///ルルー


ルルー 性別
身長 169cm
168cm(『ぷよ通』〜『ぷよSUN』)
体重 52kg(自己申告)
56kg(『ぷよ通』〜『ぷよSUN』)
スリーサイズ B90、W57(アルル以下なのが自慢)、H86
B90、W61、H87(『ぷよ通』〜『ぷよSUN』)
年齢 18歳
誕生日 2月24日
一般的紹介
(真魔導系除く)
純情一途にサタンを愛し、アルルを一方的にライバル視する、タカビー・ワガママ・勘違いと三拍子そろった お嬢サマ。
格闘とぷよの腕前は達人級で、その蹴りはぞう大魔王30頭分に匹敵する。

その拳は空を切り、岩をも砕く。噂の鉄拳お嬢様!
実はダンスも得意です。


 美しく豊満な肢体を持つ、とびきりの美女。おまけに、お嬢様で格闘家。
 こんな両極端の要素を(強引に)併せ持つ、それがルルーというキャラクターだ。
 衣装は白か青の、かなり薄手で露出の高いものを好み、足輪や腕輪も好み、サンダル履きもしくは裸足が基本である。このことから、どうもかなり南の地域の出身ではないかと思われる。首環の形状からすると「古代インド」が想定されていたような感じだ。
 海のように青い髪はかなり長く、緩いウェーブがかかっていて、アルルと同じように両サイドを取って後ろで高く結ったり、両サイドを三つ編みにしてまとめたり、ポニーテールにしたこともある。

 ……ところで、角川版小説では、彼女の髪を「水晶色」と表現しているのだが、水晶色とは一体どういう色なのだろう?? 少なくとも「青」とは思えないが。ガラスファイバーのような髪なのだろうか。この表現は小説『真魔導』にも受け継がれているので、あたかも これがルルーの髪色を示すスタンダード表現のようであるが、ちょっと釈然としない。


●ルルーの家庭環境
 ルルーはかなり裕福なお屋敷の一人娘として生まれた。
 だが、実はハッキリしているのはここまでだ。何故お嬢さまが総合格闘術の使い手になったのか、彼女の両親はどんな人物で現在どうしているのかなどという設定は、はっきりしていない。ゲーム上で明確に描かれているのは祖母がいたということくらいで、両親が仕事で留守がちだった分、祖母に甘えて育ったらしい。といっても祖母と同居していたわけでもなく、しかもルルーが六歳の誕生日に病死してしまった。
 実質的にルルーを育てたのは、ルルーの家の執事らしいのだが、ルルーの両親の知り合いだったとか元は忍者だったとか、この人物に関する設定もニュートラルではっきりとしない。ルルーは彼を「じい」と呼んで慕っている。今は、じいとミノタウロスがルルーの大事な家族だ。

 小説『真魔導』では、ルルーがまだ幼い頃に祖母に続いて両親も相次いで亡くなったとされ、一方で、格闘の師匠が実の父だがルルーはそれを知らずに対決して倒すだとか、ルルー二十歳のときに「伝説の剣士」としてルルーの父が登場(復活?)するなどと年表で予告されていて、何がなんだか解らないがえらく複雑な家庭であることは間違いない。
 角川版小説では「パパ」と「ママ」共に健在で、仕事で忙しいものの家族の絆は深い、という様子が描かれている。ただし、両親の様子が描かれる『新☆魔導物語2』は「実はルルーの夢でした」という夢オチなので、現実は違うかも、という解釈の余地はある。


 ところで、ルルーの家は資産家のようだが、資産管理の方はどうなってるのか不明だ。ルルーも十八歳なのだからフラフラしないで働かなくてはならないのではなかろうか。もしも本当に天涯孤独だというのであれば。


