製作・発売/コンパイル(97/09/06 DS16)
WIN95
シェゾ主人公の外伝。物語の時間的には『はちゃめちゃ』の直後というから、『鉄拳春休み』と同時期頃だろうか。ちなみに、ヒロインはアルルではなく、ウィッチ。
本来はウィッチ主役の『魔導』を作ろうとしていたそうなのだが、シェゾ主役に変更されたのだそうだ。結果として、『はちゃめちゃ』『鉄拳春休み』と並んで、WIN版『A・R・S』とでも言うべき三部作になり、ユーザー間にシェゾを『魔導』シリーズの主人公の一人とする認識が定着していった。
五十年ほど前、悪の魔導師ダークマターが、地上に星を落とそうとした。だが一人のうら若き魔女がこれを倒し、阻止したという。彼女の名はウィッシュ。しかし戦いで傷ついた彼女は、今では塔で静かに暮らしている……。
書庫の本からこんな記述を見つけたシェゾは、天体を操るほどの力をもつウィッシュの魔導力を吸収するべく、塔に出かける。ところが、ウィッシュはウィッチの祖母であり、今しも塔ではウィッチの認定試験が行われているところだった。そのとばっちりを受け、シェゾは基本魔法しか使えなくなってしまう。
ウィッチと競い合い、助けるような形になりながらシェゾは先に進んでいく。ところが、突然衝撃が……。シェゾと同じような闇の力を操る何者かが、塔の外壁を破って侵入したのだ。しかも、ウィッシュに何事かが起こったらしい。
祖母が心配なものの、怖くて一人で行けないウィッチと共に駆けつけると、かつてウィッシュに倒されたはずのダークマターが、亡霊となってウィッシュを襲っていた。飛び込んだウィッチもボロボロにされてしまう。
「ウィッチ 大丈夫か?!」
「わ……わたくしは大丈夫ですわ。でも……おばあちゃんが!」
「わかったから あまり喋るな」
「悔しいですけど わたくしでは おばあちゃんをひどい目にあわせたアイツには全く歯が立ちませんでしたわ。アイツの強さはわたくしとなんかではケタが違いすぎでしたわ。
やっぱり わたくしは魔女としては まだまだ未熟。悔しいけど、今はあなたに頼むしかないわね。
シェゾ、お願い。わたくしの魔導力をあなたにさしあげますわ。だから……
だから、おばあちゃんを助けて!」
ウィッチの魔導力を得て、ダークマターに立ち向かうシェゾ。だが、ダークマターはウィッシュの体に乗り移り、その強大な魔導力の全てを差し向けてきた!
シェゾが主役を張ると大概最後にロクでもないオチが待っていて、ギャグで終わることになっているのだが、唯一、このゲームは最後までシェゾがかっこいい。それどころか爽やかである。多分、一生懸命なウィッチに感化されたんだろうな。彼女を助けたのもそういうことだという気がする。
ちなみに、没になったイベントとして、セリリがシェゾに女装を強要する、というものがあったそうだが。(苦笑) 実現しなくてよかったと思う……。
アルルやルルーの前だと調子を崩して怒ってばかりのシェゾだけど、ウィッチの前では軽口をたたいたりからかったりするだけの余裕がある。だからこのゲームのシェゾはちょっぴり軟派である。
ゲームとしてはボリュームもないし、難易度もかなり低い。だが、その代わりちまちまとした隠し技的な要素が多い。君はシェゾの最強装備を見たか(笑)!?
