///リリス


リリス 性別
身長 不明。アルルと同じなら158cm
体重 不明。アルルと同じなら46kg
スリーサイズ 不明。アルルと同じなら B80 W58 H80
年齢 不詳
誕生日 不明
一般的紹介 邪なるものを率いて聖なるものと戦い、魔導世界を創造した、太古の偉大な魔導師。現在は高次元意識生命体として存在する。
サタンの妻だったと言われている。

アルルにそっくりな、謎めいた女性。
カーバンクルやサタンとも、深ぁ〜〜い因縁アリ……?

 リリスの名はゲーム本編には登場しない。ただ、真魔導年表上に見えるだけである。
 だが、明言されてはいないものの、『はちゃめちゃ期末試験』に登場する(自称)ドッペルゲンガーアルルこそが「リリス」らしいので、そう解釈すれば本編キャラクターだと言えなくもない。

 なお、通常のドッペルゲンガーアルルは、衣服の色が変わろうとも髪や目の色はアルルと変わらないが、リリスの場合、髪は赤みがかり、目の色は紫になっている。


●卵が先か、ニワトリが先か
 リリスは真魔導設定で初めて登場したキャラクターである。モデルは、恐らくはMD版『魔導T』に登場する二人のドッペルゲンガーアルル、「やさしいドッペル」と「ワルル」であろう。「紫の衣装」「幻夢の世界(ファントムゾーン)」「自ら勝負を持ちかけてきて、勝つと力を与えてくれる」などの点が共通している。
 しかし、あくまでアルルの鏡像であり影分身であったドッペルゲンガーたちと、リリスは似ているようで根本的に異なっている。ドッペルゲンガーたちは「アルルに似ていた」。しかしリリスの場合は、「アルルがリリスに似ている」のである。主と影が逆転している。言ってしまえば、アルルの方がリリスのそっくりさん、ニセモノなのだ。

 リリスは偉大な「魔導師」だった。また、その実力とカリスマ性で邪なるもの(魔物たち)を率い、世界を救うべく戦った「勇者」であり、滅び行く世界を"魔導世界"として再創造した「創造女神」でもある。彼女の肉体はこのとき失われたが、精神は高次元意識生命体となって、今も幻夢の世界ファントム・ゾーンに潜んでいる。
 彼女は、アルルとそっくりの容姿をしていた。アルルと同じ魔導師で、アルルと同じように祕宝石ハイ・ジュエルたる(?)カーバンクルの加護を得て、アルルと同じく守護宝石ジュエルガーディアンたちを調伏し、究極の魔導兵器セラフィム・オーブの主となった。彼女の通ったのと似たような道をアルルは通っており、今後も通ると予言されている。ファントム・ゴッドはアルルを「あの方の選んだ、あの方の後継者」と呼んだ。
 アルルの過去から未来まで、人生の全てにリリスが色濃い影を落としている。真魔導設定上では、サタンがアルルに求婚したのも、カーバンクルがアルルになついたのも、第一の理由は「リリスの後継者だから」なのだ。

 元々はアルルの鏡像キャラクターとして登場したドッペルゲンガーアルル。更にそのドッペルから派生したのであろう「リリス」が、物語上、このようにアルルの祖形オリジナル的キャラクターに据えられているわけで、そんなしがらみとは無関係だったオリジナル『魔導』のアルルに思い入れていると、少しばかり釈然としない思いにとらわれる。
 なお、真魔導年表を見るに、世界の歴史は創造主を倒さない限りはループするらしく、アルルが創造主を倒し損ねた場合、彼女は過去の世界に転生し、現代社会で高校生退魔師などをやることになっている。その更に数千年の未来にリリスが現れているわけで、アルルの遥か未来の転生体こそがリリスである、という考え方も出来なくはない。そうしてみると、リリスがオリジナルなのかアルルがオリジナルなのか判然としなくなる。まさに卵が先かニワトリが先か、という状態である。


