『〜聖魔導物語〜』感想文 8/17

三章 魔導カレーの秘密と梅こぶ茶

第三章です。前章と同じく、自室を出ると間断なく開始、しばらくイベントが強制進行します。
ズルズル ゲームを続けさせられてしまうので、時間のない人は、マイルームを出る前にセーブしてキリをつけておくことをお勧めします。


さて。この章は街にいる勇者三人組からスタート。
このシナリオ、視点が主人公から離れて分散しがちな面がありますね。三人称小説など他媒体なら普通のことですが、ゲームだと主人公(プレイヤー)に視点を固定することが多い気がするので、ちょっと印象的でした。

しょんぼりしてる勇者三人組。前章の直後ってことらしいですね。

パンナ
マキビシは大体回収できたですけど、
モッパンの中身は全部なくなったです

ウードン
でもオマケだからいいんじゃないかなー。
本命はマキビシだったわけだし……

パンナ
そういう問題じゃないです!
リーダー!
モッパンは火をつけて使う
催涙薬だと説明したですよ!
あんな場所で使っても
効果が少なそうですし……。
どうしてそのまま使おうとしたですか!

ナーン
# 汗タラ
……オレはてっきり、
自立兵器マキビシで捕らえた相手を
ジワジワ追い詰める薬だと……

ウードン
# 汗タラ
ねぇ、なんでそんな怖い発想するのー?

パンナ
ですから人の話はきちんと最後まで聞けと
普段から口を酸っぱくして言ってるです!

相変わらずナーンに甘いウードン。そして発想が独特なナーン。所詮ギャグとはいえ、ここまで人の話が聞けない、理解できないのって、ちょっとシャレにならないかも。(^_^;)

どうでもいいけど「自立兵器」って「自律兵器」では。

会話は更に続き、マキビシやモッパンは「デリ・バリ商会」なる大手会社の通販で買っていることが語られます。沢山買うとオマケを付けてくれる。モッパンはマキビシのオマケで、今までも携帯食料など、いいオマケをもらっていて、お得意様であるウードンのおかげだそうです。

そんな他愛無い会話をしていたところで、前章から引き続いてトランス状態のプニィが登場。BGMも相変わらず、可愛らしいボーカル曲『プニィのテーマ』です。
いきなり「いたいのいたいのとんでけ」と呟くプニィ。「どうしたの? おいら達ケガしてないよー?」と不審がるウードン達を無視して、「いたいのいたいのとんでけー」と繰り返す。

ウードン
# 嬉しそうに
もしかして、おいら達が落ち込んでたから、
慰めてくれてるのかなぁ?

ナーン
# 真顔で
……同情を受ける気はねぇよ

プニィ
# 目を閉じたまま
ちがう
これからいたいいたいカレー電波だから、
さきにとんでけのおまじないかも

ナーン
はぁ?

プニィ
呼ばれてるから、
もう行かなきゃいけないかも……
# 駆け去る

ナーン
なんだったんだ?

ウードン
さぁ……

パンナ
アタシ達、心配されたですか??

この場面、意味が解りませんでした。
最初見た時は、この後のププルとの戦闘を見越してのおまじないかしらと思ったんですが。この後ゴルダールが出てきて、失敗続きの三人組をキツく叱る展開になるから、単に、それを先回りして慰めましたって意味なのかなぁ?
そうだとして、特に親しくもない、むしろ敵対してる、プニィ的には知り合いですらない三人組を、《何かに呼ばれてトランス状態になっている》今、通りすがりに慰める理由は何?
うーん、さっぱりぷー。

ともあれ、前述したようにプニィが去るとゴルダールが登場。煮えたぎる怒りを抑えている模様で、ぶるぶる怯える三人組に「お前ら、ちょっと来い」と命じる。

ってところで場面転換。
強制的にププルの部屋(マイルーム)に移動して、イベントが続きます。

ププル
# 笑顔
食材集めは順調、順調♪
待っててね、カレー屋さん
# 真顔になって
そういえば、
次はどこに行けばいいんだろう?
この前エターニャに会った時、
食材のこと聞けなかったし……
# レシピのページをめくる
あ、あれ?
ここだけ文字が……
うわ、にじんでる!?
ど、どうしよう!
これじゃあ読んでもらえないよ!
(あ、魔王なら知ってるかな?
 でもあんまり関わりたくないし……)

# 不意に誰かが言う
???
古代遺跡マダデルに棲む、飛龍のイチボ肉

ププル
!?

エターニャ
次の究極食材は、飛龍のイチボ肉だ

ププル
エターニャ!?

エターニャ
ノックをしたが返事がなかったのでな、
勝手に上がらせてもらったぞ
次の食材を教えるのを
うっかり忘れていたのを、
先程思い出してな
ああ、お前の家なら、
二コリに聞いて知ったぞ

一切の口を挟ませない、怒涛の説明台詞(苦笑)。

なんと、エターニャの方からププルの家にやってきて情報を与えてくれました。こっち(プレイヤー)は何もしてないのに…。

やっぱりこのゲーム、シナリオは意欲溢れてるけど、ゲームとしてはどうかと思う部分があるなぁ。
《情報集め》はゲームの基本中の基本。それすらシナリオ上で強制的に片付けて、プレイヤーに自分で探す楽しみを残してくれないんですもの。

まーとにかく、レシピに読めないページがあるのに、いや、そもそも読ませてもいないのに、情報をすらすら述べるエターニャに不審を抱くププル。

ププル
どうして?
レシピも見せてないし……。
文字も滲んでるし

エターニャ
……梅こぶ茶をこぼしてしまってな

ププル
え? 梅こぶ茶?
もしかして、このページだけ
ゴワゴワしてるのって、
エターニャのせいなの!?

エターニャ
…………

ププル
あれ? ということは、
エターニャは前にこのレシピを……?

エターニャ
ノーコメントだ

ププル
ええ〜……だってさっき……。
もしキミが前にこのレシピを持ってたなら、
色々知ってることも納得いくのに……

エターニャ
# 笑って
良いのか?
乙女の秘密を探る者には、
恐ろしい呪いが――

ププル
茶化さないでよ

エターニャ
まぁ、そのようなもの
あってないようなものだがな
わしの秘密が知りたいなら――
そうだな
わしに『伝説の魔導カレー』を
食べさせてくれ、
そうすれば、教えなくもない

ププル
え? それでいいの?

