アスキー・メディアワークス/『電撃マ王』/玲衣
『電撃マ王』連載の『アビス』本編コミカライズ。原作ゲーム発売より早く連載開始した、関連物の中では最も古参の作品です。
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3月号
2008年の第一回目です。今回は難しい設定がいっぱいなので気合入れて読まないと?の海に押し流されるよー。
ユリアシティの人々と対峙したルークたち。ティアは崩落の危機に瀕した外殻大地を救う方法を養祖父テオドーロに尋ねます。
漫画版ではハッキリした描写がなかったんですが、ここでテオドーロが開口一番「預言は――狂った!!」と言ってるからにはセントビナーは崩落したってことなんですよ…ね? って、あれ? テオドーロは口を閉じてるから前述のセリフはティアのものなのだろうか。いやでもテオドーロは結局反論しないで話進めるからどちらにしてもセントビナー崩落済みは確かってことで……だってユリアシティ的には「崩落しそう」という状態だとまだ「預言にない事態が起こった」とは言えないからルークたちに完全協力して動くことはない…は…ず………あれ? 「落ちかけてる、崩落が開始している」だけでもう「預言は狂った」ってことでいいのかな? むむ。しょっぱなからよく分かりません。混乱。(@_@;)
ここ、厳しい顔で養祖父に質問をするティアの背後で、ガイとルークが「…こ この街ってこんなに人がいたのか?」「知らねぇよ 俺ほとんど寝てたもん」とヒソヒソやりとりしていて、ナタリアが口に人差し指当てて「しィッ」と叱ってるのが可愛くてよかったです。うん。せっかく漫画(絵)なんだから、余裕ある限り本筋の流れの後ろとかにこういう余録があるといいなァ。今回は個人的に好きなバチカル幼馴染組だったので、給食にプリンがついてた時のように嬉しい(笑)。
テオドーロは崩落を止めることはできないが、魔界へ下ろすことなら出来るかもしれないと言います。
「大地を支えているセフィロトの力を少しずつ弱め… 魔界の泥の海へと軟着陸したところで停止させればいい」
なるほど。ここは原作とは設定を変えたんですね。原作では地殻が振動して液状化しているから大地を下ろしただけでは泥の海の中に呑まれてしまう。だからパッセージリングを「停止させないまま」大地を下ろさねばなりませんでした。リングが発生させるディバイディングラインによって液状化大地の上に外殻大地を浮かせようとしていたから。
つーか、漫画版では「魔界には障気が渦巻いている」という設定がないっぽい…。前、ユリアシティでルークとティアが屋外でゆっくり会話してたのにビビリましたが、障気蝕害の設定がない? せいぜい「吸い過ぎはよくない」くらいの認識? だから障気は問題視されないのかな。
漫画版ではパッセージリングの一つのあるシュレーの丘は最初から魔界にある「島」ってことらしい。…いや。あれ? 先日まで地上にあったのがセントビナー崩落に先駆けて落ちたってことですよね? 最初から魔界にあったんだと、このセフィロトツリーはとうの昔に出力低下していたってことになるので、今ヴァンが操作したからセントビナーが落ちるってのは辻褄が合わなくなる。セフィロトツリーが伸びている限り三万メートル高空になくちゃならない。そもそもここのダアト式封咒を解いたのイオンのはずですよね。
ともあれ、ヴァンが先に操作していて強制ロックしていることが予測される。原作ではそのプログラムを超震動で削り取ろうと提案したのはルーク自身でしたが、漫画版ではそれを含め全てテオドーロの指示でした。
ユリア式封咒で封じられていた制御板がティアに反応して起動。セフィロト図が綺麗です。ここで「ティア… なんともないのか?」と心配するルークに「え…ええ 私は大丈夫よ」と答えながら、ティアがふっと顔を伏せて(これは…)と考え込むシーン、最初ザッと読んだ時、てっきり障気蝕害の伏線かと思っちゃったんですが、そんなことないか…。漫画版では十中八九扱わないでしょうし。単に「ユリア式封咒とはユリアの遺伝子に反応するものだと気付いた」ってシーン?
考えてみれば、まだ漫画版では「ティアとヴァンはユリアの子孫」ってことは説明してなかったですよね。ティアの譜歌がユリアの譜歌だということや、グランツ兄妹がホド崩落後に魔界に落ちたってことは説明されてますけど。んじゃもうしばらく後に「実はティアとヴァンはユリアの子孫だったのですジャジャーン!」ってなシーンが用意されてんのだろうか。(それともどっかで地味に説明されてたんでしたっけ?)
かつてヴァンを信じてアクゼリュスを崩落させてしまったことを思い出して恐怖を感じながらも、「今度は みんなが側にいる!!!」と超震動を発揮するルーク。ジェイドの指示で強制書き込みを続けますが、途中で眩暈を起こしてジェイドの肩に掴まってよろめいてしまう。するとナタリアが「私に任せて!!」と進み出て、治癒術でルークの疲労を癒してくれます。「お忘れですの? 私はこれでも治癒術師なんですのよ 私にも手伝わせてください!!」と微笑むナタリア。明るい表情で見守る仲間たち。元気いっぱいになったルークは「よし!! どんどん行くぞ!!」と作業再開。
ここでルークを癒す役をティアに振らなかったのは驚きました。ナタリア空気化阻止ってことで私は嬉しいけど。原作だと、ここで「ルークがティアに抱きつく」「ティアと以前から超震動特訓してたことに触れる」というルクティアイベントが入るんですけど、それをスルーしちゃった…。
ドラマCD版みたいに、ティアがルークをサポートするんだと完璧だったのかなぁ。ジェイドが作業の指示して、ルークが戸惑うとティアが易しく説明し直したりして、眩暈でよろめいた時は側のティアに寄りかかって、そこでナタリアが進み出て癒してくれる、みたいな? そんで成功した後でティアに抱きついて、しかし耐用限界表示が出たとジェイドかアニスが言って、喜びから一転、みたいな感じのが。…うーん。
ルークがティアとしかろくに関わらないのは不自然なんで、ここ数回に仲間たち一丸の描写が多いのはとても嬉しいんですが、わりと重要な(?)ルクティアイベントだと思ってたのでビックリしました。つっても、きっと今後 代替エピソードがあるのでしょうが。
それはさておきここのシーン、張り切るルークの後ろで無言でメガネのブリッジを指で押し上げているジェイドが怖いよ! 同じコマのルークとナタリアが可愛い分スゲー怖いよ! 小さい子供は泣いちゃうよおっさん。
ルークが作業に集中する間に、なぜだかガイ、アニス、ミュウの二人と一匹は微笑みながら黙ってその場を離れ、扉の向こうへ行ってしまいます。そんでそこで作業が終わるまでの数時間、何するでもなくじーっとしていた。何故…。
同じ場所にいるんだと時間経過が見せづらいと思って変化をつけるためにそうしたのかなと思いましたが、物語上の理由付けがなかったので、大事な作業をしている時にフッと席を外してしまうのが奇異に感じられて「どうしたんだろ?」と気になって仕方なかったのであった。門外漢で第七音譜術士じゃないからって、見守ることは出来ると思うんだー。
そして物凄くどうでもいいことではありますが、ここでミュウが四足歩行してるように見えるのが気になったよぅ。チーグルは常に二足歩行ですの。そもそもミュウはユルユルのソーサラーリングを両手で抱えて歩いてるんですの。みゅうう。
