『〜聖魔導物語〜』感想文 14/17

◆キャラクター

ププル

主人公。
魔導学園中等部を卒業間際の少女。
公式のキャラ紹介によれば「天真爛漫で物怖じしない性格」。
面倒事を引き寄せ、時に自ら突っ込んでいくトラブルメーカー。本人はボクのせいじゃない周囲が悪いんだよと言ってはばからない。


基本的に、原型たるアルルをほぼ継承した口調。
一人称は《ボク》。二人称は《キミ》。
《様→サマ》、《変態→ヘンタイ》と、一部漢字はカタカナ表記される。
女子供は概ね名前で呼ぶが、目上の男性は頑なに名前で呼ばない。ニコリは《カレー屋さん》、ゴルダールは《おじさん》、ギガディスは《魔王》、ゼオは《ヘンタイさん》。ただし、『キャラ劇』(サブシナリオ)では《ゼオ》と名前呼びもしている。
勇者三人組は基本的に三人まとめて《勇者さんたち》だが、必要に応じて各人の名前を呼ぶこともある。
大カレー神は《大カレー神サマ》。


家族構成は、両親と祖母。
母と祖母は田舎に住み、父はププルが幼い頃に仕事で家を出て、今も単身で世界を巡っているとされ、なかなか連絡が取れない(ほぼ音信不通の?)状態。
ププルは魔導学園に通うために田舎の家を出て、ディッシュタウンで独り暮らししている。現在、部屋にはくぅちゃんと大きいくぅちゃん(大クーシー)が棲みついている。

・・・
魔導学園の生徒だということ、原型がアルルであることから、魔導師の卵なんだと受け取りがちですが、公式のキャラ紹介にそう書かれたことはありません。ゲームシステム上でも、魔導学園卒業時点で基本魔法一つ使えない。剣や杖で殴ることばかり得意にしている。

『キャラ劇 付けモミアゲ』では、「健全な魔力は健全な肉体に宿ると言うからな 一流の魔導師たる者、日々の鍛錬は欠かせない」と言って夜中に鍛錬していたゼオに「ほええ〜! 魔導師って大変だねぇ」と他人事のように言い放って、くぅちゃんを呆れさせていました。

本当に魔導師なのか、拭いきれない疑念があります。


年齢は明らかにされていませんが、このゲーム世界の学校制度を現代日本と同じと仮定するなら、中学卒業時ということで15歳と推測はできます。


ププルは元々田舎暮らしで、魔導学園に通うため家を出たと語られています。魔導学校入学の旅をしたアルルの設定を彷彿とさせるので、アルルと同じように、長い苦難の旅をして遠い遠い学校に入ったんだなと認識してしまいそうになりますが、どうもそれも怪しいです。ププルの実家とディッシュタウンは、通学には不便という程度で、実はそんなに遠くないのかも?
というのも『キャラ劇 古そうな星図』にて、父との昔日の思い出を語るププルに向かい、ニコリが言うからです。

ふふっ。
ププルちゃんは本当にお父さんっ子だったよね。
それにしても懐かしいな、その冗談

つまり、ニコリは幼い頃のププルとその父を知っている。十年来の昔馴染みということになります。
ニコリが昔ププルと同じ田舎に住んでいたという可能性もありますが、そうでないなら、ププル父子は十年前から、顔馴染みになるほどこの店に通っていたということ。ならば、家からさして遠くないと考えることができるわけです。


作中でしばしば「無欲」「お人好し」とゼオ、くぅちゃん、エターニャから評され、ププル本人も自認しています。『キャラ劇 まほうの鏡』では、「究極の単純バカ」と言えるほど「真に心が美しい者」とさえ言われていました。
ププルは、愚かなまでに純粋で、天使みたいに心が綺麗な女の子?
しかしシナリオを見ていると、そこまでとは思えません。
嫌いな相手には冷たい態度もとるし、憎むこともある。敵意には敵意を返すし、面倒くさいという理由でぞんざいな対応をすることもままあります。ニコリにプレゼントした《尽きない米びつ》が周囲から米を盗むアイテムだったことに気づいても素知らぬふりを続けたり、不勉強から魔導学園にレプラコーンを大繁殖させたのに罪を認めず駆除も手伝わず逃走したりと、洒落にならない狡い面も。優しいのは確かですが、ごく普通の女の子ではないでしょうか。

ただ、プニィ、くぅちゃん、エターニャに対してだけは、それこそ天使のように、度を超えて優しいのは確かです。特にくぅちゃんには《異常》と言っていいほどのレベルです。そして、これら三者に共通するのは、(外見が)ププルより幼くて愛らしいということ。
即ち、小さく愛らしい者に対しては、極度の愛情と寛容と庇護欲と奉仕精神を見せるのが、ププルの性質のようです。母性が強いということなのでしょうか?
一方で、前述したように、目上の男性は頑なに名前で呼びません。単身赴任中だという父親の話ばかりする《ファザコン》のくせに、目上の男性に心を開ききれない面があるようです。意図的にそう描かれているのか、シナリオさんの無意識の何かの表れなのかは判りません。


最後に恋愛系の与太話をば。軽〜く読み流してください。

ププルは魔王ギガディスに求婚されています。これが原型キャラたるアルルと魔王サタンの関係に因むことは言わずもがなです。
長いシリーズの中で、アルルには幾人かの男性キャラとの恋愛的ほのめかしがありました。特に強く描かれていたのがサタンとシェゾであり、ファン人気も二分されていたものです。
この要素はセガぷよにも受け継がれ、『ぷよ!!』では双方のファンが楽しめるよう、シーソー的にバランスをとったエピソード作りが配慮されていました。

本作でも、サブシナリオ(キャラ劇)には同質の配慮を感じました。
『キャラ劇 ぐるぐる包帯』では、転んだプニィの手当てを手際よくこなし背負って運んでくれたギガディスに、ププルが(今日は魔王がいてくれて助かったな。普通にかっこいいから、ちょっと見直しちゃったよ)という感想を抱きます。
そして『キャラ劇 魔導金剛石』では、魔物に襲われたところを颯爽と救ってくれたゼオに、少し戸惑ったり怪しんだりした後で、ププルは「ゼオって本当はすごい人なんだね!」「今日のゼオ、かっこよかったなぁ」「ボク、ゼオのこと見直しちゃったかも!」と目を輝かせていました。

ププルの恋のお相手候補として、二人は平等に描かれているように見えます。この二つのエピソードだけを並べれば。
とは言え。主観ですが、他のサブシナリオや本編シナリオ全てを含め読むと、天秤は《どちらかと言えば》ゼオの方に傾いているように感じました。

ププルと絡むエピソードの数だけなら、ギガディスが圧倒的に多いです。けれどそのほぼ全てでププルは明確に拒絶。本編クリア後に閲覧可能になる『キャラ劇 初心者料理教習本』に至っては、クリオラとギガディスの恋の応援宣言さえ、嬉々となしているからです。
一方ゼオに対しては、ププルは変に《つっかかる》ような言動をしばしば見せます。わざと怒らせるというか常に一言多いというのか。ゼオとの勝負には柄にもなくムキになって「ヘンタイさんにだけは絶ッ対負けないんだから!!」と子供っぽく叫んだり。そのうえで《彼は本当はいい人、すごい人》だと認識するエピソードは繰り返され、姿を見せなくなると「ちょっとさびしいかんじ?」と漏らしていました。
恋ではないでしょうが、その手前の、気になる子を構って苛める小学生の様相を想起させます。

即ち、《望みの薄いギガディス→ププル》と、本命の《ギガディス×クリオラ(結婚前提)》、そして《そこはかとないゼオ×ププル(小学生レベル)》であるように読み取りました。
真相は定かではありませんが、私の感覚では、シナリオさん方は《ギガディス×クリオラ》と《ゼオ×ププル》を本命カプとして推しているように感じたのでした。

くぅちゃん

ププルの相棒。
「くー」もしくは「ぐー」としか鳴けない謎の小動物。
ププルとギガディスのみ、くぅちゃんと不自由なく意思の疎通ができる。理由は語られず。

食欲旺盛で、食物でも食器でも人間でも魔族でも、大抵のものは食べる。大好物はカレーライス。苦手なものは酸っぱい梅干しで、うっかり食べると悶絶するほど。
魔界の栄養ドリンク「魔王殺し」にも目がないが、これを飲むと酔っぱらって大暴れする。かつて魔王城を半壊させたこともあるという。
巨乳の少女の胸に身体をうずめたり匂いを嗅ぐのも大好き。しかし巨乳の熟女は嫌いで、近寄られただけで唾を吐く。男には興味がない。

腹黒く自己中心的な性格で、己の欲望に忠実。
気に入らない者や物事に対しては「ペッ」と唾を吐き捨て、噛みついたり、(相手が気絶するほど強く)飛び蹴りする凶暴な面もある。

種族名は《クーシー》で、魔界の生物だという。ププルの家にはもう一匹、巨大なムク犬のような《大クーシー》が棲みついている。
クーシー族は非常に珍しいらしく、ギガディス以上に長生きしているらしいエターニャすら、見たのは初めてだという。くぅちゃんを見て「クーシーだ」と正確に認識できた者はほぼおらず、魔物のタンコブリンは「白ネズミ」、ゼオは「ネズミウサギ」、パンナは「ウサギさん」、クリオラは「小動物」と呼んでいた。

エターニャの弁によれば、クーシー族の生態は解明されていない。クーシーについて書かれた古代の図鑑をププルが読もうとした途端、くぅちゃんが図鑑を食べてしまったことがあり、くぅちゃん自身が意図的に情報を隠滅しているフシがある。


元は魔王家のペット。
ギガディスの父(大魔王)が怪我をしたくぅちゃんを連れ帰ってきて、ギガディスが手当てをしてやったのが馴れ初め。
ギガディス曰く、父とくぅちゃんはとても仲良しだったのに、ある日、くぅちゃんが父を食べてしまった。吐き出させようとしたところ嫌がって逃げてしまったので、今でも追い続けているのだという。
このような経緯から、「くぅちゃん」はギガディスにとって溺愛するペットだが、ときおり父と同一視して「お父さん」とも呼んでしまう。

なお、くぅちゃんが魔王家に帰らない理由は、男より若い女が好きだからとのこと。


くぅちゃんに食われた大魔王を、当初ギガディスやププルはとうに消化されたと考えていたが、実はくぅちゃんの腹の中で生きており、ときおり自由意思で手足を突き出して外界に干渉、また引っ込む様子かサブシナリオで描かれている。
初回特典ドラマCDによれば、くぅちゃんの腹の中は南の島のような広大な異世界になっていた。大魔王は自分の意思でくぅちゃんの腹中世界に逃避・隠居したということなのだろうか?
大魔王のみならず、ゲーム序盤で飲み込んだ《魔導球》すらも、ゲーム終盤に無傷のまま吐き出していたので、くぅちゃんが食べたものは、実はすべて腹の中に保存されているのかもしれない。たとえば、エターニャから横取りした《伝説の魔導カレー》も。(鍋ごと丸呑みで食べたと思われるので、疑いは一層強い。)


・・・
当初は愛らしいマスコットキャラでしたが、製作途中で腹黒キャラに変更されたのだそうです。個人的には漫画版『わくわくぷよぷよダンジョン』の腹黒カーバンクルの影響であろうかと推測します。