●アルルとルルー
 十六歳の時、ルルーは吸血鬼の伯爵に誘拐された。血を吸おうとする伯爵に彼女は果敢に立ち向かったが、レベルが違いすぎた……。その時、ルルーを救ってくれたのがサタンである。正確には同じくさらわれていたカーバンクルを助けるついでだったのだが、助けられたのに変わりはない。
 生まれて初めて出会った、「自分を助けてくれるほど強い」男性……。美しいものの、勝ち気な性格と体に染み付いた格闘術のため、近付く男を無意識に投げ飛ばしてしまっていた彼女には、まさに衝撃的な出逢いだった。
 以来、ルルーは一途にサタンを追い続けている。

 サタンに恋してからの二年間、ルルーはひたすらサタンを追って、あちらこちらの遺跡や迷宮を探索して回っていたらしい。その迷宮の一つで封印されていたミノタウロスと出会って戦い、彼を解放したことから、ミノタウロスは彼女に忠誠を誓うようになったようだ。(この辺りのエピソードは作品化されていないので、ニュートラルな部分が多く、はっきりとは分からない。)
 こんな苦労の果て、最深部に到達すればサタンの妃になれるというライラの迷宮に何度もアタックをかけていたところ、横からひょいと現れたトンビアルルアブラゲサタンをさらわれてしまったわけだから、悔しさはひとしおだろう。

 そんなわけで、ルルーは元々、アルルを恋敵に定めて攻撃してくる、「女の業」的な部分が全開のライバルキャラクターだった。嫉妬に目が眩んでアルルの釈明など聞く耳持たない。いちいち邪推して言いがかりをつけ、勝負を挑んでくる――そういう意味でのムチャクチャな女だったのである。
 ところが、コンパイル後期〜晩期になると、様子が異なってくる。アルルはルルーの「友達」になり、敵対関係が希薄になったのだ。
 この要素は、ゲーム本編では96年の『鉄腕繁盛記』が最初になる。ここでのアルルはルルーに対してやけに好意的で、実に親しげに接してくるのだ。
 元々、オリジナル『魔導』の結末で二人は共に魔導学校目指して旅立っているのだから、この時点で友達になったか、旅の過程で親しくなったという想像をするのは難くない。だが、続く『ぷよ1』以降、ゲーム中ではずっと敵対し合っていたわけで、このアルルの態度の突然の変化にはぎょっとさせられる。一体何があったのだろう?
 『はちゃめちゃ期末試験』になると、二人は魔導学校の同級生になっており、最初はあまり仲が良いとはいえない二人をマスクド校長(サタン)の与える課題が意図的に結びつけ、ついにはルルー自らがアルルを「大事な友達」だと呟くに至る。続く『鉄拳春休み』では、賢くしっかりしたルルーが、ぼんやり屋で無邪気なアルルを引っ張り、助けており、あたかも「姉と妹」のような様相すら見えてくる。そしてSS版『魔導』になると、二人は無二の親友……アルルはルルーをごく慕い、ルルーはアルルを妹分のごとく従え守っている……という関係になってしまうのだった。

 アルルを「妹みたいな子」と認定し、ルルーは優しいので彼女に冷たくすることが出来ない、と最初に語ったのは、恐らくは角川版小説だが、アルルへの嫉妬を「妹への想い(母性)」にすりかえられ、女性の暗い想念を捨て去られてしまったルルーは、「素敵なお姉さん」ではあるものの、毒がなくてちょっと物足りない。小説『真魔導』では、それを補おうとする反動か、人の話を聞かない、ちょっと気に入らないとすぐに人を殴る、という「パラノイア的暴力ギャグキャラ」としての面がかなり増大し、おまけにターゲットがアルルからシェゾに変更されていたが、「ギャグ」か「行き過ぎ」か、最終的にはやや微妙なボーダーラインにまで到達していたように思う。

 なお、小説『ぷよSUN』では、ルルーと周辺キャラクターとの関係はゲーム本編と大きく異なり、「サタンとは幼い頃に出会い、ずっと恋している」「アルルとは幼馴染の同級生」「最近サタンがアルルに恋したので、それ以来アルルをライバル視するようになった」となっている。