このゲームのエンディング曲がむちゃくちゃ好きだ。CD化しないかなぁ。
このゲームはコンパイル晩期、ネット上でダウンロード販売されていた。
製作・発売/コンパイルコリア[KCTmedia](98/02〜3 韓国DS5)
韓国版WIN95/98
コンパイルと提携した韓国の会社から発売されていた韓国版DSの5号に掲載されていた、韓国オリジナルの『魔導物語』。システムと基本的なキャラクター画像、音楽は『はちゃめちゃ期末試験』『魔導師の塔』のものを使用している。韓国で発売された後、日本でも日本語版が出される予定だったが、当のコンパイルが和議申請した影響からかその話は立ち消えし、日本のファンにとっては「幻」のような存在になっている。
そういえば『真魔導』の年表からも、『コンプリートコンパイル』からも抹殺されてるよなぁ、このゲーム……。
物語については(日本では)一切謎で、情報も開発当時の断片的なものしかなかった。ので、自分でプレイして翻訳してみた。
魔導学校が補修工事を行なう事になり、臨時休校になった。ヒマになった生徒達に対し、彼らの困った顔が大好きな(?)マスクド校長先生は、早速 宿題を与えることにしたのだった。
それは、教室では得られない特別な体験をするということ!
マスクド校長により名も無い原野に集められた生徒達は、突如現れた謎の城と、このエリーシオン城の秘密を一番に解いた者は願いが叶う、と書かれた石碑を発見するのだった。
――と。誘われるように、カーバンクルが一人で城に入ってしまう。
カーバンクルを追って城に入ったアルルは、その最上階で神秘的な女性に出会った。
彼女は「
果たして、アルルは公主を倒し、願いを叶えられるのか?
眠れる公主は赤茶のロングヘアの美女で、尖った耳に赤い大きな涙型のイヤリングを着けている。(実はカットによって着けてたり着けてなかったりするのだが・汗)このゲームのオリジナルキャラであり、ラスボスである。「公主(姫)」というのはつまり、エリーシオン城の姫ってことなのだろうか。
ゲーム中では、結局彼女が何者か、何故そこにいて何故眠っていたのか、一切が全く明かされなかったし、アルルも気にしていなかった。……なんなんだか。
デザイン画を見ると、アルルのコスチュームはPC-98『魔導』とSS『魔導』のそれをミックスしたような、一種独特なものになっている。しかし、結局グラフィックを独自のものに切りかえる余裕が無くなったらしく、実際のゲームでは『はちゃめちゃ』のものをそのまま使用していた。敵キャラは『魔導師の塔』のグラフィックなので、『はちゃめちゃ』版アルルと『魔導師の塔』版ウィッチの夢の対決なんかも見られるのである。
迷宮は全14層。敵キャラとの漫才デモ等、殆ど『魔導師の塔』と共通している。公主のサンプリングと使う魔法は全てウィッシュと同じ物だ。マスターガーディアンやダークマターのような二段変身も無い。気合を溜める時や治癒魔法を使う時、うつぶせに横になってぷかぷか浮く(寝る)のが、唯一のオリジナルパターンだった。
このゲームではショップで高レベルの回復アイテムを買うことができない。魔物が落とすか宝箱から拾うかしたものしかない。しかし、それでもさして困らず公主を倒せてしまった。すごく弱いというわけでもないのだが。
14層もの長丁場のダンジョンでありながら、このゲームにはイベントというものが全くといっていいほど存在しない。雑魚キャラとの漫才デモを除けば、ラスボス戦を含めて三回しかイベントが無い。ルルーとミノタウロスはオープニングに登場するが、それ以降は全く姿を見せないし、シェゾに至っては、ゲームのデータの中にシェゾ用のものが入っているにもかかわらず、影も形も無い。
絵やストーリーはこんな感じだが、システム部分には結構独自性が見受けられたりする。二つの、日本版には全く無い、新モードが存在するのだ。
ひとつは「遠近感モード」。F1キーを押して切りかえることができるが、これを使うと背景の動きが非常に滑らかになり、本物の3Dのような感覚を感じることができる。これは結構素晴らしいと思った。あまりにスムーズに背景が動くので、歩数を数えたりする時など逆にわからなくなって混乱したりするが(笑)。
もうひとつはTABキーで出現させることのできる「ガイドライン」。視界に、常に茶色の半透明の簡易マップが表示されつづける。
……しかし、これは好きにはなれなかった。視界が利かなくなり、簡易マップ自体も内容が判別しづらい。結果、マトモに歩けない。普通にマップを見た方がずっとマシだ。
ゲームとしての作りにはあちこち荒さというか、バグの段階にすら行かないミスが見うけられる。マップ上部のボタンからマップの階層表示を切り替える場合、オリジナルの『はちゃめちゃ』だと、古代迷宮からはボタンそのものも切り替えてしまうようにしているが(表示できるボタンの数が限られているから)、それをしないので、最後の方の階はボタンからはマップを切り替えできなくなってしまっている。また、ばたんきゅ〜直前の通常画面のアルルの表情、目玉がぐるぐる回る際に、目玉の領域を示すブロックが表示されたままになっててすんごくマヌケかつ無気味になってたりする。初心者が多かったんだろうから仕方ないけど……。それとも日本コンパイル和議のあおりで最終チェックすら出来なかったのか?