エターニャ
ああ

ププル
# 笑顔
もっちろん!
魔導カレーができたら
お世話になったみんなに
ごちそうするつもりだったし!

エターニャ
# 微笑む
そうか、楽しみにしていよう

エターニャ、隠す気ないですよね。なのに説明を拒む。何がしたいんだ。
これはアレでしょうか。「わしの正体が気になるか? まあ、魔導カレーと引き換えなら教えてやらないこともないのだが…(チラッ、チラッ」ってヤツ? えらく稚拙な取引ですが、ププルには通用した(って言うか、最初から無条件だった)模様。

飛龍のイチボ肉はヒエスギの森の先にある古代遺跡マダデルにあると、エターニャは補足します。メモをとるププルを他所に、「……マダデル、か」と、ふと遠い目をする彼女なのでした。


ここで、またまた強制的に場面転換。
再び街の広場になり、強制イベントはまだまだ続きます。
が、ププルはいません。(もう出発したということらしい。)視点がエターニャに移っちゃってるんですよね。
うーん、三人称ゲーム。プレイヤーはどこにいるのか。

何故か、エターニャとゼオの会話になります。

エターニャ
(これで次の究極食材を探しに行けるな。
 わしとしたことがうっかりしておったわ)

ゼオ
ようやく見つけたぞ

エターニャ
お前は……
先日ププルに絡んでおった
変態ではないか
魔王とその自称婚約者に
撃退されたにも関わらず、
懲りずに変態活動か?
精が出るな

ゼオ
俺は変態じゃない!
流離さすらいの闇の魔導師、
ゼオ・ウィグルゥだ!

エターニャ
いや、あれはどう見ても
年頃の娘に迫る不審者であったぞ、
闇の変態魔導師

ゼオ
貴様……!
一部始終を見ておきながら、
何故そうなる……!

エターニャ
わざとだからな

ゼオ
…………

エターニャ
お前の用件なんぞわかりきっておるが、
一応聞いてやろうか。
わしになんの用だ?

ゼオ
あの小娘に究極食材の在り処を
教えているのはお前らしいな

エターニャ
……そうだとしたら、なんなのだ?

ゼオ
俺にも教えてもらおうか

エターニャ
お前は究極の魔力を手にしたいのだったな。
ププルを諦め、わしの方に来たか

ゼオ
話が早くて助かる。
あの小娘に聞くより、
お前に聞いた方が早そうだからな
占い師、貴様の知っている
『伝説の魔導カレー』の情報を
俺によこせ
いや、お前には
直接、究極の魔力について
聞いた方が早そうだな

エターニャ
鋭いな。
その洞察力は褒めてやろう、若造
だが断る
究極の魔力を手に入れるのに、
なんの代償もないと思うのか

ゼオ
その口ぶり、やはり知っているな!
代償がないとは思っていない。
だが、俺には成さねばならない目的がある。
どんなことをしてもな
ようやく見つけた
究極の魔力への手がかりだ。
さぁ、洗いざらい吐いてもらおうか!

んー…。
ちょっと変だと思いませんか?
会話からすると、エターニャはププルと初対面時のゼオの様子を見ていたらしい。でも、あの場に彼女はいませんでした。ププルとプニィがゼオ達の前から逃げ出した後に、彼女と出会ってましたもん。

考えられるのは《遠くから見ていた》って状況。
しかしエターニャは、出会ったププルに「なにやら騒がしいと思えば……お前達だったか」と言っていて、見ていたとは思い難いです。うーん?

本当は見ていたんだよって考えるにしても、ゼオの方はエターニャとは顔を合わせていないはず。にも拘らず、「ようやく見つけたぞ」と既知の間柄であるように声をかけ、「貴様、見ていたのか?」みたいな前置きすらなく「一部始終を見ておきながら」と、場に同席していた前提で話してます。
う〜むむ。変なの。


ローティーンの少女の姿をしたエターニャに「若造」呼ばわりされても、ゼオはその点には怒りません。しかも、究極の魔力について「お前に聞いた方が早そう」だと言ってます。
つまり彼は、エターニャが悠久の時を生きた不老者であると気付いている。
でも、現時点ではそこまで…なのかな?

シェゾは人の魔力を感じ取る能力に優れていたと思います。次章を見るに、ゼオにもその能力はあるようなんですが、ププルやエターニャに対して「すごい魔力を感じる」みたいなことは言わないんですよね。
ププルにはともかく、(シナリオ上、間もなく明かされますが)まさに究極の魔力を持っているエターニャに対してそう言わないのは何で?
エターニャは魔力を隠すことができるんです、みたいなご都合設定かしら。


ともあれ、ゼオはエターニャの能力について、かなり鋭く見抜いている。
そしてエターニャも、ゼオの能力や真意を認めて理解しています。
ププルやギガディスたちが、ゼオを変態だと決めつけて、彼の表面的な言動しか評価しないのに対し、エターニャはゼオの深部まで見通しているようです。

この、エターニャをゼオの《理解者・共感者》とする要素は『キャラ劇 修学旅行の木刀』にも表れていて、そこではこんなことまで言っていました。

エターニャ
お前は己の力を過信し、
なにか取り返しのつかぬ過ちを犯した

ゼオ
……っ!

エターニャ
その罪を償うために、
究極の魔力を求めている……
違うか?

ゼオ
…………

エターニャ
図星のようだな。
わしにも似たような覚えがある

ゼオ
お前も……?