●カレーシェフ(?)・ルルー
 サタンに恋したルルーは、それまで手を出したことのない、未知の分野にまで手を染めた。すなわち、料理である。
 『ルルーのルー』では、サタンがカレーライスが好物だと知って、彼のために材料集めに精を出し、カレーを作った。サタンには振られてしまったが、ミノタウロスと一緒に楽しく食事……のつもりだったのに、出来上がったカレーはひどく不味かった。ミノタウロスは美味しい美味しいと食べてくれたので、かろうじて面目は保てたが。
 この点を見ると、ルルーは料理の経験値が低く、ありていに言えば下手らしい。カレーライスは(既製のカレールーを使う場合は)初心者の料理なわけで、調整もきかせやすい。それを不味く作るというのは相当なものだ。

 しかし、『ルルーの鉄拳春休み』になると、苦労して手に入れた究極の食材を使ってカレーを作り、試食したマスクド校長(サタン)から「なかなか美味しい」という評価を得ている。究極の食材まで使って「なかなか」止まりなのか……とも思えるが、前作からすれば格段の進歩だろう。しかも、図らずもサタンに手作りのカレーを食べさせて褒めてもらえている。前作では食べてすらもらえなかったというのに。惜しむらくは、ルルー自身がそのことに気付いていないということだが。

 ちなみに、小説『ぷよSUN』では、ルルーは他の家事は一切ダメだが、素晴らしく美味しいカレーを作れるという特技を持っている。ただし、タコヤキだろうとスープだろうと、どんな料理を作っても、気が付くと美味しいカレーになっている……という特技なのだが。まぁ、サタンに美味しいカレーを食べさせたい、という目的だけは果たせそうではある。


●ルルーファンクラブ
 サタンへの想いがなかなか報われないルルー。こんなに美女でナイスバディだというのに、一体どうしたことだろう。
 実はああ見えて、ルルーはサタンを追い始めるまで、色恋沙汰には とんと縁のない女の子だったらしい。『A・R・S』の取説には
良家のお嬢様なのだが、超がつくほど気が強い。しかも、どういうわけか総合格闘技の使い手でもある。そのためか、色恋沙汰にはあまり縁がない。
 とある。物語中でも、近づいてきた吸血鬼伯爵の執事を、悲鳴を上げながらいきなりばたんきゅーさせてしまい、その後で「ま また 体が勝手に……」とひとりごちていた。潔癖症なうえ拒絶が過剰で脊髄反射なのだ。
 きっと、お嬢様として社交界に出ていても、どこぞの令息やら貴公子やらが近寄って何気に肩や腰に触れた途端、「背負い投げっ」してばたんきゅーさせていたに違いない。噂はすぐに広まるものだから、近づこうとする男性は殆どいなくなっていたことだろう。ルルーのことだから、むしろせいせいとして、「あたしより弱いオトコになんて興味はないわっ」と言ってのけていたことだろうが。


 こんなルルーだが、モテない、ということは決してない。現に、ミノタウロスは深く静かにルルーを愛し、最も身近で彼女を守護し続けている。見返りなく これだけ愛してくれる男性をキープしているのだから、ルルーの魅力は大したものなのだ。

 なお、『鉄腕繁盛記』によれば、ミノタウロスは自らルルーファンクラブを主宰している。これはルルーには内緒だったのだが、ファンクラブ会員であるサムライモールが、先走ってルルーにこのことを告げてしまった。
 そういえば、オリジナル『魔導3』では、モケモエの遺跡の魔物たちはルルーを女王と慕っていたし、最深部のルルーの部屋の前を、ぞう大魔王、サムライモール、ミノタウロスらが守護していた。もしかして、モケモエの遺跡にいた魔物たちがファンクラブ会員なのだろうか。思えば、『ルルーのルー』では、ぞう大魔王もルルーのことを「様」付けで呼んでいたし、気を遣っていた。(続編の『鉄腕繁盛記』になると態度が豹変して、ルルーに対して尊大に振舞うのだが。)
 構成員が全て魔物らしい辺りがちょっと難ありな気がしないでもないが、同じように魔物に好かれ易い(?)のに、アルルのファンクラブは確認されていない。してみると、やはり、アルルよりもルルーの方がモテるのである。