>>エリーシオン城の秘密 完訳文&全マップ紹介
>>韓国版DS vol.5の記事の訳文(一部の抜粋)
このゲームをプレイするには韓国版WIN95/98が必要だ。日本のものでも動くが、WINのシステムフォントを使用して文字表示している為、文字化けてしまう。韓国版WINを使用していても、FONTフォルダに日本語フォントが入っていると文字化け易い。韓国版WINは日本マイクロソフトでは売っていないので、プレイしたい人は頑張って個人輸入するべし。(どこかに日本WINのハングル化パッチがあるのだろうか?)
このDS版は勿論入手困難だが、たまに高値で日本国内のオークションに流れていることがある。しかし、韓国では韓国版の『はちゃめちゃ』『魔導師の塔』『エリーシオン』をまとめて『魔導傳記1,2,3』として安価で販売しているようなので(00年当時)、根性のある人は探して個人輸入してみるのもいいだろう。KCTmedia(コンパイルコリアの本体?)の公式サイトでは今でも韓国DSそのものを通販しているが、『エリーシオン』が収録された号は既に品切れになっているようだ。
……ところで、スタッフロールの英単語が思いっきり間違ってるよーな…。
///このゲームをプレイするにあたっては、ぷよわくさん、水瀬まことさんに多大なご厚意・ご尽力をいただきました。また、ゲーム攻略に関してエルラさんから貴重な報告・示唆をいただきました。有り難うございました。///
製作・発売/コンパイル(98/04/02〜99/03/18)
SS/PS
これはRPGなのだが、一連の『魔導』とは別の系統に属するゲームである。といって、コンパイル側で分類しているように完全な『ぷよぷよ』RPGというわけでもないと思う。強いて言えばDisc Station系といったところか? 実際、元はDS用のゲームとして立ち上げられた企画だったそうだ。
ある日の散歩の途中。アルルはいつのまにか遊園地が出来ているのを発見する。その名も「わくわくぷよぷよランド」。しかもその前で、アルルは意外な二人と出会った。
まず出会ったルルーは、ここには遊びに来たのではない、修行に来たのだと言い張った。実際、ここのアトラクションはモンスターを倒しながら進むかなり危険なものらしい。それにしてもあんなに慌てて、ルルーはどうしたというのだろう?
次に出会ったのは、最も遊園地に似合わなそうなシェゾ。驚いて、こんなところに一人で遊びに来たの? と尋ねると、何やら怒っている様子。どうもこの遊園地の全てのアトラクションをクリアすると「すっごい魔法のアイテム」がもらえるらしく、二人はそれを狙っているらしかった。
「ふ〜ん……なんだか面白そうだね。カーくん ボク達も行ってみよっ!」
こうしてアルルもこの遊園地で遊んでいくことにするのだった。
それにしても、シェゾの様子はおかしい。妙にカリカリしているし、先を急いでいる。ついでに、いつもなら会うなり「お前が欲しいっ」とか言いながら勝負を挑んでくるところなのに、今回は言わないどころかアルルを無視しているようだ。それに、どうも魔法があまり使えなくなっているようで、戦闘も主に剣に頼っている。一体何が起こったというのだろう……?