画像引用:『わくわくぷよぷよダンジョン』(魔神ぐり子)


カーくんが正式には《カーバンクル》であるように、くぅちゃんも《クーシー》という種族なわけですが、シナリオ作成初期段階では、まだこの設定はなかったのかもしれません。というのも、クーシーとは犬の妖怪のことなのに、シナリオ上ではネズミだのウサギだのに例えて、犬とする場面が一つもないからです。
ただ、キャラクター原案画を見るに、犬をイメージしたらしきデザインは幾つか見受けられます。

実際のゲームではどうなのか判りませんが、キャラ原案画によれば、くぅちゃんはお腹のポケットのスプーンを使って、あらゆるもの(タンスでも)をすくい取って上品に一口で食べ、ビームは口から吐いているようです。
ちなみにカーバンクルは、舌を伸ばして物を絡め取って食べ、額の宝石からビームを出していました。
体が柔らかくて、掴んで引っ張るとよく伸びる、というのはくぅちゃんもカーくんも共通イメージのようです。(今ふと思いましたが、セガぷよのカーくんは体が伸びそうな感じはしないですね。カッチリした絵柄で、体の線が崩されて描かれることがないので。)


カーバンクルはアルルに最も懐いていました。ですから元の飼い主のサタンのもとには帰らなかった。
懐いた理由は、『魔導物語1-2-3』当初は「アルルの優しい心に惹かれた」となっていましたが(付属カードゲームの記述)、やがて「若い女の子が好きだから」という説が一般的に。真魔導設定では「アルルが、カーバンクルの本来の主であるリリスの力を継ぐ者だから守護している」とされました。兎にも角にも、《アルルがカーバンクルにとって特別な存在だから》という結論だったのです。

ところが、ププルとくぅちゃんの関係ではそこが崩れています。くぅちゃんが、ププルの親友のリーリカに《異常に》懐いているからです。
リーリカが若くて巨乳だからということらしいですが、彼女と会うと極端に興奮し、胸に飛びついて体をこすりつけ、彼女の手作り袋にさえ激しく執着し、ついには匂いを嗅ぐため鼻息を荒くし続けたり。そんな描写が本編・サブシナリオ双方で幾度も繰り返されました。
しかし、そうなると疑問に思えてくるわけです。
なんでくぅちゃんはププルに付いているのか? 一番好きなリーリカと一緒にいればいいじゃないですか。

屁理屈を考えるなら、くぅちゃんは元々《伝説の魔導カレー》を食べたいという思惑があって魔王家からレシピを持ち出し、ププルがそれを作るよう導いた。(スマイルカレーがピンチだという時、くぅちゃんがサッとレシピを差し出しています。)
即ち、くぅちゃんがププルにくっ付いたのは《魔導カレーを作ってくれる存在だから》であり、以降も離れないのは《冒険が好きでお人好しなププルは、珍味に出会う機会を作ってくれるから》…なのかもしれないですね。

プニィ

ディッシュタウンに住む、ププルより年下の少女。
世界には《カレー電波》なるものが飛び交っており、それを自身の《プニレーダー》で受信して、人の心を読み、未来を預言し、《大カレー神》なる神と交信できると語る。

その特異な言動ゆえに孤独だったが、全てを受け容れるププルと出会ったことで友と共にある喜びを知った。

実は、太古に信仰されていた《大カレー神》の巫女の末裔。

家族構成は不明だが『キャラ劇 珍しい花』にて「お母さん」がいることは明かされている。プニィが「ヘンな子」だから苦労をかけてきたので花を贈りたいのだという。ごく普通の家庭らしく読み取れる。


一人称は「プニィ」。二人称は(気に入らない相手に対して)「おまえ」。
語尾を「〜かも」と曖昧にした、フワフワした口調。
ただし、エターニャやギガディスなど嫌いな相手には、語尾に「〜かも」を付けない、よりぶっきらぼうでキツめの口調も披露する。

ププルの台詞表記が漢字をカタカナで開きがちなのに対し、ひらがなで開くことが多い。《様→さま》《お前→おまえ》など。

お気に入りの《ププル》と崇拝する《大カレー神さま》だけは正確に名前で呼ぶが、それ以外の者は肩書か独自のあだ名で呼ぶ。ニコリは《ニコさん》、くぅちゃんは《くぅ太郎》、エターニャは《占い師》、ギガディスは《ツノ魔王》、クリオラは《クリオネちゃん》、ゼオは《ヘンタイ》、勇者三人組は《自称勇者》、ゴルダールは《ごうつくおやじ》。

ご覧のように、使うあだ名の多くにはユニークながらも悪意が滲んでいる。そこからも窺い知れるように、プニィは毒舌家である。無表情気味にボソッと突っ込みを入れることも多い。
物事や人物に対する好悪がはっきりしており、嫌いなモノには歩み寄ろうともしない。周囲がとりなしても「ビーフカレーを食べたい人にシーフードカレーを勧めるのと同じ(だから絶対歩み寄らない)」などと独自理論を展開する頑固さである。
大カレー神至上主義者で、その神を認めぬ者へはむき出しの敵意を向ける。


・・・
プニィのコスチュームデザインはユニークです。
手足はたっぷりした袖やガッチリしたブーツに覆われていますが、肝心の胴体部分が、ほぼ《すっぽんぽん》。胸には申し訳程度に巻き付いたベルト。股間を覆う腰ミノ(?)は大きなリングをじゃらじゃらぶら下げたもので隙間だらけ。そして、明らかに下着を穿いていません。
ゼオなんか目じゃない本物の変態に狙われそうな、ヤバい姿です。
どうしてこんな? ファンタジーだから当たり前? いえいえ、同ゲームのププルやリーリカと比べても異質です。魔族のお姉さんキャラたるクリオラと比べてさえ過激なのです。

そんなこんなでプレイ前は、プニィを《遺跡の奥に潜む精霊》みたいな人外キャラなのかと思っていました。人間じゃないから特殊な格好なんだと。
ところがプレイしてみると、普通の町娘だというではありませんか。なのにあの服装。どうして?

ゲームを進めるうち、なんとなく思いました。
プニィのあれは、現実世界でいう《ゴスロリ》や《コスプレ》的なものなのかも、と。
彼女は電波言動で周囲から浮いていたそうです。でも、シナリオを見るにそれだけではないでしょう。なにしろ非常に我が強いです。その表れの一つが、この特異な露出狂ファッションではないかと。
プニィはこれを素敵だと思って楽しんでいて、浮いてしまおうとも頑固に貫いている。そういうことなのかなぁと。


プニィは《カレー電波》を受信し、それを物差しにして行動しています。
公式のプニィ紹介文によれば、カレー電波は「人が発する」ものだそうです。ここで言う「人」は人間種族のことではなく、「意思を持つ者」全般を指すと思われます。というのも、大カレー神に呼ばれたこともあり、魔族のギガディスやクリオラのカレー電波も感じていたからです。要は《思念》? テレパシー能力者ってことでしょうか。

プニィは、ププルが発する強いカレー電波に惹かれて現れました。彼女曰く、ププルは大カレー神に愛されているそうです。
どうして? ププルは大カレー神の存在すら知らなかったのに。彼女が《カレー好き》だから?
しかし余章での様子を見るに、ププルの《カレー好き》は普通人レベルで、カレーのため永遠を生きる道を選んだエターニャのような特級レベルには及びません。なのに一方的に大カレー神に愛される?

そもそも、ププルは魔導学園を卒業間近なわけで、この街に何年も住んでいたと考えられます。そしてプニィも、最近引っ越して来た的な話は出ていませんから、何年も住んでいたと考えられます。ププルがずっと強いカレー電波を発していたなら、今までプニィに嗅ぎつけられなかったのは不思議ではないでしょうか。

推測ではありますが、ププルが強いカレー電波を発するようになったのは、直前に拾った《魔導カレーのレシピ》のせいではないかと思いました。
これを入手したことでカレー神と大カレー神に注目されるようになり、それをプニィが察知したんじゃないかなと。
あるいは、このとき強いカレー電波を発していたのは、実は《魔導カレーのレシピ》自体だったのかも。はたまた、ププルに魔導カレーを作らせる気満々だったらしいくぅちゃんの方だったのかもしれません。

エターニャ

流しの占い師をしている少女。
見た目はププルより年下だが、精神的には老成している。そのくせ自意識は強く、《超絶美少女占い師》を自称してはばからないナルシスト。
《古代カレー語》が読めるなど、豊富な知識を持つ。

その正体は、太古に《魔導カレー》を作って食べた魔導師で、手に入れた究極の魔力で己を不老不死に変えている。
占い師という肩書は、旅暮らしを不審がらせぬための方便であって、実際は全く占いができない。

一人称は「わし」。二人称は「お前」。目下の男性(ゼオやギガディス)を「若造」「小僧」と呼ぶこともある。
台詞表記は、要所をカタカナ遣いするププルやひらがな遣いの多いプニィに対し、漢字を多く使う。《様》《お前》《変態》など。

《ププル》は最初から名前で呼ぶが、プニィのことは長らく《あの娘》と呼んでいた。仲良くなった余章では名前で呼んでいる。
くぅちゃんは《クーシー》または《小動物》。ニコリは《店主》または《ニコリ》。ゼオは《闇の変態魔導師》。略して《闇の変態》《変態》呼びのことも。あえて彼が嫌がる呼び方をして面白がっているように窺える。ギガディスは《魔王》《アホ魔王》。クリオラは《クリオラ》。勇者三人組は《トリオ・ザ・勇者ご一行》と呼んだことがあるが、これは一度限りかも。《大カレー神》は呼び捨て。


突き抜けたレベルの《カレー好き》。魔導カレーの副作用でカレー限定の味覚障害に陥ると、もう一度カレーを味わうまでは死ねぬと自らを不老不死に変えて、普通の人生を捨てたほど。


魔導カレーの副作用を呪いだと思い、大カレー神を憎んでいた。その電波を察知したプニィからは蛇蝎のごとく嫌われていたが、大カレー神への憎しみが薄れるにつれプニィとの仲も近付き、余章では孫と祖母のごとき仲良しに?(ただしプニィは相変わらずエターニャを名前では呼ばず、《占い師》呼びし続けている。)
エターニャの炸裂させる昭和風ギャグが、プニィには腹がよじれるほど面白いという。しかしナウなヤングのププルにはてんで理解できなかった。


・・・
本作のチート。若く愛らしい外見ながら最長老で、究極の魔力を持ち、主人公には全幅の信頼をされ、戦わずとも他の誰にも一目置かれております。


旧魔導ぷよシリーズの多くでキャラクターイラストを手掛けた壱女史がデザイン原案を務めたキャラ。
初期設定では《死霊使いネクロマンサー》だったのだそうで。当時の設定(シナリオ)は、現行版よりシリアスだったのかもしれません。ともあれ、それに因んでドクロが多用されたデザインなのだそう。


エターニャは《不老不死》キャラです。実年齢は明かされていませんが、普通人だった頃に住んでいたマダデルは遺跡になり、魔王ギガディスを「若造」呼ぱわりしてはばかりません。ギガディスは数百〜一千歳くらいだと思われますので、それ以上の年齢ということです。

