『〜聖魔導物語〜』感想文 5/17

◆ストーリー

メインストーリーは、伝説のカレーを作る動機が二転三転して、予想よりも面白かったです。…と、本編クリア時点では思ってました。
余章をクリアしたら、「はァ?(怒)」と思ってしまった。(^_^;) 好みの問題なので、何とも思わない人が多いと思います。

スタッフロールを見るに、シナリオライターさんはお二人だそうです。どういう配分で担当されたかは存じませんが、メインシナリオには《旧魔導に詳しい、またはよく勉強した人が書いたもの》、キャラ劇場には《旧魔導に個人的愛着があり、ジャンルの二次創作にも親しんでいる人が書いたもの》という印象を受けました。

ところどころに漫画版『わくわくぷよぷよダンジョン』(著:魔神ぐり子)の影響を感じました。設定原画集で、くぅちゃんデザイナーのつなこさんが、小学生の頃からの旧魔導ファンで懐かしい資料の提供もさせていただいたとコメントされてますが、その中にこの漫画も入っていたのかな?

以下、一章ずつあらすじを紹介しておきます。

序章 卒業試験とくぅちゃんのゲップ

ププルは魔導学園に通う女の子。毎日テキトーに生きています。
大事な卒業試験中にも余裕で居眠り。先生に叱られると、鉛筆ころがしで残りを片付けるのでした。

(ボク筆記試験苦手なんだよな〜。
 しかもいつもより激ムズだし……)
(これ、ホントに中等部の卒業試験だよね?
 サフラン先生ってば、テスト用紙
 間違えちゃったりしてないよね?)
(どうしよう……)

うー……

(しょうがない。
 こんな時は……)
(最後の手段!
 えいっ)

# 鉛筆の転がる音

(よし、2番ね)
(ふふん♪ 困った時の運頼み。
 ボクにはエンピツのお導きがあるもんね♪)
(これで満点取っちゃったりして)

数日後、試験の結果が発表されました。なんと、最優秀成績者は100点満点を取ったププル。事前に説明されていた通り、中等部卒業の資格だけでなく、卒業生代表として魔導の塔に挑む権利が与えられるとのこと。この課題をクリアすると《大魔導師》の称号が授けられるのです。

担任のサフラン先生も親友のリーリカも、ププルの能力の高さを褒め称え、祝福してくれます。でも事前の説明すらマトモに聞いていなかったププルには全てが初耳。ひたすら引きつり笑いで誤魔化すのでした。

そして魔導の塔へ。(試験結果発表と同じ日か、数日後なのかは説明されず。旧魔導そのままなら同じ日かな。)
サフラン先生の立ち合いで塔に向かうププルを、リーリカも見送ってくれました。
アルルは大勢の友達に見送られてましたが、ププルはリーリカ一人なのね。

ププル
おお〜……これが魔導の塔かぁ……

サフラン先生
あなたには、魔導の塔の最上階にある
魔導球を取って来てもらいます

ププル
え? それだけなの?

サフラン先生
ププルさん、油断大敵ですよ?

リーリカ
サフラン先生の言う通りよ。
あなたのこと信じてるけど、心配だわ

ププル
大丈夫、大丈夫!
人間やってできないことはないんだよ?
ここのてっぺんまで行って、
魔導球を取ってくるだけだもん。
簡単簡単♪
ボク、一夜漬けレポートでも、
今まで結構なんとかなってたし!
今回もエンピツのお導きがあったしね。
きっとなんとかなるって

サフラン先生
# 不思議そうに
鉛筆?

ププル
あ、いえ、な、なんでもありません
元気いっぱい、絶好調!
困難に立ち向かう時こそ、
凛として勇気を奮い起こさなくちゃ!
ですよね?
サフラン先生!

サフラン先生
ええ、そうですね

リーリカ
(そういう問題じゃないと思うんだけど……)
ププルは昔から、なんと言うか……
トラブルに巻き込まれやすいというか、
わざわざ首を突っ込みたがるというか……

ププル
ボクがトラブルメーカーなんじゃないよ?
勝手に寄ってくる
トラブルの方が悪いんだからね!

リーリカ
でも、いつも厄介なことに
なっている気がするわ

ププル
ええ〜、そうかな?
リーリカの考え過ぎだと思うけど

リーリカ
……そうならいいんだけど

ププル
でも心配してくれてありがとう。
さくさくっと行って来るから、
待っててね

リーリカ
うん、ププルなら大丈夫よね。
がんばって

サフラン先生
気を引き締めて、
卒業生の代表であることを
ゆめゆめ忘れないように
いってらっしゃい

ププル
はい! いってきまーす!