エターニャ
お前はすでに十分苦しんだ。
許されると思うがな

ゼオ
……だが、これは俺の問題だ。
お前には関係ない

思えば、シェゾの様々な設定の中には《長い時を生きた不老者》というものもあったものです。
かつて究極の魔力を求め、長い時を不老で生きる魔導師・エターニャの設定には、どこか、そのシェゾと共通する匂いが感じられます。
そういう意味では、エターニャはもう一人の《シェゾのオマージュキャラ》であって、だからゼオの《理解者・共感者》の立ち位置にいるのでしょうか。


ところで、上記の『修学旅行の木刀』での会話。
一見して、ゼオとエターニャそれぞれに、すごくシリアスで重い背景があるかのように読めます。
また、『キャラ劇 オールオッケー草』を見るに、ゼオには妹がいて、何か悪い状態(病気ではないが、治療的なことが必要?)になっており、ゼオはその治癒法を求めているらしく読み取れます。
そして本編シナリオでは、究極の魔力を得ることで自分が代償を払うことになっても構わない(迷惑が他にかかるんでなければ問題ない)、その力で為さねばならないことがあると述べています。
ゼオが魔力を求めるのは、シェゾのような、最強の魔導師になりたいとかの私利私欲ではないらしい。

ゼオの背景の真相は、結局ゲーム中で明かされませんでした。でも以上を併せて考えるに、ゼオはかつて慢心から妹を悪い状態にしてしまい、それを元に戻すために、我が身を犠牲にする覚悟で究極の魔力を求めている…のでは? なんて想像ができる。そんなふうに読みとった人は多かったんではないでしょうか。

しかし、上の会話でエターニャが言っている「わしにも似たような覚えがある」「取り返しのつかぬ過ち」ってのは、実は《大好物のカレーの味が判らなくなる呪いを受けた》ってコトだと思われるのですね、ゲームクリアして考えるに。
即ち、ゼオの背景設定も、同じくらいくだらない可能性があるのです。

というのもこのシナリオ、ギガディスの父親、ププルの父親、エターニャや大カレー神関連と、シリアスそうに見える設定を匂わしといて「やーい、だまされたー」って感じにしょーもないオチで終わらせる、その繰り返しばっかなので。
狼少年の説話ではありませんが、懲りました。もー信じない。
ですからゼオの過去も、深刻そうに見せて、実際はくだらないものでしかないのかなーと。真面目に付きあっても馬鹿を見せられるだけかと思うのです。


話をメインシナリオに戻します。
究極の魔力について教えろと、ゼオに迫られたエターニャは。

エターニャ
それが人にものを尋ねる態度か……
しかし、わしを怒らせれば、
困ったことになるのはお前の方だぞ
#満面の笑み
逃げるなら今のうちだぞ?

ゼオ
フッ、笑わせるな。
何をしようって――

エターニャ
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

ゼオ
っ!?

エターニャ
# 普段より幼い声音で
助けてー!
ヘンタイにおそわれるぅ〜!
誰か助けてー!

ゼオ
なぁっ!?

休憩中の店員
# 男
なんだなんだ?

買い物中の若者
え、ヘンタイ?

ゼオ
え、あっ……!
ち、ちがっ、俺は……!

エターニャ
# 満面笑顔
どうした?
尻尾を巻いて逃げないのか?
早く逃げねば困ったことになると
言っただろうが、若造

ゼオ
きっ、貴様ぁ……!
必ず聞き出してやるからな!!
# 駆け去る

エターニャ
フン! 百年早いわ、小僧

素早い通報者
# 女
おまわりさーん!

エターニャ
っと、わしも厄介事は勘弁だ
# 駆け去る

チカン冤罪事件を連想して、ゼオが哀れになりますね。(-_-;)


ここでやっと強制イベント終了です。街メニューが出て、プレイヤーの意思で動けるようになりました。やれやれ。


ワールドマップを選択して「ヒエスギの森」へ。
今までは「オボロ」「セイロ」と食べ物関連と思われる名前でしたが、ここにきて食べ物関係ない感じに。

ヒエスギの森に入る前にイベントが入ります。
視点はププルに戻りました。

くぅちゃんがお腹が空いたと訴えるので、休憩しようとした時。雪を踏んでプニィが現れました。裸同然の格好なのに寒くないんでしょうか。子供は風の子だからでしょうか。ププルの呼びかけにも答えず、そのまま森の奥へダッシュです。
流石のくぅちゃんも食事が先だなんてワガママは言いません。ププルは即座にプニィを追います。
…が。行く手を阻む最悪のタイミングで、ギガディスが現れたのでした。

ププル
# 一度プニィに追いつく
待って、どこに行くの!?

プニィ
……よばれてる

ププル
え? 誰に?

プニィ
よばれてる、いかなきゃ……
# 駆け去る

ププル
# 悄然と立ちつくす
プニィ……?

くぅちゃん
# 怖い顔で一喝
ぐー!

ププル
う、うん……!
(食材探しも大切だけど、
 友達はもっと大事だよね!)
# 再び駆け出そうとする
待って、プニィ!

ギガディス
#満面笑顔
応援に来たぞ、ププル!

ププル
うわぁっ!?

ギガディス
次は飛龍のイチボ肉か。
奴は強敵だぞ、心してかかられよ

くぅちゃん
# あーあ、という感じ
くー……

ギガディス
だが安心しろ。
そなたには余の応援があるからな!

ププル
お、応援って……
キミ、なに言ってるの??

ギガディス
手伝いはいらぬと申したであろう。
究極食材集めは
そなたの使命なのだと理解した
そなたのカレー屋への思い、尊重しよう

ププル
そ、そう……

ギガディス
# ハート目
恩人のために戦うその姿……。
嗚呼……余の妃(予定)は
なんと心美しく優しい乙女なのだ……!
惜しむらくはその心を
余にだけ向けて欲しいのだが、
このギガディス、つまらぬことは言わぬ
だが、いつか余だけのものに……

ププル
(まだプニィに追いつけるかな……?)

ギガディス
余はそなたの使命を応援したいと思う!
余は専属応援団長・ギガディスである!
何処までもついて行き!
声援を送るぞ、力の限り!
# 声振り絞って
フレー! フレー!
プ・プ・ルッ!

くぅちゃん
# 急かすように
くー! くー!

ギガディス
おお! お父さんも、違っ、
くぅちゃんも余と共に
ププルを応援してくれるのだな!

くぅちゃん
# 苛立った声
ぐー!
# ドゴッとギガディスに体当たりする

ギガディス
ぐはっ……!
# ばたんきゅー

ププル
どうしよう、プニィを見失っちゃった……!

くぅちゃん
くー?

