注意!

 

テイルズ オブ ジ アビス[3] 〜さまよう焔と割れる世界〜

集英社/スーパーダッシュ文庫/結城聖

これより以前の巻の感想は、ログが残っていないのでありません。(感想は、元々はCGIコンテンツ「レス板」に書き流していたものでした。)

 

さまようものが好きなので、前巻の暗示深く素晴らしいサブタイトル「愚かな焔と崩れる世界」に引き続いて、サブタイトルで萌え(笑)。
次巻のサブタイトルにもドキワクです。
…最終巻のサブタイトルが気になるなぁ。まさか「消える焔と〜」じゃないですよね(悲)。

あと、WEB上で色んな方々が書いておられるように、私もピンナップ裏のガイとルークのイラストには浮かれました。やっほい!
とりあえずこれだけで満足です。はい。勿論、本文挿絵のカニに座るガイ様も堪能しましたが。

…とか言う感想で終わると、読んであんまり面白くなさそーなんで、重箱の隅をつつくことにします。ねちこいです。すんません。でも隅から萌えを拾うのが私のスタイルなのかも。


ええと、本文の感想ですね。
あとがきを読むと、二巻目執筆時以上に切迫した状況であったようなのですが、内容は良くなっていると感じました。いい意味で力が抜けてきてるなぁーと。

一巻目は、ルークのひどい言動に関して、とにかく好意的な解釈をしている、と感じました。原作よりもルークが良い子に描かれていると。
二巻目は、逆に原作よりも荒んだ解釈になっていると感じました。一巻目の印象が強かったので、その反動でそう感じたのかもしれません。特にイオンに対するルークの感情の動きが一貫しておらず、シーンごとに分断されているような印象を受けました。

また、アッシュと精神を繋いで旅する辺りの書き方が変わった感じでした。何か特殊な効果を狙ったものかもしれませんが、台詞の羅列にしか思えずに、いい印象は受けませんでした。
#あとがきには いかに執筆に余裕がなかったかが書いてあるので、時間がなかったためにあんな書き方になったのではないか、と邪推してしまいます。あとがきに ああいうことを書くのはマイナスの印象を与えるかも。

この二冊、総じて言えば、ルークの心理描写…と言いますか、「この時、実はルークはこんなことを考えてたんですよ!」という説明が多すぎて、少しゴチャ付いている印象があったのですが、今回の三巻はスッキリして普通の小説になってるなぁと。
作者さんの調子が乗ってきたのだろうなと思いました。(いや、単に私の方が読むのに慣れたのかもしれないですが。)


原作沿いと言いつつも、オリジナルのエピソードも ちょこちょこ入っています。ガイがアラミス湧水洞でカニに座って待っているのもそうですが、個人的に印象に残ったのは、シュレーの丘のパッセージリングに行った時です。
パッセージリングを見てアクゼリュスを思い出し、内心に恐怖を感じるルーク。
ジェイドが言います。
「ルーク。今回は、超振動で消したりしないでくださいね?」
流石にそれは笑えないと引きつるアニスに「冗談ではありませんから」と真顔。
空気が凍って、ルークも辛い思いを噛み締めるけれど、ぐっとこらえて潰れない。そんなルークを仲間たちが気遣って明るく振舞ってくれて、ジェイドはその様子を見て満足げなのでした。
大佐は叩いて伸ばそうとする人なんですねぇ。ある意味 情が深いですね。それが妙に心に残りました。人を叱って伸ばすのって、エネルギーが要ります。それをあえてやったのだなと。

後、気になったところ。
ケテルブルクでネフリーに呼び出されるエピソード。
誰も付いて来なくていいと言い張るルークに、ミュウだけがこっそりついて行きます。
これ、原作ゲームでも明確に描かれていないのですが、ルークがホテルから駆け出していく時にミュウが「ひらめき」マークを出してルークの後を追って画面外に消えること、その翌日発生のフェイスチャットでルークがミュウにネフリーの話を知ってること前提で話しかけることから、恐らくミュウはルークにくっついて行って、一緒にネフリーの話を聞いたのだと推測できるわけです。
そして、この小説の該当シーン。ミュウがルークにくっついていったようには全く読めないのですが(わざわざ「途中、後ろを振り返って見たが、誰かがついてくる様子はなかった。」と書いてある)、その後ジェイドに口止めされるシーンになると、突然ミュウが涌いて出てきて「ミュウも絶対内緒にするですの!」と言うので「??」と思いました。作者さんが混乱してたのでしょうか?