見かけの年齢の方はどうでしょうか?
作中でププルが「ボクよりずっと年下」と言っており、ププルは15歳程度と推定されます。そのうえで、一人で旅の占い師をしていても怪しまれない年齢でなければならない。というと…ぎりぎりで13歳くらいでしょうか。
ところが、本編クリア後にマイルームのサウンドに追加される『おたのしみボイス』での寸劇を聴くに、彼女は(自分に告白してきた相手に向かって)「幼女に何を言うか。変態か、変態なのか?」と罵っていました。13歳は流石に幼女とは呼べません。…って、どう緩く見積もっても10歳以上なら幼女じゃないですよね。でも10歳以下の女の子が一人で旅の占い師なんかしてたら、流石に不自然じゃないですか?「お父さんやお母さんは?」とか「キミ、独りで占いをやってるの? 寝るところは?」とか、ププルが親切な性格であるというなら尚更、一度くらい訊きたくなりはしませんか。
まあ、オタク界隈では小学生(〜12歳)くらいの少女までを含めて幼女呼びする傾向があるようですし、シナリオさんがあまり深く考えずに書いただけかも。
あるいは聖魔導の世界観では、幼女が独りで働いていても不思議ではないってことなのかなぁ。


ドクロ飾りの黒衣という闇系の衣装、究極の魔力を求めた魔導師であったこと、不老不死であること、廃都(遺跡都市)と過去の関わりがあることなど、エターニャは旧作の《闇の魔導師シェゾ》をどこか想起させる要素を持っています。
「超絶美少女占い師」を自称するのも、『ぷよ通』時代のシェゾが解説本にしばしば「超絶美形ナルシストという病を患っている」と書かれていたことに因むように思われます。

だからなのか、シェゾの後継キャラであるゼオとの絡みが多いように感じました。ププルのいない場所で二人だけで対峙したことすらあり、自分とゼオの過去を重ねて共感を示し、誰よりもゼオの事情や内面を見抜いている(そのうえで宥めたりからかったりしている)風にも描かれています。

実は、エターニャとゼオは似た者同士?
もしかしたらエターニャもまた、シェゾの後継キャラの一人と言えるのかもしれません。


個人的には、声優さんの演技が、悪いとは言いませんがイマイチだと感じました。悠久の時を生きているのに、(その重みを出すべき場面で)声に凄味がない。今一つ平板に思えて。

ギガディス

若き魔王。
本来は魔界に住むが、家出したペットのくぅちゃんを追って訪れた人間界で、たまたま見かけたププルに一目惚れ。以来、押せ押せの求婚を繰り返している。

求婚のことごとくをププルに拒絶されているが、その場で落ち込もうとも直に都合よい解釈にすり替えて拒絶を忘れ、平然と求婚を繰り返す。
超ポジティブとも言えるが、後を付けて自宅を突きとめ押し掛けたり、ププルの恩師に勝手に結婚を宣言して結婚式のスピーチまで頼んだりと、ストーカーとしてかなり深刻である。

最終的にマゾヒズムに目覚め、ププルからの精神的・肉体的攻撃による性的興奮を求めて付きまとうようになった。
クリオラとの結婚話も具体的になってきたようだが、どうあってもププルへの付きまといをやめようとはしない。


一人称は「余」。二人称は「そなた」。
《ププル》《クリオラ》は名前呼び。くぅちゃんは《くぅちゃん》。父と同一視する時は《お父さん》。
その他は名前を使わず呼んでいる。プニィは《少女》、エターニャは《占い師》、ゼオは《変態》。サフラン先生には多少粉をかけており《マドモアゼル》と呼ぶ。父は《お父さん》と呼ぶが母は《母上》。
尊大な《で・ある・だ》口調。「〜である」「〜であるな」というような言い回しを多用する。


女子供や老人など、弱者には優しく親切。
幼いクリオラを巨大竜から救ったり、転んで捻挫したプニィを手当てして負ぶって家まで運んだり、サフラン先生の重い荷物を持ってあげたり、迷子の老人に道を教えたり。
誰に言われるでもなく率先して行っている。紳士である。

反面、女グセが悪く守備範囲も広く、隙があれば口説き始める。幼いクリオラを筆頭に、出会った女性の多くを口説き、戯れに結婚の約束をし続けたため、婚約者が無数にいる状態になっていた。
ただし今は、クリオラの活躍によって婚約者は彼女一人に落ち着いている。
ププルへの想いを「運命の恋」だとぶちあげてはいるが、一方でサフラン先生にも調子のいい態度をとっていたり、多情ぶりは治まってはいない。


両親とは非常に仲が良く、愛に満ちた家族であるらしい。
「お父さん」は偉大な大魔王で、パイプを愛用していた。ギガディスは幼い頃から彼を尊敬し、父のように立派に魔界を治めようと決意している。
しかしこの父は、先日、ギガディスの目の前でくぅちゃんに食べられてしまった。吐き出させようとしたが逃げられた。
ペットに食われたなど家の恥であり、魔界貴族たちに知られれば魔界の勢力図が変わりかねない。なので、このことは世間に伏せている。(魔界貴族の娘であるクリオラにも隠している。)

「母上」は不器用だが優しい人で、ギガディスのために色々手作りしようとしては、よく小さな怪我をしていた。幼い頃からその手当てをしていたので、ギガディスは包帯を巻いたりするのが上手い。くぅちゃんを父が拾ってきた時も、怪我をしていたので彼が手当てしたのだという。
母は、父がくぅちゃんに食べられてしまって以来、元気がない。ギガディスは母を元気づけるために、彼女が好きな香木(珍香木)をプレゼントした。

また、かつてギガディスは手料理を両親に振舞ったことがあるそうで、そのとき「美味しい」と褒めてもらったことが、自分は料理上手だという自信になっている。ププルに言わせれば「そりゃ、お父さんとお母さんは一回はおいしいって言ってくれるよ!」とのことだが、そんなことは想像すらしない。

要は、両親の言葉を価値観の基準とする、素直な「お父さんっ子」「お母さんっ子」なのだ。
微笑ましいし、美点とも言える。

ただし、ギガディスが複数の女性と婚約していたことを父は否定せず「罪作りな男め♪」と言っていたそうで。ププルへの強引でしつこい求婚も、両親に「押してダメなら、もっと押せ」と教えられていたからなのだ。マイナス方面においても両親の影響は多大なのである。


『キャラ劇 魔王っぽい角』によると頭の角は生え変わらない。『キャラ劇 片方だけの靴』によると、彼の足は臭く、特に脱ぎたての靴は殺人級。


・・・
カッコよくて優しいけれど、ダメ男。ギガディスの評価はこれに尽きます。

『キャラ劇 鈍器なラケット』にて、クリオラが「ギガディス様は悪くないのよ。ただお優しすぎるだけ そのお優しさゆえなのでしょうね。あちこちに婚約者を作ってしまうのは……」と言っていましたが、欲目というわけでなく事実なのでしょう。彼は優しいし愛情深い。…でも、気が多すぎるし無責任です。両親のように手を取り合って円満な家庭を築きたいなんて言いつつ、節操無く粉を掛けまくり、手当たり次第に婚約者を増やして、その後どうするかも考えていた様子はありません。

また、己の失敗を隠そうと嘘をついたこともありました。『キャラ劇 ゴボウの剣』で、子供のころ遊びで家宝を紛失したことを誤魔化そうと、通りすがりの魔物に罪をなすりつけたのです。人語を喋れない魔物を選んで反論できないよう目論んだあたりが狡猾。

更に、『キャラ劇 マユツバ掛け軸』では、恋愛成就のマジックアイテムだというエターニャの適当な嘘にコロッと騙されて、霊感アイテムを沢山買わされていました。

息をするように浮気をする。自己保身の嘘をつく。簡単に霊感商法に騙される。
そのうえ、ファザコンのマザコンで、足は臭く、TPOをわきまえない真性のマゾヒストで、重度のストーカーなのです。
優しいひとなんですけどね。


原型キャラのサタンは、背の翼を広げて空を飛び、強大な魔力を振るって、変身したり建築物を作ったり、神のごとく君臨していましたが、ギガディスは大したことはできないようです。
空は飛べない。瞬間移動もできない。バタバタ走って現れます。戦闘時には攻撃魔法を使っていますが、日常の怪我の手当ては包帯で、治癒魔法の類は使えないようです。
こうも《魔王らしさ》が削ぎ落とされていると、「魔導学園の理事長のドラ息子」みたいな設定でも足りたんじゃないかと思えてきます。


年齢は不詳。
ですが「若き魔王」とされており、『キャラ劇 ゴボウの剣』にて、秘宝・ゴボウの剣を、数百年前の幼き日にチャンバラに使って紛失したと語っておりましたので、数百歳か、せいぜい一千歳そこそこなのだと思われます。

未だ正式には父の後を継いでいないようですので、父がくぅちゃんに食べられて問答無用で隠居状態になったこれからが、彼の正念場なのでしょう。
いやマジな話、人間の女の子を追い回してる場合じゃないと思うよ。魔界貴族の娘であるクリオラと結婚して、新魔王としての地盤を安定させるのが先決じゃないのかなぁ。

ププルに電撃的な恋をして過度のストーカー行為を行うようになったのは、あるいは、突如降りかかった重圧からの現実逃避…と考えることもできるのかもしれません。


最後に一つ。声優さんの演技が素晴らしく上手だと思いました。
緩急自在でのびのびとしていて、カッコよさもズッコケぶりもしっかりしていて、文句なかったですね。

クリオラ

美人で巨乳な、魔界の名家のお嬢さま。強力な魔法を使いこなす魔女。

自信家であるが、相応の努力をしている。
全ては初恋の人にして婚約者、魔王ギガディスに相応しくありたいがゆえなのだ。


幼いころコモドン竜(巨大な竜)に襲われた彼女をギガディスが救い、「将来美しく成長したあかつきには、余の妃となるように」と告げた。
ギガディスにしてみれば「将来有望そうだと思って声をかけておいただけ」だったが、クリオラはこの約束を信じ、己を磨き続けた。

かくて、晴れてギガディスの好みどおりの「素晴らしい女性」に成長したが、節操なしの彼には同じように軽い気持ちで婚約を交わした無数の婚約者がいた。そこでクリオラは、婚約者たち一人一人と話をつけ時には戦いすらして、婚約を取り下げさせ、ついにただ一人の婚約者の座を勝ち取ったのである。

この件で彼女は「ブラッディー・クリオラ」と呼ばれ、魔界で一目置かれることとなった。
彼女にとっては誉れのようだが、ギガディスが「まさかあんな可憐な娘が あのような事をするようになるとは……」と怯える原因にもなっている。


今はププルを恋のライバル認定中。
ギガディスが彼女に求愛するのは勿論許せないが、ププルがギガディスを尊重しないのも面白くない複雑な乙女ゴコロである。クリオラにとって、ギガディスは至高の男性だからだ。
ププルは、今まで退けてきたライバルたちの中で最も戦闘力が高く、張り合いがあるそうで、その意味では気に入っているらしい。


一人称は《わたくし》。二人称は《あなた》のお嬢様口調。高笑いを好む。
当初はププルを《ちんちくりん》や《発展途上》としか呼ばなかったが、五章からは認めたのか《ププル》と名前で呼ぶようになった。
ギガディスは《ギガディス様》、くぅちゃんは《小動物》もしくは《くぅちゃん》、ゼオは《変態》、両親は《お父様》《お母様》と呼ぶ。


