『〜聖魔導物語〜』感想文 7/17

二章 愛とマキビシとくぅちゃんの胃袋

さて。大クーシー居候イベントが終わると、強制的に第二章開始。自室を出ただけなのに、イキナリ出立イベントが始まります。

今回もプニィに見送られるププルというシチュエーションです。ロリ電波巫女さま曰く「今度はあぶなそう、かも……」だそうで。
出がけに不吉な……。
しかし、流石はポジティブさが売りのププルさん。準備万端抜かりはないよと明るく返して出発です。

・・・
っていうか。
せっかくこういうエピソードを入れたのなら、ここで「火属性の装備をすると溶岩おまるエビに全くダメージを与えられなくなる」ことを、もっと判るように警告しててもよかったのではないか、ナリ。
・・・

出立の様子を物影から窺うのは、今回はリーリカじゃなくて勇者三人組。そのままコソコソとププルの尾行を開始するのでした。(勇者の行動じゃないですが、突っ込み者不在です。)


魔導の塔以外のすべての迷宮は、入る前に森マップ3層を抜けねばなりません。アッチーノ火山付属の森マップは「セイロの森」です。

ププル
うわ〜!
ここもおいしそうなモノが
いっぱいあるね〜♪

くぅちゃん
がふがふっ……!
もがもが……ごっくんっ

ププル
あ!
くぅちゃんもう食べてる!

くぅちゃん
くー、くー!

ププル
おいしい?

くぅちゃん
くー♪

おいしそうなモノがいっぱい…?

森の名前からするに「セイロ → 蒸籠」で、ふかふかの蒸したて点心が沢山あるイメージなんだろう、なぁ。シナリオ的には。
しかし実際の背景は、赤黄まだら(デモ背景では緑一色)の巨大なウツボカズラ(食虫植物)みたいなのが点在する不気味な所で、ちっとも美味しそうじゃありません。

うーむ、またしても。
なんでしょうね。文芸設定が背景美術スタッフにきちんと通ってない?

それとも、あのウツボカズラこそが蒸籠ですという超設定? 中は蒸気むんむんで、奥に蒸された食べ物が入ってるとかの?
それならそれで、それが判る絵かギミックかエピソードを入れてくれなければ。 伝わらなければ意味ないナリよ。


さて。続いてギガディスが登場しました。

???
ふははははははははははっ!

くぅちゃん
ぐ!

ププル
# げんなり顔
こ、この声は……

???
くぅちゃんは相変わらず
食いしん坊さんなのだな!

# 草を踏んでギガディス登場。満面笑顔

ギガディス
待たせたな、余の愛しのププル!
そしてくぅちゃん!

ププル
待ってない、待ってない

くぅちゃん
く〜……

ギガディス
そうつれないことを言うでない。
否、みなまで言うな。
余はきちんとわかっておるぞ
ふふふ、照れておるのだろう?

ププル
くぅちゃん、行こっか

くぅちゃん
くー

ギガディス
# 涙目
ま、待て! 待ってほしい!

くぅちゃん
くくぅ〜……

ギガディス
お、お父さんまで――
違う、くぅちゃんまで
そんな顔しなくても……!

ププル
で? なにしに来たの?

ギガディス
ふふふ……決まっている。
魔王である余の力をそなたに――

ププル
前置き長くなるなら行くけど?

ギガディス
# 慌てて本題に
『伝説の魔導カレー』の
究極食材集め、手伝ってやろう!

ププル
# にっこり
ううん、大丈夫。
間に合ってるから!

ギガディス
そんなにいい笑顔で言わなくても……!

ププル
究極食材探しは
ボクがやらなくちゃいけないの
ボクのハッタリで
カレー屋さんを巻き込んじゃったから、
言い出しっぺのボクがやらなくちゃ

ギガディス
そ、そうなのか?

ププル
(まぁ、レシピが読めないから
 エターニャに手伝ってもらってるけど……)
そうなの!
それにキミには関係ないでしょ?

ギガディス
しかし、そのレシピは――

ププル
あ、レシピは悪いけど少しの間
貸しててほしいな
貸してくれるだけでいいから。
手伝いとかホントにいいから
ま、ボクはレシピがキミのだなんて
全ッ然信じてないけどね!

くぅちゃん
# 嘲笑う
くーっくっくっくっくっくっ!

ギガディス
お、お父さんっ!
そんな邪悪な笑い方しないでください!
可愛い顔が台無しですよ!

くぅちゃん
# 悪びれず、「べー」という感じに
ぐぅ〜

ギガディス
ぬうっ、なんと小憎たらしい顔……!
レシピを書庫から持ち出したのは
くぅちゃんなのに……!

ププル
……ねぇ、どうしてくぅちゃんを
『お父さん』って呼ぶの?

ギガディス
そうだな……
このままでは、余の妃となった時、
そなたが混乱してしまうな……
だが、そなたがくぅちゃんを
父と呼ぶ必要はないのだ。
これは余の切なる願い――

ププル
くぅちゃん、行こっか

くぅちゃん
# 嗤いつつ
ぐふー!

ギガディス
すいません。
待ってください……

ププル
もう、話すなら早くしてよ

ギガディス
いや、これには少々
複雑な事情というものがあってだな……

ププル
だから言いにくいって?

ギガディス
そうなのだ……。
これは余の一族に関わることなのでな
正直、あまり他所様には言いたくないというか……
しかし、ププルは
いずれ余の妃となる(予定)だ
ププルにならば
教えてやっても良い……か?
だがなぁ……うむむむ……

ププル
はぁ……

くぅちゃん
く〜。くー

ププル
そうだね、なんか話せないみたいだし。
行こ、行こ
# 小走りに去る

ギガディス
# ハート目
秘密の共有が出来てこその
ふ、夫婦というものだからな……

ププル
# 遠くから
食材はボク達で探すから、
もうついて来ないでねー!