●サタンの妻
 設定上、リリスはサタンの妻だったことになっている。ただし、実際に式など挙げて結婚生活を送ったというわけではないらしく、周囲がそう呼んだ、というだけのことである。
 しかも、肯定的な意味でそう呼ばれたわけではない。

 その頃、リリスは邪なるものたちを率い、聖なるものから世界を救うべく戦っていた。そしてルシファー(サタン)は聖なるものの軍団の長だった。つまり、二人は敵対する軍の将同士だったのである。
 そんな二人が、どういう経緯からか惹かれ合ったらしい。少なくとも、周囲にそう思われる程度には交流があったはずだ。結果としてルシファーは世界滅亡に失敗し、リリス側に与した形になった。それがために、聖なるもの側はリリスがルシファーを「色気でだまし」たと考え、サタンの妻――淫婦、すなわち悪女と呼んだのだろう。ルシファーはこのことで堕天させられ魔王サタンになったのだから、リリスのために身を持ち崩したのは事実である。

 実際には二人がどんな関係だったのか、互いにどんな感情を抱いていたのかは分からない。ただ、ルシファーがリリスに惹かれていたのは間違いないようである。小説『真魔導』を読むと、サタンはアルルの力の中にリリスの気配・関与を感じ、そのことに非常に執着している。
(何故か、アルルとリリスの容姿が瓜二つだということには全く関心を示していない。魔神的には外見はどうでもいいことなのだろうか。)
 彼がカーバンクルを溺愛するのも、魔導世界を守護し続けるのも、それがリリスの遺したものだかららしい。
 彼は、今でもリリスを探している。……妃候補を探すために世界各地に塔を建てたのだから、一度は吹っ切って新たな恋を見つけようとしたのだろうが、結局はこだわりから逃れることが出来ていない。
 リリスの方はといえば、幻夢の世界に隠れたまま、何故かサタンの前に姿を現そうとはしない。何か思うところがあるのだろう。


●リリスの後悔
 『はちゃめちゃ期末試験』での呟きを参照するに、リリスは今現在、自分を不幸だと感じているらしい。そして、過去の自分の行いや通ってきた道を間違いだったと後悔している。

(世界という あまりにも重い鎖につながれ 運命の糸をつむぎ続ける…
 そんな 私と同じ道を…
 同じあやまちを 犯してはいけない…
 願わくば…
 あの子が 因果律によって定められた自らの運命の糸を 断ち切らん事を…
 …………アルル・ナジャ……………………
 …………………………私の………………)


 世界を創造したが故に、彼女自身が世界のシステムに組み込まれてしまったとでもいうのだろうか。そのために、死ぬことも(他者と交流し変化するという意味で)生きることも出来ず、この世界が滅ぶ日まで、世界の保持のためだけに存在し続けなければならない……? それを苦しんでいるのだろうか。

 この苦境を生んだ原因は、彼女が人の心すら操る究極の魔導器「セラフィム・オーブ」の主となったことにあるらしい。彼女は、アルルがカーバンクルに選ばれ庇護されているために いずれ必ず秘宝に導かれる運命にあると予測し、その莫大な力を手に入れたとき、かつての自分と同じ選択をして欲しくない、それは間違いだったのだから、と願っている。

 かつて、リリスがセラフィム・オーブを手に入れたとき。その力でもって行ったのは、滅びかけていた世界を"魔導世界"という混沌世界に再創造することだった。
 つまり……。彼女はアルルにその逆のことを願っていることになる。世界を無理に再創造せず、滅ぶに任せろ、と。そういうことなのだろうか。
 事実、真魔導年表上、アルルが創造主を倒すことによって魔導世界は消滅したことになっている。
 リリスは、不自然な世界を作ってしまったことを後悔していたのだろうか……?