数時間後に部屋の外のアニスやガイが待ちくたびれたころ、扉が開いてルークたちが出てきました。なんか暗い顔をしているルークを見て不安に駆られるアニス。
アニス「…… だめ…だったの…?」
ティア「いいえ 降下作業はうまくいったわ」「今頃セントビナーは魔界へ到着しているはずよ」
ジェイド「ルグニカ平野やほかの街にも同じ命令を送り込みました」「いずれも崩落することなく時間をかけて魔界に軟着陸するでしょう」
…つまり、漫画版では「ユリアシティに相談に行った時点で、まだセントビナーは崩落していなかった」のかー。んで、「全世界のセフィロト一つ一つを廻ったりしないし、最後に全降下命令をルークが出すこともない」ってことですね。原作とは違うのでちゃんと覚えておかないと混乱しそうです。それにしても「全パッセージリングは連動している」という根底設定の説明を忘れてるよーな。
しかしその直後にルークが「パッセージリングはもうすぐ壊れちまうんだ!! 俺たちのしたことは無駄だったんだよ!!!」と喚く。ジェイドが言います。
「パッセージリングが耐用年数限界に到達していると制御板に警告が出ていました」「セフィロトが暴走しているようなので――その影響でしょう」
パッセージリングが壊れたら、その時は。イオンが説明します。
「セフィロトツリーそのものが…消える」「外殻大地も魔界に浮かぶ大地もそのすべてが落ち」「何もかもが魔界の泥の海に飲み込まれるでしょう」
…え? 「魔界に浮かぶ大地もそのすべてが落ち」って。最初の方のページでテオドーロさんが「セフィロトの力を少しずつ弱め… 魔界の泥の海へと軟着陸したところで停止させればいい」と言ってたのはデマかよー! やっぱ原作通り、パッセージリングを作動させたままじゃないと外殻を下ろしても泥の海に呑まれるってことですか。騙された!! うぐぐ。
ともあれ、全員が絶望感にとらわれた中、前回では卑屈になってたイオンが誰よりも早く気を取り直し、解決法を探すためにダアトへ行こうと提案したところで今回は終了でした。次回でモースと再会でしょうか。
余談。
この漫画の作者さんはガイとアニスの組み合わせがお好きっぽい。
カップリングとしてはイオンとアニスなのですが、ちょっとした幕間のようなシーンは殆ど必ずこのコンビです。反対に、原作では多かった印象のある「ジェイドとアニス」の組み合わせは乏しいよーな。っつーか、この漫画のジェイドは絶対に「アニース♥」とは言いそうにない…(苦笑)。なんか半歩くらい原作とは性格違うよね。シリアス寄り?
余談2。
パッセージリング強制操作の際のジェイドのセリフ
「では我々の使っているフォニック言語で結構 方法はほぼ同じですから動くでしょう」
誤植…ですよね? 正解は「文法」でいいのだろーか。
4月号
今月は普通にストーリー消化の回でした。
ルークたちはダアトに潜入し、イオンの詠む秘預言を聞きます。ユリアの預言にはレプリカルークの存在がなく、歪みが生じていることに気付く。そこに待ち受けていたモースが出現。イオンは教会に戻ることと引き換えにルークたちの身の安全を約束させますが、彼が立ち去るとすぐ、モースはナタリアが偽王女であることを暴露。ルークとナタリアを戦争継続の餌にすると言い放つのでした。
イオンは「彼らを不当に扱うのは許しません!!」と言ってモースは快諾する。で、ルークが「モース!! イオンとの約束は守ってもらうぞ!!」と言うと、「もちろんだとも。用意してやろう!! キムラスカ王家を騙し続けてきた咎人に相応しい舞台を!!」と言うのでした。……あー。確かに嘘は言ってヌェーのかも…。頓知大詠師モース様。
第一から第六までの譜石を結合したものが、礼拝堂の地下に設置されていることになっていました。結合したものなのに刻まれている文字は綺麗に揃っていたので、アレは後から刻み直した碑文なんでしょうか。それとも結合加工した職人さんが、熟練の技で文字を揃えたのでしょうか。タイル職人みたいに。とかいうことを想像すると面白かった。
預言を読むイオンがカッコよかったです。
一方ルーク。初めてローレライ教団総本山の街に入って、考えることと言えばヴァン師匠のこと。相変わらずの師匠中毒でティアに呆れられています。そのうちヴァン師匠と再会した時にどん底に叩き落とされる布石かと思うと、あぁ〜ゾクゾクするぅ〜〜。(ひでぇ)
あと、アニスが導師守護役を解任されたシーン。コミカルに驚くアニス本人以上に、周囲の仲間たち(ジェイド除く)の表情が面白かった♥
お便りコーナーに「コミックも中盤に突入し」と書いてありました。じゃあやっぱ全八巻なのだろーか。了解。
次回は本編連載は休みで、単行本第四巻発売に合わせた別冊外伝が付くそうです。でも誰の外伝なのかは秘密だそうで。…よっぽどマイナーな脇キャラとかなんだろうか? それとも期待をあおってるだけなのかな。
外伝を挟んで一か月ぶりに再開の本編連載です。ナタリアやアッシュのファンの人は大喜びしたであろう回でした。そしてしばらく前は大活躍だったジェイドが、今回は壁の絵でした。セリフいっこもなし。むう。順当ってやつなのね。(無言でルークたちの後ろから走ってくる大佐は、眼鏡で表情見えないのでなんか妙に怖い。)
モースによってナタリアが偽王女だと暴露され、ルークたちはバチカルへ移送されます。卑屈ぶりを発揮して、俺は処刑された方がいいのかも俺さえいなければとグズグズ言い出したルークをティアが一喝。ティアが自分に希望を見て、大きな期待をかけてくれていたことを知ったルーク。なのに自分はそれが分からなかったばかりか、曲解して拗ねて不幸ぶってさえみせた。自己嫌悪して顔に影落として俯いちゃうルークが印象的でした。
バチカルでは、すぐにインゴベルト王との謁見シーンに。原作ではインゴベルト王はナタリアと会うことを避けて、顔を合わせないまま安楽な毒で処刑しようとしたものですが、漫画版のインゴベルト王は割と肝が据わっている? でもファブレ公爵がいないのは相変わらず。原作そのまま、未だ息子から逃げているヨワヨワなお父さんです。
本編初登場のころ、漫画版ナタリアがいかにもツンツンした意地悪女の顔だったのが少し嫌だったんですが、すっかり可愛い顔になりました。個人的には嬉しい。んで、王に処刑を言い渡されたナタリアは、よろめいてルークの背にぶつかる。背中を合わせて、取り囲む兵たちに武器を向けられるナタリアとルーク。おお、ゲームのオープニングアニメーションのイメージですね。あのシーンが本編にもあればよかったのに、という意見もプレイヤー間にあったかと思うのですが、その意味で夢の実現ですね。
そこに、どっか上の方のガラスを破ってアッシュが飛び降りてきました。…私の中の「アッシュさまは常に上から登場」というイメージが更に強固に。アッシュは剣の一閃で周囲の兵たちをなぎ倒し、ルークたちの手の縛めまで断ってしまうのでした。
あんた…スゲェよ。
アッシュに促されてナタリアの手を引いて謁見の間から逃げ出すと、アッシュによって牢から救われた仲間たちが待っていました。あんなに失望させるような駄目な姿を見せてしまったのに、こうして見捨てずに来てくれたティアを見て、嬉しくてたまらなくなってしまうルーク。仔犬のしっぽが弱々しげながらパタパタし出したぞ。
…いやホントにマイナス思考だよねルークは。そんなに心配しなくても、あのくらいでルークを嫌いになる人はいないよ。特にティアとかガイとかは。ティアはルークが好きだからあれだけルークの自己否定に腹を立てたんだよ。自信持ちなさいって!