ギガディス
# 満面笑顔
よし! 教えよう!
……って、あれ?

ププル
じゃあねー

ギガディス
え? ……あれ?
プ、ププル? くぅちゃん?
ま、待ってくれ、話を――
# 追いかけようとして転ぶ(木にぶつかった?)
…………

ギガディスがくぅちゃんを父と呼ぶ謎が引っ張られております。

それにしても。「余」「そなた」といった人称の使い方はいかにも魔王的なのに、父親を「お父さん」と呼び、「他所様」という中流家庭的な表現を多用するギガディスは、地味に謎です。
実は魔王とか魔界って言っても大したことなくて、中流家庭規模なのかしらん?

ちなみに、後のシナリオや『キャラ劇』で語られますが、母親は「母上」呼びなんですよね、「お母さん」ではなく。この不統一性の謎は、最後まで明かされることがなかったです。


さておき。
サタンが基本的に《自信過剰でアルルが嫌がっても意に介さない》態度だったのに対し、ギガディスはまだしも普通(小市民)っぽい反応が多めで、押しもそこまで強くありません。サタンとはだいぶ性格が違うんだな、より《マトモ》っぽいヒトかな? と旧ファンは思ったのではないでしょうか。……この時点では、まだ(苦笑)。


セイロの森を抜け、アッチーノ火山入口へ。
右よし、左よしときょろきょろして、警戒心いっぱいのププルです。誰もいないことを確認すると「うん、変な人達はいないみたいだね」と安心し、「また変なのが来ないうちに行っちゃおう!」と先を急ぐのでした。


アッチーノ火山4層。勇者三人組が現れます。

ナーン
追いついたぞ、ドロボーめ!

ププル
人聞きの悪いこと言わないでよ!
ボクはドロボーじゃないってば!

ナーン
じゃあ……悪者め!

ププル
だから、ボクの名前はププル!
ヘンな呼び方しないでよ!

素直すぎるナーンは天然とんち番長。
番長は元気いっぱいなのに、パンナとウードンは疲労困憊の模様。…って、ププルだってケロッとしてるのに、体力足りてないんじゃない?

ナーンは、ププルを倒すために異国のいにしえの武器を手に入れたと語り始めました。
その入手を可能にしたのはパンナの知識と情報力、ウードンの人脈と経済力だと自慢して、「この二人にかかれば不可能なんてない! オレ達は無敵だ!」と、得意げに豪語します。パンナさんも「フフ、アタシにかかれば、調べられないことなんてないですよ?」と大いばりです。

つっても、大手社の通販で買っただけみたいですけどね、後の展開で明かされたところによれば。パンナが通販カタログチェックして、ウードンがお金を出したってコトみたいです。

す、すごい!」と一旦乗ってみせつつ、「けど、キミはなにもしてないね……」と得意の精神攻撃をかますププル。ナーンがたじろぐより早く、ウードンが返しました。

ウードン
# 微笑んで
リーダーは
おいら達のリーダーだからいいんだよー

パンナ
一応決定権はリーダーにあるですね

どうしてウードンはそんなにナーンが好きなのか。

愛され番長はマキビシを取り出しました。それを見せつけつつ、許してほしければレシピを返してオーナーに謝れと要求します。ププルが反発すると、「仕方ない……。素直に罪を認めるならと思っていたが……マキビシのエジキにしてくれよう!」と撒き散らしました。自分たちの周りに。
悲鳴をあげて罵るパンナと、「……それって、キミ達が動けないんじゃない?」と冷静に突っ込むププル。

ご存知の通り、マキビシは棘を敵の足元に撒くことで足止めさせる逃走用忍者道具。けれどナーンは、ばらまくと自動変形して敵を死ぬまで追っかける兵器だと思っていたそうです。ロボットアニメの見すぎだよー。この世界にアニメはなさそうですが(笑)。

身動きとれなくなった三人組を前に、「じゃあ、ボク達急ぐから。がんばってね」と言い置いて、軽やかに立ち去るププルなのでした。

エピソード的にはここで終わっていいと思うんですが、視点が三人組にシフトして、蛇足的なオチが付けられてました。

ナーン
くそっ、逃がしたか……

パンナ
# ナーンを睨む
…………

ナーン
うっ……

ウードン
ねぇ、どうするの、これ……

パンナ
はぁ……。
片付けるしかないですよ……

ナーン
……す、すまん

パンナ
もういいです……

ナーン
ま、まさにマキビシ地獄だな……ハハ!

パンナ
ちょっと黙っててほしいです

ナーン
# 気まずい表情
…………

三人組の力関係が窺い知れますね。
ナーンは身体能力高くて仲間思いで素直だけれど、思い込みが激しく慎重さにも欠け、総合的にはダメ人間。パンナはそれに苛立ちつつも、責めたり離れたりする気はないらしい。ウードンはナーン信者。

なんでこんな関係に?
過去によっぽど絆を強くするようなドラマが?
と思ったんですけど、最後までプレイしてみてもそんな情報は出てこなかったです。単に、小学校からの腐れ縁だそうですよ。


アッチーノ火山7層。
今度はゼオが出現しました。ライバルやらお邪魔者やら、多すぎてせわしないですね。

???
フッ、追いついたぞ

ププル
あ、この前のヘンタイさん!?