 なお角川版小説では、(夢の中での話だが、)ルルーファンクラブの構成員はミノタウロス、サムライモール、インキュバス、ウィザード、さそりまん、ぞう大魔王、ゾンビのテイカテイカ伯爵などなど……となっている。


●ルルーの愛の日々
 ルルーの想いが報われる日は、果たして来るのだろうか。
 実は、ゲームタイトルによって、ルルーの想いはわりと報われていたり、逆に決定的にフラれていたり、一定していない。
 たとえば『ルルーのルー』では、サタンはルルーをキッパリと振ってしまい、怒ったルルーは「あなたなんか、だいっきらい!」と言い捨ててしまう。しかしサタンの想い人たるアルルに まるでその気がないと知って、諦めずに頑張ろうと思い直す。
 『わくわくぷよぷよダンジョン』では、ルルーに抱きつかれたサタンは思い切り迷惑そうな顔をしている。とはいえルルーを振ろうともせず、ハッキリして欲しいと迫るルルーに曖昧な態度しか見せようとしない。

 ところが、GG版『魔導V』では、サタンはアルルとルルーの「どちらが妃になっても不満はない」とハッキリ述べ、二人を競わせて嬉しがっている。『わくぷよ決定盤』ではルルーに弱いサタンをからかうアルルの姿が描かれ、SS版『魔導』では、ミノタウロスが傷ついたことでルルーが初めてサタンに不信感を表し、それを受けたサタンが動揺する様子、その後に再びサタンとルルーの心が通い合い、互いに微笑むシーンがある。
 何より決定的なのは『鉄拳春休み』で、ここではサタンが真剣にルルーに相対していて、振られると思い込んで返答を聞くことを拒みかけたルルーを必死で留め、自分の気持ちが把握できるまでもう少し時間をくれ、と語っている。

