鍵は、ちゃんと合っていた。
ボックスを開く。中にあったのは、一冊の魔導書。
ずいぶんと古い魔導書だな…。表紙には、満月を表す円に三日月の図形が入った紋章。そう、「時の女神」の紋章だ。
中もボロボロで、おまけに文字が古くてよく解らない。なんとか拾い読みしていく。
「あっ、見て見て!」
「ぐ?」
「これ、ここに書いてあるの、ボクの知らない呪文だよ! えーと…」
指で文字を辿りながら、ボクは声に出してそれを読んだ。
『色同じく 四つの魔物あらわるとき
魔力を解放せよ
されば時の女神が「門」を開き
魔物を異界へと いざなわん』
「ぐー?」
どういう意味? っていう風にカーくんが首を傾げて覗き込んでくる。
「つまり、同じ色した魔物が四匹そろったら、消しちゃう呪文なんだって」
「ぐぐ?」
「うん……。ボクもそんな魔物なんて知らないよ」
同じ色のように見えて、色は結構個体差がある。大体、一体の魔物だってその体には沢山の色を持ってる。その色の配合や比率まで全く同じ魔物なんて、そうそういないだろうし…。
「ぷよぷよなんかだと、全身一色だけど……四匹まとめて出てくる事なんてないもんね」
大体、ぷよを四匹消せるからといって、一体何の役に立つんだろ?
折角見つけた新しい魔法だけど……。
「ぐー……」
「これじゃ役に立ちそーもないな……」
魔導書を抱えて、ボクはため息をついたのだった。