遊園地のオーナーのサタンを倒したが、「すっごい魔法のアイテム」は手に入らなかった。噂は噂でしかなかったのだろうか。ところが、突如地響きと共に全百階もの最後のアトラクションが出現した! アルルたちはこのアトラクションを制し、それぞれの目的を果たすことが出来るだろうか。
なにはともあれ。シェゾとアルルのカップリングの好きな人はやるしかないゲーム(笑)。シェゾが今回それどころじゃないので、アルルに殆ど構わないのだが、そうなると逆に気になるのか、アルルがしつこいくらいシェゾに絡むのだ。
(自分がアトラクションクリアしたことを)「ホントに喜んでくれる? だって友達でしょ?」
「ふ〜ん……。じゃあ 用があれば呼んでもいいんだね。今度から声をかけるときは何か用を作るから」
「あーあ…… またケンカしちゃった。そんなつもりは ないんだけどなぁ……。ひょっとして ボクとシェゾって相性悪いのかなぁ? ……よくても困るけど」
(シェゾをひたすらじーっと見つめて、「気持ち悪いヤツだな……」とシェゾが戸惑うと)
「あはは! シェゾが照れてる!」
等々……。
アルル、ルルー、シェゾの三人の中から主人公を選んでプレイ。しかし三人のデータは共鳴しており、最後のダンジョンは三人全員をあるアトラクションまでクリアさせておかないと出現しない。つまり三人同時進行が基本。三人のクエストの進み具合により、出会ったときの会話が変化する。フィールド画面のキャラは可愛くていい感じだし、ウィンドウのキャラの絵柄も好みだし、戦闘で使える技が多くて嬉しいし、ワタシ的には大好きなゲーム。お腹がすいちゃうシステムも緊張感あっていいね。どんなにレベルが上がっても、お腹がすくとてんでダメだもんなぁ(苦笑)。
サターン版には、おまけとしてパソコン用スクリーンセーバーがニ種、CD-ROM内に収録されている。また、初回特典としてオリジナルバンダナ(わくぷよランド全景がプリント)が同梱されていた。
基本的にはサターン版と同じだが、オープニングムービー(むちゃくちゃカッコイイ)が追加された他、アイテムや雑魚キャラも大幅増加。物語的にも、サターン版では中盤頃から三キャラのエピソードのシンクロ化が解け、パラレル的になるのだが、その辺りが変更されて終盤までシンクロが保たれている。全体に単調だったサターン版からすると、長すぎる迷宮の階層が減らされたり、五階ごとに新しいマップに変わるなど、飽きさせない工夫が凝らされている。ちなみに、サターン版では空腹はかなりの脅威だったが、プレステ版ではこれで困ることは一切なかった。早い話、食料を全く持たずにアルティメルットタワーに登っても、難なくクリアできてしまったのだ。とにかく落ちているアイテムの量が半端でないような気がした。サターン版に比べて。
惜しむらくはなんかみょーに動きが重い部分があったりフリーズする回数が多かったこと。実際、マメにセーブデータのコピーを取っていなければ、クリアは遠いかも。
*PS2ではフリーズしづらい、との朗報あり。
サターン版とプレステ版は、大筋にはストーリーはほぼ同じである。(細かくは結構違うが。)だが、サターン版のシェゾがあくまでシリアスで、アルルに向かっても一度も「お前がほしい」と言わなかったし、かつセリリ等の特定キャラとのカップリング的エピソードがあったのに対し、プレステ版では微妙にギャグ路線に方向修正され、カップリング臭も極力排除されていた。(その割にはアルルとの絡みエピソードが追加されていたが。)
また、キャラの微妙な口調や一人称に、サターン版から かなりの修正・統一が-施されており、この時期コンパイル社内で再構成されていた真魔導設定が反映され始めている様子がよく分かり、面白い。
なお、エピローグの演出は断然サターン版の方が好きだ。個人の好みとして。
↑単に、プレイ当時に掲示板(当時は日記と兼用だった)に書きこんでいた文の再録。ぼかして書いてあるので、実際にプレイした人以外には非常に分かりづらい文だと思われる。