近所に買い物に行くごときノリで出発です。

実際、この迷宮は異常なヌルさ。シナリオ上では「とても厳しい課題だから、気をつけてね」とサフラン先生が言いますが、システム的には操作説明だけのチュートリアルですもの。

幼稚園児のアルルが挑んだ魔導の塔が《暴れゾウ》だとしたら、15歳ププルの挑む魔導の塔は《死にかけた芋虫》です。でもクリアすれば《大魔導師》なんですって。数々の試練を超えたアルルは《魔導師の卵》のままなのにね。

・・・
試験中に居眠りして叱られ、鉛筆ころがしで片付け、なのにトップ成績をとって魔導の塔に挑むことになる。この流れはMD版『魔導物語』のオマージュです。作り手側にすれば、ファンサービス的な意図しかないのでしょう。
またゲーム全体を見れば、ププルは友達想いで屈託のない、好ましいキャラクターです。
しかし、この冒頭での描かれ方のみを見ると、私は彼女が好きではありません。

ひとつ。
MD版『魔導』のアルルはまだ幼稚園児。ププルはもう15歳。
ふたつ。
筆記が苦手なのは愛嬌だが、進路にかかわる事前説明を聞いてもいない、「今までも一夜漬けで何とかなってきたから(努力しなくても、才能と運だけで)平気」と公言するなど、そもそもの姿勢があまりに傲慢である。
みっつ。
(システム上)魔導学園を卒業する時点で魔法の一つすら覚えていない。

こんな人が大魔導師? ははっ。笑えますね、悪い意味で。


MD版『魔導』の《劣等生》アルルは、シリーズ中では異端です。本来のアルルは立派な魔導師になる《夢を持って努力》し、実力で試験をパスしていました。

ププルはアルルではありませんが、オマージュキャラであることは間違いない。

《劣等生》キャラは親しまれ易いという考え方があります。どうも、作り手の方々にとっては捨てがたい要素のようです。
アルルも、コンパイル晩期の真魔導設定では《魔法がまともに使えない劣等生(ただし天性の才能を秘める)》に変更されていたものです。とはいえ、一流の魔導師になる《夢を持って努力している》という要素は消されていませんでした。この形は、セガぷよのアルル後継キャラ・アミティにもスライドされています。

ところが、ププルには夢がありません。
魔導学園に通っているのですから、魔導師になりたいとは思っているのでしょうが、成績以前に、レポートも試験にも真剣に取り組んでいない。試験の説明すらまともに聞いていない。
劣等生なうえ、努力しないわけです。運と才能ですべてを乗り越えている。

《天運に恵まれている》要素も、確かに元のアルルにありました。それを拡大した《努力しなくても運と才能で台頭できる》中二病的なキャラ性こそが、新しい時代の『魔導』に相応しいと判断されたのかもしれません。
でも個人的に、《夢を持って努力している》凛々しさは忘れずに受け継がせてほしかったです。

魔導の塔に挑む初代アルルの独白「きんちょーします。あしが ガクガクしてます。でも、だからこそ、りんとして ゆうきをふるいおこさないと いけないとおもいます。」は、緊張感と凛々しさがあってとても好きだったけれど、それをオマージュしたププルの台詞「元気いっぱい、絶好調! 困難に立ち向かう時こそ、凛として勇気を奮い起こさなくちゃ! ですよね? サフラン先生!」は、先生のご機嫌をとるための舌先三寸に過ぎない。それが、なんともガッカリなのでした。

せめて「今まで一夜漬けでもなんとかなってたから、この課題もテキトーに挑んで大丈夫」という意味にとれる台詞は言わせないでほしかったなぁ。
だってこれじゃ、才能に胡坐をかいただけの厭な奴じゃん。


さて。宣言通り、さくさくっと進んで屋上に到達です。

とおちゃーくっ♪
えーと、魔導球はっと……
……あれれ?
な、い……?

あ、てっぺんで何かすると
出てくる仕掛けとか??
ヌシを倒したら、
どこからともなく魔導球が出てくるとか??

さぁ、出てきなさい!
塔のヌシ!
…………
さ、さぁ!