その後、原作通りに白光騎士団とペールが登場。…漫画版はペールのキャラクターデザインが原作とは違うものになっちゃってて、でも一巻の時修正しなかったので、てっきり今後漫画版ではペールは活躍させないんだと思ってたんで、なんか驚きました。原作とは違うキャラクターデザインのまま押し通しちゃうのか…。(ちなみに執事のラムダスも原作とは違うデザインのまま。)
原作では、このエピソードの時点で既にガイの正体が明かされています。ですが、漫画版ではまだガイの正体には全く触れていない。伏線すら張られたことがなかった。その結果、なんと、このエピソードがガイの正体に関する、漫画版での初の伏線に変えられていました。おおー! なんかすごい。ルークたちが逃げた後、ペールが「ルーク様とナタリア様をたのみましたぞ ガイラルディア様!!」とニヤッと笑って、意味ありげに言うという。(漫画版のペールは、この時点で、ガイがルークたちを庇ってキムラスカのお家騒動に巻き込まれ殺されかかっている状況をどう考えていたんだろう?)
ところでこのシーン、ペールを盾にして逃げるなんて出来ねぇよと言うルークをガイが強引に引っ張るんですが、腕とかを引っぱるんじゃなくて、襟を掴んでる(ように見える)のが笑えた(笑)。着崩れる、着崩れちゃってるよルーク。(襟ぐりが広いんで首が絞まったりはしないのね。)
その後、
市民がナタリアを庇う→ゴールドバーグがナタリアが偽王女だと暴露→ナタリア、毅然として認めて市民に手を出させない→市民たちがナタリアの盾になる→アッシュが登場、ナタリアに約束をほのめかす
という、ほぼ原作通りの流れになります。が、ニュアンスが違う。原作ではアクゼリュス崩落後ベルケンドを訪ねた前後にアッシュとナタリアの交流がありますが、漫画版ではそれがカットされていたため、ここでアッシュがナタリアに向かって、ティアに対するみたいに「…女!!」と呼びかける。すっげー余所余所しくてビックリ。で、半ば背を向けたままの彼に「しけたツラをするな!!」と怒鳴られたナタリアはナタリアで、「――」「え?」と、ポカンとしてる。全然心が通じてねぇ〜!(^□^;) そんなわけでアッシュさま、汗を垂らして「ちっ!!」と舌打ち。ちょっと赤くなったりして。意地を張るのをやめ、ちゃんと顔を向けて心を込めてナタリアに言いますよ。
「そんなしけたツラした奴とじゃ――」「一緒に国を変えられないだろうが!?」
二度目のプロポーズ(??)。近くにいたノワールが「ヒューーーウ」と口笛を吹き、ルークとティアは何故か顎を落として驚愕してました。この二人、その後も口をあんぐりさせてたり、声もなく口をパクパクさせてたり。流石に驚きすぎだろ…。
ナタリアはと言えば大感激。たちまち目が輝き頬は紅潮して、嬉し涙をこぼして元気いっぱいに。アッシュに「ぐずぐずするな!! 行け!!」と言われて、自ら先頭になって駆け出し、バチカル脱出を果たすのでした。
原作ではこの辺、あくまでメインの視点はルークにあって、市民たちに危険が及ぶと”ルークが”無視できずに駆け戻る。(ナタリアはその後に続く。)そしてアッシュはナタリアに二度目のプロポーズ(?)をした後、”ルークに”ナタリアを無事逃がせと託します。けど漫画版ではルークは完全に脇役で、それは全然いいんですが、何故かずーっとナタリアの後ろで変な顔芸でギャグやってました。ティアと共に。
え、えーと…。この辺のシーンって、いちいち顎落として驚いたり、逃げながら汗タラで苦笑いして「ペールもアッシュもヘンだ!! いったい何がどうなってんだ!?」と言ったりするような、そんなシーンなんでしょうか。
ケテルブルクでジェイドの過去を聞いた後のシーンや、セントビナーでディストと対峙した時のシーンで、突然ルークがワーギャー騒ぐ系のギャグを始めたのが、個人的にどうにも馴染めなくて仕方なかったんですが、今回のここのシーンにも同じ違和感を感じました。
ここってドシリアスなシーンじゃないの? なんでここに延々とギャグを入れるのか。更にはギャグで締めちゃうのか。単に感覚の差、なんだろうけど…。(あと、ティアは大口開けてワーギャー騒いだり驚いたりするキャラじゃないと思うんですが。)
で。汗タラのティアがベルケンドへ急ぎましょう、と言ったところで今回は終わりでした。次回はヴァン師匠と会ったりガイの正体を知ったりして、またルークがどん底に落ちたり唐突にギャグしたりするのかな。なんか躁鬱の波がかなり小さくて激しい気がしてきました漫画版ルークって。まあ小動物だとでも思えば可愛いか…。
小動物で思い出しましたが、脱出の時、ミュウってどこにいたんでしょう。謁見の間の外で合流した時にはいるのに。…お、おいてけぼり、とか。(ゴクリ) アッシュか漆黒の翼が連れてきてくれたらいい。(それともティアの胸の中とかに入ってたのかナ)←他に隠れられそうな場所がないから…。さもなきゃガイの燕尾の裏とか?
7月号
今回は、イニスタ湿原〜ベルケンド・ガイの正体パレ直前まで。ミュウは無事同行してました。よかったよかった。今更なのに何故か今月はルークの顔が丸いなー円いなーと気になって仕方なかったアルよ。
てっきりイニスタ湿原はカットするのかと思いこんでいたので、ちゃんと触れられていてビックリしました。素でナタリアを口説……ゲフン、励ますガイ。兄さんはキラキラと煌めいていたよ!(ホントに。書き文字ででっかく「キラ キラ キラーン」と書かれてあった。)
ベルケンドに入り、アッシュに間違われたルークが話を合わせるべく下手なアッシュのモノマネを披露するギャグ入る。次回の読者のお便りコーナーは、このシーンに対する可愛い感想で埋まると見ました。
ヴァン師匠と対面。画面が黒くてグネグネ加工してあったり、ヴァンに睨まれただけでルークがヘタリと尻餅をついてしまったり、ルークにとってのヴァンの絶対性がよく伝わってきてよかったです。
ティアの激怒が怖かった。この女こえぇー。
尻餅ついたルークをさり気に助け起こしているのがナタリアとガイの幼馴染み組なところが、個人的には幸せでした。モエモエ〜
ヴァンが曖昧にガイの正体をバラし、ガイが自分で告白せねばならないよう仕向けてから、自分はとっとと立ち去る。ドSっ!!! 立ち去ってから(今頃ガイラルディア様はあの連中に責められているに違いないククククク)とか ほくそ笑んでたんかねー。
残され、ルークに不安げな顔で名を呼ばれて暗い目で沈黙するガイ。兄さんはどんよりしていたよ! でも次回ではナタリアが盛大に援護してくれるはずっ。そのための湿原だし。という感じで次回への期待感高まりつつ今月分は終わりです。
読み終わってから何かが足りないよーな…? という気がしてよくよく考えてみたら、原作では居たアッシュが居ないのである。次回、ガイの告白が終わった後で出てきて禁書を渡すのでしょーか。それともアッシュは出てこなくて、ノエルが「アッシュさんに助けていただいたんです」とか言いながら出てきて禁書を渡すんでしょーか。あるいは禁書すっとばして直接スピノザに繋ぐとか。スピノザのエピソードってどーなるんだろ。既に登場はさせてるんで、カットは無しかな。
それはそうと、ベルケンドでヴァンのもとに案内されるときに
アニス「ここって前にもアッシュと来たよね?」
ガイ「ベルケンドに向かえというのは こういう意味だったのか?」
ジェイド「さすがに人違いまでは計算外でしょうがね…」
という会話をしていて、ちょっと愕然としました。つまり、漫画版のアッシュはヴァンと話をさせるためにルークたちを故意にベルケンドに向かわせたってことですか。敵の大ボス(兵隊付き)がいる所にポンと送り込む。愛するナタリアも込みでかっ。その場で捕まって殺されても可笑しくないんですが…。罠? 教団兵が嬉しそうに「お戻りでしたか!!」なんて言ってるしなー。この言い方だとアッシュ自身がここを拠点にしてたってことになっちゃって色々状況が矛盾してくるんですがー…。バチカルにナタリア助けに行く前にここで既にヴァンと面会してたってことかな??