ギガディス絡みでは偏狭で不公正になる。
たとえば、ゼオがププルに「俺はお前が欲しいんだっ!(魔導カレーの情報が欲しい的な意味で)」と言った時、「いやっ、なんなのあなた! ちんちくりんで発展途上とはいえ、女の子に鼻息荒く迫るなんてっ……!」「ハッ、もしやそちらの趣味が……!?」「いや、変態……」とロリコン趣味の変態扱いしたくせに、ププルに求婚し続けるギガディスにはカケラもそのような評価は下さないのだ。
また、天空聖殿へ行く空飛ぶ雲が定員オーバーした際は、ギガディスが留守番役に回されるのを回避するため、超理論口撃で平和的に(?)勇者三人組を撃退してのけた。恐らく、ブラッディー・クリオラとして戦ううちに身に付けたスキルなのだろう。
全てはギガディスのために。恋は盲目・えこ贔屓なのである。

困ったお姉さんだが、それ以外の時には、変態から女の子を護るなど、凛々しくて頼りになる面もある。
プニィ曰く「めろめろ電波出してない時はかっこいい、かも?」。


ゼオのことは本物の変態だと思い込んでおり、心底軽蔑している。
それでも余章では、彼がクリオラとギガディスをカカア天下の夫婦だと言っていたと聞いて、「不本意にも顔見知りになってしまったのもなにかの縁。呼んであげなくもないわよ?」と、結婚式に招こうとするくらいには態度が軟化した。



料理は大の苦手で、食材もろくに知らない。
というのも、10歳の時に作ったハンバーグで父親が泡を吹き、以降、なんだかんだと理由を付けて、彼女を台所から遠ざけていたためである。
今ではクリオラ自身も、己が並外れた料理ベタだと気付いている。それでもギガディスのために美味しい料理が作れるようになりたいと、地道に修練を重ねる日々である。


・・・
公式のクリオラのキャラ紹介にこんな文章があります。

面食いのため魔王に惚れている。
魔王以外のイケメンには見向きもしないので、ある意味一途で純情。

どうしてこんなことを書くのでしょう? これじゃまるで、クリオラがギガディスの顔しか好きじゃないみたい。クリオラの愛情の価値を貶めているようです。

そりゃ、顔も人を構成する要素ですから、そこから好きになっても悪いことじゃない。でも、わざわざ「面食いのため」惚れたと書くと、他は見ていないみたいに感じられて、いいイメージを抱かれ難くなるじゃないですか。

実際のシナリオでは、クリオラがギガディスの顔が好きだとか、顔に惚れたと言う場面はありません。ギガディスが情けない面を見せても、変態趣味に目覚めてすらも、悩みはしても見捨てませんでしたし、ギガディス様はお優しい方よと、本質を見た発言もしています。
面食いだから惚れたとは本編から読み取れませんし、初恋の人を想い続け、努力し続けている様子は、「一応」一途なんてものではなく、本当に一途にしか見えないです。
この紹介文を書いた方は、クリオラ(ルルー?)に何か思うところでもあったのでしょうか?


個人的な見解ですが、クリオラは、サタン×ルルー派にとっての《理想化されたルルー》なのだと思います。

ルルーは元は、召喚魔法を使う魔導師でした。ところが、『魔導物語A・R・S』で格闘家という設定に変更。すると商業二次小説(角川文庫版『魔導物語』)が、「ルルーは魔力がなくて魔法が使えない」と独自解釈し、そのうえ「サタンは魔力の強い花嫁を欲しているので、魔力のないルルーは不利」という独自設定を加えました。

とは言え、この小説はサタン×ルルーを否定していたわけでもなく、不利な条件を提示したうえでサタンは思わせぶりにルルーを試し、彼女もリアルに決意を新たにするという、タフで前向きな描き方でした。

ところが、この設定を取り入れた商業二次漫画『とっても! ぷよぷよ』では、ルルーを「魔力がないから」叶うはずのない恋を、それでも諦めず追う、健気ながら可哀想な女の子として描きました。(可哀想なのでサタンが少し同情してやり、それを見てアルルが嫉妬するという、あて馬扱い。)というのも、作者がサタン×アルル派だったからです。

そして。
それら商業二次要素をも取り入れた真魔導設定では、実はルルーには隠された強大な魔力があるから問題ないとし、ついでに、サタンがアルルに惹かれるのは過去の恋人の面影のせいなので、ルルーにも充分見込みがあるとの新設定を語りました。この作者は、ルルー贔屓のサタン×ルルー贔屓派だったのです。

まあそんな感じで、サタン×ルルーの解釈やさじ加減も担当作家によって様々だったわけですが。
角川文庫版小説が提示していた、ルルーがサタンの花嫁になるうえでの障害を、クリオラの設定では全て取り除いてあるんですよね。

ひとつ。種族や住む世界の違い。
ルルーは人間でしたがクリオラは魔族。家柄も釣り合っています。問題なし。

ふたつ。魔力の有無。
クリオラは魔女で、魔法を使いこなしています。問題なし。

ついでにもう一つ。
ルルーは「一方的にサタンを追っているだけ」で、タイトルによってはお邪魔虫やストーカー的に描かれることすらありました。しかしクリオラは、かつて「ギガディスから求婚され、正式に婚約している間柄」。正当性があります。

どうですか。何一つ問題がありません!
シナリオ上でも、ギガディスとクリオラの結婚は、ほぼ確定的なものとして語られています。

というわけで。
クリオラは、サタン×ルルー派が夢に抱いた(ような)、サタンと結ばれるにあたって何の障害もないルルー、なのだと思うのです。


その他、ルルーとクリオラの違いと言えば、《格闘女王》設定の有無です。
前述したように、ルルーは途中から格闘家キャラに変更され、ついには《並外れた怪力を持ち、万事を腕力で解決しようとする脳筋女》という方向に進化しました。
しかし、クリオラにはそうした面はありません。
真魔導時代のルルーは、格闘特化し過ぎて、ちょっと暴力的過ぎなレベルに達しておりましたので、これも《理想化》の一つと言えるんじゃないでしょうか。
尤も、片鱗は残されています。ブラッディー・クリオラと呼ばれて恐れられたというくだりです。


ルルーは、アルルがどんどん幼女的イメージに進化させられていったのと対照化され、年増女的イメージを昂進されがちでした。
では、クリオラはどうなんでしょう?
魔族ですから、何十年、何百年と生きている、本当の年増女の可能性があります。けれど、そうは感じられません。見た目通りに若いんじゃないかなと思えます。
一つは、幼いころの恋を鮮やかに維持し続けている様子が、いかにも若く(幼く)感じられる。
そしてもう一つは、声優さんの声の力。少女らしい若々しさが、たぶん演技でなく自然に声の中に含まれているんですよね。(好きです。)

クリオラは幼いころにギガディスと結婚の約束をし、一途に己を磨いてきたそうです。彼女の性格からして、そう悠長に構えていられるとは思えません。結婚できる年になるやギガディスのもとへ走ったろうし、そうなれば無為に長く待ち続けることを好まず、早く決着をつけたがるだろうと思うのです。だから結婚できる年齢になってそう何年も過ぎてはおらず、即ち、見た目通りの若さなのでは?
ルルーはアルルの二つ上の18歳でした。だからクリオラも17、8歳? 悪くとも外見年齢はそうじゃないかなと。


ゲーム発売前、キャラの名前だけが発表された当時に、クリオラについて、「名前がクリオネに似ている、(クリオネのように)頭が割れて捕食しそうで怖い」とブログに感想(?)を書いたことがあります。
(クリオネは海中を漂う小さな生物で、天使のような愛らしい外見をしていますが、実は脳天に見える部分に口があり、餌を食べるときはそこがガバッと縦に裂け開くんで、見た目がショッキングなんですよね。)

ゲームをプレイしてみたら、プニィがクリオラにつけたあだ名が「クリオネちゃん」だったので、ちょっと笑いました。スタッフの方々も、クリオラって名前はクリオネに似てるなと思ってたんですね(笑)。

まあ、そんなわけでプニィの「クリオネちゃん」呼びには、微量の悪意が滲んでいるようなイメージが個人的にはあるのでした。



余談。
クリオラを見ていると、ギリシア神話の女王神ヘラを思い出します。
主神ゼウスの正妻で、浮気性の夫があちこちに作る現地妻(愛人)を罰して回るという。

彼女は家庭と正妻の守護者です。地母神としての面も持ち、大地が春に花咲くように、毎年春になると泉で禊ぎをして少女の姿を取り戻す…という伝承もあります。すると、この時ばかりはゼウスもいそいそと妻の元へ戻って、甘い蜜月を過ごすのだそうです。
ちなみに、ヘラは系譜上ゼウスの姉ですが、実はゼウスに救われてこの世に生まれ直したので、その意味では妹。幼な妻なんですよね。

強大な力を持つのに無数に妻を作って回る浮気性の夫と、嫉妬深いけれど世の正妻たちを護る女王気質の幼な妻。
ね。ギガディスとクリオラに似てませんか。

もう一つ、クリオラにヘラのイメージが重なっちゃうのは、とてもマイナーな話で恐縮なんですけど、クリオラのヘッドパーツ(帽子? 髪飾り?)の形が、ギリシア神話を元にした漫画『オリンポスのポロン』(著:吾妻ひでお)に出てくるヘラの帽子とちょっと似てるから(笑)。(その漫画では、ヘラはヒステリックなおばさんでしたけどね。)

ゼオ・ウィグルゥ

闇の魔導師を名乗るお兄さん。
初対面時にププルが「かっこいいなー」と見とれた程度に整った容姿を持つが、言動がキテレツなせいで周囲からは滅多にそう扱われない。いわゆる、残念系のイケメン。

悪ぶった口をきき無頼漢を気取っている。しかし、危機に陥った者(特に女子供)を放っておけない、約束は守る、見返りを求めないなど善良で真っ当な面もあり、交渉に搦め手を使えない世渡り下手でもあって、偽悪者的に感じられる。

一方、究極の魔力が絡むとたちまち視野が狭くなり、過度に凝視したり詰め寄ってまくしたてたりと、過激な行動をしがちである。
しばしば言葉が足りず、いかがわしげに聞こえがちな言い回しを意図せず使う。
口癖は「お前がほしい」。
以上から、変態だと誤解されることが多い。

ププル曰く「言葉とか態度とかエラそーでヘンだけど、悪い人じゃないみたい」「言ってることはおかしいけど、結構いい人」。

クリオラには心底変態だと思われている。
ププルは誤解だと気付いているが、周囲に弁解してやることはせず、むしろ《ヘンタイさん》と呼ぶことで悪評をばらまいている。


芝居がかった古風で大仰な言い回しも好む。曰く、「俺は闇の魔導師として、それに相応しい立ち居振る舞いを常に心がけている」。
この傾向は、以前はもっと激しかったようで、『キャラ劇 闇の電話帳』によれば、かつて電話帳の登録名を「煉獄の焔を纏いし闇の魔導師ゼオ・ウィグルゥ」にしていた。
今は恥じて、黒歴史だと思っている。でも未だに「究極の魔力を追いし流離いの者、闇の魔導師ゼオ・ウィグルゥ」と名乗ることはやめない。数年後にはこれも黒歴史になるのかもしれない。