ギガディス
# 涙目で起き上がって
ひ、ヒドいぞ、くぅちゃん……

ププル
キ、キミのせいだ……

ギガディス
へ?

ププル
キミのせいでプニィを
見失っちゃったじゃないか!
どうしてくれるのさ!?
プニィになんかあったらキミのせいだ!

くぅちゃん
# そうだそうだという感じ
ぐー、ぐー

ギガディス
プ、ププル?

ププル
もうボクのジャマしないで!
# 駆けて行く

ギガディス
ププル!
おと――くぅちゃぁぁぁぁぁん!!
そ、そんな……!
余はただ……。
ただ、そなた達を
応援したかっただけなのに……

ギガディス可哀想〜…と、思いましたでしょうか。
そう思った方は優しい心の持ち主だと思います。

私は思いました。
え? この人、このあいだ、ププルにキツく求婚を断られて泣いてたよね。
あの時は、ププルの拒絶が普通に伝わってると思ってました。だから泣いたんだ、サタンよりも素直で普通な人だと。
でも今。彼はププルを「余の妃(予定)」と呼んでます。「つけ回すのはやめてよね! キモチワルいから!」とまで言われてたのに、付きまといをやめてません。欠片も悪びれずに、笑顔で。
何事もなかったかのように元に戻ってる。
……なんだこれ?
ざわざわっと、違和感が膝を這いのぼりはじめた感じです。
…………?、?(いやな汗)


さて。
ヒエスギの森を抜けると、古代遺跡マダデル前でのイベントが挿入されます。背景画で見るに、マダデルの建築物の柱や梁には、象頭人身の人物の姿が浅彫りされています。

ここまで駆けてきたけれどプニィに追いつけなかった、奥の方まで行ってみようと宣言して、急いで出発…するかと思いきや、何故か、しばらくププルはそこに立ち尽くします。

ププル
…………

くぅちゃん
…………

ププル
あれ?
いつもならこのあたりで誰か
出てくるんだけど……

くぅちゃん
くー

ププル
そうそう。
でも今日は来ない……のかな?
なーんか逆に調子が狂っちゃうなぁ

くぅちゃん
くー

ププル
はぁ……勇者さん達なら事情を話せば
一緒にプニィを探してくれると
思ったんだけどなぁ……
ぼやいててもしょーがない!
行こう、くぅちゃん!

勇者さん達なら一緒に探してくれる、かぁ。随分と買ったものですね。

でも現実には、クリオラやギガディス、ゼオであっても、事情を話せば、間違いなく親身に気にかけてくれると思うのです。(最も反発しそうなイメージがあるのはゼオですが、『キャラ劇』見るに、彼は「顔見知りでもあるしな。目の前で死なれるのも目覚めが悪いからな」と魔物に襲われたププルを助け、病気(?)の妹を気にかけている、シェゾよりかなりストレートに情に厚い人物のようですから。小さい女の子がいなくなったと聞いたら、放置しないんじゃないかなー。)

話を聞いてくれそうにないとか、敵対してるからというなら、現時点の勇者三人組だって変わらない。むしろ、現時点で最も執拗にププルの妨害をしているのは彼らなんだけど。
《勇者》の肩書のイメージの良さでしょうか。他の連中は《魔女》《魔王》《闇の魔導師》と、世間的には忌避される存在ですもんね。


古代遺跡マダデル4層。
見たこともないくらい綺麗な土の塊を見つけて、大はしゃぎするププル。拾おうとすると、いきなりエターニャが駆け寄ってきて、「やめておけ」と止めました。

ププル
エターニャ!?
どうしてここに……

エターニャ
……懐かしくなったからな
それに少々街にいられぬ事情があってな

ププル
エターニャ、街を出てっちゃうの!?

エターニャ
# 微笑む
お前に魔導カレーを
馳走になるまでは何処へも行かんよ
広場で騒動があってな。
今はあの場に戻りたくないのだ。
戻ったところで商売になりそうもないしな

ゼオを撃退するための狂言が、エターニャ自身の首をも締めているのは面白いです。その場に残って被害者演技を続けられるほどの女狐じゃないらしい。

エターニャは、その綺麗な土の塊は、乾燥した飛龍の糞だと教えました。顔料に使われるそうです。持ち帰って雑貨屋に売ろうかと考えるププルでしたが、くぅちゃんが大反対。持って帰ったら絶交するとまで。
なんでも食べるくせに、くぅちゃん意外と料簡が狭い。…まあ、食料品とかと同じ袋に入れて持ち帰るんだとしたら、確かに嫌かなぁ。

ププルは、ここから一緒に探索しないかとエターニャを誘いました。けれど「いや、わしは散策ついでに立ち寄っただけだからな お前の究極食材集めの邪魔になってもいかんし、そこらをぶらぶらしとるよ」と、あからさまに気乗りしない様子で断られます。
これは勿論、《冒険は主人公単独で》というゲームシステム上の制約のせいなんでしょうけど。この章をクリアしてから考えると、《一度目とは違う者が作った魔導カレーでなければならない》って条件に抵触するのを恐れたためかなと考えることもできますね。

断られてからやっと、ププルはプニィのことを話しました。「多分なんだけど、プニィがここら辺にいると思うんだ プニィを見かけたら、ボクが心配してるって言っといてくれないかな」と。
んん? ギガディスに話しかけられた時はキレるくらいプニィの心配してたくせに、エターニャに対してはずいぶん態度が違いますね。まあ、状況も違うけれど。

……わかった」と頷くエターニャと判れ、ププルは先へ進みます。


古代遺跡マダデル8層。
壊れた祭壇を発見。実際の背景画に描かれていないので(もうちょっと美術系も頑張ってくれて良かったと思うなぁ)、テキストから想像するしかありませんが、象頭人身の石像みたいなのがあったようです。

ププル
……神サマの石像かな?
もう壊れちゃってるけど、
ここには立派な祭壇があったんだね
これはカレー神サマの像?
いや、ちょっと違う??

くぅちゃん
くく?

ププル
ほら、そこそこ一番のてっぺんにある
あのおっきなオブジェだよ。
あれがカレー神サマだよ
カレー屋さんの守り神サマなんだって。
もちろんスマイルカレーさんにもあるよ
でもこの石像はボクの知ってる
カレー神サマとはちょっと違うみたい
昔のカレー神サマは
今と違う姿だったのかな?