●リリスとアルル
 アルルは、リリスの後継者だという。
 だが年表を見ると、彼女たちの因縁はそれだけではない。そこには、こう書かれている。

アルル・ナジャは因果律から逃れた、創造主に対抗出来る唯一無二の存在であり、悪魔王ルシファー(現サタン)と、サタンの妻(淫婦)としての烙印を押された人類庇護者リリスの奇跡の産物(?)、輪廻外超生命体である

 具体的にどういうことなのかサッパリ分からないが、素直に読み取れば、アルル(の、魂?)はリリスとサタンが共同で何か(魔導世界創造?)を行ったことにより生まれた、いわば二人の娘のような存在であるらしい。
 『はちゃめちゃ期末試験』において、リリスは
(…………アルル・ナジャ……………………
 …………………………私の………………)

 と、意味深な呟きを残しているが、この呟きの先に入る言葉は「後継者」であり、「娘」だった、と予測できる。



●伝承の世界
 伝承上のリリスは、キリスト教系のある一派によって、アダムの最初の妻だったとされている女性である。アダムを捨て、複数の男性と関係を持って無数の子を生んだとされていて、それ故に「悪魔の母」扱いされている。
 恐らくは、彼女のルーツは母権制の農耕民族系の地母神であろう。地母神は豊穣の力を司る故に多産でなければならず、故に色を好む性質を持っている。夫は複数持っていても気にされない。
 早い話、「産めること」が何より大きな魔力として重視され、夫が何者であるかはあまり頓着されないのである。
 しかし、これは男性上位・父権制のキリスト教とは相容れない概念だ。よって、異教の女神である彼女を引き入れて「悪魔」と呼び、貶めたというわけであろう。

 神は六日かけて世界を作り、赤い土から最初の人間・アダムを作った。アダムと対になる存在としてリリスが創造されたのだろう。
 アダムは獣との交合に飽きて、彼女を妻にすることにした。(獣との交合は『旧約聖書』では罪とされているが、当時の中東の牧夫たちの間では普遍的な風習だったという。)彼は彼女を強引に自分の下に組み敷き、服従させようとした。
 最近は女権の向上が進んできているが、かつての父権性社会では、性交の際に女性が上位に立つのは許されない悪徳であった。日本の神話ですら、イザナミとイザナギが最初に性交した際、イザナミが先に声を掛けた――下世話な話だが、先に「イッた」ので、その時出来た子供が奇形児のヒルコだったとされているくらいだ。
 とはいえ、リリスは大人しく服従するようなヤワな女ではなかった。彼女のルーツである地母神は母権社会の女神であり、多くの男神(農作物・太陽)と関係を持って多くを生み出す(豊穣をもたらす)大地なのである。リリスはアダムを冷笑し、彼の強制する方法に従わなかった。そしてついに彼の元から逃げ出して紅海のほとりに住み着いた。
 父権社会の権化たるアダムには、妻に頭を下げることは我慢ならない行為であったらしい。その後、彼がリリスのもとに自ら出向くことは決してなかった。ただ、神から派遣された天使たちが連れ戻しに行っただけだった。
 当然ながらリリスは戻らず、デーモンたちと交わって毎日百人の子を産んだ。
 ここで言うデーモンは、悪魔というよりは地元の精霊たち――非キリスト教圏の神々であろう。
 このデーモンを「サタン」だと考え、リリスはアダムを捨ててサタンの妻になった、と言われることもある。


 一説では、リリスはバビロニア〜アッシリアの女の悪霊、リリットに由来する。
 彼女は「夜の怪物」と呼ばれ、コノハズクに喩えられる。麗人の姿で現れ、眠っている男性の元を訪れては誘惑、もしくは殺害する。いわゆる、キリスト教圏で言うところのサキュバスである。信心深いキリスト教徒が夢精すると、「リリスが笑った」と言われた。
 別説では、この夢魔はリリスの生んだ娘たち、リリムであるとも言う。

 リリスは夜に飛び回る鳥の姿を持ち、妊婦や小さな子供に敵意を持っている。この辺り、中国の伝承に現れる姑獲鳥や、ギリシア神話の蛇女神ラミアにそっくりである。実際、ラテン語のウルガタ聖書では、ヘブライ語を翻訳する際、「リリス」を「ラミア」に訳している。
 また、嵐や風の精霊でもあり、嵐の際に出現するとも言う。

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