ププル曰く「そうやってわざわざ演技過剰にするから抜けちゃいけない言葉が抜けるんでしょ そーゆーのが誤解される原因だっていい加減気付きなよ……」。


究極の魔力を求めてさすらいの旅を続けている。
どれほどの期間そうしているのか、何歳なのかは語られていない。
ただ、昔の電話帳に個人名を登録していたくらいなのだから、社会に出て自立して最低でも数年は経ているということか。

くぅちゃんとププルに、放浪生活を「アウトローを気取ってブラブラしているだけ」と貶されると、「(究極の魔力)を探し求めた俺の今までを侮辱するなど……!」とキレていたので、相応に苦労と努力をしてきたのだろう。


元からさすらいの闇の魔導師だったのではなく、学校に通い修学旅行に行くような普通の少年だった。
『キャラ劇 修学旅行の木刀』によれば、かつて慢心から取り返しのつかない罪を犯し、それを償うため究極の魔力を求めている。
たとえ自身が呪われるような代償があろうと構わない、何をしてでも贖罪を為さねばならぬと考えているようだ。

『キャラ劇 オールオッケー草』によれば、治療(解呪?)が必要な妹がいる。


他人の魔力を奪うことができるらしい。エターニャや大カレー神の魔力を奪う(と、解釈できる)宣言をしたことがある。
シェゾの設定をそのまま流用しているのなら、魔力吸収の能力があるということか? しかし大カレー神に対して「倒す」「魔力を手に」すると語っていたので、単に、勝負に勝ったら魔力を譲ってもらうという意味かもしれない。


一人称は《俺》。たまに《俺様》。二人称は《お前》。
ププルを《小娘》、くぅちゃんを《ネズミウサギ》《ネズミ》《小動物》、エターニャを《占い師》、ギガディスを《魔王》、クリオラを《魔女》、勇者三人組を《馬鹿三人》と呼ぶ。基本的に肩書呼びだが、クリオラを一度名前呼びしたこともある。彼女には「名前が穢れる」と痛烈に拒絶された。


優れた魔導師で、高い戦闘能力や鋭い魔力感知能力を誇り、洞察力も高いが、絶望的に運や間が悪く、実力を出し切る機会にあまり恵まれない。実は既に呪われてるんじゃないだろうか?

ププル曰く「ホントはもっとすごい人なんだろうけど……」「なんかかわいそうだなぁ……」「…………ま、いっか」。

塔を歩けば床が抜け、柱に寄りかかれば倒れてきて押しつぶされ、天井からは金ダライが降って頭に激突、街にいれば魔物やププルが体当たり、エターニャにはタカられたり杖で殴られたり。ついでにププルには理不尽に悪い噂をばらまかれる。
落ち癖が付いてしまったのか、タライや体当たり程度でも簡単に気絶する。

ププル曰く「一撃でやられちゃうなんて ちょっと情けないかも あんなに自慢してたのに、トレーニングの成果は出てなかったみたいだね」。


気配を消して人の後を付けたり、陰に潜んだりするのも得意。
高い能力の賜物だが、本人は何故か浮かぬ顔である。あまりうまく行き過ぎると、自分の影が薄いせいではないかと不安になるらしい。何かトラウマでもあるのか?

ププルはゼオを「にぎやか」だと思っているが、本人には「キミ、影が薄いから」と言い放つ。そう言われると彼がショックを受けることを知っているからである。理由は不明だが、ゼオに対して、ププルは何かと突っかからずにいられないようだ。


総じて、色々と幸薄い人。
リーリカの見立てでは、将来髪の方も薄くなる…かもしれない?


・・・
《理想化されたシェゾ・ウィグィィ》です。

●魔力に執着する理由
シェゾ
世界最強になりたいから(利己的)
ゼオ
罪を償う(妹を救う?)ため(利他的・贖罪)

●努力嫌い?
シェゾ
努力は嫌い。だから人の魔力を吸い取って強くなろうとしている
ゼオ
努力家で、夜に一人で鍛錬している。曰く
健全な魔力は健全な肉体に宿ると言うからな
 一流の魔導師たる者、
 日々の鍛錬は欠かせない


●主人公を助けたとき
シェゾ
お前の魔力がほしいからだと言ったり、何故だろうなと自嘲したり、誤魔化した言い方しかしない
ゼオ
究極の魔力のためだと言いつつも「目の前で死なれるのも目覚め(原文ママ)が悪いからな」とはっきり言い、魔力アイテムも受け取らない

どうです。シェゾの悪かった点やはっきりしなかった点が美しく整えられています。


他方、シェゾがごくシリアスに《闇の魔導師》をやっていたのに対し、ゼオは幾分、茶化した描かれ方になっています。闇の魔導師を名乗り、ケレンみある台詞回しをしたりすることを《中二病》と定義づけ、半ば嘲笑の対象にしているんです。

思えばセガぷよでも、ここ最近になってクルーク(『ぷよフィ』におけるシェゾの後継キャラの一人)を中二病と定めていじるようになりましたっけ。
これが2010年代の空気?
個人的には、あまり嬉しくなかったです。

中二病っていうのは、自分が特別な存在だと錯覚して世間を見下したり否定したりしたがることでしょう。まあ、漫画ゲームではもう少し広義に「ファンタジーと現実の区別ができない人」「漫画アニメ系超常能力者的なキャラを演じる人」のことも指してるみたいですけども。

で。
クルークを中二病扱いするのは判ります。まだ何者にもなっていない、大口ばかり叩いている子供ですもの。

でも、ゼオを中二病と呼ぶのは、なんか違う感じがしたのです。
だって彼は本物の《闇の魔導師》なんですよ。そして本当に高い実力がある。妄想でも錯覚でもないんです。
それで、ゼオが自分に陶酔気味な形容付けてたからって、笑うのはありでも、《中二病》って言うかなぁ?


ただ、気になることがあります。

オリジナルの『魔導物語』の世界では、数百年前に都を滅ぼした闇の魔導師ルーンロードというのがいて、闇の魔導師は教科書に載るくらい知られ、脅威とみなされていました。そしてシェゾが闇の魔導師だと名乗った時、知らないと言われたり馬鹿にされたりしたことってありません。
セガぷよでは、異世界(プリンプタウン)に飛ばされてさえ、闇の魔導師という肩書だけで警戒され、攻撃対象にされたくらいです。

ところが。ゼオが闇の魔導師だと名乗っても、ププルは(知らないんだけど……。自称○○って流行ってるのかな……)と軽んじた感想を抱き、魔物(魔導般若)は「元より知らん!」と言うんですよね。

聖魔導の世界では、闇の魔導師って知名度が低い?
それどころか、ゼオが勝手に名乗ってるだけって可能性も…ある、のかしらん。
うーん?
闇の魔導師の権威も地に落ちたものですね。


さて。
まったく個人的な好みの話で恐縮ですが、キャラデザインが好みじゃなかったです。
原型キャラのシェゾのファンでしたから、新生させるならより素敵にしてほしかったけれど、ビジュアル系な髪形やピアスも、道化っぽいだんだらシャツも、それらとアーミーっぽいボトムの組み合わせも。全体の色味も、なんか、こー…。好みじゃない。

いや。
設定資料集に載ってたゼオのデザイン案見るに、挙げられてた中では、現行デザインが一番だと思いはしましたけどね。

そして更に申し訳ないながら、ゲーム中での立ち絵の表情パターンに、一種も、可愛いとかカッコイイとか、心のお気に入りにマークしたくなるパターンがなかったです。
むしろ、どれも好きじゃなかった…。(ごめんなさい。)
ゼオ、汗タラ驚きギャグ顔特に厭だったのは、《汗タラ驚き》のギャグ顔。目はまだシリアス的なままなのに口は強くデフォルメされた猫口。
ううう〜ーん……。き、気持ち悪いよ……。
こういう猫口にするなら、目の方ももっとギャグ調にデフォルメして、可愛くまとめてほしかったなぁ。

絵を担当しているのは当代の人気イラストレイターさんなのですから、いいと思えない私の感覚の方が、古くておかしいんでしょう。


シェゾの後継キャラは、クルークやレムレスなど色々いますが、個人的に一番好感が持てたのは、WEB漫画版『魔導物語』のアルバかなぁ。
シェゾから、銀髪、黒衣、さすらい、喋る剣、魔法剣士といった要素を受け継いでて、性格も朴訥で可愛かったです。
この子は、シェゾから完全にアクを抜いた感じでしたね。時々邂逅して主人公たちを助けてくれる(または、主人公たちに巻き込まれる)お助けキャラで、敵じゃなかったですし。


話戻して、ゼオのこと。
実は、声もあまり好きではなかったのでした…。(あぁああ。)

まったく駄目ってわけじゃない。声質は普通に素敵な青年声で文句ありません。
でも、演技(声優さんのキャラ解釈)の感じが軽くて。基本フワフワしてるし、怒って力強く怒鳴るとか声を押し殺して脅すとか激しくうろたえるとかの場面でも、その感情が浅く聞こえて物足りない。
ゼオはシナリオ文章上では、『わくぷよ』のシェゾに近い感じがあって好みに近いんです。でも声優さんの演技がどうも弱い。演技にキャライメージが引きずられる〜。
全てのイベントに声が付いたフルボイスなのが、今回の自分にとっては裏目に出た感じです。

で。
どうにもゼオの声に違和感がある、なんでだろうと考えて。
逆に、自分がセガぷよのシェゾの声優さんの声と演技を、かなり気に入っていたんだということに、初めて気付いたりしたのでした。
何故なら、セガぷよの方もイベントフルボイスですけど、こんな風に違和感を感じて、しまいに苛々してくるなんてことが、今まで一度もなかったからです。

ずっと、良くも悪くもなくフツーだと思って気にしたこともなかったけれど、実はセガぷよシェゾのキャラ付けや演技(声優さんのキャラ解釈)は、自分が期待していたものと合致していたんだなーと。

ナーン

ズッコケ勇者三人組の一人。リーダー。
大剣を背負った小柄な銀髪の少年。
仲間のパンナ、ウードンとお揃いのマフラーを巻いている。
体力は非常にあるようで、パンナやウードンがへばっている時でも一人でケロッとしている。

注意力散漫で人の話を聞かず、しばしば自滅を招く愚か者。思い込みも激しい。

しかし正義感は強く、どんな時でも腐らない心の強さがある。(反面で、懲りない、学習しないという短所にもなりうるが。)
明るくまっすぐな気性で、事物を肯定し、面倒見もよい。
そのため仲間たちからは大いに慕われている。


クリオラに、友情とも恋心ともつかぬ、浮ついた気持ちを抱いている。
しかし彼女には相手にされていない。特に好かれていないのはおろか、うざがられてすらいないのだ。


一人称は《オレ》。二人称は《お前》。
「〜だからな」「〜だぜ!」といった断言的な男の子口調。

パンナとウードンは名前を呼び捨て。ゴルダールを《オーナー》呼び。
ププルのことは《お前》と呼ぶ場面しかないが、恐らく必要ならば名前を呼び捨てるのだろう。クリオラは基本《ねえちゃん》呼びで、恋心(?)を抱いてからは時々勇気を出して《クリオラ》と呼んでいる。(彼女にはどちらで呼ぼうと何とも思われていない。)ギガディスは《魔王》。両親のことは《トーチャン(父ちゃん)》《カーチャン(母ちゃん)》と呼ぶっぽい?