くぅちゃん
くぅ……?

カレー神によく似た、謎の神サマの話題。
はい、伏線ってコトですね。


古代遺跡マダデル15層。
暗い顔でぼんやりと佇むエターニャを発見します。

エターニャ
# 暗い顔
…………

ププル
# 駆け寄る
エターニャー!

エターニャ
ププル?

ププル
プニィ見た?

エターニャ
いや、すまんな

ププル
ううん……。
どこまで行っちゃったんだろう?

言うまでもないですが、エターニャがマダデルの話題の度に暗い顔するのも、前回会った時に「(マダデルに来た理由は)……懐かしくなったからな」と言ってたのも伏線ですね。


で、そこにお待ちかね(?)のゼオが登場。

???
お前が欲しい!
もとい、お前の持つ究極食材が欲しい!
# 現れるゼオ

ププル
# げんなり顔
うあ、やっぱり来たか……

ゼオ
フン、この俺から逃げられると思うなよ

くぅちゃん
く〜……

ププル
言わないで……

ゼオ
またお前か、ネズミウサギ。
なにを言っているのかはしらんが、
俺は変態でも働きたくないわけでもないぞ!

エターニャ
おお、闇の変態魔導師ではないか

ゼオ
き、貴様……!

エターニャ
逃げに逃げてこのような所まで来たのか?
お前も暇だな

ププル
ヘンタイさんとなにかあったの?

エターニャ
いや、お前が気にすることではない。

ゼオ
だから俺は変態じゃない!
闇の魔導師ゼオ・ウィグルゥだっ!

ププル
はいはい、わかってるってば
それよりなんの用?
『伝説の魔導カレー』はボクが作る
って、言ったじゃないか

ゼオ
俺も『諦めない』と言ったはずだ

エターニャ
本当に諦めておらぬようだぞ。
奴のしつこさには脱帽するわ

ププル
ええ〜?

ゼオ
当たり前だ!
俺が何年究極の魔力を
捜し求めてきたと思っているんだ

ププル
それは知らないけどさぁ……

ゼオ
お前達から
『伝説の魔導カレー』の情報を聞き出し、
究極の魔力を手にして、目的を遂げる!
# 画面端に寄りかかる
フッ……!

エターニャ
おい、危ないぞ

# 地響き

ゼオ
お?
# 地響き、更に大きく
……おおぉぉぉぉぉっ!?
# ゼオ、画面下に消える

ププル
うわぁっ!?

エターニャ
崩れかけた柱に寄りかかるとは……

ゼオ
げほっ……ごほっ!
ぐ……! う、動けん……!

ププル
だ、大丈夫?

ゼオ
フッ……!
俺の真の実力はこんなものではないぞ
俺の手にかかればこんな物――

エターニャ
しぶといな。
元気そうだぞ

ププル
# 笑顔
そっか、良かった。
じゃあボク達急いでるから

エターニャ
ではわしはあちらを探しに行こう

ププル
ボク達はこっちの方を探すね

ゼオ
おい、ちょっと!

ププル
じゃあね〜♪

# それぞれ駆け去るププルとエターニャ

ゼオ
なっ!?
ちょ、ま、待った!

くぅちゃん
# じゃあね〜、のイントネーションで
くぅく〜
# 駆け去る

ゼオ
く、くそっ!
動けば動くほど苦しく……!
# 地響き、何かが砕ける音
のわぁぁぁぁぁぁぁ……!

他に誰もいない僻地で、重い瓦礫の下に挟まれた人を放置。
ある意味ゼオの実力を買っているってことなんでしょうし、所詮はギャグなんだけど。真面目に考えるとひどいなコレ、人として。(^_^;)


カッコつけてたのに、妙なドジ(不運な事故)でリタイヤしてしまったゼオ。
このパターンは今後も繰り返され続けることになります。

魔導物語シリーズは、元々、キャラクターのパラメーターを数値表示しないことを特長とするゲームでした。初めて数値表示したのは『わくぷよ』です。そこでシェゾの数値を見ると、アルルやルルーに比べて、「運」の数値だけが低かった。
ここから、私含む当時のファンは「シェゾは能力は高いのに運が悪い、実力はあるのに運が悪くて報われない」という同人解釈を生みだしたものです。
そして真魔導の方には「アルルやルルーの前だと、調子が狂って実力を出し切れない」という、運とは関係しないけど少し似た設定がありました。

ゼオの公式キャラ紹介文には「本当はすごい魔導師のようだが、すごさを披露できずにいる不憫な人」とあります。きっと、上記の真魔導設定や同人設定が混ざり合って、《運の悪い事故ばかり起こして(調子を狂わせて)実力を発揮できない》というゼオ像が結実したんでしょうね。


折角ゼオが迷宮に現れたというのに、戦闘がありませんでした。
彼とは今後も何度か迷宮で遭遇しますが、最後まで戦闘はありません。実は、前章のアッチーノ火山でのただ一度しか、ゼオとの戦闘はないんです。

これには、かなりガッカリしました。
コンパイル時代、シェゾがライバルとして出てくる時は、数度の戦闘があるのが普通だったものですから。
システム的にも充分可能だったと思うのに、どうして複数回の戦闘を実現できなかったのでしょうか。
何故か、他の中ボスキャラ総登場のエキストラダンジョン・天空聖殿にすら、ゼオとの戦闘がなかったんですよね。マジに何で??


俺が何年究極の魔力を捜し求めてきたと思っているんだ」と言うゼオ。
字義を素直に拾えば、彼は究極の魔力を求めてさまよう生活を数年しかしていないってコトか。真魔導シェゾのような、百年以上生きる不老の魔導師という設定はなく、見た目通りの二十歳前後の年齢だってことなんでしょう。

妹を癒すために究極の魔力を求めている…のかも? という推測を併せて考えれば、シェゾと違って、彼の放浪には時間制限がある? あんまり時間が経ち過ぎてたら、癒されたとしても妹さんは幸せになり難い気がします。


さて。
古代遺跡マダデル20層。最深部です。既にエターニャと合流しています。

さっそくプニィを発見しました。
ところが、呼んでも返事しないし、なんか無表情だし、服装も違うし、変な化粧してるし。そもそも全身の肌の色も違うし、瞳の色すら違います。…って、それもう別人レベルだろ!
しかしププルもエターニャも、それらの点は総スルーです。

ガングロプニィの足元には飛龍が倒れていました。彼女が倒したらしいです。(例によって絵はなく、テキストのみで説明。とことんエコ仕様ですね。)

混乱するププルの隣で、考えながらエターニャが言いました。

エターニャ
……あの娘、
度々電波がどうのと言っていたな?