ルルー
「ね…願いごとって… な…何でもいいんですの?」
マスクド校長
「あ…ああ… わたしにできることなら…な…
 し…しかし… あんまりとんでもないことを要求するんじゃないぞ」
ルルー
「そうねぇ…マスクド校長にはおよばないにしても 私は強いし… 体重も今のままでかまわないし… 別にお金に不自由もしてないし…
 うーん… どうしようかしらねぇ…」
>サタンさまとの結婚
ルルー
「じ…実は私… 以前から お慕いしている方がいるんですの…
 そ…その方のお名前は…闇の貴公子『サタン様』っ!!
 キャーッ! 言っちゃったぁーっ!! キャアーッ キャアーッ!!」
マスクド校長
「ドキッ!!」
(↑彼はもちろんサタンですが魔力でカモフラージュしているため生徒達に正体は知られていません)
マスクド校長
「ほ…ほぅ… そ…それで… キ…キミはどうしたいのだ…ね…」
ルルー
「ルルーのお願いは… サ…サタンさまとの結婚ですっ!!」
マスクド校長
「ほ…ほぅ… 血痕とは… キミはサタンとかいう者の血が欲しいのか? そうか そうかっ!」
ルルー
「ち・が・い・ま・す
 私が望んでいるのはサタンさまの血痕でなくて…サタンさまとの結婚ですっ!!」
マスクド校長
「い…いきなり け…結婚はないだろ!? 普通そこまでは飛ばないぞ!
 ルルー君 冷静になるんだ… 恋愛には順序というものがある ふむべき手順を ちゃんとふんでだな…」
 実は サタン自身は初対面のはずの『アルル・ナジャ』に対して結婚をせまっているのですが自分のことは あさっての方向です
マスクド校長
「そうだっ! 結婚へのステップその1である『お友だちから』というのはどうだ? これならバッチリ…」
ルルー
「私は本気ですのっ!! あの方になら文字通り 私のすべてを身も心も捧げられますわっ!!」
マスクド校長
「キ…キミはまだ若いのだ もっとよく考えたほうがだな……(うっ! この目は本気だっ!!)」
 本気で女性に思われることは男にとって とてもうれしいことです
 そしてそれは 闇の貴公子サタンといえども例外ではありません
 マスクド校長はしばらくの間 じっと静かに ルルーを見つめました そして…
 マスクド校長のマスクの奥の目がやさしく笑ったようにルルーに見えたすぐ後にマスクド校長は口を開きました
マスクド校長
「ふぅ… 仕方ない… わたしの負けだ…な… とてもごまかせそうにない…」
 いくら闇の貴公子サタンとはいえ恋する乙女には勝てません
マスクド校長
「キミは本気で… わたしに恋の思いを打ち明けた…
ならば… わたしもキミの思いに対して できるだけの事をして 真剣に対応せねばなるまい…な…
 キミにだけは… わたしの正体を見せよう」(マスクを取る)
ルルー
「あなたは…サタンさ…ま…
 ど…どうしてっ!?」
サタン
「まぁ いろいろあって…な… 普段は 魔導学校の校長が わたしだとわからぬように 魔法でカモフラージュしているのだ
 それよりも…ルルー お前の気持ちは とてもうれしく思うが…」
ルルー
「その先は言わないでくださいっ! うすうす わかってはいても ご本人の口からハッキリと聞きたくはありませんっ!」
サタン
「待てっ! そうではないのだ…ルルー
 わたしは以前から このわたしの『きさき』にふさわしい女は… 強大な魔力を持つものだと決めていた
 だから魔導学校を作って 強大な魔力を持つ者を集めようとしているのだが…
 今は わたし自身… 良くわからないのだ…」
ルルー
「良く…わからない?」
サタン
「そうだ… 確かにキミの思っているように…『アルル・ナジャ』には ひかれている…が…
わたしがアルルに対して ひかれているのは キミが想像している感情とは 少し…意味が違うのだ…
 アルルに対しての それは 恋愛感情そのものではなく… うまく言えないが… ある種の…『なつかしさ』…だ…
 それが いったい何なのか? なぜそうなのかは まだわからぬ…
 そして…
 はたして 私が今でもなお 強大な魔力を持つ者のみに こだわっているのかどうかもまた 自分自身 良くわからないのだ
 とにかく今は 何とも言えない… もうしばらくわたしに時間をくれないか…
 わたしは…あまりにも…あまりにも 長く生きすぎたが… もう少しだ…もう少しで わたしにとって何か重大なことが すべてわかるような… そんな気がするのだ…
 アルルに対してわたしが抱く『なつかしさ』の正体や それがわかった時の本当の自分の気持ちなども…な…」
ルルー
「わかりました…」
サタン
「コ…コホンっ!
 えぇーっと… 現実のキミは今 一種の睡眠状態にある キミは目が覚めると この世界での出来事や課題のことは全て忘れてしまう…
 悪いが… これは『精神世界』での一種のオキテのようなものでな… どうしようもないのだ…」
ルルー
「でも…今この時 マスクド校長の正体を知っているのは私だけです…よね…
 それに… サタンさまの本心が聞けてうれしかった… それだけで…充分ですわ…」


 つまりは、なんだかんだ言ってサタンはルルーのことを気に入っていて、付かず離れずの関係をキープしようとしているし、ルルーも、たとえ一度や二度振られようとも、サタンとアルルが決定的に結ばれない限りは諦めずにサタンを追う、ということなのだ。そんな次第で、どうも当面は ぬるま湯の追いかけっこの関係が続いていきそうである。