原作だと、ベルケンドへ向かったのは、砂漠の方は既に魔界へ落ちてて、徒歩で行ける一番近い町がベルケンドだったからなんだけど。(バチカルの市民たちは、逃げるナタリアにそう言って誘導してくれる。)ヴァンの所に行ったのも大勢の教団兵に取り囲まれて半ば連行された形でもありましたし。でも漫画版では全てアッシュの計らい…? 漫画版の彼は、実はまだヴァンの手先なの? それともガイがアッシュを信頼してないからそんな根も葉もない邪推をしてしまったという復讐系の伏線とか(笑)。
そういえば教団兵がルークとアッシュを間違えて「バチカルでは派手にやってくれたそうですな」と言うシーン。原作では嫌味たらしく高圧的に言うんだけど(この時点でアッシュは既にヴァンから離反していて、バチカルでの立ち回りも完全な独断、裏切り行動でしたからね。また、年齢的にも教団兵の方が上だと思いますし、明らかにヴァンの贔屓によって実績も特にないのに役を与えられてるアッシュは面白くない存在なんだろーなーと思ってた)、漫画版では純朴な手下が親分の偉業を褒め称えてるみたいなニュアンスになってて不思議でした。「髪を切られたんですね!!」とか、ちょっと芸能人に向かうファンにも思える感じで言ってるし。漫画版では、アッシュという人間ってどーゆー立ち位置になってんじゃろ?? というか、漫画版のこの教団兵がアニス父並みに浮世離れした性格なだけなんでしょうか。もやもや〜。
8月号
私が住んでる地域には『電撃マ王』を売ってる本屋さんが一軒しかありません。そして、創刊から二年以上経て、だんだん入荷数が減っているような気がするなぁとセンセンキョウキョウとしていたのですが、今月買いに行きましたら、「本日入荷」の札が立ってたのに、置いてあったのは一冊でした。
・・・・。
流石に、漫画雑誌を注文取り寄せしてまで購読する根性は私にはありません。ガソリン値上げしたから隣県の本屋に行くのも余程の時以外は致しかねる。
というわけでこの感想コーナー、わりと風前の灯火かもしれません。(^_^;) 風が吹かないことを祈るばかり。
今月は躁状態著しいガイの身の上話と、翼の傷ついた天使なアッシュと、上品じゃないキャッシーと、最高権力者イオン様でした。
ちなみに、ナタリアがガイを庇うシーンはありませんでした。ありー。そもそもガイが責められるシーン自体なかったし。(^_^;)
ガイ兄さんがいっぱい出てアップになっていたし、彼とレプリカルークの子供時代の回想絵(コメディタッチ)がありましたし、ジェイドは目元涼しかったので、ファンの人は喜んだ回じゃないでしょうか。
なんか、今月の『マ王』は最終回ラッシュな感じ?? 結局、ゲームのコミカライズ雑誌という方向に落ち着くのでしょうか。
私は基本的に「アビス」しか読んでいないらしく、『マ王』を読んでると、不意に最終回だと気づいて「こういう漫画連載してたんだ」と驚いたり、突然「あのマンガそう言えば載ってない気がするけど連載終わってたのか?」と首を傾げたりすることがよくあります。最低の読者ですな。もっと集中して読めよ自分。「ロッテのおもちゃ」は唯一楽しみに読んでる漫画です。お色気ものだけどドドメ色な感じはせず、可愛くてどこか晴れ晴れとした上品さというか、ナチュラルな節度がある感じなのがいいね。
小説「デュアルアース」は、どうしてもデュエルアースとかデュアルエースと読み間違える。そして異世界の言葉が特殊フォントで書いてありますが、この文章を書いている今この瞬間まで、「そそそねそそそねそそ」とか書いてあるんだと思ってた…。なにやらホラーっぽく囁かれてるんだと思ってた…。
9月号
今月は普通に三冊くらい書店にありました。よかったよかった。それにしても、同時に連載開始した『ディスガイア2』のコミカライズが今号で最終回なのを見ると、『アビス』は本当に長い話なんだなぁとつくづく思います。
先月分の感想に、幾分皮肉をこめて「最高権力者イオン様」と書いていたらば、今号の(扉絵の次の)一ページ目でイオン様が曇りない笑顔で「一応僕は最高権力者ですから」と仰ったので、なんか後ろめたくなりました。スミマセンスミマセンイオン様……。
シェリダンめ組の老人三人組。原作では、イエモン存命時はアストンは常にイエモンの後ろで尻馬に乗って「そうじゃ、そうじゃ」と囃し立てているばかりな印象ですが、漫画版では初登場時から常にアストンが中心です。物語終盤での活躍を見越しての配置換えかなーと思いつつ、やっぱ不思議な感じがします(苦笑)。今月号のイエモンの大人しさは怖いほどでした。ラストシーンが、立ち去るアッシュを見たキャシーが、若い頃のイエモンを思い出すわ、あの子も本当はきっと寂しいのよ、などと言うというものでしたので、確かにあの座敷わらしっぷりだと寂しかったろうなぁ、アッシュも座敷わらしになるのかしらんと思いました。(うわ我ながら意味不明な感想が出来あがっとる。)
前に、漫画版のジェイドはシリアス寄りで原作とは半歩性格が違う感じだと書きましたが、他のキャラクターに関しても、そういうことを感じるようになってきました。原作のキャラが持っている複数の要素のうち、一部を引いて強化して、残りはほぼ扱わない感じ? 扱われなかった部分が自分的萌えポインツだった場合は、淋しいものですね。
前号はガイ、ルーク、アッシュ、特にガイに関して色々思いました。色々薄いガイ様は漫画版ではまた別の意味で薄い。彼はきっと何かしら薄くなる宿命の人。
ところで、前号でガイが身の上話してたら、ココロが傷ついたらしいアッシュが一人で黙って部屋を出て行ってしまってたんですが、てっきりそのまま姿を消したんだと思っていたので、今号で一ページ目から普通にいたのを見てお茶吹いた。いたんか! まだ!