ププル
う、うん、
プニレーダーでカレー電波を
キャッチできるって言ってた

エターニャ
もしや奴は霊媒体質というか、
憑依体質というか……
先天的に第六感が鋭く、
他者にはわからぬような存在すら
感じることが出来るのではないか?
今ではその存在すら忘れられた
大カレー神を知っていたのも――
いや、感じていたのもそのためではないか?

くぅちゃん
くくぅ!?

ププル
ほええ!?
じゃあ、プニィが最近おかしかったのは、
誰かに体をのっとられちゃってたから!?

エターニャ
大カレー神関係の何者か――
例えば、カレー精霊あたりに
憑依されてるのかもしれないな

ププル
そんな精霊がいるの!?

エターニャ
ああ、具に味が染み込むのを
猛烈にアシストするぞ
二日目のカレーが美味いのは、
カレー精霊のお陰と言われておる

ププル
うわぁ、カレー精霊さんありがとう!

くぅちゃん
くー

ププル
でもエターニャは
どうしてそんなことまで知ってるの?
まるでプニィみたい……
ううん、プニィよりもくわしいよね?

エターニャ
今はそのようなことを
言ってる場合ではなかろう。
後にしろ

憑依プニィ
よくここまで来たカレー……

ププル
うわっ、すごくそれっぽい!
カレー信仰関係の人っぽい!

エターニャ
# 険しい表情
…………

ププル
ねぇ、カレー精霊さん、
どうしてこんなことするの?
お願い、プニィを返して

憑依プニィ
それはまだ出来ないカレー

ププル
プニィはボクの大事な友達なの!
プニィの体から出て行ってよ!

憑依プニィ
『伝説の魔導カレー』を
作ろうというのは、汝カレー?

ププル
そ、そうだけど……

憑依プニィ
汝が魔導カレーを作るに相応しいか否か、
私は見極めなければならないカレー
そのためにこの巫女の体を借りたカレー

エターニャ
巫女だと?
やはり……

ププル
見極めるって……

くぅちゃん
くくー

ププル
# キッとなって
カレー精霊さんを倒せば、
認めてくれる?

憑依プニィ
# 面白そうに
よかろう。
どんと来いカレー

血の気が多いなぁ、ププル。自ら戦闘希望です。相手の肉体はプニィのなんだけど、躊躇はありません。

そして、外見の可愛さで誤魔化してるだけの真性不審者…もとい、電波ちゃんかと思われていたプニィに、筋の通った設定があることが明かされました(笑)。


憑依プニィと戦闘。
倒すと「認めるカレー。約束だ、巫女の体は返すカレー 汝が魔導カレーを作るのを楽しみにしているカレー」と言い残して、取り憑いていた何者かは退散しました。瞳の色も肌の色も服装も全て、一瞬で元のプニィに早変わりです。
漫画アニメゲームのお約束とは言え、誰も突っ込みません(笑)。

元に戻ったプニィは、大カレー神に呼ばれて街を出たところまでは覚えているが、それ以降は記憶があいまいで、飛龍を倒したことも全く覚えていないと語りました。

ここでエターニャ先生の解説コーナー〜★

エターニャ
お前に憑いていた者が、
この場所までお前を呼んだのだろう

ププル
どうして??

エターニャ
ここはかつて大カレー神を祀り、
崇めていた都市だ
そして今立っている場所で、
人々は巫女にカレー神をおろし、
託宣を受けていた
大カレー神への信仰が失われた今、
もっとも縁深く、憑依しやすい場所に
お前を移動させたのだろう

プニィ
# 無愛想に
……なんでそんなことわかる

エターニャ
奴はお前を巫女と呼んでいた
プニィ、お前はこのマダデルで
大カレー神を祀っていた者達、
巫女の末裔なのではないか?

プニィ
……わかんないかも

エターニャ
……そうか。
まぁ、カレー精霊を受け入れられたことから
考えても、間違いなかろう
# 微笑んで
要するにお前は、
誰よりも大カレー神に近い者、
ということだ

プニィ
# 笑って
……わかったかも

誰よりも大カレー神に近い者」と言われて、今までの頑なな態度が少し和らぐ、単じゅ…素直なロリ電波巫女様なのでした。


会話はまだまだ続きます。
次はエターニャの正体について。

ププル
ね、ねぇ、エターニャ。
キミはホントに……

エターニャ
# 微笑んで
わしの秘密は魔導カレーと交換、
と約束したが?

ププル
う……

くぅちゃん
く、くー

エターニャ
…………
# うなだれる
……もう隠していても仕方ないか
# 顔を上げ
わしはな、かつて究極の魔力を求め、
『伝説の魔導カレー』を食べた魔導師だ

ププル
え!?
あ、だから究極食材の場所を……?

エターニャ
# 微笑む
一度作ったことがあるからな
# うなだれて
だが、究極の魔力と引き換えに……
わしは呪われた体となってしまったのだ
ここマダデルは、かつてのわしの故郷……
呪いを解くため奔走しておるうちに、
すっかり寂れ、廃れて、遺跡などと
呼ばれるようになってしまった

ププル
エターニャ……
(そっか……。
 エターニャが大人びてるように見えたのは、
 不老不死で永い時間生きていたから……)
(故郷がなくなっちゃうくらい
 永い時間を一人で生きてきたなんて……)
(…………)
もしかして、占い師って言ってるのに
占いがさっぱりだったのは……

占いがさっぱりだったのは……」と言われても、今までのメインシナリオにそのようなエピソードはありませんので戸惑うところです。

実は『キャラ劇』(サブシナリオ)の方に関連エピソードが配置されてるんですよね。『占いの竹のアレ』というタイトルで、以下のような内容です。

エターニャを占い師だと信じているププルが、拾った筮竹ぜいちくを渡して占ってもらう。けれどまるでデタラメ。呆れたゼオが本当は占いができないんじゃと突っ込むと、エターニャは支離滅裂に誤魔化して(ニセ占い師だと半ば自白して)逃げてしまう。それでやっと、ププルも彼女がニセ占い師だと察する。

このサブシナリオを先に見ていたならば、今回のププルの「占いがさっぱりだったのは……」という台詞は納得でしょう。
ところがです。
これを見るために必要なアイテムが入手できるのは、四章で行くイナホーヤ荒野。即ち、三章である現時点では、まだ見られないのですよ!
よって、様々な点でメインシナリオとサブシナリオの辻褄が合わなくなっています。パラレルストーリーだと考えるべきなんでしょうか?


