「……さて、と。これはおしまいですわね」
様々な奇妙な形をした器材と薬材で埋め尽くされた工房で、ウィッチはやれやれと呟いた。
「あとは……。いよいよアレですわっ。どんな効果が出るのか、わくわくしますわね。さて、アレは……。あら? どこにやったかしら?」
キョロキョロと見回し、次にあちこちの書類やら道具やらの下をめくってみて。暫く探し回ってから、ふと店のカウンターの方に目が行った。
「あっ、そうでしたわ。邪魔にならないようにあそこに置いたんでした。わたくしとしたことが、うっかりですわね。さて、アレは……」
カウンターまで歩いていく。だが、目的のものはない。しばらく視線をウロウロとさまよわせて――必然的に、そこに目を留めざるを得なくなった。
カウンターに置かれた、からっぽのビン。
ざぁーーーーっ、とウィッチの顔から血の気が引いた。
「まさか、シェゾが………。た、大変ですわっ!」
叫び、ほうきをひっ掴んで外に飛び出すと、ウィッチはもう天空に舞いあがっていた。その姿はたちまち遠くなり、一直線に消えていった。