ゼオ
違う! 俺の名はゼオ!
闇の魔導師ゼオ・ウィグルゥだ!
人は俺をこう呼ぶ。
究極の魔力を追いし流離さすらいの者、
闇の魔導師ゼオ・ウィグルゥ、と!

ププル
(知らないんだけど……。
 自称○○って流行ってるのかな……)
えっと……勇者さん達見なかった?
三人組の

ゼオ
勇者?
……ああ、あいつらか
あいつらなら這いつくばって
なにやらちまちま拾っていたぞ

ププル
(うわ、まだマキビシ拾ってたんだ。
 盛大にばらまいてたみたいだからなぁ……)

ゼオ
お前、ププルとか言ったな?

ププル
そ、そうだけど……

ゼオ
お前が欲しい!
お前をよこせ!

ププル
ええっ!?

ゼオ
もとい、お前が持っている
究極食材が欲しい。
究極食材を俺によこせ!

ププル
# 険しい顔になって
キミも『伝説の魔導カレー』を
狙ってるの!?

ゼオ
いや?
『伝説の魔導カレー』は手段に過ぎない。
俺が欲しいのは、究極の魔力だ
俺は究極の魔力を求めて旅をしている
カレーなんぞに興味はないが、
究極の魔力を手に入れるための過程だ

くぅちゃん
くぐ〜

ププル
え!?
せめて冒険者とか探検家とか……

ゼオ
? なんだ?
その変なネズミはなんと言ったんだ?

ププル
多分、キミがカレーをバカにするから……

ゼオ
御託はいい。
さっさと言え

ププル
……それって、
アウトロー気取ってブラブラしてるだけだね

ゼオ
なんだと!?
俺様の長年の野望を否定する気か!?

ププル
ボクが言ってるんじゃないってば!

くぅちゃん
# ほくそ笑む
くっく〜

ゼオ
許せん……!
『伝説の魔導カレー』を探し求めた
俺の今までを侮辱するなど……!
あまり手荒な真似はしたくなかったが……
究極食材と魔導カレーのレシピ、
力ずくでもいただくぞ!

ププル
ダメダメダメ!
ぜーったい、ダメ!
これはカレー屋さんを助ける
秘策なんだから!
ヘンタイさんなんかに渡さないから!

ゼオ
だから俺は変態じゃない!
何度言えばわかるんだ!?

ププル
それにヘンタイが
究極の魔力を手にしたら……
究極のヘンタイに!?
ヘンタイが周りの人にどんどんうつって、
世の中ヘンタイだらけになっちゃう!
そんな世の中にはさせないんだから!

ゼオ
こ、この……!
こうなったら、
その体に覚えさせてやる!!

ププル
うわわわわわっ!?

ゼオはシェゾのオマージュ…ってより、ほぼコピーキャラですが、シェゾよりもナルシズム度が強い感じですね。自己紹介時に「究極の魔力を追いし流離いの者」なんて、陶酔表現的な前置きを付けたり。

シェゾはそういう点では無口で、「闇の魔導師」という肩書しか名乗ったことはなかったです。即ち、旧魔導の世界観ではそれだけで充分だったし、その肩書にはシリアスな重みがあったってこと。
対して聖魔導の世界では、この肩書の権威はゼロっぽい? というか、むしろ「中二病」扱いなんですよね…。(『キャラ劇』で顕著。)
即ち、ゼオは《闇の魔導師を名乗っている》時点でもう、幼稚・滑稽な変人扱いなわけです。うーむ。


もう一つ。
ゼオがくぅちゃんを「変なネズミ」と呼んでいます。
確かに、そう見えなくもない。でも、くぅちゃんの種族名は「クーシー」。クーシーと言えばスコットランド伝承の妖精犬。即ち、ネズミじゃなくて犬なんじゃないの?
…実は『キャラ劇 こだわりの軍手』でも、コブリンがくぅちゃんを「白ネズミ」と呼んでます。
してみるに「クーシー」は後付け設定で、最初から犬を意識して作られたキャラクターではないってことなんでしょうね。
まあ、カーバンクルも変なウサギ呼ばわりされてることがよくあったしなー。(カーバンクルの場合は、元々の伝承が《頭に宝石のある獣》って以外不詳なんですけど。)


「お前が欲しい」→「もとい、お前の〜」のくだりは、『ぷよ1』の判り易いパロディです。ゼオが激怒して戦闘になだれ込む感じも、《ぷよぷよシリーズの漫才デモ》を彷彿とさせて、旧ファンのハートをくすぐってくれます。

ただ、ここでのゼオの「俺様の長年の野望を否定する気か」という怒り方は飛躍が大きくて突飛感があり、何より、返すププルの「世の中ヘンタイだらけになっちゃう」という《戦う理由》は、斜め上すぎて置いてけぼり感があります(汗)。


ともあれ、戦闘終了。

ゼオ
くそっ……!
こんな、小娘に……!

ププル
# 笑顔
正義はかーつ!
ヘンタイさんなんかに負けないよ!

ゼオ
……お前も究極の魔力が目的なのか?

ププル
違うよ
ボクは『伝説の魔導カレー』を作って、
お世話になってる
カレー屋さんのピンチを救いたいだけ

ゼオ
は? それだけか

ププル
うん、それだけ

ゼオ
# 気が抜けたように笑って
……お前は無欲だな
# 汗タラ
俺の野望は、
そんな無欲さに負けたのか……

ププル
……キミがどうして究極の魔力が
欲しいのかは聞かないけど、
きっとムダにはならないよ
キミが今までしてきたこと。
みんなムダになるわけじゃないと思うよ

ゼオ
# 笑う
……俺が一度負けたくらいで
目の前にある標的を諦めるとでも
思っているのか?