それはさておき。
エターニャが、故郷が遺跡になるほどの昔から生き続けているばーちゃん…もとい、不老不死の魔導師だと確定しました。
今までの偉そうな態度は、誰よりも年長であり、その自負があったからこそなんですね。

ところで彼女、一体何歳くらいなんでしょうか。
ゼオを若造呼ばわりしてましたが、『キャラ劇』見るに、ギガディスすらも若造呼ばわりしてるんですよ、この人。

『キャラ劇 ゴボウの剣』から推察するに、ギガディスは数百歳くらいの年齢らしいです。エターニャはそれ以上生きていて、かつ、彼の年齢を知識として知っているってことなのかな。(魔族の年齢は外見や言動からは判りませんもの。)

エターニャ
美少女占い師という肩書きは、
諸国を放浪するための建前よ。
流しの占い師など珍しくなかろう?

ププル
やっぱり……

エターニャ
健気な努力と言わぬか
だが、その時間は無駄ではなかったぞ。
わしはようやく見つけたのだ、
この呪いを解く方法を!

ププル
見つかったの!?

エターニャ
# 微笑む
ああ!
『伝説の魔導カレー』は、
二度食べなくてはならないのだ!
一度目は、
究極の魔力を手に入れるために。
二度目は、呪いを相殺するために
# 怒りギャグ顔
そして二度目は、一度目と違う者が作った
魔導カレーを食べなければならないのだ!

ププル
……それだけ?

エターニャ
ああ。
簡単すぎるとでも言いたいのだろう。
だがな、簡単なようで難しいぞ

『伝説の魔導カレー』は知名度が低くてな
究極の魔力を求める者は多いが、
まさかカレーを食べて
力が手に入ると思う者はまずいないぞ
わしもレシピを入手するまで、
どんな冗談かと思っておったわ

究極食材の入手難度も高い。
どれも伝説級のシロモノで、
究極食材を守るモンスターは強い
一度収穫したら、
次が採れるまで数十年、数百年と
かかってしまう食材もある

# うなだれる
そしてな……。
他人に作れと言うのは確かに簡単だ
しかし、それではわしが
作らせたことになってしまうのでは?
それでは呪いが解けないのでは?
そう考えると夜も眠れず……
# 顔を上げ
だから自主的に作ってくれる者を
探しておったのだ

私利のためにププルを利用してきたと告白。
まだ食材すら集まってない現時点で明かしてしまうってコトは、余程ププルを見込んだんですね。こいつはここでネタばらししても協力し続けてくれるお人好しだゾと。

次に、ちょこちょことした補足的会話が行われます。

ププル質問。
魔導カレーのレシピに「食べたら呪われます」的な注意書きはなかったのか?
エターニャ回答。
究極の魔力が手に入るのが嬉しくてよく読んでなかった。呪われた後はムカついて資料を全部ゴミに出したので、確認していない。

プニィ質問。
大カレー神を嫌う電波を発していたのは、魔導カレーで呪われたせいか。
エターニャ回答。
その通り。
カレーを司る神のくせに、何故なにゆえカレー好きを貶めるのか、何故こんなカレーを作ったのかと、大カレー神を恨んでいる。
プニィのことは、当初、大カレー神の手先ではないかと疑っていた。ゴメンネ。


さて。
エターニャが見込んだ通り、ププルは大変なお人好しでした。利用されたことは全く気にせず、「ボクが『伝説の魔導カレー』を作ってキミに食べさせてあげればいいんだね?」と、颯爽と笑う。
でも……魔導カレーが危険なら ニコさんのお店、どうなるの?」と、心配したのはプニィの方でした。おや、電波女が普通っぽいことを。
するとププル、ウルトラ斜め上なことを言い出す。

あっ……そっか!
食べたら呪われちゃうなんて、
危なすぎて新メニューにできないよ!
しかもみんな究極の魔力を
手に入れちゃうわけでしょ?
そしたら……
三軒隣のシナモンさんちの夫婦喧嘩で
街がなくなっちゃうかも……!?
サフラン先生のお説教で世界が滅んじゃう!

前章でゼオと対戦した時、ゼオが究極の魔力を手に入れたら究極の変態になって変態がみんなに感染って世界がおかしくなるからやっつけてやると言い出したのもそうですが、ププルって時々、想像力過多というか、発想が常軌を逸しているというか、ぶっちゃけ変ですよね。(^_^;) 何言ってんのアンタ。

そんなププルの発言を「そなたの日常は刺激的だな……」という感想で流すエターニャさん。クリスタートルの甲羅より年の功ですね。二コリには説明して諦めてもらうしかない、自分も謝罪に同行すると述べて、「では、街に戻ろうか。究極食材を忘れるなよ」と言い残すなり、一人先にダダダッと駆け去るのでした。
パワフルなばーちゃんです。トイレでも近かったのかしら。

このゲームの人はホンっト〜に、走って登退場するのが大好きですね。
コミカル系の舞台劇かなんかのイメージなのかなぁ?