もういっこ。
テオルの森でのカースロット発動シーン。
原作ゲームでは、後ろからガイに斬られかけたルークをティアが庇って助け、ルークを襲おうとしたラルゴをナタリアが矢で牽制する、という流れになります。ルークはヒロインたちに守られて危機を脱するという展開ですね。
でも、この小説の該当エピソードだと、ティアがルークを助けるシーンが丸々ない。ルークは自力で背後の殺気に気付いてそれを剣で受けています。ナタリアも最初から弓の弦をラルゴに切られていて牽制できず、ラルゴは戦うガイとルーク双方を襲ってくるので、ルークはガイとラルゴの攻撃を避けながら自分とガイを護るという神業的な活躍をします。
原作ゲームでは、シンクがカースロットで操るのをやめたので、ガイは勝手に気を失って倒れるのですが、小説ではルークがガイの足を払って鳩尾に肘を叩き込んで気絶させてます。

…うーむ。なんだろうルークのこの超人ぶりは。

それはともかく、ナタリアがラルゴを牽制して対決するのは、後のレプリカ編での父娘対決に繋がるラインなんですけど、それをわざわざ改変して「無し」にしてるってのは…何か意図があるのかな? と気になりました。


話が逸れます。
私は自分で勝手に『アビス』のノベライズもどきを書いているので、商業ノベライズを読むと少し変な読み方をしてしまう部分があります。
ああ、ここはこんな風にまとめたんだ…うん、こっちの方がスッキリしてる。流石プロだなぁと思ったり。
あるいは、おっ、ここは同じ解釈でまとめてる。うんうんやっぱそうだよねぇと共感したり。
どーでもいいことですね(笑)。
イベントの間にどんな風にフェイスチャットを配置するかとか。結構考えどころなんですが。あーどーしてもこのネタ入れられねぇと自分がギブアップしたものをちゃんと組み込んでおられるのを見ると、うーもっと粘ればよかったかーとしみじみ思ったり。
しかし、ここに無理して入れなくてもいいのに…と思うものもちょっとありました。
ダアトにイオンとナタリアを助けに行った時。
この小説では何故か人殺しの描写がやけに詳細で、酷くえぐいのですが。

その前に、ティアの投げたナイフがその喉を貫いていた。ごぼ、と口から血泡が溢れる。残る相手は三人。一人の胸を、ジェイドの槍が貫き、もう一人の首を、ガイの剣が斬り裂いて、辺りに血の臭いが漂った。残った一人は、敵わないと見たか、踵を返して逃げ出した。
(逃がすわけにはいかないんだっ!)
 ルークはジェイドたちの間を抜けて肉薄すると、下からすくい上げるように斬りつけた。肉と骨を断つ感触が腕に伝わってきて、ルークは砕けるかと思うほど強く奥歯を噛み締めた。兵はおそらく即死だった。声も上げなかった。
「手段を選んじゃいられないんだ……」
 剣を振って血を払い、倒れた男の服で残りを拭いながらルークは自分に言い聞かせるように、そう呟いた。剣がまた、重くなった気がする。

このグロエグ悲惨なシーンの直後に、ジェイドがルークの脈を確かめて健康診断してルークがお礼を言って周囲に引かれて怒って皆がほのぼのと笑うという、あのコメディぽいエピソードが入れられていて、

 皆、努めて明るくしている――そう思えた。そうしなければいられないのだ。イオンを、ナタリアを助けるためとはいえ、人を殺さなければならないこの状況を乗り切るには。

と説明されていたのは、流石に「オイオイ」と突っ込まずにはいられませんでした(笑)。
人を殺したのが重苦しいからって いきなりルークの脈を取り始めるジェイドというのはギャグにしか思えません。でも状況描写が陰惨過ぎるんで笑えないよぅ。というわけで、どう感じていいのか分からずに困惑しました。
と言いますか、猫の行動を思い出しました。猫って気まずい時、顔洗ったり関係ない行動して誤魔化すじゃーないですか。