ププル
# 笑みのまま
でも魔導カレーはボクが作るもんね!

ゼオ
せいぜい頑張ることだな
だが油断はするな。
俺はいつでもお前を狙っているぞ

ププル
# げんなりして
だからそーゆー言い方が
ヘンタイって言われるんだってば……

ゼオ
# 焦って
もとい!
お前の持つ究極食材と
魔導カレーのレシピを狙っているぞ!

ププル
# 呆れた様子で
なんで最初からそう言えないのかなぁ
# テンション低く
じゃあ、ボク達行くから……
# 駆け去る

ゼオ
# 黙って見送る
…………


ププル
# 離れた場所で
言葉とか態度とかエラそーでヘンだけど、
悪い人じゃないみたいだね?

くぅちゃん
#「え〜?」という感じで
くー

ププル
ハハハ、よく言われるよ。
でもボクはお人好しでもいいよ
だってなんでもかんでも疑って
ギスギスした世の中なんてイヤでしょ?

くぅちゃん
くー

アルルとシェゾに比べると、ププルとゼオの関係は、初っ端からかなり友好度が高いですね。笑顔でライバル宣言し合う仲に落ち着きました。

ププルがゼオを嫌悪する方向には行かなかったうえ、「悪い人じゃないみたい」と評価するほどに。
実際は判りませんが、この流れを見て、シナリオさんはシェゾとアルルのコンビ化に好意的なんだな、それがゼオとププルの関係に反映されたんだなと感じました。

旧魔導ぷよシリーズでは、《アルルとシェゾの仲》のさじ加減は、各ゲームのシナリオライターによってまちまちで、二人がライバル的に慣れ合っているタイトルもあれば、アルルからの激しい嫌悪しか見えないものまでありました。
私は慣れ合っている方が好きでしたので、近年のセガぷよがそちらを選択したことが嬉しかったですし、この『聖魔導』のププルとゼオでもそちら側が選ばれたことに安堵させていただきました。


アッチーノ火山12層。
またまた勇者三人組登場。ホント、イベント多いですねー。

またも《走って追いついて来て、ナーンは元気だがパンナとウードンは疲労困憊》という状況。で、また同じことが繰り返されます。

今度は「モッパン」なるアイテムを見せつけるナーン。しかし、うっかりくしゃみして撒き散らしてしまう。舞い上がる粉で辺り一面が真っ白になり、悲鳴をあげるパンナとウードン。
この粉にはコショウなどが入っているそうです。その場の全員がくしゃみが止まらなくなりました。

次章冒頭でパンナも説明してましたが、忍者道具の《もっぱん》なら、コショウやトウガラシ、ヒ素、煤、石灰などを混ぜた粉を火薬入りの竹筒に入れた催涙弾(毒ガス弾)で、点火して小部屋などに投げ込んで爆裂させるものであり、くしゃみで飛び散るようなものじゃないはずなんだけど…。
つーか、くしゃみ程度で飛び散るようなもの、よくここまで無事に持ってこれましたよね(笑)。ププルに見せつけるべく、わざわざ容器から粉を出したってことなのかな。

くしゃみし続ける三人組を置いて逃げ去るププル。
それでこのイベントは終わりです。
しかし、今回はナーンだけの失敗とは言えますまい。こういうアイテムを使う予定だったのなら、三人組は予めガスマスクを用意しておくべきでしたね。


アッチーノ火山、最深部。
さぁ、究極食材、出て来い!」と呼びかけると、地響きと咆哮(?)と共に、溶岩おまるエビが出現しました。
絵がないので定かではありませんが、後にププルが二コリに語った冒険談から察するに、溶岩の中から巨大エビが出てきたという場面らしいです。

ププル
うわぁっ! なんか強そう!
ハサミきょーあくっ!

くぅちゃん
くー

# 怪獣の唸り声的効果音

ププル
でも、カレー屋さんのためなんだ!
ボクは負けないっ!

ププルさん勇ましい。『キャラ劇』でゼオが「(ダンジョンでは)血の気が多」いって言ってたけど、確かに(笑)。


溶岩おまるエビを倒すと、再びギガディス登場。やっぱり駆け寄ってきます。
ホント、入れ替わり立ち替わり忙しないなぁ。

ププル
やったぁっ!
溶岩おまるエビ、倒したー!

くぅちゃん
く〜!

ププル
あ、食べちゃ『メッ!』だからね!

くぅちゃん
くく〜……

# パンパンパンと手を叩く音

ププル
なに!?

ギガディス
# 駆け寄ってくる
めでたい、流石であるな。
素晴らしい戦いであった

ププル
# げんなりした様子で
……ありがとう
もしかして、ずっと見てたの?

ギガディス
当然である!
余の妃(予定)が心配で、
こっそり様子を見守っていたのだ!
ずっと!

ププル
うげげっ、ずっとつけて来てたってこと!?
そういうのって執念深いって言うんだよ!

ギガディス
心外である!
そのような輩と一緒にするでない!
余はそなたを真に思って――

くぅちゃん
く〜

ギガディス
お、お父さんまで
余をそのような目で……!?

ププル
(またくぅちゃんをお父さんって……)

くぅちゃん
# 嘲笑う
ぐーっくっくっくっくっくっ!

ギガディス
うう、やめてください!

ププル
くぅちゃん、そのへんでやめてあげて

くぅちゃん
# つーん、という感じで
くーん!

ププル
もう……
ところで、どうしてくぅちゃんを
『お父さん』って呼ぶか、
説明できるようになった?

ギガディス
気にしていたのか?