残されたププルとプニィは、今回はプニィのおかげでタダで究極食材が手に入って助かっちゃった、おてつだい出来てプニィ嬉しい、みたいな、ちょっとイイ話的な会話をしてました。

実際はさんざん心配させられたんだし、憑依プニィと戦わなきゃいけなかったんですから、ププルは少しも得してない。なのに「ありがとう」と本気の笑顔で二回も繰り返して言えちゃうププルは、実際、稀に見る良い子ではありますよね。


さて。
迷宮を脱出すると、街メニューになります。
「カレー屋」を選ぶとイベントが始まってしまいますから、時間のない人は、その前にセーブして一旦終わらせておくことをお勧めします。

「カレー屋」を選択したのに、イベント開始は街から。
「スマイルカレー」に行くには必ず「そこそこ一番」の前を通らねばならないとかで、ププルとプニィの二人が店の前をとっとこ歩いてますと、突然、ゴルダールがダッシュで体当たりしてきて、ププルの荷物を奪い取りました。

ゴルダール
グフフ……!
やはりワシ自ら動いた方が早かったな。
あのヘボ三人に任せても金のムダだった
伝説のカレーのレシピと食材、
いただいたぞ
(中略)
この伝説のカレーは
ワシの店の新メニューにしてやろう

ププル
ドロボーして作ったカレーを
お店に出すの!?

ゴルダール
客は料理ができる経緯なぞ知らんし、
どうでもいい。
目新しいモノに飛びつくだけだ
全国規模の有名店で出してやるんだぞ?
あんなチンケな店より大勢の客の口に入る。
その方がカレーも本望だろう!

あのー。そこ昼日中の往来で、普通に親子連れなんかもウロウロしていて(少し後に台詞付きで出てくる)、しかも「そこそこ一番」のまん前なんですけど。
そんな状況で、ドロボーしたことを否定もせず「客は料理ができる経緯なぞ知らんし、どうでもいい」と大声で言い放つゴルダールは、豪放過ぎるというか、悪役テンプレという病が進み過ぎてるというか。

そこに、颯爽とエターニャが登場。
んん? 元から一緒にいたのかなぁ? グラフィック上はいなかったけど。
究極の魔力を用いて魔法でゴルダールを金縛りにして、ププルに荷物を取り返させると、彫像のように身動きできなくなった彼に「鑑賞するには少々不細工なオブジェだがな」「見世物となり、客寄せでもすれば良かろう」と言い放って立ち去るのでした。しばらくすれば勝手に術は解けるそうです。

ところでこの時、金縛り状態のゴルダールを、エターニャが「くっくっく……どうだ? 動けまい さぁ、どうしてくれようか……?」と軽く脅すんですが。テキストだと迫力あるのに、絵の方は可愛らしい満面笑顔。声は一切の険のない可愛らしいだけの演技。ええ〜…?
個人的には異を唱えたい解釈です。シナリオさんがそういう意図だったなら、台詞の言葉遣いの方も、あえて普段とは違う、不自然に可愛らしい感じにしたと思うの。ここは普通にダークな感じでよかったと思うなぁ。


イベントは続き、スマイルカレーの店内に場面転換です。BGMは街の場面から切れ間なく、同じ曲が続けられていました。

説明を聞いて、怒るでも消沈するでもなく受け入れるニコリ。相変わらず天使。もももだったら、笑顔で「しかたないのー」と言った後で、「代わりに●●を探してきて欲しいのー」とか、新たなクエストを追加していたことでしょうに(笑)。

天使なニコリが言うには、ププルが持ってきてくれる食材のお陰でメニューも増えたし、最近は常連客の一部も戻ってきてくれつつあるそうです。
でも若者や家族連れは、安いソコイチを選ぶだろう。これからが踏ん張りどころだ、お互い頑張ろうと気炎を上げるニコリ、ププル、プニィ。
…ん? エターニャは?
彼女は自分のために魔導カレーを欲していただけだし、スマイルカレー立て直しへの意欲は元よりないってことかな。


ここで三章は終わりです。
「カレー屋」を出て「マイルーム」に入ってしまうと、例によって間断なく四章が始まって強制的にイベントが進んでしまうので、その前にセーブしておくことをお勧めします。





・・・
究極の魔力を持つ魔導師だというエターニャ。
でも、あまりそういう感じに見えませんよね(笑)。作中で何度か魔法を使ってはいますけど、金縛りだったり、黒板消し飛ばしだったり、イタズラレベルです。(しかも黒板消しの時は、飛ばしたそれがうっかり魔物に当たって、ひどい目に遭っている。)本編シナリオラストで、くぅちゃんを腹いせに「ゴシャメギッと」すると言って、ププルに「究極の魔力でなにする気!?」と言われてはいたけれど、現実には何もしてないです。

そういえば、今章でゼオを撃退する時、金縛りの魔法を使ってもよかったのに、どうしてそうしなかったんでしょうか。
彼はエターニャの立場に薄々気付いていたようですし、その場に他の知り合いもいなかったし、すごい魔力があることを隠す必要もなかったと思うんですよ。
……なんだかんだでゼオは魔導師としては能力が高いから、魔法対決じゃリスクが高すぎると踏んだのかなぁ?

そもそも、究極の魔力とはどういうものなのでしょう。
ププルは、ゼオが究極の魔力を得たら究極の変態になって世界中に伝染する、三軒隣のシナモンさん夫婦が得たら夫婦喧嘩で街が消滅する、サフラン先生が得たらお説教で世界が滅ぶと訴えてましたけど、そういうものなの?
もしそうなら、かつて魔導カレーで呪われて自暴自棄になって自宅の家具を破壊しまくったというエターニャが、その時点で世界を滅ぼしていそうなものです。


もう一つ。
エターニャが究極の魔力を持っていたのなら、どうしてゼオやギガディスはそれに気づかなかったのでしょうか。
いや。気付いたからこそ、ゼオは「お前には直接、究極の魔力について聞いた方が早そうだな」とエターニャに迫ったのかな?

旧魔導シリーズでは、大きな魔力を秘めていたのは主人公のアルルでした。それに惹かれたことをきっかけにして、サタンもシェゾも彼女に付きまとっていた。名実ともに、物語の中心にアルルがいたのです。
けれど『聖魔導』では、究極の魔力を持つのは脇キャラのエターニャで、主人公のププルの魔力については一切言及されません。何の特別性もないらしい。

…が。その割に、ププルは謎の無敵ぶりを発揮していて、エターニャは特に何もしていないのでした。
うーん。

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