原作はとても長い話なので、どこをカットしてどう繋ぎ直すかというのは結構重要だと思うんですけど。
ギンジ救出のエピソードが丸々カットされてたのは、いいなぁと思いました。確かにストーリー進行上必要ないですね。代わりに、シェリダンに滞在して幸せいっぱいなガイの姿が描かれていて、なんだか嬉しかったです(笑)。よかったねーガイ。
戦争イベントが簡略化されてるのは まぁ当然…。
今後は、どのエピソードが省略されるのかなぁ、どれがストーリー進行上不必要なものなのかなぁと、つらつら考えてしまいました。

・イニスタ湿原
・ユニセロス
・メンテフォニゴ

は確実に要らないですよね。スピノザ捕獲は…簡略化・変形でしょうか。
他は何がカット出来るでしょう?

 



 

テイルズ オブ ジ アビス[4] 〜地に行く焔と師との道〜

集英社/スーパーダッシュ文庫/結城聖

今回のサブタイトルはフツー。

全五巻予定の四巻目。崩落編のラストまででまとまっていて、キリがいい感じ。後一冊でレプリカ編をまとめるんですね。
……と思ったら、あとがきに、次が最終巻になるのかまだ続くのかは分からない、と書いてありました。(…巻を増やす許可が出たってことは、これまでの巻が売れてるんだな)

分量的に、文庫一巻分にレプリカ編は充分収められると思うのですが、どうせなら二巻くらい続けて、ゆっくり丁寧に原作を開いて欲しいなぁと思いました。ファミ通文庫版もそうでしたし、このスーパーダッシュ版の崩落編のラストもそうなってますが、紙数が詰まって文章が超駆け足になるんですよね、最も情感たっぷりに語って欲しいラスト部分に限って。それは残念なので、ゆっくり書いて、心に響く感動的なラストを読ませていただきたいです。余裕があったらエンディング前辺りをちょっとエピソード書き足すとか。巻が増えたら表紙イラストも増えますし。(EDの『彼』が見たいなー)わくわく。
と言いますか、ロニール雪山のくだりで、奥はもっと雪が激しいらしいという話になって、ルークが俺たちはそこに行く必要はないよな、という風に言うとガイが「いまのところはな」みたいに返すシーンがあったので、もしかしたら巻数を増やしてネビリムイベントをやるつもりなのかな? と思いました。


今巻もオリジナルエピソードがちまちまありましたが。
一番印象に残ったのは、ティアが出奔したことをルークが知らされるシーンでした。
原作ゲームでは、朝、ルークが起こされてティアがいないと告げられ、ガイが「どうする?」と訊いて、「もちろん追いかける!」とルークはベッドから飛び降りる、という展開になりますが。
この小説では、起こされてティアの出奔を告げられたルークの頭にガイがルークの服をドサドサと投げる。で、ルークが即座にその場で夜着を脱いで着替え始めたので、アニスとナタリアが慌てて後ろを向くことになっています。
宿に泊まった時はちゃんと夜着に着替えて寝てるのかーだとか、ルークには女の子に着替え見られたら恥ずかしいとか言う意識はないのか? メイドに着付けられ慣れてるってことか? などと思いました。プチ萌え。服を投げつけるガイの乱暴さも男の子っぽくていいですね。剣まで投げてたらルークの頭にはタンコブできますね。

もう一つ、ロニール雪山のラストに入れられていた、コミカルなオリジナルエピソードが印象に残りました。
ティアが「オリジナルを生かす世界と殺す世界……とても近くて、遠い……」と言った後、この寒さの中で半袖ヘソ出しのルークは我慢強い、おなかを壊さないか、と皆がからかって、ルークが「俺は好きでこの服を着てんだ! ほっといてくれ!」と拗ねる、というものです。

ゲームはどうしても細かい部分の演出が出来ず、おかしくなっている部分が多いわけですが……例えば、服を着たまま掛け布団もかけずにベッドに転がって寝るだとか……この小説はそういうところを開いて捕捉していて、ピオニー陛下と謁見する時には書記官がいて会話を記録していたり、バチカルから脱出する時には用意されていた馬車に乗って湿原まで逃げたなどという風に語られ直しているんですけど。

でも、雪山に登る時は普段着のままなのかよ!