んで、その後もずーっと一緒にいたのに、ルークが改めて「一緒に行こう」と誘ったら、ルークに信頼を寄せられたことが癪に障ったらしくて、「俺が悪人だったらどーするんだ」と考えようによってはあらあらウフフな屁理屈を怒鳴りたてて一人でキレて立ち去りました。扱いにくい子だなぁ。前号からずっと”孤独だから可哀想オーラ”を発散し続けているわけですが、漫画版アッシュはこの面が強化要素に選ばれた模様。つーか漫画版のアッシュはやっぱまだヴァン側から離れてないってことなのでしょうか。言動が単独行動してる感じじゃない。
そういえば原作ではこの辺りからそろそろアニスのスパイイベントの伏線が張られ始めるんですが、漫画版はまだやってないですね。レプリカ編まではアニスの問題は棚に置いておくのかな。
お便りコーナーには『アビス』アニメ化についてどこを期待するか漫画家さんに尋ねるお便りが掲載されていて、七月七日にアニメ化情報開示で『マ王』9月号は二十七日頃に発売されたのに、もう読者の反応が載ってるのか〜、雑誌って短いサイクルで作っているんだなぁと感心しました。質問の答えは、漫画家さん曰く、今回のアニメ化で最も注目している点は脚本とシリーズ構成で、というのもあのボリュームをまとめるのは難しいと思うが、素晴らしい脚本に仕上がっていると聞いているので、だそうです。ご自分でもストーリーをまとめるのに苦心されているからこその脚本への注目なのかな。
関係ないけど、ふと気付いたらトーンの目の粗さが落ち着いてきてますね。
10月号
もう連載も29回目。そろそろ三年になるんですね。崩落編の終盤に到達し、漫画として全体の三分の二ほどには来てるんじゃないかと思います。これまでずっと、漫画版はどの方向を目指すのか量ってみようという気持ちで見ている部分がありました。原作のストーリーをどうアレンジしていくのか、キャラクターをどう描くのか。ですが流石にもう、量る時期ではないですね。少なくとも、『マ王』漫画版がどこに主眼を置き、どうキャラクターを捉え、どんな再構築を目指しているのかについては、もう確定したものとして見なければなりません。
結論を言えば、私が望む形にはならなかった。ストーリーもちゃんとまとめられて絵も可愛く、コミカライズとして何ら問題はありません。ただ、取捨選択される中で、私が原作から掬い取ってもらえることを期待していた色々な要素は、殆ど選んでもらえませんでした。お年玉くじに外れた気分で残念です。痒いところには手が届かない。でも、当然ながら仕方がない。
もうひとつ、この漫画の感想を書いていると、自分の馬鹿さ加減をどんどん露呈することになるんで、恥ずかしくてやりきれねー、というのもあります(笑)。シュレーの丘のパッセージリングを操作した回(今年の3月号分)で、ジェイドが「ルグニカ平野やほかの街にも同じ命令を送り込みました」「いずれも崩落することなく時間をかけて魔界に軟着陸するでしょう」と言ってました。私はてっきり、漫画版ではパッセージリング巡りはしないし、最後に一点から全降下命令を出すこともしないんだな、これは大きな設定変更だからよく覚えておかないと、なんて本気で思ったりしたんですが。今月号ではジェイドが「外殻降下の準備もしてしまいましょう」と言って、これからパッセージリング一つ一つに命令を書き込んで最後に一点から全降下命令を出す、と原作どおりのことだけをのたまっておりました。うわ恥ずかチィ! 私は漫画の設定一つ理解できません。
#まさかと思うけど急に連載延長になってプロット変更したとかじゃないよね。どっちにしても読者を連れてかない気満々ですけど。
そんなこんなで、この本編連載漫画に関しては、自分の感想の書き方も少し軌道修正するつもりです。余計なことは考えず、あるがままに受け止めて、毎回一回分の区切りの中のみで、刹那を大切に。
では今月分の内容。地核振動停止装置制作のためにタタル渓谷のセフィロトへ。地核の振動数計測、原作では譜石でチェックしてたと思いますが漫画版では制御板。ティアの障気蝕害の伏線らしきものあり。ルークが外殻降下の前に平和条約を締結させて世界の首脳陣にも相談すべきと提案。原作ではみんな素直に感心・賛同してくれたものでしたが(個別イベントでジェイドが少しヒネたことを言うくらい)、漫画版では相変わらずギャグ風味で処理。みんなが「ルークがまっとうなことを言った」と汗タラで微妙に引く。ティアが感動した様子を見せるのは汗タラした後。
ところで、このシーンのページが今月の『マ王』公式サイトでのサンプルページに使われてましたが、最初に見たとき、二コマ目のポカンとする仲間たちの中のガイ兄さんの顔を見て、何かの記憶が刺激されてなりませんでした。
わ かっ た。
鼻から口の線が、この顔文字に似てたんだ〜! → (´<_` )
( ゜<_゜ )←こんな顔だった。
今日からガイを《流石兄さん》と呼び……はしないけど。スッキリした。
その後に、ルークがタタル渓谷が始まりの場所だと気付く展開に。アニスがルークとティアの仲を冷やかすと、ティアがキツく「ありえないから!!」。やっぱりこのシーンのティアは可愛くない。と言うか普通に失礼。むつかしいお嬢さんである。でもここのコマの隅に、からかったアニスまで暗く落ち込んで、「なんか…ごめん」と言い、落ち込むルークが「いや…別に…」と返す、原作にないアレンジが小さく入っていて、それはとてもよかったです。ギャグとしてちゃんと昇華された感じで、救われた気分になった…。(原作のこのシーンは、ラブコメとして受け止めるべきなんだろうけど理不尽に傷つけられた感じで、ガイとジェイドのやり取りもフォローには感じられず、何とも言えない気分になったんで。)
その後、アッシュとナタリアの「この国を変えよう」の約束、続けてルークとティアの「あなたはここにいるのよ」のシーン。アッシュとナタリアのシーンにはとにかく非常に力が入っている気がしたのでファンの人は大喜びできたのではないかと思います。ところで原作では朝焼けのシーンなのに夕焼けに変更されていました。(日が沈んでいく様子が時間経過として描かれている。)何か考えがあってそうしたのだろうかと思っていたらば、漫画家さんの個人ブログに
>多くの人が原作ゲームの名場面として挙げるであろうあの夕焼けのシーンがついに…
と紹介記事が書いてあったんで、素で間違えてるっぽい。
ラスト、バチカルに戻る決意をしたナタリアの晴れやかな力強い笑顔で次回へ続く。
次回は単行本第五巻発売に合わせてメインシナリオライターさん原作の公式外伝付録五作目。で、本編連載は休み。前回外伝同様、今回も外伝の主人公が誰なのか明記されてませんが、予告イラストが(使い回しですが)ジェイドとアニスで、「ゲームの物語の前日談」と書いてあるんで、イオンに平和使節になってほしいと頼みに行った時のジェイドの話? アニメ版放送開始時期の付録なので新規さんが手に取る率が高いと思われますが、やっぱ導入的なエピソードが選ばれるのでしょうか。
