。(^_^;)
*些細なことですが、「消えることに未練はない」ではなく、「この道を選んだことに悔いはない」みたいな言い回しだったら奇妙に思わなかったのに。
長くなったので、以下の感想は次ページに続きます。
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