と、エラく驚きました。
確かにゲームでは普段着のまま山登りしますが、普通に考えて(難所として有名な)雪山を登るなら、ちゃんと防寒着を着て登山用の装備を整えるでしょう。寒いってのもありますが、普段着のままだとティアやナタリアはハイヒールですよ。滑落死するって…。


次。作者さんの作風(?)のこと。
この作者さんは、人間が殺されるシーンの描写がやけに細かく激しくてエグい…というのはよく言われていると思うんですけど。
実は食べ物の描写も細かかったんだなーと、今回初めて思いました(笑)。

考えてみたら、『なりきりダンジョン』の頃から特製ハンバーグだのなんだの、食べ物の事はよく書かれてましたよね。
『アビス』でも、一巻で、ルークが初めてブウサギを見た時、ブウサギのステーキの焼き方がどーだ肉汁がどーだで美味いとルークが回想するシーンが入れられてましたっけ。(でも、設定上ルークはブウサギの肉が嫌いなので、これはポカだなぁ)

で、今巻も、イニスタ湿原を抜けてようやく泊まった宿屋での朝食がいかに美味しかったか。パンがいかにふっくらして香ばしかったかバターがとろけたかソーセージの皮がぷつっと弾けて肉汁が溢れたか野菜が新鮮だったかが延々語られていて、なんかビミョーな気分になりました。食後の濃いコーヒーまで描写。ルークは砂糖とミルクたっぷり。(お子様舌)

こんなところを細かく描写するくらいなら、もっと別のところを…と思ってしまったのは贅沢ですね(笑)。
どーせなら、野宿の時にルークたち自身が作った料理に付いて色々描写してくれたら楽しかったかも。


次。解釈・表現・萌えポイント(?)の違いでひっかかった、あるいは面白いなぁ素敵だなぁと思ったこと。もしくは原作のアレンジで上手だなぁと思ったシーン。

ひとつ。
シェリダンの惨劇後、悲しむルークにティアが「落ち込んでいる暇はないわ」と言ってルークが激昂し、ガイが「彼女、瞳が潤んでたな」というシーン。
これ。原作ゲームの時点で微妙なシーンだなぁと思って引っかかっていたのです。ガイが「爺さんたちを殺したのはティアの兄貴だ。この中で一番泣きたい気持ちなのは誰なんだろうな」と言うのですけれど、この表現だと、どうも『一番辛くて可哀相なのはティアだ』って感じに受け取りがちになってしまう。
でも、違いますよね。加害者の家族は確かに辛いでしょうが、哀れまれる存在ではありません。哀れまれるべきは被害者とその家族です。

多分、ここで言いたいのは
「一番責任を感じていて、罪悪感で泣きそうになっているのはティアだけど、彼女はそれを我慢してやるべきことを優先している。だから俺たちも泣くのをやめて頑張ろう」
ってこと。
「犯罪者を兄に持ってしまったティアが可哀相じゃないか。ティアを気遣ってやれないなんて、駄目な男だな」
ってことではないはず。けれど、どうにも誤読しやすい台詞回しです。

そして、この小説ではガイの台詞が

「ルーク。爺さんたちを殺したのは、ティアの兄貴だ。さて……この中で一番泣きたい気持ちなのは、誰なんだろうな」

という風に改変されていて、ガイがルークを叱っているニュアンスが強くなっており、読んだ人が『ティアが可哀相だとガイが言いたがってる』と受け取る率が更にアップしそうな表現になってるよーな。