ププルには《勇者さん》と呼ばれることが多い。稀に《ナーン》。プニィは三人まとめて《自称勇者》。パンナは《リーダー》または《ナーン》、ウードンは《リーダー》と呼ぶ。


父の名はチャパティー。
ちなみに、ナーン(ナン)もチャパティーも、インドのパンの名前。
言わずもがなだが、インド料理店でしばしばカレーにナンが添えられることに因んだ、カレー繋がりのネーミングかと思われる。


・・・
正義感は強いが、思い込みが激しく、実力が伴わない少年勇者。…という点で、『ぷよSUN』の勇者ラグナスを想起させるキャラクターです。
しかし、それ以外は異なります。
ラグナスは孤独な勇者でしたが、ナーンは常に仲間と共にいますし、子供に変身することもありません。(変身するまでもなく、元々小柄です。)(『SUN』系の)ラグナスには独善的で身勝手な面もありましたが、ナーンは愚かなまでに純粋で直情径行です。


勇者を名乗っているものの、根拠や賞歴は不明です。
背負った大剣をどう使うのかも判りません。ププル(プレイヤー)と戦うことがなかったからです。
とは言え、五章のシナリオ上ではクリオラを二度に渡って足止めしており、戦いを通じて互いに認め合った(?)そうなので、一定以上の戦闘スキルはあると判断できそうです。

尤も、余章ではそのクリオラに「自称勇者のただの冒険者」「ちょっと強い一般人」と言われ、言葉に詰まって反論できませんでした。

思えばププルの妨害をした時は、騙したり催涙弾や罠を用意したりと搦め手ばかり。クリオラの時も、一度目は煙幕で逃走、二度目はクリオラを留めておけず一緒に走るというお粗末さでしたっけ。正攻法の戦いは不得手? 小道具や仕掛けを多用する戦闘法は、勇者というより盗賊や忍者みたいですね。


仲間のパンナやウードンとは小学校以来の縁だそうです。
本編での様子を見るに、ナーンは二人の足手まといにしかなっていないように見えます。なのにウードンはほぼ全幅の信頼を寄せ、パンナも呆れはしても離れようとしません。
小学生時代に何かよほど、強い絆を結ぶ出来事があったということでしょう。『キャラ劇 くさりかけメロン』にてサラッと、ウードンが「(自分とパンナは)リーダーがいないとダメってのは当ってる(原文ママ)けどねー」とまで言っていました。二人の精神的支柱なんでしょうね。そういう意味では、ナーンはまぎれもなく《勇者》なのだと思います。ウードンとパンナの勇者。けれど、《勇者ナーンとその仲間》ではなく《勇者三人組》という形で活動しているところが、この三人の力関係の(もしくは、ナーンの性格の?)面白さではあります。勇者ご一行というより、戦隊ヒーローみたいな感じなのかな?


『キャラ劇 まほうの鏡』にて、ププルこそが「真に心が美しい者=究極の単純バカ」だと語られていました。しかし何度も書いてきたように、私はププルがそうだとは思えません。
その形容に最もそぐっているのはナーンだと思うんですが、どうでしょうか。


『キャラ劇 くさりかけメロン』によると、二週間前に賞味期限が切れた牛乳を飲んでも平気なほどお腹が頑丈だそうです。
でも、過信は禁物だよー。「けんこうがいちばん!」(by アイキ版『魔導物語』のサタン様)


ところで、ナーンは何歳くらいなのでしょう。小柄で童顔なので、かなり幼くも見えなくもないですが…。
パンナやウードンとは小学生のころから一緒だそうで、対等に話していますから、同い年の可能性が高そうです。そして、既に三人で勇者業(冒険者として用心棒などのバイト)で自活しています。
15歳と推測されるププルは、ナーンたちとは対等に話しており、プニィやエターニャに対するような、年下と見る発言をしていません。
他方、ナーンはクリオラを「ねえちゃん」と呼びます。これは若い女性一般に対する呼びかけで、必ずしも年齢の上下を示しませんが(年配の男性が自分より若い女性に「おねえちゃん」と呼びかけることもありうる)、ここではクリオラを少し目上の女性とみなすニュアンスがあるように感じられます。クリオラは魔族で実年齢も不明。しかしながら原型キャラのルルーが18歳でしたから、やはりそのくらいの外見年齢でしょう。

以上のことや、ナーンの原型キャラと思われるラグナスがアルルより一つ上の17歳だったことを踏まえると、ナーンたちもそのくらい…中等学校出たての駆け出し冒険者で、15〜17歳くらいではないかと予想します。中を取って16歳かな?

パンナ

ズッコケ勇者三人組の一人。
パーティの頭脳担当を自称する、おでこの広い眼鏡少女。専用のホルダーに複数の本を装備して持ち歩いている。いざとなるとそれで魔物の弱点など調べるというイメージか?(作中で本を使ったことがないため不明。)
仲間のナーン、ウードンとお揃いのマフラーを巻いている。

冷静で素直ではあるが、人を気遣うつもりで悪意なくひどい言葉を投げかけるなど、どうにも気が利かない。博識であるせいか、人を小馬鹿にするような言動も多い。反面、頭でっかちで世情に疎く、いわば《お人好し》で騙されやすい面もあり、そういう意味では《お馬鹿》である。


ナーン、ウードンとは小学生のころから一緒。
ナーンの馬鹿ぶりに呆れつつも、まっすぐな性格に好意を抱いており(今のところ恋愛感情ではない模様)、リーダーとして戴くことに不満はない。


一人称は《アタシ》、二人称は《アナタ》。
「何するですか」「〜と言われたです」「〜してやがらねーですね?」というような、少し舌足らずのですます口調。

ナーンを《リーダー》もしくは《ナーン》、ウードンを《ウードン》、ゴルダールを《オーナー》、ギガディスを《魔王さん》と呼ぶ。エターニャを《悪徳占い師さん》と呼んだことがあるが、半ば冗談だったようなので、普通なら《占い師さん》呼びだろうか。


『キャラ劇 まほうの鏡』では、他の女性キャラらと共に、我こそは真に美しい者だと主張していた。理系キャラには珍しく(?)、美に対する自負心にも並ならぬものがあるようだ。
余章では、天空聖殿への招待状を見て「神様に会えたら、勇者として箔がつきそうですね!」と述べていた。勇者として名を高めたいという虚栄心(商売魂?)も強いようである。


言うまでもないが、名前は日本オリジナルのカレー食文化《カレーパン》に由来すると思われる。


・・・
スカート部分に特殊なホルダーを着け、常に本を五、六冊持ち歩いています。文庫本サイズであろうともそれなりの重さにはなるでしょう。迷宮でププルを追って現れる際、へばって息を切らしていることが多かったですが、体力のなさに加えて、この本が原因の一つになっていたのかもしれません。


シリアス頭身で並ぶイラストがないのでイメージですが、ナーンと同じか微妙に高いくらいの身長かなという気がします。で、ウードンが彼らより頭半分〜一つ分くらい高い感じ。


通販で買う冒険道具の情報を集め、ナーンには「パンナの知識と情報力!」「(パンナとウードンの)二人にかかれば不可能なんてない! オレ達は無敵だ!」と手放しで信頼されています。本人も「光る眼鏡とでこは知性の証! 冷静サポートのパンナ!」「アタシにかかれば、調べられないことなんてないですよ?」と見得を切るほど自負しているようです。

けれど実際は、世間によく知られたゴルダールの悪評すら知らず、彼の訴えを鵜呑みにして利用されていました。ナーンの代わりに冷静に全体を見渡すべきなのにできていません。全然ダメですよね(苦笑)。


パーティの紅一点ってコトで、ナーンとのロマンスを期待していましたが、その要素はまったくありませんでした。
というより、最早そんな地点は超過している?

傍からだと、生活力がなくて足手まといなナーンを、パンナとウードンがひたすら支えているように見えます。でも実は、パンナ達の方がナーンがいないとダメってことらしい。
ありていに言えば、パンナとウードンはナーンのことが大好き。

そんなナーンがクリオラに恋した。
しかし、パンナたちが嫉妬をしている様子はありません。

恋心はないにしても、これだけ癒着してきた友達が他の人に夢中になってしまったら、多少なりとも寂しくなっておかしくないと思うんです。けれど、そうした様子はありません。
うーん?
クリオラが靡くなんて万に一つもないと判り切っているからこその余裕、なのかなぁ?
思えば、パンナ曰く「生温かく」、ニヤニヤして見守りはしても、応援は一切していませんしね。「(クリオラを心配しているのは)リーダーだけで、アタシ達は面白そうだから ついて回ってるだけです」と言い切っていたり、ある意味、冷たいとも言える言動をとっています。

ウードン

ズッコケ勇者三人組の一人。
西洋風の甲冑と東洋風の脛当てを纏った、恰幅のいい大柄な少年。左手に盾と一体化した短めの剣を装備している。(有事には盾から剣を引き抜く。)
仲間のパンナ、ナーンとお揃いのマフラーを巻いている。


穏やかで優しい性格。
喋り方もおっとりしているが、決して愚鈍ではなく、パーティ内で最も広い視野と、それに基づいた客観的な判断力を持っているようだ。

とは言え、気の弱さが災いして、少しでも強く言われるとすぐに意見を引っ込めてしまう。それ以上考えることもしない。
そのため、ナーンやパンナを諫める(導く)ことはできないし、ゴルダールに逆らうこともできなかった。強さのあるナーンやププルのような人間に従ってしまう傾向がある。


公式キャラ紹介には「力持ち」とあるが、作中にそれを披露した場面がないので、どの程度の力持ちかは不明である。
(装備している武器の大きさだけを見るなら、小柄な体で大剣を持つナーンの方が、力が強そうに見えるが…。)
迷宮内でよくヘバっているので、見かけどおりに体力はなさそうだ。


見た目通り、食べることが大好き。
天空聖殿への招待状を見て「美味しいカレーいっぱいあるかなぁー」と述べていた。


(儲けている様子はないが)株の取引を行っており、そこそこ一番の株主でもある。(しかし、それを盾にゴルダールに強く出るなど思いもつかない。)
デリ・バリ商会の通販をよく利用し、お得意様として多数のおまけも付けてもらっている。
パーティの財務担当ということらしい。
ナーンは、ウードンには人脈もあると述べているが、作中で具体的に描かれたことがないので、何を指しているのかは不明。(もしや、通販でお得意様になっていることを言っているのか?)