などとメタ台詞を吐いてビクビク身構えていると、ぐったり倒れた小動物を発見。お腹ペコペコらしいので携帯らっきょを与えたところ、がつがつと完食してゲップ。もっとよこせとばかりに「くー! くー!」と大騒ぎです。

ププル
よかった、元気になったみたい
キミ、名前は?

???
くー

ププル
って、言えないよね
じゃあ……
くーくー言うから、くぅちゃん!

くぅちゃん
くー!

どうやら彼が魔導球を食べてしまったらしい、と推測するププル。

…くぅちゃんは喋れないし、この時点では(名前のくだりを見る限り)まだ以心伝心じゃないみたいなのに(少し後の場面では「くぅちゃんも食べたって言ってるし」と確信的に言ってますが)、よくそんなの気付いたなー。普通、食べ物でもない魔導球を食べたなんて思いつけるものじゃない。しかもくぅちゃん、たった今も《空腹で》倒れてたわけで。

魔導球をくぅちゃんが食べたことをププルの推測で片付けるんじゃなくて、ストレートに、目の前で食べる展開でもよかった気もしました。
倒れてるくぅちゃんにらっきょ与える→もっと欲しいと不満げ→ププルが魔導球発見→くぅちゃんが横から食べてしまう(この場面を一枚絵に)、とか。

ププル
……しょうがない。
キミを連れて行って、
サフラン先生に説明しよう
くぅちゃん、
ボクと一緒に来てくれるかな?

くぅちゃん
くくー!

ププル
ありがとう!

学校の施設に侵入して設備を損壊、課題を邪魔したのはくぅちゃんなのに、一言も咎めないのはおろか、お礼まで言っちゃう。
これは優しさなのか…。
この少し後の場面で、くぅちゃんがサフラン先生に噛みついた時は、まずお礼を言ってから軽く叱ってましたね。

これらの場面に限らず、ププルって、(見た目が)自分より小さくて可愛いものには極度に甘いです。目上のものにはかなり辛辣な面も見せるのに。


立ち去り際に、カレーの挿絵の入った本を拾いました。「やったぁ! いい物拾っちゃった! ボク、カレー大好きなんだ♪」と大はしゃぎするププルに、くぅちゃんもなんだか満足げ。


ご機嫌で塔を降り、先生とリーリカのもとへ。
リーリカの若い巨乳に鼻息荒くもぐり付くくぅちゃんを見ながら「ふふふ、可愛いペットですね。くぅちゃんと言うの?」と微笑む、天然気味のサフラン先生。

へ? あなたププルが塔に入るのを見送ったじゃないですか。その時はペットなんて連れてなかったでしょう。明らかにイレギュラーなのに(汗)。

こんにちは、くぅちゃん。私はププルさんの担任のサフランです。よろしくね」と、どーぶつ相手にも丁寧な先生でしたが、くぅちゃんは「ペッ」と唾を吐いて先生をひきつらせる。
物語展開上《先生を怒らせる》必要があるからでしょうが、なんでやねんって感じです。

魔導球をくぅちゃんが食べたと説明。先生は頭から信じず(そりゃそうだよね)、嘘をつく態度を哀しんで諭してきます。
すると、ププルが苛められたと思った(?)くぅちゃんが、唸り声を上げて先生に襲いかかり、噛みつきました。

画像引用:『〜聖魔導物語〜』(PSVita)

先生は激怒。「嘘をつくばかりか、凶暴なペットをけしかけてくるなんて……! 見損ないましたよ、ププルさん……!」と、妙に料簡狭くププルに責任転嫁します。
で、その場でププルの卒業資格を取り消して停学にしてしまう。
あらま権限持ち。サフラン先生って実は魔導学園の校長か何か?

この場面、ちょっとしっくりきませんでした。
筋は通ってるんですよ。でも、《先生が怒ってププルが停学になる》という定められた結論に、キャラの言動がイマイチ追い付いていないよーな。
最初に先生をムッとさせるのがくぅちゃんなのはいいとして、決定的に怒らせるのはププル自身の失言とかでもよかったんじゃないかな―。

あと、リーリカの演技が棒読み過ぎで気になる。(^_^;)


先生は怒って立ち去ります。力になれなくてごめんね、と落ち込むリーリカを「ほら、暗くなる前に帰ろ、帰ろ」と強いて明るく促すと、「う、うん……」と、彼女だけ先に小走りで退出。
え、なんで走るの? 一緒に帰らないの?(汗)
ため息ついて一言二言喋ってから、ププルも小走りで立ち去る。
……なんで走るんでしょうね。

そんなププルの様子を物影から窺う男一人。
この時点では名前欄が「???」になってますが、魔王ギガディスです。

な、なんだ、あの娘は……
む、胸が、苦しいっ……
ハッ!
まさか、これは恋?
余は、あの娘を……?