原作ゲームでは、ガイ自身も哀しみで呆然としていて、やっとそれに気付いて口に出したみたいなニュアンスだったように私は感じたんですが(実際、彼も悲しむルークたちと共にぼんやり立っていた)、小説のガイは なんだか偉そうな…。

まあ、どちらにしたってルークはそう言われて「できることをやろう」と考えて、悲しむのをやめて行動するんですし、どちらでもいい、細かいことですけども(^_^;)。

ふたつ。
インゴベルト王がナタリアを娘として受け入れ、二人が抱き会うシーン。
原作ゲームでは王は玉座に座ったままで、ナタリアが駆け寄って膝にしがみつきます。
しかし この小説では王が立ち上がってナタリアに近付き、抱きあうことになっていました。

玉座に座る父の膝に娘がしがみつくのは、古い演劇などで見かける感じじゃないですか。『ニーベルンゲンの指輪』で戦女神ブリュンヒルドが父王神オーディンの膝に抱きついて、父の嘆きを聞いているシーンだとか。
そんな感じで、原作のあのシーンが個人的にかなり「萌え!」だったので、この演出変更は少し悲しかったです。

みっつ。
夜明けのシェリダンでアッシュとナタリアが語り合う、約束のシーン。
原作では美しい朝焼けの中の二人が印象深いシーンで、ファミ通文庫小説版ではその通り、朝焼けの美しさが描写されていましたが。この小説では全然違っていたので、印象に残りました。
原作よりもっと暗い、未明のイメージで。ナタリアは明るい所にいるけれど、アッシュは真っ暗なところから血が滲むように現われて、話し終わるとまた闇の中へ消えていく。朝焼けが美しい、というようなことは一言も語られない。
そういう独特な演出で、ちょっと面白かったです。
そして宿に戻ったルークを出迎えたティアが、言いたいことを言ったら とっとと自室に引き返してしまうのは、おとこらしいと思いました。

よっつ。
タタル渓谷で、ガイがアニスを助けて女性恐怖症を少し克服するシーン。
ゴルゴンホド揚羽のエピソードをなくし、アニスがユニセロスに襲われて転落しかけたのを咄嗟にガイが救う、という形になっていたのは、とても上手いと思いました! さすがだ…!

いつつ。
崩落編ラストシーン、ラジエイトゲートのアッシュ。

 その星の反対側。ラジエイトゲートのパッセージリングの前に立って、天を仰いでいたアッシュは、小さく鼻を鳴らすと、一人、血の滲むわき腹を押さえながら、踵を返した。
「ったく、世話の焼けるレプリカだ」
 記憶粒子の輝きの中、そう呟いたアッシュの口元に、ほんの、本当にかすかな笑みが浮かんでいたのを見た者は、無論、誰もいなかった。

原作のこのシーンでは、アッシュは黙ってつかつかと遺跡を去っていくだけです。
しかしファミ通文庫小説版でも同様のアレンジになっていて、

(屑め、やったか……)
 ラジエイトゲートの制御板を見上げながら、アッシュはひとまず安堵の息を吐いた。
(これで終わったと思ってやがるな)
 自分はまだまだレプリカ野郎のように手放しで喜ぶわけにはいかない、と思う。
「終わり、か」
 アッシュは目を伏せ、呟く。
 かつての拠りどころであったヴァンを失ったことは悲しくなどない。が、すべてが終わったとして、一体どこへ帰るというのか。

となっています。どちらの小説でも、アッシュが外殻を降ろしヴァンを倒したルークをねぎらい、少し誉めている。
しかし、私はそれ、変だと思うんですが…。
だってこの時のアッシュはローレライの声を聞いていて、ルークがヴァンを倒し損ねたこと、ヴァンがローレライを取り込んだこと、ローレライの鍵をルークは受け取り損ねたらしいことをみんな知っているはずです。
ヴァンは死んでいない。なのにルークは大失態に何も気付いていない。「ただでさえ俺はもうすぐ音素フォニム化して死ぬってのに面倒かけやがってこの屑が!」とキーッとなってこそすれ、「よくやったな」などとは思っていられないはず……では…。あれ? 違うのかな…(オロオロ)。

 



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