12月号
外伝を挟んで一ヶ月ぶりの本編連載です。今月分の内容は、《インゴベルト説得》。
今月号から『電撃マ王』の版型が変わり、ゲーム誌と同じ変形サイズから、一般的な漫画雑誌サイズに。今までアニメ誌やゲーム誌のコーナーに居心地悪げに並べられていたものが、漫画雑誌のコーナーに、他の雑誌に埋もれて並べられていたので、なんだか新鮮でした。サイズが変わっただけで、普通の漫画雑誌読んでる気がする…!(じゃあ今まで何読んでる気分だったんだ)
『マ王』漫画版のナタリア初登場は外伝1の幼少姿で、丸い目の愛らしい顔立ち、フワフワした髪の毛にデザインされていました。が、本編に登場すると、切れ長の吊り上がった目に、ぶわっと広がった独特な髪形の、クールビューティーな女王様風になっていて、個人的には残念に感じていたものです。
しかしいつのまにやら、本編連載ナタリアの目もすっかり円くなって、愛らしい顔立ちに変わりましたね。今月はそんなナタリアのオンステージ。泣いて回想して訴えて。こんな娘に懇願されたら、突っぱね続けられる父親なんていないでしょう。
『マ王』漫画版は、キャラの頬がぷっくりしている個性的な絵柄こそ人によって好みが分かれるようですが、背景は毎回奇麗で、アクションシーンに迫力があり、良い漫画だと思います。
しかし以前に何度か書いたように、キャラクター描写に関しては個人的に不満があります。語るのが可能であろう場面でも、各キャラクターの背景・内面から起こるであろう言動を、決して取らせようとしないからです。
アニメ版第1話の感想に、「脚本に《少しでも多く伝えようとする欲》があって好き」というようなことを書いたのは、『マ王』漫画版はそれが希薄だ、というモヤモヤが、心の中にずっとあったからでした。
例えばガイ。正直言って、私はこの漫画でのガイの描かれ方に満足を感じられません。ずっと「あれ?」と思っていたのですが、いやいや、ガイの復讐者としての正体が明かされるエピソードが来たら、まとめて補完されるのだろうと、不満を先送りしていました。…結果、間抜けな期待は捨てて、切り替えていくしかないと認識させられましたが。
勿論、漫画家さんは商業漫画として不足ないレベルで《ガイ》を描いてくださっています。けれど、といって《ガイについて出来るだけ多く描こうという欲》までは持っておられないのですね。淡白に《いいひと》として扱う。彼が復讐者としての過去と心境を語った8月号分のエピソードを読んで、それを理解せざるを得ませんでした。
今号分のラスト、ナタリアとインゴベルト王が和解した後に、ガイとルークが語り合うエピソードが追加されていました。この漫画のこれまでなら、ルークと語り合う役はティアに与えていただろうに珍しいこともある、個人的にガイとルークの組み合わせは好きだから嬉しいけど…などと思いつつ。このエピソードでのガイの言動を読んで、ああ本当に、この漫画のガイは《違う》んだなァと、しみじみ感じ入った次第でした。
ルーク「………。ナタリアにはちゃんと帰る場所があってよかった」
ガイ「なんだそれ?」(ルークを小突く真似をして からかいながら)「羨ましいなら おまえも公爵様に甘えてこい!」「こんなとこで油売ってないでホレ」
この漫画版のガイは、とうの昔から一点の曇りもなく復讐心を消滅させているようですから、平和条約締結の場でインゴベルト王に刃を突き付けるなんて有り得ないでしょう。明るい愛情に満ち、恨みも迷いも領主家生き残りとしての責任もそれらから生じる苦悩も何もないから、自分が復讐者であったことを明かした今になっても、自分の家族を殺したファブレ公爵をプライベートの場で《公爵様》と敬称付けで呼ぶことに何の屈託もありはしない。
でも私は、この《ガイ》は、原作のガイとは違う。全く異なる内面を持つキャラクターだと思います。違うクリエイターが作っているのですから、改めて言うことでもないですが。
別人だこれ。
もっとも、『マ王』漫画版でも、ゲームシナリオライターさんの原作の付く外伝だと、本編漫画では描写の薄かったアニスや性格が違う感じだったジェイドが原作に近い感じに描かれたように思ったので、ガイも、今後、彼が主役の外伝が描かれることがあれば、恐らく内面の光陰も原作に準じた形で描き出されるだろうと思っています。それは今でも期待しています。というか、まだ期待させといてください(苦笑)。
同じように、今月分では内務大臣アルバインに違和感を感じてなりませんでした。彼はキムラスカの《国家としての汚く残酷な本音》を代弁するキャラだと思っていたのですが。頭が固く、国家が何より最優先で。インゴベルト王やファブレ公爵が反逆者となった娘や息子に残酷・傲慢なことを言えずにひよってる時に、彼が代わりに《国家の言葉》を厳しく傲慢に語って物語を進めてくれるという。割とモースと同調するキャラ。
なのに漫画版のアルパインは、むしろインゴベルトよりも物分かりのいい柔らか頭の人物でした。エェー。
と言うか。ナタリアが国を想う演説したら、インゴベルトより先に、アルバインとゴールドバーグがナタリアにひざまずいてたんですけど。聴衆の面前で。オイオイオイ! この時点でナタリアは国家反逆者の重罪人なんですよ。インゴベルト王がナタリアを娘だと認める前に彼らがナタリアに恭順してしまったら、その瞬間に、彼らもインゴベルト王に逆らった反逆者になるんですが。なにこれ。
彼らはナタリアに仕えてるんじゃなく、インゴベルトに仕えてるんでしょ。インゴベルトよりナタリアが上ですか。ここまでナタリアを持ちあげちゃうと、新たな問題が出てくるよ―な。普通に、ナタリアの演説に心動かされつつ戸惑っていたらインゴベルト王が出てきてナタリアを娘だと認めたので、抱き合う父娘の両脇でひざまずくとか、そういうのでよかったんじゃないかなぁ…。
これが漫画版の世界なのだから仕方ないけど。
書くの忘れるところだった。えーと、今号分から読者ページの、漫画家さんへの質問コーナーが予告なく消滅してました。で、次号からはキャラクターごとの漫画版の名場面を選ぶ投稿を募るみたいです。「名場面は、必ずコミックスから選んでくださいね!」と念押しがしてあったり、トップに今更のように「コミック版への」応援を募集していますと書いてあったので、アニメ版の感想ばかりになって困ってるのかなーと思いました。
1月号ですが、'08年11月発売なので、ここに記載。
今月は創刊三周年だそうです。じゃー『アビス』漫画版も三周年なんですね。
雑誌の表紙がTVA版の『アビス』で、背中合わせで剣を構える短髪ルークとガイでした。同じ月に発売された『テイルズ オブ マガジン』Vol.3の表紙がTVA『アビス』の長髪ルークとガイだったせいか、いやに印象に残ったり。相乗効果?