ププル
フツー気になるよ……

ギガディス
……そなたにだけは話しておこう。
よいか、この話はくれぐれも
オフレコで頼むぞ

ププル
う、うん……

ギガディス
実は……くぅちゃんが余の父、
つまりは大魔王をだな、その……
ぱくっと……

ププル
ぱくって……ぱくっ?

ギガディス
……その通りである

ププル
ええっ!? 食べちゃったの!?

ギガディス
# 声潜めつつ
静かに! 声が大きい!
魔界貴族の連中に
このようなことが知られれば、
魔界の勢力図が変わりかねん……!

ププル
ご、ごめん……?

ギガディス
ただでさえ大魔王たる父が
ペットに食べられるとは、
我が家の恥であり、
同時に余にとっては
とてつもなくショックな出来事なのだ
敬愛する父が目の前で……。
それも、くぅちゃんに……

ププル
ごめんなさい……

ギガディス
いや、わかってくれれば良いのだ
余が父を吐き出させようとすると、
驚いたくぅちゃんは逃げ出した
その時、その場にあった
魔導カレーのレシピを持って行ったのだ

くぅちゃん
くー

ププル
ホントなんだ、くぅちゃん……
『なんでも食べちゃう子だなー』とは
思ってたけど、まさか……

ギガディス
くぅちゃんの中に父がいると思うとな……。
つい呼んでしまうのだ、『お父さん』、と……
# 声荒げて
何故なのだ?
父とは仲良しだったではないか。
一体、何があったというのだ……?
いつもくぅちゃんを抱っこして、
お髭ジョリジョリで頬ずりをするほど
仲が良かったのに……!

ププル
もしかして……

ギガディス
? なんだ?

ププル
ううん、なんでもない
(くぅちゃん、
 それがイヤだったんじゃないかな……)

ギガディス
……このような話、
馬鹿にされると思っていたのだが、
そなたは違うようだな

ププル
え? う、うーん……。
くぅちゃんの食べっぷりを見ちゃうとね〜。
信じるしかないのかな〜って

ギガディス
運命、であるな

ププル
へ?

ギガディス
心優しきそなたとは、くぅちゃん、
つまりはお父さんとのえにしによって出逢えたのだ!
もしかしてお父さんは、
余とそなたを出逢わせてくれたのかもしれない。
否、そうに違いあるまい!

くぅちゃん
……

ギガディス
# ハート目
これを運命と呼ばずしてなんと呼ぶのだ!
改めてそなたを余の妃に迎えよう。
さぁ、遠慮なく
この胸に飛び込んでくるが良い!

ププル
遠慮するよ

ギガディス
なにを遠慮する必要がある?
身分の差を気にしているなら心配はいらない。
余はそなたを生涯守ると誓うぞ!
大魔王の結んだえにし、深紅の糸だ。
ほどける心配などない!
我々は結ばれる運命なのだ!

ププル
そんな不吉そうな赤い糸イヤだよ!

くぅちゃん
ぐー! ぐー!

ギガディス
ふ、不吉……!?
血なまぐさい……!?
そんな……!
お父さんまで余とププルの運命を
否定するのですか……!?

ププル
最初からそんなものないってば!
キミ、夢見過ぎだよ!
まったく、話にならないよ。
行こう、くぅちゃん

くぅちゃん
くー

ギガディス
ププル……くぅちゃん……!

ププル
あ、あとつけ回すのはやめてよね!
キモチワルいから!
じゃあね!

くぅちゃん
ぺっ

# 立ち去る二人

ギガディス
# 半泣き
何故、余の想いが通じないのだぁ……

ギガディスがくぅちゃんを父と呼ぶ謎が解明されました。
《父を食い殺したくぅちゃんを、ついお父さんと呼んでしまう》て…。無理がありすぎるよね!?
でも、ププルは突っ込みません。聖魔導世界ではそこは気にするポイントではないらしいです。

くぅちゃんがヒトを食い殺していたというショッキングな事実が判明。なのに、ププルの反応はどこか他人ごとで、恐怖や惑乱は窺えません。

以前にも書いたとおり、ププルは自分よりも小さなものには極端に寛容で、特にくぅちゃんに対しては無条件の盲愛を注ぐのです。
何故か?
思うに、ププルがアルルのオマージュキャラだから。サタンたち《敵》に辛辣だった(特に初期の)アルルと、白痴美レベルに優しくてカーバンクルと癒着していた(角川版小説〜真魔導系の)アルルと。二つのイメージを再現したため、ププルはこういうキャラ(旧キャラコピーのギガディス達には辛辣だが、新キャラたるプニィたちとくぅちゃんには異様に優しい)になったのだろうと思うのです。
ププルは、くぅちゃんがどんなに非道なことをしても見捨てないし、くぅちゃんからどんな損害を受けても殆ど叱りもしません。何故なら、アルルがそういうキャラだったからです。

とはいえ、カーバンクルが《何を考えているのか判らない》、無垢な赤ん坊か本能で生きる動物のような、ある種《聖物》だったのに対し、くぅちゃんはむしろ悪意寄りの《俗物》として描かれています。なので、何があろうとくぅちゃんを全面的に受け入れて揺るがないププルの態度は、少し異様に感じられもします。

なお、『キャラ劇 すっぱい梅干し/謎のドリンク』や限定版ドラマCDププル編を参照するに、ギガディスの父である大魔王は死んではおらず、今もくぅちゃんのお腹の中の異世界に生きていて、自分の意思で隠居しているようです。
だからププルは恐れないし怒らなくて当然、だってくぅちゃんは悪くないもの、という理屈なのかもしれません。
でもこの時点では、ギガディスもププルも(プレイヤーも)、大魔王はくぅちゃんに食い殺されたと認識してるんですよ?(『キャラ劇』での会話を参照するに、腹の中で消化されたと思っていたらしい。)
なのに、あっそうなんだ〜ビックリ〜程度の反応しかしないってのも…。