一人称は《おいら》、二人称は《きみ》。
ナーンを《リーダー》、ゴルダールを《オーナー》と呼ぶ。
「〜だよー」「〜だよねー」などと語尾を伸ばしがち。


名前は、カレーパンと同じく日本オリジナルのカレー食文化《カレーうどん》に由来すると思われる。


・・・
三人組が勇者の名乗りを上げる際、ウードンだけはケレンみある形容を自称しません。いつも「おいらはウードンだー」程度しか言わず、「え、それだけでいいですか?」と問われて「あれ? おいらもなんか一言言った方がいいの?」と慌てていました。
ナーンたちほど精神的に子供ではないからだと考えることもできます。しかし、実は自信のなさの表れではないでしょうか。意見を通せない気の弱さも、そこから引き起こされているように思えます。

名乗りの際、ウードンは自身にカッコいい形容を付けません。けれど、代わりにナーンが言ってくれます。

「ウードンの人脈と経済力!」
「この二人にかかれば不可能なんてない! オレ達は無敵だ!」

ウードンは「えへへへ……」と嬉しそうに照れ笑いしていました。

『キャラ劇 くさりかけメロン』にて、他愛ないことで「やっぱりオレがいないとダメだな!」と笑ったナーンに、ウードンは「当ってるけどねー」と返したものです。ナーンへの信頼は厚く、もはや尊崇に近いものすら感じます。(盲目的というほどではありませんが。ナーンは空気が読めない、など短所への冷静な評価もしています。)
彼がそこまでナーンを慕うのは、自分に価値を与えてくれる存在だからではないでしょうか。
ナーンは、良くも悪くも他人を差別しませんし、嘘もつけません。パンナやウードンは素晴らしい能力を持っていて、だからパーティは無敵なのだと、心底評価しているのだと思います。
自分に価値を見いだせないウードンも、ナーンの傍にいれば無敵の勇者でいられる。最高の仲間として対等の立場で頼ってもらえる。それが離れがたい魅力なのでは。


勇者三人組は、公式サイトのストーリー紹介には「ズッコケ勇者三人組」と書かれています。
これも言わずもがなですが、児童文学の名作、ズッコケ三人組シリーズ(著:那須正幹)から来ているんでしょうかね。正義感の強い腕白坊主、頭脳派メガネ、おっとり太っちょの三人組、という人員構成も一致しています。

リーリカ

ププルの魔導学園での同級生にして親友。
ププルのトラブルを引き寄せがちな面を案じつつも、明るい性格を尊敬している。

おしとやかで品行方正、教師からの覚えも良い。

ププルの停学取り消しを先生に取り成してくれていたり、ププルに「あなたにあまり無茶されると わたしの寿命が縮んじゃうわ」と言い回したり、冒険に出る姿を物影からそっと見守っていたり、ププルの卒業記念品入れの袋を、「落とさないように」と予め手縫いして用意しておくなど、友人というより、古風な物語の「規範的な」《母》や《姉》のようである。

図書館で司書のバイトをしている。

大きな胸がコンプレックス。


一人称は《わたし》。二人称は《あなた》。
ププル、くぅちゃんはそのまま呼ぶ。ゼオはとりあえず《あの人》《彼》。
清楚で少し大人びた印象の女の子口調。


・・・
巨乳がコンプレックスだと公式紹介文にありますが、具体的にどう悩んでいるのか?
『キャラ劇 きょにゅうちわ』にて、夏は汗をかき易い、重いしかさばるという悩みを口にしてはいましたが、これってコンプレックス(劣等感)なの?

よくある巨乳コンプレックスと言えば、周囲にじろじろ見られたり、変に関心をもたれるのがストレスになり、性に旺盛だと思われるのが恥ずかしくて、異性に対し消極的になり…という感じでしょうが。
若い巨乳に発情するくぅちゃんにまとわりつかれても平然としていますし、そもそも、胸が収まり切れずボタンがはち切れかかっているかのようなデザインのシャツを着ています。(胸を覆う上着は着ていますが、シャツの胸の開いた部分が見えるようになっています。)つまり、胸の大きさを強調するファッションを、自ら選んでいるのです。

『キャラ劇 まほうの鏡』では、他の女性キャラ達と共に、我こそ最も美しい者だと競ってもいました。おしとやかな性格ではありますが、虚栄心や自負心は人並みに強いようです。

ププルの服も胸が開いていますし、この世界では胸を強調するのが女性の普遍的なファッションなのでしょう。それでも、胸の大きさを恥じているのならば、胸をより隠す服装になるものでは。つまり、彼女は胸を見せる、見られることは特に恥じていないのです。

…じゃあ、彼女の巨乳コンプレックスって何?
結局、胸が大きいと重いし邪魔なのよねー、ってだけなんでしょうか。
しかし、ならばクリオラも同じことを言っていましたので、彼女も「胸が大きいのがコンプレックス」ってことになってしまいますが?


品行方正で、先生の覚えも良い」と公式紹介文にあります。
実際、終章では先生の指示でさっと卒業記念品を運んできたりと、一卒業生の立場を超えた、学校職員のような行動をしています。実は、図書館だけでなく学校でもバイトをしている? 先生に気に入られているからこそでしょうか。


品行方正で、先生の〜」という説明は、まさに優等生を指すもののように思えます。
が。彼女、学校の成績ではププルに負けていたわけですよね。最優秀卒業生なのはププルですもの。
もしリーリカが、まさに優等生的に真面目に勉学に取り組んでいたのだとしたら、普段ロクに勉強しないで、持って生まれた才能と行き当たりばったりな運の良さばかりで、笑いながら上に昇っていくププルの傍にいるのって、わりと複雑な気分になるものじゃなかったのかなぁ?

色々葛藤した後で、ププルの明るく邪気のない人柄に負けて、逆に尊敬するようになった、みたいなドラマがあったりしたんだったら面白いですね。
そしてププルの方は、リーリカがそんな悩みを抱いてたなんて気付きもしてないんだな、きっと。


リーリカは、男性の抱く理想の女性像の一つを体現したキャラだろうと思います。
優しくて家庭的で万事控え目で気に障るような事は一切言わず、それでいて黙って陰で支えてくれて頼りになり、なんといっても巨乳。
古き良きヒロインのようなキャラに相応しく、危機に陥ったリーリカを、騎士よろしく誰かが救ってくれる…というエピソードが、サブシナリオ(キャラ劇)には散見できます。

『キャラ劇 トラゴンの皮』では、森でトラゴン(大トカゲ型のモンスター)に遭遇したリーリカを、くぅちゃんが守ります。唸り声と気迫だけでトラゴンを追い払ってしまいました。(リーリカは魔導学園出身ですが、戦闘能力は全くない模様。)リーリカは「くぅちゃん、ありがとう! わたしを守ってくれたのね」「くぅちゃんがこんなに勇敢だなんて知らなかったわ」「本当にありがとう、大好きよ!」と手放しでお礼を言ったものです。褒め上手も立派な才能ですね。
ププルはと言えば、内心で(くぅちゃん、リーリカのために体張って助けてくれたんだね。ありがとう)と感謝しつつも(でも、ボクがピンチの時は、そこまでしてくれたことなかったよね……)(いや、別にいいんだよ? ボクは自分でどーにかできるし、別にいいんだけどね)(でもやっぱり……ちょっとフクザツ)とモヤっていました…。


『キャラ劇 コウモリ傘』では、街でリーリカがゼオに襲われている? のを発見したププルとくぅちゃんが、即座にゼオを突き倒して彼女を救いました。
ところが、リーリカは「なんてひどいことをするの!?」と怒ります。実は、ガラの悪い人に絡まれていたリーリカを、ゼオが助けてくれたところだったのです。
(ちなみにリーリカとゼオは、一緒にいるとはいえ、かなり離れて立っていました。それでリーリカが危ないと思うなんて、ププルさん過敏すぎる。)

ププルは捻くれた調子ながら一応謝罪して、詫びにと拾ったコウモリ傘を押しつけました。ゼオは「傘? そんなダサい物は使わないから、いらん」と受け取りを拒否しましたが、「雨降っても傘ささないの? そのままなの? 水も滴るいい男とか思っちゃってんの?」「雨に濡れると頭ハゲるっていうよ」と、立て続けに言われて怯み、受け取って立ち去ったのでした。

すると、去りゆく彼の背を見つめて、リーリカが「あの人…」と切なく呟きました。
すわ、恋愛フラグか!? と色めき立つププル。けれど「あの人、きっと… 頭がハゲるのが心配なのね」「ハゲの話をした時、急に様子が変わったもの。きっと身内に髪の薄い人がいるんだわ…」と言われてガッカリ。「女の子が相手のハゲを心配してるようじゃ、どうあっても恋愛には発展しないなぁ」「うーん、残念」と呟いていました。

ププルも年頃の女の子らしく、他人の恋バナに興味津々な面があるんですね。
でも私は、リーリカに脈がないわけではないんじゃないかとも思ったんですよ。だって、これで彼女は、ゼオの(髪の)ことを心配して、気にかけるようになったわけでしょう。しかも世話好きな性格ですもの。即座に恋愛にはならなくても、何かしら関わりができていくんじゃないかと。

で。ここでは残念がっていたププルですけど、本当にリーリカがゼオに恋してしまったら、七転八倒して悩むことになるんじゃないかなと思いました。
だって一緒にいただけでゼオを危険視して突き倒したくらいなんですから。

リーリカにはもっとふさわしい人がいるよ! だってゼオってヘンタイだよ? うーん、でもリーリカが好きだっていうなら友達として応援するべきなのかなあ。だけどやっぱりヘンタイさんはちょっと…。あ、でも本当はすごい人みたいだし、多分…。いやいや、でもでも…。

とかとか、ぐるぐる悩みそう。
そしてくぅちゃんは、悩む隙もなく大反対して、ゼオを敵視するようになり、出会うごとに噛みつくようになるんだろうなぁ。
ついでに、確定的ハゲ予備軍呼ばわりされるようになるでしょう、ゼオ。女の子たちから。
一番不幸なのはやっぱりゼオ、という結論で(笑)。


声優さんの演技が棒です。
声質自体は文句なく可愛い。そして普段の場面は、演技の平板さがかえって控え目なキャラクターに合っていて、可憐さがあり、違和感はなかったです。
けれど、驚いたり怯えたり悲しんだり、感情が大きく動く場面になると、もうダメ。棒読みぶりが際立っちゃって、気になって仕方がない。

でもこの声優さん、本来はアイドル歌手で、声優二度目の挑戦がリーリカなのだそうで。
そう思えば「とてもお上手ですね。まるで本当の声優さんみたいですよ!」と言うべきのような気もしてきます。
所詮ゲームの声だしなぁ。(作ってる方たちもそう思ってるから、こうなったってことですもんね。)

サフラン先生

魔導学園の教師。
生徒想いで、いつもにこやかな癒し系だが、怒ると怖い。


一人称は《私》。二人称は《あなた》。
人を呼ぶ時は、基本的に名前に「さん」を付ける。
《スマイルカレーさん》など、肩書にさん付けすることも。
《くぅちゃん》はそのまま呼ぶ。


・・・
胸元と背中を大きく開いた、扇情的なナイトドレスのような衣装で、髪も大胆にアップにしています。

ぶっちゃけ露出が高い。それも、ダラッと着崩した感がある。
そのうえ、ゲーム発売前に紹介されていたのは、激怒してププルを停学にする場面。

そんなこんなで、実際にプレイするまでは、サディスティックで妖艶・破戒系の、教師らしからぬキャラクターなのだと思っていました。
蓋を開けてみると、旧来の魔導物語シリーズの「魔導幼稚園の先生」延長線上の、おっとり優しい系のキャラだったという。