# 目をハートにして
おぉぉぉぉぉっ! この胸のトキメキ!
これが運命の恋か!?
これが運命の恋なのかー!?

はぁ、はぁ……。
余のハートを鷲掴みにするとは……!
なんという罪深い娘だ……!

嗚呼っ、行ってしまう……!
待ってくれ、余の運命の君っ!

だ、だが、この胸の高鳴りが邪魔をする……!
鎮まるのだ、余のノーブルハート!
はぁはぁ……

ふふ……はははははは!
いいだろう、今は見逃してやろう!
だが、待っているがいい。
必ずそなたを……!

不審者(笑)。


さて、街を歩くププルに場面は変わります。リーリカはいません。
これからどうしよう、とため息をついていると、第二の不審人物が登場します。

感度良好……カレー電波受信中

# 駆けよってくる
ぴぴぴ……。
強力なカレー電波をキャッチ……

近づいてる……。
とってもイイニオイかも……

素裸に細い帯巻きというアレな格好のローティーンの少女が駆けて来て、ププルの周囲をウロウロしながら匂いをかぎはじめました。

どう見ても不審者、それも相当にヤバい部類ですが、前述したとおり、ププルは自分より小さいもの可愛いものには異常に寛容です。この人物がオッサンオバサンなら容赦ない対応をしたに相違ありませんが、一秒も戸惑わずに受け入れ、彼女の話に素直に驚き感心して、そのまま友達になるのでした。

この少女・プニィが言うに、世界にはカレー電波なるものが飛び回っていて、自分はプニレーダーでそれを受信できる。その電波の強い方をたどれば《大カレー神さま》に会えるかもしれない。ププルはとても強いカレー電波を発しているので、大カレー神に愛されているのかもしれないと。
(クリアして振り返るに、魔導カレーのレシピを持っていたせいなのかなぁ?)

この世界のカレー屋は《カレー神》なる象頭人身の神を祀っていますが、プニィ曰く、大カレー神はそれよりもっともっと大きい偉大な方で、知られていないのは今はちょっと眠っているからだとか。

魔導の塔でカレーの本を拾った時と同じように「いいこと聞いちゃった! ボク、カレー大好きなんだ! 教えてくれてありがとう」と喜ぶププル。カレー繋がりなら何でもいいようです。
ご飯一緒に行かない? と、電波少女を行きつけのカレー屋・スマイルカレーに誘いました。


カレー屋に行く途中で、巨大なカレーチェーン店「そこそこ一番」の前を通りがかります。四階建て以上ある巨大な屋敷です。食べ物屋に見えません(苦笑)。
個人的には、そこそこ一番のCMソングかなんかが流れたら楽しかったな〜と思いました。おっさんが歌ってて店名をサビで連呼するような、アクの強いヤツ(笑)。


スマイルカレーに入ると、そこそこ一番のオーナー・ゴルダールがいて、スマイルカレーの店主・ニコリに嫌味を言っています。
ゴルダールは非常にステレオタイプな《悪役》です。
ロリ電波巫女プニィさまのご託宣によれば、彼のカレー電波は「べとべと」もしくは「ギラギラ」だそうです。

部外者なのにしゃしゃり出るププル。喧嘩を買うどころか売りつけました。スマイルカレーには新メニューの秘策がある、「あとで悔しがればいいよ!」と啖呵を切ったのです。プニィも、「ごうつくおやじ」「気持ち悪い」と正面から毒を吐いて煽りたてます。ゴルダールの言う通り「礼儀知らずな小娘共」です。

でも、新メニューの秘策なんて口から出まかせ。どうしよう?
するとくぅちゃんが、例の拾ったカレーの本を差し出しました。あっこれだ、と喜ぶププル。操作されてる。
この時点では何が書いてあるのかも判らない《カレーの挿絵のある本》でしかありませんが、この中にきっと新メニューのヒントがある、「どーんとボクに任せて!」とビッグマウス。