ギャグ漫画『ジャングルはいつもハレのちグゥ』(著:金田一蓮十郎)で、謎の少女(怪物?)グゥが色んな人間をぱっくんしてて、彼らがお腹の中の異世界で暮らしていることが明かされたとき、主人公の少年ハレは、グゥとの腐れ縁は継続しつつも驚きドン引き怯えてたものですが、ププルもそのくらいの反応してよかった気もしますよ。


次、ププルとギガディスの関係について。
自分たちは大魔王の深紅の糸で結ばれているというギガディスの主張を、ププルは「そんな不吉そうな赤い糸イヤだよ!」と跳ね付けました。
今まで平然と相対していたので感じられませんでしたが、魔王は不吉なものだという認識がフツーにあるんですね。

ププルとギガディスの会話は、アルルとサタンのそれに比べて、ププルからの拒絶感が半端ないなと感じました。

キミ、夢見過ぎだよ!

つけ回すのはやめてよね! キモチワルいから!

アルルがサタンの求婚をどんなに断っても、サタンは都合よく解釈してけろっとしているものでしたし、プレイヤーの中にもそう解釈する人たちがいたものです。アルルはツンデレなだけで本当はまんざらでもないんだと。そういう余地が残されていたと言えます。
ところがププルの拒絶は苛烈な表現で、今後も容赦なく繰り返される。ここまで拒否られて「ツンデレなだけ」と解釈するのは流石に無理があると言えるレベルです。

そしてギガディスも、ププルの拒絶にいちいち傷ついて涙していて、自信満々で人の話を聞かない傾向のあったサタンとは異なり、ププルの気持ちを理解しているように見えます。
なので、ギガディスはサタンより素直で物分かりのいいヒトなんだなぁと思っていたものでした。……この頃はまだ。


さて。
ギガディスとの会話(ダンジョンクリアイベント)が終わると、例によってザコ戦闘に引き戻されてしまいます。このフロアのザコ敵の中には、本来ならもっと高レベルにならないと出てこない高位モンスター「あんみんねこまた」が混じっています。実はダンジョンボスの溶岩おまるエビより強いのです。
うっかり手を出してしまうと、装備が強ければ何ほどもありませんが、そうでなければなすすべもなく殺されてしまいます。(通常プレイならば、多くの人が現時点で装備は弱いと思われます。)
すると、ボスを倒してクリアイベントまで済ませているのに、ダンジョンクリア失敗扱いになってしまうのでした!
なんじゃこりゃ。この仕様、マジでおかしいよ。


迷宮を出ると、今回は普通に街マップになります。
《カレー屋》に入るとイベント開始。

カレー屋にはププルの冒険談を聞きたいとリーリカが待っていました。そこにエターニャが入ってきます。ニコリは彼女にもカレーをタダでご馳走しようとしましたが、「……ありがたい申し出だが、その、今日は腹の調子がどうもな……」と歯切れ悪く固辞。ププルは、

(なんかあんまり嬉しくなさそう……?
 ボクだったらすっごくすっごく嬉しいのに)

(カレー好きじゃないのかな?
 でも魔導カレーを作るの手伝ってくれるし、
 応援もしてくれるし……)

(カレーがキライだったら
 そんなことしないよね……?)

(具合が悪いからそう見えるだけなのかな……)

と、不思議に思うのでした。

それから、会話はププルの父親の話にシフトします。

ププル
ちなみにボクのオススメは
このスターライトカレーなんだ
治ったら食べてみて。
すっごくおいしいから!

ニコリ
ププルちゃんは本当に星が大好きだからね

ププル
# 笑って
うん!
でも星だけじゃないよ。
カレーも同じくらい大好き!

エターニャ
ほう? 何故なにゆえ

ププル
お父さんとの思い出が
いっぱい詰まってるからだよ

エターニャ
…………

# 一枚絵。嬉しそうに語るププルを見つめるエターニャ、リーリカ、ニコリ
画像引用:『〜聖魔導物語〜』(PSV)

ププル
昔、よくお父さんと一緒に星を見てたんだ。
カレーも一緒に作ったんだよ
今はお父さんには会えないけど、
思い出がたくさんあるから……
だからボクはカレーと星が大好きなんだ!

エターニャ
そうか……
わしにもそのように
幼き日の思い出にくれる時があった
だが、もうずいぶん
遠い昔のことになってしまった……

少ししんみりとさせられる場面です。「今はお父さんには会えないけど、思い出がたくさんあるから……」と語るププル。一枚絵まで使って大きく扱われています。
ププルが《今は会えない大好きなお父さん》について語るエピソードはここだけでなく、『キャラ劇』でも繰り返し扱われました。

多くの人が、ププルのお父さんは亡くなっているんだなと解釈するでしょう。アルルの設定(幼い頃に父が生死不明)を知っている旧ファンなら尚更、そう受け取ったことと思います。私もそうでした。

が。ぶっちゃけてしまいますが、これ、ヒッカケです。
真に受けていると、最後の最後に肩透かしでカクッとさせられた挙句「かんちがいのはじはじ電波」とロリ電波巫女に馬鹿にされますので、ご注意ください。
これに限らず、このゲームのシナリオでシリアス臭が匂わされるコトの多くが、馬鹿馬鹿しいコメディ的決着に、少し意地の悪い転換を経て至る作りになっており、真面目に受け取るだけ馬鹿を見ます。笑えるかどうかは人によるってことで。