 ただ、商業二次作品においては、ルルーとサタンの関係には、本人同士の気持ち以外にも障害がある、と語られることがある。
 角川版小説では、サタンは強大な魔力を持つ人間に後継を産ませたいがゆえにアルルに固執すると語られ、それを受けたらしく、漫画『とっても! ぷよぷよ』では、ルルーには魔力がないので、いくらサタンを想おうとも妃にはなれない、とサタンの口から語られている。その上で諦めず努力するルルーと、それに感銘を受けるサタンの姿が描かれるわけだが……。
 この二人が真に結ばれる日が来るとしても、その道のりにはなかなか険しいものがありそうである。


●格闘か召喚か
 ルルーには魔力がない、というのが、現行の設定だ。魔力がないのに何故か魔導学校に入学していて、それを「魔法のような効果の格闘術で誤魔化している」となっている。
 これは、これまた角川版小説が初出の設定で、それが『はちゃめちゃ期末試験』(真魔導設定)に取り入れられたものと思われる。公式本編が外部作家のノベライズ版の影響をこれだけ受けているジャンルというのも珍しいだろう。
 角川版小説でそのように描かれたのは、恐らく『A・R・S』のルルーが一切の魔法を使わずに格闘術で戦っていたこと、なのに『魔導3』のラストではルルーがアルルと共に魔導学校を目指していることによるのだろう。


 今でこそルルーは「格闘女王」として認識され、それが彼女のアイデンティティの殆どを占めさえするのだが、オリジナルの『魔導物語』を参照すると、実はそんな設定は見当たらない。アルルと戦うのも彼女ではなくミノタウロスだし、取説のキャラ紹介にも格闘の「か」の字も出ていない。『ぷよ1』の解説本等でも同様である。

 初めて彼女が「格闘家」として扱われたのは『A・R・S』だが、翌年のGG版『魔導U』『魔導V』では、それは中途半端にしか受け継がれていない。(「背負い投げ」を多用はするものの、その他は武器や道具を使用する。)しかし、更に翌年のSS版以降の『ぷよ通』漫才デモで「私は魔導界最強の格闘家なの」「拳を極めし者なの」などと語り、解説本のキャラクター紹介欄にも普通にそう記載されるようになった。
 恐らく『A・R・S』で、魔導師であるアルルやシェゾと戦闘方法に変化をつけるためにそう設定されたのだろうと思うのだが、数多くの職種の中で「格闘」が選ばれたのは、その頃の格闘ゲームの流行の影響があるのかもしれない。


 では、オリジナルのルルーはどういうキャラクターだったのだろう。戦闘能力を持たない女性だったのだろうか?
 PC-98版『魔導3』のルルーはモケモエの遺跡にいる魔物達に「女王様」と呼ばれ、尊崇を受けていた。ただの支配ではない。「僕達を(迫害してくる)人間どもから守ってくれるんだ」と言われ、慕われていたのだ。人々が恐れて近付かない魔物の巣食う遺跡の最深部に自分の部屋(?)を持っていたルルーは、明らかに魔物寄りの人間である。
 また、オリジナル『魔導3』の冒頭にも注意せねばならない。彼女は現在のようにミノタウロスを背後に従えているのではない。呪文を唱え、「出でよ、ミノタウロス」の掛け声で「召喚」しているのだ。
 このことから考えるに、オリジナルのルルーは様々な魔物達に慕われ、それを使役する「召喚師」であり、現行の設定のように「魔力を持たない」存在ではなかった。そう考えると、『魔導3』のラスト、彼女が「偉大な魔導師になるために」魔導学校へ向かう、というのも、あながち無茶な行動ではなかったのである。

 なお、真魔導設定では、「ルルーには、実はすごい潜在魔力がある」と語られている。


●ホントにお嬢様ですか?
 ところで、冒頭に「ルルーはかなり裕福なお屋敷」に生まれた「お嬢様」だと書いたが、本当に そうだったのだろうか?
 というのも、オリジナル『魔導3』のラストでは、ルルーは腕を組んで立ったまま「ミノタウロス! いつまで倒れてんの! おきなさいっ! 出発だよっ!」と気絶しているミノタウロスに言っており、どうにも、お嬢様というよりは「姐御」という雰囲気だったからだ。MSX-2版・PC-98版共に、取説の人物紹介には「お嬢様」という記述はない。