天使のような二コリは、子供の言うことに素直に喜んで、新メニューはププルちゃんにお任せするけど、それ以外のことをお手伝いしないと、と言います。ププルは「ボクが色んな食材を持ってくるから、それでカレーを作ってください!」とお願いしました。いつでもおいしいカレーが食べたいからと。

えーとつまり、(ダンジョンで拾った)食材さえ持参すれば、今後スマイルカレーでただでカレーを食べられる権利を得たってこと?
二コリが了承すると、何故かくぅちゃんが大喜び。ププルとは数時間前に出会ったばかりながら、もう一蓮托生はゆるぎない模様。
プニィも負けじと「プニィも食べたいかも……」と呟き。これにはププルが「一緒に食べようね!」と、二コリが何か言う前に請け合ってました。
天使なニコリさんは笑顔で了承してくれましたが、案外ずうずうしいよねこの子ら(笑)。

くぅちゃんの胃袋事情を考えると、何気に、ププルはここで大幸運を引き当てたんじゃないかって気がします。流石は運ですべてを乗り越える女です。


スマイルカレーでカレーを御馳走になって、店を出ても、まだププルたちはゴルダールに怒ってました。
ここでようやく本を開いてみます。
なぜ道端で……。
ところが、見たこともない字で読めない。
途端に、「お困りのようだな」と、ドクロヘッドの大杖を持った黒ゴスロリの、これまた(見た目)ローティーンの少女が、またまた小走りして現れました。

なんでみんな走るのよ?(汗)
ちっとは強弱付けようよ。
この演出にはなじめませぬ。

わしはエターニャ。
ただのしがない美少女占い師だ。
そこで商売をさせてもらっておる

第三の不審人物、エターニャ登場。
ヒラヒラ衣装で若づく…ゲフン。美少女を自称する彼女は「超絶美形ナルシスト」という病を患っています、多分。私の見立てではシェゾより重症です。

彼女が言うに、本は古代カレー語で書かれた『伝説の魔導カレー』のレシピ。
究極食材を集め、摩訶不思議伽哩塔で調理せよ、とあるそうです。
摩訶不思議伽哩塔って、あの?」と驚くププル。

それは、この世界の中心にある不思議な塔。周りを囲む奇天烈の森は「不入はいらず」と言われるほど迷い易く、絶対に塔に辿り着けないのだとか。

スマイルカレーの新メニューに《伝説の魔導カレー》を作ろうと決めるププル。
エターニャは更に、究極食材のありかを教えてくれました。まずはカチコチン洞窟のクリスタートルの背に生えたカメ水晶ニンジンを得よと。

彼女は、今後も食材の場所を教えると約束してくれたうえ、お礼は冒険談でいいと笑いました。でもプニィはずっとふくれっ面です。あやしい、信用できないと。尤もですが、気にしているのは、エターニャから「大カレー神が嫌い」という電波が出ているってこと。

大カレー神の名を聞いてエターニャの顔色が変わりました。けれどププルが理由を問いただす前に、不機嫌なプニィは話を打ち切ってしまうのでした。
プニィって、かなり我が強いですよね。これじゃあ友達いなかったはずだよ。

そして、一連の様子を見ていたゴルダール。ププルをつけていたそうです。暇だな。伝説の味はワシの店にこそ相応しいと、いかにも悪役らしく悪だくみを始めるのでした。


その夜、ププルの部屋をリーリカが訪ねてきました。
例によって彼女の巨乳にもぐりつくくぅちゃん。ウゼぇ。
ププルは街のアパートみたいなところに独り暮らししてるみたいですね。

停学の件で落ち込んでいないか心配して見に来てくれた模様。ププルはといえば超笑顔。スマイルカレーのために伝説の魔導カレーを作ることにしたと張り切っています。

元気な様子にホッとしながらも、「ププル、止めはしないけど、気をつけてね。あなたにあんまり無茶されると、心配でわたしの寿命が縮んじゃうわ」と釘をさすリーリカは、同級生というより姉か母親のようです。私も手伝うわとは言わないし。『巨人の星』の明子姉ちゃんポジションか。


翌日。ププル&くぅちゃんは、いきなり摩訶不思議伽哩塔へ向かいました。
ちょっと摩訶不思議伽哩塔へ行ってみない?」と出かけたところからして、世界の中心にあるという塔は、ププルの街(ディッシュタウン)のごく近所みたいです。っていうか、この世界って箱庭のように狭い?