自らの「幼き日」が「ずいぶん遠い昔」だと呟いた後、エターニャは辞して店を去りました。次の究極食材の場所も教えずに。
不思議な子だねと言い合うニコリとリーリカ。ププルも、内心で

(ボクより年下なのに、遠い昔なんて……)
(やっぱりエターニャって変わってるなぁ)

と考えるのでした。


ここでカレー店でのイベントは終了。
しかし、店を出ると強制イベント開始です。

いきなりプニィがいて、目を閉じて「……ぴぴぴ……」と呟いています。いわゆる《トランス状態》ってやつらしく、ププルの呼びかけを無視して「カレー電波、たくさんくる……」「呼ばれる……」と呟いて駆け去りました。

(またなにか受信したのかな?
 でもそれはいつものことだよね……)

と、怪しむププル。

ところで。この場面、BGMが『プニィのテーマ』です。
確かにプニィがメインの場面なんだけど……。うーん?

ここは次章の伏線です。プニィの身に何か異常なことが起きているとプレイヤーに報せ、少し不安を煽っておくという物語上の意味がある。
なのに、不安を煽る緊迫感のあるBGMじゃなく、可愛くフワフワした感じのボーカル曲たる『プニィのテーマ』…?
例えて言うなら、ゾンビと戦うシリアスホラーな場面で、主人公の職業が落語家だからって理由で『笑点』のテーマを流すかのごときです。


プニィの様子を怪しむ場面からそのまま繋げて、駆けてきたクリオラと衝突します。以降はクリオラのターンに。

# 走ってきた誰かとぶつかる
ププル
うわっ

???
キャッ
# 転ぶ音(包みか何か落とした音?)

クリオラ
失礼しま――
# ガラッと声音変わって
あなた、この前のちんちくりんじゃない!

ププル
# ムッとして
ちんちくりんは余計だよ!
ちゃんと前見て歩いてよね!

クリオラ
# 悪びれず
あら、事実じゃないの。
ぶつかったのは悪かったわね、
謝るわ

ププル
# げんなりして
失礼な発言の方を謝ってよ〜
もう、何を抱えてたんだか……
# しゃがんで拾い始める

クリオラ
道の真ん中でボーっと突っ立っている
あなたも……あ!

ププル
# 立ちあがる
『家庭料理入門』?
『カンタン!★今夜のおかず』?
あ、『サルでも作れるカレーライス』

クリオラ
ちょ、ちょっと!
人の物を勝手に見ないでいただけるかしら!?
# ププルからひったくる

ププル
キミ、料理を勉強したいの?

クリオラ
そっ……そうよ!
いけない!?

ププル
別に悪いなんて言ってないでしょ
あんまり料理しないんだ?

クリオラ
# 小さい声でぼそぼそと
だって料理はコックが作っていたし……。
なぜかお父様に止められていたし……
でもお慕いする御方に食べていただくなら、
私の手作りでなくては意味がないでしょう?
# うっとりして
だ、だからこうしてっ……

ププル
あの魔王のため?

クリオラ
そ、そそそそそ、そうよっ!?

ププル
# 呆れたように
ホントに好きなんだねー。
なんでそこまで好きなの?

クリオラ
どうしてって、決まっているじゃない!
ギガディス様が
とても素晴らしい御方だからよ!
溢れんばかりの気品と知性、
お強くて、お優しくて……。
とても輝いていらっしゃるわ!
まるで魔界に咲く暗黒の薔薇……。
魔界のプリンスに相応しいのよ……
それに、颯爽と現れた
あの時の凛々しいお姿……!
嗚呼……!
あの日から私の心は
あなた様のものです……!

くぅちゃん
# あーあ、という感じに
ぐー……

クリオラ
嗚呼、ダメダメっ!
これ以上ギガディス様の素晴らしさを
あなたに聞かせるのはもったいないわ!
ハッ!
こうしてはいられないわ!
一刻も早く料理の腕を磨かなければ!
それでは御機嫌よう!
# 駆け去る

ププル
転ばないでね〜
# げんなりして
なんかお腹いっぱい……

くぅちゃん
くくー

ププル
もう好きで好きでしかたないって
カンジだったねー

くぅちゃん
く〜

ププル
あんなに思ってくれる相手がいるのに、
あの人はなにやってんだろうね?

くぅちゃん
くー

ププル
ボクも疲れたよ。
家に帰ろっか

くぅちゃん
くー

ギガディスのために魔導カレーを作りたいクリオラ。

かつてルルーが『す〜ぱ〜なぞぷよ ルルーのルー』でサタンのためにカレーを作った時は、とんでもなく不味かった。
でも『ルルーの鉄拳春休み』で学校の課題として究極のカレーを作ってマスクド校長に食べてもらった時は、美味しく(または普通に)出来ていました。
商業二次だと、角川文庫版小説では素晴らしい料理の腕前だったり。漫画『とっても! ぷよぷよ』だと話によって殺人的料理下手だったり芸術的な料理を作れたり。小説『ぷよSUN』ではどんな料理を作っても最後には絶品カレーになるという特殊才能持ちだったり。
要は、ルルーの料理スキルがどんなものか、コンパイル時代に定まった設定はなかったように思います。
(セガぷよでは、牛を素手で引き裂いたりドラゴンを獲ってきて煮込むような野趣あふれすぎな料理を作るってことになっていましたね。)