 93年の『A・R・S』のキャラクター紹介欄ではハッキリと「良家のお嬢様」と書かれており、明文化したのはここからのようだが、同じ頃に発行された『ぷよ1』の解説本では まだ「女王様」「クィーン」という紹介が普通で、「お嬢様」という記述が一般化するのは94年の『ぷよ通』以降となる。ゲーム本編で、実際にルルーがお屋敷に住んで「お嬢様」と呼ばれている様子を見るには、96年の『鉄腕繁盛記』を待たねばならない。

 コンパイル晩期の真魔導設定では、ルルーの一人称は「わたくし」と定められており、いかにもお嬢様的な感じだが、オリジナル(PC-98版)のルルーの一人称は「あたし」だったことにも注目すべきだろう。

 ルルーの一人称はオリジナルの時点で不安定さがあり、MSX-2版『魔導』では「私」、PC-98版『魔導』では「あたし」になっている。『A・R・S』『ぷよ通』では「わたし(私)」が使われ、その後は「あたし」と「わたし」の入り混じった状態だったが、『はちゃめちゃ期末試験』以降は「わたくし(私)」か「わたし(私)」のどちらかになった。セガ製作の『みんぷよ』では「わたくし」となっている。
 角川版小説や小説『ぷよSUN』では「あたくし」、『とっても! ぷよぷよ』では「わたし」である。



 『A・R・S』の取説でも さり気にツッコミされていることだが、そもそも、深窓の令嬢が格闘術の使い手というのもおかしな話だ。
 真魔導設定では、この辺りにかなり多量の独自な説明付けをしていたようで、前述のごとく、複雑な家庭の事情や親たちの因縁を示唆していたものだが、まぁ、それは置いておいて。
 単純に想像すれば、お嬢様が格闘術を学ぶからには、元々、家にそれを容認・推奨する下地があったのだと考えられよう。たとえば、代々武術を学ぶ武人の家柄だとか、自立を尊ぶ家風だとか、金持ちは金持ちでもヤクザ(?)系だとか。
 もっとも、ルルー個人が家の意向に逆らっている、という推測も成り立たないでもない。ゲーム本編にルルーの両親が現れないのは、ルルーが半家出状態だからなのかもしれない。格闘を学んだために、近づく男性は脊髄反射でボコボコにして縁遠く、誘拐されて無事戻ったかと思えばサタンなどという得体の知れない魔族の妻になるとて家出。いつの間にかミノタウロスという厳つい魔物を連れ回している。家族にとっては、相当頭の痛い鉄砲玉娘であろう。噂も飛び廻っていることだろうし、社交界では、かなり敬遠されている存在であるに違いない。
 『鉄腕繁盛記』で突然屋敷が登場するようになるのは、せめて生活くらいは良家の子女らしくして欲しいと、家族が生活費込み・お目付け役の執事付きでルルーに贈った親心なのかもしれない。


●踊り子・ルルー
 格闘家の他に、ルルーはもう一つ職能を持っている。「踊り子」だ。彼女が様々な踊りで敵の精神に干渉する技を見せ始めたのは『A・R・S』から。踊りによって敵を眠らせたり、魅了したり。日光を召還して吸血鬼を倒したこともある。実際、その効果からも美しさからも、踊り子を名乗るのに充分たる資格を持っているといえよう。師匠(?)のすけとうだらをとっくに超えて50キロ独走ぶっちぎりだ。そういえば、『ぷよよん』の衣装などもなんとなく踊り子風に見える。

 恐らくはルルーのこのイメージの延長なのだろう。『魔導物語』の一千年後を描くという『ポチッとにゃ〜』のミスティは、踊りによって魔力を導く古代格闘術エンシェント・アーツの使い手、となっている。ミスティの流派は心極流だというが、流派が出来る程度に広まった武術らしい。もしかしたら、この武術の開祖はルルーなのかも……? などと夢想してみたりする。

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