個人的には、サフラン先生の衣装デザインは露出が高くない方がよかったんじゃないかと思います。
《ざますメガネ》というインテリ女性の記号と、正反対な《夜の女》風情の服装。大胆に露出させた胸には現代日本ではまだまだ極道的イメージで忌避されがちなタトゥー。私の頭が古いと言われればそうですが、どうもチグハグな感じがして。

肌は隠して、色気は、体の線をはっきり出すとかで表すのでもよかったんじゃないですかね。修道女の色気的に。
《生徒想いの癒し系の先生》というキャラ性にそぐわなくまでして、無理におっぱい出さなくてもいいよ。プレイヤーがみんな、肌色度が高ければ高いほど喜ぶってわけじゃないよ。
…と思うのは私が女だからなんでしょうけど。


『キャラ劇 いい音のスイカ』にて、クリオラが保護した弱ったミジンコデビル(小型モンスター)を、屈託なく自宅に引き取っていました。
明確に語られてはいませんが、サフランには《猫や小型犬を何匹も飼っている、独り暮らしのアラサー女性》的なイメージがあるのかなと感じました。
くぅちゃんと初めて会った時も優しげに語りかけていましたし、動物好きなのは間違いないと思います。

ただ、くぅちゃんには唾を吐かれるわ噛みつかれるわでとても嫌われていて、しまいにサフラン自身も怯え気味になっていましたが…。

くぅちゃんは何故サフランを嫌うのか。
ププルを叱ったから? いえ、その前から、優しく挨拶しただけの彼女に唾を吐き捨てていました。その時点でサフランに非があるようには思えません。
くぅちゃんは若くて巨乳のリーリカが異常なほど好き。
サフランも綺麗で巨乳。
二人の違いは年齢。
…ってことは、《若くない巨乳だから》ってのが、嫌う理由なのか?

つまり、今は発情レベルで好かれているリーリカも、あと十数年もすれば、挨拶しただけで唾を吐き捨てられるようになるのでしょうか。


一方ギガディスは、サフランも充分守備範囲らしいです。「マドモワゼル(お嬢さん)」と呼んで、「美しい」と褒めそやしていました。

それを見たププルは「うわぁ、なにあの見え透いたお世辞……」「真に受ける先生も先生だけど、魔王ってばやっぱサイテ―だなぁ」と発言。穿った見方をすると、ププル的にはサフラン先生は少しも美しくないってこと?
『キャラ劇 きゅにゅうちわ』では、「前から思ってたんだけど、サフラン先生の髪型ってホント不思議だよねー 魔導学園七不思議に入らないのかな」と言って、リーリカに「失礼よ」と窘められてましたし、ププルのサフランの容姿への評価は、どうも低いようです。
停学中に様子を見に来てくれたことには感激してましたし、教師として慕っているのは確かなんでしょうけどね。

ニコリ

ププル行きつけのカレー店、スマイルカレーの店主。
作るカレーの味が自慢で、お客の喜び優先の商売がモットー。

一人称は《僕》。二人称は、目下へは《君》、目上へは《あなた》。
目下の女の子たちは名前に《ちゃん》付け、目上の者は名前に《さん》付けするのが基本。
目下の者へは「〜だよ、〜だね」といった優しいお兄さん口調。目上の者へはですます口調。

ププルには《カレー屋さん》《スマイルカレーさん》、プニィや常連客のおじさんには《ニコさん》、エターニャには《店主》《ニコリ》、ゴルダールには《スマイルカレーさん》《ニコリ》と呼ばれている。


・・・
天使のような善人。
いつでも優しく迎えてくれて、怒ることも僻むこともなく、ププルの提案はすべて受け入れ、失敗しても恨まず、成功すれば多大に感謝してくれ、と言ってププルに依存するでなく自分でも努力している。ある意味都合のいい《人助けの対象》。
それ以上でも以下でもありません。

ニコリとゴルダールは善と悪のテンプレ。昔話の《正直じいさん》《意地悪じいさん》みたいなもので、それだけでしかない。

ただし、ニコリには掘り下げの萌芽らしきものもありました。
『キャラ劇 古そうな星図』にて、幼い頃のププルとその父をよく知っている風に語られていたのです。ププルとは昔馴染みで、家族ぐるみの付き合いがあるということになります。
しかし、それ以上の説明はなし。

キャラ原型が旧魔導の魔物商人《ももも》なのだろうという点を踏まえると、かつては各地を放浪して冒険グッズやらカレーを売る屋台か何かをしていて、幼いププルやその父とも顔見知りだった…みたいに妄想したりはできそうです。



それはさておき。
にこやかな糸目の、優しいお兄さんで、いつも美味しいものを食べさせてくれる…っていうキャラ性は、セガぷよのレムレスにも近いなぁと思ったり。
喋り口調も同系なんですよね。
(念のため。パクリだとか言いたいわけではなく、単純に、同系タイプのキャラですよね、という話です。似てると思いませんか?)

ゴルダール

スマイルカレーの近くにオープンした大型チェーン店《そこそこ一番》のオーナー。
料理人であると同時に敏腕経営者でもあり、一代で店を大きく成長させた。

強引で露悪的な性格で、スマイルカレーにわざわざ出向いて、客に見える場所で大声で嫌味を言ったり、新メニューを横取りしようとしたり、客にはどうせ味は判らないと、自分の店の前で大声で言ったりする。


一人称は《ワシ》。二人称は《お前》。
ニコリを《スマイルカレーさん》《ニコリ》と呼び、ププルやプニィは《小娘》と呼ぶ。

普段は「〜だぞ」「〜なのか」「〜だよなぁ?」といった感じのであるだ口調。ビジネスの場では「〜ですな」となる。「グフフ」と含み笑いすることが多い。


・・・
昔話的な《悪役》テンブレキャラ。
悪いことをして懲らしめられるだけの存在で、掘り下げは一切ありません。

結果として、ゴルダールを巡るエピソードと大カレー神を巡るププルの冒険が、分離気味になっているように感じました。


昔話なら《意地悪じいさん》は懲らしめられておしまいですが、こちらには救済エピソードが用意されていました。
寝込んだゴルダールをニコリが手作り料理持参で見舞い、なんとなく和解するのです。
多分、悪役も救いたいという、製作スタッフさん方の優しさなのでしょう。
けれど個人的には、どうしてニコリがそうまでするのかが納得できなくて、気持ち悪かったです。



もしも『聖魔導』が実写ドラマ化されたりしたら、もう少しゴルダールを本筋に絡めるアレンジが加えられるんでしょうか。
ありがちですが、プニィとゴルダールを父娘関係にするとか。

現実主義で仕事中心のゴルダールと、巫女体質で夢みたいなことばかり言っているプニィ。互いが理解できず、父娘の中は破綻寸前。
で、プニィがププルに心を救われて成長し、最終的に父娘の仲が和解して、スマイルカレーとの確執もなくなるという王道なオチで。(王道大好きです。)

カレーシャ

本編のラスボス。
鋭い目つきの象頭人身の神で、腕は四本。全身青い。
右の牙が真ん中から折れている。モンスター図鑑によれば「片方だけ折れた牙には何かドラマがあるらしい。なぜ折れたのかを聞かれると、口を閉ざしてしまう」とのこと。


大カレー神の眷族神で、部下のようなもの。
現在は人間たちに忘れ去られている大カレー神に代わって、カレー店によく祀られており、《カレー神》と呼ばれることが多い。

摩訶不思議伽哩塔に潜み、伝説の魔導カレーを作ろうとする人間の最終テストを行う。


一人称は《われ》。二人称は《なんじ》。
語尾に「〜だゾウ」と付ける。


・・・
インドの象頭人頭神ガネーシャがモデルだと思われ、同じくガネーシャをモデルにしたのだろう旧魔導ぷよの《ぞう大魔王》と被りまくっています。語尾に「〜だゾウ」と付けるのも同じです。

ただ、ぞう大魔王が《魔》なのに対し、カレーシャは《神》なのですね。

ガネーシャは知恵と商売の神として知られています。
PC-98版『魔導物語1-2-3』には「象液の注射」というアイテムがあって、使うと一時的に賢さがアップします。恐らくガネーシャに由来するのでしょう。
そして『聖魔導』でカレーシャがカレー店に祀られるのは、ガネーシャが商売の神であり、インド料理店にしばしば神像が置かれていることに由来しているのだと思います。
また、ガネーシャは父とされる破壊と創造の神・シヴァのように舞踊する姿で描かれることがあるんですが、カレーシャが戦闘時に「カレーの舞」という技で攻撃してくるのは、そこに由来するのかもしれません。


四臂や折れた牙といった容姿は、ガネーシャからそのまま流用したものと思われます。

ガネーシャの折れた牙の由来は、《乗騎から落ちて折れた》《酔っぱらって転んで折った》《投げつけられた斧をあえて牙で受けたため折れた》《自ら牙を折って、それをペンにして大叙事詩『マハーバーラタ』を書いた》など、諸説あって定まらないようで。
では、カレーシャはどうなんでしょう?
聞かれると口を閉ざすというからには、何か後ろめたい、恥ずかしい経緯?
となれば、《落ちて、転んで折った》系なんでしょうか。


雷の全体攻撃魔法(裁きの雷)を使う時、足を揃えて爪先立って宙に浮かぶのが可愛かったです。

大カレー神

余章のラスボス。
いつもニコニコ恵比須顔の象頭人身神。
白い狩衣を着て、浮かぶ米俵の上に胡坐をかき、福袋を背負っている。

古代に都市マダデルで信仰されていた神で、今は人々から忘れられて久しい。
天空聖殿に住み、伝説の魔導カレーのレシピを流布させて、それを作る人間が現れるのを心待ちにしている。
気がはやったのか、プニィに憑依して、審判を担当するカレーシャより早くププル(魔導カレー調理者)を試した。


温厚な性格だが、カレーが大好き過ぎて、カレーのこととなると狭量で怒りっぽくなる。


一人称は《私》。二人称は《なんじ》。
語尾に「〜だカレー」と付ける。


・・・
大カレー神のモデルは、見た感じからしてやはりインドのガネーシャ神と、加えて日本の七福神の一柱として知られる《大黒様》のように思われます。
《大黒様》は日本古来の豊穣神《大国主命オオクニヌシのミコト》と、インドから伝わった《大黒天》が、名前の音が「ダイコク」で通じることから習合された神格です。

大黒天は、インドのシヴァ神の別名、マハーカーラー(偉大な黒きもの)の音訳とされています。そして、シヴァはガネーシャの父親とされている。

…作中でギガディスが、大カレー神は「カレー神の上司のような存在であるからな」と言ってましたけど、正確には父子だった、のか?
父・大魔王と息子・ギガディスに対し、父・大カレー神と息子・カレーシャという対比!?
ってことは、大カレー神がカレーシャと似たような象頭人身の容姿で、使う技も似た感じなのは、手抜きとかキャラ被りとかではなく、《親子だからあえて似せました》って意図だったんでしょうか!!??


それはともかく。
旧魔導ぷよのぞう大魔王とも、やっぱりキャラが被っているように思います。
普段は温厚だけど、何かの逆鱗に触れると激怒して手がつけられなくなるところとか、ばたんきゅーさせると冷静になって謝ってくるところとか。
そっくりですよね。

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