では、クリオラはどうなのか?
とりあえずここでは、料理を殆ど作ったことがないこと、「なぜかお父様に止められていた」ことが説明されます。
彼女の料理スキルがどんなもので、父がどうして禁じていたのかは、今後のメインシナリオや『キャラ劇』で少しずつ解き明かされていくことになります。


・・・
個人的に、クリオラは《理想化されたルルー》だと感じています。
声優さんの声質による効果も大きいですが、時に《年増女》《悪女》的なイメージを与えられがちだったルルーに比べると、もっと素直で若々しくて少女らしい。よりいじらしく感じられます。
自分が悪いと思ったら気負わず謝ることができるので、見ていて気持ちがいいですしね。
それから、これはギガディスもですが、家庭環境が良くて両親に過不足なく愛されている様子が窺えるのも微笑ましい。
情に素直で、変にこじれてたりしない。ですから《ツンデレ》ではないと思います。

また、《格闘家》という要素が削除されたおかげで、なにかと暴力をふるって周囲を従わせたり、怪力のバケモノ扱いされたりするような面がなくなった。
これらはギャグ的に描写されていたのではあるけれど、コンパイル晩期には苛烈になり過ぎていたきらいがあったので、《クリオラ》として新生させる際に削ったのは英断だったと思いました。

まあ、暴力的な面は完全削除されたわけではなく、『キャラ劇 鈍器なラケット』には、ギガディスを巡る恋敵たちを時に力で退け「ブラッディー・クリオラ」と呼ばれていたと語られるエピソードがありました。それを知ったププルは、テニスラケットもクリオラに持たせたら鈍器になると恐れる。
ただ、クリオラがどんな風に恋敵達を退けたのか具体的に語られておらず、ラケット鈍器はあくまでププルの想像です。本編シナリオから見るに、ギガディスが引いちゃうレベルのことはやっちゃったらしいのですが。(…この面は、むしろルルーよりも凶暴なのか?)

実際の戦闘では、クリオラは魔法で戦っていて、物理攻撃は平手打ちくらいしかしなかったですね。コンパイル晩期のルルーのような度を超えた怪力のイメージはありません。少なくとも物理的には普通の女の子って感じです。
・・・


さてさて。
ここでのイベントはこれで終了。街マップに戻りました。しかし、例によってまだ次へ進めるようにはなっていません。そもそも次の究極食材の場所教えてもらってないし。

家に帰ろっか」とププルが言ってたので《マイルーム》に入りますと、次のイベントが開始されます。

どうやら夜になってるらしいです。晩御飯を食べてすぐにくぅちゃんと大クーシーはいびきをかいて眠り始めたらしく、「あははは、くぅちゃんってば目ぇ開けたまま寝てる〜」とププルは笑っています。
にしても、大クーシーはププルが出かけている間、家でなにしてるんだろう。

そこにサフラン先生が訪ねてきました。
ところで、あなたのペットは……?」とくぅちゃんの存在を気にして、「あっちで寝てますけど……。起こしますか?」と言われて慌てて止めてましたから、《凶悪なペット》に唾を吐かれ噛みつかれたことが、軽くトラウマになっているっぽいです。

先生は、ププルがカレー屋のために頑張っていることをリーリカから聞いたそうで「フフ、あなたのいいところですね。筆記の成績はアレで、卒業試験もソレだったけど」と褒め、その腕を見込んで、魔導学園に寄せられる依頼(クエスト)解決を手伝ってほしいと頼みました。

…えーと。
ププルは今、教師に嘘をついて暴力をふるったという罪で停学中。普通は謹慎が課せられるもので、人助けとは言え好き勝手に街の外にも出て派手に動き回っている状況は、停学を命じた教師の立場からは褒められたものではないハズ。
魔導学園の依頼の手伝いに関しては、停学中のペナルティ(奉仕活動の義務)なら理屈は通るけれど、「あなたの都合のいい時でいいの」と、してもしなくてもいい的に言っていて。
また、頼みごとをしただけで、いつ停学を解くかの説明をしないし、ププルも訊こうともしない。うーん??

ともあれ、これで街マップに《魔導学園》の項目が現れ、クエスト一覧の確認が出来るようになりました。
…しかし実際は、ストーリーをどこまでクリアしたかとか一定数値のダメージを受けたかとか、そういう小目標クリアごとに新しい着せ替え衣装がもらえるだけで、本当に新しいクエストが発生するわけではありません。シナリオ上の説明とシステムが噛み合っていないです。


第二章はここまで。
まだ次の究極食材の情報は得られていませんが、《マイルーム》から出ると、例によって間断なく三章が始まって、長い強制イベントが開始されることになります。


・・・
ププルはギガディスを「魔王」、ゼオを「ヘンタイさん」と、肩書やあだ名で呼びます。メインシナリオではギガディスを一、二回ほど名前呼びした程度で、ゼオに至っては、名前呼びすることはただの一度もありませんでした。

しかし、これがププルのキャラクター性に起因するのかというと、そうではないと思われます。『キャラ劇』(サブシナリオ)の方では、ゼオを普通に名前呼びしているからです。

これはつまり、メインシナリオさんの癖みたいなもの? たまたまそう書いちゃっただけで意味はなく、キャラ設定として厳密に固めたものではないので、(サブシナリオさんの書いた?)『キャラ劇』では名前呼びしてる、ってコトでしょーか。

しかしそれでも、漠然とながら名前呼びへの忌避感が、メインシナリオさんの中にあったんだろうなぁとは酌み取れます。即ち、ププルをギガディスやゼオと親しい関係にしてもいいのかという点に、何か迷いや気後れがあったのでは。
私は勝手にそう感じましたが、皆さんはどう思いましたか?

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