今号分の内容は、《平和条約締結》前半まで。扉絵省略していっぱいいっぱいまでエピソードが詰め込まれてあり、力作。そしていろいろと急展開な回でした。
まずはバチカル城の庭の東屋にて、実の祖母たる乳母と対話するナタリア。原作ではレプリカ編終盤に位置するエピソードを大幅アレンジ…っていうより、オリジナルエピソードに入れ替えてありました。
漫画版の乳母は身勝手な人間に感じられました。「私が娘たちの幸せを奪ってしまった」「私自身の幸せも…」なんて、自分を憐れむ言葉を被害者たるナタリアの前で言うんだもん。そのうえ「ナタリア様!! お願いです。どうか一度だけ」「一度だけでもあなた様を本当の名で――」と懇願。
で、ナタリアは動揺一つせずに「私はナタリア・L・キムラスカ・ランバルディア」「私の名はナタリアです」と言い切り、毅然とした微笑みで拒絶。哀れな老女は「…ナタリア様。私はなんと浅はかな願いを…」と泣き伏せるのでありました。
なんか、辛い感じになっちゃいましたね。原作だと暖かい対話に仕上がってたのに。
そこに偶然通りかかるルークとガイ。更に偶然通りかかる、ダアトへ帰還する途中のモース御一行。モースの護衛として何故かアリエッタが従っていて、唐突に表情を一変させて「イオン様…どこ? あなたたち…知ってるはず。アニスが隠したの?」「嘘! 隠してる!!」とヤンデレぽくキレ出す。急展開。神託の盾兵に止められると「離して!! イオン様のお顔見れるからアリエッタこの任務来たのに…」「みんな嘘つき!! イオン様をアリエッタに返してよぉ!!!」と喚き暴れてナタリアの辺りめがけて譜術を放ちます。すると乳母が身を挺してナタリアを庇い、軽傷を負う。原作ではアニスの母がイオンを庇うエピソードが、こういう形に変形。
で、その様子を見ていたガイは姉の死にまつわる記憶を思い出し、前号では朗らかに公爵に様づけして呼んでたのがこれまた態度豹変、落ち込む以前にキムラスカへの憎悪を燃え上がらせる。急展開。でも全〜然ピンと来てないルークなのでした。
飛行譜石奪還やケセドニアにアスターを訪ねるエピソードは無し。玲衣さんがアスターを描いたら、どんな感じだったんでしょうね。原作のルークは、降下させたケセドニアの人々が障気に苦しんでいる様子を見て自分を責め、ティアに慰められるんですが、漫画のルークは考えてもいなかった様子で、ティアが平和条約締結の際に「あとひとつだけ問題があります」と提案すると、ポカンとして「え? まだ何かあったか?」なんて言ってました。
前号分の感想に、「漫画版のガイは、とうの昔から一点の曇りもなく復讐心を消滅させているようですから、平和条約締結の場でインゴベルト王に刃を突き付けるなんて有り得ないでしょう。」と書いたら、今号でガイが豹変して憎悪に顔を歪ませ、しまいに涙を滲ませてインゴベルトに刃を突き付けたので、萌え喜ぶより先にビックリし過ぎて途方に暮れました。
…え、えーと。謝らないといけないのかなコレ。
的外れな感想書いてすみませんでした。ごめんなさい。でもマジに、この展開は読めなかったです。
ガイの恨み節を聞いていたピオニーが「剣を向けるなら俺のほうがふさわしいかもしれん。ガイラルディア・ガランよ」「ホドを滅ぼしたのはキムラスカではないのだよ」「ホドは自滅した…」「――いや」「我々が消したのだ」と言ったところで次回へ続く。
雑誌の表紙も漫画も、ガイがいっぱいで嬉しかったです。
素朴な疑問。
ひとつ。アリエッタはイオンの顔を見るためにこの任務を引き受けたと言ってましたが、モース帰還のためだけに急遽護衛に駆け付けたという意味なんでしょうか? だってイオンが(国家反逆者扱いの)ナタリア達と共にバチカルへ乗り込んで来たのは、通常ならあり得ない事態で、モースたちはダアトを出る際には予想していなかったはずですから。
ふたつ。ピオニーが「剣を向けるなら俺のほうがふさわしいかもしれん。ガイラルディア・ガランよ」と言い出した時、インゴベルトが「ピオニー陛下…」と慌てて止めようとし、ピオニーに「黙っていてもいずれわかることです。インゴベルト陛下」「我々の知る真実を全て話すべきだ」と宥められてました。
どうしてインゴベルトが止めようとするのでしょーか。
ホド崩落に関しては、キムラスカとマルクトでは立場も視点も違う。公式にはマルクト側がキムラスカのせいだと責めてキムラスカは自分たちのせいじゃないと反発して、十六年経った今も責任をなすりつけ合って醜く争っていたんでしょう。
で、キムラスカ側は、崩落は自分たちのせいじゃないことは知っていても、マルクト側の自滅だとは知らないはず。ただ、ダアトから教えられ、ホド崩落が秘預言に詠まれていたことは知っていたはず。一方マルクト側は、自分たちのせいで崩落したことは知っているけれど素知らぬ顔してキムラスカのせいにして責めたてていた。そして崩落が秘預言に詠まれていたことを知らされていなかったはず。
ホド崩落はマルクトの(いわば)自演だったと、マルクト皇帝がキムラスカとの会談の席で語るのは、某国が拉致を認めたくらいすんごいこと、国家間の関係に大きく影響することじゃないんでしょうか。
マルクトのゼーゼマン参謀総長辺りが止めるなら分かるんですが、どうしてインゴベルトが止めようとするのか、ホントに分からない。マルクトとキムラスカが協力してホド崩落を預言どおりに演出してたとかいう訳じゃないはずですよね。
今号分は、読んでてつくづく「絵柄が変わったなぁ」と感じました。
最初の頃はパーっと勢いよく描いた絵みたいな雰囲気がありましたが、今はクリアな感じ。特に目。処理も違うし、何より黒目が大きく丸くなってる。
2月号ですが、'08年12月発売なので、ここに記載。
ピオニー陛下がホド崩落は先代皇帝の指示が誘因で起こったと明かし、疑似超振動を起こさせられた哀れな被験者の少年こそが幼き日のヴァンだったと判明。
十一歳ヴァンのデザインは『ファンダムVol.2』の十六歳ヴァンを服装も大体そのまま縮めたような感じで、TVA版デザインと同方向。
場面は飛んでシェリダン。
嵐が来そうだというのを「腰が痛い」というタマラの台詞で表現してたのは微笑ましかったです。
師団を率いて高みから悠々と街を見下ろすリグレット。妙に艶めかしいです。傍らのスピノザに向かっての「おまえはここにいていいのか? スピノザよ」という台詞、ナンノコッチャと思ったんですが、多分、《ここで待つことはせず、今から一緒に街に降りてイエモンたちの殺されるところを見届けなさい》という意味なんですよね。でもかなり分かりにくい言い回しだと思った。
話は再びユリアシティに戻りますが、平和条約締結の場の結末は語りません。
何故かユリアシティに停泊中のアルビオール艇内で、ノエルが《地核振動停止作戦》の説明。タルタロスのミニチュア付き指示棒さえ用意している準備の良さです。
危険な作戦にイオンを参加させることにアニスが異を唱え、「替えのきかない御身なんですから――」と言うとイオンが目を見開いて硬直し、そんなイオンを見てジェイドもハッとするエピソードを作っていたのは、とても上手いなと思いました。実際、不思議だったですもんね、原作(笑)。導師イオンが圧死しかねない地核へ行くというのに誰も異を唱えさえしないのは。それと、恐らく次回辺りで明かされるだろうイオンの正体について、読者の注意を上手く喚起しています。
けどアニスの台詞がどうも…。角が立つ感じにも読めちゃいますねぇ。(^_^;)
「イオン様!! イオン様だけでもシェリダンに残ったほうがいいですよ」「もしものことがあったら今後のことはどうするんです!?」
「イオン様は導師ですよ!? このなかで一番替えのきかない御身なんですから――」「そしてついでにアニスちゃんも一緒にシェリダンに」
「このなかで一番」という部分は、ない方が良かったんじゃないかなぁ。事実ではありますが。それから、書き文字で小さくとは言え「ついでにアニスちゃんも一緒にシェリダンに」ってのも言わせない方が良かった気がしました。勿論ギャグだとは分かりますが、色々と台無しにしている感じが…。
これだと、《イオンを案じて》ではなく《自己保身のため》に、イオンにかこつけて危険な任務を他の仲間に押し付けようとしているようにも感じられちゃう。アニスがちょっと嫌な子に見えてしまいました。
作戦説明中からずっとルークが一人で落ち込んでいる様子。気付いたティアが、兄に同情する必要はないどんな事情があっても許されないと諌め、「あなたには」「…私が」「――」「……」「いえ」「私たちがいるわ」と、原作の二倍くらい息継ぎしつつ慰めるのでした。
原作平和条約締結前夜のケセドニアでのルクティアイベントと、原作平和条約締結後のフェイスチャットからルークやティアの台詞のエッセンスを抜き出して再構成してあります。
スルーされたと思っていたケセドニアのルクティアイベントが、変形しつつも取り入れられたのは単純に嬉しかったです。
それにしても、漫画版のティアさんは微妙に恥ずかしそうにしながらも顔を向けずに少し離れて言ってて、冷たい感じにも見えます。多分これは漫画家さんの萌えツボなんですね。原作だとベッドに腰かけているルークの前にしゃがんで下からじっと覗き込みながら微笑んで言ってくれる、ドキドキのシーンだったなぁ。
タマラの腰痛によるお天気予報が的中して、シェリダンは雨。タルタロスへ向けて振動発生装置の演算機を譜業の大八車みたいなので運んでいたシェリダンめ組の前に、多くの住人たちを殺したリグレットたちが追いついたところで次回へ続く。
雨に濡れたリグレット教官のお色気度がアップしていました。
わざわざ雨を降らせたのは、演出上の意図があるんでしょうか。
次回、老人たちの死を見て荒れるルークに、ティア辺りが雨に濡れた状態で喝を入れて、瞳から流れ落ちたのは涙か雨か…とかやりそう。ティアはラストシーンまで《涙を流させてはいけない》という縛りがあるキャラだから。さもなきゃルークかスピノザをずぶ濡れにしてどん底感を描写するのだろーか。
なんて想像してみても、今までの経験上、十中八九、盛大に外れるんですが。(^_^;)
単にリグレット教官が濡れ濡れで色っぽいってだけのことかも。……はっ。濡れ濡れの色っぽいヴァン師匠が見られたりするのかしらっ!?