言い伝え通り、森の入口で迷って塔に辿り着けません。それどころか

究極食材を持たずに、
奇天烈の森へ入るべからず。
汝に資格なしだゾウ……
立ち去るんだゾウ……

と謎のおっさん声が聞こえます。
今までププルがこなしてきた学校の試験とは違い、一夜漬けやぶっつけ本番は通らないようです。

迷いの森なんて
迷信だと思ってたのに……

もしかしたら究極食材じゃなくても
摩訶不思議伽哩塔で作れば、
魔導カレーになるかもって
ちょっと思ったり、
あのおじさんがなにしたって
こっちが先に作っちゃえば
のーぷろぶれむとか思ったり……

でも塔に辿り着けないんじゃな〜

レシピも持ってるし、
行けるかなって思ったんだけど、
甘かったかー
やっぱりズルはダメってことかな……

究極食材無し・自力でレシピを読めない状態でも、すぐに魔導カレーが作れると思っていたと、軽く反省するププルなのでした。アホか。

お腹がすいたし、まだ魔導カレーの件を話してないから、スマイルカレーに行こうと帰還。やっぱり伽哩塔と街はごく近所なんですね。徒歩15分圏内かってくらいの気楽な言いようでした。

ここで序章終わり。


条件の揃わないうちに伽哩塔へ行こうとして失敗するくだりを、シナリオだけで処理しているのは驚きました。ゲームだと大抵、システムに融合させてるものじゃないですか。
たとえば、序盤のワールドマップ時点で既に最終ダンジョンたる伽哩塔への選択肢が出てる。しかしそれを選んでも《迷って辿り着けない》イベントが起きるだけ、みたいな?

最後のオチになる、伽哩塔で拾う「食材らしきもの」がシナリオのみで処理されていたのにも違和感を覚えましたが…。なんだろう。システムとシナリオのスタッフ間の連携が密じゃない? うまく融合しきっていないというか。何度も書きますが、魔導師が主人公なのに剣で戦うシステムになってるし。


プレイしていて「イベント部分が長いな〜(疲)」と思うことがよくありました。
私は本来シナリオ重視派で、むしろ長いの歓迎のはず。それに、実際はそんなに長くもないのだろうと思います。
なのにどうして冗長だと思ってしまうのか。自分でもよく判りません。贅沢病でしょうか。

シナリオ自体は非常に力が入っていると感じます。旧作の要素もよく取り入れられていて、旧ファンとしてはありがたく、頭が下がるばかりなのに。


この序章も、長いと感じました。

プニィとカレー屋に行き、ゴルダールに啖呵を切る→街でエターニャと遭遇、伝説のカレーの情報獲得→よーしやるぞー!

個人的には、ここで序章終わりで構わなかったです。
マイルームでのリーリカとのエピソードや、お試しで伽哩塔へ行くエピソードは、強制イベントではいらないなぁ。プレイヤーの任意で起こせるお楽しみイベントに回してほしいです。

そのうえ、間断なく次章が始まって、またまた長〜いイベントが続けて強制されるし…。
どうもしっくりきません。
自分のテンポと、このゲームのそれが合わないってことなのか。

プレイヤーが自己判断で行動できる余裕が少ないシステムになってるため(すごく限られた行動しかできません)、イベントがほぼ強制化してしまい、シナリオを《読まされている》感が強くなっているのかなと感じました。


あと、つじつまを合わせようとしてか理屈が多かったり前後するのも、申し訳ないながら、ちょっと鬱陶しい。
カレー屋の新メニューを作ろうと決意した時点で、もうお礼代わりに食材持参でカレーを作ってくれるよう話をつけちゃってますけど、ここではまだその話をしなくてもよかったんじゃないかな。まだ何もできないから。

第1章の迷宮からの帰還以降、プレイヤーが《食材を持った状態で》カレー屋に入ったら、はじめてその話をするとか。カレー屋でのアイテム売買やマイルームも、第1章の迷宮クリア後まで閉じておけば、ほぼ必然的にアイテムを持ったままカレー屋に入ることになりますし。
もっと、シナリオとシステムを融合させててほしかったです。

つーか、なぜカレー屋で冒険用のアイテムの売買なのか。この辺も微妙にシステムとシナリオが噛み合ってなくて、もやっとする感じでした。
元からそういう店だったなら、ニコリさんは、そうしたアイテムを安く融通することをまず申し出るものではなかろーか。

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