大穴展開で、嵐による落雷で、殺されていたアストンが復活するとか。どんなホラーだ。
あと、何故かアストンとタマラが一緒にいてイエモンがいないのも気になります。
原作ではシェリダン側にタマラとイエモンがいてリグレットに殺害され、アストンはい組と共に港にいるので。
アストンとイエモンの役割を交換? それとも、ルークたちがアルビオールで直接シェリダン港に着いたら、怪我をしたアストンが譜業大八車で爆走してきて、一方で港にいたイエモンが目立つ感じに殺されるんでしょうか。あるいは原作でアルビオールを初入手した時のノリで、老人たちがみんなで盾になっている間にタルタロス発進とか。
超展開で、アッシュが現れて、老人たち全員を救いましたとかルークたちを庇ってタルタロス出港させるとか(笑)。ギンジが出たら神。
いや。真の超展開はタルタロスが巨大ロボットに変形して、その頭部にアルビオールがパイルダーオン。パートナー回路付き巨大トクナガとの合体技で地核を止めるッ…! が、内部に侵入したシンクのためにピンチに。頑張れ負けるな音素戦隊アビスマン。(すみません訳分からなさすぎです。)
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ホド崩落はマルクトのいわば自演のようなものであって、ガイ含むマルクト国民はみんな騙されていたんだと皇帝が明かし、ガイは戸惑いに顔を歪めて「陛下…!!」と言う。
それでおしまいでした。
「とうに復讐する気は失せてたんだがね」とガイが剣を収める様子も無ければ、会談終了後に仲間たちに謝罪して、どうしても死んだホドの人々のためにけじめをつけたかったと言うのも無し。ヴァンも自分と同じような復讐を望んでいると思っていたけど違ったようだ、同じ痛みを持っていた者としてヴァンを止めたい、と決意を新たにする台詞もありません。
何の考えも述べない、仲間の誰もこの件でガイに語りかけない、皇帝たちの謝罪も描かない。
後はもう、その他大勢の一人として普通の表情で画面の隅にいるだけでした。
例えばジェイドの話を扱った時は、ジェイドの原作以上の懺悔、果てはジェイドのためにルークが命がけで戦うところまで描きましたし、ナタリアの話では乳母との会話まで描いた。でもガイの場合はありません。ぶつっと切れてフォローなし。
今月のその他のエピソードの描き方の余裕っぷりから見ると、ページが足りなくてやむなく切ったという感じじゃない。多分、素で、ガイを中心にした流れの終端を描く《必要を感じなかった》んだろうなぁと。
連載初期の頃から漠然と感じていたことではありますが、この漫画版の作者さんはガイにあまり興味を持っておられないっぽいですよね。(^_^;) クリエイターとして見ると、面白くないキャラとかなんでしょうか?
ガイの過去や内面に関わる物語は原作では外殻大地編からかなり多く伏線が張られ始めて、崩落編でナタリアの物語と二分して大きく語られるものです。
が、漫画版では外殻大地編での伏線をとことんカットし続けました。メインシナリオに掛かる《カースロット》や《欠けた記憶》もスルー。ルークが髪を切った時に「公爵様にご報告を」なんて言わせてたので、もしや漫画版のガイは復讐者という設定が無いことになってるのかとすら危ぶんだものでした。
随分と遅く、崩落編中盤になってやっと復讐者だと明かされましたが。今までの感想で書いたように、個人的にはガッカリしました。カットカットカットで、待ちに待った果てだったから、そのように感じてしまったんでしょう。
余談ながら、ここにアッシュが心を傷つかせて黙って席を外すオリジナル描写を挿入したのを見て、この漫画家さんはアッシュに特に強い思い入れがあるっぽいなぁと思っていました。アッシュの心理は精緻に掘り下げようとしているんだな、と。
で、その後にアニメ雑誌の記事で、漫画家さんが(アッシュの過去を描いた)外伝1のネームを切りながらボロボロ泣いた、と仰っているのを読んで、ああやっぱりと腑に落ちたものでした。
無論、実際にどのような考えでそうされたのかは読者には量り知りようもないんですが。
復讐者だと明かされた際の台詞に、宝刀ガルディオスイベントのエッセンスも取り込んでいましたので、漫画版ではこれでガイの話は全部片付けたってことなんだなと思っていました。ガイの《欠けた記憶》に関しては取り扱わないか、扱っても2コマくらいで済ませるんだろう、平和会議で剣を突き付けるエピソードは絶対にやらないだろうと。ニコニコ笑って「公爵様に甘えてこい」と言うキャラになってましたし。
ところが翌月分で豹変。
漫画版ガイが初めて生々しい内面を見せてくれたのはとても嬉しかったですし、表情も素晴らしかったけれど、それも吹っ飛ぶくらい、本当に、心底ビックリしました。
正直言うと今でも、元は《記憶の回復》も《剣の突き付け》も描かないつもりでいて、どういう理由か土壇場で方針変更したんじゃないかと疑っています。そのくらい急激な変化に感じられました。
ともあれ、ガイファンとしては喜ぶべきことだよねと思っていたらば。
今月は、ぶつっと切れておしまい。アァー…。(へなへなへな)
その予定がなかったのだとしても、針に糸を通して縫い目を作ったのならば、最後に糸の端を結んで止めるところまでやってほしかったです。
他のキャラに関してはちゃんとそうやってきてるのに。ちぇー。
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素朴な疑問。
崩落するホドのイメージイラストに、エルドラント(レプリカホド)と同じ外骨格。
あの外骨格は、生成途中のレプリカホドを空中に保持しつつ要塞にするために後からヴァンが取り付けさせた…のかと思ってたんですが、ホドってオリジナルの段階から要塞島だったのかな。
ちなみにアニメ版のホドは普通の島で、外骨格は付いてませんでした。
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